JP3172821B2 - 生物脱臭方法 - Google Patents

生物脱臭方法

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  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Treating Waste Gases (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、下水処理場、し尿処理
場、化学工場などの各種工場から発生する悪臭成分含有
ガスの微生物による脱臭方法に関する。
【0002】
【従来の技術】生物脱臭方法では、微生物が付着して生
息しやすい担体を通気塔に充填し、これに微生物を植種
した後、悪臭成分を含んだガスを通すことによって、悪
臭成分が微生物の栄養源として利用され除去される。そ
して、悪臭成分の除去を効率良く行わせるためには、微
生物が生息し活動し易い環境条件を提供する必要があ
り、水分の存在は必要不可欠な条件である。
【0003】一般に、悪臭成分を含んだガス中の水分が
飽和状態にあることは希で、殆どの場合は不飽和状態で
ある。このため、生物脱臭用通気塔にガスを通すと、担
体に付着している水分が蒸発し、担体表面が乾燥する。
この結果、微生物の活力が低下し、脱臭性能が低下す
る。また、脱臭性能を向上させるためには、担体の単位
容積当たりの表面積を大きくして気体接触効率を向上さ
せると共に、微生物の生息しうる面積を大きくすること
が試みられているが、効果を発揮することのできる有効
表面は濡れた部分のみである。このため、生物脱臭方法
では通気塔の担体充填層の上部に連続または間欠的に散
水し、極力担体の表面を濡れた状態に維持するようにし
ている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上部か
らの連続または間欠散水だけでは、担体の全表面が濡れ
ることはない。単位時間当たりの散水量が多いほど担体
の濡れ表面積比率は高くなるが、反面担体に付着してい
る微生物が洗い流される可能性が大きくなるため、散水
量をあまり多くすることはできない。一般に生物脱臭設
備で使用されている散水量の範囲では、担体の種類によ
っても異なるが、全表面の50〜80%程度が濡れるに
過ぎず、残りの50〜20%の表面は乾いており、生物
脱臭効率を低下させる原因となっている。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、微生物を植種
した担体を充填した通気塔に適宜散水を行いながら悪臭
成分含有ガスを通気する生物脱臭方法において、前記充
填用担体として活性炭または低質炭を低温乾留して得ら
れたチャーに必要に応じて粘結性石炭の粉末を配合し、
これに石炭系または石油系の熱分解性結合剤を添加して
充分に混合攪拌した後、成型、焼成して得られた塊状体
担体を使用することを特徴とする生物脱臭方法である。
【0006】
【作用】本発明は、上記課題を解決するため、保水性に
富み、しかも上部からの散水のみで全表面を濡らすこと
のできる微生物担持用担体を使用する生物脱臭方法であ
る。この担体は、活性炭もしくは低質炭を低温乾留して
得られたチャーに、または、このチャーに粘結性石炭の
粉末を配合したものに、石炭系または石油系の熱分解性
結合剤を添加して充分に混合攪拌した後、塊状体に成型
したものを焼成して得られる。このようにして製造され
た塊状体担体の内部には、熱分解性結合剤および粘結性
石炭の熱分解によって生じた空隙と発生したガスが抜け
るための通路が粒子間に多数生成し、これが表面にまで
貫通し、かつ縦横につながって毛細管の役割を果たす。
【0007】更に、熱分解性結合剤は焼成前および焼成
後の担体の強度の確保に役立ち、粘結性石炭は焼成後の
担体の強度の向上に寄与すると共に、熱分解性結合剤に
比べて非常に安価である。
【0008】一方、活性炭やチャーに存在する細孔は吸
着機能を有するので、処理しようとするガス中の悪臭成
分の濃度が極端に変動する場合には、悪臭成分を一時的
に蓄えたり、放出したりして濃度の変動を緩和する役目
を果たす。更に、熱分解性結合剤や粘結性石炭は焼成時
に熱分解してガスを放出するので担体の表面が粗くな
り、微生物の付着が容易になって安定した性能を発揮す
ることができる。
【0009】このようにして製造された塊状体担体の表
面の一箇所に水を滴下すると、水は表面張力によって毛
細管の内部を浸透して濡れていない表面に滲み出、担体
の全表面が常に濡れた状態となる。更に、毛細管の内部
に保有している水分には、生物分解によって発生した酸
化物の濃度の上昇を抑える作用もある。
【0010】従って、この塊状体担体を充填した通気塔
に水分不飽和のガスを通気した場合、担体の表面で水分
の蒸発がおこるが、絶えず毛細管の内部から水分が補充
されるため担体の表面が乾燥することがなく、常時微生
物が生息し活動し易い環境を維持することができる。な
お、この蒸発によって不足した水分を補充するために
は、充填層の上部より適宜間欠散水を行えばよい。
【0011】
【実施例】第1の塊状体担体として、木質が残っている
低質炭を低温乾留して得られたチャーを微粉砕して得ら
れた粉体に、熱分解性結合剤としてのピッチを約10%
加えたものを充分に混合攪拌した後、成型機で図1に示
す形状の塊状体に成型し、添加したピッチの熱分解温度
以上の温度700〜950℃で約20分間焼成し、蒸気
で消火して塊状体担体を製造した。
【0012】この塊状体担体の中央部に水滴を滴下し続
けたところ、はじめは内部に浸透していたが、やがて全
体から水が滲み出はじめ、全表面が濡れることを確認し
た。
【0013】また、第2の塊状体担体として、前記と同
じチャーに粘結性石炭を6%添加し微粉砕して得られた
粉体に、熱分解性結合剤としてのピッチを約8%加えた
ものを充分に混合攪拌した後、前記と同じ成型機で図1
に示す形状の塊状体に成型し、添加したピッチおよび粘
結性石炭の熱分解温度以上の温度700〜950℃で約
20分間焼成し、蒸気で消火して塊状体担体を製造し
た。更に、第3の塊状体担体として、粘結性石炭の添加
量を12%に増量し、微粉砕して得られた粉体に、熱分
解性結合剤としてのピッチを約6%加えて上記と同様の
方法で塊状体担体を製造した。これらは共に、水の浸透
性をはじめとする性状は前記第1の粘結性石炭を使用し
ていないものと殆ど変わらなかった。これらのその他の
性状を表1に示すが、いずれの場合も吸水率が高く、吸
着機能も有していた。
【0014】
【表1】
【0015】次に、直径250mm×高さ800mmの
円筒状の筒を4個用意し、筒Aには前記第1の粘結性石
炭を使用していない塊状体担体を、筒Bには前記第3の
粘結性石炭を12%使用した塊状体担体を、筒Cには多
孔質のセラミックス担体を、筒Dにはピートモスをそれ
ぞれ44リッターずつ充填した。これらの筒の上部より
下水汚泥を充分に散布して充填した担体に微生物を植種
した後、悪臭成分を含有する空気を通気した結果、塊状
体担体を充填した筒Aおよび筒Bはほぼ1週間で馴致し
たが、筒Cおよび筒Dは馴致に約2週間程度を必要とし
た。また、馴致後の平均脱臭性能および通気抵抗は表2
に示す通りであった。なお、悪臭成分としては、水に対
する溶解度が小さいために除去されにくいと言われてい
るメチルメルカプタンを用いた。
【0016】
【表2】
【0017】このように、本発明法で使用する塊状体担
体は微生物の馴致期間が短く、悪臭成分の除去能力にも
優れていた。また、ピートモスに比べ通気抵抗が小さい
ので、省エネルギー型で大量の悪臭成分含有ガスの処理
に適している。
【0018】本実施例においては、低質炭を低温乾留し
て得られたチャーを使用したが、本発明はこれに限定さ
れるものではなく、吸着機能を有する各種活性炭を使用
してもよい。熱分解性結合剤としては、本実施例で用い
たピッチの他にタール等も使用できる。また、担体の形
状は図1に示す形状に限定されるものではなく、塊状体
であればよい。一方、充填用担体としては比表面積、す
なわち単位容積当たりの表面積が大きい方が好ましいの
で、担体の長辺は10〜60mmが適当である。
【0019】
【発明の効果】本発明で使用する塊状体担体は全表面を
常に濡れた状態に保つことができるので、脱臭上有効で
ある大きな微生物生息面および気体接触表面を確保する
ことができる。また、吸着機能により処理ガス中の悪臭
成分の変動を緩和することができると共に、毛細管内に
保有している水分が、生物分解によって発生した酸化物
の濃度の上昇を抑えて微生物にとって安定した好ましい
環境を提供することができる。従って、微生物の馴致期
間が短く、かつ高い脱臭性能を確保することができる。
また、本発明で使用する塊状体担体は、塊状に成型され
ているので空隙率が大きく通気抵抗が小さいので、省エ
ネルギー型で大量の悪臭成分含有ガスの処理に適してい
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で使用する塊状体担体の形状例を示す図
である。
【符号の説明】 1 塊状体担体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田中 正秀 北九州市戸畑区大字中原46−59 新日本 製鐵株式会社 機械・プラント事業部内 (72)発明者 中村 正明 北九州市戸畑区大字中原46−59 日鐵プ ラント設計株式会社内 (72)発明者 田中 瑞穂 北九州市戸畑区大字中原46−59 日鐵プ ラント設計株式会社内 (72)発明者 荒木 英米 京都市中京区新町通四条上ル小結棚町 429 株式会社ケイハン内 (72)発明者 中川 義夫 京都市中京区新町通四条上ル小結棚町 429 株式会社ケイハン内 (56)参考文献 特開 平6−47247(JP,A) 特開 昭60−175523(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B01D 53/38 B01D 53/34 ZAB B01D 53/81 C12N 1/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 微生物を植種した担体を充填した通気塔
    に適宜散水を行いながら悪臭成分含有ガスを通気する生
    物脱臭方法において、前記充填用担体として活性炭また
    は低質炭を低温乾留して得られたチャーに石炭系または
    石油系の熱分解性結合剤を添加して充分に混合攪拌した
    後、成型、焼成して得られた塊状体担体を使用すること
    を特徴とする生物脱臭方法。
  2. 【請求項2】 微生物を植種した担体を充填した通気塔
    に適宜散水を行いながら悪臭成分含有ガスを通気する生
    物脱臭方法において、前記充填用担体として活性炭また
    は低質炭を低温乾留して得られたチャーに粘結性石炭の
    粉末を配合し、これに石炭系または石油系の熱分解性結
    合剤を添加して充分に混合攪拌した後、成型、焼成して
    得られた塊状体担体を使用することを特徴とする生物脱
    臭方法。
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