JP3180236B2 - 冷却剤供給装置 - Google Patents

冷却剤供給装置

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JP3180236B2
JP3180236B2 JP10546393A JP10546393A JP3180236B2 JP 3180236 B2 JP3180236 B2 JP 3180236B2 JP 10546393 A JP10546393 A JP 10546393A JP 10546393 A JP10546393 A JP 10546393A JP 3180236 B2 JP3180236 B2 JP 3180236B2
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忠興 井伊
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、冷却剤を液体の状態
で供給する冷却剤供給装置、さらに詳しくは、理化学的
測定分析機器、とりわけ力学的、熱機械的ならびに分光
学的測定分析装置の中で用いられる恒温槽などに付随す
る、液体窒素などの冷却剤の供給装置に関する。
【0002】
【従来の技術】上記のような用途に従来から用いられて
きた冷却剤供給装置の代表例が、図6および図7に示さ
れている。
【0003】図6において、(1) は真空二重壁を有する
断熱型容器、(2) は容器(1) の上端開口部を密閉する
蓋、(3) は電気ヒータ、(4) は冷却剤ガス供給チューブ
である。ヒータ(3) は、蓋(2) を通して容器(1) 内の液
体窒素(A) の中に浸されている。チューブ(4) は蓋(2)
を貫通し、入口端部は容器(1) 内上部の気相中に位置
し、出口端部は図示しない恒温槽の入口に接続されてい
る。ヒータ(3) に通電することより液体窒素(A) が加熱
されて気化させられ、気化した低温の窒素ガスがチュー
ブ(4) を通って恒温槽に供給される。また、恒温槽に設
けられた温度センサ(図示略)の出力信号に基づいて、
ヒータ(3) への通電を制御することにより、温度制御が
行われる。
【0004】図7において、(5) は断熱型容器、(6) は
容器(5) の上端開口部を密閉する蓋、(7) は冷却剤供給
チューブ、(8) は圧縮空気供給チューブである。2つの
チューブ(7)(8)は、蓋(6) を貫通している。冷却剤供給
チューブ(7) の入口端部は容器(5) 底部の液体窒素(A)
中に位置し、出口端部は図示しない恒温槽の入口に接続
されている。圧縮空気供給チューブ(8) の出口端部は容
器(5) 内上部の気相中に位置し、入口端部は図示しない
圧縮空気源に接続されている。また、容器(5)外の圧縮
空気供給チューブ(8) の部分に、その通路を開閉するた
めの電磁弁(9)が取付けられている。電磁弁(9) を開放
して容器(5) の内部圧を上昇させることにより、容器
(5) 内の液体窒素(A) が冷却剤供給チューブ(7) を通っ
て恒温槽に供給される。そして、恒温槽に設けられた温
度センサの出力信号に基づいて、電磁弁(9) の開閉を制
御することにより、温度制御が行われる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】図6の冷却剤供給装置
の場合、ヒータ(3) に通電することにより、速やかに気
化ガスが生じて恒温槽に達するので、恒温槽の温度制御
は比較的容易である。しかしながら、ガスは液体より2
桁以上も密度が小さく、したがって、体積当たりの冷熱
量も小さいので、チューブ(4) を通して大量のガスを送
らなければならない。このため、チューブ(4) は、径が
比較的大きく、断熱性が良好である必要がある。また、
とくに−100℃以下あたりから、上記のように冷却ガ
スが体積当たり小さな冷熱量しかもっていないという冷
却速度にかかわる点に加えて、このような冷却装置に特
有の大きな問題が現われる。それは、液体窒素の気化の
潜熱がヒータ(3) の発熱で完全に相殺されており、最大
限でも恒温槽の温度と供給口(恒温槽の入口)のガス温
の差に相当する顕熱しか利用できないことである。仮
に、供給口ガス温が−196℃で、恒温槽の出口温度が
−150℃であるとすると、計算により、液体窒素が本
来もっている冷熱量の20%以下しか利用できないこと
がわかる。この割合は、低温になるほど急激に小さくな
る。このように、図6の冷却剤供給装置を使用した場
合、低温での冷熱の利用効率が原理的に悪いことに加
え、実際にはチューブ(4) 通過中における温度上昇や、
恒温槽自身がかなりの冷熱を外部に奪われることがある
ので、到達温度下限は気化温−196℃に比べて比較的
高い水準になり、通常のこの種の恒温槽で−150℃が
標準的な値である。
【0006】図7の冷却剤供給装置の場合、熱的に効率
の良い液相での冷却剤の供給ができる。この種の装置で
は、恒温槽と床に置かれた容器(5) 内の窒素液面(B) の
高低差に相当する圧力差を作ることが、送液するための
1つの条件であり、このために比較的大量の圧縮空気の
供給が必要である。通常の冷却剤供給装置では、10〜
30リットル程度の容器が用いられ、恒温槽と床に置か
れた容器(5) 内の窒素液面(B) の高低差は50cm程度
であり、この高低差に逆らって窒素を送るための最小限
の圧力差は0.04気圧と見積もられる。容器(5) の気
相部分を少なめに5リットルとしても、温度変化の効果
などを無視して、送液のための圧力差の増加に必要な空
気量は0.2リットルとなる。また、容器(5) 内の気相
部分が有限の体積をもつことやチューブ(7) 内の液体窒
素の慣性、送液速度に対応する圧力損失があることなど
のため、弁(9) の開放動作に対し送液開始にかなりの遅
れが生ずるとともに、弁(9) を閉じても、一旦開始され
た送液状態はしばらく持続する性質がある。しかも供給
される液体窒素は液相であるから、単位体積当たりの冷
熱量は気相より大きい。したがって、たとえば数秒程度
の短い周期で一定割合でのオン・オフ動作による送液を
行うような場合、熱的慣性の小さい恒温槽では温度のゆ
らぎ幅が大きく、精密な温度制御が困難である。したが
って、図7のような液体窒素の供給装置に対しては、む
しろ、厚い金属板や耐熱煉瓦など熱容量の大きい部材を
窒素供給口の近傍に配置して熱的な脈動を緩和する、全
体としても重くて熱容量の大きい恒温槽が適しており、
実際にこのような恒温槽が多用されている。しかしなが
ら、このようにすると、恒温槽の熱容量自身のためや、
槽の大型化にともなう外気への放熱量の増加のため、所
定の温度に達するにはかなりの冷熱を与えねばならず、
熱的に効率の良い液相での供給ができるという冷却装置
の長所を相殺している。その結果として、通常使用され
ているこの種の恒温槽で所定の冷却を行うための液体窒
素量や到達下限温度は、図6の場合と同等程度となって
いる。さらに、この種の恒温槽におけるもう1つの問題
は、温度制御にかかわる時間的応答性が悪く、前記のよ
うな利用分野でしばしば行われる時間的プログラム制御
を行う際、過渡的に時間的プログラムで目標としている
温度に比べて高温または低温にオーバーシュートした
り、リンギングする現象が付随して過渡的追随性が悪い
ことである。
【0007】図7の装置に図6と同じようにヒータを配
置し、これを圧力発生装置として、図7と同じ液体窒素
の供給方式を採用することも行われるが、この場合に
も、図7の場合とほぼ同じ問題、すなわち、冷却効率は
高いが、脈動的冷熱送りとなるという問題がある。
【0008】また、図7の装置において、冷却剤供給チ
ューブ(7) 側に電磁弁を設け、圧縮空気供給チューブ
(8) を常時開放して容器(5) 内を常に一定加圧状態にお
き、冷却剤供給装置チューブ(7) 側に設けた電磁弁を開
閉することにより、温度制御することも行われている。
しかしながら、このようにした場合も、電磁弁の開閉に
伴う冷熱送りの脈動があり、精密制御のためには恒温槽
側の熱容量の増加などを図る必要がある。さらに、メン
テナンス上の問題として、−196℃に達する低温の液
体に電磁弁が直接触れるので、電磁弁全体が使用条件を
逸脱する低温になったり、大気中の水分が霜や氷になっ
て付着して所定の開閉動作が不安定になったり、停止す
るということがしばしばおこる点があげられる。
【0009】この発明の目的は、上記の問題を全て解決
し、液体窒素などの冷却剤の供給装置に関して、これま
で同時に満足させることができなかった条件、すなわ
ち、冷却剤の有する冷熱の利用効率が高く、冷却到達の
下限温度をより低くして冷却剤の沸点に近くし、冷熱の
送り量が連続的に可変でしかも時間的応答性が高く精密
温度制御に適し、しかも冷却剤に直接接する摺動部分が
ないなど、簡易な構造で保守性にも優れた、という特徴
を同時に合わせもった冷却剤供給装置を提供することに
ある。
【0010】
【課題を解決するための手段】この発明による冷却剤供
給装置は、容器の中に入れられた冷却剤を液体の状態で
供給する装置であって、容器内に配置されたポンプ、容
器の上方に配置されてポンプを駆動する速度制御可能な
電動モータ、およびポンプの吐出口に接続されて容器の
外に導き出された冷却剤供給チューブを備えており、ポ
ンプが、容器内に垂下する垂直筒状のケーシング、ケー
シングの下端部に形成された他の部分より直径の大きい
短円筒部、容器の上方にのびるようにケーシング内に通
された駆動軸、および短円筒部内の駆動軸の下端部に固
定されたタービン型ファンを備え、短円筒部の下壁の中
央部に吸込口が形成され、短円筒部の上壁に吐出口が形
成されており、駆動軸の上端部が電動モータに連結され
ていることを特徴とするものである。
【0011】
【作用】冷却剤供給チューブの出口端部は、たとえば恒
温槽の入口に接続される。このような場合、電動モータ
で駆動軸およびその下端部に固定されたファンを回転さ
せることにより、容器内の冷却剤が、ポンプの吸込口か
ら短円筒部内に吸い込まれて吐出口から吐き出され、冷
却剤供給チューブを通って恒温槽に供給される。このよ
うに冷却剤が液体の状態で供給されるので、冷却剤の有
する冷熱の利用効率が高い。モータを停止することによ
りすぐに冷却剤の供給が停止され、モータを起動するこ
とによりすぐに冷却剤の供給が開始される。このよう
に、ポンプの時間応答性はきわめて良い。また、モータ
の回転速度を連続的に制御することにより、冷却剤の供
給量を連続的にかつ正確に制御することができ、したが
って、温度の精密制御が可能である。また、冷却剤供給
チューブの少なくとも一部の断面積を小さくして、冷却
剤の流れに適当な抵抗を与えるようにすれば、容器内の
冷却剤の液面高さの変動などの影響を受けずに、冷却剤
の供給量の正確な制御が可能である。上記のように冷却
剤の有する冷熱の利用効率が高く、しかも温度の精密制
御が可能であるから、熱容量の大きい恒温槽を使用した
りしなくても、恒温槽の温度の精密制御ができ、したが
って、到達下限温度をより低くすることができる。さら
に、ポンプの構造が簡単であり、液状の冷却剤の中には
ポンプのケーシング、駆動軸およびファンがあるだけ
で、冷却剤供給チューブに電磁弁を設けた従来の装置な
どのように低温の液状冷却剤に直接接触する摺動部分が
ないので、動作不良を起こすことがない。しかも、ポン
プは遠心力で冷却剤を圧送するものであるから、必ずし
も容器を密閉する必要がない。
【0012】
【実施例】以下、図1〜図5を参照して、この発明の実
施例について説明する。
【0013】図1〜図3はこの発明による冷却剤供給装
置を用いた恒温槽の全体構成、図5は恒温槽の電気的構
成の1例を示している。なお、以下の説明において、図
1および図2の左側を前、右側を後とし、図2の上下を
上下とする。また、前から見た左右すなわち図3の左右
を左右とする。
【0014】図1〜図3に示すように、適当なベース(4
0)上に複数の支柱(41)を介して水平な台(42)が支持され
ており、この台(42)の上に恒温槽(B) の外容器(43)が設
けられている。外容器(43)は、台(42)に支持された後部
箱体(44)と、箱体(44)の左側前面に水平に取付けられて
前方にのびた前部筒体(45)とから構成されている。箱体
(44)は、左右方向に長い直方体状をなす。筒体(45)はた
とえばステンレス鋼により後端が開口した円筒状に形成
されており、その前端壁(45a) および周壁(45b) は真空
二重壁となっている。そして、筒体(45)の後端開口部
が、箱体(44)の前壁(44a) に着脱可能に取付けられてい
る。箱体(44)に取付けられた筒体(45)の中間部は、台(4
2)の上に設けられたV字状のブロック(86)に支持されて
いる。筒体(45)の内側の箱体(44)の前壁(44a) に、筒体
(45)と同心の円形開口(46)が形成されている。そして、
外容器(43)内に、開口(46)を通って筒体(45)内と箱体(4
4)内に跨るように、内容器(47)が配置されている。
【0015】内容器(47)は、開口(46)の部分から筒体(4
5)内を前方に水平にのびた前側部分(48)と、開口(46)の
すぐ後方において前側部分(48)の後端から箱体(44)内を
右側に水平にのびた後側部分(49)とからなり、上から見
てL字状をなす。前側部分(48)は、後端が開口した直方
体状をなし、その内部が試料室(50)となっている。前側
部分(48)の左右幅は、高さに比べて大きく、しかも開口
(46)の直径とほぼ等しい。このため、前側部分(48)と開
口(46)の上下両縁部との間に、間隔があいている。前側
部分(48)と筒体(45)の前端壁(45a) および周壁(45b) と
の間に空間が形成され、これが気体の往路の一部を構成
する流路(51)となっている。また、前側部分(48)の左右
両側壁(48a) の前部および前端壁(48b) にそれぞれ複数
の気体流通穴(52)が形成されている。後側部分(49)も直
方体状をなし、その左側前面において前側部分(48)と連
通している。後側部分(49)の高さは前側部分(48)の高さ
と等しく、後側部分(49)の前後幅も高さに比べて大きく
なっている。後側部分(49)の上下左右および後側に、箱
体(44)の壁との間に空間が形成され、これが気体の往路
の一部を構成する流路(53)となっている。そして、筒体
(45)内の流路(51)と箱体(44)内の流路(53)は、内容器(4
7)の上下の開口(46)の部分によって連通させられてい
る。また、前側部分(48)内の試料室(50)と後側部分(49)
の内部空間が気体の復路を構成している。
【0016】内容器(47)内に、試料室(50)内の前部にお
いて試料(54)の前端部を保持する左右1対の試料保持棒
(55)とこの試料(54)の後端部を保持してこれに荷重を加
えるための試料操作棒(56)が配置されている。これらの
棒(55)(56)は、箱体(44)の後壁(44b) と内容器後側部分
(49)の後壁(49a) を貫通して前側部分(48)内に挿入され
ている。また、試料室(50)内の試料(54)の近傍に、熱電
対を使用した温度センサ(57)が配置されている。なお、
前側部分(48)の上半部は開閉可能となっており、筒体(4
5)を箱体(44)から取外した状態で、前側部分(48)の上半
部を開くことにより、試料(54)の着脱ができるようにな
っている。
【0017】内容器後側部分(49)の後壁(49a) の外面の
右側部分に、右側面だけが開口した直方体状のファンケ
ース(58)が一体状に形成されており、その中にシロッコ
ファン(59)が設けられている。箱体(44)の後方の台(42)
の上に電動モータ(60)が前向きに支持されており、その
モータ軸(61)が箱体(44)の後壁(44b) およびファンケー
ス(58)の後壁(58a) を貫通してファン(59)に連結されて
いる。内容器後側部分(49)の後壁(49a) には、ファン(5
9)の中心部に対応して、後側部分(49)内とファンケース
(58)内を連通する円形開口(62)が形成されている。
【0018】箱体(44)内の右側部分には内容器後側部分
(49)との間に加熱室(63)が形成されており、この加熱室
(63)内に配置されたセラミックボビン(64)に熱源である
ニクロムコイルヒータ(65)が巻かれている。
【0019】内容器後側部分(49)とファンケース(58)の
間の開口(62)の部分に、加熱ガス供給チューブ(66)と冷
却剤供給チューブ(67)の出口端部が臨ませられている。
これらのチューブ(66)(67)は、外容器(43)の外部から箱
体(44)の前壁(44a) と内容器後側部分(49)の前壁(49b)
を貫通して開口(62)の部分まで導かれている。
【0020】図示は省略したが、加熱ガス供給チューブ
(66)は外容器(43)の外部においてパイプヒータを介して
エアポンプに接続されている。
【0021】台(42)の下のベース(40)上に真空二重壁を
有する液体窒素容器(68)が配置され、この容器(68)に設
けられたポンプ(69)に冷却剤供給チューブ(67)が接続さ
れている。ポンプ(69)は、上端部が台(42)の下面に固定
されて容器(68)内に垂下した垂直筒状のケーシング(70)
を備えている。ケーシング(70)の下端部には他の部分よ
り直径が大きくなった短円筒部(70a) が形成されてお
り、その詳細が図4の部分切欠き底面図に示されてい
る。短円筒部(79a) の下壁の中央部に吸込口(71)が、上
壁に吐出口(72)が形成されている。ケーシング(70)内に
駆動軸(73)が通されており、短円筒部(70a) 内の駆動軸
(73)の下端部にタービン型ファン(74)が固定されてい
る。また、短円筒部(70a) 内のファン(74)の周囲に、邪
魔板(75)が設けられている。容器(68)の上方の台(42)の
上に複数の支柱(76)を介して回転速度制御が可能な電動
モータ(77)が下向きに支持されており、そのモータ軸(7
8)に、台(42)の上方にのびた駆動軸(73)の上端部が継手
(79)を介して連結されている。冷却剤供給チューブ(67)
は、短円筒部(70a) の吐出口(72)に接続され、容器(68)
の上の台(42)の部分を貫通して恒温槽(B) に導かれてい
る。そして、台(42)と外容器(43)の間のチューブ(67)の
部分には、断熱カバー(80)が施されている。なお、この
チューブ(67)は、液体窒素の流れに適当な抵抗を与える
ように、少なくともその一部の断面積が適当に小さくな
っている。ポンプ(69)、モータ(77)および冷却剤供給チ
ューブ(67)などによって冷却剤供給装置が構成されてい
る。
【0022】図5において、温度センサ(57)の出力はア
ンプ(81)を介して加熱用PID制御式コントローラ(82)
および冷却用PID制御式コントローラ(83)に入力す
る。2つのコントローラ(82)(83)は、たとえば同一のマ
イクロプロセッサによって構成されている。加熱用コン
トローラ(82)は、ソリッドステートリレー(84)を介して
加熱室(63)内のヒータ(65)をオン・オフ制御する。冷却
用コントローラ(83)は、モータ駆動回路(85)を介してモ
ータ(77)の回転速度を制御し、これにより、ポンプ(69)
の吐出量が制御される。なお、図示は省略したが、加熱
式コントローラ(82)は、他のソリッドステートリレーを
介して、加熱ガス供給チューブ(66)のパイプヒータを制
御するようにもなっている。
【0023】上記の恒温槽(B) において、ファン(59)は
モータ(60)によって一定方向に一定速度で回転させられ
ている。これにより、恒温槽(B) 内の気体が加熱室(6
3)、流路(53)(51)および試料室(50)を通って循環させら
れる。すなわち、まず、ファン(59)の回転により、内容
器後側部分(49)内の気体が開口(62)からファン(59)に吸
込まれ、放射方向外側に吹出される。ファン(59)から放
射方向外側に吹出された気体はファンケース(58)の右側
開口から加熱室(63)に流れ、加熱室(63)から箱体(44)内
の内容器後側部分(49)の上下および後側の流路(53)を左
側に流れ、内容器(47)の上下の開口(46)の部分を通って
筒体(45)内の内容器前側部分(48)の上下左右の流路(51)
を前側に流れ、気体流通穴(52)から試料室(50)内に入
る。試料室(50)内に入った気体は、ここを後側に流れ
て、後側部分(49)内に入り、ここを右側に流れて、開口
(62)からファン(59)に吸込まれ、上記同様に循環する。
【0024】加熱室(63)内のヒータ(65)による恒温槽
(B) の加熱を行なう場合、加熱用コントローラ(82)が温
度センサ(57)の出力に基づいてヒータ(65)をオン・オフ
制御する。これにより、外容器(43)内の空気が加熱室(6
3)を通るときにヒータ(65)によって加熱され、恒温槽
(B) 内の温度制御が行なわれる。
【0025】加熱時に試料の酸化を避ける必要がある場
合や引火性ガスを生じる可能性があるような場合は、加
熱室(63)内のヒータ(65)を使用せずに、加熱ガス供給チ
ューブ(66)から恒温槽(B) 内にパイプヒータによって加
熱された窒素ガスを供給する。加熱ガス供給チューブ(6
6)から供給された窒素ガスは、上記同様、ファン(59)に
よって循環させられ、恒温槽(B) 内が加熱される。この
場合、加熱用コントローラ(82)が温度センサ(57)の出力
に基づいてパイプヒータをオン・オフ制御し、これによ
り、恒温槽(B) 内の温度制御が行なわれる。
【0026】恒温槽(B) の冷却を行なう場合、冷却用コ
ントローラ(83)が温度センサ(57)の出力に基づいてポン
プ(69)のモータ(77)の速度制御を行なう。モータ(77)が
駆動されると、ポンプ(69)のファン(74)が回転し、これ
により、容器(68)内の液体窒素(A) が吸込口(71)から短
円筒部(70a) 内に吸込まれ、遠心力により吐出口(72)か
らチューブ(67)に吐出される。液体窒素は、チューブ(6
7)内を通って恒温槽(B) 内の開口(62)の部分に吹出さ
れ、チューブ(62)内または恒温槽(B) 内において気化し
て、上記同様に循環させられる。そして、コントローラ
(83)でモータ(77)の回転速度を制御することにより、ポ
ンプ(69)の吐出量が制御され、恒温槽(B)内の温度制御
が行なわれる。
【0027】次に、上記の恒温槽(B) を使用して行なっ
た性能試験の結果について説明する。なお、試験に使用
した外容器筒体(45)の内径は10cm、内側前後長さは1
5.5cm、内容積は1.34リットル、内容器(47)はア
ルミニウム板製で、板厚は1.5mm、内容器前側部分(4
8)の左右幅は7.5cm、高さは4cm、前後長さは12c
m、試料室(50)の内容積は約0.31リットル、ファン
(59)の送風量は0.20m3 /min である。
【0028】まず、加熱室(63)内のヒータ(65)を使用し
て加熱を行ない、次のような時間応答性試験を行なっ
た。すなわち、室温から200℃まで設定値10℃/mi
n で昇温制御を行ない、200℃到達後は200℃の一
定温度に保持する一定温度制御を行ない、昇温時の温度
を測定し、200℃到達後のオーバシュート値を記録
し、200℃到達後2〜5分間の温度の最大値と最小値
を記録して温度のゆらぎを求めた。なお、ゆらぎは、目
標温度到達後2〜3分の間が最も大きい。試験の結果、
10℃/min の昇温が可能であった。そして、200℃
での使用電力は約400Wであり、200℃に達した後
のオーバシュート値は201.4℃、200℃到達後2
〜5分の間の温度のゆらぎは199.6〜200.1℃
であった。このオーバシュート値の目標値からのずれは
従来の内部熱源型の恒温槽の少なくとも1/3以上の水
準であり、時間ゆらぎも良好である。これは、恒温槽の
加熱部分が全体として小さな熱容量を持ち、また、気流
循環が良いので、系の熱平衡到達性能がきわめて優れて
いる結果であると考えられる。
【0029】また、加熱室(63)内のヒータ(65)を使用し
て加熱を行ない、次のような温度分布の均一性の試験を
行なった。すなわち、試料(54)のすぐ近くの点を基準
点、基準点から離れた試料室(50)内の複数の点と外容器
筒体(45)内の流路(51)内の複数の点を比較点とし、これ
らの点に温度センサを配置した。そして、50℃以下の
温度から100℃以上の温度まで3℃/min の速度で昇
温制御を行ない、基準点の温度が70℃〜100℃の範
囲で約10℃おきに各点の温度を測定し、比較点の温度
測定値と基準点の温度測定値の差を求めた。試験の結
果、試料室内(50)の比較点の温度測定値の基準点の温度
測定値からの差は−0.8〜+1.6℃で、かなり小さ
く、均一性は良好であった。また、流路(51)の各比較点
の温度に比べて、試料室(50)内の基準点および比較点の
温度は降下しているが、その変化は小さく、流路(51)の
気流が試料室(50)の加熱に寄与していることを示してい
る。また、試料室(50)の壁に近い部分においても、基準
点の温度測定値からの差が小さく、試料室(50)の大部分
が使用可能であることがわかった。なお、従来の恒温槽
においては、壁面や気流吹出し口近傍は温度の差が大き
くて、使用できなかったので、実質上の有効容積は試料
室容積の1/3以下であった。
【0030】また、加熱ガス供給チューブ(66)から恒温
槽(B) 内に加熱ガスを供給して加熱を行ない、性能試験
を行なった。この試験は、25リットル/min のエアポ
ンプと350W定格のパイプヒータを使用し、窒素ガス
のかわりに加熱空気を供給して行なった。なお、これら
の供給気体量およびヒータ定格はともに従来の外部気流
温調型に比べ大幅に小さい水準である。その結果、温度
分布の均一性について、基準点の温度測定値からのずれ
は−0.7〜−0.8℃で、かなり小さく、均一性は良
好であった。これは従来の外部気流温調型の恒温槽と同
水準であり、十分に実用性があることがわかった。ま
た、3℃/min の速度で200℃まで昇温を続けたとこ
ろ、200℃で通電時間割合は約30%であった。した
がって、加熱室(63)内のヒータ(65)が使用できない条件
下において、加熱ガス供給チューブ(66)から窒素ガスな
どの加熱ガスを供給して、恒温槽(B) 内を加熱できるこ
とがわかる。
【0031】さらに、冷却剤供給チューブ(67)から恒温
槽(B) 内に液体窒素を供給して冷却を行ない、性能試験
を行なった。すなわち、冷却目標値を定めて、この目標
値まで急冷し、到達までに要した時間を記録した。目標
値に到達した後は、徐冷に転じ、最低到達温度を記録し
た。その後、3℃/min の速度で室温まで昇温し、試験
後の液体窒素の残量から使用量を算出した。試験の結
果、目標値−160℃への到達時間は12分、最低到達
温度は−165℃、使用液体窒素量は1.9リットルで
あった。この結果、従来の該当分野で用いられる恒温槽
に比べ、少なくとも到達温度で10℃低くなり、使用液
体窒素量で少なくとも1/2以下に減少した。また、到
達時間12分は、時間応答性として十分な速さである。
そして、恒温槽(B) 内の循環気流中に液体窒素を注入、
混合することにより、−170℃程度から室温までの広
い低温範囲での精密で高い時間応答性を持つ温度制御が
可能になることがわかった。
【0032】このような試験結果からも明らかなよう
に、上記実施例の恒温槽は、温度分布の均一性、温度の
ゆらぎ、時間応答性およびエネルギロスの全ての点にお
いて優れており、種々の用途に使用することができる。
【0033】上記実施例の場合、内容器(47)の試料室(5
0)内にファンを設けずに、別のファンケース(58)内にフ
ァン(59)を設けているので、試料室(50)内の温度変動が
小さいという利点がある。
【0034】上記実施例のポンプ(69)は、チューブ(67)
の一部あるいは前部の断面積を適当に小さくすること
で、液体窒素の流れ抵抗を左右する構造となっている。
そして、液体窒素との接触部分に弁やピストンなどの全
くない連通管のみで構成できるため、補修がきわめて容
易で、実用性のある流量制御ができ、しかも時間遅れが
きわめて小さい。
【0035】
【発明の効果】この発明の冷却剤供給装置によれば、次
のような効果が奏される。すなわち、冷却剤を液体の状
態で供給できるので、冷却剤の有する冷熱の利用効率が
高く、ポンプの時間応答性が良く、温度の精密制御が可
能である。また、ポンプの構造が簡単であり、低温の液
状冷却剤に直接接触する摺動部分がないので、動作不良
を起こすことがなく、メンテナンスが容易である。
【0036】この発明による冷却剤供給装置を恒温槽に
使用する場合、上記のように冷却剤の有する冷熱の利用
効率が高く、しかも温度の精密制御が可能であるから、
恒温槽の熱容量を大きくしたりしなくても、恒温槽の温
度の精密制御ができ、したがって、到達下限温度をより
低くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例を示す恒温槽の水平断面図で
ある。
【図2】図1のII−II線の断面図である。
【図3】図1のIII −III 線の断面図である。
【図4】ポンプのケーシングの部分切欠き底面図であ
る。
【図5】図1の恒温槽の電気的構成の1例を示す電気ブ
ロック図である。
【図6】従来例を示す冷却剤供給装置の概略断面図であ
る。
【図7】他の従来例を示す冷却剤供給装置の概略断面図
である。
【符号の説明】
(67) 冷却剤供給チューブ (68) 容器 (69) ポンプ (70) ケーシング (70a) 短円筒部 (71) 吸込口 (72) 吐出口 (73) 駆動軸 (74) ファン (77) 電動モータ (A) 液体窒素

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】容器の中に入れられた冷却剤を液体の状態
    で供給する装置であって、 容器内に配置されたポンプ、容器の上方に配置されてポ
    ンプを駆動する速度制御可能な電動モータ、およびポン
    プの吐出口に接続されて容器の外に導き出された冷却剤
    供給チューブを備えており、ポンプが、容器内に垂下す
    る垂直筒状のケーシング、ケーシングの下端部に形成さ
    れた他の部分より直径の大きい短円筒部、容器の上方に
    のびるようにケーシング内に通された駆動軸、および短
    円筒部内の駆動軸の下端部に固定されたタービン型ファ
    ンを備え、短円筒部の下壁の中央部に吸込口が形成さ
    れ、短円筒部の上壁に吐出口が形成されており、駆動軸
    の上端部が電動モータに連結されていることを特徴とす
    る冷却剤供給装置。
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