JP3172776B2 - 原子発振器 - Google Patents

原子発振器

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JP3172776B2
JP3172776B2 JP12636692A JP12636692A JP3172776B2 JP 3172776 B2 JP3172776 B2 JP 3172776B2 JP 12636692 A JP12636692 A JP 12636692A JP 12636692 A JP12636692 A JP 12636692A JP 3172776 B2 JP3172776 B2 JP 3172776B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、原子の光・マイクロ波
二重共鳴現象を利用した原子発振器に係わり、特にレー
ザ光源を改良した原子発振器に関する。
【0002】
【従来の技術】ルビジウムやセシウム等の原子における
光・マイクロ波二重共鳴現象を利用した原子発振器は、
小型、高性能の周波数標準器として、通信、放送、航
法、GPS衛星等の多岐分野に応用されている。
【0003】例えばルビジウムガスを用いた原子発振器
は図8に示すように構成されている。すなわち、励起用
光源1から出力された例えばルビジウムランプ等の光2
は、ルビジウムガス3が封入されたガスセル4とこのガ
スセル4を取巻くマイクロ波キャビティ5とからなる光
・マイクロ波二重共鳴部6を透過して受光器7に入射す
る。そして、この光は受光器7によって光・マイクロ波
二重共鳴検出信号aに変換される。マイクロ波キャビテ
ィ5にはマイクロ波発生部8から出力されたマイクロ波
bが印加されている。
【0004】マイクロ波発生部8は、電圧制御水晶発振
器8aと周波数合成・逓倍器8bとで構成されている。
電圧制御水晶発振器8aは制御端子に印加されている制
御信号電圧に対応した周波数の信号を出力する。電圧制
御水晶発振器8aは例えば10MHz程度の信号を、標準
周波数信号として外部へ出力すると共に周波数合成・逓
倍器8bへ送出する。周波数合成・逓倍器8bは入力し
た周波数を、逓倍すると共に、低周波発振器9から出力
される周波数fm1の低周波信号でもって僅かに周波数変
調する。そして、この周波数変調されたマイクロ波bが
前記マイクロ波キャビティ5へ印加される。
【0005】その結果、前記受光器7から出力される光
・マイクロ波二重共鳴検出信号aも周波数fm1でもって
周波数変調されている。この光・マイクロ波二重共鳴検
出信号aは増幅器10で増幅された後、同期検波回路1
1において周波数fm1を有する前記低周波信号でもって
同期検波される。同期検波回路11の出力信号は次のサ
ーボ回路12へ入力される。サーボ回路12は同期検波
回路11の出力信号が零になるようにマイクロ波発生部
8の電圧制御発振器8aへ制御信号cを帰還する。
【0006】ここで、光・マイクロ波二重共鳴現象を図
9に示すルビジウムRb87原子のエネルギ準位の3準位
原子系モデルを用いて説明する。熱平衡状態ではガスセ
ル4中の基底状態の原子は5S1/2 のF=2、F=1の
各準位にほぼ等分に分布している。この中にルビジウム
Rb87のD光の励起光を照射するとF=1準位の原子は
励起光を吸収して5P準位へ励起され、自然放出して基
底状態のF=2、F=1準位にほぼ等確率で落ちてく
る。F=1準位に落ちた原子は再び励起を受けるが、F
=2準位の原子は励起されないので、これらのサイクル
を繰返すと、F=2準位にほとんどの原子が留まり、大
きな分布差を生じる。このようにして2準位間に分布差
を生じさせることは光ポンピングと呼ばれている。
【0007】この状態でガスセル4にマイクロ波bを照
射すると、マイクロ波bの周波数がルビジウムRb87
F=1、F=2の準位差に相当する遷移周波数f0 と一
致したところで誘導放出を生じ、F=2準位の原子はF
=1準位へ落ちる。ここで再び、F=1の準位の原子は
励起光を吸収して5P準位への励起が始まるので、ガス
セル4の透過光を受けている受光器7から図10のよう
な光の吸収信号が得られる。これを、光・マイクロ波二
重共鳴スペクトルと呼ぶ。
【0008】この時マイクロ波bが周波数fm1でもって
周波数変調されていると、受光器7の出力信号aを増幅
し、周波数fm1でもって同期検波することにより、図1
1に示すような、二重共鳴スペクトルの微分波形が得ら
れる。したがって、マイクロ波周波数fをこの微分波形
のゼロクロス点(すなわち二重共鳴スペクトルのピーク
点)になるようにサーボ制御することにより、マイクロ
波周波数fを二重共鳴を生じる周波数f0 に一致させる
ことが可能である。よって、この時点における電圧制御
水晶発振器8aの出力周波数を、二重共鳴マイクロ波周
波数f0 と同じく、周波数安定度の高い標準周波数fS
として利用できる。
【0009】なお、通常、二重共鳴のガスセル4では二
重共鳴スペクトル幅を狭くするため不活性ガスが緩衝気
体としてルビジウムガスとともに封入される。
【0010】ところで、励起用光源1には、ルビジウム
Rb87ランプや、レーザダイオードなどが用いられる。
ルビジウムRb87ランプDの光は、図13に示すよう
に、a線とb線との2本の成分を含む。したがって、励
起用光源1としてルビジウムRb87ランプを用いる場
合、光ポンピングに不要なa線成分を減少させるため
に、一般に、ルビジウムRb87ランプの光をRb85を封
じたフィルタセルを通過させて用いる。
【0011】また、励起用光源1としてレーザダイオー
ドを用いる場合、レーザ光の光周波数FをルビジウムR
87のb線付近に固定し、かつ雑音を低減するためレー
ザダイオードの発振周波数(光周波数F)を安定化して
用いる。
【0012】図12は発振周波数の安定化手段が講じら
れた励起用光源1としてのレーザ光源1aの概略構成図
である。駆動電流発生部13から出力される駆動電流d
が供給されるレーザダイオード14から出射されたレー
ザ光eは図8に示すガスセル4へ入射されるとともに、
その一部はビームスプリッタ15で分岐されてルビジウ
ムガスを封入した吸収セル16を透過して受光器17へ
入射される。
【0013】このとき、駆動電流発生部13から出力さ
れる駆動電流dの値を掃引させるとレーザ光eの光周波
数Fも電流値変化に伴って変化するので、受光器17の
出力信号には図14に示すルビジウムの吸収スペクトラ
ムが観測できる。図14はルビジウムRb85とルビジウ
ムRb87の両方を含む自然ルビジウムの吸収スペクトラ
ムである。このうち前述したように、ルビジウムRb87
のb線付近でレーザ光eの光周波数Fを安定化する必要
がある。
【0014】そこで、予めレーザ光eの光周波数Fがこ
の付近になるよう駆動電流dを調整しておき、低周波発
振器18から周波数fm2を有する低周波信号gを駆動電
流発生部13へ印加して、この駆動電流発生部13から
の駆動電流dに低周波信号g成分を重畳することにより
レーザ光eの光周波数Fを僅かに周波数変調する。そし
て、この周波数変調された時の受光器17の出力信号を
増幅器19で増幅し、同期検波回路20で周波数fm2
低周波信号gで同期検波すると吸収スペクトラムの微分
波形が得られる。サーボ回路21は、この同期検波信号
hを逆極性にして駆動電流発生部13へ帰還させること
によって、レーザ光eの光周波数Fが吸収スペクトラム
の微分波形のゼロクロス点(すなわち吸収スペクトラム
のピーク点)になるよう制御する。
【0015】このような帰還制御ループを構成すること
によって、ルビジウムRb87のb線を基準にしてレーザ
光eの光周波数(発振周波数)Fが安定化される。な
お、この場合の吸収セル16においては、通常、吸収強
度を大きくするため、緩衝気体は入れない。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】ところでこのような原
子発振器では励起用光源1から出力される光2の波長
(光周波数F)によってガスセル4内における二重共鳴
を生じるマイクロ波周波数f0 がシフトする現象を生じ
ることが知られている。これは光シフトと呼ばれてい
る。光シフトの大きさは光強度Pw に依存することも知
られている。
【0017】励起用光源1に前述したルビジウムRb87
ランプを用いた場合、ランプの温度によって図13に示
した発光スペクトルがわずかながら変化する。また、前
述したように、ルビジウムRb87のa線を除去するため
にルビジウムRb85のフィルタセルを併用する必要があ
る。よって、このフィルタセルを透過した光のスペクト
ルは変形しており、またフィルタセルの温度によってそ
の変形のしかたも変化するため、光シフトの除去も補償
も困難であった。
【0018】また、励起用光源1に図12に示すレーザ
光源1aを用いた場合、前述した光周波数Fに対する安
定化手法を用いているので、光2(レーザ光e)の光周
波数Fは、ルビジウムRb87のb線に一致するが、ガス
セル4は、緩衝気体により圧力シフトしているからこの
光周波数Fでは光シフトはゼロとならない。また、レー
ザ光では光強度が高いため、ポンピング効率が高く受光
器7から出力される二重共鳴検出信号aのS/Nが高く
とれる反面、光シフトも大きくなる。
【0019】図4は励起用光源1にレーザ光源1aを用
いた場合における光シフトの様子を示す測定例である。
ここで、横軸は、レーザ光eの光周波数Fをルビジウム
Rb87のb線からのずれ量で示した。また、縦軸はガス
セル4における二重共鳴を得るマイクロ波周波数f0
示す。図4からも理解できるように、レーザ光eの光強
度(Pw )が変化すると、二重共鳴マイクロ波周波数f
0 も大きく変化する。その結果、この二重共鳴マイクロ
波周波数f0 に対応して決定されるマイクロ波発生部8
からの標準周波数fS が変動する懸念がある。
【0020】このように、従来の原子発振器では光シフ
トが長期周波数安定度を悪化させる要因の一つとなって
いた。
【0021】本発明はこのような事情に鑑みてなされた
ものであり、レーザ光源から出力されるレーザ光の光周
波数を吸収セルにて定まる中心周波数より所定周波数オ
フセットすることによって、たとえレーザ光の光強度が
変化したとしても、二重共鳴マイクロ波周波数における
光シフトの発生を極力防止でき、常に安定した標準周波
数を得ることができる原子発振器を提供することを目的
とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】上記課題を解消するため
に本発明は、レーザ光を出力するレーザ光源と、マイク
ロ波を出力するマイクロ波発生部と、レーザ光及びマイ
クロ波が同時に入射されることによって光・マイクロ波
二重共鳴が生起し、透過したレーザ光が二重共鳴にて定
まる周波数特性を呈するガスセルと、マイクロ波発生部
の出力周波数を二重共鳴にて定まる周波数に一致させる
出力周波数制御部とを備えた原子発振器において、レー
ザ光源を、レーザ光を発生するレーザダイオードと、入
力信号レベルに対応した駆動電流をレーザダイオードへ
供給する駆動電流発生部と、この駆動電流発生部へ矩形
波信号を送出する矩形波信号発生回路と、吸収ガスが封
入されレーザ光の一部が透過する吸収セルと、この吸収
セルを透過したレーザ光を受光する受光器と、この受光
器の出力信号を矩形波信号に同期した信号を参照波信号
として信号処理し、駆動電流発生部へ信号を送出するレ
ーザ光制御手段と、レーザ光の平均発振周波数を吸収ガ
スの吸収スペクトラムの中心周波数から所定周波数オフ
セットされた周波数になるように矩形波信号のデューテ
ィ比を設定するデューティ比設定手段とで構成してい
る。
【0023】
【作用】まず、このように構成された原子発振器の動作
原理を説明する。図4に示すように、ガスセルにおける
二重共鳴を得るマイクロ波周波数f0 は、レーザ光の光
周波数Fが変化すると変化し、かつレーザ光の光強度に
応じて変化する。したがって、ルビジウムRb87のb線
の光周波数に一致するように制御する限りにおいては、
光強度に影響される。しかし、図示するように、光強度
を一定に制御した場合の各特性曲線は1点(A点)で交
差することが実験的に確認されている。したがって、ガ
スセルへ入射するレーザ光の光周波数Fを吸収セルの吸
収スペクトラムの中心周波数FC でなくて、ΔFだけオ
フセットしたA点の周波数FA に制御すれば、二重共鳴
マイクロ波周波数f0 は光強度(Pw)の影響を受けな
い。
【0024】そして、このレーザ光の光周波数Fを吸収
ガスの吸収スペクトラムの中心周波数FC から所定周波
数ΔFだけオフセットする手段として、従来の吸収セ
ル,レーザ光制御手段の他に、矩形波信号発生回路とデ
ューティ比設定手段を用いている。すなわち、駆動電源
発生部へ入力される矩形波信号のデューティ比を変化さ
せると、矩形波信号の直流成分が変化するので、レーザ
光の平均発振周波数(平均光周波数)が変化する。
【0025】しかし、矩形波信号の最大値及び最小値は
変化しないので、レーザ光制御手段内の同期検波回路の
出力信号のゼロクロス点に対応する光周波数は、最大値
及び最小値を1:1に内分する点であるが、平均光周波
数Fは吸収セルの中心周波数FC からΔFだけオフセッ
トされたA点の周波数FA に変化する。よって、レーザ
光制御手段内のサーボ回路でもって同期検波回路の出力
信号が零になるように駆動電流発生部を制御すれば、平
均光周波数を周波数FA に設定できる。
【0026】
【実施例】以下本発明の一実施例を図面を用いて説明す
る。
【0027】図1は実施例の原子発振器の概略構成を示
すブロック構成図である。なお、実施例の原子発振器は
ルビジウムを用いた原子発振器である。また、図8およ
び図12に示す従来の原子発振器と同一部分には同一符
号が付してある。したがって、重複する部分の詳細説明
は省略されている。
【0028】この原子発振器は、大きく分けて、レーザ
光eを出力するレーザ光源31と、マイクロ波bを出力
するマイクロ波発生部8と、レーザ光eおよびマイクロ
波bが同時に入射されることによって光・マイクロ波二
重共鳴が生起し、透過したレーザ光eが二重共鳴にて定
まる周波数特性を呈するガスセル4と、マイクロ波発生
部8の出力周波数を二重共鳴にて定まる周波数に一致さ
せる出力周波数制御部32とで構成されている。
【0029】そして、レーザ光源31以外の、マイクロ
波発生部8,ガスセル4,出力周波数制御部32を構成
する各回路の構成および動作は、図8に示した従来の原
子発振器のにおける各回路の構成および動作と同じであ
る。
【0030】レーザ光源31において、駆動電流発生部
13,レーザダイオード14,ビームスプリッタ15,
吸収セル16,受光器17,増幅器19,同期検波回路
20およびサーボ回路21は、前述した図12に示す従
来のレーザ光源1aの各構成部材と同一構成であり、か
つ同一動作を行う。
【0031】そして、このレーザ光源31においては、
従来の低周波発振器18の代りに、矩形波信号発生回路
33およびデューティ比設定回路34が設けられてい
る。矩形波信号発生回路33は、例えば論理回路等を組
合わせたパルス発生回路で構成されており、図2(a)
(b)に示す周期T(周波数fm2)を有する矩形波信号
iを発生する。デューティ比設定回路34は、矩形波信
号発生回路33にて作成される矩形波信号iの1周期T
のうちハイレベル状態の継続時間T1 の占める比率であ
るデューティ比D(=T1 /T)を操作者が任意に設定
変更するための回路である。したがって、矩形波信号i
のデューティ比Dが上昇すると、図2(b)に示すよう
に、起動電流発生部13へ印加される制御信号としての
矩形波信号iの直流成分VDCが上昇する。又、この周波
数fm2を有した矩形波信号は参照波信号mとして同期検
波回路20へも送出される。
【0032】このように構成されたレーザ光源31にお
いて、駆動電流発生部13から出力された駆動電流dは
レーザダイオード14へ供給される。レーザダイオード
14は駆動電流eの電流値に対応する光周波数Fを有す
るレーザ光eを出力する。この場合、駆動電流dは、矩
形波信号発生回路33から出力された周波数fm2の矩形
波信号iで変調される。したがって、レーザダイオード
14から出力されるレーザ光eの光周波数F(発振周波
数)もこの周波数fm2の矩形波信号iで周波数変調され
る。この場合、変調信号は矩形波であるから、レーザ光
eの光周波数Fは矩形波のローレベル部分とハイレベル
部分とにそれぞれ対応する2値をとる。ここで、この2
値をF1 ,F2 とする。
【0033】レーザダイオード14から出射されたレー
ザ光eの一部はビームスプリッタ15で分岐されてルビ
ジウムガスが封入された吸収セル16を透過して受光器
17へ入射する。受光器17は入射したレーザ光eの光
強度を電気信号に変換する。ルビジウムガスの吸収スペ
クトラムを図3(a)に示すB特性とし、その吸収スペ
クトラムの中心周波数をFC すると、受光器17の出力
信号jは、各光周波数F1 ,F2 ,FC の相互関係によ
り図3(a)(b)(c)に示すようになる。すなわ
ち、 Fc −F1 >F2 −FC ……図3(a) Fc −F1 =F2 −FC ……図3(b) Fc −F1 <F2 −FC ……図3(c) そして、この出力信号jは増幅器19で増幅されたのち
同期検波回路20へ入力する。
【0034】同期検波回路20は増幅された受光器17
の出力信号jを矩形波信号発生回路33から出力された
周波数fm2を有する参照波信号m(矩形波信号)で同期
検波する。レーザ光eも周波数fm2で周波数変調されて
いるので、同期検波回路20の出力信号はレーザ光eの
周波数弁別信号kとなる。そして、この周波数弁別信号
kのゼロクロス点は、矩形波信号iにおけるデューティ
比D(=T1 /T)の値に係わらず、レーザ光eの光周
波数F1 ,F2 がそれぞれFc −F1 =F2 −FC とな
るとき、すなわち、図3(b)に示すように、F1 ,F
2 がFC に対して対称のときである。
【0035】したがって、サーボ回路21によって、こ
の周波数弁別信号kを逆極性にして駆動電流発生部13
に帰還すれば、レーザ光eの光周波数Fは、周波数弁別
信号kのゼロクロス点になるよう制御される。しかしな
がら、レーザ光eの平均光周波数FAVは、矩形波信号i
の周期Tと光周波数がF2 となる期間T1 を用いて次式
でい示される。
【0036】 FAV=[F2 ・T1 t+F1 ・( T−T1 ))]/T さらに、矩形波信号iのデューティ比D(=T1 /T)
を用いると、 FAV=D・F2 +(1ーD)・F1 =F1 +D・(F2 −F1 ) で表される。これよりレーザ光eの平均光周波数FAV
矩形波信号iのデューティ比DによりF1 からF2 の範
囲で任意に変化できることが理解できる。
【0037】ところで、周波数弁別信号kを最大に得る
には、レーザ光eの変調幅、すなわち(F1 −F2 )を
吸収セル16の図3に示す吸収スペクトラムの半値幅程
度にするのがよい。ルビジウムRb87のb線の場合、こ
の半値幅は約600MHzである。したがって、レーザ光
eの平均光周波数FAVは矩形波信号iのデューティ比D
により、最大約±300MHzまで変化させることが可能
である。
【0038】このように構成されたレーザ光源31から
レーザ光eが出力される。これ以降の動作は、図8に示
した従来の原子発振器の動作と同じである。すなわち、
レーザ光源31から出力されたレーザ光eは、ルビジウ
ムガス3が封入したガスセル4とガスセル4を取り巻く
マイクロ波キャビティ5とからなる光・マイクロ波二重
共鳴部6を透過し受光器7へ入射する。
【0039】そして、この光は受光器7によって光・マ
イクロ波二重共鳴検出信号aに変換される。マイクロ波
キャビティ5には電圧制御水晶発振器8aと周波数合成
・逓倍器8bとで構成されマイクロ波発生部8から出力
されたマイクロ波bが印加されている。このマイクロ波
bは低周波発振器9から出力される周波数fm1の低周波
信号でもって僅かに周波数変調されている。
【0040】その結果、前記受光器7から出力される光
・マイクロ波二重共鳴検出信号aも周波数fm1でもって
周波数変調されている。この光・マイクロ波二重共鳴検
出信号aは増幅器10で増幅された後、同期検波回路1
1において周波数fm1を有する前記低周波信号でもって
同期検波される。サーボ回路12は同期検波回路11の
出力信号が零になるようにマイクロ波発生部8の電圧制
御発振器8aへ制御信号を帰還する。
【0041】ガスセル4における二重共鳴を得るマイク
ロ波周波数f0 がレーザ光eの光強度Pw に応じて変化
することを図4に示したが、前述したように、光強度が
異なる3つの特性はA点で交差している。すなわち、こ
の点Aでは光シフトが光強度Pw に依存しない。しか
し、A点の光周波数FA はルビジウムRb87のb線の光
周波数FC からずれている。図4においては、この周波
数のずれ量ΔFは約150MHzであるから、レーザ光源
31における矩形波信号発生回路33の矩形波信号iの
デューティ比D(=T1 /T)をデューティ比設定回路
34で調整して、レーザ光eの平均光周波数FAVをA点
の光周波数FA に一致させる。
【0042】したがって、たとえレーザ光eの光強度P
w が変化したとしても、ガスセル4における二重共鳴を
得るイクロ波周波数f0 を常に一定値に維持できる。よ
って、この二重共鳴を得るマシクロ波周波数f0 によっ
て一義的に定まるマイクロ波発生部8から出力される標
準周波数信号の周波数fS を常に一定値に維持できる。
【0043】また、図4に示すオフセット周波数ΔFを
実現するために、図5(a)に示すように、従来装置の
同期検波回路20の出力信号hにオフセット回路35か
ら、前記オフセット周波数ΔFに対応するオフセット電
圧Vを加算回路36を用いて印加することも可能であ
る。しかし、この場合、図5(b)に示すように、サー
ボ回路21が、出力信号hにおけるゼロクロス点以外の
点をしきい値として弁別して、駆動電流発生部13へ制
御信号を送出する必要がある。
【0044】したがって、回路構成が複雑化するのみな
らず、受光器17,増幅器18,同期検波回路20,低
周波発振器18の特性に応じて、出力信号hの微分波形
が大きく変化する。また、吸収セル16の吸収率が変化
しても同様に変化する。したがって、その都度、その波
形の傾き度合いに応じた、オフセット電圧V1 ,V2
設定する必要がある。前述した各回路の特性や吸収セル
の吸収率は使用環境や経年変化に応じて、変化するの
で、実際問題として、オフセット電圧Vをその都度変更
できない。
【0045】これに対して、図1に示した実施例のレー
ザ光源31においては、オフセット周波数ΔFを実現す
る手段として、矩形波信号iのデューティ比Dを変化さ
せているので、サーボ回路21は、同期検波回路20の
出力信号kのゼロクロス点のみを判断すればよいので、
受光器17,増幅器18,同期検波回路20,矩形波信
号発生回路33等の特性の影響を全く受けない。よっ
て、レーザ光eの光周波数Fの安定性をより一層向上で
きる。
【0046】なお、本発明は上述した実施例に限定され
るものではない。例えば、矩形波信号発生回路33は、
ファンクションジェネレータのようにアナログ的に発生
させるものでも良いし、適当な分解能が得られる周期の
クロックパルスをカウントするなどしてディジタル的に
発生させるものでもよい。
【0047】図6は上述したカウンタを用いた矩形波信
号発生回路の概略構成を示すブロック図であり、図7は
同信号発生回路の動作を示すタイムチャートである。変
調周波数の256倍の周波数のクロック発振器40から
出力されたクロック信号Jは、分周比1/128の分周
器41及び分周比1/2の分周器42によってデューテ
ィ比50%の同期検波のための同期検波参照信号K
(m)となる。
【0048】この同期検波参照信号K(m)の立上がり
エッジをフリップフロップ47で検出して、この立上が
りエッジから第1の8ビットダウンカウンタ43でもっ
て前記クロック信号JにおけるMカウント分のクロック
カウントを行う。このカウント数Mにより同期検波参照
信号K(m)と駆動電流発生部13へ送出する変調信号
(矩形波信号)G(i)の位相差を調整する。
【0049】次に、第1の8ビットダウンカウンタ43
の最終カウント出力Dの立上がりエッジをフリップフロ
ップ48で検出し、この立上がりエッジから第2の8ビ
ットダウンカウンタ44でもって前記クロック信号Jに
おけるNカウント分のクロックカウントを行う。このカ
ウント数Nにより変調信号G(i)のデューティ比が調
整される。
【0050】すなわち、第2の8ビットダウンカウンタ
44の最終カウント出力Hの反転信号を変調信号G
(i)とすると、そのデューティ比はN/256とな
る。したがって、この実施例では、1/256の分解能
でデューティ比が可変できる。クロック周波数及び分周
器41の分周比、ダウンカウンタ43,44のビット数
を変更すれば、分解能をもっと向上させ得ることは言う
までもない。
【0051】また、セシウム等のアルカリ金属原子のガ
スガスを用いた原子発振器であってもよい。
【0052】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の原子発振
器においては、デューティ比を任意に設定できる矩形波
信号を用いて、励起用光源としてのレーザ光源から出力
されるレーザ光の光周波数を吸収ガスの吸収スペクトラ
ムを基準にして安定化し、かつ吸収スペクトラムの中心
周波数から所定周波数だけオフセットさせている。すな
わち、レーザ光の光周波数をガスセルの二重共鳴のマイ
クロ波周波数における光シフト量が光強度に依存しない
点に調整することにより、たとえ光強度に経時変化を生
じても光シフトに起因する二重共鳴のマイクロ波周波数
の変動が発生せず、出力される標準周波数信号の周波数
を長期に亘って常に一定値に維持できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例に係わる原子発振器の概略
構成を示すブロック図、
【図2】 実施例の矩形波信号の波形図、
【図3】 実施例におけるレーザ光の光周波数と受光器
の出力信号との関係を示す図、
【図4】 ガスセルの二重共鳴のマイクロ波周波数の光
シフト特性を示す図、
【図5】 他の装置と比較して実施例装置の効果を説明
するための図、
【図6】 本発明の他の実施例に係わる原子発振器にお
ける矩形波信号発生回路の概略構成を示すブロック図、
【図7】 同矩形波信号発生回路の動作を示すタイムチ
ャート、
【図8】 従来の原子発振器の概略構成を示す図、
【図9】 ルビジウム87原子のエネルギ準位図、
【図10】 二重共鳴の周波数特性図、
【図11】 同期検波回路の出力信号波形図、
【図12】 従来原子発振器におけるレーザ光源の概略
構成図、
【図13】 ルビジウム87ランプのD2 線の発光スペ
クトル図、
【図14】 ルビジウムの吸収スペクトラム図。
【符号の説明】
4…ガスセル、5…マイクロ波キャビティ、6…光・マ
イクロ波二重共鳴部、7,17…受光器、8…マイクロ
波発生部、8a…電圧制御水晶発振器、8b…周波数合
成・逓倍器、9…低周波発振器、10,19…増幅器、
11,20…同期検波回路、12,21…サーボ回路、
13…駆動電流発生部、14…レーザダイオード、16
…吸収セル、31…レーザ光源、32…出力周波数制御
部、33…矩形波信号発生回路、34…デューティ比設
定回路。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−291022(JP,A) 特開 平2−63321(JP,A) 特開 平2−20926(JP,A) 実開 平1−107225(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H03L 7/26 H01S 1/00 JICSTファイル(JOIS) 実用ファイル(PATOLIS) 特許ファイル(PATOLIS)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 レーザ光を出力するレーザ光源(31)と、
    マイクロ波を出力するマイクロ波発生部(8) と、前記レ
    ーザ光及びマイクロ波が同時に入射されることによって
    光・マイクロ波二重共鳴が生起し、透過したレーザ光が
    前記二重共鳴にて定まる周波数特性を呈するガスセル
    (4) と、前記マイクロ波発生部の出力周波数を前記二重
    共鳴にて定まる周波数に一致させる出力周波数制御部(3
    2)とを備えた原子発振器において、 前記レーザ光源(31)は、前記レーザ光を発生するレーザ
    ダイオード(14)と、入力信号レベルに対応した駆動電流
    を前記レーザダイオードへ供給する駆動電流発生部(13)
    と、この駆動電流発生部へ矩形波信号を送出する矩形波
    信号発生回路(33)と、吸収ガスが封入され前記レーザ光
    の一部が透過する吸収セル(16)と、この吸収セルを透過
    したレーザ光を受光する受光器(17)と、この受光器の出
    力信号を前記矩形波信号に同期した信号を参照波信号と
    して信号処理し、前記駆動電流発生部へ信号を送出する
    レーザ光制御手段(20,21) と、前記レーザ光の平均発振
    周波数を前記吸収ガスの吸収スペクトラムの中心周波数
    から所定周波数オフセットされた周波数になるように前
    記矩形波信号のデューティ比を設定するデューティ比設
    定手段(34)とを有することを特徴とする原子発振器。
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