JP3177701U - 巻線ホルダ及び理科教材 - Google Patents

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Abstract

【課題】金属線を小型のコイルボビンに多数回手巻きすることが容易な巻線ホルダを提供する。
【解決手段】所定の曲率中心Oに基づいて、同一半径R1の円弧面SFを有する円環部30と、円環部30の円弧面から内向きに窪んだ係止面ENを有する係止部31とが、径方向に伸縮可能な幅寸法を有して一体的に連設されることで、全体として略リング形状に形成される。係止面ENの間の最短距離Lは、多数巻して略円形に束ねられたコイル巻線の最大内径とほぼ同一に設定されていることで、巻線ホルダHDに保持されたコイル巻線が、もとの束ね形状をほぼ維持する。
【選択図】図3

Description

本考案は、コイルボビンにコイル巻線を手巻きする場合に、円滑にコイル巻線を巻き出すことができる巻線ホルダ、及び巻線ホルダを含んだ理科教材に関する。
小学校の理科実験として、電流と電磁石に関する組立実験が実施されることがある。この理科実験では、直径1cm程度の小型のコイルボビンに、エナメル線などのコイル巻線を手巻きして電磁石を製作している。そして、電磁石のコイル巻線に電流を流すと、鉄くぎや方位磁針などを引き付けることができることを体験させている。また、電流の方向が変ると、方位磁針の移動方向が変ること、或いは、コイル巻線の巻線が増えると、強力な磁石となることなどを確認することができる。
上記の理科実験では、コイル巻線として、それ程細くない直径0.5mm程度のエナメル線を使用する上に、必要な磁力を得るためには、小型のコイルボビンに100回程度はエナメル線を手巻きする必要があるので、この手巻き作業が簡単ではないという問題があった。すなわち、コイル状に束ねたエナメル線を巻き取りながら、これを小型のコイルボビンに繰り返し手巻きすると、その途中でエナメル線が折り返されて解れたり絡まることで、図6(b)のように、複雑に絡まった形状に変形してしまうことがあった。
このような場合、変形したエナメル線を元の形状に復帰させる必要があるが、この復帰作業のために、折角、途中まで巻いたエナメル線がコイルボビンから緩んでしまうこともあり、このような場合には、もう一度、最初から巻き直すことになった。そして、あまり器用ではない生徒は、このようなやり直し作業を繰り返すこともあり、その結果、やる気を無くしてしまい、折角の教材を活用できない場合もあった。
本考案は、上記の問題に鑑みてなされたものであって、金属線を小型のコイルボビンに多数回手巻きすることが容易な巻線ホルダ、及びこれを使用する理科教材を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するため、本考案は、コイルボビンに多数回巻かれるコイル巻線を、巻き出し可能に保持する巻線ホルダであって、第一方向とこれに直交する第二方向に伸縮可能な幅寸法を有して、全体として閉じた形状に形成され、この閉じた形状の一部を内向きに変形させることで、一対の係止部が形成され、前記一対の係止部の最小離間距離は、多数巻して略円形に束ねられたコイル巻線の装着状態において、その最大内径とほぼ同一に設定され、巻線ホルダに保持されたコイル巻線が、略円形の束ね形状をほぼ維持するよう構成されている。
本考案において、略円形とは、真円形状に限らず、楕円形、長円形、角の丸い矩形など、角のない丸みのある形状を意味する。本考案では、コイル巻線の束ね形状がこのような略円形である場合に、巻線ホルダに保持された後も、もとの束ね形状をほぼ維持するので、コイル巻線を巻き出しても絡まることがない。すなわち、一体化された巻線ホルダ及びコイル巻線が、全体として略円形の丸みを維持するので、巻線ホルダ及びコイル巻線が適宜に転がって、コイル巻線が円滑に巻き出される。
また、第一方向や第二方向に伸縮可能な幅寸法を有して構成されているので、コイル巻線の巻線ホルダへの取り付けに困難はない。なお、本考案は、少なくとも一対の係止部を設けることを趣旨としており、二対以上の係止部を設けることを何ら禁止しない。
本考案の巻線ホルダは、典型的には、図3に示すような略リング形状であり、第一方向の対称位置に形成される外側部は、所定の曲率中心に基づいて、同一半径の円弧面を有する円環部で構成され、第二方向の対称位置に形成される内側部は、円環部の円弧面から内向きに窪んだ係止面を有する係止部で構成されることで、全体として略リング形状に形成されるのが好ましい。
但し、略リング形状に限定されるものではなく、図9に示すような屈曲形状としても良い。この場合も、第一方向と第二方向に伸縮可能な幅寸法を有して一体的に連設され、閉じた形状の一部を内向きに変形させることで、一対の係止部が形成されている。
本考案は、好ましくは、合成樹脂材料によって一体成形されている巻線ホルダであって、前記係止部は、略リング形状の二箇所にだけ設けられているのが簡易的である。また、前記係止部の係止面の全部又は一部は、略リング形状の外側に曲率中心が位置する逆曲率の円弧面を有して形成されているのが典型的である。
前記コイルボビンは、好適には、コイル巻線が巻かれる円筒本体部と、円筒本体部の両端に位置して外方に延びるフランジ部と、を有して構成され、前記フランジ部には、コイル巻線が通過可能な貫通穴と、コイル巻線を巻き取り可能な係止溝とが設けられているべきである。
また、コイル巻線の手巻き作業時に、コイルボビンと一体化されて使用される補助部材は、開口を有する板状に形成された本体部と、本体部から第一方向に突出してコイルボビンの中に挿入可能な突出軸部と、本体部から第一方向に略直交して形成された延設部とを有して構成され、前記延設部には、コイル巻線を巻き取り可能な係止溝が形成されているのも好適である。
また、本考案は、請求項1〜請求項5の何れかに記載のコイルボビンと巻線ホルダとコイル巻線とを含んで構成された理科教材でもある。あるいは、請求項1〜請求項5の何れかに記載のコイルボビンと巻線ホルダとを含むと共に、請求項6に記載の補助器具を更に含んで構成された理科教材でもある。
上記した本考案によれば、金属線を小型のコイルボビンに多数回手巻きすることが容易な巻線ホルダ、及びこれを使用する理科教材を実現することができる。
実施例に係る理科教材の一部を示す図面である。 コイル巻線とコイルボビンを示す図面である。 巻線ホルダを示す図面である。 巻線ホルダの使用方法を説明する図面である。 コイルボビンにコイル巻線を手巻きする方法を説明する図面である。 従来の理科教材の問題点を説明する図面である。 巻線ホルダの変形構成を示す図面である。 補助部材の変形構成を示す図面である。 巻線ホルダの変形構成を示す図面である。
以下、実施例に基づいて本考案を更に詳細に説明する。図1〜図3は、実施例に係る理科教材の一部を示す斜視図であり、この理科教材は、例えば、小学校の「電流と電磁石」の理科実験で使用される。
図1に示す通り、この理科教材は、多数巻して略楕円状に束ねられたコイル巻線WRと、コイル巻線WRが手巻きされるコイルボビンBOBと、コイル巻線WRを巻き出し可能に保持する略リング状の巻線ホルダHDと、電磁石の製作時にコイルボビンBOBの貫通穴HOに挿入される補助部材SUBと、電磁石の完成後にコイルボビンBOBの貫通穴HOに挿入される磁性コアCOとが示されている。
ここで、コイルボビンBOB、巻線ホルダHD、及び、補助部材SUBは、何れも、合成樹脂による一体成形品として構成されている。そして、理科実験では、コイル巻線WRの巻かれたコイルボビンBOBの貫通穴HOに、円柱形状の磁性コアCOが挿入されることで電磁石として完成状態となる。
コイル巻線WRは、例えば、直径0.5mm程度のエナメル線であって、略円形又は略楕円形に巻き束ねた状態で提供される。但し、図示例では、巻き回数が40〜50回であって、巻き束ねた内径寸法が、6cm程度の長径Φ1と、3cm程度の短径Φ2となる略楕円形となっている(図2参照)。
図2に示す通り、コイルボビンBOBは、外径寸法が1cm程度の円筒本体部1と、円筒本体部1の両端に位置する同一形状のフランジ部2A,2Bとで構成されている。フランジ部2A,2Bは、やや肉厚で略直角形状の角型本体部20と、角型本体部20から上下に連設された薄肉の連設部21とに区分される。
そして、上側の連設部21には、コイル巻線WRが通過可能な通過穴3と、コイル巻線WRを係止可能な上部係止溝4と、コイル巻線を巻回可能な左右係止溝5,6とが形成されている。
補助部材SUBは、図1に示す通り、矩形状の開口を有する矩形本体部10と、矩形本体部10から使用時の水平方向に突出する円柱形状の突出軸部11と、突出軸部11に直交して延設された延設部12と、突出軸部11の基端に形成された円盤フランジ13と、を有して構成されている。
延設部12には、コイル巻線WRを巻き取り可能な係止溝GV,GVが左右方向に形成されている。また、突出軸部11の外径寸法は、コイルボビンBOBの貫通穴HOの内径寸法にほぼ一致して、やや細く形成されている。
そのため、補助部材SUBの突出軸部11を、コイルボビンBOBの貫通穴HOの限界位置まで挿入すると、コイルボビンBOBと補助部材SUBとが固定的に一体化されることで、コイル巻線WRの手巻き作業が容易化される。なお、突出軸部11を限界位置まで挿入すると、突出軸部11の全体が、コイルボビンBOBの貫通穴HOに埋没され、補助部材SUBの円盤フランジ13が、コイルボビンBOBの円筒本体部1の基端面に当接される。
図3に示す通り、巻線ホルダHDは、曲率中心Oに基づいて、同一の外径寸法の円弧面SFを形成する左右の円環部30,30と、円環部30の円弧面SFから内向きに窪んだ係止面ENを有する係止部31,31とを有して、全体として略リング形状に一体成形されている。
ここで、円環部30及び係止部31とも、断面視が薄板状であり、図3のA−A断面図に示す通り、その外周縁は、全周にわたって、直角を回避する面取り形状になっている。
また、円環部30及び係止部31とも、径方向に伸縮可能な幅寸法を有している。そのため、例えば、図3(b)の上下方向や左右方向に、多少伸縮させることができ、巻線ホルダHDを第一方向に縮小させると、これに対応して、その巻線ホルダHDが第二方向に伸張される。
円環部30は、その中央部を除いて、円弧面SFを形成する第一半径R1の外周面と、第一半径R1より短い第二半径R2の内周面とで、径方向に同一の板幅に形成されている。一方、円環部30の中央部には、板幅が増加する補強リブRVが形成されており、上記した伸縮時の変形強度を確保している。
係止部31の外周面を構成する係止面ENは、前記の通り、円環部30の円弧面SFから内向きに窪んで形成されており、その全部又は一部が、第三半径R3の円弧面となっている。また、係止部31の内周面は、その全部又は一部が、第三半径R3より大きい第四半径R4の円弧面となっている。
なお、係止部31の外周面や内周面を構成する円弧面は、円環部30の外周面SFとは逆曲率であり、巻線ホルダHDの外側に曲率中心を有している。
ところで、円環部30の外周面SFの直径2*R1(外径寸法)は、巻き束ねられたコイル巻線WRの最大内径Φ1よりやや長く設定されている。一方、径方向一方側と他方側に位置する一対の係止部31の係止面ENの間の最短距離Lは、コイル巻線WRの最大内径Φ1とほぼ同一に設定されている。但し、巻線ホルダHDに多少の伸縮性がある上に、巻き束ねられたコイル巻線WRは、その形状を変形させることもできるので、コイル巻線WRを適切に保持することができる。
以下、この点を図4に基づいて説明する。巻線ホルダHDの外径寸法(2*R1)は、コイル巻線WRの最大内径Φ1よりやや長く設定されているので、そのままでは、コイル巻線WRの内部に巻線ホルダHDを配置することはできない。
そこで、図4(a)に示すように、例えば、下方の係止部31に、巻き束ねられたコイル巻線WRを固定させた状態で、コイル巻線WRを時計方向に回転させる。すると、楕円状に巻き束ねられたコイル巻線WRが、径方向外向きにやや伸張されると共に、巻線ホルダHDが径方向内向きに収縮されることで、コイル巻線WRを上方の係止部31に滑り込ませることができる(図4(b)参照)。
なお、この取付け作業では、必要に応じて、コイル巻線WRの巻き束ね形状を、図示の上下方向に広げて、より細長い楕円形状に変形させても良い。また、コイル巻線WRを巻線ホルダHDに滑り込ませた後、コイル巻線WRの楕円形状を、幅方向に広げて、より丸い円形状に近づけることで、保持状態を確実化することもできる。
何れにしても、下方の係止部31にコイル巻線WRの一端を固定させた状態で、コイル巻線WRの他端を上方の係止部31に滑り込ませると、巻き束ねられたコイル巻線WRが、巻き出し可能に巻線ホルダHDに保持される(図4(c)参照)。そして、コイル巻線WRが巻き出されるに応じて、巻き束ねられたコイル巻線WRと巻線ホルダHDとが一体的に転がることで、コイル巻線が絡まったり、折り返されることが防止される。
図5は、補助部材SUBと一体化されたコイルボビンBOBにコイル巻線WRを手巻きする状態を示す図面である。この場合には、コイル巻線WRをコイルボビンBOBの通過穴3を通した後に、補助部材SUBの係止溝GVに複数回巻き付けることで、手巻き作業を開始することができる。そして、補助部材SUBを保持した状態で、コイルボビンBOBの円筒本体部1にコイル巻線WRを必要回数だけ手巻きする。
この場合、巻き束ねられたコイル巻線WRと巻線ホルダHDとが一体的に転がるので、コイル巻線WRを支障なく巻き出して、手巻き作業を円滑に続けることができる。なお、突出軸部11の外径寸法が、コイルボビンBOBの貫通穴HOの内径寸法にほぼ一致して、両者が一体化されているので、コイル巻線WRをコイルボビンBOBに強く締め付けても、コイルボビンBOBが回るおそれは無い。
以上、本考案の実施例について具体的に説明したが、具体的な記載内容は特に本考案を限定する趣旨ではなく、適宜に変更可能である。
例えば、巻線ホルダHDは、全体として閉じた形状であれば、各部の形状は特に限定されない。特に、係止部31の形状は適宜であり、その個数も必ずしも二個である必要はなく、適宜な偶数個であっても良い。また、円環部30の形状も適宜に変更することができ、例えば、補強リブRVを省略しても良い。図7は、このような変形構成の巻線ホルダを図示したものであり、正面図と、側面図と、平面図と、斜視図とを示している。
また、補助部材SUBの形状も適宜であり、例えば、図8のような形状であっても良い。この変形例では、矩形本体部10の開口が小さく、開口上部は、板材で埋められている。一方、突出軸部11は、単純な円柱形状ではなく、水平方向に貫通する切込み溝が形成されている。そのため、突出軸部11は、やや圧縮状態でコイルボビンBOBの貫通穴HOに挿入されることになり、加圧状態で貫通穴HOに埋没するので、補助部材SUBとコイルボビンBOBとの一体強度に優れている。
更にまた、巻線ホルダHDは、必ずしも、略リング状である必要はなく、例えば、図9のような屈曲形状でも良い。この場合、使用時に横方向となる左右一対の外側部30,30と、使用時の縦方向となる上下一対の内側部31,31とが、上下左右に伸縮可能な幅寸法を有して一体的に連設されている。そして、内側部31に形成された上下溝40,40が、コイル巻線WRの係止部として機能する。なお、図示例では、横長形状となっているが、縦長形状であっても良いのは勿論である。
HD 巻線ホルダ
WR コイル巻線
O 曲率中心
R1 同一半径R1
SF 円弧面
30 円環部
EN 係止面
31 係止部
L 係止面の間の最短距離
Φ1 コイル巻線の最大内径
本考案の巻線ホルダは、典型的には、図3に示すような略リング形状であり、第一方向には、所定の曲率中心に基づいて、同一半径の円弧面を有する一対の円環部が形成され、第二方向には、円環部の円弧面から内向きに窪んだ係止面を有する一対の係止部が形成されることで、全体として略リング形状に形成されるのが好ましい。
また、本考案は、請求項1〜請求項4の何れかに記載のコイルボビンと巻線ホルダとコイル巻線とを含んで構成された理科教材セットでもある。あるいは、請求項1〜請求項4の何れかに記載のコイルボビンと巻線ホルダとを含むと共に、電磁石の製作時にコイルボビンの貫通穴に挿入される補助部材を更に含んで構成された理科教材セットでもある。

Claims (6)

  1. コイルボビンに多数回巻かれるコイル巻線を、巻き出し可能に保持する巻線ホルダであって、
    第一方向とこれに直交する第二方向に伸縮可能な幅寸法を有して、全体として閉じた形状に形成され、この閉じた形状の一部を内向きに変形させることで、一対の係止部が形成され、
    前記一対の係止部の最小離間距離は、多数巻して略円形に束ねられたコイル巻線の装着状態において、その最大内径とほぼ同一に設定され、巻線ホルダに保持されたコイル巻線が、略円形の束ね形状をほぼ維持するよう構成されていることを特徴とする巻線ホルダ。
  2. 第一方向の対称位置に形成される外側部は、所定の曲率中心に基づいて、同一半径の円弧面を有する円環部で構成され、
    第二方向の対称位置に形成される内側部は、円環部の円弧面から内向きに窪んだ係止面を有する係止部で構成されることで、全体として略リング形状に形成されている請求項1に記載の巻線ホルダ。
  3. 合成樹脂材料によって一体成形されている巻線ホルダであって、
    前記係止部は、略リング形状の二箇所にだけ設けられている請求項2に記載の巻線ホルダ。
  4. 前記係止部の係止面の全部又は一部は、略リング形状の外側に曲率中心が位置する逆曲率の円弧面を有して形成されている請求項2又は3に記載の巻線ホルダ。
  5. 請求項1〜請求項4の何れかに記載のコイルボビンと巻線ホルダとコイル巻線とを含んで構成された理科教材。
  6. 請求項1〜請求項4の何れかに記載のコイルボビンと巻線ホルダとを含むと共に、請求項5に記載の補助器具を更に含んで構成された理科教材。
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