JP3180574B2 - ガンリーマ - Google Patents
ガンリーマInfo
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- JP3180574B2 JP3180574B2 JP22851194A JP22851194A JP3180574B2 JP 3180574 B2 JP3180574 B2 JP 3180574B2 JP 22851194 A JP22851194 A JP 22851194A JP 22851194 A JP22851194 A JP 22851194A JP 3180574 B2 JP3180574 B2 JP 3180574B2
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- JP
- Japan
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- tip
- tool
- blade
- guide
- cutting
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、特に深穴の仕上げ加工
において下穴を所定の寸法に拡径するガンリーマに関す
るものである。
において下穴を所定の寸法に拡径するガンリーマに関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】この種のガンリーマとしては、例えば図
7および図8に示すようなものが一般的に知られてい
る。これらの図に示すガンリーマでは、軸状を呈する工
具本体1の図示しないシャンクの先端に、超硬合金等の
硬質材料から成る切刃チップ2がろう付けにより取り付
けられて刃部3が設けられた構成とされている。そし
て、この刃部3の外周には、工具本体1の回転軸線O方
向に沿って切屑排出溝4が形成され、さらにこの切屑排
出溝4の工具回転方向(図中白抜き矢線方向)を向く壁
面4Aの先端側および外周側の稜線部に切刃5が形成さ
れている。なお、図示の例においては、上記壁面4Aの
先端外周側の角部に、ダイヤモンドやCBN(立方晶窒
化硼素)を主成分とする超高硬度焼結体6Aと超硬合金
等の高硬度焼結体6Bとを積層して成る層状焼結体6
が、その超高硬度焼結体6Aの部分を工具回転方向に向
けて接合されており、上記切刃5はこの層状焼結体6の
超高硬度焼結体6Aの部分に形成されている。
7および図8に示すようなものが一般的に知られてい
る。これらの図に示すガンリーマでは、軸状を呈する工
具本体1の図示しないシャンクの先端に、超硬合金等の
硬質材料から成る切刃チップ2がろう付けにより取り付
けられて刃部3が設けられた構成とされている。そし
て、この刃部3の外周には、工具本体1の回転軸線O方
向に沿って切屑排出溝4が形成され、さらにこの切屑排
出溝4の工具回転方向(図中白抜き矢線方向)を向く壁
面4Aの先端側および外周側の稜線部に切刃5が形成さ
れている。なお、図示の例においては、上記壁面4Aの
先端外周側の角部に、ダイヤモンドやCBN(立方晶窒
化硼素)を主成分とする超高硬度焼結体6Aと超硬合金
等の高硬度焼結体6Bとを積層して成る層状焼結体6
が、その超高硬度焼結体6Aの部分を工具回転方向に向
けて接合されており、上記切刃5はこの層状焼結体6の
超高硬度焼結体6Aの部分に形成されている。
【0003】一方、この刃部3の外周には、上記切刃5
に沿って上記切屑排出溝4の工具回転方向後方に隣接す
るようにマージン部7が形成されるとともに、このマー
ジン部7の工具回転方向後方側には、ガイド部としてベ
アリング部8が形成されている。また、このベアリング
部8のさらに工具回転方向後方側には、切屑排出溝4の
工具回転方向側に隣接するように、第2のガイド部とし
てパット部9が形成されている。ここで、これらマージ
ン部7、ベアリング部8、およびパット部9の外周面
は、上記軸線Oを中心として切刃5の外径と等しい半径
の略円筒面状に形成されている。なお、これらマージン
部7とベアリング部8との間、およびベアリング部8と
パット部9との間は、これらマージン部7、ベアリング
部8、およびパット部9に対して工具内周側に僅かに凹
んで逃げが与えられた外周逃げ面10とされている。
に沿って上記切屑排出溝4の工具回転方向後方に隣接す
るようにマージン部7が形成されるとともに、このマー
ジン部7の工具回転方向後方側には、ガイド部としてベ
アリング部8が形成されている。また、このベアリング
部8のさらに工具回転方向後方側には、切屑排出溝4の
工具回転方向側に隣接するように、第2のガイド部とし
てパット部9が形成されている。ここで、これらマージ
ン部7、ベアリング部8、およびパット部9の外周面
は、上記軸線Oを中心として切刃5の外径と等しい半径
の略円筒面状に形成されている。なお、これらマージン
部7とベアリング部8との間、およびベアリング部8と
パット部9との間は、これらマージン部7、ベアリング
部8、およびパット部9に対して工具内周側に僅かに凹
んで逃げが与えられた外周逃げ面10とされている。
【0004】このようなガンリーマでは、切刃5が最も
工具先端側に位置していて、まず最初に加工穴に喰い付
き、次いでこの切刃5によって切削された加工穴の内周
にマージン部7、ベアリング部8、およびパット部9が
挿入されて加工穴内周がこれらによって擦られることに
より、いわゆるバニシング効果が奏功されて平滑な内周
面が得られるようになされている。また、穴加工中はこ
れらマージン部7、ベアリング部8、およびパット部9
が加工穴の内周面に摺接しながら刃部3が前進するた
め、加工穴の中心軸に工具本体1の上記軸線Oが一致す
るように刃部3が案内されることとなり、これによって
刃部3の振れが抑えられて工具本体1の直進性が確保さ
れ、精度の高い穴加工がなされるように図られている。
なお、この穴加工中は、刃部3と加工穴の内周との間の
潤滑、切刃5周辺の冷却、および切粉の排出等のため
に、刃部3側に向けて切削油剤が供給される。また、上
記ガンリーマにおいては、切刃3がダイヤモンドやCB
Nを主成分とする超高硬度焼結体6A上に形成されてい
て、その強度や耐摩耗性が高いため、特にアルミニウム
合金や焼結合金など、非鉄金属より成る被加工材を対象
とした穴加工に使用されることが多い。
工具先端側に位置していて、まず最初に加工穴に喰い付
き、次いでこの切刃5によって切削された加工穴の内周
にマージン部7、ベアリング部8、およびパット部9が
挿入されて加工穴内周がこれらによって擦られることに
より、いわゆるバニシング効果が奏功されて平滑な内周
面が得られるようになされている。また、穴加工中はこ
れらマージン部7、ベアリング部8、およびパット部9
が加工穴の内周面に摺接しながら刃部3が前進するた
め、加工穴の中心軸に工具本体1の上記軸線Oが一致す
るように刃部3が案内されることとなり、これによって
刃部3の振れが抑えられて工具本体1の直進性が確保さ
れ、精度の高い穴加工がなされるように図られている。
なお、この穴加工中は、刃部3と加工穴の内周との間の
潤滑、切刃5周辺の冷却、および切粉の排出等のため
に、刃部3側に向けて切削油剤が供給される。また、上
記ガンリーマにおいては、切刃3がダイヤモンドやCB
Nを主成分とする超高硬度焼結体6A上に形成されてい
て、その強度や耐摩耗性が高いため、特にアルミニウム
合金や焼結合金など、非鉄金属より成る被加工材を対象
とした穴加工に使用されることが多い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記構成の
ガンリーマでは、穴加工中はマージン部7とベアリング
部8およびパット部9のガイド部とにより刃部3が案内
されるようになされているが、加工穴に最初に切刃5が
喰い付く際にはこのような案内がないため、例えばボー
ル盤等による穴加工では、加工穴の開口部に円筒状のガ
イドブッシュを設けて、このガイドブッシュにより刃部
3を案内するようにしている。
ガンリーマでは、穴加工中はマージン部7とベアリング
部8およびパット部9のガイド部とにより刃部3が案内
されるようになされているが、加工穴に最初に切刃5が
喰い付く際にはこのような案内がないため、例えばボー
ル盤等による穴加工では、加工穴の開口部に円筒状のガ
イドブッシュを設けて、このガイドブッシュにより刃部
3を案内するようにしている。
【0006】しかしながら、近年のマシニングセンタに
よる連続自動加工においては、穴加工の時にだけこのよ
うなガイドブッシュを加工穴に取り付けることは不可能
である。従って、このようなマシニングセンタによる加
工では、当該ガンリーマは、その工具本体1のシャンク
後端だけが支持された状態でマシニングセンタの主軸端
に取り付けられて、その軸線O回りに回転されつつ先端
側に送られて加工を行うこととなる。このため、上記ガ
ンリーマでは、シャンク後端から離れた工具本体1の先
端の刃部3に工具の回転に伴い振れが発生することが避
けられず、こうして振れが生じたまま切刃5が加工穴に
喰い付くことによって、加工精度の劣化が引き起こされ
るおそれがあった。特に、深穴の穴加工を行うガンリー
マにおいてはシャンク後端から刃部までの距離も自ずと
長くなるため、このような振れは一層顕著なものとな
る。
よる連続自動加工においては、穴加工の時にだけこのよ
うなガイドブッシュを加工穴に取り付けることは不可能
である。従って、このようなマシニングセンタによる加
工では、当該ガンリーマは、その工具本体1のシャンク
後端だけが支持された状態でマシニングセンタの主軸端
に取り付けられて、その軸線O回りに回転されつつ先端
側に送られて加工を行うこととなる。このため、上記ガ
ンリーマでは、シャンク後端から離れた工具本体1の先
端の刃部3に工具の回転に伴い振れが発生することが避
けられず、こうして振れが生じたまま切刃5が加工穴に
喰い付くことによって、加工精度の劣化が引き起こされ
るおそれがあった。特に、深穴の穴加工を行うガンリー
マにおいてはシャンク後端から刃部までの距離も自ずと
長くなるため、このような振れは一層顕著なものとな
る。
【0007】本発明は、このような背景の下になされた
ものであって、マシニングセンタによる加工等において
も、切刃の喰い付き時の刃部の振れを抑えて精度の高い
穴加工を行うことが可能なガンリーマを提供することを
目的としている。
ものであって、マシニングセンタによる加工等において
も、切刃の喰い付き時の刃部の振れを抑えて精度の高い
穴加工を行うことが可能なガンリーマを提供することを
目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決してかか
る目的を達成するために、本発明は、軸線回りに回転さ
れる工具本体の先端に設けられた刃部に、上記軸線方向
に沿って延びる切屑排出溝が形成され、この切屑排出溝
の工具回転方向を向く壁面の先端外周側の稜線部に切刃
が形成されるとともに、上記刃部の外周には、該刃部を
案内する少なくとも一のガイド部が形成されて成るガン
リーマにおいて、上記刃部の先端逃げ面のうち上記ガイ
ド部の先端側に連なる部分が上記切刃の先端側に連なる
部分よりも上記軸線方向先端側に位置するように、この
先端逃げ面に段差を設けることにより、あるいはこの先
端逃げ面を、上記軸線を中心に工具回転方向に向かうに
従い該軸線方向基端側に向かう螺旋状の面に形成するこ
とにより、上記ガイド部の先端を、上記切刃の先端より
も上記軸線方向先端側に位置せしめたことを特徴とする
ものである。
る目的を達成するために、本発明は、軸線回りに回転さ
れる工具本体の先端に設けられた刃部に、上記軸線方向
に沿って延びる切屑排出溝が形成され、この切屑排出溝
の工具回転方向を向く壁面の先端外周側の稜線部に切刃
が形成されるとともに、上記刃部の外周には、該刃部を
案内する少なくとも一のガイド部が形成されて成るガン
リーマにおいて、上記刃部の先端逃げ面のうち上記ガイ
ド部の先端側に連なる部分が上記切刃の先端側に連なる
部分よりも上記軸線方向先端側に位置するように、この
先端逃げ面に段差を設けることにより、あるいはこの先
端逃げ面を、上記軸線を中心に工具回転方向に向かうに
従い該軸線方向基端側に向かう螺旋状の面に形成するこ
とにより、上記ガイド部の先端を、上記切刃の先端より
も上記軸線方向先端側に位置せしめたことを特徴とする
ものである。
【0009】
【作用】このような構成のガンリーマによれば、ガイド
部である刃部外周のベアリング部やパット部の先端が切
刃の先端よりも工具本体の軸線方向先端側に位置してい
るので、該ガンリーマにより穴加工を行う際には、まず
先にガイド部が加工穴に挿入され、次いで切刃が加工穴
に喰い付いてその内周を削り取ってゆくこととなる。従
って、切刃が加工穴に喰い付く際には、先に加工穴に挿
入されたガイド部によって工具本体の軸線と加工穴の中
心軸とが一致された状態とされ、これによって刃部が案
内されながら切刃が加工穴に喰い付くこととなるので、
マシニングセンタによる穴加工の場合であっても、喰い
付き時の刃部の振れを抑えることができ、これにより加
工精度の劣化を防止することが可能となる。
部である刃部外周のベアリング部やパット部の先端が切
刃の先端よりも工具本体の軸線方向先端側に位置してい
るので、該ガンリーマにより穴加工を行う際には、まず
先にガイド部が加工穴に挿入され、次いで切刃が加工穴
に喰い付いてその内周を削り取ってゆくこととなる。従
って、切刃が加工穴に喰い付く際には、先に加工穴に挿
入されたガイド部によって工具本体の軸線と加工穴の中
心軸とが一致された状態とされ、これによって刃部が案
内されながら切刃が加工穴に喰い付くこととなるので、
マシニングセンタによる穴加工の場合であっても、喰い
付き時の刃部の振れを抑えることができ、これにより加
工精度の劣化を防止することが可能となる。
【0010】ところで、このようにベアリング部やパッ
ト部等のガイド部を切刃よりも先行させて刃部を加工穴
に挿入しようとした場合、このようなガイド部では切刃
と略同外径であるにも関わらず切削は行われないので、
一見すると刃部が加工穴に挿入されないか、あるいは挿
入されてもガイド部と加工穴の内周との間に大きな摩擦
抵抗が生じて刃部に溶着等が生じてしまうのではないか
と考えられる。しかしながら、このようなガンリーマに
よる金属被加工材の穴加工では、一般に被加工材の弾性
変形によって加工穴が拡径したり収縮したりすることが
知られている。すなわち、切刃がガイド部よりも先行す
る上記従来のガンリーマでは、切刃によって削り取られ
る際に被加工材が弾性変形を起こして加工穴の内周が僅
かに拡径し、この拡径した穴の内周が、切刃が通過した
直後に瞬時に縮径してしまうのである。
ト部等のガイド部を切刃よりも先行させて刃部を加工穴
に挿入しようとした場合、このようなガイド部では切刃
と略同外径であるにも関わらず切削は行われないので、
一見すると刃部が加工穴に挿入されないか、あるいは挿
入されてもガイド部と加工穴の内周との間に大きな摩擦
抵抗が生じて刃部に溶着等が生じてしまうのではないか
と考えられる。しかしながら、このようなガンリーマに
よる金属被加工材の穴加工では、一般に被加工材の弾性
変形によって加工穴が拡径したり収縮したりすることが
知られている。すなわち、切刃がガイド部よりも先行す
る上記従来のガンリーマでは、切刃によって削り取られ
る際に被加工材が弾性変形を起こして加工穴の内周が僅
かに拡径し、この拡径した穴の内周が、切刃が通過した
直後に瞬時に縮径してしまうのである。
【0011】従って、ガイド部が切刃よりも先行する本
発明のガンリーマにおいては、ガイド部が加工穴に挿入
された際に被加工材が弾性変形を起こして加工穴が僅か
に拡径し、次いでこの拡径した加工穴が瞬時に収縮した
後に切刃によって加工穴の内周が削り取られ、所望の加
工径に成形されることとなる。このため、実際には上述
のような刃部の溶着が発生することもなく、また切刃が
加工穴を切削する際には加工穴が縮径して必要十分な取
り代が確保されることとなる。また、このような被加工
材の弾性変形は、被加工材がアルミニウム合金や焼結合
金など、非鉄金属である場合に一層顕著となるため、本
発明のガンリーマは、このような非鉄金属より成る被加
工材の穴加工に用いるのに特に適している。
発明のガンリーマにおいては、ガイド部が加工穴に挿入
された際に被加工材が弾性変形を起こして加工穴が僅か
に拡径し、次いでこの拡径した加工穴が瞬時に収縮した
後に切刃によって加工穴の内周が削り取られ、所望の加
工径に成形されることとなる。このため、実際には上述
のような刃部の溶着が発生することもなく、また切刃が
加工穴を切削する際には加工穴が縮径して必要十分な取
り代が確保されることとなる。また、このような被加工
材の弾性変形は、被加工材がアルミニウム合金や焼結合
金など、非鉄金属である場合に一層顕著となるため、本
発明のガンリーマは、このような非鉄金属より成る被加
工材の穴加工に用いるのに特に適している。
【0012】
【0013】一方、このような構成のガンリーマにおい
ては、先行するガイド部の先端とこれを後追する切刃の
先端との間の軸線方向の距離が小さすぎると、工具の送
りにもよるが加工穴にガイド部が挿入されると略同時に
切刃が喰い付くような状態となり、この喰い付きに際し
て刃部が確実に案内されなくなるおそれが生じる。一
方、逆に両者の軸線方向の距離が大きすぎると、やはり
工具の送りにもよるが、先行するガイド部によって一旦
拡径された加工穴が収縮してから切刃により切削される
までの間が長くなり、この間にガイド部の先端から切刃
の先端面での間の部分が収縮した加工穴の内周に強く擦
られて、工具の回転駆動力の増大を招いたりするおそれ
がある。このため、上記ガイド部の先端と切刃の先端と
の間の軸線方向の距離は、送り量の数倍程度に設定され
るのが望ましく、具体的には0.5mm〜1.0mmの範囲
に設定されるのが望ましい。
ては、先行するガイド部の先端とこれを後追する切刃の
先端との間の軸線方向の距離が小さすぎると、工具の送
りにもよるが加工穴にガイド部が挿入されると略同時に
切刃が喰い付くような状態となり、この喰い付きに際し
て刃部が確実に案内されなくなるおそれが生じる。一
方、逆に両者の軸線方向の距離が大きすぎると、やはり
工具の送りにもよるが、先行するガイド部によって一旦
拡径された加工穴が収縮してから切刃により切削される
までの間が長くなり、この間にガイド部の先端から切刃
の先端面での間の部分が収縮した加工穴の内周に強く擦
られて、工具の回転駆動力の増大を招いたりするおそれ
がある。このため、上記ガイド部の先端と切刃の先端と
の間の軸線方向の距離は、送り量の数倍程度に設定され
るのが望ましく、具体的には0.5mm〜1.0mmの範囲
に設定されるのが望ましい。
【0014】また、ガイド部の外径は、切刃の外径と同
等であってもよいが、先行するガイド部を円滑に加工穴
に挿入し、かつ工具の送りによる上述の工具回転駆動力
の増大を確実に防止するためには、このガイド部の外径
を切刃の外径よりも1〜10μm程度小さく設定するの
が望ましい。
等であってもよいが、先行するガイド部を円滑に加工穴
に挿入し、かつ工具の送りによる上述の工具回転駆動力
の増大を確実に防止するためには、このガイド部の外径
を切刃の外径よりも1〜10μm程度小さく設定するの
が望ましい。
【0015】さらに、このようにガイド部を円滑に加工
穴に挿入し、かつ工具回転駆動力の増大を防ぐには、ガ
イド部と加工穴との間に十分に切削油剤を供給して潤滑
効果を向上させるのが望ましい。しかしながら、上記従
来のガンリーマでは、ガイド部とされるベアリング部や
パット部の工具回転方向側には、外周逃げ面と加工穴の
内周面との間に極浅く狭い間隙が画成されるだけであっ
て、十分な量の切削油剤をこれらベアリング部やパット
部と加工穴の内周との間に送り込むことは困難である。
そこで、このようにガイド部への切削油剤の供給量を十
分に確保するには、ガイド部の工具回転方向側に隣接し
て工具内周側に凹む外周逃げ面と、このガイド部の工具
回転方向側の側壁部との境界稜線部に、上記外周逃げ面
に対して工具内周側に陥没する凹溝部を該境界稜線部に
沿って形成し、これによって上記間隙の容量を増大して
切削油剤の供給量を増やすとともに、ガイド部側に効率
的に切削油剤が供給されるようにするのが望ましい。
穴に挿入し、かつ工具回転駆動力の増大を防ぐには、ガ
イド部と加工穴との間に十分に切削油剤を供給して潤滑
効果を向上させるのが望ましい。しかしながら、上記従
来のガンリーマでは、ガイド部とされるベアリング部や
パット部の工具回転方向側には、外周逃げ面と加工穴の
内周面との間に極浅く狭い間隙が画成されるだけであっ
て、十分な量の切削油剤をこれらベアリング部やパット
部と加工穴の内周との間に送り込むことは困難である。
そこで、このようにガイド部への切削油剤の供給量を十
分に確保するには、ガイド部の工具回転方向側に隣接し
て工具内周側に凹む外周逃げ面と、このガイド部の工具
回転方向側の側壁部との境界稜線部に、上記外周逃げ面
に対して工具内周側に陥没する凹溝部を該境界稜線部に
沿って形成し、これによって上記間隙の容量を増大して
切削油剤の供給量を増やすとともに、ガイド部側に効率
的に切削油剤が供給されるようにするのが望ましい。
【0016】さらにまた、上述したように本発明のガン
リーマは、特に弾性変形が大きい非鉄金属より成る被加
工材の穴加工に用いて最適であるが、このような場合に
は、切刃に高い強度と耐摩耗性とを与えるために、切屑
排出溝の工具回転方向を向く壁面の先端外周側の角部
に、超高硬度焼結体と高硬度焼結体とを積層して成る層
状焼結体を、超高硬度焼結体の部分を工具回転方向側に
向けて接合し、上記切刃をこの超高硬度焼結体上に形成
するのが望ましい。
リーマは、特に弾性変形が大きい非鉄金属より成る被加
工材の穴加工に用いて最適であるが、このような場合に
は、切刃に高い強度と耐摩耗性とを与えるために、切屑
排出溝の工具回転方向を向く壁面の先端外周側の角部
に、超高硬度焼結体と高硬度焼結体とを積層して成る層
状焼結体を、超高硬度焼結体の部分を工具回転方向側に
向けて接合し、上記切刃をこの超高硬度焼結体上に形成
するのが望ましい。
【0017】
【実施例】図1ないし図3は、本発明の第一実施例を示
すものである。これらの図において工具本体11は、軸
状のシャンク12の先端に、超硬合金等の硬質材料から
成る軸状の切刃チップ13がろう付けにより取り付けら
れて、刃部14が設けられた構成となっている。また、
このシャンク12の基端部には、当該工具本体11を工
作機械の主軸端等に装着するためのドライバー部15が
設けられている。なお、このシャンク12の内部には、
工具本体11の回転軸線Oに沿って上記ドライバー部1
5の基端面から先端側に向け、切削油剤の供給路16が
形成されている。
すものである。これらの図において工具本体11は、軸
状のシャンク12の先端に、超硬合金等の硬質材料から
成る軸状の切刃チップ13がろう付けにより取り付けら
れて、刃部14が設けられた構成となっている。また、
このシャンク12の基端部には、当該工具本体11を工
作機械の主軸端等に装着するためのドライバー部15が
設けられている。なお、このシャンク12の内部には、
工具本体11の回転軸線Oに沿って上記ドライバー部1
5の基端面から先端側に向け、切削油剤の供給路16が
形成されている。
【0018】上記刃部14の外周には、上記軸線Oに直
交する断面において略V字型をなして外周側に開口する
1条の切屑排出溝17が、該軸線Oに平行に刃部14の
先端から基端側に向けて形成されており、この切屑排出
溝17の工具回転方向(図中白抜き矢線方向)を向く壁
面17Aの先端外周側の稜線部に、切刃18が形成され
ている。なお、この切刃18が形成される上記壁面17
Aは、本実施例では上記軸線Oを含む平面内に配置され
るように形成されている。また、シャンク12に形成さ
れた上記切削油剤の供給路16は、その先端が切刃チッ
プ13内にまで延設されて、この切屑排出溝17の後端
側の壁部17Bに開口され、該切屑排出溝17内に連通
するようになされている。
交する断面において略V字型をなして外周側に開口する
1条の切屑排出溝17が、該軸線Oに平行に刃部14の
先端から基端側に向けて形成されており、この切屑排出
溝17の工具回転方向(図中白抜き矢線方向)を向く壁
面17Aの先端外周側の稜線部に、切刃18が形成され
ている。なお、この切刃18が形成される上記壁面17
Aは、本実施例では上記軸線Oを含む平面内に配置され
るように形成されている。また、シャンク12に形成さ
れた上記切削油剤の供給路16は、その先端が切刃チッ
プ13内にまで延設されて、この切屑排出溝17の後端
側の壁部17Bに開口され、該切屑排出溝17内に連通
するようになされている。
【0019】ここで、本実施例では、上記壁面17Aの
先端外周側の角部に、この壁面17Aから一段凹むよう
にして1/4円形の凹部17Cが形成されており、この
凹部17Cに、ダイヤモンドやCBNを主成分とする超
高硬度焼結体19Aと超硬合金等の高硬度焼結体19B
とを積層して成る層状焼結体19が、その超高硬度焼結
体19Aの部分を工具回転方向に向け、高硬度焼結体1
9Bの部分がろう付けされることにより接合されてい
る。さらに、上記超高硬度焼結体19Aの部分の工具回
転方向を向く面19aおよび工具外周側を向く面19b
は、それぞれ上記壁面17Aおよび後述するマージン部
の外周面にそれぞれ面一に形成されており、上記切刃1
8は、この層状焼結体19の超高硬度焼結体19Aの部
分において、上記面19aの辺稜部に形成されている。
先端外周側の角部に、この壁面17Aから一段凹むよう
にして1/4円形の凹部17Cが形成されており、この
凹部17Cに、ダイヤモンドやCBNを主成分とする超
高硬度焼結体19Aと超硬合金等の高硬度焼結体19B
とを積層して成る層状焼結体19が、その超高硬度焼結
体19Aの部分を工具回転方向に向け、高硬度焼結体1
9Bの部分がろう付けされることにより接合されてい
る。さらに、上記超高硬度焼結体19Aの部分の工具回
転方向を向く面19aおよび工具外周側を向く面19b
は、それぞれ上記壁面17Aおよび後述するマージン部
の外周面にそれぞれ面一に形成されており、上記切刃1
8は、この層状焼結体19の超高硬度焼結体19Aの部
分において、上記面19aの辺稜部に形成されている。
【0020】一方、刃部14の外周には、切屑排出溝1
7の工具回転方向後方に連なり、上記切刃18の工具外
周側の部分に沿って軸線O方向に平行に延びるようにマ
ージン部20が形成されている。このマージン部20
は、その外周面が上記軸線Oと同軸で切刃18の外径D
と等しい径を有する円筒面状に形成されており、いわゆ
る二番取りはなされていない。また、このマージン部2
0の工具回転方向後方には、該マージン部20から工具
周方向に間隔をおいて、本実施例におけるガイド部とし
てベアリング部21が形成されている。ここで、このベ
アリング部21もまた、その外周面が軸線Oと同軸な円
筒面状とされて上記軸線Oに平行な方向に延びるように
形成されているが、その外径D21は上記切刃18の外径
Dよりも1〜10μm程度僅かに小さくなるように形成
されている。さらに、このベアリング部21の工具回転
方向後方には、該ベアリング部21から工具周方向に間
隔をおいて、切屑排出溝17の工具回転方向側の稜線部
に沿って軸線Oに平行に延びるように、第2のガイド部
としてパット部22が形成されている。このパット部2
2も上記ベアリング部21と同様、その外周面が、軸線
Oに同軸で、切刃18の外径Dよりも1〜10μm程小
さい外径D22の円筒面状に形成されている。
7の工具回転方向後方に連なり、上記切刃18の工具外
周側の部分に沿って軸線O方向に平行に延びるようにマ
ージン部20が形成されている。このマージン部20
は、その外周面が上記軸線Oと同軸で切刃18の外径D
と等しい径を有する円筒面状に形成されており、いわゆ
る二番取りはなされていない。また、このマージン部2
0の工具回転方向後方には、該マージン部20から工具
周方向に間隔をおいて、本実施例におけるガイド部とし
てベアリング部21が形成されている。ここで、このベ
アリング部21もまた、その外周面が軸線Oと同軸な円
筒面状とされて上記軸線Oに平行な方向に延びるように
形成されているが、その外径D21は上記切刃18の外径
Dよりも1〜10μm程度僅かに小さくなるように形成
されている。さらに、このベアリング部21の工具回転
方向後方には、該ベアリング部21から工具周方向に間
隔をおいて、切屑排出溝17の工具回転方向側の稜線部
に沿って軸線Oに平行に延びるように、第2のガイド部
としてパット部22が形成されている。このパット部2
2も上記ベアリング部21と同様、その外周面が、軸線
Oに同軸で、切刃18の外径Dよりも1〜10μm程小
さい外径D22の円筒面状に形成されている。
【0021】なお、これらマージン部20、ベアリング
部21、およびパット部22の工具周方向の位置関係
は、パット部22が軸線Oを中心としてマージン部20
の工具回転方向側に略90°の位置に配置されるよう
に、また軸線Oを挟んでパット部22の反対側の位置か
らマージン部20の反対側の位置にかけてベアリング部
21が延在するように形成されている。さらに、工具周
方向においてマージン部20とベアリング部21との
間、およびベアリング部21とパット部22との間の部
分は、これらマージン部20、ベアリング部21、およ
びパット部22の外周面に対し工具内周側に僅かに凹ん
で刃部14の外周逃げ面14A,14Bとされ、穴加工
時にこれら外周逃げ面14A,14Bと加工穴の内周と
の間に間隙(オイルクリアランス)が画成されるように
なされている。
部21、およびパット部22の工具周方向の位置関係
は、パット部22が軸線Oを中心としてマージン部20
の工具回転方向側に略90°の位置に配置されるよう
に、また軸線Oを挟んでパット部22の反対側の位置か
らマージン部20の反対側の位置にかけてベアリング部
21が延在するように形成されている。さらに、工具周
方向においてマージン部20とベアリング部21との
間、およびベアリング部21とパット部22との間の部
分は、これらマージン部20、ベアリング部21、およ
びパット部22の外周面に対し工具内周側に僅かに凹ん
で刃部14の外周逃げ面14A,14Bとされ、穴加工
時にこれら外周逃げ面14A,14Bと加工穴の内周と
の間に間隙(オイルクリアランス)が画成されるように
なされている。
【0022】そして、本実施例では、これらガイド部と
されるベアリング部21およびパット部22は、それぞ
れの先端の位置が切刃18の先端の位置よりも軸線O方
向先端側に位置するように形成されている。ここで、こ
のようにガイド部とされるベアリング部21およびパッ
ト部22の先端が切刃18の先端よりも軸線O先端側に
先行するように配するには、刃部14の先端逃げ面14
Cのうち、これらベアリング部21およびパット部22
の先端側に連なる部分が、切刃18の先端側に連なる部
分よりも軸線O方向先端側に位置するように、この先端
逃げ面14Cに段差を設けたり、あるいはこの先端逃げ
面14Cを軸線Oを中心に工具回転方向側に向かうに従
い該軸線O方向基端側に向かうような螺旋状の面に形成
したりすればよい。また、これらベアリング部21およ
びパット部22の先端と切刃18の先端との間の軸線O
方向の距離Lは、本実施例では0.5mm〜1.0mmの範
囲に設定されている。
されるベアリング部21およびパット部22は、それぞ
れの先端の位置が切刃18の先端の位置よりも軸線O方
向先端側に位置するように形成されている。ここで、こ
のようにガイド部とされるベアリング部21およびパッ
ト部22の先端が切刃18の先端よりも軸線O先端側に
先行するように配するには、刃部14の先端逃げ面14
Cのうち、これらベアリング部21およびパット部22
の先端側に連なる部分が、切刃18の先端側に連なる部
分よりも軸線O方向先端側に位置するように、この先端
逃げ面14Cに段差を設けたり、あるいはこの先端逃げ
面14Cを軸線Oを中心に工具回転方向側に向かうに従
い該軸線O方向基端側に向かうような螺旋状の面に形成
したりすればよい。また、これらベアリング部21およ
びパット部22の先端と切刃18の先端との間の軸線O
方向の距離Lは、本実施例では0.5mm〜1.0mmの範
囲に設定されている。
【0023】なお、本実施例では、上記シャンク12の
先端外周部において、軸線O方向に切刃18の基端側の
位置と、この位置の工具周方向反対側の位置とに、軸線
O方向に沿って凹溝23,23が形成されており、これ
らの凹溝23,23に超硬合金より成るブッシュ24,
24が装入されて固着され、ガイドブッシュ部25が設
けられている。ここで、これらのブッシュ24,24の
外周面は、軸線Oと同軸で切刃18の外径Dと等しい径
の円筒壁面状に形成されている。
先端外周部において、軸線O方向に切刃18の基端側の
位置と、この位置の工具周方向反対側の位置とに、軸線
O方向に沿って凹溝23,23が形成されており、これ
らの凹溝23,23に超硬合金より成るブッシュ24,
24が装入されて固着され、ガイドブッシュ部25が設
けられている。ここで、これらのブッシュ24,24の
外周面は、軸線Oと同軸で切刃18の外径Dと等しい径
の円筒壁面状に形成されている。
【0024】また本実施例では、刃部14の外周に形成
された上記外周逃げ面14A,14Bと、これら外周逃
げ面14A,14Bに対して工具外周側に屹立するよう
に配置されるベアリング部21およびパット部22の工
具回転方向側の側壁部21A,22Aとのそれぞれ境界
稜線部に、各外周逃げ面14A,14Bに対して工具内
周側に凹む凹溝部26A,26Bが、該稜線部に沿って
軸線O方向に平行に延びるように形成されている。これ
らの凹溝部26A,26Bは、いずれも軸線Oに直交す
る断面において、その底面26aが図3に示すように半
径Rの円弧状を呈するものであり、この底面26aはベ
アリング部21およびパット部22の上記各側壁部21
A,22Aに滑らかに連なるように形成されている。こ
こで、この底面26aが軸線Oに直交する断面において
呈する円弧の半径Rは、0.5mm〜2.0mmの範囲内に
設定されるのが望ましい。また、上記側壁部21A,2
2Aは、工具外周側に向かうに従い僅かに工具回転方向
後方側に向けて傾斜する平坦面に形成されている。
された上記外周逃げ面14A,14Bと、これら外周逃
げ面14A,14Bに対して工具外周側に屹立するよう
に配置されるベアリング部21およびパット部22の工
具回転方向側の側壁部21A,22Aとのそれぞれ境界
稜線部に、各外周逃げ面14A,14Bに対して工具内
周側に凹む凹溝部26A,26Bが、該稜線部に沿って
軸線O方向に平行に延びるように形成されている。これ
らの凹溝部26A,26Bは、いずれも軸線Oに直交す
る断面において、その底面26aが図3に示すように半
径Rの円弧状を呈するものであり、この底面26aはベ
アリング部21およびパット部22の上記各側壁部21
A,22Aに滑らかに連なるように形成されている。こ
こで、この底面26aが軸線Oに直交する断面において
呈する円弧の半径Rは、0.5mm〜2.0mmの範囲内に
設定されるのが望ましい。また、上記側壁部21A,2
2Aは、工具外周側に向かうに従い僅かに工具回転方向
後方側に向けて傾斜する平坦面に形成されている。
【0025】このような構成のガンリーマでは、刃部1
4の外周に形成されて該刃部14を案内するガイド部と
してのベアリング部21およびパット部22の先端が、
切刃18の先端よりも軸線O方向先端側に位置している
ので、工具本体11をその軸線O回りに回転させながら
加工穴に向けて軸線O方向先端側に前進させることによ
り、まず初めにこれらベアリング部21、パット部22
が加工穴に挿入され、次いで切刃18が加工穴に喰い付
くこととなる。このため、この切刃18が加工穴に喰い
付く際には、先に加工穴に挿入されたベアリング部2
1、パット部22によって工具本体11の軸線Oと加工
穴の中心軸とが一致されており、これらベアリング部2
1、パット部22によって刃部14が案内されながら切
刃18が加工穴内周を切削してゆくこととなる。
4の外周に形成されて該刃部14を案内するガイド部と
してのベアリング部21およびパット部22の先端が、
切刃18の先端よりも軸線O方向先端側に位置している
ので、工具本体11をその軸線O回りに回転させながら
加工穴に向けて軸線O方向先端側に前進させることによ
り、まず初めにこれらベアリング部21、パット部22
が加工穴に挿入され、次いで切刃18が加工穴に喰い付
くこととなる。このため、この切刃18が加工穴に喰い
付く際には、先に加工穴に挿入されたベアリング部2
1、パット部22によって工具本体11の軸線Oと加工
穴の中心軸とが一致されており、これらベアリング部2
1、パット部22によって刃部14が案内されながら切
刃18が加工穴内周を切削してゆくこととなる。
【0026】従って、上記構成のガンリーマによれば、
たとえマシニングセンタによる穴加工の場合であって
も、切刃18が加工穴に喰い付く際に刃部14に振れが
生じるのを防ぐことができ、このような振れによる加工
精度の劣化を防止することが可能となる。また、一般的
な金属被加工材の穴加工においては、上述したように被
加工材の弾性変形によってベアリング部21やパット部
22が加工穴内周に摺接した際に加工穴が拡径し、これ
が収縮したところを切刃18が切削してゆくこととなる
ため、ベアリング部21やパット部22との間に溶着が
発生したりするようなことはなく、また切刃18が切削
する際には加工穴に十分な取り代が確保されることとな
る。
たとえマシニングセンタによる穴加工の場合であって
も、切刃18が加工穴に喰い付く際に刃部14に振れが
生じるのを防ぐことができ、このような振れによる加工
精度の劣化を防止することが可能となる。また、一般的
な金属被加工材の穴加工においては、上述したように被
加工材の弾性変形によってベアリング部21やパット部
22が加工穴内周に摺接した際に加工穴が拡径し、これ
が収縮したところを切刃18が切削してゆくこととなる
ため、ベアリング部21やパット部22との間に溶着が
発生したりするようなことはなく、また切刃18が切削
する際には加工穴に十分な取り代が確保されることとな
る。
【0027】なお、このような被加工材の弾性変形は、
被加工材がアルミニウム合金や焼結合金など、非鉄金属
である場合に一層顕著となるため、上記構成のガンリー
マによれば、特にこのような非鉄金属より成る被加工材
の穴加工に用いた場合により効果的である。また、これ
らアルミニウム合金や焼結合金等の非鉄金属より成る被
加工材の穴加工を行う場合には、本実施例のように切刃
18を、層状焼結体19の超高硬度焼結体19Aの部分
に形成することにより、この切刃18に高い強度と耐摩
耗性とを与えることができるので、このような被加工材
における穴加工によって切刃18に欠損が生じたり、摩
耗が促進されたりするのを防いで工具寿命の延長を図る
ことが可能となる。
被加工材がアルミニウム合金や焼結合金など、非鉄金属
である場合に一層顕著となるため、上記構成のガンリー
マによれば、特にこのような非鉄金属より成る被加工材
の穴加工に用いた場合により効果的である。また、これ
らアルミニウム合金や焼結合金等の非鉄金属より成る被
加工材の穴加工を行う場合には、本実施例のように切刃
18を、層状焼結体19の超高硬度焼結体19Aの部分
に形成することにより、この切刃18に高い強度と耐摩
耗性とを与えることができるので、このような被加工材
における穴加工によって切刃18に欠損が生じたり、摩
耗が促進されたりするのを防いで工具寿命の延長を図る
ことが可能となる。
【0028】ここで、本実施例では、工具本体11を前
進させた際に軸線O方向に先行するベアリング部21お
よびパット部22の先端と、これを後追する切刃18の
先端との間の軸線O方向の距離Lを、0.5mm〜1.0
mmの範囲に設定したが、この距離Lが小さすぎて、ベア
リング部21およびパット部22の先端と切刃18とが
軸線O方向に接近しすぎていると、工具の送り量にもよ
るが、加工穴にベアリング部21やパット部22が挿入
されて刃部14が案内されるのと略同時に切刃18が加
工穴に喰い付くような状態となり、刃部14の安定性が
損なわれて確実に案内されなくなってしまうおそれが生
じる。また、その一方で、この距離Lが大きすぎてベア
リング部21、パット部22の先端と切刃18とが軸線
O方向に離れすぎていると、やはり工具の送り量にもよ
るが、これらベアリング部21やパット部22により拡
径された加工穴の内周が瞬時に収縮した後、切刃18が
この加工穴内周を切削するまでの間が長くなってしま
い、この間にベアリング部21やパット部22が収縮し
た加工穴によって締め付けられて摩擦抵抗が大きくな
り、これに伴い工具の回転駆動に要する動力の増大を招
くおそれがある。このような事情から、ベアリング部2
1、パット部22の先端と切刃18の先端との間の上記
距離Lは、工具の送り量の数倍程度に設定されるのが望
ましく、具体的には上述のように0.5mm〜1.0mmの
範囲に設定されるのが望ましいのである。
進させた際に軸線O方向に先行するベアリング部21お
よびパット部22の先端と、これを後追する切刃18の
先端との間の軸線O方向の距離Lを、0.5mm〜1.0
mmの範囲に設定したが、この距離Lが小さすぎて、ベア
リング部21およびパット部22の先端と切刃18とが
軸線O方向に接近しすぎていると、工具の送り量にもよ
るが、加工穴にベアリング部21やパット部22が挿入
されて刃部14が案内されるのと略同時に切刃18が加
工穴に喰い付くような状態となり、刃部14の安定性が
損なわれて確実に案内されなくなってしまうおそれが生
じる。また、その一方で、この距離Lが大きすぎてベア
リング部21、パット部22の先端と切刃18とが軸線
O方向に離れすぎていると、やはり工具の送り量にもよ
るが、これらベアリング部21やパット部22により拡
径された加工穴の内周が瞬時に収縮した後、切刃18が
この加工穴内周を切削するまでの間が長くなってしま
い、この間にベアリング部21やパット部22が収縮し
た加工穴によって締め付けられて摩擦抵抗が大きくな
り、これに伴い工具の回転駆動に要する動力の増大を招
くおそれがある。このような事情から、ベアリング部2
1、パット部22の先端と切刃18の先端との間の上記
距離Lは、工具の送り量の数倍程度に設定されるのが望
ましく、具体的には上述のように0.5mm〜1.0mmの
範囲に設定されるのが望ましいのである。
【0029】また、本実施例ではガイド部とされるこれ
らベアリング部21およびパット部22の外径D21、D
22を切刃18の外径Dに対して1〜10μm小さくなる
ように設定しているが、これらベアリング部21、パッ
ト部22の外径D21、D22は切刃18の外径Dと等しい
ように形成されていてもよい。しかしながら、上記構成
のガンリーマでは、拡径されていない加工穴に切刃18
に先んじてこれらベアリング部21およびパット部22
が挿入されることや、ベアリング部21、パット部22
が挿入されて拡径した後、加工穴は瞬時に収縮してしま
うこと、あるいは切刃18により切削される際にも加工
穴は拡径し、その後瞬時に縮径してしまうことなどを考
慮すると、先行するベアリング部21やパット部22を
円滑に加工穴に挿入し、また加工穴の収縮によりベアリ
ング部21やパット部22が締め付けられて工具回転駆
動力が増大したりするのを確実に防止するためには、上
記外径D21、D22は切刃18の外径Dよりも僅かに小さ
く設定されるのが望ましい。もちろん、これらベアリン
グ部21やパット部22の外径D21、D22が切刃18の
外径Dに対して小さすぎると、これらベアリング部21
やパット部22がガイド部として機能しなくなるため好
ましくはない。従って、これらベアリング部21やパッ
ト部22の外径D21、D22は、本実施例のように切刃1
8の外径Dに対して1〜10μm小さくなる程度に設定
されるのが望ましい。
らベアリング部21およびパット部22の外径D21、D
22を切刃18の外径Dに対して1〜10μm小さくなる
ように設定しているが、これらベアリング部21、パッ
ト部22の外径D21、D22は切刃18の外径Dと等しい
ように形成されていてもよい。しかしながら、上記構成
のガンリーマでは、拡径されていない加工穴に切刃18
に先んじてこれらベアリング部21およびパット部22
が挿入されることや、ベアリング部21、パット部22
が挿入されて拡径した後、加工穴は瞬時に収縮してしま
うこと、あるいは切刃18により切削される際にも加工
穴は拡径し、その後瞬時に縮径してしまうことなどを考
慮すると、先行するベアリング部21やパット部22を
円滑に加工穴に挿入し、また加工穴の収縮によりベアリ
ング部21やパット部22が締め付けられて工具回転駆
動力が増大したりするのを確実に防止するためには、上
記外径D21、D22は切刃18の外径Dよりも僅かに小さ
く設定されるのが望ましい。もちろん、これらベアリン
グ部21やパット部22の外径D21、D22が切刃18の
外径Dに対して小さすぎると、これらベアリング部21
やパット部22がガイド部として機能しなくなるため好
ましくはない。従って、これらベアリング部21やパッ
ト部22の外径D21、D22は、本実施例のように切刃1
8の外径Dに対して1〜10μm小さくなる程度に設定
されるのが望ましい。
【0030】ところで、上述のような加工穴の収縮によ
るベアリング部21やパット部22の締め付けによって
工具回転駆動力が増大するのをより確実に防止するに
は、これらベアリング部21やパット部22の外周面と
加工穴内周との間に切削油剤を十分かつ効率的に供給し
て、刃部14の潤滑を促すのが有効である。しかるに、
これに対して本実施例では、これらベアリング部21や
パット部22の工具回転方向側に隣接する刃部14の外
周逃げ面14A,14Bと、該ベアリング部21、パッ
ト部22の工具回転方向側の側壁部21A,22Aとの
境界稜線部に凹溝部26A,26Bがそれぞれ形成され
ている。そして、これにより、外周逃げ面14A,14
Bと加工穴の内周との間に画成されて切削油剤が収容さ
れる間隙の容量を増大させることができ、これに伴い切
削油剤の供給量の増大を図ることができるとともに、特
にベアリング部21やパット部22の工具回転方向直前
により多くの切削油剤を保持することが可能となり、こ
のような切削油剤が工具本体1の回転に伴いベアリング
部21やパット部22に供給されるから、切削油剤の効
率的な供給を図ることができる。従って、本実施例によ
れば、効果的に刃部14を潤滑して上述のような工具回
転駆動力の増大を確実に防ぐことが可能となるととも
に、切削油剤が十分に供給されることから、溶着の発生
を未然に防止し、また切削時に生成される切粉の速やか
な排出を促すことができる。
るベアリング部21やパット部22の締め付けによって
工具回転駆動力が増大するのをより確実に防止するに
は、これらベアリング部21やパット部22の外周面と
加工穴内周との間に切削油剤を十分かつ効率的に供給し
て、刃部14の潤滑を促すのが有効である。しかるに、
これに対して本実施例では、これらベアリング部21や
パット部22の工具回転方向側に隣接する刃部14の外
周逃げ面14A,14Bと、該ベアリング部21、パッ
ト部22の工具回転方向側の側壁部21A,22Aとの
境界稜線部に凹溝部26A,26Bがそれぞれ形成され
ている。そして、これにより、外周逃げ面14A,14
Bと加工穴の内周との間に画成されて切削油剤が収容さ
れる間隙の容量を増大させることができ、これに伴い切
削油剤の供給量の増大を図ることができるとともに、特
にベアリング部21やパット部22の工具回転方向直前
により多くの切削油剤を保持することが可能となり、こ
のような切削油剤が工具本体1の回転に伴いベアリング
部21やパット部22に供給されるから、切削油剤の効
率的な供給を図ることができる。従って、本実施例によ
れば、効果的に刃部14を潤滑して上述のような工具回
転駆動力の増大を確実に防ぐことが可能となるととも
に、切削油剤が十分に供給されることから、溶着の発生
を未然に防止し、また切削時に生成される切粉の速やか
な排出を促すことができる。
【0031】しかも、本実施例では上記凹溝部26A,
26Bの底面26aが軸線Oに直交する断面において円
弧状を呈しており、このため該凹溝部26A,26B内
に保持された切削油剤の滞留を防いで、工具本体11の
回転に伴い速やかに切削油剤をベアリング部21および
パット部22と加工穴の内周との間に供給することが可
能となる。さらに、加工時に生成された切粉がこれらの
凹溝部26A,26Bに詰まったりするのを防止するこ
ともできる。なお、このように凹溝部26A,26Bの
底面21aを、その断面が円弧状となるように形成した
場合、この円弧の半径Rが小さすぎると、上述した切削
油剤の滞留防止や切粉の詰まりを防止するといった効果
が十分に得られなくなるおそれが生じる。その一方で、
この円弧の半径Rが大きすぎると、これに伴い凹溝部2
6A,26B自体の深さもある程度深く形成しなければ
ならなくなり、刃部14の外径が小さい場合などには、
その剛性が損なわれてしまうおそれが生じる。このた
め、凹溝部26A,26Bの底面26aの断面がなす上
記円弧の半径Rは、上述した通り0.5mm〜2.0mmの
範囲内に設定されるのが望ましい。
26Bの底面26aが軸線Oに直交する断面において円
弧状を呈しており、このため該凹溝部26A,26B内
に保持された切削油剤の滞留を防いで、工具本体11の
回転に伴い速やかに切削油剤をベアリング部21および
パット部22と加工穴の内周との間に供給することが可
能となる。さらに、加工時に生成された切粉がこれらの
凹溝部26A,26Bに詰まったりするのを防止するこ
ともできる。なお、このように凹溝部26A,26Bの
底面21aを、その断面が円弧状となるように形成した
場合、この円弧の半径Rが小さすぎると、上述した切削
油剤の滞留防止や切粉の詰まりを防止するといった効果
が十分に得られなくなるおそれが生じる。その一方で、
この円弧の半径Rが大きすぎると、これに伴い凹溝部2
6A,26B自体の深さもある程度深く形成しなければ
ならなくなり、刃部14の外径が小さい場合などには、
その剛性が損なわれてしまうおそれが生じる。このた
め、凹溝部26A,26Bの底面26aの断面がなす上
記円弧の半径Rは、上述した通り0.5mm〜2.0mmの
範囲内に設定されるのが望ましい。
【0032】また、これらに加えて本実施例では工具本
体11のシャンク12の先端部にブッシュ24,24が
取り付けられてガイドブッシュ部25が設けられてお
り、これらブッシュ24,24が加工穴内に挿入されて
その内周面に摺接しながら刃部14を案内することによ
り、刃部14の直進性をさらに向上させて、加工面精度
の一層の安定化を図ることができる。しかも本実施例で
は、上述のように軸線Oを挟んで切刃18の反対側、す
なわちマージン部20の反対側にベアリング部21が存
在する一方、パット部22の反対側にもベアリング部2
1が延在していて、加工穴の内周に摺接するこれらマー
ジン部20、ベアリング部21、およびパット部22が
工具周方向および径方向にバランスをとって配されてい
る。従って、本実施例によれば、刃部14自体にも高い
直進性を与えることができ、これと上記ガイドブッシュ
部25との相乗効果によって加工面精度を一層安定させ
ることが可能となる。
体11のシャンク12の先端部にブッシュ24,24が
取り付けられてガイドブッシュ部25が設けられてお
り、これらブッシュ24,24が加工穴内に挿入されて
その内周面に摺接しながら刃部14を案内することによ
り、刃部14の直進性をさらに向上させて、加工面精度
の一層の安定化を図ることができる。しかも本実施例で
は、上述のように軸線Oを挟んで切刃18の反対側、す
なわちマージン部20の反対側にベアリング部21が存
在する一方、パット部22の反対側にもベアリング部2
1が延在していて、加工穴の内周に摺接するこれらマー
ジン部20、ベアリング部21、およびパット部22が
工具周方向および径方向にバランスをとって配されてい
る。従って、本実施例によれば、刃部14自体にも高い
直進性を与えることができ、これと上記ガイドブッシュ
部25との相乗効果によって加工面精度を一層安定させ
ることが可能となる。
【0033】さらに本実施例では、工具本体11のシャ
ンク12内に、その基端側から刃部14に向けて切削油
剤を供給する供給路16が形成されており、この供給路
16の先端は刃部14の切屑排出溝17内に開口するよ
うに形成されているため、工作機械側から給送された切
削油剤はこの供給路16を通って切屑排出溝17内に吐
出し、その先端の切刃18および加工穴内周の切削部位
に向けて供給されることとなる。従って、本実施例によ
れば、切刃18に向けて切削油剤を集中的に供給して切
刃18や加工穴の切削部位の効率的な冷却を図ることが
でき、より確実に溶着を防止するとともに切刃18の摩
耗や欠損をも抑制することが可能となる。また、こうし
て切刃18に集中的に供給される切削油剤により、加工
時に切刃18により生成される切粉を速やかに取り除く
ことができるため、この切粉がマージン部20等と加工
穴の内周との間に噛み込まれて加工面粗度を劣化させる
ような事態をも未然に防止できるという利点も得られて
いる。
ンク12内に、その基端側から刃部14に向けて切削油
剤を供給する供給路16が形成されており、この供給路
16の先端は刃部14の切屑排出溝17内に開口するよ
うに形成されているため、工作機械側から給送された切
削油剤はこの供給路16を通って切屑排出溝17内に吐
出し、その先端の切刃18および加工穴内周の切削部位
に向けて供給されることとなる。従って、本実施例によ
れば、切刃18に向けて切削油剤を集中的に供給して切
刃18や加工穴の切削部位の効率的な冷却を図ることが
でき、より確実に溶着を防止するとともに切刃18の摩
耗や欠損をも抑制することが可能となる。また、こうし
て切刃18に集中的に供給される切削油剤により、加工
時に切刃18により生成される切粉を速やかに取り除く
ことができるため、この切粉がマージン部20等と加工
穴の内周との間に噛み込まれて加工面粗度を劣化させる
ような事態をも未然に防止できるという利点も得られて
いる。
【0034】次に、図4ないし図6は、本発明の第二実
施例を示すものであり、図1ないし図3に示した実施例
と共通する部分には、同一の符号を配して説明を省略し
てある。ここで、上記第一実施例では、刃部14の先端
逃げ面14Cのうちベアリング部21およびパット部2
2の先端側に連なる部分が切刃18の先端側に連なる部
分よりも軸線O方向先端側に位置するように、この先端
逃げ面14Cに段差を設けたり、あるいはこの先端逃げ
面14Cを軸線Oを中心に工具回転方向側に向かうに従
い該軸線O方向基端側に向かうような螺旋状の面に形成
したりすることにより、ガイド部とされるベアリング部
21やパット部22が切刃18よりも軸線O方向先端側
に位置するようにしたが、これに対して本第二実施例で
は、切屑排出溝17の工具回転方向を向く壁面17A
を、その先端外周側の角部稜線が軸線O方向先端側に向
かうに従い工具内周側に向かって傾斜するように形成
し、この壁面17Aの外周側稜線部に切刃18を形成す
ることにより、ベアリング部21やパット部22の先端
が切刃18の先端よりも軸線O方向先端側に位置するよ
うになされている。
施例を示すものであり、図1ないし図3に示した実施例
と共通する部分には、同一の符号を配して説明を省略し
てある。ここで、上記第一実施例では、刃部14の先端
逃げ面14Cのうちベアリング部21およびパット部2
2の先端側に連なる部分が切刃18の先端側に連なる部
分よりも軸線O方向先端側に位置するように、この先端
逃げ面14Cに段差を設けたり、あるいはこの先端逃げ
面14Cを軸線Oを中心に工具回転方向側に向かうに従
い該軸線O方向基端側に向かうような螺旋状の面に形成
したりすることにより、ガイド部とされるベアリング部
21やパット部22が切刃18よりも軸線O方向先端側
に位置するようにしたが、これに対して本第二実施例で
は、切屑排出溝17の工具回転方向を向く壁面17A
を、その先端外周側の角部稜線が軸線O方向先端側に向
かうに従い工具内周側に向かって傾斜するように形成
し、この壁面17Aの外周側稜線部に切刃18を形成す
ることにより、ベアリング部21やパット部22の先端
が切刃18の先端よりも軸線O方向先端側に位置するよ
うになされている。
【0035】すなわち、本実施例では、切屑排出溝17
の工具回転方向を向く壁面17Aの先端側の稜線部(層
状焼結体19の面19aの先端側稜線部)17Dは、軸
線O方向においてベアリング部21およびパット部22
の先端と同位置に形成されているが、この先端側の稜線
部と切刃18が形成される上記壁面17Aの外周側の稜
線部(層状焼結体19の面19aの外周側の稜線部)と
の角部に、両稜線部に鈍角に交差するように面取り31
が施されており、この面取り31によって切刃18の先
端がベアリング部21やパット部22の先端よりも軸線
O方向基端側に後退せしめられ、逆に言うとガイド部と
されるベアリング部21やパット部22の先端が切刃1
8の先端よりも軸線O方向先端側に位置されているので
ある。なお、本実施例では刃部14の先端逃げ面14C
のうち、ベアリング部21およびパット部22に連なる
部分の先端逃げ面14aは軸線Oに直交する面として形
成されているのに対し、上記壁面17Aに連なる部分の
先端逃げ面14bは、この壁面17Aの先端側の上記稜
線部17Dから該壁面17Aに対して垂直な方向に離間
するに従い、漸次軸線O方向基端側に向けて傾斜するよ
うに形成されていて、逃げが与えられている。
の工具回転方向を向く壁面17Aの先端側の稜線部(層
状焼結体19の面19aの先端側稜線部)17Dは、軸
線O方向においてベアリング部21およびパット部22
の先端と同位置に形成されているが、この先端側の稜線
部と切刃18が形成される上記壁面17Aの外周側の稜
線部(層状焼結体19の面19aの外周側の稜線部)と
の角部に、両稜線部に鈍角に交差するように面取り31
が施されており、この面取り31によって切刃18の先
端がベアリング部21やパット部22の先端よりも軸線
O方向基端側に後退せしめられ、逆に言うとガイド部と
されるベアリング部21やパット部22の先端が切刃1
8の先端よりも軸線O方向先端側に位置されているので
ある。なお、本実施例では刃部14の先端逃げ面14C
のうち、ベアリング部21およびパット部22に連なる
部分の先端逃げ面14aは軸線Oに直交する面として形
成されているのに対し、上記壁面17Aに連なる部分の
先端逃げ面14bは、この壁面17Aの先端側の上記稜
線部17Dから該壁面17Aに対して垂直な方向に離間
するに従い、漸次軸線O方向基端側に向けて傾斜するよ
うに形成されていて、逃げが与えられている。
【0036】しかるに、このような構成のガンリーマに
あっても、上述の通り切刃18の先端に対して、ガイド
部とされるベアリング部21およびパット部22の先端
が軸線O方向先端側に位置しているため、上記第一実施
例と同様の効果を得ることができる。また、切屑排出溝
17の工具回転方向を向く壁面17Aの先端側の稜線部
17Dと外周側の稜線部との角部に上述のような面取り
31を施すことにより、切刃18の先端に対して相対的
にベアリング部21やパット部22の先端を軸線O方向
先端側に位置させることができるので、上記第一実施例
のように刃部14の先端逃げ面14Cに段差を設けた
り、該先端逃げ面14Cを螺旋面状に形成したりするの
に比べ、比較的容易にガイド部を先行させることができ
るという利点も得られる。
あっても、上述の通り切刃18の先端に対して、ガイド
部とされるベアリング部21およびパット部22の先端
が軸線O方向先端側に位置しているため、上記第一実施
例と同様の効果を得ることができる。また、切屑排出溝
17の工具回転方向を向く壁面17Aの先端側の稜線部
17Dと外周側の稜線部との角部に上述のような面取り
31を施すことにより、切刃18の先端に対して相対的
にベアリング部21やパット部22の先端を軸線O方向
先端側に位置させることができるので、上記第一実施例
のように刃部14の先端逃げ面14Cに段差を設けた
り、該先端逃げ面14Cを螺旋面状に形成したりするの
に比べ、比較的容易にガイド部を先行させることができ
るという利点も得られる。
【0037】なお、この面取り31の軸線O方向の幅
は、第一実施例のベアリング部21、パット部22の先
端と切刃18の先端との間の距離Lに相当し、この距離
Lと同じく工具の送り量の数倍程度で、具体的には0.
5mm〜1.0mmの範囲に設定されるのが望ましい。ま
た、この面取り31の軸線Oに対する径方向の幅Wは、
当該ガンリーマによる取り代よりも大きく設定されるの
が望ましく、本実施例では上記距離Lと等しい大きさと
されている。これは、この幅Wが取り代よりも小さい
と、上記壁面17Aの先端側の稜線部(面19aの先端
側の稜線部)が切刃として切削に関与することとなり、
これによってベアリング部21およびパット部22の先
端と切刃の先端とが軸線O方向について同位置となって
しまって上記効果が奏功されなくなるおそれが生じるか
らである。さらに、図4ないし図6では図示は略されて
いるが、本第二実施例においても第一実施例と同様に、
ベアリング部21やペット部22の外径を切刃18の外
径Dよりも1〜10μm小さく設定したり、刃部14の
外周逃げ面14A,14Bとベアリング部21、パット
部22の工具回転方向側の側壁部21A,22Aとの境
界稜線部に、外周逃げ面14A,14Bに対して工具内
周側に陥没する凹溝部26A,26Bを該境界稜線部に
沿って形成したり、あるいはシャンク12にガイドブッ
シュ部25を設けたり、切屑排出溝17に連通する切削
油剤の供給路16を形成したりしても、勿論構わない。
は、第一実施例のベアリング部21、パット部22の先
端と切刃18の先端との間の距離Lに相当し、この距離
Lと同じく工具の送り量の数倍程度で、具体的には0.
5mm〜1.0mmの範囲に設定されるのが望ましい。ま
た、この面取り31の軸線Oに対する径方向の幅Wは、
当該ガンリーマによる取り代よりも大きく設定されるの
が望ましく、本実施例では上記距離Lと等しい大きさと
されている。これは、この幅Wが取り代よりも小さい
と、上記壁面17Aの先端側の稜線部(面19aの先端
側の稜線部)が切刃として切削に関与することとなり、
これによってベアリング部21およびパット部22の先
端と切刃の先端とが軸線O方向について同位置となって
しまって上記効果が奏功されなくなるおそれが生じるか
らである。さらに、図4ないし図6では図示は略されて
いるが、本第二実施例においても第一実施例と同様に、
ベアリング部21やペット部22の外径を切刃18の外
径Dよりも1〜10μm小さく設定したり、刃部14の
外周逃げ面14A,14Bとベアリング部21、パット
部22の工具回転方向側の側壁部21A,22Aとの境
界稜線部に、外周逃げ面14A,14Bに対して工具内
周側に陥没する凹溝部26A,26Bを該境界稜線部に
沿って形成したり、あるいはシャンク12にガイドブッ
シュ部25を設けたり、切屑排出溝17に連通する切削
油剤の供給路16を形成したりしても、勿論構わない。
【0038】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、切
刃の先端に対してベアリング部やパット部等のガイド部
の先端を工具軸線方向先端側に位置させることにより、
穴加工の際にはまずガイド部が先に加工穴に挿入されて
刃部が案内され、しかる後切刃が加工穴に喰い付いて該
加工穴が所望の加工径に切削されることとなる。このた
め、マシニングセンタによる連続自動加工のように、工
具本体の基端部だけが支持されて先端の刃部に振れが生
じやすい場合であっても、切刃の喰い付き時におけるこ
の刃部の振れを抑えることが可能となり、精度の高い穴
加工を行うことができる。
刃の先端に対してベアリング部やパット部等のガイド部
の先端を工具軸線方向先端側に位置させることにより、
穴加工の際にはまずガイド部が先に加工穴に挿入されて
刃部が案内され、しかる後切刃が加工穴に喰い付いて該
加工穴が所望の加工径に切削されることとなる。このた
め、マシニングセンタによる連続自動加工のように、工
具本体の基端部だけが支持されて先端の刃部に振れが生
じやすい場合であっても、切刃の喰い付き時におけるこ
の刃部の振れを抑えることが可能となり、精度の高い穴
加工を行うことができる。
【図1】本発明の第一実施例を示す工具先端側からの正
面図である。
面図である。
【図2】図1に示す実施例の側面図である。
【図3】図1に示す実施例の凹溝部26A,26B周辺
の軸線Oに直交する拡大断面図である。
の軸線Oに直交する拡大断面図である。
【図4】本発明の第二実施例を示す工具先端側からの正
面図である。
面図である。
【図5】図4に示す実施例の先端側面図である。
【図6】図4における切刃18の先端部の拡大側面図で
ある。
ある。
【図7】従来のガンリーマを示す工具先端側からの正面
図である。
図である。
【図8】図7に示す従来例の先端部の側面拡大図であ
る。
る。
11 工具本体 12 シャンク 14 刃部 14A,14B 外周逃げ面 14C 先端逃げ面 16 切削油剤の供給路 17 切屑排出溝 18 切刃 19 層状焼結体 19A 超高硬度焼結体 19B 高硬度焼結体 20 マージン部 21 ベアリング部(ガイド部) 22 パット部(ガイド部) 21A,22A ベアリング部21、パット部22の工
具回転方向側の側壁部 24 ブッシュ 25 ガイドブッシュ部 26A,26B 凹溝部 31 面取り O 工具本体11の回転軸線 D 切刃18の外径 D21 ベアリング部21の外径 D22 パット部22の外径 L ベアリング部21、パット部22の先端と切刃18
の先端との間の軸線O方向の距離 R 凹溝部26A,26Bの底面の断面がなす円弧の半
径
具回転方向側の側壁部 24 ブッシュ 25 ガイドブッシュ部 26A,26B 凹溝部 31 面取り O 工具本体11の回転軸線 D 切刃18の外径 D21 ベアリング部21の外径 D22 パット部22の外径 L ベアリング部21、パット部22の先端と切刃18
の先端との間の軸線O方向の距離 R 凹溝部26A,26Bの底面の断面がなす円弧の半
径
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−170640(JP,A) 特開 平8−66826(JP,A) 実開 昭52−38670(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B23D 77/00
Claims (6)
- 【請求項1】 軸線回りに回転される工具本体の先端に
設けられた刃部に、上記軸線方向に沿って延びる切屑排
出溝が形成され、この切屑排出溝の工具回転方向を向く
壁面の先端外周側の稜線部に切刃が形成されるととも
に、上記刃部の外周には、該刃部を案内する少なくとも
一のガイド部が形成されて成るガンリーマにおいて、上
記刃部の先端逃げ面のうち上記ガイド部の先端側に連な
る部分が上記切刃の先端側に連なる部分よりも上記軸線
方向先端側に位置するように、この先端逃げ面に段差を
設けることにより、上記ガイド部の先端が、上記切刃の
先端よりも上記軸線方向先端側に位置していることを特
徴とするガンリーマ。 - 【請求項2】 軸線回りに回転される工具本体の先端に
設けられた刃部に、上記軸線方向に沿って延びる切屑排
出溝が形成され、この切屑排出溝の工具回転方向を向く
壁面の先端外周側の稜線部に切刃が形成されるととも
に、上記刃部の外周には、該刃部を案内する少なくとも
一のガイド部が形成されて成るガンリーマにおいて、上
記刃部の先端逃げ面のうち上記ガイド部の先端側に連な
る部分が上記切刃の先端側に連なる部分よりも上記軸線
方向先端側に位置するように、この先端逃げ面を、上記
軸線を中心に工具回転方向に向かうに従い該軸線方向基
端側に向かう螺旋状の面に形成することにより、上記ガ
イド部の先端が、上記切刃の先端よりも上記軸線方向先
端側に位置せしめられていることを特徴とするガンリー
マ。 - 【請求項3】 上記ガイド部の先端と上記切刃の先端と
の間の上記軸線方向の距離が0.5mm〜1.0mmの範囲
に設定されていることを特徴とする請求項1または請求
項2に記載のガンリーマ。 - 【請求項4】 上記ガイド部の外径が上記切刃の外径よ
りも1〜10μm小さく設定されていることを特徴とす
る請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のガンリー
マ。 - 【請求項5】 上記刃部の外周には、上記ガイド部の工
具回転方向側に隣接して工具内周側に凹む外周逃げ面が
形成されており、この外周逃げ面と上記ガイド部の工具
回転方向側の側壁部との境界稜線部には、上記外周逃げ
面に対して工具内周側に陥没する凹溝部が該境界稜線部
に沿って形成されていることを特徴とする請求項1ない
し請求項4のいずれかに記載のガンリーマ。 - 【請求項6】 上記切屑排出溝の壁面の先端外周側の角
部には、超高硬度焼結体と高硬度焼結体とを積層して成
る層状焼結体が、上記超高硬度焼結体の部分を工具回転
方向側に向けて接合されており、上記切刃は上記超高硬
度焼結体上に形成されていることを特徴とする請求項1
ないし請求項5のいずれかに記載のガンリーマ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP22851194A JP3180574B2 (ja) | 1994-09-22 | 1994-09-22 | ガンリーマ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP22851194A JP3180574B2 (ja) | 1994-09-22 | 1994-09-22 | ガンリーマ |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0890337A JPH0890337A (ja) | 1996-04-09 |
JP3180574B2 true JP3180574B2 (ja) | 2001-06-25 |
Family
ID=16877581
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP22851194A Expired - Fee Related JP3180574B2 (ja) | 1994-09-22 | 1994-09-22 | ガンリーマ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3180574B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4910648B2 (ja) * | 2006-11-14 | 2012-04-04 | 三菱マテリアル株式会社 | 穴加工工具及び穴加工工具の製造方法 |
JP2009050994A (ja) * | 2007-08-29 | 2009-03-12 | Mitsubishi Materials Corp | 穴加工工具 |
-
1994
- 1994-09-22 JP JP22851194A patent/JP3180574B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0890337A (ja) | 1996-04-09 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
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