JP3171429B2 - コンクリート面の色合わせ修復工法及び模様付けローラーによるコンクリート斑点模様再現方法 - Google Patents

コンクリート面の色合わせ修復工法及び模様付けローラーによるコンクリート斑点模様再現方法

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【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術的分野】本発明は、現場打設コンク
リートの欠陥部(打ち継ぎ、充填不良、ひびわれ、欠損
部)を原形に修復したとき、その局部補修箇所をコンク
リートと同等の質感にすること、及びコンクリートを劣
化促進させる要因である酸性雨及び紫外線等から守り、
建造物の耐久保護を行なう工法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
(1)ポリマーセメントモルタルに顔料を入れ、コンク
リート色とする方法(特許第1840596号)、
(2)白色セメント、石膏プラスタ一等を加え、コンク
リート色に近い組成物を使用した、従来の左官技術中の
方法、(3)エマルジヨン樹脂塗料をコンクリート色に
調合して色合わせする方法等があるが、局部補修で色
調、吸水率、耐久性においてコンクリートに近い性質を
付与するところまでの技術は得られていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】コンクリートは建築用
と土木用途に大別され、それぞれ強度や密度が違い、そ
の配合によって、色合いと吸水率、耐久性が違う。ま
た、1棟の建物中でも各部位によって色合いや吸水率が
違う。その条件に即応することはポリマーセメントモル
タルでは不可能である。水性塗料による色調整は可能で
あるが、吸水率でコンクリートとの差異が大きく、雨濡
れや保護材のクリヤーを塗布した場合に極端な色違いと
なって見苦しいものとなる。
【0004】本発明が解決すべき課題は、コンクリート
の耐久性が問われている今日、害をなす酸化物及び塩化
物からコンクリートを守り建造物の耐久維持保存を図り
つつ、セメント組成物のように強度促進とともに変色し
てゆく欠点を解消し、水性塗料のように吸水率が小さい
ために生じる色むらをなくすことである。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するた
め、本発明のコンクリートの色合わせ修復工法は、珪酸
質系塗材組成物によるコンクリート修復工法において、
粒径35μm〜14μm、見掛比重0.15以上0.2
3以下の二酸化珪素(以下、粒径の大きな二酸化珪素と
略す)を50〜150重量部、粒径14μm以下、見掛
比重0.03以上0.15以下の二酸化珪素(以下、粒
径の小さな二酸化珪素と略す)を10〜80重量部、珪
酸リチウム水溶液(固形分12.5%)を0〜300重
量部、アクリル樹脂エマルジョン(固形分45%)を5
0〜300重量部、着色顔料少量を添加し、コンクリー
ト既存色に着色した半透明または不透明の塗材による欠
陥局部の色合わせ、吸水率調整を行ない部分的に修復す
るものである。また、本発明の模様付けローラーによる
コンクリート斑点模様再現方法は、前記の塗材を模様付
けローラーに含ませ、補修部分にコンクリート同等の模
様を敏速に表現するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】欠陥部充填厚付材はコンクリート
強度に近い低収縮モルタルを使用し、仕上げ材に本発明
による無機質系塗材をコンクリート色に調色したものを
塗布し、同材の濃色で模様付けして周囲のコンクリート
と区別できないほどの質感を創作した。
【0007】セメント系塗料は、外部からの水の供給に
よる二次白華現象による変色があり、水性塗料では吸水
性が小さく、コンクリートとの吸水率の差が大きいため
色違いが発生し、経時変色原因ともなるが、本発明で
は、セメント系塗材と水性塗料の欠点を解決するもので
あって、水酸化カルシウムを含まず、透明性の高いシリ
カ(二酸化珪素)パウダーを主原料とすることによって
良好な結果を得た。
【0008】本発明における塗材は、粒径の大きな二酸
化珪素を50〜150重量部、粒径の小さな二酸化珪素
を10〜80重量部、珪酸リチウム水溶液(固形分1
2.5%)を0〜300重量部、アクリル樹脂エマルジ
ョン(固形分45%)を50〜300重量部含み、これ
に無機顔料を加えて着色したものである。粒径が大きな
二酸化珪素は透明度を消すための体質顔料の役目を果た
し、粒径が小さな二酸化珪素は体質顔料の沈降を防ぐ役
目を果たし、珪酸リチウム水溶液は結合材と吸水調整材
の役目を果たし、アクリル樹脂エマルジョンは結合基材
の役目を果たす。
【0009】粒径の大きな二酸化珪素は、粒径が35μ
mより大きくなると仕上がりが粗面になる。また、見掛
比重が0.15以上0.23以下でないと、良好な分散
性が得られない。また、50重量部未満では着色不能で
あり、150重量部を超えると、不透明となり、仕上が
りが粗面となり、表面に定着されず、良好な耐久性が得
られない。粒径の小さな二酸化珪素は、粒径14μmよ
り大きくなると、平滑な表面が得られない。見掛比重が
0.03以上0.15以下でないと粒径の大きな二酸化
珪素を良好に分散させることができない。また、10重
量部未満ではやはり粒径の大きな二酸化珪素を良好に分
散させることができず、80重量部を超えると透明性を
損なうと同時に、表面に定着されず良好な耐久性が得ら
れない。珪酸リチウム水溶液(固形分12.5%)は、
300重量部を超えると吸水率が低くなり、コンクリー
ト面との差異が生じる。アクリル樹脂エマルジヨン(固
形分45%)は、50重量部未満では結合不能であり、
300重量部を超えると樹脂膜を形成するためコンクリ
ートとは異なった表情を呈し、吸水率も低くなる。
【0010】
【実施例】以下、本発明を実施例を参照しながら具体的
に説明する。 実施例1 新設コンクリートの局部補修は、図1に示すように、ま
ずコンクリート1の欠陥部を厚付け用ポリマーセメント
モルタル2でコンクリート面から1〜2mm浅く埋め戻
し、24時間乾燥養生後、コンクリート色に近い特殊配
合の薄付用ポリマーセメントフィラー3(正栄建装株式
会社製、グラビックファンデー(商標)CH−A)で上
塗りし、6時間以上の乾燥を行い、ペーパー摺りし、コ
ンクリート面と同一に肌揃えを行い下地補修を完了し
た。
【0011】2日後に、本発明の無機質系塗料4をコン
クリートと同色に調色したものを補修箇所部にローラー
刷毛または平刷毛で塗布する(下塗り)。乾燥養生2時
間以上後、本発明の材料に、無機質系顔料を加え、既設
コンクリート中の模様に近似調色した塗料5を図2、図
3に示す模様付け専用ローラーで近似模様を点付けす
る。
【0012】図2(a),(b)に示す模様付け専用ロ
ーラーは大模様を付けるためのものであり、芯用パイプ
11に多孔質のナイロン繊維クッション材12を被覆
し、さらにその周囲にナイロン製の芝生状植毛体13を
被覆し、芯用パイプ11にハンドル15先端の軸14を
通し、ベアリング16によって回転自在に支持したもの
である。なお、図2(c)はコーナー用ローラーであ
り、円錐台形状のローラー形状をしている。
【0013】図3(a),(b)に示す模様付け専用ロ
ーラーは小模様を付けるためのものであり、芯用パイプ
21に多孔質のナイロン繊維クッション材22を被覆
し、さらにその周囲にナイロン製の太糸パイル織布体2
3を被覆し、芯用パイプ21にハンドル25先端の軸2
4を通し、回転自在に支持したものである。なお、図3
(c)はコーナー用ローラーであり、円錐台形状のロー
ラー形状をしている。
【0014】以上のような模様付け専用ローラーで模様
を付け、24時間以上の乾燥養生後、浸透性吸水防止剤
6を塗布した。24時間以上の乾燥養生後、耐久保護剤
(アクリル系樹脂クリヤー)7を製造所仕様に準じ塗布
して完了した。
【0015】<使用材料>重量比部 (1) 厚付用ポリマーセメントモルタルは、ポルトラ
ンドセメント(普通)100部に対し白セメント10〜
150部、高炉水砕スラグ微粉末10〜150部、珪砂
4号〜8号200〜400部、滑石粉10〜100部、
添加剤0.3〜0.5部、粗骨材1〜1200部、エチ
レン酢酸ビニール混和剤(固形分45%)10〜60
部、水135〜180部を混練りして、左官鏝で欠陥部
空洞の充填埋め戻しを行った。
【0016】(2) 薄付用ポリマーセメントフィラー
は、ポルトランドセメント(普通)100部に対し白セ
メント10〜150部、高炉水滓スラグ微粉末10〜1
50部、白砂粉8号〜9号100〜450部、滑石粉1
〜100部、エチレン酢酸ビニール混和剤(固形分45
%)10〜60部、水135〜180部を混練りして、
左官鏝で塗り付ける。
【0017】(3) 珪酸質系塗材(本発明塗料)、粒
径の大きな二酸化珪素5〜35μmφ50〜150部、
粒径の小さな二酸化珪素10〜80部、珪酸リチウム水
溶液(固形分12.5%)0〜300部、アクリル樹脂
エマルジョン(固形分45%)50〜300部、着色顔
料少量を添加し、コンクリート既存色に着色した半透明
塗材を欠陥部に下塗りして局部色補正を行った。
【0018】(4) (3)と同一材料に無機顔料を加
え、コンクリートの自然発生模様に合わせて着色したも
のを図2、図3に示す模様ローラーで濃淡模様付けす
る。
【0019】(5) 浸透性吸水防止剤はコンクリート
に必然的に発生する表面の空気泡及び毛細亀裂などコン
クリートを劣化させる酸性雨から守ることができる。
【0020】(6) 表面保護剤、アクリルクリヤーま
たはアクリルウレタン系、アクリルシリコン系、ポリエ
ステル系、フッ素系などの透明クリヤー、及び半透明ク
リヤーを塗布し、酸性雨、塩分等からコンクリートを守
り、長期間に亘り劣化を抑制する。
【0021】実施例2 古いコンクリート面を改修復元するに当たり、コンクリ
ート面を高圧水で洗浄した後、実施例1と同じ工程で全
面的な修復を試みたが、好結果が得られた。また、AL
C等、セメント系成型板面にも試験施工を行った結果、
コンクリートと見間違うほどの仕上がりが整形され、高
い評価が得られた。
【0022】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば下
記の効果を奏する。 (1) コンクリートの染み色むらは0mm塗厚で消す
ことが理想であるが、従来工法では不可能であった。本
発明では、コンクリート内に含浸着色となるため、厚み
を要しない改色調整を可能とした。 (2) シリカを主原料としたのは、コンクリート中に
存在する物質であり、増粘機能、着色安定性に優れ、変
退色がなく透水性塗膜を形成する。 (3) アクリルエマルジョン樹脂との混入比によって
吸水率をコンクリートに極めて近いものとしたため、降
雨時及び造膜型樹脂塗料を塗布した時の色変化が解消さ
れる。 (4) 一般的にアクリル樹脂は造膜すると撥水性を有
するが、シリカパウダーの吸水機能によってコンクリー
トに近い親水性を示す。
【0023】以上の結果、肌合い、色合い、表情等も極
めてコンクリートに近似し、局部補修及び全面的改修も
可能とした工法である。コンクリート面の欠陥部をつぶ
さに修復した後、躯体防水と保護膜を形成することによ
って酸化物及び塩分を遮断し、コンクリート建造物の耐
久性を極度に長期保存することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の方法により修復されたコンクリート
欠陥部の構造を示す断面図である。
【図2】 本発明に用いる大模様付け専用ローラーの実
施例を示すもので、(a)は要部断面正面図。(b)は
ローラーの断面図、(c)はコーナー用ローラーの正面
図である。
【図3】 本発明に用いる小模様付け専用ローラーの実
施例を示すもので、(a)は要部断面正面図、(b)は
ローラーの断面図、(c)はコーナー用ローラーの要部
断面正面図である。
【符号の説明】
1 コンクリート、2 厚付け用ポリマーセメントモル
タル、3 薄付け用ポリマーセメントフィラー、4 無
機質系塗料(下塗り)、5 無機質系塗料(模様付
け)、6 浸透性吸水防止剤、7 耐久保護剤、11
芯用パイプ、12 多孔質のナイロン繊維クッション
材、13 ナイロン製の芝生状植毛体、14 軸、15
ハンドル、16 ベアリング、21 芯用パイプ、2
2 多孔質のナイロン繊維クッション材、23 ナイロ
ン製の太糸パイル織布体、24 軸、25ハンドル

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 珪酸質系塗材組成物によるコンクリート
    修復工法において、粒径35μm〜14μm、見掛比重
    0.15以上0.23以下の二酸化珪素を50〜150
    重量部、粒径14μm以下、見掛比重0.03以上0.
    15以下の二酸化珪素を10〜80重量部、珪酸リチウ
    ム水溶液(固形分12.5%)を0〜300重量部、ア
    クリル樹脂エマルジョン(固形分45%)を50〜30
    0重量部、着色顔料少量を添加し、コンクリート既存色
    に着色した半透明または不透明の塗材による欠陥局部の
    色合わせ、吸水率調整を行ない部分的に修復することを
    特徴とするコンクリート面の色合わせ修復工法。
  2. 【請求項2】 粒径35μm〜14μm、見掛比重0.
    15以上0.23以下の二酸化珪素を50〜150重量
    部、粒径14μm以下、見掛比重0.03以上0.15
    以下の二酸化珪素を10〜80重量部、珪酸リチウム水
    溶液(固形分12.5%)を0〜300重量部、アクリ
    ル樹脂エマルジョン(固形分45%)を50〜300重
    量部、着色顔料少量を添加し、コンクリート既存色に着
    色した半透明または不透明の塗材を模様付けローラーに
    含ませ、補修部分にコンクリート同等の模様を敏速に表
    現することを特徴とする模様付けローラーによるコンク
    リート斑点模様再現方法。
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CN113982208B (zh) * 2021-11-09 2023-02-24 北京城乡建设集团有限责任公司 一种用于外墙饰面的清水混凝土保护剂的施工方法

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