JP3170906B2 - 衛生洗浄装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、用便後の人体局部の洗
浄を行う衛生洗浄便座等に利用される衛生洗浄ノズルお
よび洗浄装置に関するものであり、特に洗浄水に気泡を
混入する型式の衛生洗浄装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】人体局部を洗浄するこの種洗浄装置とし
ては単一もしくは、複数のノズル孔を設けた洗浄ノズル
から温水を噴出させ局部を集中的に洗浄するものがある
が、この時の噴流は連続的な定常流であり、強い刺激感
があるために使用者に不快感を与える場合があった。そ
のため洗浄水に気泡を混入させて柔らかい体感が得られ
るものとして特公昭５８−１３６８８号公報に示される
洗浄装置が従来より知られている。当該装置では、噴出
ノズルの近傍に空気を混入させる空気吸引部を設けたも
のであり、空気の混入量は洗浄水の噴出速度あるいは噴
出量に依存する。このため混合可能な空気量に自ずと限
界があり、また洗浄水と空気の混合比は常に一定であっ
た。

【０００３】このために近年、図６および図７に示すよ
うに洗浄水に空気を強制的に混入させるものが提案され
ている。同図において１は便器、２は衛生洗浄便座であ
り便座３、便蓋４、洗浄装置を内蔵する本体５および便
器１内に突出してに設けられ、人体６の局部の洗浄を行
う洗浄ノズル７が設けられている。図７にこの洗浄ノズ
ル７の構造を示す。８は洗浄水の供給路であり、上流側
に設けられた空気ポンプ９および空気供給手段１０によ
って空気が混入した洗浄水が供給される。１１はノズル
シリンダ、１２は可動ノズルであり、洗浄水の水圧によ
って局部位置に押し出され、給水路１３を経てノズル孔
１４から洗浄水を人体局部に噴出するように構成されて
いる。

【０００４】上記構成において空気が混入された洗浄水
が供給路８に作用すると、可動ノズル１２は水圧によっ
て押し出されて局部位置で停止し、気泡が混入した洗浄
水がノズル孔１４から噴出して人体局部の洗浄が行われ
る。これにより充分な混合空気が得られるとともに好み
に応じて混合空気量を調整できるものである。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
たような従来の洗浄装置ではノズルシリンダの上流側で
空気を混入させるため、ノズルシリンダおよび可動ノズ
ル内を通過する過程で個々の気泡が相互に干渉し合い、
気泡が不均一となる。すなわち図７に示したように所定
の粒径でノズルシリンダ内に流入した気泡が相互に干渉
し合い、気相と液相に分離して大径なものに変化する。
この結果ノズル孔から噴出した時、気泡のはじけ音が発
生したり、人体局部に噴流が当接した時洗浄水が飛散し
て不必要な部分が濡れる課題があった。

【０００６】また空気供給手段を設けて空気を強制混合
するため、空気圧送用の専用アクチェータが必要とな
り、コストアップにつながる。

【０００７】さらに気泡混入洗浄と連続的な定常流によ
る洗浄を好みに応じて使い分けることができないという
課題があった。すなわち、この種洗浄装置は複数の利用
者があるため、性別、年齢、個人差あるいは体調等によ
って快適な洗浄形態が異なる。特に女性の局部洗浄にお
いては生理期間中における衛生保持を目的とした場合と
通常の小用後の洗浄で必要な洗浄形態に差があり改善が
望まれている。

【０００８】本発明は上記課題を解決するものであり、
混入された気泡が不均一となることを防止し、安定した
気泡混合洗浄水が得られるとともに洗浄水の飛散および
気泡のはじけ音の少ない洗浄ノズルを提供することを第
一の目的としている。

【０００９】また第二の目的は、安定した気泡混合洗浄
水が得られるとともに、気泡を混入させるための圧縮空
気を生成するアクチェータをこの種洗浄装置に必須の構
成要素と兼用させることにより低コスト化を実現するこ
とにある。

【００１０】さらに気泡混入洗浄と連続的な定常流によ
る洗浄を使用者の体調、好みに応じて使い分けることの
できる衛生洗浄装置を提供することを第三の目的として
いる。 また第四の目的は、肛門部の洗浄と女性の局部
洗浄を夫々に適した別のノズルユニットで構成するとと
もに、その各々について気泡混入洗浄と連続的な定常流
による洗浄を選択可能な衛生洗浄装置を提供することに
ある。

【００１１】

【課題を解決するための手段】上記第一の目的を達成す
るために本発明の衛生洗浄装置は、洗浄水を噴出する洗
浄ノズルを備えるとともに前記洗浄水の水圧によって進
退可能に構成された可動ノズル体と、前記可動ノズル体
を内蔵するノズルシリンダと、前記可動ノズル体を後退
方向に付勢する弾性部材からなり、前記ノズルシリンダ
には前記可動ノズル体の進出位置において前記洗浄水の
外部への漏水を防止するための第一および第二の弁座
と、前記第一および第二の弁座の間に設けられた空気取
入口を設けるとともに、前記可動ノズル体には前記第一
および第二弁座に対向して設けた第一および第二弁体
と、エジェクタノズルと、前記空気取入口からの空気を
吸引する空気吸引口を設けて構成したものである。

【００１２】また第二の目的を達成するために本発明の
衛生洗浄装置は、洗浄水を供給するポンプと、そのポン
プを駆動するモータと、前記ポンプからの洗浄水を人体
局部に噴出する洗浄ノズルと、この洗浄ノズルに空気を
混入するエジェクタノズルと空気取入口からなる空気混
入手段を設けたノズルユニットと、前記ポンプ駆動用の
モータを動力源として圧縮空気を生成する空気ポンプ
と、前記空気取入口と空気ポンプの出口を連通する空気
供給路と、前記空気供給路を開閉制御する流路切換弁を
設けたものである。

【００１３】さらに第三の目的を達成するために本発明
の衛生洗浄装置は、洗浄水を供給するポンプと、ポンプ
を駆動するモータと、洗浄水を人体局部に噴出する洗浄
ノズルと、この洗浄ノズルに空気を混入するエジェクタ
ノズルと空気取入口からなる空気混入手段を設けたノズ
ルユニットと、前記ポンプ駆動用のモータを動力源とし
て圧縮空気を生成する空気ポンプと、前記空気取入口と
空気ポンプの出口を連通する空気供給路と、前記空気供
給路を開閉制御する流路切換弁と、第一スイッチの投入
により前記流路切換弁を駆動させて気泡混入の有無を選
択する気泡選択回路と、第二スイッチの投入により前記
流路切換弁を断続駆動し、気泡を断続的に混入させる断
続制御回路を有する空気混入制御回路を設けたものであ
る。

【００１４】また第四の目的を達成するために本発明の
衛生洗浄装置は、洗浄水を供給するポンプと、ポンプを
駆動するモータと、洗浄水を加熱する温水タンクと、洗
浄水を人体局部に噴出する洗浄ノズルと、この洗浄ノズ
ルに空気を混入するエジェクタノズルと空気取入口から
なる空気混入手段を有し、使用者の肛門部を洗浄する第
一のノズルユニットと、前記第一のノズルユニットと同
様の部材から構成され、女性の局部を洗浄する第二のノ
ズルユニットと、前記第一および第二のノズルユニット
を選択切換するノズル切換弁と、前記ポンプ駆動用のモ
ータを動力源として圧縮空気を生成する空気ポンプと、
前記空気ポンプの出口に空気供給路を介して連通する入
力ポートと、前記第一および第二のノズルユニットの空
気取入口と各々連通する二つの出力ポートを有する流路
切換弁と、前記第一および第二のノズルユニットを選択
するノズル選択スイッチと、前記ノズル選択スイッチの
投入により前記ポンプ駆動用モータ、ノズル切換弁およ
び流路切換弁を制御する洗浄水制御回路と、前記流路切
換弁を制御する空気混入制御回路を設けて構成したもの
である。

【００１５】

【作用】本発明の衛生洗浄装置は上記構成により、可動
ノズル体の進出位置で前記可動ノズル体の一端に設けら
れたエジェクタノズルにより空気を吸引して洗浄水に混
合するものであるので、エジェクタノズルによって洗浄
水の流速が高められた状態で空気が混入され、気相と液
相に分離する前に給水路をへて洗浄ノズルから放出され
ることとなる。この結果、気泡の不均一化が防止され安
定した粒径の気泡が生成されることとなり、人体局部に
噴出した時適度の刺激がありかつ柔らかい洗浄感覚が得
られる。また気泡がはじけることにより柔らかい洗浄感
覚ではあるが洗浄力も高めることができる。また気泡粒
径が大きくならないために洗浄ノズルからの噴出時に気
泡のはじけ音が低減されるとともに洗浄水の飛散を低減
することができる。

【００１６】また本発明の衛生洗浄装置は、ノズルユニ
ットに空気を混入するエジェクタノズルと空気取入口か
らなる空気混入手段を設けるとともに洗浄水を供給する
ポンプの駆動源であるモータを動力源として圧縮空気を
生成する空気ポンプを設けたものであるので圧縮空気を
生成するための専用のアクチェータが不要であり、低コ
スト化と装置の小型化が実現できる。また空気を混入す
る空気供給路に流路切換弁を設けて開閉制御可能にした
ので気泡洗浄と連続的な定常流の選択が可能である。さ
らに本発明の衛生洗浄装置は、第一スイッチの投入によ
って流路切換弁を駆動させて気泡混入の有無を選択する
気泡選択回路と、第二スイッチの投入により流路切換弁
を断続駆動する断続制御回路からなる空気混入制御回路
を設けたので、使用者の体調、好みに応じて気泡混入洗
浄を選択できる。ここで洗浄水に空気を混入することに
より実質的に洗浄ノズルから噴出される吐出流量は洗浄
水と空気の合計流量となるため、気泡洗浄では大流量感
が得られ、気泡混入を停止すれば柔らかい洗浄感がえら
れる。また気泡の混入を断続することにより強弱が交互
に繰り返される洗浄形態が得られることとなり、単調感
が解消されるとともに洗浄力が向上し、被洗浄部のマッ
サージ効果も得られる。

【００１７】さらに本発明の衛生洗浄装置は、肛門洗浄
と女性の局部洗浄を行うノズルユニットを夫々別に設
け、各々に気泡を強制混入する手段と気泡混入を選択可
能な手段を設けたものであるので、肛門部と女性局部の
各々の洗浄において好適な洗浄噴流が設定できるととも
に、気泡混入と連続的な定常流による洗浄形態を任意に
選択することができ、洗浄パターンの選択自由度が拡大
できる。また空気ポンプの駆動源を洗浄水を供給するポ
ンプの駆動源と兼用したので洗浄水の水勢を調節する場
合、前記モータの回転数を調節すれば空気ポンプで生成
される空気量も比例して増減されることとなり、各々の
水勢で所定の空気混合比が得られる。さらに空気を混入
させることにより洗浄水の使用量を低減できるため、温
水タンクの容積低減が図れるとともに、この種衛生洗浄
装置が集中的に使用される朝の時間帯における洗浄水の
湯切れ防止が図れる。

【００１８】

【実施例】以下本発明の実施例を図面にもとづいて説明
する。

【００１９】図１は本発明の一実施例を示す衛生洗浄装
置の構成図であり、説明のため、その一部を断面図とし
てある。図２（ａ）はノズルユニットの要部断面図であ
り、また、図２（ｂ）は洗浄ノズルの要部断面図であ
る。同図において１５はポンプ１６とポンプ１６の駆動
手段であるモータ１７から構成される洗浄水供給手段、
１８は電気ヒータ１９によって加熱された温水を貯湯す
る温水タンク、２０は洗浄水を供給するための供給路で
ある。２１はノズルユニットであり、供給路２０に連通
するノズルシリンダ２２、ノズルシリンダ２２内にあっ
て洗浄水の水圧を受けて進出駆動され、人体局部位置に
停止して給水路２３を経てきた洗浄水を一端に設けられ
た洗浄ノズル２４の噴出孔２５から人体局部に向けて洗
浄水を噴出する可動ノズル体２６から構成されている。
ここでノズルシリンダ２２には可動ノズル体２６の進出
位置で洗浄水のノズル外部への漏水を防止するための第
一および第二の弁座２７、２８と、第一と第二の弁座２
７、２８の中間部に設けられた空気取入口２９が設けら
れており、可動ノズル体２６には第一および第二の弁座
２７、２８に対向して設けた第一および第二の弁体３
０、３１と可動ノズル体２６の一端に設けられ、洗浄水
の流速を高めるためのエジェクタノズル３２および空気
取入口２９に連通して空気を吸引する空気吸引口３３が
設けられている。また洗浄ノズル２４は絞り部３４、噴
出孔２５の両側に設けられた付着壁３５、３６および噴
流の流出方向の両側に設けられた一対の渦室３７、３８
を有し、いわゆる流体発振素子型の洗浄ノズルが構成さ
れている。

【００２０】３９は弾性部材であり、洗浄水供給手段１
５が停止して洗浄水の供給が停止した時、可動ノズル体
２６を後退位置に移動させる。

【００２１】４０はモータ１７を動力源として圧縮空気
を生成する空気ポンプであり、モータ１７が回転するこ
とにより圧縮空気は空気供給路４１を開閉制御する流路
切換弁４２の入力ポート４３に連通しており、二つの出
力ポート４４、４５の一方の出力ポート４４は空気取入
口２９に連通している。流路切換弁４２は、二つの出力
ポート４４、４５に対応して二つの弁座４６、４７と各
々の弁座を開閉する弁体４８と電磁駆動部４９を有して
おり、出力ポート４５は大気に開放されている。５０は
流路切換弁４２を制御する空気混入制御回路であり、第
一スイッチ５１の投入により流路切換弁４２を駆動して
空気ポンプ４０で生成された圧縮空気を洗浄水に混入す
るか否かを選択する気泡選択回路５２と、第二スイッチ
５３の投入により流路切換弁４２を断続駆動させて気泡
を断続的に混入する断続制御回路５４から構成されてい
る。

【００２２】以上の構成において次に本実施例の作用、
動作について説明する。洗浄水要求信号によりモータ１
７が回転するとポンプ１６によって温水タンク１８を経
てノズルシリンダ２２に供給され、洗浄水の水圧が可動
ノズル体２６の端面に作用して弾性部材３９の力に抗し
て前進し、第一および第二の弁座２７、２８に第一、第
二の弁体３０、３１が当接して閉止され、噴出口２５が
人体の局部位置に到達して停止する。ノズルシリンダ２
２に流入した洗浄水は、エジェクタノズル３２を通過し
て流速が高められた状態で給水路２３に流入する。

【００２３】一方、モータ１７の回転により空気ポンプ
４０も同時に駆動され、第一スイッチ５１が気泡混入選
択状態であれば、図１に示したように弁体４８は弁座４
６から離反して弁座４７を閉止し、圧縮空気は出力ポー
ト４４を経て空気取入口２９および空気吸引口３３を通
過して給水路２３に流入し、流速が高められた洗浄水に
効率よく混入される。

【００２４】ここで可動ノズル体２６の停止位置におい
て一対の弁体３０、３１によって漏れなく閉止した状態
で空気を供給するとともに洗浄ノズル２４と反対側の端
面にエジェクタノズル３２を設けたので洗浄水の流速が
高められた状態で空気が混入されることとなり、図２
（ａ）に示すように洗浄水と空気は気相と液相に分離す
る前に給水路２３を経て噴出口２５から放出されること
となる。この結果、気泡の不均一化が防止され安定した
粒径の気泡が生成されることとなり、人体局部に噴出し
た時適度の刺激がありかつ柔らかい洗浄感覚が得られ
る。また気泡がはじけることにより柔らかい洗浄感覚で
はあるが洗浄力も高めることができる。さらに気泡粒径
が大きくならないために噴出口２５からの噴出時に気泡
のはじけ音が低減されるとともに局部以外への洗浄水の
飛散を低減することができ、不必要部分が濡れるのを低
減できる。

【００２５】次に第一スイッチ５１により気泡混入なし
状態を選択すると気泡選択回路５２が動作して電磁駆動
部４９が駆動され、弁体４８は弁座を離反して弁座４６
を閉止し空気供給路４１は出力ポート４５に連通して大
気に開放される。したがって空気取入口２９は閉塞状態
となり、洗浄水は気泡を含まない状態で噴出口２５から
噴出する。すなわち図２（ｂ）に示すように気泡を含ま
ない洗浄水は絞り部３４から供給されると、コアンダ効
果（流体付着効果）によって例えば付着壁３６側に付着
し矢印Ａ側に噴出すると洗浄水は渦室３８側に流入し、
矢印Ａ側に噴出している洗浄水に側面から圧力を加え、
流水を付着壁３５側に移動させるように作用し、矢印Ｂ
側に噴流を移動させる。この状態が繰り返されることに
より自己発振状態となり、噴流は揺動しながら局部洗浄
が行われる。ここでこの種流体発振素子型のノズルで自
己発振状態を得る場合、絞り部３４からの噴出速度と渦
室３７、３８の形状寸法の最適化が必要であるが、自己
発振状態が得られた場合一般的に揺動幅つまり矢印Ａと
Ｂとの振幅は絞り部３４からの噴出速度、すなわち噴出
流量に依存する。本実施例では洗浄水に気泡を混入する
と、噴出口２５から噴出する流量は洗浄水量と混入空気
の和となる。したがって気泡が混入されない場合図２
（ｂ）に示すように噴出流量が少なくなるとともに揺動
幅が小さくなる。一方、気泡が混入されると流量が増加
するとともに気泡により渦室３７、３８内での不安定さ
が増加し、図２（ａ）に示したように揺動幅が大きくな
る。

【００２６】このように流体発振素子型ノズルを用いる
ことにより気泡混入の有無により小流量でのやさしい洗
浄と気泡混入による大流量で且つ揺動幅の大きい洗浄と
を好みにより選択できる。また第二スイッチ５３を投入
すると切換弁４２が断続駆動され、空気が断続的に混入
されることとなり図２（ａ）と（ｂ）の噴流パターンが
交互に繰り返されることとなり、使用者の単調感が解消
されるとともに洗浄力も向上する。また被洗浄部のマッ
サージ効果も得られる。

【００２７】以上のように本実施例によれば、可動ノズ
ル体２６の進出した状態で可動ノズル体２６の端面部に
エジェクタノズル３２を設けて空気を混入するため、洗
浄水の流速が高められた状態で空気が混入され、気相と
液相に分離する前に給水路２３を経て洗浄ノズル２４か
ら放出されることとなる。この結果、気泡の不均一化が
防止され安定した粒径の気泡が生成されることとなり、
人体局部に噴出した時適度の刺激がありかつ柔らかい洗
浄感覚が得られる。また気泡がはじけることにより柔ら
かい洗浄感覚ではあるが洗浄力も高めることができる。
また気泡粒径が大きくならないために洗浄ノズル２４か
らの噴出時に気泡のはじけ音が低減されるとともに洗浄
水の飛散を低減することができる。また洗浄水を供給す
るポンプ１６の駆動源であるモータ１７を動力源として
圧縮空気を生成する空気ポンプ４０を設けたものである
ので圧縮空気を生成するための専用のアクチェータが不
要であり、低コスト化と装置の小型化が実現できる。ま
た空気を混入する空気供給路４１に流路切換弁４２を設
けて開閉制御可能にしたので気泡洗浄と連続的な定常流
の選択が可能である。

【００２８】さらに空気混入制御回路５０を設けたの
で、使用者の体調、好みに応じて気泡混入洗浄を選択で
きる。また気泡の混入を断続することにより強弱が交互
に繰り返される洗浄形態が得られることとなり、単調感
が解消されるとともに洗浄力が向上し、被洗浄部のマッ
サージ効果も得られる。また洗浄ノズル２４を流体発振
素子型としたので気泡混入の有無による洗浄水の噴出状
態の差を明確なものにすることができる。

【００２９】図３および図４は本発明の他の実施例を示
す衛生洗浄装置の構成図である。同図において５５は図
１に示したノズルユニット２１と同様の部材で構成さ
れ、使用者の肛門部の洗浄を行うための第一のノズルユ
ニット、５６は図１に示したノズルユニット２１と同様
の部材で構成され、女性の局部を洗浄するための第二の
ノズルユニットであり、図１と異なるのは女性の局部洗
浄に好適なシャワー状の噴流が得られる洗浄ノズル２４
ａが設けられている点である。５７は供給路２０からの
洗浄水を第一あるいは第二のノズルユニット５５、５６
に切り換えるためのノズル切換弁である。空気供給路４
１に介在させた流路切換弁４２の出力ポート４４は第一
のノズルユニット５５の空気取入口２９に、またもう一
方の出力ポート４５は第二のノズルユニット５６の空気
取入口２９ａに連通されている。

【００３０】図４は洗浄水制御回路５８と空気混入制御
回路５０の構成図を示し、洗浄水制御回路５８は、ノズ
ル選択スイッチ５９の投入によりノズル切換弁５７と流
路切換弁４２を動作させて第一および第二のノズルユニ
ット５５、５６のどちらか一方から洗浄水を放出させる
切換弁駆動回路６０と、水勢スイッチ６１の投入により
洗浄水供給手段１５のモータ１７の回転数を制御する水
勢調節回路６２から構成されている。その他は図１およ
び図２に示した実施例と同じであり、同一符号を付して
詳細な説明を省略する。

【００３１】以上の構成において次に本実施例の作用動
作について説明する。ノズル選択スイッチ５９の肛門洗
浄を選択すると切換弁駆動回路６０によって流路切換弁
４２およびノズル切換弁５７が動作して肛門洗浄用の第
一のノズルユニット５５側に供給路２０を連通させると
ともに空気供給路 ４１が流路切換弁４２の出力ポート
４４を介して空気取入口２９に連通する。一方同時にモ
ータ１７が回転し、洗浄水のポンプ１６および空気ポン
プ４０が駆動されて洗浄水と圧縮空気が第一のノズルユ
ニット５５に供給される。なおこの時の水勢すなわち洗
浄水量は水勢調節回路６２によって水勢スイッチ６１で
調節可能な範囲の中間的な水勢に設定される。これによ
り洗浄水に気泡が混入されて噴出口２５から使用者の肛
門部に向けて噴出する。そして使用者の好みにより水勢
スイッチ６１を操作すれば好みの水勢が選択できる。

【００３２】図５は水勢スイッチ６１による水勢調節範
囲とポンプ回転数（モータ１７の回転数）および洗浄ノ
ズル２４からの吐出量の関係を示したものであり、洗浄
ノズルからの吐出量は洗浄水量と空気混入量の和とな
る。つまりＱL からＱh の範囲で調節可能である。

【００３３】またこの時、空気混入制御回路５０の第一
スイッチ５１を選択すれば流路切換弁４２が動作して出
力ポート４４が閉塞され、気泡の混入が停止されて洗浄
水のみによる洗浄が始まる。この時の洗浄ノズル２４か
らの吐出量は図５の洗浄水量で示した特性による流量の
みとなり、小流量でのやさしい洗浄体感が得られる。な
お流路切換弁４２が動作して出力ポート４５が開弁する
ことにより圧縮空気は空気取入口２９ａを通過して第二
のノズルユニット５６に流入するが、洗浄水による水圧
が作用していないため、弾性部材３９の作用によって可
動ノズル体２６は後退位置にあるため、第二のノズルユ
ニット５６の外部に漏れる。

【００３４】さらに第二スイッチ５３を選択すれば流路
切換弁４２が断続駆動され、空気が断続的に混入される
こととなり図２（ａ）と（ｂ）に示した噴流パターンが
交互に繰り返されることとなり、使用者の単調感が解消
されるとともに洗浄力も向上する。また被洗浄部のマッ
サージ効果も得られる。

【００３５】なお図５に示したように本実施例では、洗
浄ノズル２４からの吐出量は洗浄水量と空気量の和とな
るため、同様の洗浄効果を得ようとした場合、洗浄水の
みでの洗浄と比較して洗浄水の使用量を低減できる。こ
のため所定の温度の温水を貯湯するための温水タンク１
８の容積低減が図れるとともに、この種衛生洗浄装置が
集中的に使用される朝の時間帯における洗浄水の湯切れ
防止が図れる。

【００３６】次にノズル選択スイッチ５９のビデ洗浄、
すなわち女性局部洗浄を選択すると、切換弁駆動回路６
０によって流路切換弁４２およびノズル切換弁５７が動
作してビデ洗浄用の第二のノズルユニット５６側に供給
路２０を連通させるとともに空気供給路４１が流路切換
弁４２の出力ポート４５を介して空気取入口２９ａに連
通し、女性局部洗浄に適したシャワー状の噴流が得られ
る洗浄ノズル２４ａから洗浄水が噴出し、肛門洗浄時と
同様の操作により同様の作用効果が得られる。

【００３７】以上のように本実施例によれば、肛門洗浄
と女性の局部洗浄を行うノズルユニット５５、５６を夫
々別に設け各々に気泡を強制混入する手段と気泡混入を
選択可能な手段を設けたものであるので、肛門部と女性
局部の各々の洗浄において好適な洗浄噴流が設定できる
とともに、気泡混入と定常流による洗浄形態を任意に選
択することができ、洗浄パターンの選択自由度が拡大で
きる。また空気ポンプ４０の駆動源を洗浄水を供給する
ポンプ１６の駆動源であるモータ１７で兼用させたので
洗浄水の水勢を調節する場合、モータ１７の回転数を調
節すれば空気ポンプ４０で生成される空気量も比例して
増減されることとなり、各々の水勢で所定の空気混合比
が得られる。さらに空気を混入させることにより洗浄水
の使用量を低減できるため、温水タンクの容積低減が図
れるとともに、この種衛生洗浄装置が集中的に使用され
る朝の時間帯における洗浄水の湯切れ防止が図れる。

【００３８】

【発明の効果】以上詳述したように本発明の衛生洗浄装
置は、可動ノズル体の進出位置で前記可動ノズル体の一
端に設けられたエジェクタノズルにより空気を吸引して
洗浄水に混合可能なノズルユニットを備えたものである
ので、エジェクタノズルによって洗浄水の流速が高めら
れた状態で空気が混入され、気相と液相に分離する前に
給水路を経て洗浄ノズルから放出されることとなる。こ
の結果、気泡の不均一化が防止され安定した粒径の気泡
が生成されることとなり、人体局部に噴出した時適度の
刺激がありかつ柔らかい洗浄感覚が得られる。また気泡
がはじけることにより柔らかい洗浄感覚ではあるが洗浄
力も高めることができる。また気泡粒径が大きくならな
いために洗浄ノズルからの噴出時に気泡のはじけ音が低
減されるとともに洗浄水の飛散を低減することができ
る。

【００３９】また本発明の衛生洗浄装置は、洗浄水を供
給するポンプの駆動源であるモータを動力源として圧縮
空気を生成する空気ポンプを設けたものであるので圧縮
空気を生成するための専用のアクチェータが不要であ
り、低コスト化と装置の小型化が実現できる。また空気
を混入する空気供給路に流路切換弁を設けて開閉制御可
能にしたので気泡洗浄と連続的な定常流による洗浄を選
択することができる。

【００４０】さらに本発明の衛生洗浄装置は、空気混入
制御回路を設けたので、使用者の体調、好みに応じて気
泡混入の有無あるいは気泡の混入を断続することにより
強弱が交互に繰り返される洗浄形態が得られることとな
り、単調感が解消されるとともに洗浄力が向上し、被洗
浄部のマッサージ効果も得られる。

【００４１】また本発明の衛生洗浄装置は、肛門洗浄と
女性の局部洗浄を行うノズルユニットを夫々別に設け、
各々に気泡を強制混入する手段と気泡混入を選択可能な
手段を設けたものであるので、肛門部と女性局部の各々
の洗浄において好適な洗浄噴流が設定できるとともに、
気泡混入と連続的な定常流による洗浄形態を任意に選択
することができ、洗浄パターンの選択自由度が拡大でき
る。また空気ポンプの駆動源を洗浄水を供給するポンプ
の駆動源と兼用したので洗浄水の水勢を調節する場合、
前記モータの回転数を調節すれば空気ポンプで生成され
る空気量も比例して増減されることとなり、各々の水勢
で所定の空気混合比が得られる。さらに空気を混入させ
ることにより洗浄水の使用量を低減できるため、温水タ
ンクの容積低減が図れ、装置の小型化が達成できるとと
もに、この種衛生洗浄装置が集中的に使用される朝の時
間帯における洗浄水の湯切れ防止が図れるものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示す衛生洗浄装置の構成図

【図２】同ノズルユニットおよび洗浄ノズルの要部断面
図

【図３】本発明の他の実施例を示す衛生洗浄装置の構成
図

【図４】同空気混入制御回路と洗浄水制御回路の構成図

【図５】同水勢と吐出量およびポンプ回転数の関係を示
す特性図

【図６】従来の洗浄装置の断面図

【図７】同洗浄ノズルの拡大断面図

【符号の説明】

１５ 洗浄水供給手段 １６ ポンプ １７ モータ １８ 温水タンク ２０ 供給路 ２１ ノズルユニット ２２ ノズルシリンダ ２３ 給水路 ２４、２４ａ 洗浄ノズル ２６ 可動ノズル体 ２７ 第一の弁座 ２８ 第二の弁座 ２９、２９ａ 空気取入口 ３０ 第一の弁体 ３１ 第二の弁体 ３２ エジェクタノズル ３３ 空気吸引口 ３５、３６ 付着壁 ３７、３８ 渦室 ３９ 弾性部材 ４０ 空気ポンプ ４１ 空気供給路 ４２ 流路切換弁 ４３ 入力ポート ４４、４５ 出力ポート ５０ 空気混入制御回路 ５１ 第一スイッチ ５２ 気泡選択回路 ５３ 第二スイッチ ５４ 断続制御回路 ５５ 第一のノズルユニット ５６ 第二のノズルユニット ５７ ノズル切換弁 ５８ 洗浄水制御回路 ５９ ノズル選択スイッチ ６０ 切換弁駆動回路 ６１ 水勢スイッチ ６２ 水勢調節回路

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平２−274927（ＪＰ，Ａ) 特開 平２−136441（ＪＰ，Ａ) 特開 平２−108736（ＪＰ，Ａ) 特開 平１−318623（ＪＰ，Ａ) 特開 昭59−141645（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) E03D 9/08

Claims (6)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】洗浄水供給手段と、その洗浄水供給手段に
   連通する給水路と、ノズルユニットを有し、前記ノズル
   ユニットは洗浄水の水圧によって進退可能に構成された
   可動ノズル体と、前記可動ノズル体に設けた洗浄ノズル
   と、前記可動ノズル体を内蔵するノズルシリンダと、前
   記可動ノズル体を後退方向に付勢する弾性部材からな
   り、前記ノズルシリンダには前記可動ノズル体の進出位
   置において前記洗浄水の外部への漏水を防止するための
   弁座と、前記弁座の下流側に設けられた空気取入口を設
   けるとともに、前記可動ノズル体には前記弁座に対向し
   て設けた弁体と、エジェクタノズルと、前記空気取入口
   からの空気を吸引する空気吸引口を備えてなる衛生洗浄
   装置。
2. 【請求項２】洗浄ノズルは、噴出口と、その両側に設け
   られた付着壁と、噴流の流出方向に対して左右両側に設
   けられた一対の渦室からなる流体発振素子型とした請求
   項１記載の衛生洗浄装置。
3. 【請求項３】洗浄水を供給するポンプと、そのポンプを
   駆動するモータと、前記ポンプからの洗浄水を人体局部
   に噴出する洗浄ノズルと、この洗浄ノズルに空気を混入
   するエジェクタノズルと空気取入口からなる空気混入手
   段を設けたノズルユニットと、前記ポンプ駆動用のモー
   タを動力源として圧縮空気を生成する空気ポンプと、前
   記空気取入口と空気ポンプの出口を連通する空気供給路
   と、前記空気供給路を開閉制御する流路切換弁を設けた
   衛生洗浄装置。
4. 【請求項４】洗浄水を供給するポンプと、そのポンプを
   駆動するモータと、前記ポンプからの洗浄水を人体局部
   に噴出する洗浄ノズルと、この洗浄ノズルに空気を混入
   するエジェクタノズルと空気取入口からなる空気混入手
   段を設けたノズルユニットと、前記ポンプ駆動用のモー
   タを動力源として圧縮空気を生成する空気ポンプと、前
   記空気取入口と空気ポンプの出口を連通する空気供給路
   と、前記空気供給路を開閉制御する流路切換弁と、第一
   スイッチの投入により前記流路切換弁を駆動させて気泡
   混入の有無を選択する気泡選択回路と、第二スイッチの
   投入により前記流路切換弁を断続駆動し、気泡を断続的
   に混入させる断続制御回路を有する空気混入制御回路を
   設けた衛生洗浄装置。
5. 【請求項５】洗浄水を供給するポンプと、そのポンプを
   駆動するモータと、洗浄水を加熱する温水タンクと、前
   記ポンプからの洗浄水を人体局部に噴出する洗浄ノズル
   と、この洗浄ノズルに空気を混入するエジェクタノズル
   と空気取入口からなる空気混入手段を有し、使用者の肛
   門部を洗浄する第一のノズルユニットと、前記第一のノ
   ズルユニットと同様の部材から構成され、女性の局部を
   洗浄する第二のノズルユニットと、前記第一および第二
   のノズルユニットを選択切換するノズル切換弁と、前記
   ポンプ駆動用のモータを動力源として圧縮空気を生成す
   る空気ポンプと、前記空気ポンプの出口に空気供給路を
   介して連通する入力ポートと、前記第一および第二のノ
   ズルユニットの空気取入口と各々連通する二つの出力ポ
   ートを有する流路切換弁と、前記第一および第二のノズ
   ルユニットを選択するノズル選択スイッチと、前記ノズ
   ル選択スイッチの投入により前記ポンプ駆動用モータ、
   ノズル切換弁および流路切換弁を制御する洗浄水制御回
   路と、前記流路切換弁を制御する空気混入制御回路を設
   けた衛生洗浄装置。
6. 【請求項６】洗浄水制御回路は、ノズル選択スイッチの
   投入によりノズル切換弁と流路切換弁を動作させて第一
   および第二のノズルユニットのどちらかから洗浄水を放
   出させる切換弁駆動回路と、水勢スイッチの投入により
   ポンプの回転数を制御する水勢調節回路から構成した請
   求項５記載の衛生洗浄装置。