JP3171137B2 - トランスリニア・マルチプライヤ - Google Patents
トランスリニア・マルチプライヤInfo
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- JP3171137B2 JP3171137B2 JP11041197A JP11041197A JP3171137B2 JP 3171137 B2 JP3171137 B2 JP 3171137B2 JP 11041197 A JP11041197 A JP 11041197A JP 11041197 A JP11041197 A JP 11041197A JP 3171137 B2 JP3171137 B2 JP 3171137B2
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、2つのアナログ信
号を乗算するマルチプライヤに関し、特にバイポーラ半
導体集積回路上に構成して好適な線形化された4象限マ
ルチプライヤに関する。
号を乗算するマルチプライヤに関し、特にバイポーラ半
導体集積回路上に構成して好適な線形化された4象限マ
ルチプライヤに関する。
【0002】
【従来の技術】マルチプライヤの従来技術としては例え
ば文献(1)「B. Gilbert,“A Precise Four-Quadr
ant Analog Multiplier with Subnanosecond resp
onse”, IEEE J. Solid-State Circuits, vol.SC-
3, no.4, pp.353-365, Dec.1968.」等の記載が参照
される。
ば文献(1)「B. Gilbert,“A Precise Four-Quadr
ant Analog Multiplier with Subnanosecond resp
onse”, IEEE J. Solid-State Circuits, vol.SC-
3, no.4, pp.353-365, Dec.1968.」等の記載が参照
される。
【0003】この種の線形動作を行う完全なバイポーラ
・マルチプライヤは未だ実現されていないというのが現
状である。また、この種のそれなりに線形化されたバイ
ポーラ・マルチプライヤは、1968年に発表されてお
り、ギルバートマルチプライヤ(Gilbert multiplie
r)として良く知られている。ただし、電圧−電流(V
−I)変換回路が完全に線形動作すれば、交叉接続型バ
イポーラ差動対を用いたギルバートマルチプライヤ型の
マルチプライヤでも、線形動作する完全な4象限マルチ
プライヤが得られることは周知である。
・マルチプライヤは未だ実現されていないというのが現
状である。また、この種のそれなりに線形化されたバイ
ポーラ・マルチプライヤは、1968年に発表されてお
り、ギルバートマルチプライヤ(Gilbert multiplie
r)として良く知られている。ただし、電圧−電流(V
−I)変換回路が完全に線形動作すれば、交叉接続型バ
イポーラ差動対を用いたギルバートマルチプライヤ型の
マルチプライヤでも、線形動作する完全な4象限マルチ
プライヤが得られることは周知である。
【0004】トランジスタのコレクタ電流Iciとベース
−エミッタ間電圧VBEiの関係は、指数則に従うものと
すれば、次式(1)で示される。
−エミッタ間電圧VBEiの関係は、指数則に従うものと
すれば、次式(1)で示される。
【0005】
【数1】
【0006】ここで、Isは飽和電流、VTは熱電圧であ
り、VT=kT/qと表される。ただし、qは単位電子
電荷、kはボルツマン定数、Tは絶対温度である。
り、VT=kT/qと表される。ただし、qは単位電子
電荷、kはボルツマン定数、Tは絶対温度である。
【0007】上式(1)は、ベース−エミッタ間電圧V
BEiが600mV前後のトランジスタが通常動作時には
指数部exp(VBEi/VT)は10乗程度の値になり、
−1は無視できる。したがって、次式(2)が成り立
つ。
BEiが600mV前後のトランジスタが通常動作時には
指数部exp(VBEi/VT)は10乗程度の値になり、
−1は無視できる。したがって、次式(2)が成り立
つ。
【0008】
【数2】
【0009】先ず、図9に示す逆双曲正接−双曲正接変
換回路の動作について説明する。図9を参照して、第
1、第2の入力電圧Vx、Vyを入力し、電流出力する電
圧−電流(V−I)変換回路61、62と、V−I変換
回路62の第1の電流出力端子にエミッタを共通接続し
た第1の差動対トランジスタQ1、Q2と、V−I変換
回路62の第2の電流出力端子にエミッタを共通接続し
た第2の差動対トランジスタQ3、Q4と、V−I変換
回路61の第1、第2の電流出力端子にそれぞれエミッ
タを接続し、ダイオード接続されたトランジスタQ5、
Q6と、を備え、トランジスタQ1とQ3のコレクタ、
トランジスタQ2とQ4のコレクタとが互いに交叉接続
され、トランジスタQ5、Q6のエミッタ出力が第1、
第2の差動対トランジスタのベースに差動入力され、ト
ランジスタQ1、Q4のコレクタから差動電流が取り出
される。線形動作する電圧−電流(V−I)変換回路6
1、62を「リニアゲインセル」と呼ぶ。
換回路の動作について説明する。図9を参照して、第
1、第2の入力電圧Vx、Vyを入力し、電流出力する電
圧−電流(V−I)変換回路61、62と、V−I変換
回路62の第1の電流出力端子にエミッタを共通接続し
た第1の差動対トランジスタQ1、Q2と、V−I変換
回路62の第2の電流出力端子にエミッタを共通接続し
た第2の差動対トランジスタQ3、Q4と、V−I変換
回路61の第1、第2の電流出力端子にそれぞれエミッ
タを接続し、ダイオード接続されたトランジスタQ5、
Q6と、を備え、トランジスタQ1とQ3のコレクタ、
トランジスタQ2とQ4のコレクタとが互いに交叉接続
され、トランジスタQ5、Q6のエミッタ出力が第1、
第2の差動対トランジスタのベースに差動入力され、ト
ランジスタQ1、Q4のコレクタから差動電流が取り出
される。線形動作する電圧−電流(V−I)変換回路6
1、62を「リニアゲインセル」と呼ぶ。
【0010】リニアゲインセル61の差動出力電流
Ix +、Ix -でダイオード接続されたトランジスタQ5、
Q6を駆動すると、次式(3)、(4)が成立する。但
し、VBE5、VBE6はトランジスタQ5、Q6のベース・
エミッタ間電圧、Gxはリニアゲインセルのコンダクタ
ンスの1/2である(ΔI=Ix +−Ix -=2GxVx)。
Ix +、Ix -でダイオード接続されたトランジスタQ5、
Q6を駆動すると、次式(3)、(4)が成立する。但
し、VBE5、VBE6はトランジスタQ5、Q6のベース・
エミッタ間電圧、Gxはリニアゲインセルのコンダクタ
ンスの1/2である(ΔI=Ix +−Ix -=2GxVx)。
【0011】 Ix +=IOx+GxVx=Isexp(VBE5/VT) …(3) Ix -=IOx−GxVx=Isexp(VBE6/VT) …(4)
【0012】したがって、ダイオード接続されたトラン
ジスタQ5、Q6の出力電圧ΔVxは次式(5)で与え
られる。
ジスタQ5、Q6の出力電圧ΔVxは次式(5)で与え
られる。
【0013】
【数3】
【0014】バイポーラトランジスタ差動対の差動出力
電流は双曲正接関数となり、交叉接続型バイポーラ差動
対Q1、Q2及びQ3、Q4の差動出力電流ΔIは次式
(6)のように導かれる。
電流は双曲正接関数となり、交叉接続型バイポーラ差動
対Q1、Q2及びQ3、Q4の差動出力電流ΔIは次式
(6)のように導かれる。
【0015】
【数4】
【0016】ただし、
【0017】
【数5】
【0018】である。
【0019】したがって、線形動作するV−I変換回路
61の出力電流をpn接合を用いて電圧変換すれば逆双
曲正接回路となり、双曲正接回路である交叉接続型バイ
ポーラ差動対Q1、Q2、及びQ3、Q4の差動入力電
圧とすることにより、交叉接続型バイポーラ差動対の入
力信号電圧についても線形動作を実現できる。
61の出力電流をpn接合を用いて電圧変換すれば逆双
曲正接回路となり、双曲正接回路である交叉接続型バイ
ポーラ差動対Q1、Q2、及びQ3、Q4の差動入力電
圧とすることにより、交叉接続型バイポーラ差動対の入
力信号電圧についても線形動作を実現できる。
【0020】同様にして、交叉接続バイポーラ差動対Q
1、Q2、及びQ3、Q4を駆動する差動出力電流(I
0y±GyVy)についても逆双曲正接−双曲正接変換する
ことで線形動作させることができる。
1、Q2、及びQ3、Q4を駆動する差動出力電流(I
0y±GyVy)についても逆双曲正接−双曲正接変換する
ことで線形動作させることができる。
【0021】
【数6】
【0022】ただし、
【0023】
【数7】
【0024】である。
【0025】したがって、次式(12)の関係が得られ
ることになり、線形動作する完全な4象限マルチプライ
ヤが得られる。
ることになり、線形動作する完全な4象限マルチプライ
ヤが得られる。
【0026】
【数8】
【0027】
【発明が解決しようとする課題】アナログ信号処理にお
いては、マルチプライヤは欠くことのできないファンク
ション・ブロックである。特に、2つの入力電圧に対し
て線形動作する完全な4象限マルチプライヤの必要性が
高まってきている。
いては、マルチプライヤは欠くことのできないファンク
ション・ブロックである。特に、2つの入力電圧に対し
て線形動作する完全な4象限マルチプライヤの必要性が
高まってきている。
【0028】従来のギルバートマルチプライヤは、電圧
−電流(V−I)変換回路が完全に線形動作しないため
に、完全な逆双曲正接−双曲正接変換が実現できない。
このため、従来のギルバートマルチプライヤでは、2つ
の入力電圧に対して線形動作する完全な4象限マルチプ
ライヤとはならなかった。
−電流(V−I)変換回路が完全に線形動作しないため
に、完全な逆双曲正接−双曲正接変換が実現できない。
このため、従来のギルバートマルチプライヤでは、2つ
の入力電圧に対して線形動作する完全な4象限マルチプ
ライヤとはならなかった。
【0029】従って、本発明は、上記事情に鑑みて為さ
れたものであって、その目的は、アナログ信号処理にお
いてはとりわけ重要なマルチプライヤとして、2つの入
力電圧に対して線形動作する完全な4象限マルチプライ
ヤを提供することにある。
れたものであって、その目的は、アナログ信号処理にお
いてはとりわけ重要なマルチプライヤとして、2つの入
力電圧に対して線形動作する完全な4象限マルチプライ
ヤを提供することにある。
【0030】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明のトランスリニア・マルチプライヤは、第
1、第2の入力信号を受けそれぞれの電圧に応じた差動
電流を出力する第1、第2の電圧−電流変換回路と、前
記第1、第2の電圧−電流変換回路のそれぞれの差動出
力電流を電圧変換するpn接合素子と、前記第1、第2
の電圧−電流変換回路に接続された前記pn接合素子間
の電圧を差動入力電圧とし、これらの和または差電圧を
出力するリニアゲインセル群と、出力が互いに共通接続
され差動出力対を構成する2対のトランジスタを含み、
エミッタが共通接続されて共通の電流により駆動され、
前記リニアゲインセル群の出力を入力とするノニュプル
テールセルからなり、2信号の乗算値を出力するマルチ
プライヤ・コア回路と、を備えたことを特徴とする。
め、本発明のトランスリニア・マルチプライヤは、第
1、第2の入力信号を受けそれぞれの電圧に応じた差動
電流を出力する第1、第2の電圧−電流変換回路と、前
記第1、第2の電圧−電流変換回路のそれぞれの差動出
力電流を電圧変換するpn接合素子と、前記第1、第2
の電圧−電流変換回路に接続された前記pn接合素子間
の電圧を差動入力電圧とし、これらの和または差電圧を
出力するリニアゲインセル群と、出力が互いに共通接続
され差動出力対を構成する2対のトランジスタを含み、
エミッタが共通接続されて共通の電流により駆動され、
前記リニアゲインセル群の出力を入力とするノニュプル
テールセルからなり、2信号の乗算値を出力するマルチ
プライヤ・コア回路と、を備えたことを特徴とする。
【0031】本発明においては、線形動作する電圧−電
流(V−I)変換回路として、リニアゲインセルを用い
ることで、差動入力電圧を対数圧縮することができ、ま
た、これら2つの電圧を所望の和あるいは差電圧が得ら
れ、9つのトランジスタが共通のテール電流により駆動
されるノニュプルテールセルのベース電圧として供給さ
れる。そして、ノニュプルテールセルをマルチプライヤ
・コア回路として動作させることができ、したがって、
等価的に指数変換されて、線形動作する完全な4象限マ
ルチプライヤを実現できる。
流(V−I)変換回路として、リニアゲインセルを用い
ることで、差動入力電圧を対数圧縮することができ、ま
た、これら2つの電圧を所望の和あるいは差電圧が得ら
れ、9つのトランジスタが共通のテール電流により駆動
されるノニュプルテールセルのベース電圧として供給さ
れる。そして、ノニュプルテールセルをマルチプライヤ
・コア回路として動作させることができ、したがって、
等価的に指数変換されて、線形動作する完全な4象限マ
ルチプライヤを実現できる。
【0032】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態について図面
を参照して以下に説明する。
を参照して以下に説明する。
【0033】3個以上のトランジスタが1つの共通テー
ル電流で駆動される回路を「マルチテールセル」と呼
び、例えば9個のトランジスタの場合には「ノニュプル
テールセル」、14個のトランジスタの場合には「クァ
ドリデシマルテールセル」と呼ぶことにする。
ル電流で駆動される回路を「マルチテールセル」と呼
び、例えば9個のトランジスタの場合には「ノニュプル
テールセル」、14個のトランジスタの場合には「クァ
ドリデシマルテールセル」と呼ぶことにする。
【0034】図1は、本発明の実施の形態に係るバイポ
ーラ・マルチプライヤ構成を示すブロック図である。な
お、図面作成の都合上、マルチプライヤ・コア回路は、
図1(B)、及び図2に示されている。
ーラ・マルチプライヤ構成を示すブロック図である。な
お、図面作成の都合上、マルチプライヤ・コア回路は、
図1(B)、及び図2に示されている。
【0035】図1を参照して、第1の入力信号電圧(V
x)と第2の入力信号電圧(Vy)とがそれぞれ入力され
る2つの電圧−電流(V−I)変換回路101、102
のそれぞれの差動出力は、2段のダイオード104、1
05、及び106、107を負荷とし、これらのダイオ
ードの端子間にそれぞれ差電圧2ΔVx、2ΔVyを出力
する。
x)と第2の入力信号電圧(Vy)とがそれぞれ入力され
る2つの電圧−電流(V−I)変換回路101、102
のそれぞれの差動出力は、2段のダイオード104、1
05、及び106、107を負荷とし、これらのダイオ
ードの端子間にそれぞれ差電圧2ΔVx、2ΔVyを出力
する。
【0036】この差電圧2ΔVx、2ΔVyを利得1の差
動増幅器108、109を介して差動入力とする複数個
のリニアゲインセル群103により、差電圧2ΔVx、
2ΔVyの所望の和電圧あるいは差電圧を出力し、マル
チプライヤ・コア回路を構成するバイポーラ・ノニュプ
ルテールセルの9つのトランジスタのそれぞれのベース
電圧、あるいはバイポーラ・クァドリデシマルテールセ
ルの14個のトランジスタ(図2参照)のそれぞれのベ
ース電圧として供給される。
動増幅器108、109を介して差動入力とする複数個
のリニアゲインセル群103により、差電圧2ΔVx、
2ΔVyの所望の和電圧あるいは差電圧を出力し、マル
チプライヤ・コア回路を構成するバイポーラ・ノニュプ
ルテールセルの9つのトランジスタのそれぞれのベース
電圧、あるいはバイポーラ・クァドリデシマルテールセ
ルの14個のトランジスタ(図2参照)のそれぞれのベ
ース電圧として供給される。
【0037】図10に、本発明の実施の形態に係るトラ
ンスリニア・マルチプライヤの全体の回路構成を示す。
なお、図10を参照して、第1の入力信号電圧(Vx)
と第2の入力信号電圧(Vy)とがそれぞれ入力される
2つの電圧−電流(V−I)変換回路101、102の
それぞれの差動出力は、図10では2段のダイオード1
04、105、及び106、107を負荷とし、これら
のダイオードの端子間のそれぞれの差電圧は2つの電圧
−電流(V−I)変換回路110、111に入力され、
電圧−電流(V−I)変換回路110、111の差動電
流出力は電流アダー(カレントアダー)120に入力さ
れ、電流にて加減算され、負荷抵抗群122の接続点か
ら電圧出力されて後述するエミッタが共通接続されて定
電流源に接続されたマルチテールセル130に入力さ
れ、2つの信号の乗算値が取り出される構成とされてい
る。なお、図1(A)のバッファアンプ108、10
9、及びリニアゲインセル群とは、図10の回路構成に
おいて、電圧−電流(V−I)変換回路110、11
1、電流アダー120、負荷抵抗群122に対応してい
る。負荷抵抗群122の端子電圧は、マルチテールセル
130を構成する、バイポーラ・ノニュプルテールセル
の9つのトランジスタのそれぞれのベース電圧、あるい
はバイポーラ・クァドリデシマルテールセルの14個の
トランジスタ(図2参照)のベース電圧として供給され
る。なお、図10には、ダイオード104、105、及
び106、107は縦積み2段の構成が示されている
が、電流アダー120において電流の和をとる電流ミラ
ー回路のミラー比、負荷抵抗群122の抵抗値を適宜設
定することにより、ダイオードは一段としてもよい。
ンスリニア・マルチプライヤの全体の回路構成を示す。
なお、図10を参照して、第1の入力信号電圧(Vx)
と第2の入力信号電圧(Vy)とがそれぞれ入力される
2つの電圧−電流(V−I)変換回路101、102の
それぞれの差動出力は、図10では2段のダイオード1
04、105、及び106、107を負荷とし、これら
のダイオードの端子間のそれぞれの差電圧は2つの電圧
−電流(V−I)変換回路110、111に入力され、
電圧−電流(V−I)変換回路110、111の差動電
流出力は電流アダー(カレントアダー)120に入力さ
れ、電流にて加減算され、負荷抵抗群122の接続点か
ら電圧出力されて後述するエミッタが共通接続されて定
電流源に接続されたマルチテールセル130に入力さ
れ、2つの信号の乗算値が取り出される構成とされてい
る。なお、図1(A)のバッファアンプ108、10
9、及びリニアゲインセル群とは、図10の回路構成に
おいて、電圧−電流(V−I)変換回路110、11
1、電流アダー120、負荷抵抗群122に対応してい
る。負荷抵抗群122の端子電圧は、マルチテールセル
130を構成する、バイポーラ・ノニュプルテールセル
の9つのトランジスタのそれぞれのベース電圧、あるい
はバイポーラ・クァドリデシマルテールセルの14個の
トランジスタ(図2参照)のベース電圧として供給され
る。なお、図10には、ダイオード104、105、及
び106、107は縦積み2段の構成が示されている
が、電流アダー120において電流の和をとる電流ミラ
ー回路のミラー比、負荷抵抗群122の抵抗値を適宜設
定することにより、ダイオードは一段としてもよい。
【0038】次に、ダイオードを負荷とする電圧−電流
(V−I)変換回路101、102の構成の一例を図3
に示す。
(V−I)変換回路101、102の構成の一例を図3
に示す。
【0039】図3を参照して、定電流駆動される2つの
トランジスタQ1、Q2のベース・エミッタ間電圧は、
駆動電流を等しくすると同じとなり、差動入力電圧Vx
がそのままエミッタ間抵抗Rxに印加される。したがっ
て、抵抗Rxが線形素子であるから、エミッタ間抵抗Rx
に流れる電流は差動入力電圧Vxに比例し、抵抗値に反
比例する。ただし、差動対を構成している2つのトラン
ジスタQ1、Q2は定電流駆動されていることから、そ
れぞれのトランジスタQ1、Q2のエミッタに接続され
たトランジスタQ3、Q4には、このエミッタ間抵抗R
xに流れる電流分だけ加減算された電流が流れる。この
ため、図3に示した電圧−電流(V−I)変換回路は線
形動作し、リニアゲインセルとして作用する。なお、図
3に示したダイオード負荷のV−I変換回路は、トラン
ジスタQ3、Q4のベース端子間電圧(2ΔVx)を取
り出し、図1に示した差動増幅器108に2ΔVx +とし
て供給される(V−I変換回路102についても同
様)。
トランジスタQ1、Q2のベース・エミッタ間電圧は、
駆動電流を等しくすると同じとなり、差動入力電圧Vx
がそのままエミッタ間抵抗Rxに印加される。したがっ
て、抵抗Rxが線形素子であるから、エミッタ間抵抗Rx
に流れる電流は差動入力電圧Vxに比例し、抵抗値に反
比例する。ただし、差動対を構成している2つのトラン
ジスタQ1、Q2は定電流駆動されていることから、そ
れぞれのトランジスタQ1、Q2のエミッタに接続され
たトランジスタQ3、Q4には、このエミッタ間抵抗R
xに流れる電流分だけ加減算された電流が流れる。この
ため、図3に示した電圧−電流(V−I)変換回路は線
形動作し、リニアゲインセルとして作用する。なお、図
3に示したダイオード負荷のV−I変換回路は、トラン
ジスタQ3、Q4のベース端子間電圧(2ΔVx)を取
り出し、図1に示した差動増幅器108に2ΔVx +とし
て供給される(V−I変換回路102についても同
様)。
【0040】したがって、図3に示す回路において、電
流出力を取り出すために、エミッタフォロワ付きカレン
トミラー回路をトランジスタQ1、Q2のエミッタに付
加すれば電流出力のリニアゲインセルとなり、差動出力
を持つことから複数個のリニアゲインセルの電流出力を
ワイヤードで電流加算し、抵抗負荷とすれば、等価的
に、それぞれのリニアゲインセルへの入力電圧ΔVx、
ΔVyの和電圧aΔVx+bΔVy、あるいは差電圧a′
ΔVx−b′ΔVyが、差動で得られる。
流出力を取り出すために、エミッタフォロワ付きカレン
トミラー回路をトランジスタQ1、Q2のエミッタに付
加すれば電流出力のリニアゲインセルとなり、差動出力
を持つことから複数個のリニアゲインセルの電流出力を
ワイヤードで電流加算し、抵抗負荷とすれば、等価的
に、それぞれのリニアゲインセルへの入力電圧ΔVx、
ΔVyの和電圧aΔVx+bΔVy、あるいは差電圧a′
ΔVx−b′ΔVyが、差動で得られる。
【0041】図1(B)に示したブロック図におけるマ
ルチプライヤ・コア回路はバイポーラ・ノニュプルテー
ルセルであることから、素子間の整合性が良いと仮定す
ると、テール電流IEEで駆動されるバイポーラ・ノニュ
プルテールセルの各々のコレクタ電流は次式(13)〜
(21)で与えられる。
ルチプライヤ・コア回路はバイポーラ・ノニュプルテー
ルセルであることから、素子間の整合性が良いと仮定す
ると、テール電流IEEで駆動されるバイポーラ・ノニュ
プルテールセルの各々のコレクタ電流は次式(13)〜
(21)で与えられる。
【0042】
【数9】
【0043】ただし、VRは、入力信号の直流電圧、VE
は、共通エミッタ電圧である。
は、共通エミッタ電圧である。
【0044】また、テール電流の条件より、次式(2
2)が成り立つ。
2)が成り立つ。
【0045】
【数10】
【0046】ただし、αFはトランジスタの直流電流増
幅率である。上式(13)から上式(22)を解くと、
次式(23)が求められる。
幅率である。上式(13)から上式(22)を解くと、
次式(23)が求められる。
【0047】
【数11】
【0048】図1(B)を参照して、バイポーラ・ノニ
ュプルテールセルの差動出力電流ΔIは、トランジスタ
Q1、Q2のコレクタ電流の和とトランジスタQ3、Q
4のコレクタ電流の和の差分で与えられ、次式(24)
で表される。
ュプルテールセルの差動出力電流ΔIは、トランジスタ
Q1、Q2のコレクタ電流の和とトランジスタQ3、Q
4のコレクタ電流の和の差分で与えられ、次式(24)
で表される。
【0049】
【数12】
【0050】ここで、図4に示すように、マルチプライ
ヤ・コア回路を構成するバイポーラ・ノニュプルテール
セルの9つのトランジスタQ1〜Q9のそれぞれのベー
スに印加される電圧は、 V1=a(2ΔVx)+b(2ΔVy)、 V2=(a-1)(2ΔVx)+(b-1)(2ΔVy)、 V3=(a-1)(2ΔVx)+b(2ΔVy)、 V4=a(2ΔVx)+(b-1)(2ΔVy)、 V5=(a-1/2)(2ΔVx)+(b-1/2)(2ΔVy)+VTln2、 V6=a(2ΔVx)+(b-1/2)(2ΔVy)、 V7=(a-1)(2ΔVx)+(b-1/2)(2ΔVy)、 V8=(a-1/2)(2ΔVx)+b(2ΔVy)、 V9=(a-1/2)(2ΔVx)+(b-1)(2ΔVy) であるから、上式(24)に代入すると、バイポーラ・
マルチプライヤの差動出力電流ΔIは、次式(25)と
求まる。
ヤ・コア回路を構成するバイポーラ・ノニュプルテール
セルの9つのトランジスタQ1〜Q9のそれぞれのベー
スに印加される電圧は、 V1=a(2ΔVx)+b(2ΔVy)、 V2=(a-1)(2ΔVx)+(b-1)(2ΔVy)、 V3=(a-1)(2ΔVx)+b(2ΔVy)、 V4=a(2ΔVx)+(b-1)(2ΔVy)、 V5=(a-1/2)(2ΔVx)+(b-1/2)(2ΔVy)+VTln2、 V6=a(2ΔVx)+(b-1/2)(2ΔVy)、 V7=(a-1)(2ΔVx)+(b-1/2)(2ΔVy)、 V8=(a-1/2)(2ΔVx)+b(2ΔVy)、 V9=(a-1/2)(2ΔVx)+(b-1)(2ΔVy) であるから、上式(24)に代入すると、バイポーラ・
マルチプライヤの差動出力電流ΔIは、次式(25)と
求まる。
【0051】
【数13】
【0052】一般的なバイポーラプロセスでは、α
Fは、0.98〜0.99であり、およそ1に近い。ま
た、上式(25)は、sinhz/(coshz+1)
の関数の積で表されているが、sinhz/(cosh
z+1)はトリプルテールセルの伝達特性と一致させら
れる。
Fは、0.98〜0.99であり、およそ1に近い。ま
た、上式(25)は、sinhz/(coshz+1)
の関数の積で表されているが、sinhz/(cosh
z+1)はトリプルテールセルの伝達特性と一致させら
れる。
【0053】ここで、差電圧ΔVx、ΔVyは次のように
求まる。
求まる。
【0054】図3に示した、差動入力電圧Vxを入力と
し、ダイオード負荷とする電圧−電流(V−I)変換回
路の差動出力電流は、それぞれ次のように求まる。但
し、VBE5、VBE6はトランジスタQ5、Q6(ダイオー
ド104、105に対応)のベース・エミッタ間電圧で
ある。
し、ダイオード負荷とする電圧−電流(V−I)変換回
路の差動出力電流は、それぞれ次のように求まる。但
し、VBE5、VBE6はトランジスタQ5、Q6(ダイオー
ド104、105に対応)のベース・エミッタ間電圧で
ある。
【0055】 Ix +=IOx+Vx/Rx=Isexp(VBE5/VT) …(26) Ix -=IOx−Vx/Rx=Isexp(VBE6/VT) …(27)
【0056】したがって、差動出力電圧ΔVxは、次式
(28)と求まる。
(28)と求まる。
【0057】
【数14】
【0058】同様に、差動入力電圧Vyを入力とし、ダ
イオード負荷とする電圧−電流(V−I)変換回路の差
動出力電流は、それぞれ次のように求まる。但し、V
BE7、VBE8は図1のダイオード106、107に対応し
たトランジスタ(図3のトランジスタQ5、Q6に対
応)のベース・エミッタ間電圧である。
イオード負荷とする電圧−電流(V−I)変換回路の差
動出力電流は、それぞれ次のように求まる。但し、V
BE7、VBE8は図1のダイオード106、107に対応し
たトランジスタ(図3のトランジスタQ5、Q6に対
応)のベース・エミッタ間電圧である。
【0059】 Iy +=IOy+Vy/Ry=Isexp(VBE7/VT) …(29) Iy -=IOy−Vy/Ry=Isexp(VBE8/VT) …(30)
【0060】したがって、差動出力電圧ΔVyは、次式
(31)と求まる。
(31)と求まる。
【0061】
【数15】
【0062】上式(28)、および上式(31)を上式
(25)に代入すると、次のように求まる。
(25)に代入すると、次のように求まる。
【0063】
【数16】
【0064】ただし、
【0065】
【数17】
【0066】である。
【0067】したがって、線形動作する完全な4象限ア
ナログマルチプライヤが得られる。
ナログマルチプライヤが得られる。
【0068】上記したように、マルチプライヤ・コア回
路を構成するバイポーラ・ノニュプルテールセルの4つ
のトランジスタのそれぞれのベースに印加される電圧、 V1=a(2ΔVx)+b(2ΔVy)、 V2=(a-1)(2ΔVx)+(b-1)(2ΔVy)、 V3=(a-1)(2ΔVx)+b(2ΔVy)、 V4=a(2ΔVx)+(b-1)(2ΔVy)、 V5=(a-1/2)(2ΔVx)+(b-1/2)(2ΔVy)+VTln2、 V6=a(2ΔVx)+(b-1/2)(2ΔVy)、 V7=(a-1)(2ΔVx)+(b-1/2)(2ΔVy)、 V8=(a-1/2)(2ΔVx)+b(2ΔVy)、 V9=(a-1/2)(2ΔVx)+(b-1)(2ΔVy) において、定数a、bは任意の値で良いことがわかっ
た。
路を構成するバイポーラ・ノニュプルテールセルの4つ
のトランジスタのそれぞれのベースに印加される電圧、 V1=a(2ΔVx)+b(2ΔVy)、 V2=(a-1)(2ΔVx)+(b-1)(2ΔVy)、 V3=(a-1)(2ΔVx)+b(2ΔVy)、 V4=a(2ΔVx)+(b-1)(2ΔVy)、 V5=(a-1/2)(2ΔVx)+(b-1/2)(2ΔVy)+VTln2、 V6=a(2ΔVx)+(b-1/2)(2ΔVy)、 V7=(a-1)(2ΔVx)+(b-1/2)(2ΔVy)、 V8=(a-1/2)(2ΔVx)+b(2ΔVy)、 V9=(a-1/2)(2ΔVx)+(b-1)(2ΔVy) において、定数a、bは任意の値で良いことがわかっ
た。
【0069】なお、上記V5において、トランジスタQ
5(図4参照)のエミッタ面積を2倍にすれば、定数項
+VTln2を実現できる。
5(図4参照)のエミッタ面積を2倍にすれば、定数項
+VTln2を実現できる。
【0070】さらに、図2に示すように、トランジスタ
Q10〜Q14を追加してバイポーラ・クァドリデシマ
ルテールセルとすると、トランジスタQ1、Q2、Q
5、Q6、Q7、Q8、Q9の和電流と、トランジスタ
Q3、Q4、Q10、Q11、Q12、Q13、Q14
の和電流は、それぞれテール電流:I0を分流したもの
であるから、無信号入力時には、それぞれI0/2を直
流動作点としている。したがって、信号入力時には、こ
の直流動作点(I0/2)を中心に電流が変化すること
になり、この場合には、差電流をとらなくとも、それぞ
れの出力電流は線形となることがわかる。
Q10〜Q14を追加してバイポーラ・クァドリデシマ
ルテールセルとすると、トランジスタQ1、Q2、Q
5、Q6、Q7、Q8、Q9の和電流と、トランジスタ
Q3、Q4、Q10、Q11、Q12、Q13、Q14
の和電流は、それぞれテール電流:I0を分流したもの
であるから、無信号入力時には、それぞれI0/2を直
流動作点としている。したがって、信号入力時には、こ
の直流動作点(I0/2)を中心に電流が変化すること
になり、この場合には、差電流をとらなくとも、それぞ
れの出力電流は線形となることがわかる。
【0071】同様に、トランジスタQ1、Q2、Q3、
Q4、Q5、Q10(図5参照)のエミッタ面積を2倍
にすれば、定数項+VTln2、を実現できる。
Q4、Q5、Q10(図5参照)のエミッタ面積を2倍
にすれば、定数項+VTln2、を実現できる。
【0072】すなわち、図5は、図4に示したバイパス
電流であるIバイパスを2分流してそれぞれ出力電流に
加算していることに相当する。
電流であるIバイパスを2分流してそれぞれ出力電流に
加算していることに相当する。
【0073】したがって、同様に、このバイポーラ・ク
ァドリデシマルテールセルを用いても、線形動作する完
全な4象限アナログマルチプライヤが得られる。
ァドリデシマルテールセルを用いても、線形動作する完
全な4象限アナログマルチプライヤが得られる。
【0074】上述したリニアゲインセルにおいては、エ
ミッタ間抵抗等を設定することで、この任意の定数a、
bを実現できるわけではない。すなわち、定数a、bを
ある特定の値に設定することで、線形動作する完全な4
象限アナログマルチプライヤが得られる。
ミッタ間抵抗等を設定することで、この任意の定数a、
bを実現できるわけではない。すなわち、定数a、bを
ある特定の値に設定することで、線形動作する完全な4
象限アナログマルチプライヤが得られる。
【0075】例えば、a=1/2、b=1/2とすれ
ば、2つのリニアゲインセルのカレントミラー回路の出
力数を増やすことで容易に実現できる。この場合の2つ
のリニアゲインセルの接続回路図を図6に示す。ただ
し、図6においてはV5(不図示)は直流電圧VTln2
となるが、図1(B)のトランジスタQ5のエミッタ面
積を2倍にすれば実現が容易である。
ば、2つのリニアゲインセルのカレントミラー回路の出
力数を増やすことで容易に実現できる。この場合の2つ
のリニアゲインセルの接続回路図を図6に示す。ただ
し、図6においてはV5(不図示)は直流電圧VTln2
となるが、図1(B)のトランジスタQ5のエミッタ面
積を2倍にすれば実現が容易である。
【0076】クァドリデシマルテールセルの場合、同様
にして、図6においては、V1、V2、V3、V4、V5、
V10には直流電圧VTln2が重畳されるが、図2のト
ランジスタQ1、Q2、Q3、Q4、Q5、Q10のエ
ミッタ面積を2倍にすれば実現が容易である。
にして、図6においては、V1、V2、V3、V4、V5、
V10には直流電圧VTln2が重畳されるが、図2のト
ランジスタQ1、Q2、Q3、Q4、Q5、Q10のエ
ミッタ面積を2倍にすれば実現が容易である。
【0077】図6を参照して、差電圧(ΔVx、ΔVy)
を入力とする、共に同様な構成の2つのリニアゲインセ
ルの出力電流をそれぞれ入力とするカレントミラー回路
の出力を相互に接続して、それぞれの和または差電流を
得るようにし、このようにして得られた電流による負荷
抵抗Rの端子電圧から上記電圧V1〜V9を取り出すよう
にしたものである(但し、a=b=1/2の場合には、
上記したように図4のトランジスタQ5のベース電圧V
5、また図5のトランジスタQ5及びQ10のベース電
圧V5、V10は、このリニアゲインセルからは取り出す
必要はない)。第1のリニアゲインセルは、エミッタが
抵抗Rで接続され、差動入力電圧ΔVxをベース入力と
し、コレクタにそれぞれ定電流源I0が接続された差動
対トランジスタQ1、Q2からなり、エミッタから出力
される電流I0±GxΔVxは第1、第2のカレントミラ
ー回路(エミッタフォロワ回路を備える)の入力端にそ
れぞれ入力され、これらのカレントミラー回路の出力端
(それぞれ3つの出力端を備える)は、単独に抵抗Rを
介して電源VCCに接続されるか(例えば節点V6、V7
参照)、差動入力電圧ΔVyを入力とする第2のリニア
ゲインセルの第3、第4のカレントミラー回路の出力端
とそれぞれ共通接続されて抵抗Rを介して電源VCCに
接続される。第2のリニアゲインセルについても同様と
される。なお、図6に示すリニアゲインセルを、図1に
示すリニアゲインセル群103に適用する場合、リニア
ゲインセルの差動入力電圧ΔVx、ΔVyは差動増幅器1
08、109の出力であるΔ2Vx、Δ2Vyとされる。
を入力とする、共に同様な構成の2つのリニアゲインセ
ルの出力電流をそれぞれ入力とするカレントミラー回路
の出力を相互に接続して、それぞれの和または差電流を
得るようにし、このようにして得られた電流による負荷
抵抗Rの端子電圧から上記電圧V1〜V9を取り出すよう
にしたものである(但し、a=b=1/2の場合には、
上記したように図4のトランジスタQ5のベース電圧V
5、また図5のトランジスタQ5及びQ10のベース電
圧V5、V10は、このリニアゲインセルからは取り出す
必要はない)。第1のリニアゲインセルは、エミッタが
抵抗Rで接続され、差動入力電圧ΔVxをベース入力と
し、コレクタにそれぞれ定電流源I0が接続された差動
対トランジスタQ1、Q2からなり、エミッタから出力
される電流I0±GxΔVxは第1、第2のカレントミラ
ー回路(エミッタフォロワ回路を備える)の入力端にそ
れぞれ入力され、これらのカレントミラー回路の出力端
(それぞれ3つの出力端を備える)は、単独に抵抗Rを
介して電源VCCに接続されるか(例えば節点V6、V7
参照)、差動入力電圧ΔVyを入力とする第2のリニア
ゲインセルの第3、第4のカレントミラー回路の出力端
とそれぞれ共通接続されて抵抗Rを介して電源VCCに
接続される。第2のリニアゲインセルについても同様と
される。なお、図6に示すリニアゲインセルを、図1に
示すリニアゲインセル群103に適用する場合、リニア
ゲインセルの差動入力電圧ΔVx、ΔVyは差動増幅器1
08、109の出力であるΔ2Vx、Δ2Vyとされる。
【0078】また、a=1、b=1とすれば、2つのリ
ニアゲインセルのカレントミラー回路の出力数を増や
し、ミラー比を変えることで容易に実現できる。この場
合の2つのリニアゲインセルの接続回路図を図7に示
す。ただし、図4のトランジスタQ5のエミッタ面積を
2倍にしている。なお図7においてV10〜V14はク
ァドリデシマルテールセルのベース電圧を示している。
ニアゲインセルのカレントミラー回路の出力数を増や
し、ミラー比を変えることで容易に実現できる。この場
合の2つのリニアゲインセルの接続回路図を図7に示
す。ただし、図4のトランジスタQ5のエミッタ面積を
2倍にしている。なお図7においてV10〜V14はク
ァドリデシマルテールセルのベース電圧を示している。
【0079】同様に、a=1/2、b=1またはb=0
とすれば、2つのリニアゲインセルのカレントミラー回
路の出力数を増やし、ミラー比を変えることで容易に実
現できる。この場合の2つのリニアゲインセルの接続回
路図を図8に示す。ただし、この場合も図4のトランジ
スタQ5のエミッタ面積を2倍に、図5のトランジスタ
Q1、Q2、Q3、Q4、Q5、Q14のエミッタ面積
を2倍にしている。
とすれば、2つのリニアゲインセルのカレントミラー回
路の出力数を増やし、ミラー比を変えることで容易に実
現できる。この場合の2つのリニアゲインセルの接続回
路図を図8に示す。ただし、この場合も図4のトランジ
スタQ5のエミッタ面積を2倍に、図5のトランジスタ
Q1、Q2、Q3、Q4、Q5、Q14のエミッタ面積
を2倍にしている。
【0080】上記実施例によれば、線形動作する完全な
4象限マルチプライヤを実現すると共に定電圧動作が可
能とされ、例えば1.9V程度の低電圧で、1VP-P近
い完全な線形な入力電圧範囲を持つマルチプライヤが実
現される。
4象限マルチプライヤを実現すると共に定電圧動作が可
能とされ、例えば1.9V程度の低電圧で、1VP-P近
い完全な線形な入力電圧範囲を持つマルチプライヤが実
現される。
【0081】
【発明の効果】以上、説明したように、本発明によれ
ば、完全な線形回路と完全な逆双曲正接回路を実現する
ことができるため、線形動作する完全な4象限マルチプ
ライヤを実現することができるという効果を有する。
ば、完全な線形回路と完全な逆双曲正接回路を実現する
ことができるため、線形動作する完全な4象限マルチプ
ライヤを実現することができるという効果を有する。
【0082】また、本発明によれば、線形動作するリニ
アゲインセルをカレントミラー回路出力として低電圧動
作が可能となるようにしているため、例えば1.9V程
度の低電圧で、1VP-P近い完全な線形な入力電圧範囲
を持つ、理想的なマルチプライヤが実現するという利点
を有する。
アゲインセルをカレントミラー回路出力として低電圧動
作が可能となるようにしているため、例えば1.9V程
度の低電圧で、1VP-P近い完全な線形な入力電圧範囲
を持つ、理想的なマルチプライヤが実現するという利点
を有する。
【図1】本発明の実施の形態に係るバイポーラ・マルチ
プライヤの構成を示す図である。
プライヤの構成を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るバイポーラ・マルチ
プライヤの構成を示す図である。
プライヤの構成を示す図である。
【図3】本発明の実施例を示す図であり、本発明の実施
の形態におけるダイオードを負荷とする電圧−電流(V
−I)変換回路の構成例を示す図である。
の形態におけるダイオードを負荷とする電圧−電流(V
−I)変換回路の構成例を示す図である。
【図4】本発明の実施例を示す図であり、本発明の実施
の形態におけるバイポーラ・マルチプライヤ・コア回路
を示す図である。
の形態におけるバイポーラ・マルチプライヤ・コア回路
を示す図である。
【図5】本発明の実施例を示す図であり、本発明の実施
の形態におけるバイポーラ・マルチプライヤ・コア回路
を示す図である。
の形態におけるバイポーラ・マルチプライヤ・コア回路
を示す図である。
【図6】本発明の実施例を示す図であり、本発明の実施
の形態におけるリニアゲインセルの一例を示す図であ
る。
の形態におけるリニアゲインセルの一例を示す図であ
る。
【図7】本発明の実施例を示す図であり、本発明の実施
の形態におけるリニアゲインセルの別の回路の構成例を
示す図である。
の形態におけるリニアゲインセルの別の回路の構成例を
示す図である。
【図8】本発明の実施例を示す図であり、本発明の実施
の形態におけるリニアゲインセルのさらに別の回路の構
成例を示す図である。
の形態におけるリニアゲインセルのさらに別の回路の構
成例を示す図である。
【図9】従来の完全な4象限マルチプライヤを実現する
逆双曲正接−双曲正接変換回路を示す図である。
逆双曲正接−双曲正接変換回路を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態に係るバイポーラ・マル
チプライヤの構成を示す図である。
チプライヤの構成を示す図である。
I0 電流源 101 V−I変換回路 104、105、106、107 ダイオード 109 リニアゲインセル 110 マルチプライア・コア回路 Q1〜Q9 トランジスタ R 抵抗 VCC 電源
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G06G 7/163 H03F 3/45 H03G 11/08
Claims (9)
- 【請求項1】第1、第2の入力信号を受けそれぞれの電
圧に応じた差動電流を出力する第1、第2の電圧−電流
変換回路と、 前記第1、第2の電圧−電流変換回路のそれぞれの差動
出力電流を電圧変換するpn接合素子と、 前記第1、第2の電圧−電流変換回路に接続された前記
pn接合素子間の電圧を差動入力電圧とし、これらの和
または差電圧を出力するリニアゲインセル群と、 出力が互いに共通接続され差動出力対を構成する2対の
トランジスタを含み、エミッタが共通接続されて共通の
電流により駆動され、前記リニアゲインセル群の出力を
入力とするノニュプルテールセルからなり、2信号の乗
算値を出力するマルチプライヤ・コア回路と、 を備えたことを特徴とするトランスリニア・マルチプラ
イヤ。 - 【請求項2】前記pn接合素子が1段又は2段縦積みさ
れてなることを特徴とする請求項1記載のトランスリニ
ア・マルチプライヤ。 - 【請求項3】前記マルチプライヤ・コア回路が、 出力が互いに共通接続され差動電流出力対を構成する2
対のトランジスタである、第1及び第2のトランジスタ
と、第3及び第4のトランジスタを備え、コレクタが共
通接続されて電源に接続される第5〜第9トランジスタ
と、を備え、前記第1〜第9のトランジスタのエミッタ
が共通接続されて一の定電流源により駆動されてなるノ
ニュプルテールセルから成ることを特徴とする請求項1
記載のトランスリニア・マルチプライヤ。 - 【請求項4】前記マルチプライヤ・コア回路が、 出力が互いに共通接続され差動電流出力対に接続される
2対のトランジスタである、第1及び第2のトランジス
タと、第3及び第4のトランジスタを備え、コレクタが
共通接続されてそれぞれ出力対に接続される第5〜第1
4のトランジスタと、を備え、前記第1〜第14のトラ
ンジスタのエミッタが共通接続されて一の定電流源によ
り駆動されてなるクァドリデシマルテールセルから成る
ことを特徴とする請求項1記載のトランスリニア・マル
チプライヤ。 - 【請求項5】請求項4において、それぞれの電圧−電流
変換回路の2段構成のpn接合素子間電圧を、2Δ
Vx、2ΔVyとした際に、ノニュプルテールセルを構成
する第1〜第9のトランジスタのベース電圧(V1、
V2、V3、V4、V5、V6、V7、V8、V9)を、それぞ
れ、 V1=a(2ΔVx)+b(2ΔVy)、 V2=(a−1)(2ΔVx)+(b−1)(2Δ
Vy)、 V3=(a−1)(2ΔVx)+b(2ΔVy)、 V4=a(2ΔVx)+(b−1)(2ΔVy)、 V5=(a−1/2)(2ΔVx)+(b−1/2)(2
ΔVy)+VTln2、 V6=a(2ΔVx)+(b−1/2)(2ΔVy)、 V7=(a−1)(2ΔVx)+(b−1/2)(2ΔV
y)、 V8=(a−1/2)(2ΔVx)+b(2ΔVy)、 V9=(a−1/2)(2ΔVx)+(b−1)(2ΔV
y) (但しa、bは任意の定数)としたことを特徴とするト
ランスリニア・マルチプライヤ。 - 【請求項6】請求項4において、それぞれの電圧−電流
変換回路の2段構成のpn接合素子間電圧を、2Δ
Vx、2ΔVyとした際に、クァドリデシマルテールセル
を構成する第1〜第14のトランジスタのベース電圧
(V1、V2、V3、V4、V5、V6、V7、V8、V9、V
10、V11、V12、V13、V14)を、それぞれ、 V1=a(2ΔVx)+b(2ΔVy)+VTln2、 V2=(a−1)(2ΔVx)+(b−1)(2ΔVy)
+VTln2、 V3=(a−1)(2ΔVx)+b(2ΔVy)+VTln
2、 V4=a(2ΔVx)+(b−1)(2ΔVy)+VTln
2、 V5=(a−1/2)(2ΔVx)+(b−1/2)(2
ΔVy)+VTln2、 V6=a(2ΔVx)+(b−1/2)(2ΔVy)、 V7=(a−1)(2ΔVx)+(b−1/2)(2ΔV
y)、 V8=(a−1/2)(2ΔVx)+b(2ΔVy)、 V9=(a−1/2)(2ΔVx)+(b−1)(2ΔV
y)、 V10=(a−1/2)(2ΔVx)+(b−1/2)
(2ΔVy)+VTln2、 V11=a(2ΔVx)+(b−1/2)(2ΔVy)、 V12=(a−1)(2ΔVx)+(b−1/2)(2Δ
Vy)、 V13=(a−1/2)(2ΔVx)+b(2ΔVy)、 V14=(a−1/2)(2ΔVx)+(b−1)(2Δ
Vy) (但しa、bは任意の定数)としたことを特徴とするト
ランスリニア・マルチプライヤ。 - 【請求項7】請求項5又は6において、a=1/2、b
=1/2としたことを特徴とするトランスリニア・マル
チプライヤ。 - 【請求項8】請求項5又は6において、a=1、b=1
としたことを特徴とするトランスリニア・マルチプライ
ヤ。 - 【請求項9】請求項5又は6において、a=1/2、b
=1またはb=0としたことを特徴とするトランスリニ
ア・マルチプライヤ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11041197A JP3171137B2 (ja) | 1996-04-12 | 1997-04-11 | トランスリニア・マルチプライヤ |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11572096 | 1996-04-12 | ||
JP8-115720 | 1996-04-12 | ||
JP11041197A JP3171137B2 (ja) | 1996-04-12 | 1997-04-11 | トランスリニア・マルチプライヤ |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1069515A JPH1069515A (ja) | 1998-03-10 |
JP3171137B2 true JP3171137B2 (ja) | 2001-05-28 |
Family
ID=26450043
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP11041197A Expired - Fee Related JP3171137B2 (ja) | 1996-04-12 | 1997-04-11 | トランスリニア・マルチプライヤ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3171137B2 (ja) |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
GB2439998A (en) * | 2006-07-07 | 2008-01-16 | Cambridge Semiconductor Ltd | Estimating the output current of a switch mode power supply |
GB2439997A (en) | 2006-07-07 | 2008-01-16 | Cambridge Semiconductor Ltd | Estimating the output current of a switch mode power supply |
-
1997
- 1997-04-11 JP JP11041197A patent/JP3171137B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Publication date |
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JPH1069515A (ja) | 1998-03-10 |
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