JP3179628U - 外反アライメントガイド - Google Patents
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Abstract
【課題】全体がコンパクトで、小皮切でも大腿骨遠位部への固定が可能であり、ボーンソーなどの切断具による骨切り操作を容易にできる外反アライメントガイドを提供する。
【解決手段】外反アライメントガイドGは、大腿骨Dの遠位部d1に固定されるガイド本体10と、髄内ロッドRを挿通させる角度調節レバー20と、角度固定手段30とを備える。角度調節レバー20を角度固定手段30でガイド本体10に対し固定することにより、基準面に対する垂線と髄内ロッドの軸線との成す角度を外反角に調整できる。角度固定手段30をガイド本体10の側方に配置したので、ガイド本体10の中央部下方領域に作業空間を確保することができるから、骨切り案内具の取付作業や、ボーンソーなどの切断具による大腿骨の骨切り作業が容易になる。
【選択図】 図1
【解決手段】外反アライメントガイドGは、大腿骨Dの遠位部d1に固定されるガイド本体10と、髄内ロッドRを挿通させる角度調節レバー20と、角度固定手段30とを備える。角度調節レバー20を角度固定手段30でガイド本体10に対し固定することにより、基準面に対する垂線と髄内ロッドの軸線との成す角度を外反角に調整できる。角度固定手段30をガイド本体10の側方に配置したので、ガイド本体10の中央部下方領域に作業空間を確保することができるから、骨切り案内具の取付作業や、ボーンソーなどの切断具による大腿骨の骨切り作業が容易になる。
【選択図】 図1
Description
本考案は、膝関節を人工膝関節に置換する手術において、大腿骨の遠位部の骨切りを行なう切断具の切断位置を規定する骨切り案内具を取り付けるための外反アライメントガイドに関する。
膝関節を損傷した場合、膝関節の全体を人工膝関節に置換する手術を行うことがある。膝関節を人工膝関節に置換するには、大腿骨の遠位部および脛骨の近位部に人工膝関節インプラントを固定する。そのため、大腿骨の遠位部および脛骨の近位部の形状を、人工膝関節インプラントの形態に適合するように、骨切りして整形する必要がある。
大腿骨の遠位部を骨切りする際、従来から、外反アライメントガイドと呼ばれる器具が用いられる。これは、大腿骨遠位部を骨切りする切断具の切断位置を規定する骨切り案内具を取り付けるための器具であり、大腿骨の遠位部に固定され該遠位部に当接する基準面を有するガイド本体と、ガイド本体と大腿骨の骨髄腔に挿入される髄内ロッドとの成す角度を調節する角度調節手段とを主たる構成要素とするものである。
図21は、大腿骨Dの機能軸L1、解剖軸L2、および外反角θgを説明するための図面である。図21に示すように、大腿骨Dの遠位部d1と脛骨Eの近位部e1とで形成される膝関節Kの中心C1から、大腿骨Dの骨頭中心C2を通る線を機能軸L1と言い、膝関節Kの中心C1から大腿骨Dの骨髄腔中心を通る線を解剖軸L2と言い、機能軸L1と解剖軸L2との成す角を外反角θgと言う。大腿骨Dの遠位部d1の骨切りは、機能軸L1に対し垂直に切断する必要がある。骨髄腔に挿入される髄内ロッドの軸線は、解剖軸L2に一致するから、角度調節手段によって、髄内ロッドの軸線と、ガイド本体の基準面に対する垂線との成す角度が外反角θgと一致するよう調節することにより、ガイド本体の基準面を機能軸L1に対し直交させ、この状態でガイド本体を大腿骨Dの遠位部d1に固定する。そして、このガイド本体に骨切り案内具を取り付けることにより、切断具による大腿骨Dの遠位部d1の切断面の方向を、機能軸L1に対し垂直となるよう規定することが可能となる。
このような機能を有する従来の外反アライメントガイドが、特許文献1に記載されている。これを図22Aおよび図22Bに示す。図22Aは、特許文献1に記載される従来の外反アライメントガイド101の使用状況を示す斜視図、図22Bは、特許文献1に記載される従来の別態様の外反アライメントガイド110を示す斜視図である。
図22Aに示す従来の外反アライメントガイド101は、大腿骨Dの遠位部d1に固定され、大腿骨Dの遠位部d1を骨切りする切断具の切断位置を規定する骨切り案内具106が装着されるガイド本体102と、大腿骨Dの骨髄腔内へ挿入される髄内ロッド105の角度を調節する、ピボット機構103とレバー104とから成る角度調節手段107とを備えている。
図22Bに示す従来の別態様の外反アライメントガイド110は、大腿骨Dの遠位部d1に固定されるガイド本体111、ハンドル113、ガイド本体111とハンドル113との角度を調節する角度調節手段116、および、ハンドル113に連結された髄内ロッド120を備え、骨切り案内具119が2つの止めくぎ118によりガイド本体111に取り付けられる。また、ロック装置117により、骨切り案内具119を固定した状態と分離可能な状態とに切り替える構造となっている。なお、この従来例は、管状の髄内ロッド120の先端側の内部に展開可能なフィンが設けられ、ハンドル113に設けたボタン114を操作して、フィンとリンク装置で連結した髄内ロッド120内のシャフトをスライドさせると、フィンが展開して、髄内ロッド120の先端部に設けた孔121から突出する。これにより、フィンが大腿骨Dの骨髄腔の内面に当接して、髄内ロッド120の姿勢を安定させる機能を発揮する。そして、ハンドル113に設けた後退ボタン115を操作して、髄内ロッド120内のシャフトを引っ張ると、リンク装置を通じ、フィンを髄内ロッド120内部に戻すことができる、とされている。
特許文献1に開示される従来の外反アライメントガイド101,110は、ガイド本体102,111と髄内ロッド105,120との成す角度を調節する角度調節手段107,116が、ガイド本体102,111の中央部に位置しており、しかも、ガイド本体102,111から下方へ大きく突出する構造となっている。特に、図22Bに示す従来例は、ハンドル113内に複雑な機構を設けているため、大きな構造物となっている。このため、人工膝関節置換術を実施するにあたり、大腿骨Dの遠位部d1に外反アライメントガイド101,110を固定する手術を行う際に、皮切線を大きくする必要がある。
また、ボーンソーなどで大腿骨Dを骨切りするときに、図22Aの外反アライメントガイド101の角度調節手段107や,図22Bの外反アライメントガイド110のハンドル113が、ボーンソーを操作する際の支障になり、その結果、適切な位置で大腿骨Dを骨切りするのが困難になる、という問題を有している。
本考案は、全体をコンパクトにして、小皮切でも大腿骨遠位部への固定が可能になるとともに、ボーンソーなどの切断具による骨切り操作を容易にできる外反アライメントガイドを提供することを目的とする。
本考案は、大腿骨の遠位部に装着され、該遠位部の骨切りを行なう切断具の切断位置を規定する骨切り案内具を取り付けるための外反アライメントガイドであって、
前記遠位部に装着したときに、該遠位部の下端部に当接する基準面を備えるとともに、該遠位部の前方に向けられる面に、前記骨切り案内具を取り付けるための取付部を備えるガイド本体と、
大腿骨の骨髄腔内へ挿入される髄内ロッドを挿通させる筒状のロッドスリーブ部を一端部に備え、該一端部において前記ガイド本体に回動可能に支持される角度調節レバーと、
前記角度調節レバーの他端部を前記ガイド本体に対し固定するための角度固定手段とを含み、
前記角度固定手段が、前記ガイド本体の前記遠位部の前方に向けられる面に向かって側方に配置されることを特徴とする外反アライメントガイドである。
前記遠位部に装着したときに、該遠位部の下端部に当接する基準面を備えるとともに、該遠位部の前方に向けられる面に、前記骨切り案内具を取り付けるための取付部を備えるガイド本体と、
大腿骨の骨髄腔内へ挿入される髄内ロッドを挿通させる筒状のロッドスリーブ部を一端部に備え、該一端部において前記ガイド本体に回動可能に支持される角度調節レバーと、
前記角度調節レバーの他端部を前記ガイド本体に対し固定するための角度固定手段とを含み、
前記角度固定手段が、前記ガイド本体の前記遠位部の前方に向けられる面に向かって側方に配置されることを特徴とする外反アライメントガイドである。
また本考案は、前記角度固定手段が、前記角度調節レバーの他端部に形成されるねじ部と、該ねじ部に螺合する調節ねじとを含み、該調節ねじを前記ねじ部に螺合して回転させることにより、該調節ねじが前記ガイド本体の側面に圧接することを特徴とする。
また本考案は、前記ガイド本体が、前記遠位部の前方に向けられる面における、前記調節ねじが前記ガイド本体に圧接する箇所の近傍に、前記基準面に対する垂線と、前記ロッドスリーブ部の軸線との成す角度を表示する目盛りを備えることを特徴とする。
また本考案は、前記調節ねじと前記ガイド本体との間に配設される角度保持具をさらに含み、該角度保持具および前記ガイド本体の互いに対向するそれぞれの面に凹凸面部が形成され、前記調節ねじを前記ねじ部に螺合して回転させることにより、前記調節ねじが、前記角度保持具の前記凹凸面部を前記ガイド本体の前記凹凸面部に圧接させることを特徴とする。
また本考案は、前記ガイド本体が、前記遠位部の前方に向けられる面における、前記角度保持具が前記ガイド本体に対し圧接する箇所の近傍に、前記基準面に対する垂線と、前記ロッドスリーブ部の軸線との成す角度を表示する目盛りを備えることを特徴とする。
また本考案は、前記凹凸面部が、互いに噛み合う凹凸構造を含み、該凹凸構造の形成間隔が、前記目盛りに対応していることを特徴とする。
また本考案は、前記ロッドスリーブ部が、前記ガイド本体の前記遠位部の前方に向けられる面に向かっての中央部に配置されていることを特徴とする。
また本考案は、前記ガイド本体、前記角度調節レバー、および、前記角度固定手段が、前記遠位部の前方に向けられる面側の形態と、これに対向する面側の形態とが、互いに面対称であることを特徴とする。
本考案によれば、髄内ロッドを挿通させるロッドスリーブ部を一端部に備える角度調節レバーの他端部を、角度固定手段でガイド本体に対し固定することにより、基準面に対する垂線と、髄内ロッドの軸線との成す角度を、所望の角度に調整することができる。髄内ロッドの軸線は解剖軸と一致するから、髄内ロッドの軸線と基準面の垂線との成す角度が外反角と一致するよう調節することによって、基準面を大腿骨の機能軸に対し直交させた適切な状態で、外反アライメントガイドを大腿骨の遠位部に固定することができる。
また、角度調節レバーの他端部を固定する角度固定手段を、ガイド本体の側方に配置したので、ガイド本体の中央部下方領域に作業空間を確保することができる。よって、骨切り案内具の取付作業や、切断具による大腿骨の骨切り作業が容易になる。
また本考案によれば、角度固定手段の調節ねじを回転させてガイド本体の側面に圧接することで、角度調節レバーを所望の角度に傾けた状態で固定することができるから、角度調節が容易である。
また本考案によれば、ガイド本体における調節ねじが圧接する箇所の近傍に、基準面に対する垂線とロッドスリーブ部の軸線との成す角度を表示する目盛りを備えるので、ロッドスリーブ部に挿通させた髄内ロッドによって規定される解剖軸に対し、基準面が機能軸に対し直交するように、基準面の傾きを調節するのが容易になる。
また本考案によれば、調節ねじとガイド本体との間に角度保持具を配設し、調節ねじを回転させることで、角度保持具の凹凸面部をガイド本体の凹凸面部に圧接させる構造としたので、角度保持具により調節された角度を確実に保持することができる。
また本考案によれば、ガイド本体における角度保持具が圧接する箇所の近傍に、基準面に対する垂線とロッドスリーブ部の軸線との成す角度を表示する目盛りを備えるので、ロッドスリーブ部に挿通させた髄内ロッドによって規定される解剖軸に対し基準面が直交するように、基準面の傾きを調節するのが容易になる。
また本考案によれば、角度保持具およびガイド本体それぞれが、互いに噛み合う凹凸構造を含み、該凹凸構造の形成間隔が前記目盛りに対応するものとしたので、角度保持具およびガイド本体の凹凸構造が互いに噛み合う位置を移動させることにより、凹凸構造の形成間隔に対応する目盛り分だけ、基準面の垂線とロッドスリーブ部の軸線との成す角度を変更することができる。すなわち、目盛り単位での角度調節が容易である。
また本考案によれば、ロッドスリーブ部を、ガイド本体の遠位部の前方に向けられる面に向かっての中央部に配置したので、全体をコンパクト化することができる。
また本考案によれば、ガイド本体、角度調節レバー、および、角度固定手段を、前後で互いに面対称としたので、1つの外反アライメントガイドを前後反転させることにより、右脚用にも左脚用にも使用することが可能となる。
本考案の実施形態を図面を参照して説明する。なお以下の説明において、「前」「後」および「上」「下」とは、被施術者が起立していると仮定したときの大腿骨Dの前後または上下を言うものとする。また図面には、被施術者の左足を施術対象とする場合を例示している。
図1は、本考案の一実施形態に係る外反アライメントガイドGを、大腿骨Dの遠位部d1に固定した状況を示す正面図である。外反アライメントガイドGは、大腿骨Dの遠位部d1にドリルピンPなどで固定されるガイド本体10と、ガイド本体10に回動可能に支持され髄内ロッドRを挿通させる角度調節レバー20と、角度調節レバー20の端部をガイド本体10に対し固定する角度固定手段30とを、主要な構成部材としている。外反アライメントガイドGは、ガイド本体10の基準面である上面10aが、大腿骨Dの機能軸L1に対し直交するように、大腿骨Dの遠位部d1に固定される。
はじめに、外反アライメントガイドGの構成部材のうち、ガイド本体10について説明する。図2は、ガイド本体10の斜視図、図3(A)はガイド本体10の正面図、図3(B)はガイド本体10の底面図、図3(C)はガイド本体10の左側面図である。これらの図面に示すように、本実施形態のガイド本体10は、厚みのある概略板状の主部11と、主部11の下面10cの一側方に突設した2枚の平行なガイド板17,17とを有する。主部11の上面10aは平坦であり、大腿骨Dの下端部d2に当接する基準面となされる。
ガイド本体10の主部11には、いくつかの孔が形成される。主部11の前面10bから後面10d(図11参照)を貫通するように、後述する骨切り案内具を取り付けるための一対の取付孔12,12が形成される。本実施形態では、取付孔12の開口形状は長方形である。主部11の中央部には、後述する角度調節レバー20のロッドスリーブ部22を収納する収納孔15が、上下方向に貫通して形成される。さらに主部11の前後方向を貫通し、収納孔15の中央部を通過する、ピン装着孔13が形成される。主部11の下面10cには、一方の取付孔12まで貫通するナット孔14が形成される。さらに、主部11の適所に、ドリルピンPを挿通させるための貫通孔16が、主部11の上下方向を貫通するように形成される。通常、この貫通孔16の軸線は、基準面である上面10aに対し、垂直とはならないように設定される。
主部11の前面10b(および後面10d)には、ピン装着孔13の開口部を上下に挟むように、直線状の軸線マークSが形成される。軸線マークSは、ガイド本体10を大腿骨Dの遠位部d1に固定したときに、機能軸L1の方向を示す指標となるものである。
主部11の下面10cに設けられるガイド板17,17は、2枚の板状構造物を、間に隙間18が形成されるように平行に配置したものであり、後述する角度調節レバー20のレバー本体21を収納して、角度調節レバー20の回動方向を規制すると共に、回動角度を設定するためのものである。ガイド板17,17は、主部11と一体形成してもよく、別に製作したものを固着する構造であってもよい。
ガイド板17,17の側端部には、ラック状の凹凸構造19が形成されている。さらに、ガイド板17の表面には、凹凸構造19における凸部の形成間隔に合わせて、目盛りMが表示されている。さらにまた、ガイド板17の表面には、目盛りMの近傍に、この外反アライメントガイドGの使用状態が、左脚を対象としていることを示す「LEFT」の表記Nが付されている。なお、「LEFT」の表記Nの位置については、ガイド板17以外の場所とすることも可能である。
次に、角度調節レバー20および角度固定手段30について説明する。図4(A)は角度調節レバー20の正面図、図4(B)は角度調節レバー20の底面図、図4(C)は角度調節レバー20の左側面図である。また、図5は角度固定手段30を構成する調節ねじ31の斜視図、図6は角度固定手段30を構成する角度保持具35の斜視図である。図7(A)は、調節ねじ31の抜け止め用ボルト40の左側面図、図7(B)は抜け止め用ボルト40の正面図である。
角度調節レバー20は、板状のレバー本体21の一端部に、髄内ロッドRを挿通させる筒状のロッドスリーブ部22を備え、他端部に、角度固定手段30を取り付けるための取付部24を備える。ロッドスリーブ部22は、ほぼ円筒状であり、側面に開孔23が形成される。この開孔23は、ロッドスリーブ部22をガイド本体10に対し回動可能に支持する支持ピン60の先端部を嵌入させるための孔である。
取付部24は、後述する調節ねじ31を螺合させる雄ねじ部を外周面に有するボルト状部分24aを含み、たとえば嵌合構造により、レバー本体21に対し着脱可能な連結部25を有する。ボルト状部分24aと連結部25との間は、後述する角度保持具35を装着させるための接続部26を有している。さらにボルト状部分24aは、中心部に雌ねじ27を有している。
本実施形態の角度固定手段30は、調節ねじ31と、角度保持具35とで構成される。調節ねじ31は、概略円筒状であって、内周面に、角度調節レバー20のボルト状部分24aに螺合される雌ねじ部32が形成され、外周面に、適宜間隔で形成した突条から成る摘み部33を有する。
角度保持具35は、比較的厚みのある環状の部材であって、中央部にほぼ長方形状の貫通孔36を有する。この貫通孔36に、角度調節レバー20の接続部26を貫挿させる。貫通孔36の開口を有する一方の面35aに、ラック状の凹凸構造37が形成される。この凹凸構造37は、ガイド本体10のガイド板17に設けた凹凸構造19と噛み合うように形成されている。側面35bには、ガイド板17の目盛りMに対する変位を示すための基準線38が、たとえば溝などにより形成される。
図8(A)は固定ボルト50の左側面図、図8(B)は固定ボルト50の正面図、図9は、角度固定手段30を組み付けた角度調節レバー20の斜視図である。
また、図10は、本考案の一実施形態に係る外反アライメントガイドGの斜視図、図11は外反アライメントガイドGを背面側から見た斜視図である。
角度調節レバー20と角度固定手段30とは、次のようにして、あらかじめ組み付けられる。角度調節レバー20のレバー本体21と取付部24の連結部25とが分離している状態で、連結部25および接続部26を、角度保持具35の貫通孔36内に挿通させ、この状態で連結部25をレバー本体21に連結する。次いで、取付部24のボルト状部分24aに調節ねじ31を螺合させ、さらに取付部24の雌ねじ27に、図7に示すような抜け止め用ボルト40を螺合させて締め付ける。これにより、図9に示すごとき、角度固定手段30を組み付けた角度調節レバー20を準備することができる。
引き続き、ガイド本体10に、角度固定手段30を組み付けた角度調節レバー20を取り付けて、外反アライメントガイドGを組み立てる。角度調節レバー20のロッドスリーブ部22を、ガイド本体10の収納孔15内へ収納させるとともに、レバー本体21を、ガイド板17,17間の隙間18へ挿入する。次いで、ガイド本体10の前面10b側および後面10d側から、ピン装着孔13,13それぞれに支持ピン60を挿入し、ピン装着孔13,13と支持ピン60とを溶接などにより固着させ、その先端部を、ロッドスリーブ部22の開孔23内に嵌入させる。これにより、角度調節レバー20はガイド本体10に対し、支持ピン60を軸として回動自在となる。また支持ピン60の長さは、その先端が開孔23内にとどまり、ロッドスリーブ部22の内周面から内方へは突出しない長さに設定する。これは、支持ピン60を、ロッドスリーブ部22に挿通させる髄内ロッドRと接触させないためである。角度調節レバー20の位置を、角度保持具35の凹凸構造37が、ガイド板17に形成した凹凸構造19と対面するように調整する。さらに、ガイド本体10のナット孔14に、図8に示す固定ボルト50を螺合しておく。なお本実施例では、固定ボルト50に、頭部に六角穴51を有する六角穴ボルトを用いた。
このようにして、図10に示すごとき、目的とする外反アライメントガイドGが得られる。この外反アライメントガイドGは、ガイド本体10から突出する部分が少なく、全体をコンパクトにできるから、小皮切でも使用が可能である。角度固定手段30を側方に配置したから、ガイド本体10の中央部下方に、作業空間を確保できる。さらに、目盛りMが表示されるガイド板17を側方に配置したから、表示が小さくても認識し易い利点を有する。
外反アライメントガイドGは、調節ねじ31を緩めて、角度保持具35をガイド板17から離隔させた状態にすることにより、角度調節レバー20を、支持ピン60を中心として回動させて、ガイド本体10に対するロッドスリーブ部22の傾きを変更することができる。そして調節ねじ31を回転させて締め付け、角度保持具35の凹凸構造37を、ガイド板17の凹凸構造19に噛み合わせた状態で圧接させることにより、角度調節レバー20を所望の角度に固定することができる。
このとき、角度保持具35に設けた基準線38が指し示す目盛りMの数値が、ガイド本体10の基準面(上面10a)に対する垂線と、ロッドスリーブ部22の軸線との成す角度を示すように構成されている。また、本実施形態では、角度保持具35の凹凸構造37およびガイド板17の凹凸構造19の凸部の形成間隔が、目盛りMの1目盛りに対応するよう設定されている。それゆえ、角度調節レバー20の角度を、1目盛り単位で調節するのが容易である。なお、目盛りMの1目盛りの大きさは、1度単位とするほか、0.5度単位とするなど、適宜設定することが可能である。
本実施形態の外反アライメントガイドGは、図11に示すごとく、前面10b側から見た形態と、後面10d側から見た形態とが、互いに面対称に構成されている。すなわち、ガイド本体10、角度調節レバー20および角度固定手段30のいずれもが、前後に面対称であり、したがって、前後を反転させることで、右脚用の外反アライメントガイドGとして使用可能となっている。
なお、ガイド板17の後面10dに設ける表記Nについては、外反アライメントガイドGの使用状態が右脚を対象としていることを示すため、たとえば「RIGHT」と記載することが望ましい。
次に、人工膝関節置換術を実施するにあたり、前記外反アライメントガイドGを用いて行う大腿骨Dの遠位部d1の骨切り作業について説明する。施術に先立ち、術前計画を立案する。その際、被施術者の施術対象とする脚をレントゲン撮影などにより検査して、被施術者の大腿骨Dの外反角θgを測定する。
続いて、外反アライメントガイドGを、大腿骨Dに固定するための準備を行う。大腿骨Dの遠位部d1の骨切り作業を開始する前に、大腿骨Dの骨髄腔内へ髄内ロッドRを挿入するためのロッド挿入孔を、遠位部d1に形成する必要がある。そこで、まず、大腿骨Dの遠位部d1において、ロッド挿入孔の穿設位置を特定する。穿設位置は、解剖軸L2の延長線が、遠位部d1の下端部d2と交差する位置である。続いて、穿設位置に、マーカとハンマとを用いてマーキングを施す。そして、マーキングした位置を、リーマを用いて穿孔する。このとき、リーマによる穿設方向が、大腿骨Dの解剖軸L2と一致するように調整する。
こうして、大腿骨Dにロッド挿入孔を形成したならば、外反アライメントガイドGの装着作業を行う。装着作業を行う前に、角度固定手段30を操作して、角度調節レバー20の調節角度が、術前計画で測定した外反角θgとなるように調節する。すなわち、角度保持具35の基準線38によってガイド板17の目盛りMを指し示す数値が、外反角θgとなるように、角度調節レバー20の角度を固定する。これにより、ガイド本体10の基準面(上面10a)に対する垂線と、ロッドスリーブ部22の軸線との成す角度が、外反角θgとなるように設定される。
続いて、外反アライメントガイドGの固定と、大腿骨Dの下端部d2の切断作業とを行う。図12は、大腿骨Dの遠位部d1と、外反アライメントガイドGと、髄内ロッドRとを分解して示す斜視図、図13は、大腿骨Dに固定した外反アライメントガイドGに、骨切り案内具Fを取り付ける要領を示す斜視図、図14は、外反アライメントガイドGに骨切り案内具Fを取り付けた状況を示す斜視図、図15は、大腿骨Dから外反アライメントガイドGを取り去って、骨切り案内具Fを残した状況を示す斜視図、図16は、大腿骨Dの遠位部d1の下端を切断した状況を示す斜視図である。
図12に示すように、髄内ロッドRを、大腿骨Dに形成したロッド挿入孔Hから骨髄腔内へ挿入し、この髄内ロッドRを、外反アライメントガイドGのロッドスリーブ部22に挿通させる。そして、ガイド本体10の基準面である上面10aを、大腿骨Dの下端部d2に当接させ、貫通孔16に挿通させたドリルピンPを大腿骨Dの遠位部d1に埋入させることにより、ガイド本体10を大腿骨Dに固定する(図1参照)。
外反アライメントガイドGは、基準面に対する垂線とロッドスリーブ部22の軸線とのなす角度が外反角θgに設定されているから、骨髄腔内へ挿入した髄内ロッドRをロッドスリーブ部22に挿通させた状態でガイド本体10を固定することにより、基準面を、大腿骨Dの機能軸L1に対し直交させることができる。
外反アライメントガイドGの大腿骨Dへの固定が完了したならば、図13および図14に示すように、骨切り案内具Fを、外反アライメントガイドGに取り付ける。この骨切り案内具Fは、大腿骨Dの下端部d2の骨切りをする切断具の切断方向および切断位置を規定するための器具である。骨切り案内具Fは、前後方向に貫通する複数のスリット62と複数のピン孔64とを有する本体部63と、本体部63を接続軸65を介し着脱可能に保持するアタッチメント66とを有する。アタッチメント66は、接続軸65を分離可能な状態と固定状態とに切り替える操作レバー67と、外反アライメントガイドGの取付孔12,12に挿入される一対の脚部68,68とを備える。
図14に示すように、骨切り案内具Fの脚部68,68を、外反アライメントガイドGの取付孔12,12に挿入し、本体部63の姿勢を調節したのち、固定ボルト50を締め付けて、脚部68が取付孔12内で移動しないように締結する。そして、適数本のドリルピンP1〜P3をピン孔64から大腿骨Dの遠位部d1に埋入して、骨切り案内具Fの本体部63を大腿骨Dに固定する。本体部63の固定が完了したならば、外反アライメントガイドGを固定しているドリルピンPを引き抜き、固定ボルト50を緩め、操作レバー67を操作して、アタッチメント66を本体部63から分離させる。そして、外反アライメントガイドG、アタッチメント66、および髄内ロッドRを取り外して、図15に示すように、骨切り案内具Fの本体部63だけを、大腿骨Dの遠位部d1に残した状態とする。しかるのち、本体部63のスリット62に、オシレータやボーンソーなどの切断具の切断刃を挿入し、図16に示すように、大腿骨Dの下端部d2を切断する。
本実施形態では、骨切り案内具Fを外反アライメントガイドGに取り付けることで、スリット62の方向を、外反アライメントガイドGの基準面に対し平行に設定することができるから、切断具による大腿骨Dの下端部d2の切断方向を、機能軸L1に対し、確実に垂直とすることができる。
大腿骨Dの下端部d2の骨切りを完了したならば、続いて、大腿骨Dの前面部の骨切りを実施する。図17は、大腿骨Dの下端切断面dXに固定した外反アライメントガイドGに、骨切り案内具Tを取り付ける要領を示す斜視図、図18は、大腿骨Dの下端切断面dXに固定した外反アライメントガイドGに、骨切り案内具Tを取り付けた状況を示す斜視図、図19は、大腿骨Dの前面部を切断具81で切断する要領を示す斜視図、図20は、下端部および前面部を切断処理した大腿骨Dの遠位部d1を示す斜視図である。
大腿骨Dの下端部d2の骨切り完了後、図17に示すように、髄内ロッドRを再び大腿骨Dの骨髄腔内へ挿入し、この髄内ロッドRをロッドスリーブ部22に挿通させた外反アライメントガイドGを、大腿骨Dの下端切断面dXに当接させ、ドリルピンPなどで下端切断面dXに固定する。そして図18に示すように、骨切り案内具Tを、外反アライメントガイドGに取り付ける。
本実施形態の骨切り案内具Tは、大腿骨Dの前面部の骨切り厚みを設定するためのスタイラス71と、このスタイラス71が着脱可能に装着される本体部77とを含んでいる。スタイラス71は、本体部77に設けた回動案内軸72に対し回動可能に装着され、大腿骨Dの遠位部d1の前面部d3に当接するスタイラスバー73と、スタイラス71を所望の回動位置に固定できる操作ハンドル75とを有している。本体部77は、外反アライメントガイドGの取付孔12に挿入される一対の脚部74と、切断具の切断刃が挿入されるスリット76とを有している。
骨切り案内具Tの脚部74を、大腿骨Dの下端切断面dXに固定した外反アライメントガイドGの取付孔12に挿入したのち、操作ハンドル75を操作して、スタイラスバー73の先端を大腿骨Dの前面部d3に接触させながら、スタイラス71を回動させる。スタイラスバー73の突出量は、術前計画であらかじめ決定することができる。本実施形態では、骨切り案内具Tの脚部74が取付孔12内で移動可能であり、したがって、スタイラスバー73の先端を大腿骨Dの前面部d3に接触させながら回動させることにより、本体部77の高さ位置が変動する。そして、たとえば、スタイラス71に設けた目印線71aと、回動案内軸72に設けた基準線72aとが一致する位置を目標位置とし、この位置にスタイラス71を固定するとともに、固定ボルト50を締め付けて、骨切り案内具Tの本体部77がガイド本体10に対し移動しないよう固定する。これにより、スリット76の位置を、あらかじめ計画された切断位置に設定することが可能となる。
こうして、骨切り案内具Tのスリット76の位置を決定したならば、図19に示すように、スタイラス71を本体部77から取り外し、オシレータやボーンソーなどの切断具81の切断刃82をスリット76に挿入して、大腿骨Dの前面部d3の切断を行う。その結果、図20に例示するごとく、大腿骨Dの下端部d2および前面部d3に切断面dX,dYを形成することができる。
本実施形態の外反アライメントガイドGは、角度固定手段30をガイド本体10の側方に配置したので、ガイド本体10の中央部下方に作業空間を確保することができる。それ故、大腿骨Dの前面部d3を切断する骨切り案内具Tを装着し、スタイラス71により骨切り量を決定し、切断具で前面部d3を切断するまでの一連の作業を容易に行うことができる。
また従来は、大腿骨Dの前面部d3の切断する際に、大腿骨Dの下端切断面dXにサイザーを固定し、このサイザーにスタイラスを装着して骨切り量を決定したのち、サイザーおよびスタイラスを取り外して、骨切り案内具を新たに固定するという作業工程を行っていたのに対し、本実施形態では、外反アライメントガイドGを利用して、スタイラス71を備える骨切り案内具Tを取り付けるものであるから、作業工数を減少させることができる。
(その他の実施形態)
ロッドスリーブ部22は、ガイド本体10のほほ中央部に配置するほか、ガイド板17とは反対側の側面近くに配置する態様も可能である。
ロッドスリーブ部22は、ガイド本体10のほほ中央部に配置するほか、ガイド板17とは反対側の側面近くに配置する態様も可能である。
角度固定手段30の角度保持具35は省略することが可能である。この場合、調節ねじ31を回転させて締め付け、調節ねじ31の先端部をガイド板17に圧接させることにより、角度固定を行う。このとき、ガイド板17の目盛りMは、調節ねじ31の側周面の位置を基準として、角度を表示するように設けることが考えられる。
その他、本考案の実施形態は、前述したものに限定されず、種々の変更が可能である。
10 ガイド本体
10a 上面(基準面)
10b 前面
10c 下面
10d 後面
11 主部
12 取付孔
13 ピン装着孔
14 ナット孔
15 収納孔
16 貫通孔
17 ガイド板
18 隙間
19 凹凸構造
20 角度調節レバー
21 レバー本体
22 ロッドスリーブ部
23 開孔
24 取付部
24a ボルト状部分
25 連結部
26 接続部
30 角度固定手段
31 調節ねじ
35 角度保持具
37 凹凸構造
38 基準線
40 抜け止め用ボルト
50 固定ボルト
60 支持ピン
C1 膝関節中心
C2 大腿骨の骨頭中心
D 大腿骨
d1 遠位部
d2 下端部
d3 前面部
F 骨切り案内具
G 外反アライメントガイド
H ロッド挿入孔
K 膝関節
L1 機能軸
L2 解剖軸
M 目盛り
N 表記
P ドリルピン
R 髄内ロッド
S 軸線マーク
T 骨切り案内具
θg 外反角
10a 上面(基準面)
10b 前面
10c 下面
10d 後面
11 主部
12 取付孔
13 ピン装着孔
14 ナット孔
15 収納孔
16 貫通孔
17 ガイド板
18 隙間
19 凹凸構造
20 角度調節レバー
21 レバー本体
22 ロッドスリーブ部
23 開孔
24 取付部
24a ボルト状部分
25 連結部
26 接続部
30 角度固定手段
31 調節ねじ
35 角度保持具
37 凹凸構造
38 基準線
40 抜け止め用ボルト
50 固定ボルト
60 支持ピン
C1 膝関節中心
C2 大腿骨の骨頭中心
D 大腿骨
d1 遠位部
d2 下端部
d3 前面部
F 骨切り案内具
G 外反アライメントガイド
H ロッド挿入孔
K 膝関節
L1 機能軸
L2 解剖軸
M 目盛り
N 表記
P ドリルピン
R 髄内ロッド
S 軸線マーク
T 骨切り案内具
θg 外反角
Claims (8)
- 大腿骨の遠位部に装着され、該遠位部の骨切りを行なう切断具の切断位置を規定する骨切り案内具を取り付けるための外反アライメントガイドであって、
前記遠位部に装着したときに、該遠位部の下端部に当接する基準面を備えるとともに、該遠位部の前方に向けられる面に、前記骨切り案内具を取り付けるための取付部を備えるガイド本体と、
大腿骨の骨髄腔内へ挿入される髄内ロッドを挿通させる筒状のロッドスリーブ部を一端部に備え、該一端部において前記ガイド本体に回動可能に支持される角度調節レバーと、
前記角度調節レバーの他端部を前記ガイド本体に対し固定するための角度固定手段とを含み、
前記角度固定手段が、前記ガイド本体の前記遠位部の前方に向けられる面に向かって側方に配置されることを特徴とする外反アライメントガイド。 - 前記角度固定手段は、前記角度調節レバーの他端部に形成されるねじ部と、該ねじ部に螺合する調節ねじとを含み、該調節ねじを前記ねじ部に螺合して回転させることにより、該調節ねじが前記ガイド本体の側面に圧接することを特徴とする請求項1に記載の外反アライメントガイド。
- 前記ガイド本体は、前記遠位部の前方に向けられる面における、前記調節ねじが前記ガイド本体に圧接する箇所の近傍に、前記基準面に対する垂線と、前記ロッドスリーブ部の軸線との成す角度を表示する目盛りを備えることを特徴とする請求項2に記載の外反アライメントガイド。
- 前記調節ねじと前記ガイド本体との間に配設される角度保持具をさらに含み、該角度保持具および前記ガイド本体の互いに対向するそれぞれの面に凹凸面部が形成され、前記調節ねじを前記ねじ部に螺合して回転させることにより、前記調節ねじが、前記角度保持具の前記凹凸面部を前記ガイド本体の前記凹凸面部に圧接させることを特徴とする請求項2に記載の外反アライメントガイド。
- 前記ガイド本体は、前記遠位部の前方に向けられる面における、前記角度保持具が前記ガイド本体に対し圧接する箇所の近傍に、前記基準面に対する垂線と、前記ロッドスリーブ部の軸線との成す角度を表示する目盛りを備えることを特徴とする請求項4に記載の外反アライメントガイド。
- 前記凹凸面部は、互いに噛み合う凹凸構造を含み、該凹凸構造の形成間隔が、前記目盛りに対応していることを特徴とする請求項5に記載の外反アライメントガイド。
- 前記ロッドスリーブ部が、前記ガイド本体の前記遠位部の前方に向けられる面に向かっての中央部に配置されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の外反アライメントガイド。
- 前記ガイド本体、前記角度調節レバー、および、前記角度固定手段は、前記遠位部の前方に向けられる面側の形態と、これに対向する面側の形態とが、互いに面対称であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の外反アライメントガイド。
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