JP3178992U - 生体インプラントパッケージ - Google Patents

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Abstract

【課題】コストを低減することができ、包装性および廃棄性に優れる生体インプラントパッケージを提供することである。
【解決手段】生体インプラントであるステム100を収納する収納材2と、収納材2に収納されるステム100を上下方向から保持する少なくとも1つのエアーバッグ3と、収納材2および少なくとも1つのエアーバッグ3を収容する容器4と、容器4の開口部44を塞ぐ蓋5と、を備え、収納材2および少なくとも1つのエアーバッグ3のそれぞれが、ガス不透過性を有する、生体インプラントパッケージ1である。
【選択図】図1

Description

本考案は、生体インプラントのパッケージ(包装)に関する。
生体インプラントの1つである人工股関節のステムのパッケージとして、本出願人は先に特許文献1に記載のパッケージを開発した。このパッケージによれば、複数の支持体によってステムを安定してパッケージできるものの、支持体を所定のスポンジ状樹脂材料で構成していることから、コストおよび包装性、並びに廃棄性に問題があった。
すなわち、特許文献1に記載のスポンジ状樹脂材料は、滅菌する上で耐ガンマ線特性を有する。
しかし、このようなスポンジ状樹脂材料は高価であり、それゆえ支持体の数に応じてコストが高くなる。また、特許文献1に記載のパッケージは、パッケージする生体インプラントに対応した支持体を、複数の支持体から選択しなければならず、包装作業が煩雑である。さらに、スポンジ状樹脂材料からなる支持体は、嵩張ることから使用後に廃棄し難い。
実用新案登録第3149688号公報
本考案の課題は、コストを低減することができ、包装性および廃棄性に優れる生体インプラントパッケージを提供することである。
本考案者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、以下の構成からなる解決手段を見出し、本考案を完成するに至った。
(1)生体インプラントを収納する収納材と、前記収納材に収納される前記生体インプラントを上下方向から保持する少なくとも1つのエアーバッグと、前記収納材および前記少なくとも1つのエアーバッグを収容する容器と、前記容器の開口部を塞ぐ蓋と、を備え、前記収納材および前記少なくとも1つのエアーバッグのそれぞれが、ガス不透過性を有する、生体インプラントパッケージ。
(2)前記収納材は、袋状である、前記(1)に記載の生体インプラントパッケージ。
(3)前記収納材は、前記生体インプラントを真空封入する、前記(1)または(2)に記載の生体インプラントパッケージ。
(4)前記少なくとも1つのエアーバッグは、前記生体インプラントの下方に位置する第1エアーバッグと、前記生体インプラントの上方に位置する第2エアーバッグとを有する、前記(1)〜(3)のいずれかに記載の生体インプラントパッケージ。
(5)前記第1エアーバッグおよび前記第2エアーバッグは、互いに接続している、前記(4)に記載の生体インプラントパッケージ。
(6)前記収納材、前記少なくとも1つのエアーバッグおよび前記容器のそれぞれが、透明性を有する、前記(1)〜(5)のいずれかに記載の生体インプラントパッケージ。
(7)前記容器および前記蓋のそれぞれが、菌不透過性を有する、前記(1)〜(6)のいずれかに記載の生体インプラントパッケージ。
(8)前記少なくとも1つのエアーバッグを前記容器の前記開口部側から前記容器の内部に向けて押さえる板状の押さえ部材をさらに備える、前記(1)〜(7)のいずれかに記載の生体インプラントパッケージ。
(9)放射線滅菌処理される、前記(1)〜(8)のいずれかに記載の生体インプラントパッケージ。
本考案によれば、収納材に収納される生体インプラントを上下方向から保持する少なくとも1つのエアーバッグを備えることから、従来のスポンジ状樹脂材料からなる支持体よりも安価な部材によって生体インプラントを保持することができ、それゆえコストを低減することが可能となる。また、少なくとも1つのエアーバッグは、生体インプラントの形状に追従して変形できることから、様々な生体インプラントに適用することができる。したがって、パッケージを構成する部材数を減らすことができ、優れた包装性を発揮することができる。しかも、使用後には、少なくとも1つのエアーバッグに貫通孔を開ければ、密封しているエアーを外部に放出させて体積を大幅に減少させることができる。その結果、優れた廃棄性を発揮することができ、環境負荷を低減することができる。
本考案の一実施形態に係る生体インプラントパッケージを示す分解斜視図である。 図1に示す生体インプラントパッケージを組み立てたときのa−a線における拡大断面図に相当する図である。 図1に示す生体インプラントパッケージの収納材を示す概略説明図であり、(a)は人工股関節のステム収納前を示す図であり、(b)は人工股関節のステム収納後を示す図である。 (a)は、図1に示す生体インプラントパッケージのエアーバッグを示す斜視図であり、(b)は、(a)のb−b線における拡大断面図である。 (a)は、図1に示す生体インプラントパッケージの容器を示す斜視図であり、(b)は、(a)のc−c線における拡大破断面図である。 本考案の他の実施形態に係る生体インプラントパッケージのエアーバッグを示す斜視図である。 本考案のさらに他の実施形態に係る生体インプラントパッケージの押さえ部材を示す概略断面説明図であり、図2に相当する図である。
以下、本考案の一実施形態に係る生体インプラントパッケージ(以下、「パッケージ」と言うことがある。)について、生体インプラントが人工股関節のステムである場合を例に挙げ、図1〜図5を参照して詳細に説明する。
図1に示すように、本実施形態のパッケージ1は、収納材2と、収納材2の上下に位置している2つのエアーバッグ3,3と、収納材2および2つのエアーバッグ3,3を収容する容器4と、容器4の開口部44を塞ぐ蓋5と、を備えている。以下、パッケージ1の各構成部材について、順に説明する。
本実施形態の収納材2は、図3に示すように、ステム100を収納し、ステム100が2つのエアーバッグ3,3と直接接触するのを抑制する部材である。ステム100は、Ti合金等の生体為害性のない金属からなる人工股関節の大腿骨コンポーネントである。このようなステム100を収納する本実施形態の収納材2は、袋状である。
具体的に説明すると、本実施形態の収納材2は、図3(a)に示すように、積層体21を有する。本実施形態の積層体21は、一対のフィルム21a,21bを積層することによって構成されている。一対のフィルム21a,21bの各々の厚さとしては、10〜200μm程度が適当である。
本実施形態の積層体21は、略矩形状であり、互いに対向している一対の長辺211a,211bおよび一対の短辺212a,212bを有する。本実施形態の積層体21は、一対の長辺211a,211b近傍のそれぞれに封止部211A,211Bを形成し、一対の短辺212a,212bのうち短辺212b近傍に封止部212Bを形成している。これにより、収納材2は、短辺212a側に位置している開口部22と、開口部22に連続している内部23とを有する袋状になる。このような構成によれば、ステム100を矢印X方向に動かし、開口部22から内部23にステム100を収納することが可能となる。
本実施形態の収納材2は、図3(b)に示すように、ステム100を真空封入する。真空封入は、例えばステム100を収納材2の内部23に収納し、真空ポンプ等の真空手段によって内部23を真空状態にするとともに、開口部22を封止して封止部212Aを形成することにより行うことができる。
収納材2の構成材料としては、熱可塑性樹脂であるのが好ましい。これにより、上述した一対のフィルム21a,21bをヒートシール可能に構成することができる。その結果、ヒートシールによって封止部211A,211B,212A,212Bを形成することができ、それゆえ各封止部を形成するときの作業性を向上させることができる。
熱可塑性樹脂としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリアミド系樹脂;ポリイミド系樹脂;ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体鹸化物等のビニル系樹脂;ポリカーボネート系樹脂等が挙げられ、これらは1種または2種以上を混合して用いてもよい。
ここで、本実施形態の収納材2は、ガス不透過性を有する。これにより、収納材2にステム100を気密に収納することが可能となる。また、収納材2は、長期にわたってガス不透過性を有するのが好ましい。具体的には、滅菌有効期限を5年としたとき、収納材2は、5年以上にわたってガス不透過性を有するのが好ましい。ガス不透過性は、JIS K 7126に準拠して測定される酸素透過度25℃×80%[ml/(m2・24時間・MPa)]が、5以下であるのが好ましい。
収納材2は、その表面にガスバリア性薄膜および無機酸化物からなる蒸着膜のうち少なくとも一方を積層するのが好ましい。これにより、収納材2にガス不透過性を付与することができる。
ガスバリア性薄膜は、例えばアルコキシドおよび水溶性高分子を含有する塗工液を塗布し、加熱乾燥することによって成膜することができる。このようなガスバリア性薄膜は、高いガスバリア性を発揮することができる。この理由としては、塗工液に含まれるアルコキシドがゾルゲル法によって加水分解および重縮合反応し、鎖状または三次元樹枝状のポリマーを形成し、加熱乾燥時の溶媒等の蒸発によってさらに重合が進行し、その結果、高いガスバリア性を発揮するものと推察される。
蒸着膜における無機酸化物としては、例えば透明性を有する非結晶性の酸化シリコン、酸化アルミニウム等が挙げられる。蒸着膜を成膜する方法としては、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、イオンクラスタービーム法等が挙げられる。
収納材2は、菌不透過性を有するのが好ましい。これにより、パッケージ1を滅菌処理した後のステム100の無菌性を、長期にわたって維持することができる。
収納材2は、輸送時の振動等に対する十分な強度、すなわち耐衝撃性を有するのが好ましい。これにより、輸送時の振動等によって収納材2が破れるのを抑制することができる。
一方、本実施形態の2つのエアーバッグ3,3は、図1に示すように、上述した収納材2に収納されているステム100を、上下方向から保持する部材である。本実施形態の2つのエアーバッグ3,3はいずれも、全体の形状が略矩形状である。そして、本実施形態の2つのエアーバッグ3,3はいずれも、内部にエアー(空気)を密封している1つのエアー保持部31を有しており、所謂エアー緩衝材として機能する。
具体的に説明すると、本実施形態の2つのエアーバッグ3,3はいずれも、図4に示すように、略矩形状の1枚のフィルムを二つ折にして袋状にし、折り曲げ部32を除く周縁部近傍に封止部33を形成することによって内部にエアーを密封し、1つのエアー保持部31を形成している。
なお、エアー保持部31は、1枚のフィルムに代えて、一対のフィルムを上述した収納材2のように袋状にし、その内部にエアーを密封することによっても形成することができる。また、エアー保持部31の数は、1つに限定されるものではなく、複数にすることもできる。
本実施形態では、図2に示すように、2つのエアーバッグ3,3のうち、ステム100の下方に位置するものを第1エアーバッグ34、ステム100の上方に位置するものを第2エアーバッグ35とする。そして、本実施形態では、第1エアーバッグ34は矢印Aに示す下方向から、第2エアーバッグ35は矢印Bに示す上方向からそれぞれステム100を保持する。このような構成によれば、以下の効果を奏することが可能となる。
すなわち、第1エアーバッグ34および第2エアーバッグ35の各々のエアー保持部31に密封しているエアーの圧力によって、収納材2を介してステム100を確実に保持することができ、それゆえステム100を安定してパッケージすることが可能となる。また、第1エアーバッグ34および第2エアーバッグ35はいずれも変形できることから、外部から加わる衝撃や振動等を和らげて、ステム100が破損するのを抑制することができる。
第1エアーバッグ34および第2エアーバッグ35はいずれも、従来のスポンジ状樹脂材料からなる支持体よりも安価であることから、コストを低減することができる。また、第1エアーバッグ34および第2エアーバッグ35はいずれも、生体インプラントの形状に追従して変形できることから、ステム100以外の生体インプラントにも適用することができる。したがって、パッケージ1を構成する部材数を減らすことができ、優れた包装性を発揮することができる。
使用後には、第1エアーバッグ34および第2エアーバッグ35の各々に貫通孔を開ければ、エアー保持部31に密封しているエアーを外部に放出させて体積を大幅に減少させることができる。その結果、優れた廃棄性を発揮することができ、環境負荷を低減することができる。
なお、第1エアーバッグ34および第2エアーバッグ35の形状は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。本実施形態の第1エアーバッグ34および第2エアーバッグ35は、互いに同じ形状を有する。
第1エアーバッグ34および第2エアーバッグ35の各々のエアー保持部31におけるエアーの密封量は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。エアー保持部31におけるエアーの密封量は、上述した効果を奏することが可能な限り、特に限定されない。
第1エアーバッグ34および第2エアーバッグ35の各々の構成材料としては、熱可塑性樹脂であるのが好ましい。これにより、ヒートシールによって封止部33を形成することができ、それゆえ封止部33を形成するときの作業性を向上させることができる。
ここで、第1エアーバッグ34および第2エアーバッグ35はいずれも、ガス不透過性を有する。これにより、エアー保持部31からエアーが漏洩するのを抑制することができ、長期にわたってステム100を安定して保持することが可能となる。第1エアーバッグ34および第2エアーバッグ35のそれぞれのガス不透過性は、上述した収納材2と同じガス不透過性であるのが好ましい。
また、第1エアーバッグ34および第2エアーバッグ35の各々は、可撓性を有するのが好ましい。これにより、各エアーバッグの柔軟性を向上させることができる。第1エアーバッグ34および第2エアーバッグ35の各々の可撓性は、収納材2の可撓性よりも大きいのが好ましい。
第1エアーバッグ34および第2エアーバッグ35の各々は、耐衝撃性を有するのが好ましい。これにより、輸送時の振動等によって各エアーバッグが破れるのを抑制することができる。第1エアーバッグ34および第2エアーバッグ35の各々の耐衝撃性は、収納材2の耐衝撃性よりも大きいのが好ましい。
一方、本実施形態の容器4は、所謂ブリスターケースであり、上述した収納材2と、2つのエアーバッグ3,3、すなわち第1エアーバッグ34および第2エアーバッグ35を収容する部材である。
本実施形態の容器4は、図5に示すように、全体の形状が略直方体状である。そして、本実施形態の容器4は、略矩形状の底部41と、底部41に接続しており上方に延びている周面部42と、周面部42によって囲まれている内部43と、内部43に連続しており上方に開口している略矩形状の開口部44と、を有する。
本実施形態の周面部42は、開口部44から底部41に向かうにつれて縮径しているテーパー状である。このような構成によれば、金型を使った真空成形法であるブリスター成形によって成形した容器4を、金型から簡単に離型することができる。なお、周面部42は、テーパー状に限定されるものではなく、底部41に対して垂直であってもよい。
また、本実施形態の周面部42は、外周面421および内周面422を有する。そして、本実施形態の容器4は、外周面421のうち上端部に位置しているフランジ部45をさらに有する。本実施形態のフランジ部45は、外周面421の全周にわたって位置している。
また、本実施形態の容器4は、内周面422のうち上端部側に位置している溝部46をさらに有する。本実施形態の溝部46は、後述する押さえ部材6と嵌合する部位であり、内周面422の全周にわたって位置している。なお、溝部46は、押さえ部材6と嵌合可能な限り、上述した構成に限定されるものではない。
容器4の構成材料としては、熱可塑性樹脂であるのが好ましい。これにより、上述したブリスター成形によって容器4を成形することができる。熱可塑性樹脂としては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、アクリル等が挙げられ、これらは1種または2種以上を混合して用いてもよい。
容器4は、透明性を有するのが好ましい。また、上述した収納材2および第1エアーバッグ34、並びに第2エアーバッグ35も透明性を有するのが好ましい。すなわち、収納材2、第1エアーバッグ34、第2エアーバッグ35および容器4のそれぞれが、透明性を有するのが好ましい。これにより、パッケージしているステム100を容器4の外部から目視確認することができる。なお、同じ理由から、後述する押さえ部材6も、透明性を有するのが好ましい。
本実施形態の蓋5は、上述の通り、容器4の開口部44を塞ぐ部材である。本実施形態の蓋5は、図1に示すように、略矩形状である。また、本実施形態の蓋5は、図2に示すように、開口部44よりも大きく、かつフランジ部45に対応している大きさを有する。
蓋5の厚さとしては、50〜200μm程度が適当である。また、蓋5の構成材料としては、例えばセルロース系繊維等の天然繊維;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン等の合成樹脂系繊維を主体とする合成繊維;天然繊維と合成繊維との複合繊維により調製された通気性を有する不織布シート;滅菌紙等が挙げられ、ポリエチレン繊維からなる不織布が好適である。蓋5の構成材料としては、市販のものを用いることができ、具体例としては、デュポン社製の「タイベック(登録商標)」等が挙げられる。
蓋5は、菌不透過性を有するのが好ましい。また、上述した容器4も菌不透過性を有するのが好ましい。すなわち、容器4および蓋5のそれぞれが、菌不透過性を有するのが好ましい。これにより、容器4の開口部44を蓋5によって塞ぐと、容器4の外部から内部43に細菌等が侵入するのを抑制することができ、パッケージ1を滅菌処理した後のステム100の無菌性を、長期にわたって維持することができる。
本実施形態のパッケージ1は、図1に示すように、押さえ部材6をさらに備えている。本実施形態の押さえ部材6は、第1エアーバッグ34および第2エアーバッグ35を容器4の開口部44側から内部43に向けて押さえる板状の部材である。
具体的に説明すると、本実施形態の押さえ部材6は、略矩形状であり、第2エアーバッグ35と蓋5との間に位置している。そして、本実施形態の押さえ部材6は、図2に示すように、その外周部61を上述した容器4の溝部46と嵌合させることによって、容器4に取り付けられる。
ここで、本実施形態の溝部46は、押さえ部材6と嵌合したとき、押さえ部材6が第1エアーバッグ34および第2エアーバッグ35を容器4の開口部44側から内部43に向けて押さえることができる位置に存在している。したがって、押さえ部材6の外周部61を溝部46と嵌合させると、第1エアーバッグ34および第2エアーバッグ35の各々が、押さえ部材6によって容器4の開口部44側から内部43に向けて押さえられるようになる。その結果、第1エアーバッグ34および第2エアーバッグ35によるステム100を保持する保持力を向上させることができ、それゆえステム100をより安定してパッケージすることが可能となる。なお、押さえ部材6による第1エアーバッグ34および第2エアーバッグ35を押さえる力は、上述した溝部46の位置を変えることによって調整することができる。
本実施形態の押さえ部材6は、図1に示すように、その略中央部に位置している一対の把持孔62,62を有する。本実施形態の一対の把持孔62,62は、押さえ部材6の上面から下面まで貫通している。このような構成によれば、手術場または術中等において、鉗子等を用いて一対の把持孔62,62を介して押さえ部材6を把持できることから、容器4に取り付けられている押さえ部材6を比較的簡単に容器4から取り外すことが可能となる。
押さえ部材6は、輸送時の振動に対して十分な取り付け強度を有するのが好ましい。具体的には、JIS Z0200またはJIS Z0232に準拠し、例えば、振動数を5〜50Hz、加速度を0.5〜0.75G、加振時間を20〜60分とする条件によって、輸送時の振動を再現した単軸振動試験を行った後でも、押さえ部材6が容器4に取り付けられているのが好ましい。
押さえ部材6の構成材料としては、熱可塑性樹脂であるのが好ましい。これにより、押さえ部材6の成形性を向上させることができる。熱可塑性樹脂としては、上述した容器4で例示したのと同じ熱可塑性樹脂が挙げられる。
次に、本考案の一実施形態に係るパッケージ手順ついて説明する。本実施形態のパッケージ手順は、以下の(i)〜(v)の手順を備える。
(i)まず、図3に示すように、ステム100を収納材2に真空封入する。
(ii)次に、図1および図2に示すように、第1エアーバッグ34、ステム100を収納している収納材2、第2エアーバッグ35をこの順に容器4の開口部44から内部43に収容する。
(iii)次に、押さえ部材6を溝部46と嵌合させて、押さえ部材6を容器4に取り付ける。
(iv)次に、蓋5とフランジ部45とを封止することによって開口部44を塞ぎ、全体の形状が略直方体状のパッケージ1を得る。
(v)最後に、パッケージ1に滅菌処理を行う。
なお、(ii)の手順では、収納材2を、第1エアーバッグ34および第2エアーバッグ35のうち少なくとも一方に固定してもよい。このような構成によれば、輸送時の振動等によって、ステム100が第1エアーバッグ34および第2エアーバッグ35の間を移動して容器4の内周面422に接触するのを抑制することができる。
(iv)の手順では、蓋5とフランジ部45とをヒートシールによって封止するのが好ましい。これにより、蓋5とフランジ部45とを封止するときの作業性を向上させることができる。なお、本実施形態では、ヒートシールによって発生する熱が第2エアーバッグ35に伝達されるのを押さえ部材6によって抑制することができる。
(v)の手順における滅菌処理は、放射線滅菌処理であるのが好ましい。これにより、ガス滅菌処理よりも滅菌作業を効率よく行うことができる。すなわち、滅菌処理をガス滅菌処理で行うと、ステム100を収納材2に収納する前に、一度ステム100を滅菌処理しなければならず、滅菌作業が煩雑になる。放射線滅菌処理によれば、ガス滅菌処理のように収納材2に収納する前のステム100を滅菌処理する必要がなく、パッケージ1への滅菌処理のみで済むことから、ガス滅菌処理よりも滅菌作業を効率よく行うことができる。放射線滅菌処理は、例えばパッケージ1にガンマ線または電子線を照射することにより行うことができる。
以上、本考案に係る好ましい実施形態について例示したが、本考案は上述した実施形態に限定されるものではなく、本考案の要旨を逸脱しない限り任意のものとすることができることは言うまでもない。
例えば、上述の一実施形態では、パッケージ1の全体の形状は、略直方体状であるが、これに代えて、パッケージ1を他の形状にしてもよい。すなわち、パッケージ1の全体の形状は、略直方体状に限定されるものではなく、パッケージする生体インプラントに応じて、所望の形状を採用することができる。また、パッケージ1の全体の形状に応じて、パッケージ1の各構成部材、すなわち収納材2、エアーバッグ3、容器4、蓋5および押さえ部材6についても、所望の形状を採用することができる。
また、上述の一実施形態では、生体インプラントが人工股関節のステム100であるが、これに代えて、他の生体インプラントをパッケージの対象にしてもよい。他の生体インプラントとしては、例えば人工膝関節および人工肩関節、並びに人工肘関節等の各種コンポーネント、内固定用の骨プレートおよび骨ネイル、骨用スクリュー、各種人工骨、人工歯根、人工血管等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、上述の一実施形態では、一対のフィルム21a,21bによって収納材2を袋状にしているが、一対のフィルム21a,21bに代えて、1枚のフィルムによって収納材2を袋状にしてもよい。すなわち、1枚のフィルムを二つ折にし、二つ折にした1枚のフィルムのうち開口部22および内部23を除く他の領域を封止すれば、1枚のフィルムによって収納材2を袋状にすることができる。
また、上述の一実施形態では、収納材2が袋状であるが、これに代えて、収納材2を他の形状にしてもよい。すなわち、収納材2の形状は、袋状に限定されるものではなく、パッケージする生体インプラントに応じて、所望の形状を採用することができる。具体例を挙げると、収納材2をフィルム状等にすることもできる。この場合には、フィルム状の収納材2によって生体インプラントを包み込むように収納することができる。
また、上述の一実施形態では、第1エアーバッグ34および第2エアーバッグ35は互いに分離しているが、これに代えて、例えば図6に示す構成にすることもできる。すなわち、図6に示す実施形態では、第1エアーバッグ34および第2エアーバッグ35は、互いに接続している。このような構成によれば、第1エアーバッグ34および第2エアーバッグ35を1つの部材として取り扱うことができ、それゆえパッケージ1を構成する部材数を減らすことができ、包装性を向上させることができる。なお、図6に示す実施形態では、第1エアーバッグ34および第2エアーバッグ35は、接続部36を介して互いに接続しており、接続部36で折り曲げることによって、収納材2に収納されているステム100を上下方向から保持することができる。
また、上述の一実施形態では、エアーバッグ3の数が2つであるが、これに代えて、エアーバッグ3の数を1つにしてもよい。この場合には、1つのエアーバッグ3を二つ折にすることによって、収納材2に収納されているステム100を上下方向から保持することができる。
また、上述の一実施形態では、エアーバッグ3の数が2つであるが、これに代えて、エアーバッグ3の数を3つ以上にしてもよい。このような構成によれば、エアーバッグ3をステム100の前後左右にも配置できることから、上下方向に加えて前後左右方向からもステム100を保持することができ、結果としてステム100をより安定してパッケージすることが可能となる。なお、エアーバッグ3の数の上限値としては、6つ程度が適当である。
また、上述の一実施形態では、エアーバッグ3の全体の形状は略矩形状であるが、これに代えて、エアーバッグ3の全体の形状を、ステム100の形状に合わせた形状にしてもよい。このような構成によれば、ステム100を保持する保持力を向上できることから、輸送時の振動等によって、ステム100が第1エアーバッグ34および第2エアーバッグ35の間を移動して容器4の内周面422に接触するのを抑制することができる。なお、エアーバッグ3の表面にポケット部を形成し、このポケット部に収納材2を収容するようにしてもよい。この場合にも、同様の効果を奏することができる。
また、上述の一実施形態では、押さえ部材6は一対の把持孔62,62を有するが、これに代えて、例えば図7に示す構成にすることもできる。すなわち、図7に示す実施形態では、押さえ部材6は、その外周部近傍に位置している折り曲げ部63と、折り曲げ部63に連続しており上方に延びている把持部64と、を有する。折り曲げ部63および把持部64はいずれも、押さえ部材6の外周部近傍を折り曲げることによって構成されている。このような構成によれば、折り曲げ部63を容器4の溝部46と嵌合させることによって、押さえ部材6を容器4に取り付けることが可能となる。また、把持部64を介して押さえ部材6を把持できることから、把持した把持部64を上方に引き上げることによって、容器4に取り付けられている押さえ部材6を比較的簡単に容器4から取り外すことが可能となる。
1 生体インプラントパッケージ
2 収納材
21 積層体
21a,21b フィルム
211a,211b 長辺
212a,212b 短辺
211A,211B,212A,212B 封止部
22 開口部
23 内部
3 エアーバッグ
31 エアー保持部
32 折り曲げ部
33 封止部
34 第1エアーバッグ
35 第2エアーバッグ
36 接続部
4 容器
41 底部
42 周面部
421 外周面
422 内周面
43 内部
44 開口部
45 フランジ部
46 溝部
5 蓋
6 押さえ部材
61 外周部
62 把持孔
63 折り曲げ部
64 把持部
100 ステム

Claims (9)

  1. 生体インプラントを収納する収納材と、
    前記収納材に収納される前記生体インプラントを上下方向から保持する少なくとも1つのエアーバッグと、
    前記収納材および前記少なくとも1つのエアーバッグを収容する容器と、
    前記容器の開口部を塞ぐ蓋と、を備え、
    前記収納材および前記少なくとも1つのエアーバッグのそれぞれが、ガス不透過性を有する、生体インプラントパッケージ。
  2. 前記収納材は、袋状である、請求項1に記載の生体インプラントパッケージ。
  3. 前記収納材は、前記生体インプラントを真空封入する、請求項1または2に記載の生体インプラントパッケージ。
  4. 前記少なくとも1つのエアーバッグは、前記生体インプラントの下方に位置する第1エアーバッグと、前記生体インプラントの上方に位置する第2エアーバッグとを有する、請求項1〜3のいずれかに記載の生体インプラントパッケージ。
  5. 前記第1エアーバッグおよび前記第2エアーバッグは、互いに接続している、請求項4に記載の生体インプラントパッケージ。
  6. 前記収納材、前記少なくとも1つのエアーバッグおよび前記容器のそれぞれが、透明性を有する、請求項1〜5のいずれかに記載の生体インプラントパッケージ。
  7. 前記容器および前記蓋のそれぞれが、菌不透過性を有する、請求項1〜6のいずれかに記載の生体インプラントパッケージ。
  8. 前記少なくとも1つのエアーバッグを前記容器の前記開口部側から前記容器の内部に向けて押さえる板状の押さえ部材をさらに備える、請求項1〜7のいずれかに記載の生体インプラントパッケージ。
  9. 放射線滅菌処理される、請求項1〜8のいずれかに記載の生体インプラントパッケージ。
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