JP3172788B2 - 中性粒子加工方法およびその装置 - Google Patents

中性粒子加工方法およびその装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、半導体集積回路など
の電子ディバイスの製造および各種材料の表面処理に当
たり、試料基板上に中性粒子を導き、薄膜形成、除去な
どを行う中性粒子加工方法およびその装置に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】近年、プラズマを利用して薄膜の形成,
除去などの表面処理をする方法に、マイクロ波による電
子サイクロトロン共鳴(Electron Cyclotron Resonanc
e:ECR)プラズマが広く用いられている。ECRプラズ
マ法は、10-4Torr台の低ガス圧状態で活性度の高
いプラズマ生成ができるので、低エネルギーで大きなイ
オン電流が得られ、指向性,均一制に優れたイオン流が
形成できる。このため、イオン流を照射することによる
加工においても、加工対象にあまりダメージを与えない
高品質な加工が可能であり、高集積半導体素子などの製
造に欠かせないものとなっている。
【0003】しかしECR法においても、電荷を持つイ
オンを加工に使用しているため、加工対象の基板表面に
凹凸が存在すると、その基板上のパターンの形状,配
置,密度に依存して局所的に帯電状態が異なり、パター
ン表面近傍のイオンシースの電位分布に不均一が生じ
る。これにより、ある場合には所望の加工パターンが得
られないという欠点があった。図12は、その様子をシ
リコン基板のエッチングを例に示したものである。
【0004】図12に示すように、イオン71はプラズ
マ流中ならびにイオンシースにより加速されるために垂
直方向の方向性が高く、基板76上のパターン74底部
に到達できる。一方、電子72はECRプラズマを発生
するために形成されている磁力線に巻き付いて半径0.
5mm程度の回転運動を行っているため、パタン74上
部のレジスト73には到達するが、底部には到達(流
入)しにくい。その結果、絶縁体である下地の酸化膜7
5が現れるオーバーエッチング時には、微細なパターン
ほど底部が雰囲気に対して相対的に+にチャージアップ
する。
【0005】このため、+の電荷を有するイオンはその
軌道が曲がり、パターン74側壁に到達するようにな
り、パターン74側壁がエッチングされてその形状が逆
テーパ形77になるなどの問題があった。また、最も外
側のパターンでは、パターン領域外の凹凸がない部分に
イオンと電子が同量流入できるため、パターン領域内部
とパターン領域外部とで電位分布に違いが生じる。この
電位差が電気化学反応を誘起し、酸化膜75とパターン
74との界面に沿って局所的な異常エッチングによる欠
陥78が発生することがあり問題であった。
【0006】この他にも、基板表面近傍に形成される表
面電位,イオンシースの電位分布が、基板上に形成され
るパターンの形状,配置,密度に依存して不均一となる
ために起こる問題がある。この電位分布の不均一により
イオンの方向性が乱れることで、パターン内部に到達で
きるイオンが微細パターンほど減少する。これがいわゆ
るマイクロローディング現象であり、このため間隔が細
いパターンほどエッチング速度が低下してしまう。ま
た、例えば、極薄酸化膜上の電極形成などでは、エッチ
ング時の表面電位分布による静電破壊により、加工途上
にLSI電子ディバイスの動作機能を損なう場合がある
という問題があった。
【0007】以上のような問題点を解決するため、本発
明者はECRプラズマ法の低圧力、低エネルギー、大電
流輸送などの長所を最大限活用して、プラズマ流中の中
性粒子を試料基板に照射して加工する中性粒子加工法お
よびその装置を提案した(文献:特願平4−16992
0号)。
【0008】図13は、この中性粒子加工装置の構成を
示した断面図である。図13において、1はプラズマ生
成室、2は試料室、3はマイクロ波導入窓、4は矩形導
波管、5は引き出されたプラズマ流、6はプラズマ引出
し窓、7は試料基板、8は試料台、9はプラズマ生成磁
気コイル、10は第1ガス導入系、11は第2ガス導入
系である。また、31は発散磁場で形成された発散プラ
ズマ流5を平行プラズマ流に調整するプラズマ流制御磁
気コイル、32は平行プラズマ流部分を取り囲むイオン
流中性化室、33は第3ガス導入系、34は試料基板7
へのプラズマ流入を阻止するために逆磁場を発生させる
プラズマ除去用磁気コイルである。これらは、試料基板
7に中性粒子流35を照射するように構成したものであ
る。
【0009】次に、この中性粒子加工装置の動作につい
て説明する。まず、真空排気系(図示せず)によってプ
ラズマ生成室1および試料室2を高真空に排気した後、
第1ガス導入系10または第2ガス導入系11からガス
を導入し所望の圧力とする。そして、マイクロ波源(図
示せず)より矩形導波管4、マイクロ波導入窓3を介し
て導入される2.45GHzのマイクロ波と、プラズマ
生成磁気コイル9により形成される磁界(磁束密度87
5ガウス)とによるECRを用いてプラズマ生成室1に
導入したガスのプラズマを生成する。
【0010】プラズマ生成磁気コイル9は、ECRを満
足する磁界強度を与えると共に、プラズマ生成室1から
試料台8の方向に磁界強度が適度な勾配で弱くなる発散
磁界を形成する。生成したプラズマには、中性粒子,イ
オン,電子が存在するが、この中より電荷を有する荷電
粒子である電子がこの発散磁界によりプラズマ引き出し
窓6より引き出される。このとき、やはり荷電粒子であ
るイオンがこの電子の動きに引きずられるようにプラズ
マ引き出し窓6より引き出される。これらの電子とイオ
ンがプラズマ流5として試料室2に引き出されイオン流
中性化室32へと導かれる。このとき、プラズマ流5中
の荷電粒子は、磁界の発散に対して発生する電界によっ
て加速されるが、その方向性はプラズマ流制御磁気コイ
ル31でイオン中性化室32近くの磁場の発散を制御す
ることで修正される。
【0011】プラズマ流5として引き出されたプラズマ
中のイオンは、同時に存在する中性原子または中性分子
との荷電変換反応により部分的に中性粒子となってい
く。一方、荷電変換していないイオンもイオン中性化室
32に導かれると、このイオン中性化室32に導入され
ているガスによる中性原子または中性分子との荷電変換
反応により中性粒子となる。イオン中性化室32は、第
3ガス導入系33により適当なガスを導入して所望の圧
力に保たれている。そして、この荷電変換した中性粒子
は、荷電変換される前の運動エネルギーと方向性を維持
したまま試料台8方向に流れていく。
【0012】ところで、イオン中性化室32でも荷電変
換されずにここを通過するイオンも存在する。ここで、
荷電粒子除去用磁気コイル34は、プラズマ生成磁気コ
イル9とは逆の向きの磁場を形成しており、これにより
イオン流中性化室32を通過したプラズマ流5中の荷電
粒子(イオンおよび電子)は除去され、運動エネルギー
を持った中性粒子流35が選択的に試料基板7に照射さ
れる。
【0013】以上説明したように、この中性粒子加工装
置によれば、中性粒子だけを試料基板に照射して表面の
処理を行い、電荷を持ったイオンや電子は試料基板に照
射しない。このため、試料基板では電気化学的反応や静
電破壊が起こることなく、試料基板表面に微細な凹凸が
存在しても、微細,構成度,高品質で損傷の無い加工を
施すことが可能となる。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
中性粒子加工装置をLSIの製造に適用するためには、
荷電粒子除去機構にいくつかの改善すべき所があること
が明らかになってきた。図14は、図13の試料台8近
傍の磁場の様子を示す磁力線図である。従来の中性粒子
加工装置では、電子が磁力線に巻き付いて運動すること
を利用し、発散磁界40Aが試料台8近傍で広がるよう
にカプス型反転磁場40Bを形成することで、輸送され
るプラズマ流に含まれる荷電粒子を試料台8外部に輸送
して除去していた。
【0015】しかし、このカプス型反転磁場40Bを用
いるだけでは、試料基板7の中心部は磁力線41が入り
込んでいるため、試料基板7の中心部では荷電粒子が除
去されずに入ってきてしまうという問題があった。ま
た、試料基板7の周辺部において、電子は効果的に除去
されるが、イオンについては試料基板7上の磁場の均一
性が広い範囲では保てないため除去が完全ではなく、イ
オンを除去できる領域が限定され、小さい領域しか中性
粒子加工に利用できないという問題があった。これを解
消するため荷電粒子除去用磁気コイル34で強い磁場を
作ろうとすると、試料室2内やプラズマ生成室1内の磁
場分布が変化を受け、ECRプラズマの生成に影響を与
えてしまうという問題もあった。
【0016】この発明は、以上のような問題点を解消す
るためになされたものであり、ECRプラズマ生成や生
成されたプラズマ流に影響を与えること無く、荷電粒子
を効果的に除去できるようにすることを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】この発明の中性粒子加工
装置は、プラズマ流中の荷電粒子を試料基板に到達しな
いようにする荷電粒子除去機構が、試料基板上にこの試
料基板面に平行な磁場を形成する磁場発生手段と、磁場
発生手段により平行磁場が形成されない領域上に配置さ
れるマスクとを有することを特徴とする。また、この発
明の中性粒子加工方法では、プラズマ流の荷電粒子を試
料基板上に形成された平行磁場でこの試料基板に到達し
ないようにその軌道を変更し、試料基板上で平行磁場が
形成されない領域では、この領域上のマスクで前記試料
基板への前記荷電粒子の進入を遮断し、プラズマ流中の
荷電粒子の荷電変換により生成した中性粒子を用いて試
料基板の加工を行うことを特徴とする。
【0018】
【作用】プラズマ流中を加速,輸送された低エネルギ
ー,大電流のイオンは、その運動エネルギー,方向性を
維持した状態で中性子化される。この中性粒子が含まれ
るプラズマ流中のイオンなどの荷電粒子は、平行磁場に
よってその軌道が曲げられ、かつ、平行磁場のない領域
ではマスクにより遮断される。一方、平行磁場に影響を
受けない中性粒子は、マスクの無い領域を通過して試料
基板に到達する。
【0019】
【実施例】以下この発明の1実施例を図を参照して説明
する。中性粒子加工を実現するためには、プラズマ流中
よりイオンと電子を除去し、中性粒子流を効率的に取り
出すことが重要となる。以下、この発明による荷電粒子
がプラズマ流中より除去される原理と中性粒子による加
工原理とを、図1を用いて説明する。
【0020】図1(a)は加工対象の試料基板近傍の断
面図であり、試料基板7の上部に紙面の表から裏に向か
って一様な磁力線16による平行磁場16aがかかって
いる状態を示している。プラズマ流5が境界17を越え
てこの平行磁場16a内にはいると、イオンと電子は磁
場によりローレンツ力を受け、それぞれ反対方向に図1
の紙面内で円運動を始める。この円運動の半径はマーラ
半径とよばれ、荷電粒子の入射速度,質量,磁場の強さ
によって変化する。
【0021】ここでは、試料基板7裏面に希土類永久磁
石を設置したときに発生できる1000ガウス程度の磁
場を仮定し、この磁場における電子とイオンとの運動を
考える。まず、電子については、これが質量が小さいた
め、入射速度を20eVとしても回転半径は1.5×1
-2cmと非常に小さい。すなわち、電子は試料基板7
の上の平行磁場16aの領域の入るとすぐに磁力線に巻
き付くように円運動を行い、試料基板7に到達できな
い。つまり、試料基板7上の平行磁場16aは、プラズ
マ流5中の電子の除去にたいへん有効であることがわか
る。
【0022】次にイオンについては、入射速度を10e
VのCl原子イオンの場合、このイオンの円運動の半径
は2.7cmとなる。プラズマ流5中のイオンの速度
は、10eV程度を中心とした分布を持ち、20eV程
度の早いイオンも存在する。従って、試料基板7上の一
様磁場の厚さを3cm程度とすると、速度の低いイオン
20は磁場だけで除去できるが、速度の早いイオン21
は軌道を曲げながらも試料基板7に到達してしまうこと
になる。磁場強度を上げたり、平行磁場16aの領域を
厚くすることで、イオンも磁場だけで除去可能である
が、前述したように現実にはそのような構成は難しい。
【0023】ここで、磁場で除去しきれなかった試料基
板7に入ってくるイオンを除くには、試料基板7に正の
電位をかけると効果的である。この状態を図1(b)に
示す。外部電圧源52により試料基板7に表面に電圧を
かけ、プラズマ流5との間にこの中のイオンを追い返す
向きの電場18を形成する。この電場により、磁場だけ
では試料基板7に到達していた高い速度のイオンも追い
返され、試料基板7には入らなくなる。
【0024】このとき、試料基板7に対して流れ込む早
い速度のイオンも、平行磁場16aでその向きが曲げら
れ、試料基板7に対する垂直方向の速度は減少している
ため、電場を形成するために特に高い電圧は必要としな
い。また、イオンを追い返す向きの電場は、電子に対し
ては引き込む向きとなるが、電子は質量が軽いので平行
磁場16aの上層部の磁力線に巻き付いて運動している
ため、引き込みの効果は心配する必要がない。
【0025】このように、平行磁場16aと電場18と
により、プラズマ流5中のイオンと電子は、試料基板7
に到達する前に試料基板7以外に除くことができる。中
性粒子流35は、磁場や電場から作用を受けることはな
いので、プラズマ流5中での運動方向と速度とを保った
まま、試料基板7に照射されることになる。以上説明し
たように、プラズマ流5中より中性粒子流35を効率よ
く取り出し、中性粒子流35の衝突エネルギーを利用し
た試料基板7の加工が実現される。
【0026】図2は、試料基板7の裏面に永久磁石を設
置して試料基板7上に平行磁場を形成した場合、Clイ
オンが試料基板7に10eVの速度で垂直に入射してき
たときの試料基板7近傍でのClイオンの飛行軌道の計
算結果を示したものである。同図において、0,5,1
0Vは、試料基板にかけた電圧を示している。永久磁石
が作る磁場は均一ではなく、磁石表面に近いほど磁場強
度は強い。ここでは、表面の磁場強度が2000ガウス
の永久磁石を用い、試料基板から離れた位置での磁場強
度は、実測値を入れて計算した。この結果から、試料基
板に5V以上の電圧をかければ、速度10eVのイオン
は試料基板に到達せず、試料基板以外に除けることがわ
かる。
【0027】実施例1.以下、この発明の実施例1につ
いて、図を用いて説明する。図3は、この発明の1実施
例である中性粒子加工装置の構成を示す断面図、また、
図4は試料基板7近傍の磁力線図である。同図におい
て、51は試料台8近傍にカプス型反転磁場40bを形
成して引きだしたプラズマ流5を試料台8外部に輸送,
除去するための荷電粒子除去用永久磁石、52は基板7
上にイオンを反発する向きに電界を形成するための外部
電圧電源、53は試料基板7の中心にプラズマ流5が進
入しないよう防ぐためのマスクであり、他は図13と同
様である。なお、図4において、40aは発散磁界、4
2は平行磁場である。
【0028】この実施例の中性粒子加工装置では、EC
Rによりプラズマ生成室1に高密度プラズマを生成さ
せ、これを発散磁界40aにより試料室2に引き出して
プラズマ流5とする。プラズマ流5中の試料基板7方向
に移動しているイオンは、試料室2内の中性原子または
中性分子との荷電変換反応により、その運動量(エネル
ギー)と移動の方向性を維持したまま、中性粒子となっ
て試料台8の方向に移動していく。一方、プラズマ生成
磁気コイル9と逆の磁場を付与した荷電粒子除去用永久
磁石51により、カプス型反転磁場40bが試料台8近
傍に形成されている。このカプス型反転磁場40bによ
り、プラズマ流5は試料台8領域以外にその進路を曲げ
られて除去される。
【0029】しかし、荷電粒子除去用永久磁石51によ
る磁力線が試料基板7を横切る部分では、荷電粒子が試
料基板7に進入してくる。そのためこの領域上にマスク
53を配置して、試料基板7への荷電粒子の進入を防ぐ
ようにしている。カプス型反転磁場40bの形成は、コ
イルを用いてもかまわないが、試料基板7近傍のみに強
い磁場を作るのには、永久磁石を用いる方が有効であ
る。永久磁石が作る磁場は遠距離に広がらないので、プ
ラズマ生成に影響を与えることがない。
【0030】荷電粒子除去用永久磁石51は、図4に示
すように、試料基板7上に平行磁場42を形成する。試
料基板7に対して平行な平行磁場42は、図1で説明し
たように、特に電子の除去に効果的である。これと、イ
オンを反発する向きの外部電圧電源52によって作られ
る電界とを組み合わせることで、試料基板7のこの領域
に荷電粒子が到達しないようにすることができる。そし
て、磁界や電界に影響を受けない中性粒子流35のみに
よる試料基板7の加工が実現できる。
【0031】なお、荷電粒子除去用永久磁石51の代わ
りに、図5,図6に示すように、電磁石61,62を用
いることによっても同様の効果を奏する。図5におい
て、電磁石61は導線を渦巻状に巻いたものであり、図
6において、電磁石62は鉄などの強磁性体の芯に導線
を巻き付けたものである。
【0032】ところで、中性粒子変換効率は、プラズマ
流中で加速されたイオンが荷電変換反応により中性粒子
となった後、他の気体分子と衝突することなくエネルギ
ーと方向性を維持したまま中性粒子を引き出すことので
きる確率と定義され、この中性粒子変換効率Pは以下の
式1で示される。
【0033】 P=exp(−σsnl)×(1−exp(−σcenl))・・・(1) ここで、σceはイオンと中性粒子の荷電変換断面積、σ
s はイオンと中性粒子および中性粒子と中性粒子の弾性
散乱断面、nはガスの密度、lは反応距離である。この
反応距離lは、プラズマ発生点から加工処理をする基板
面までの距離であり、図3においては、おおよそ、プラ
ズマ引出し窓6と試料基板7との距離になる。
【0034】この式1は、中性粒子変換効率Pが大きい
ほどエッチングなどの加工に利用できる中性粒子が多く
生成されることを示している。荷電変換反応は、圧力が
高いほど起こり易いため、中性粒子変換効率は圧力とと
もにあるところまで上がる。しかし、圧力が高くなるに
つれ粒子が弾性散乱する確率が増えて粒子の飛行する方
向が代わる確率の増える。このため、この中性粒子変換
効率Pはある圧力でピークを持ちその後減少する(図
7)。従って、ガスの供給と排気とを調節して適当な圧
力とすることで、効率よくプラズマ中のイオンの流れを
中性粒子に変換することができる。また、反応距離lを
適当に調節することでも、中性粒子流の生成量を制御す
ることができる。
【0035】図8は、図2の中性粒子加工装置を用い
て、レジストパタンをマスクとしてポリシリコンのエッ
チングを行ったときのエッチング速度のマイクロ波パワ
ー依存性を示したものである。プラズマ生成室1には、
第1ガス導入系10よりCl2 ガスを、試料室2には第
2ガス導入系11より微量のSF6 ガスを供給し、試料
室2の圧力が7.5×10-4Torrの条件でエッチン
グを行った。荷電粒子の除去に使われる荷電粒子除去用
永久磁石51には、試料基板7の表面で約2000ガウ
スの磁場強度を持つ永久磁石を用いた。
【0036】マイクロ波パワーが400Wのときで11
0Å/minというポリシリコンの高いエッチング速度
が得られた。得られたポリシリコンのパターンを操作型
電子顕微鏡で観察したところ、パターンの側壁には電気
化学的反応などによる形状の歪は見られなかった。ま
た、このパターンの幅が狭まるに従い、パターン内のエ
ッチング速度が低下するマイクロローディング現象が改
善されていることがわかった。
【0037】図9はポリシリコンエッチングのときの、
マイクロローディング現象の測定結果を示す相関図であ
る。イオン流を用いたエッチングでは、ラインアンドス
ペースが0.6μmのパターンにおいて、15%程度エ
ッチング速度の低下が起きている。しかし、中性粒子流
35を用いたエッチングでは、エッチング速度の低下が
2%程度にまで抑えられ、改善されている。これらは、
あるエネルギーを持ち方向性が揃った中性粒子流35の
みが試料基板7に照射されていることの効果である。
【0038】なお、この実施例では、エッチング加工の
例を示したが、中性粒子流35を利用した加工は、エッ
チングに限らず薄膜形成や表面のクリーニングなどにも
使えることはいうまでもない。また、この実施例では、
試料基板の加熱や冷却をとくに積極的に行ってはいない
が、試料基板を冷却したり加熱しながら加工することも
可能である。また、この実施例ではプラズマ流5中のイ
オン中性化(荷電変換)を積極的に行ってはいないが、
従来の技術で示したように、イオン中性化室32(図1
3)を用いて、積極的にイオンの中性化を行うようにし
ても良い。
【0039】実施例2.図10は、この発明の第2の実
施例である中性粒子加工装置の試料台近傍の構成を示す
断面図である。この実施例は、複数の磁石を用いて試料
基板上に平行な磁場を形成し、加工面積を広げるように
したものである。図10(a)において、51aは棒磁
石、53aはマスク、55は棒磁石51a下には位置さ
れるヨーク、56は移動可能な試料台であり、他は図3
と同様である。棒磁石51aは、隣の磁極が反対になる
向きに所定の間隔で試料台56下に複数配置されてい
る。
【0040】このように棒磁石51aを配置すると、図
10(b)に示すように、棒磁石51a同士の間に磁力
線42aが形成され、試料基板7上部に平行磁場を形成
することができる。この平行磁場は、前述したように荷
電粒子の除去に有効である。そして、棒磁石51a底部
がヨーク55で結ばれているので、下方への磁場の漏洩
を抑えられ、試料基板7上部に形成される磁場を強める
ことができる。ところで、棒磁石51aの真上では、磁
力線が入り込んでくるため、この位置に相当する試料基
板7上部には荷電粒子が流入する。そこで、棒磁石51
aの真上の領域を隠すマスク53aを、試料基板7上に
設置して、プラズマ流5からの荷電粒子の流入を防ぐよ
うにする。
【0041】以上のように、複数の棒磁石51aによる
試料基板7上部の平行磁場と、マスク53aとにより、
プラズマ流5中の電子は試料基板7外に除去される。一
方、プラズマ流5中のイオンは電子に引きずられて運動
するので、電子を除去することである程度減少させるこ
とができるが、完全には除去できない。ここで、実施例
1と同様に、進入してくるイオンを追い返す向きに、外
部電圧源52を用いて試料基板56に電圧をかけること
で、試料基板7に入って来る残りのイオンを除去でき
る。
【0042】以上のことにより、マスク53aの開口部
の真下の領域は、中性粒子流35による加工が可能とな
る。マスク53aのため、中性粒子流35は試料基板7
全面に照射されないが、試料台56は移動機構により移
動できるので、中性粒子流35の照射による加工中に、
試料基板7を移動させることにより、試料基板7全面に
均一に中性粒子流35を照射することができる。なお、
ここでは、試料基板7を動かすようにしたが、棒磁石5
1a,ヨーク55とマスク53aとを相対位置が変わら
ないように動かすようにしても良い。
【0043】実施例3.図11は、この発明の第3の実
施例である中性粒子加工装置の試料台近傍の構成を示す
断面図である。同図において、51bは磁石、53bは
マスク、55bは磁石51bを挾むように設置されたヨ
ークであり、他は図3と同様である。図11(a)に示
すように、磁石51bとヨーク55bとを試料台56下
に配置すると、図11(b)に示すような磁石51bと
ヨーク55bとにより発生する磁力線42aが、試料基
板7上に形成される。この磁力線42aは、試料基板7
上の大体の領域でほぼ平行となっている。しかし、ヨー
ク55b上の領域近辺では、磁力線が垂直に入り込んで
いるので、この領域はマスク53bで覆うようにする。
【0044】以上のようにすることで、プラズマ流5中
の荷電粒子は飛行軌道が曲げられ、試料基板7に到達し
ない。また、磁石51bとヨーク55とで形成した磁場
で除去しきれないイオンは、上記実施例で示したよう
に、試料基板7に外部電圧源52により電圧をかけて追
い返すようにする。このことにより、試料基板7は中性
粒子流35による加工がなされる。なお、試料基板7が
大きいときは、試料台56を加工中に動かすことで、加
工の均一性を良くすることができる。
【0045】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、プラズマ流中で加速された低エネルギー,大電流の
イオンを、その飛行方向を維持しエネルギーが揃った状
態で中性粒子に変換し、プラズマ流中のイオンと電子と
を試料基板に到達しないように効率よく除去し、中性粒
子を試料基板に照射するようにしたので、加工する基板
表面の微細な形状に影響されない高精度,高品質,低ダ
メージの加工を行えるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の中性粒子加工装置の加工対象の試料
基板近傍の磁力線と飛行粒子との状態を示す断面図であ
る。
【図2】Clイオンが試料基板7に10eVの速度で垂
直に入射してきたときの試料基板7近傍でのClイオン
の飛行軌道の計算結果を示した説明図である。
【図3】この発明の1実施例である中性粒子加工装置の
構成を示す断面図である。
【図4】図3の中性粒子加工装置の試料基板7近傍の磁
力線図である。
【図5】この発明の他の実施例である中性粒子加工装置
の試料台8近傍の構成を示す断面図である。
【図6】この発明の他の実施例である中性粒子加工装置
の試料台8近傍の構成を示す断面図である。
【図7】中性粒子変換効率と圧力の関係を示す相関図で
ある。
【図8】エッチング速度のマイクロ波パワー依存性を示
す相関図である。
【図9】ポリシリコンエッチングのときの、マイクロロ
ーディング現象の測定結果を示す相関図である。
【図10】この発明の第2の実施例である中性粒子加工
装置の試料台近傍の構成を示す断面図である。
【図11】この発明の第3の実施例である中性粒子加工
装置の試料台近傍の構成を示す断面図である。
【図12】シリコン基板のドライエッチングにおける、
基板近傍の粒子と荷電状態を示す断面図である。
【図13】従来の中性粒子加工装置の構成を示す断面図
である。
【図14】図13の試料台8近傍の磁場の様子を示す磁
力線図である。
【符号の説明】
1 プラズマ生成室 2 試料室 3 マイクロ波導入窓 4 矩形導波管 5 プラズマ流 6 プラズマ引出し窓 7 試料基板 8 試料台 9 プラズマ生成磁気コイル 10 第1ガス導入系 11 第2ガス導入系 35 中性粒子流 51 荷電粒子除去用永久磁石 52 外部電圧電源 53 マスク
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小野 俊郎 東京都千代田区内幸町1丁目1番6号 日本電信電話株式会社内 (72)発明者 松尾 誠太郎 東京都千代田区内幸町1丁目1番6号 日本電信電話株式会社内 (56)参考文献 特開 平3−211828(JP,A) 特開 平2−173270(JP,A) 特開 平4−43632(JP,A) 特開 平4−133322(JP,A) 特開 平2−304917(JP,A) 特開 平4−293779(JP,A) 特開 平1−184827(JP,A) 特開 平5−343359(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 21/205 C23F 4/00 H01L 21/3065 H05H 1/46

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ガスを導入してプラズマを発生させるプ
    ラズマ生成室と、加工対象の試料基板を配置した試料室
    と、前記プラズマ生成室で発生したプラズマを前記試料
    室にプラズマ流として引き出すプラズマ引き出し手段
    と、前記プラズマ流中の荷電粒子を前記試料基板に到達
    しないようにする荷電粒子除去機構とを備え、前記プラ
    ズマ流で生成される中性粒子流を前記試料基板に照射す
    る中性粒子加工装置において、 前記荷電粒子除去機構は、 前記試料基板上にこの試料基板面に平行な磁場を形成す
    る磁場発生手段と、 前記磁場発生手段により平行磁場が形成できない領域上
    に配置されるマスクとを有することを特徴とする中性粒
    子加工装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の中性粒子加工装置におい
    て、 プラズマ生成室と荷電粒子除去機構との間に配置され、
    前記プラズマ流中のイオンを中性粒子に変換する荷電変
    換手段を有することを特徴とする中性粒子加工装置。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の中性粒子加工装置におい
    て、 前記プラズマ流中のイオンの速度を減速する向きの電場
    を前記試料基板上にかける電場形成手段を有することを
    特徴とする中性粒子加工装置。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の中性粒子加工装置におい
    て、 前記試料基板を移動する移動機構を有することを特徴と
    する中性粒子加工装置。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の中性粒子加工装置におい
    て、 前記磁場発生手段とマスクとを移動する移動機構を有す
    ることを特徴とする中性粒子加工装置。
  6. 【請求項6】 ガスを導入してプラズマを発生させ、 前記プラズマを引き出し、加工対象の試料基板方向に流
    れる荷電粒子からなるプラズマ流を形成し、 前記プラズマ流の荷電粒子を前記試料基板上に形成され
    た平行磁場で前記試料基板に到達しないようにその軌道
    を変更し、 前記試料基板上で平行磁場が形成されない領域では、こ
    の領域上のマスクで前記試料基板への前記荷電粒子の進
    入を遮断し、 前記プラズマ流中の荷電粒子の荷電変換により生成した
    中性粒子を用いて前記試料基板の加工処理を行うことを
    特徴とする中性粒子加工方法。
  7. 【請求項7】 請求項6記載の中性粒子加工方法におい
    て、 加工処理中に前記試料基板を移動することを特徴とする
    中性粒子加工方法。
  8. 【請求項8】 請求項6記載の中性粒子加工方法におい
    て、 加工処理中に前記へ行こう磁場とマスクとを移動するこ
    とを特徴とする中性粒子加工方法。
  9. 【請求項9】 請求項6記載の中性粒子加工方法におい
    て、 試料基板上にイオンの速度を減速する向きの電場をかけ
    ることを特徴とする中性粒子加工方法。
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