JP3178167B2 - ウインドウパネルの昇降装置 - Google Patents

ウインドウパネルの昇降装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は自動車ドアの昇降自在
なウインドウパネルを昇降させるウインドウパネルの昇
降装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のウインドウパネルの昇降装置とし
ては、例えば図5に示すようなものがある(1991年
6月日産自動車株式会社発行の新型車解説書「Y32型
系車の紹介」D−47参照)。図5は自動車用ドアとし
て、例えば4ドアハードトップのフロントドア1を車室
内側から見てウインドウパネル3の昇降装置5を透視し
たものである。ウインドウパネル3は、ドアパネル7に
対し昇降自在に支持されている。ドアパネル7内にはウ
インドウパネル3を昇降駆動する昇降駆動装置9が設け
られている。
【0003】昇降駆動装置9はレギュレータモータ11
等を備えた駆動部13と、メインアーム15、サブアー
ム17、およびガイドチャンネル19,21などからな
っている。一方のガイドチャンネル19は、前記ウイン
ドウパネル3の下端部に固定され、他方のガイドチャン
ネル21はドアパネル7に固定されている。
【0004】従ってレギュレータモータ11の駆動によ
り、メインアーム15、サブアーム17を介しウインド
ウパネル3をドアパネル7に対して昇降駆動することが
できる。
【0005】一方、前記ドアパネル7内にはガイドレー
ル23が上下方向に沿って配置されている。このガイド
レール23に対しウインドウパネル3の下部に支持され
たガイドローラ25が昇降ガイドされるようになってい
る。
【0006】これらガイドレール23およびガイドロー
ラ25につき図5のVI−VI線矢視断面で示す図6におい
て更に説明する。
【0007】この図6のように、ガイドレール23は断
面がチャンネル材状に形成されており、ドア幅方向(紙
面直交方向)に対向するころがり面26a,26bとド
ア厚方向(紙面左右方向)に対向するガイド面27a,
27bとを有している。このガイドレール23はアッパ
ーブラケット29aとロアブラケット29bとによりド
アパネル7のドアインナーパネル31に取付けられてい
る。
【0008】前記ガイドローラ25は、周面25aがこ
ろがり面26a,26bにころがり案内され、側面25
bがガイド面27a,27bに対向している。このガイ
ドローラ25は、ウインドウパネルの下部に設けられた
支持部材33のピボット33aに支持されている。
【0009】従ってウインドウパネル3が昇降駆動され
るとき、ガイドローラ25がガイドレール23に昇降ガ
イドされる。
【0010】なお、図6において、35はインナースタ
ビライザ、37はアウタースタビライザである。インナ
ースタビライザ35はブラケット39を介してドアイン
ナーパネル31に固定され、アウタースタビライザ37
はドアアウターパネル41に取付けられたドアモール4
3に設けられている。各スタビライザ35,37はウイ
ンドウパネル3を摺接案内する。45はドアトリムであ
る。
【0011】そして上記のような構成により昇降駆動装
置9によってウインドウパネル3をドアパネル7に対し
て昇降駆動することができ、またガイドローラ25をガ
イドレール23によって案内し、かつスタビライザ3
5,37で摺接支持することによりウインドウパネル3
を所定の軌跡に沿って円滑に昇降されることができる。
【0012】図7は、ウインドウパネル3の全閉位置を
決めるストッパを示したもので、ウインドウパネル3側
に第1ストッパ47が設けられ、ドアインナーパネル3
1側に第2ストッパ49が設けられている。そして、ウ
インドウパネル3が上昇して全閉位置となるとき、第1
ストッパ47が第2ストッパ49に当接してウインドウ
パネル3の位置決めが行なわれる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記のよう
な構造の場合、ウインドウパネル3が上昇して全閉位置
になったとき、図6のように、ガイドローラ25とスタ
ビライザ35,37との距離Sを大きく確保することが
難しく、ウインドウパネル3の全閉位置において、その
支持剛性確保が困難となっていた。この結果、例えば高
速走行時の車室内外の空気圧の相違によるウインドウパ
ネル3の吸出量が大きくなり、ウインドウパネル3の変
位に基づく昇降駆動力の増大が極めて大きくなり、大型
の昇降駆動装置が必要になるという問題があった。
【0014】また、上記のように高速走行時ではなくて
も、ウインドウパネル3が全閉状態となるとき車幅方向
へ変位する恐れがある。すなわち、図7のように第1ス
トッパ47が第2ストッパ49に当接するため、両スト
ッパ47,49との間で下向きの力F1が作用し、ガイ
ドチャンネル19とメインアーム15との間で上向きの
力F2が働く。そしてこれらの力F1,F2によってウ
インドウパネル3には車室内側への回転モーメントが働
き、ウインドウパネル3が内倒れしてウインドウパネル
3の全閉位置が安定しないという問題があった。
【0015】そこでこの発明は、簡単な構造でウインド
ウパネル3の全閉位置での支持剛性を高めることができ
るウインドウパネルの昇降装置の提供を目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】ドアパネルに対し昇降自
在なウインドウパネルと、前記ウインドウパネルを昇降
駆動する昇降駆動装置と、前記ドアパネル内に上下方向
に沿って配置され、ドア厚方向に対向するガイド面を有
したガイドレールと、前記ウインドウパネルの下部に支
持され、前記ガイドレールのガイド面間に嵌合し、ガイ
ドレールに沿って昇降ガイドされるガイドローラとを備
え、前記ガイドレールを、前記対向するガイド面の幅が
昇降ガイド用に設定された一般部と、当該一般部の上端
部に連続形成され、前記対向するガイド面の幅が前記一
般部よりも狭く、固定支持用に設定された固定支持部と
で形成し、前記ガイドローラを、前記ウインドウパネル
の下端部に支持され、前記ガイドレールの一般部に昇降
ガイドされるロワガイドローラと、このロワガイドロー
ラの上側で前記ウインドウパネルに支持され、前記ウイ
ンドウパネルの全閉位置で前記ガイドレールの固定支持
部に嵌合する大きさのアッパーガイドローラとで形成し
たことを特徴とする。
【0017】
【作用】ウインドウパネルの全閉位置では、ロワガイド
ローラがガイドレールの一般部のガイド面に嵌合してお
り、かつアッパーガイドローラがガイドレールの固定支
持部のガイド面に嵌合している。従って、ウインドウパ
ネルがロワガイドローラとアッパーガイドローラとの2
箇所で支持されることとなり、その支持剛性が著しく向
上する。ウインドウパネルが下降するときにはアッパー
ガイドローラが固定支持部から外れ、ロワガイドローラ
がガイドレールの一般部によって昇降ガイドされ、一つ
のロワガイドローラによるガイドにより円滑な案内が達
成できる。
【0018】ウインドウパネルが再び全開位置から全閉
位置へ移動するときには、その全閉位置の手前までロワ
ガイドローラのみの案内によってウインドウパネルは上
昇する。そして、全閉位置になる直前からアッパーガイ
ドローラがガイドレールの固定支持部にガイドされるこ
ととなり、上記全閉位置での安定した支持が行なえるの
である。
【0019】
【実施例】以下この発明の実施例を説明する。
【0020】図1はこの発明の一実施例に係るウインド
ウパネルの昇降装置を適用した車両用ドアの一部省略断
面図を示している。この図1は図6と同位置における断
面を示しており、図6と同一構成部分には同符号を付し
重複した説明は省略する。
【0021】一方、この発明実施例ではガイドレール5
0を一般部51と固定支持部53とで形成している。一
般部51は、対向するガイド面55a,55bの幅が昇
降ガイド用に設定されたものである。
【0022】前記固定支持部53はガイド面57a,5
7bが一般部51のガイド面55a,55bの幅よりも
狭く形成されている。一般部51のガイド面55aと固
定支持部53のガイド面57aとは斜面59によって連
続形成されている。一般部51の他方のガイド面55b
と、固定支持部53の他方のガイド面57bとはそのま
ま連続して形成されている。従って、固定支持部53は
一般部51の上端部に連続形成された構成となってい
る。
【0023】このようなガイドレール50によって昇降
ガイドされるガイドローラ61はロワガイドローラ63
とアッパーガイドローラ65とで形成されている。
【0024】ロワガイドローラ63は、ウインドウパネ
ル3の下端部に設けられたロワ支持部材67のピボット
67aに支持され、アッパーガイドローラ65はロワガ
イドローラ63の上側に設けられたアッパー支持部材6
9のピボット69aに支持されている。
【0025】ロワガイドローラ63の側面63bの幅は
前記一般部51のガイド面55a,55b間に嵌合ガイ
ドされる大きさであり、アッパーガイドローラ65の側
面65bの幅はロワガイドローラ63よりも小さく、固
定支持部53のガイド面57a,57bに嵌合支持され
る大きさとなっている。なお、ローラ63,65の周面
63a,65aが、ガイドレール50のころがり面26
a,26bをころがり案内されるのは上記同様である。
【0026】図2は前記固定支持部53の斜視図を示し
ている。このように固定支持部53の一方のガイド面5
7aおよび斜面59はガイドレール50において一般部
51のガイド面55aが固定支持部53に連続する面7
1に一体にプレス成形したものである。
【0027】そしてアッパーガイドローラ65の側面6
5bは中央のガイド面57aと両側のガイド面57bと
の間に嵌合支持されるものとなっている。
【0028】次に作用を説明する。
【0029】ウインドウパネル3が全閉位置において、
図1、図3のようにロワガイドローラ63が一般部51
のガイド面55a,55bに嵌合支持され、アッパーガ
イドローラ65が固定支持部53のガイド面57a,5
7bに嵌合支持されている。従ってウインドウパネル3
の全閉位置での支持剛性は主に両ガイドローラ63,6
5とガイドレール50とによって確保することができ
る。但し、図1で示すスタビライザ35,37も支持剛
性に寄与することは勿論である。
【0030】従って、ウインドウパネル3の全閉位置に
おける支持剛性をアッパーガイドローラ65の追加によ
って著しく向上させることができる。このため、高速走
行時にあってはガラス吸出量が抑制され、ウインドウパ
ネル3の昇降駆動も無理なく行なうことができ、昇降駆
動装置の大型化を抑制することができる。
【0031】また、ウインドウパネル3が全閉位置のと
き前記図7のように力F1,F2が働き回転モーメント
が作用しても、ウインドウパネル3の内倒れは抑制さ
れ、建付け精度の向上により全閉位置が極めて安定す
る。
【0032】次にウインドウパネル3を下降させて開く
ときには、図3鎖線図のようにアッパーガイドローラ6
5が固定支持部53から外れ、ロワガイドローラ63の
みがガイドレール50の一般部51に昇降ガイドされる
こととなる。なお、アッパーガイドローラ65がころが
り面26a(26b)をころがることには変わりがな
い。こうしてウインドウパネル3の昇降軌跡を、図1に
おいてウエザーストリップ38、スタビライザ35,3
7及びロワガイドローラ63、ガイドレール50によっ
て決めることが可能であり、ウインドウパネル3の昇降
駆動を円滑に行なわせることができる。
【0033】このとき、ウインドウパネル3の支持剛性
はスタビライザ35,37とロワガイドローラ63、ガ
イドレール50によって決まるが、スタビライザ35,
37とロワガイドローラ63とのスパンは十分大きなも
のとなっており、十分な支持剛性を確保することができ
る。
【0034】ウインドウパネル3を再び全閉位置とする
場合には、アッパーガイドローラ65が斜面59に案内
されて固定支持部53へ円滑に移行することが可能であ
る。
【0035】図4は他の実施例を示している。
【0036】この実施例は、固定支持部53のガイド面
57aを樹脂クリップ73で構成したものである。樹脂
クリップ73は、ガイド面57a、斜面59を有し、側
面75a,75bはガイドレール50のころがり面26
a,26bに嵌合するように形成されている。樹脂クリ
ップ73の側面75a,75bには、その上端部に係合
フック79a,79bが設けられている。樹脂クリップ
73の背面には断面T字状の嵌合部81が設けられてい
る。
【0037】前記ガイドレール50は、一般部51から
固定支持部53に至るまで同一断面で形成され、面71
に前記樹脂クリップ73の嵌合部81が嵌合する切欠部
83が設けられている。
【0038】そして、樹脂クリップ73の側面75a,
75bがガイドレール50のころがり面26a,26b
に嵌合され、係合フック79a,79bがガイドレール
50の上端に係合すると共に、嵌合部81が切欠部83
に係合することにより、樹脂クリップ73がガイドレー
ル50の上端に取付けられる。これによって固定支持部
53にガイド面57a、斜面59が形成されることとな
る。
【0039】従って、この実施例によっても固定支持部
53の存在によって前記同様の作用効果を奏することが
できる。しかも、ガイド面57aと斜面59とを別体の
樹脂クリップ73で構成したからガイド面57a及び斜
面59の設定が容易となる。また、ガイド面57a及び
斜面59はガイドレール50の幅方向全体に設けられて
いるのでアッパーガイドローラ65の支持をより安定し
て行なわせることができる。ガイド面57aが樹脂クリ
ップ73で構成されるので、アッパーガイドローラ65
の移行もより円滑に行なわれ、樹脂クリップ73の交換
も容易である。
【0040】
【発明の効果】以上より明らかなようにこの発明の構成
によれば、ウインドウパネルの全閉位置でロワガイドロ
ーラとアッパーガイドローラとをガイドレールの一般部
と固定支持部との双方で支持するようにしたので支持剛
性が著しく向上し、昇降駆動力の低減を図ることができ
ると共に、全閉位置での建付け精度が向上し、安定した
全閉位置にすることができる。
【0041】ウインドウパネルを昇降させるときにはア
ッパーガイドローラが固定支持部から外れるのでアッパ
ーガイドローラ及び固定支持部がないものと同様な昇降
作用を行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例に係る断面図である。
【図2】要部の拡大斜視図である。
【図3】作用説明図である。
【図4】他の実施例に係る要部の拡大斜視図である。
【図5】従来例に係る自動車用ドアの透視図である。
【図6】図5のVI−VI線矢視における一部省略の断面図
である。
【図7】ストッパを説明する断面図である。
【符号の説明】
1 フロントドア 3 ウインドウパネル 7 ドアパネル 50 ガイドレール 51 一般部 53 固定支持部 55a,55b,57a,57b ガイド面 59 斜面 61 ガイドローラ 63 ロワガイドローラ 65 アッパーガイドローラ

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ドアパネルに対し昇降自在なウインドウ
    パネルと、 前記ウインドウパネルを昇降駆動する昇降駆動装置と、 前記ドアパネル内に上下方向に沿って配置され、ドア厚
    方向に対向するガイド面を有したガイドレールと、 前記ウインドウパネルの下部に支持され、前記ガイドレ
    ールのガイド面間に嵌合し、ガイドレールに沿って昇降
    ガイドされるガイドローラとを備え、 前記ガイドレールを、前記対向するガイド面の幅が昇降
    ガイド用に設定された一般部と、当該一般部の上端部に
    連続形成され、前記対向するガイド面の幅が前記一般部
    よりも狭く、固定支持用に設定された固定支持部とで形
    成し、 前記ガイドローラを、前記ウインドウパネルの下端部に
    支持され、前記ガイドレールの一般部に昇降ガイドされ
    るロワガイドローラと、このロワガイドローラの上側で
    前記ウインドウパネルに支持され、前記ウインドウパネ
    ルの全閉位置で前記ガイドレールの固定支持部に嵌合す
    る大きさのアッパーガイドローラとで形成したことを特
    徴とするウインドウパネルの昇降装置。
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