JP3174578U - 大径スリップ・リング用の流体付与容器 - Google Patents

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Abstract

【課題】流体を選択的に、特にブラシの慣らし処理時に付与するための流体付与容器を備えた繊維先端接触式のブラシを提供する。
【解決手段】ローターとステーターとの間に電気接点を形成して両者間で電力や信号を伝達できるようにするスリップ・リングにおいて、高い電流密度、長寿命および高いローター表面速度を実現する。ステーター21側のブラシ・チューブ24内に、多数の繊維26で構成された繊維束が取付けられる。ブラシ・チューブの一部分がクリンプ(捲縮)またはスエージ加工されて繊維束を保持する。繊維束はブラシ・チューブから下方へ延在し、ローター22と係合される。ブラシ・チューブの一部分を取囲み、下方へ延在するコリメーター・チューブ25に流体容器28が取付けられ、容器内の潤滑剤等が繊維束に徐々に付与される。流体容器は多孔質材料の部材とされ得る。
【選択図】図1

Description

本考案は、一般に、ローターとステーターとの間で電力および(または)信号(複数を含む)を伝達し合うためのスリップ・リングに関し、また、さらに詳しくは、低コストであるうえに従来のスリップ・リング技術によって高い電流密度、長寿命および高いローター表面速度を実現可能にする大径スリップ・リングの改良に関するものである。
ローターとステーターとの間で電力および(または)信号を伝達するために、電気的スリップ・リングが使用されている。これらの装置は多くのさまざまな軍事用および民間用の適用装置、例えば太陽光アレー駆動機構、航空機およびミサイルのガイド・プラットフォーム、海中ロボット、CATSCANシステム等に使用される。それらの適用装置の幾つかにおいて、スリップ・リングは他の回転要素、例えばトルク・モーター、リゾルバおよびエンコーダと一緒に使用されている。電気的スリップ・リングはプラットフォームの回転軸線上に配置されるように設計されるか、電気接点を軸線から外して配置する開放穴を有するように設計されねばならない。したがって、これらの呼称をそれぞれ「オン−アクシス」および「オフ−アクシス」のスリップ・リングとする。スリップ・リングのローターの直径は数ミリメートル〜数メートル(数分の一インチ〜数フィート)の範囲であり、角速度は1回転/日〜約20000回転/分で変化される。それらの適用装置の全てにおいて、ローターとステーターとの間の電気接点は、(1)高表面速度において断続することなく電力および(または)信号(複数を含む)を伝達すること、(2)長期の磨耗寿命を有すること、(3)電気的ノイズを低レベルに維持すること、および(4)多数の回路を最小限の体積にパッケージできる物理的寸法であること、が必然とされる。
電気的および機械的な接触の物理現象を最も効果的に管理することで、ほとんどの要求条件に合致することになる。例えば、適用装置が、CATSCANガントリー(骨組み)内のX線管を患者の身体の回りに回転できるようにするオフ−アクシス式スリップ・リングであるならば、電気接点は約100〜200アンペア(サージ(瞬間電流)は数百アンペアとなる)を流せ、大体1300センチメートル(500インチ)/秒の表面速度で作動でき、1億回転の耐久性があり、また、ガントリー内で最小限の体積しか占有しないように設計されねばならない。直径が約180センチメートル(約6フィート)の装置で1億回転の要求条件に合致するには、摩擦熱を最小限に抑えるために、また、ブラシとリングとの間に多数の接点を維持して要求電流密度を得るために、ブラシ作用力は小さくなければならない。
ローターとステーターとの間の電気接点の4つの形式には、(1)片持ち式ばねに取付けられた複合固体材料ブラシ、(2)ローターと接線方向に係合する単繊維金属合金ブラシ、(3)束ねられてローターと接線方向に係合する複数の個別繊維を有する繊維ブラシ、および(4)ブラシとローターとの間の繊維先端接点が含まれる。各形式の接点に関する接触力、表面速度および潤滑方式は表1に概説されている。表1は、ブラシ作用力が1グラム超の場合に接触摩擦熱を減少させるためにこれまで典型的に要求されてきた潤滑方式も示している。
Figure 0003174578

* 犠牲グラファイト・フィルムでは、ブラシおよびリング表面がブラシからリングへ与えられるグラファイトの膜によって潤滑される。磨耗材料はブラシからのグラファイトで置き換えられる。
** 境界潤滑では、境界面の潤滑膜が接点部材間の荷重の一部を支える。金属の複数点が接点部材間の残りの荷重を支え、電流担持能力を与える。
*** 偶然発生フィルムとは、軽荷重のもとで接点部材間の摩擦係数を減少させることのできる材料の非常に薄い膜である。
電気接点の摩擦特性と、適用装置の要求条件に合致させる潤滑の正しい選択とが極めて重要である。例えば、接点が宇宙での応用装置に使用されるならば、潤滑は地上で使用されるおよび装置の要求条件の全てに合致しなければならず、また、低い蒸気圧を有していなければならない。接点が長寿命の要求条件を有するならば、接点領域に塵、磨耗屑および他の汚染物が蓄積して寿命と信号伝達とに問題を生じることになり得る。しかしながら、電気接点部材が約1グラム以下の作用力を与えられるならば、潤滑剤およびそれと関連する複雑さは避けられる。
数年にわたり、潤滑剤を使用することなく高い表面速度に合致させるために、リングに対して接線方向に配向される繊維ブラシが満足に使用されてきた。
或る状況のもとでは、ブラシの初期慣らし処理時に潤滑を行うことは望ましい。さらに、加えられる流体は潤滑剤とされるか、化学蒸気放出剤、防食用抑止剤、または放電を防止する高い絶縁耐力を有する材料とされる。
米国特許出願公開第2005/0280329号明細書 特開2000−66487号公報 特表2002−506608号公報
したがって、本考案の目的は、流体を選択的に、特にブラシの慣らし処理時に付与するための流体付与容器を備えた繊維先端接触式のブラシを提供することである。
上記の課題を解決するために、本考案は、ステーターとローターとの間に電気接点を形成するようになされたスリップ・リングであって、前記ステーターに取付けられた電流伝達導体と、前記電流伝達導体に取付けられたブラシ・チューブと、多数の個々のファイバーで構成された繊維束であって、前記繊維束の上端部分は前記ブラシ・チューブ内に受止められ、前記ブラシ・チューブの一部分はその内側の前記繊維束の上端部分を保持するためにクリンプ(捲縮)またはスエージ加工され、前記繊維束の下端部分は前記ブラシ・チューブを超えて延在して前記ローターと係合するようになされる繊維束と、前記ブラシ・チューブを越えて延在するコリメーター・チューブであって、前記コリメーター・チューブの下端は、前記ステーターに対して前記ローターが回転するときに前記繊維束の前記下端部分の横方向の動きを制限するようになされるコリメーター・チューブと、前記コリメーター・チューブに取付けられた流体容器とを含むスリップ・リングを提供する。
流体容器はコリメーター・チューブの内側に取付けられ、ブラシ・チューブと同心とされる。コリメーター・チューブとブラシ・チューブとの重なる長さは調整可能とされる。
流体容器は多孔質材料、例えばナイロン、適当な織物充填フェノール、多孔質グラファイト、セラミックス、軸受青銅等で形成され得る。流体容器は流体を収容し、その流体を長期間にわたって付与するように構成される。流体は潤滑剤、腐食抑止剤、または放電を防止する高い絶縁耐力を有する材料、または他の何れかの流体とされ得る。
固定されたコリメーター内に流体容器を組み込んだ第1の形態の繊維先端接触式ブラシの概略図であり、ローターは反時計方向に回転するものとして示している。 改良された繊維先端接触式ブラシの第2の形態の概略的な垂直断面図であり、流体容器はブラシ・チューブに調整可能に取付けられたコリメーター内に配置されているとして示し、ローターは時計方向に回転するものとして示している。
最初に、符号は、図1、2を通して一貫して同じ構造要素、部分または面をしており、それらの構造要素、部分または面は、明細書にさらに説明または表明されること、その明細書の詳細な説明は不可欠な部分であることを明確に理解しなければならない。別に指示がなければ、図面は、明細書と一緒に読取られるべきと意図され(例えば、クロスハッチ箇所、部品構造、大きさ、角度等)、また本考案の記載された全説明の一部分であると考えるべきである。以下の説明で使用されるように、用語「水平」「垂直」「左」「右」「上」「下」、並びにそれらの形容詞形および副詞形の派生語(例えば、「水平に」「右方向に」「上方向に」等)は、特定の図面が読者に向いた状態での図示構造の配向を簡単に示す。同様に、用語「内側」および「外側」は一般に、適当とされる長手方向の軸線または回転軸線に対する表面の配向を示す。
図面を参照し、本考案は流体付与容器を有する改良されたスリップ・リングを広く提供する。
この一般的な形式のスリップ・リングは、米国特許出願公開第2005/0280329号明細書(特許文献1)に開示されている。
図1に最もよく示されているように、全体を符号20で示される改良されたブラシは、ステーター21に取付けられてローター22と係合するものとして示され、ローターは反時計方向に回転するものとして示されている。さらに詳しくは、改良されたブラシはステーターから片持ち式に外方へ延在するアーム23を有し、また、そのアームの先端から垂下するブラシ・チューブ24を有する。コリメーター25はブラシ・チューブ24から下方へ延在している。幾つかを符号26で示す複数の個々の繊維を含む繊維束が米国特許出願公開第2005/0280329号明細書(特許文献1)に開示されている方法でブラシ・チューブ内にクランプ(緊縮)、クリンプ(捲縮)、または他の方法で固定されている。図1では、ブラシ・チューブ24およびコリメーター25は単一のチューブ部品で形成され、図示形状となるように適当に曲げ形成されるか、他の方法で変形される。
このブラシは、全体を符号28で示される環状の流体容器を含み、この容器はブラシ・チューブよりも下方で、個別繊維の中間部分を取巻くようにコリメーターに取付けられる。
この流体容器は適当な多孔質材料、例えばナイロンで形成される。そのような材料は、ドイツ国、ベルギッシュ・グラドバッハ51469、アン・デル・ツィンクヒュッテ17、ポリトロン・クンストストッフテクニク・ゲーエムベーハー&Co.社により「ニラシント(Nylasint)」(登録商標)として販売されている。「ニラシント」は、合成ポリメリック粉末を充填し、または充填しないで形成された合成ポリメリック粉末状の多孔質および無孔質のプレスまたは焼結された製品である。この多孔質材料は適当な流体、例えば潤滑剤、腐食抑止剤、放電を防止する高い絶縁耐力を有する流体等を含浸される。他の種類の材料は、織物充填フェノール、多孔質グラファイト、セラミックス、軸受青銅等を含み(これに限定するものではない)、「ニラシント」の代わりに使用できる。流体容器の寸法形状は、適宜に設計できる。換言すれば、容器の寸法形状は、必要に応じてブラシの初期の作動期間、または長期間にわたって、流体を付与できるように調整することができる。潤滑剤が使用されるならば、これは初期のブラシの慣らし処理を助成でき、ブラシ面を磨耗させ、すなわちローターの形状に順応させることができる。
図2は代替実施例を示す。図2では、改良されたブラシは全体を符号30で示されている。ブラシ30は、上述のブラシ20の実質的な鏡像である。ブラシ30はステーター31に取付けられ、ローター32に係合するように示されている。図2において、ローターは時計方向へ回転する。このブラシは、ステーターから右方向に延在するアーム33を含む。ブラシ・チューブ34およびコリメーター35はアームの右側の先端部分に支持されている。しかしながら、ブラシ・チューブ24およびコリメーター25が図1で一体形成されていることに対して、図2では、それらは別々の部材として形成され、したがってコリメーター・チューブはブラシ・チューブの下端部分と重ねられている。さらに詳しくは、ブラシ・チューブ上に重なるコリメーター・チューブの長さは図2では選択的に調整することができる。幾つかを符号36で示している個々の複数の繊維を含む繊維束は、ブラシ・チューブ内に取付けられる。環状容器38はコリメーター・チューブの下端部分に取付けられる。繰り返すが、容器の特定の寸法、形状および形態は特定の適用例および要求に適うように変化させることができる。第1の形態と同様に、環状容器38はニラシント(登録商標)のような多孔質材料とされて、液体潤滑剤を含浸される。これに代えて適当な化学薬品が含浸されて、化学蒸気を放出したり、放電防止を助成するための高絶縁耐力添加剤を付与したり、同様なことを行うようにすることができる。
(変更例)
本考案は多くの変更および変形をなし得る。例えば、流体容器が実質的に四角形の横断面を有する環状の円筒リングであるとして示されているが、容器は同様に他の形状および形態として形成することができる。容器は多孔質ナイロンのような多孔質材料で形成されることが好ましいとされたが、容器は同様に他の材料で形成することができる。使用流体は、潤滑剤、化学蒸気発生源、放電防止のための高い絶縁耐力を有する流体等とされることができる。容器は、同様に他の種類の流体を含浸されることができる。スリップ・リングの寸法は、添付の特許請求の範囲の記載における制限条件と考えるべきではない。
本考案を図示し説明して幾つかの変更例を論じたが、特許請求の範囲の記載により定められた本考案の精神から逸脱することなく、さまざまな付加的な変形および変更が行われ得ることを当業者は容易に認識するであろう。

Claims (12)

  1. ステーターとローターとの間に電気接点を形成するようになされたスリップ・リングにおいて、
    前記ステーターに取付けられた電流伝達導体と、
    前記電流伝達導体に取付けられたブラシ・チューブと、
    多数の個々のファイバーで構成された繊維束であって、前記繊維束の上端部分は前記ブラシ・チューブ内に受止められ、前記ブラシ・チューブの一部分はその内側の前記繊維束の上端部分を保持するためにクリンプ(捲縮)またはスエージ加工され、前記繊維束の下端部分は前記ブラシ・チューブを超えて延在して前記ローターと係合するようになされる繊維束と、
    前記ブラシ・チューブを越えて延在するコリメーター・チューブであって、前記コリメーター・チューブの下端は、前記ステーターに対して前記ローターが回転するときに前記繊維束の前記下端部分の横方向の動きを制限するようになされるコリメーター・チューブと、
    前記コリメーター・チューブに取付けられた流体容器とを含むスリップ・リング。
  2. 前記容器が前記コリメーター・チューブの内側に取付けられる請求項1に記載されたスリップ・リング。
  3. 前記コリメーター・チューブが前記ブラシ・チューブと同心である請求項2に記載されたスリップ・リング。
  4. 前記コリメータ・チューブは、前記ブラシ・チューブと別体で形成され、かつ該ブラシ・チューブと重ね合わされている請求項1に記載のスリップ・リング。
  5. 前記容器が多孔質材料で形成される請求項1に記載されたスリップ・リング。
  6. 前記材料がナイロンである請求項5に記載されたスリップ・リング。
  7. 前記容器が流体を含み、前記容器は或る期間にわたり前記流体を付与するように構成されている請求項1に記載されたスリップ・リング。
  8. 前記流体が潤滑剤を含む請求項7に記載されたスリップ・リング。
  9. 前記流体が腐食抑止剤を含む請求項7に記載されたスリップリング。
  10. 前記流体が高い絶縁耐力の添加剤を含む請求項7に記載されたスリップリング。
  11. 前記コリメータ・チューブは、前記ブラシ・チューブと一体に成形されている請求項1に記載のスリップ・リング。
  12. 前記コリメーター・チューブおよびブラシ・チューブの重なり長さが調整可能である請求項4に記載されたスリップ・リング。
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