JP3180183B2 - 穀粉生地の発酵庫 - Google Patents

穀粉生地の発酵庫

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栄晴 小沼
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福島工業株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、パン生地やドー
ナツ生地等の穀粉生地を発酵させるための発酵庫に関
し、その加湿装置を改良したものである。
【0002】
【従来の技術】この種の発酵庫として、庫内の温度およ
び湿度を発酵に適した状態に調整するプルファーがあ
る。発酵機能に加えて、冷凍されたパン生地を解凍でき
るリターダプルファーや、パン生地を冷凍し、必要時に
解凍して発酵できるドウコンディショナーもある(特開
平7−115889号公報)。こうした発酵庫では、湿
度調整のために加湿装置を備えている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本出願人は、上下に発
酵室を備えているパン生地等の発酵庫を既に販売してい
る。上下の発酵室は、それぞれ独立して温度および湿度
を制御できる。そのために各発酵室に対応して、冷凍ユ
ニットや加湿装置が各室ごとに専用に設けてある。2組
の加湿装置は冷凍ユニットと共に発酵庫の上面に配置し
てある。
【0004】図5は従来の加湿装置の概略構造を示す。
そこでは、水槽30の底部に付設の振動子31で超音波
振動を発振することにより、液面から微小水滴が発生
し、この水滴群を送風ファン32で送給される空気と共
に発酵室へ送給する。水槽30には、水位を一定に保持
するフロートスイッチ33や、フロートスイッチ33か
らの出力信号に応じて開閉される給水弁34、それに排
水弁35などを付設する。この加湿装置を各発酵室に対
応して1個ずつ設けている。36は調湿空気の送出口で
ある。
【0005】本発明の目的は、複数個の加湿装置を一個
に集約しながら、各発酵室に対して湿気の供給を独立し
て行うことができ、従って加湿装置に要する費用が減
り、その分だけ全体コストを減少できる発酵庫を提供す
ることにある。本発明の他の目的は、複数個の加湿装置
を集約することによって、加湿装置が占めるスペースを
減少でき、その分だけ機器配置に関する設計の自由度を
向上できる発酵庫を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の発酵庫は、複数
の発酵室2・2を有し、各発酵室2・2に湿度調整用の
調湿空気を独立供給できる加湿装置5を備えている。そ
の加湿装置5は、加湿用の原水を貯留する密閉容器状の
水槽9を有し、この水槽9の内部を区分壁15で複数区
に区分して各発酵室2・2に対応する湿気室16・16
が水槽9内に設けられる。各湿気室16・16に臨ん
で、空気送給用のファン21・21と、超音波振動を発
振する振動子20・20と、微小水滴を含む調湿空気の
送出口とをそれぞれ設ける。水槽9には、給水弁12を
含む給水路10と、排水弁13を含む排水路11と、水
槽9内の液位を検知する液位センサー14とを設ける。
各湿気室16・16どうしは原水の最低液位より下方に
おいて通水自在に連通している。
【0007】上記のように一個の装置として集約した加
湿装置5によれば水槽9、給水弁12、排水弁13、液
位センサー14を共用でき、その分だけ加湿装置5に要
するコストを減らすことができる。複数の加湿装置を設
ける場合に比べて、占有スペースが減ることにもなる。
【0008】具体的には、水槽9の内部の気相部から液
相部の上部にわたる間を区分壁15で区分して、各湿気
室16・16どうしを区分壁15の下方において通水自
在に連通させる。水槽9内の液相部に水没する区分壁1
5の面壁に、各湿気室16・16を通水自在に連通する
通口25を開口する。
【0009】
【実施例】図1ないし図3において、発酵庫は、パン生
地等を急速冷凍し、あるいは冷凍されたパン生地等を解
凍した後、連続して発酵できるドウコンディショナーで
あって、図2に示すように、縦長角箱状の庫本体1の内
部を上下に区分して、上下に発酵室2・2を備えてい
る。各発酵室2・2は揺動自在なドア3・3でそれぞれ
個別に開閉できる。
【0010】各発酵室2内の温度状態および湿度状態を
それぞれ独立して制御するために、専用の冷凍ユニット
4や加湿装置5などが庫本体1の上面に配置されてい
る。6は制御パネルであって、その盤面に温度・湿度・
時間などを設定し表示する、各種の操作ボタンや表示
器、および運転モードを設定する操作ボタンなどが設け
てある。各発酵室2・2の内部には、空気循環用のファ
ンや加熱用のヒータが設けてある。
【0011】図1において加湿装置5は、加湿用の原水
を貯留する横長箱状の水槽9を有し、その右側上部に原
水を供給する給水路10を接続し、水槽9の内底から排
水路11を導出する。両水路10・11には、電磁操作
式の給水弁12と排水弁13とをそれぞれ設ける。水槽
9内に原水の液位を検知する液位センサー14を設け
る。液位センサー14は、原水の液位が所定位置まで低
下したことを検知して検知信号を出力する。この信号に
基づいて制御回路が給水弁12に開弁指令信号を与えて
給水路10を開放し、原水を補給する。同様にして、原
水の液位が所定位置まで上昇したことを液位センサー1
4で検知して、給水弁12を閉じる。排水弁13は、発
酵運転が終了するごとに開弁操作されて、原水を廃棄す
る。液位センサー14としては、フロートスイッチや各
種のレベルスイッチなどを適用できる。
【0012】水槽9の内部には、左右中央に区分壁15
を設けて、各発酵室2・2と対応する湿気室16・16
を左右に区画して形成する。区分壁15は、水槽9の内
部の気相部から液相部の上部にわたる間を区分する状態
で設ける。左右の湿気室16・16の気相部を完全に区
分しながら、両室16・16間を原水が自由に流動でき
るようにするのである。
【0013】各湿気室16の上壁には、それぞれファン
ケース18と送出口19を設け、各湿気室16・16の
底壁外面に超音波振動を発振する振動子20・20を固
定する。各ファンケース18には、外部空気を各湿気室
16内へ送給する軸流形のファン21と、防塵用のフィ
ルター22とを設ける。各送出口19・19はダクトホ
ース23を介して対応する発酵室2と連通する。振動子
20は一個の電源トランスを共用するが、各振動子20
への通電状態をスイッチでオン・オフすることにより独
立して駆動することができる。ファンは輻流形のファン
であってもよい。
【0014】例えば、上下の発酵室2・2で同時に生地
発酵を行うについて加湿する場合には、各振動子20・
20と、ファン21・21を駆動する。振動子20は超
音波振動を発振して、各湿気室16・16の液面から微
小水滴を気相部へ放出する。一方、気相部へはファン2
1によって外部空気が連続して送給される。従って、送
給された空気は気相部を通過して送出口19へ達するま
での間に、多量の微小水滴を含んで高湿度化される。こ
の調湿空気をダクトホース23を介して発酵室2内へ送
り込むことにより、発酵室2内に湿気を供給できる。調
湿空気はファン7の吸引口側へ放出する(図2参照)。
調湿空気の送給制御は、各発酵室2・2に設けた湿度セ
ンサーからの出力信号と、予め設定された発酵条件とに
基づいて、制御装置がファン21および振動子20を作
動ないしは停止して行う。
【0015】上下いずれか一方の発酵室2に限って調湿
空気を送給している状態においては、作動している側の
湿気室16の内部にファン21の送給圧が作用し、他方
の湿気室16の圧力は大気圧に等しい。そのため、前者
の湿気室16側の液位が、後者の湿気室16側の液位よ
り僅かに低下する。液位センサー14が下限液位を検知
し、さらに上記のように隣接する湿気室16・16の液
位に差が生じたときの低い方の液位を原水の最低液位と
して、これより下方に区分壁15の下縁を位置させてお
く。実際には、十分な余裕を見込んで、区分壁15の下
縁側の10〜20mm前後を最低液位線より下方に水没さ
せておく。
【0016】上記の実施例における区分壁15は、図4
に示すように水槽9の内部の上壁と底壁との間を完全に
区分する状態で設けてもよい。この場合には、液相部に
水没する区分壁15の面壁に複数の通口26を開口し
て、左右の湿気室16・16を通水自在に連通させる。
さらに、通口25のいくつかを区分壁15の下端に設け
て、原水の排出を確実化する。
【0017】上記の実施例とは別に各発酵室2・2に対
応して専用の水槽を2個設け、両水槽を管路を介して通
水自在に連通することも考えられるが、この場合には一
方の水槽と、管路と、管路を水槽に接続するための構造
が余分に必要となる不利を避けられない。
【0018】上記以外に、発酵室2を2個以上有する発
酵庫においては、水槽9の内部に対応する数の湿気室1
6を設ける。ファン21は水槽9の外面の任意位置に設
けることができ、要は最終的にファン21で加圧送給さ
れる空気が各湿気室16の気相部に送り込まれる形態で
あればよい。発酵庫はパン生地やドーナツ生地以外の穀
粉生地を発酵するための発酵庫であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】加湿装置の概略の縦断正面図である。
【図2】発酵庫の縦断正面図である。
【図3】発酵庫の平面図である。
【図4】水槽の別実施例を示す縦断正面図である。
【図5】従来の加湿装置の概略断面図である。
【符号の説明】
2 発酵庫 5 加湿装置 9 水槽 10 給水路 11 排水路 12 給水弁 13 排水弁 14 液位センサー 15 区分壁 16 湿気室 19 送出口 20 振動子 21 ファン

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の発酵室2・2を有し、各発酵室2
    ・2に湿度調整用の調湿空気を独立供給できる加湿装置
    5を備えた穀粉生地の発酵庫において、 加湿装置5は、加湿用の原水を貯留する密閉容器状の水
    槽9を有し、 水槽9の内部が区分壁15で複数区に区分されていて、
    各発酵室2・2に対応する湿気室16・16が水槽9内
    に設けられており、 各湿気室16・16に臨んで、空気送給用のファン21
    ・21と、超音波振動を発振する振動子20・20と、
    微小水滴を含む調湿空気の送出口19とがそれぞれ設け
    られており、 水槽9に、給水弁12を含む給水路10と、排水弁13
    を含む排水路11と、水槽9内の液位を検知する液位セ
    ンサー14とが設けられており、 各湿気室16・16どうしが、原水の最低液位より下方
    において通水自在に連通している穀粉生地の発酵庫。
  2. 【請求項2】 水槽9の内部の気相部から液相部の上部
    にわたる間が区分壁15で区分されていて、各湿気室1
    6・16どうしが区分壁15の下方において通水自在に
    連通している請求項1記載の穀粉生地の発酵庫。
  3. 【請求項3】 水槽9内の液相部に水没する区分壁15
    の面壁に、各湿気室16・16を通水自在に連通させる
    通口25が開口してある請求項1記載の穀粉生地の発酵
    庫。
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