JP3170680U - スライドファスナー用スライダーのキャップ構造 - Google Patents

Abstract

【課題】塗装層が厚くなりすぎて弾片が引っ掛かることを防ぐことができるスライドファスナー用スライダーのキャップ構造を提供する。【解決手段】スライドファスナー用スライダーのキャップ構造は、キャップ１及び弾片２を備える。キャップ１は、底面１７に収納空間１１が凹設され、収納空間１１は、底面１７に設けられた２つの当接部１２を両端部に有し、２つの当接部１２間には、当接部１２それぞれの表面より低い表面である凹部１３が設けられている。キャップ１の両側には、長手方向の側壁１４がそれぞれ設けられている。２つの側壁１４の中段部には、収納空間１１と連通した開口部１５がそれぞれ設けられている。２つの側壁１４には、開口部１５に隣接した箇所に係止部１６がそれぞれ設けられている。弾片２は、収納空間１１内に配置され、係止部１６に当接されている。【選択図】図３

Description

本考案は、キャップ構造に関し、特に、まず、キャップ内に弾片を配置し、スライドファスナー用スライダーに取付けるキャップ構造に関する。

従来のスライドファスナー用スライダーは、少なくともスライダー本体、引手、弾片及びキャップから構成される。スライドファスナー用スライダーは、エレメント（務歯）に係合され、スライダー本体内に、引手取付部が設けられている。スライダー本体上の引手が引かれると、引手によりスライダー本体内の引手取付部が引っ張られ、スライダー本体のロックが解除され、エレメント上で自在に動かすことができるようになる。引手を引っ張らないときは、弾片の弾力により引手取付部がロック位置に戻ってロックされ、不意にスライダーが移動してファスナーが開いてしまうことを防ぐ。

図１に示すように、従来のスライドファスナー用スライダー（図示せず）を組み立てた後に行う焼付け塗装の工程においてスライドファスナー用スライダーに焼付け塗装を行う際、塗装層１０１ａがキャップ１ａ内に厚く形成されることがある。塗装層１０１ａが多すぎる場合、スライドファスナー用スライダー内部が詰まり、弾片２０１ａが塗装層１０１ａにより覆われると、弾片２０１ａの幅が増大してキャップ１ａに引っ掛かかり、力を込めなければスライダー本体を引手で引っ張ることができない。

スライドファスナー用スライダーに焼付け塗装を行った後、スライドファスナー用スライダーの内部に塗装層１０１ａが詰まってしまうことを防ぐために、従来技術では、余分な塗装層１０１ａを収納することができるように、キャップ１ａの両側壁を外側へ湾曲させるなどしてキャップ１ａの形状を変え、キャップ１ａ内部に大きな収納空間を形成したものがあるが、この場合、キャップ１ａの構造強度に悪影響を与え、製造工程においてキャップ１ａが変形し易かった。

本考案の目的は、組み立てた後のスライドファスナー用スライダーが、塗装層が厚くなりすぎて弾片が引っ掛かることを防ぐことができるスライドファスナー用スライダーのキャップ構造を提供することにある。
本考案のもう一つの目的は、弾片の弾性を最適な状態に維持することにより、スライドファスナー用スライダーの使用を容易とすることができるスライドファスナー用スライダーのキャップ構造を提供することにある。

上記課題を解決するために、本考案の第１の形態にかかるスライドファスナー用スライダーのキャップ構造は、キャップ及び弾片を備えるスライドファスナー用スライダーのキャップ構造であって、前記キャップは、底面に収納空間が凹設され、前記収納空間は、底面に設けられた２つの当接部を両端部に有し、前記２つの当接部間には、前記当接部それぞれの表面より低い表面である凹部が設けられ、前記キャップの両側には、長手方向の側壁がそれぞれ設けられ、前記側壁の中段部には、前記収納空間と連通した開口部がそれぞれ設けられ、前記側壁の前記開口部に隣接した箇所には係止部がそれぞれ設けられ、前記弾片は、前記収納空間内に配置されると共に前記係止部にそれぞれ当接され、両端部には切欠を有し、中段部には互いに対称的に設けられた２つの凹口をそれぞれ有していることを特徴とする。

本考案にかかるスライドファスナー用スライダーのキャップ構造は、組み立てた後のスライドファスナー用スライダーが、塗装層が厚くなりすぎて弾片が引っ掛かることを防ぐことができる上、弾片の弾性を最適な状態に維持することにより、スライドファスナー用スライダーの使用が容易となる。

従来技術のスライドファスナー用スライダーのキャップ構造に焼付け塗装を行った後の状態を示す底面図である。 本考案の第１実施形態にかかるスライドファスナー用スライダーのキャップ構造を示す斜視図である。 本考案の第１実施形態にかかるスライドファスナー用スライダーのキャップ構造を示す分解斜視図である。 本考案の第１実施形態にかかる本考案の第１実施形態にかかるスライドファスナー用スライダーのキャップ構造を示す平面図である。 図４の線５−５に沿った断面図である。 図５の弾片が変形したときの状態を示す断面図である。 本考案の第１実施形態にかかるスライドファスナー用スライダーのキャップ構造に焼付け塗装を行った後の閉端状の切欠を示す平面図である。 本考案の第１実施形態にかかるスライドファスナー用スライダーのキャップ構造に焼付け塗装を行った後の開放状の切欠を示す平面図である。 本考案の第２実施形態にかかるスライドファスナー用スライダーのキャップ構造を示す斜視図である。 本考案の第３実施形態にかかるスライドファスナー用スライダーのキャップ構造を示す斜視図である。

以下、本考案の実施形態について図に基づいて説明する。

（第１実施形態）
図２及び図３に示すように、本考案の第１実施形態にかかるスライドファスナー用スライダーのキャップ構造は、少なくともキャップ１及び弾片２から構成される。キャップ１の底面１７には、収納空間１１が凹設されている。収納空間１１の底面には、２つの当接部１２が両側に設けられている。２つの当接部１２間には、２つの当接部１２の表面より低い表面である凹部１３が形成されている。キャップ１の長手方向の両側には、側壁１４がそれぞれ設けられている。２つの側壁１４の中段部には、収納空間と連通した開口部１５がそれぞれ設けられている。２つの側壁１４の開口部１５に隣接した箇所には係止部１６がそれぞれ設けられている。弾片２は、収納空間１１内に配置され、２つの係止部１６に当接される。弾片２の両端部には、切欠２１がそれぞれ設けられている。また、弾片２の中央部には互いに対称的に設けられた２つの凹口２２が設けられる。弾片２は、Ｖ字状に屈曲され、頂面に折り曲げ端部２３が形成される。

図４及び図５に示すように、本考案の第１実施形態にかかるスライドファスナー用スライダーのキャップ構造は、収納空間１１内に配置された弾片２を有する。弾片２の両端は、キャップ１の２つの当接部１２上に当接されている。弾片２の折り曲げ端部２３には、スライダー本体の引手取付部（図示せず）が当接される。

図６に示すように、スライドファスナー用スライダーを引っ張る場合、引手取付部が緩んで弾片２の折り曲げ端部２３に当接し、該折り曲げ端部２３は、キャップ１の凹部１３に向かって変形し、収納空間１１で押下され適宜変位する。

凹部１３は、２つの当接部１２及び２つの側壁１４により画成される。２つの係止部１６は、２つの側壁１４から収納空間１１に向かってそれぞれ曲げられ、対角線上に設けられている。係止部１６は、スライドファスナー用スライダーを引っ張る際、キャップ１から弾片２が外れることを防ぐために用いられる。弾片２の中段部に設けられた凹口２２の２つの隅部は弧状である。

本実施形態のスライドファスナー用スライダーを組み立てる際、まず、弾片２をキャップ１に取り付けて１つのアセンブリを構成し、２つの側壁１４の開口部１５上に引手（図示せず）を取付け、最後に、このアセンブリをスライダー本体に取付ける。

スライドファスナー用スライダーを組み立てた後に焼付け塗装を行うと、塗装層１０１により、スライドファスナー用スライダーの表面及び収納空間１１が覆われる（図７参照）。収納空間１１を覆う塗装層１０１は、弾片２に設けられた２つの凹口２２により限られた収納空間１１を有効に利用し、余った塗装層１０１を収納することができる。これにより、塗装層１０１が厚すぎる場合でも、キャップ１の収納空間１１に弾片２が引っ掛かって復位しなくなることを防ぐことができる。

図７及び図８に示すように、弾片２の２つの切欠２１は、弾片２を最適な弾性部材として用いることができるように剛性を低減させるために用いられる。この弾片２を利用することで少ない力で引手取付部を引っ張るだけで、ロックを解除してスライドファスナー用スライダーを引き上げたり引き下げたりすることができる。２つの切欠２１は、弾片２に閉端状に設けられているが、この態様に限定されず、弾片２の両端の外側にそれぞれ向かうように開放状に貫設させてもよい。また、２つの切欠２１は、加工後に排屑するために用いることができる上、閉端状又は開放状であるため、排屑機能に悪影響を与えることがない。

（第２実施形態）
図９に示すように、本考案の第２実施形態にかかるスライドファスナー用スライダーのキャップ構造のキャップ１は、２つの側壁１４に対向するように設けられた複数の穿孔１８を有する。本実施形態は、収納空間１１中に配置された２つの脱落防止ピン３をさらに含み、該２つの脱落防止ピン３は、複数の穿孔１８に係合されて収納空間１１に貫設され、弾片２が落ちることを防ぐ為、弾片２の端面の両端を抑え付ける。

（第３実施形態）
図１０に示すように、本考案の第３実施形態にかかるスライドファスナー用スライダーのキャップ構造は、キャップ１の両側の収納空間１１内に配置され、当接部１２上に位置する２つの横板４をさらに含む。該２つの横板４は、弾片２の頂面に当接されるため、スライドファスナー用スライダーが引き上げたり引き下げたりする際、キャップ１から弾片２が外れることを防ぐことができる。

上述したことから分かるように、本考案のスライドファスナー用スライダーのキャップ構造は、以下（１）及び（２）の長所を有する。
（１）弾片２は、２つの切欠２１により弾片２の剛性を低減し、キャップ１の凹部１３により、収納空間１１が弾片２に大きな変形空間を与える。これにより、弾片２をスライダー本体に取り付け、スライドファスナー用スライダーを容易に引き上げたり引き下げたりすることができる。また、弾片２をプレス成形する際、弾片２の２つの切欠２１により、外部へ排屑することができる。
（２）本考案の弾片２の２つの凹口２２は、組み立てた後のスライドファイスナー用スライダーが、焼付け塗装を行った後に塗装層が厚くなりすぎることにより起きる問題を防ぎ、抵抗力を最小にすることができる。つまり、収納空間１１により塗装層が厚くなりすぎて起きる欠点をなくし、不良品の発生を大幅に減らし、品質を向上させてコストを低減させることができる。

当該分野の技術を熟知するものが理解できるように、本考案の好適な実施形態を上述の通り開示したが、本考案を限定するものではなく、本考案の主旨と領域を逸脱しない範囲内で行われる各種の変更や修正は、本考案の実用新案登録請求の範囲に含まれる。

１ キャップ
１ａ キャップ
２ 弾片
３ 脱落防止ピン
４ 横板
１１ 収納空間
１２ 当接部
１３ 凹部
１４ 側壁
１５ 開口部
１６ 係止部
１７ 底面
１８ 穿孔
２１ 切欠
２２ 凹口
２３ 折り曲げ端部
１０１ 塗装層
１０１ａ 塗装層
２０１ａ 弾片

Claims (9)

1. キャップ及び弾片を備えるスライドファスナー用スライダーのキャップ構造であって、
   前記キャップは、底面に収納空間が凹設され、前記収納空間は、底面に設けられた２つの当接部を両端部に有し、前記２つの当接部間には、前記当接部それぞれの表面より低い表面である凹部が設けられ、前記キャップの両側には、長手方向の側壁がそれぞれ設けられ、前記２つの側壁の中段部には、それぞれ前記収納空間と連通した開口部が設けられ、前記２つの側壁の前記開口部に隣接した箇所には、それぞれ係止部が設けられ、
   前記弾片は、前記収納空間内に配置され、前記係止部にそれぞれ当接され、両端部には切欠を有し、中段部には互いに対称的に設けられた２つの凹口がそれぞれ設けられ、前記切欠が閉端状に設けられていることを特徴とするスライドファスナー用スライダーのキャップ構造。
2. 前記係止部は、前記側壁から前記収納空間に向かって互いに対称的にそれぞれ湾曲されていることを特徴とする請求項１に記載のスライドファスナー用スライダーのキャップ構造。
3. 前記凹部は、前記２つの当接部及び前記２つの側壁により画成されることを特徴とする請求項１に記載のスライドファスナー用スライダーのキャップ構造。
4. 前記係止部は、互いに対角線上にそれぞれ設けられていることを特徴とする請求項１に記載のスライドファスナー用スライダーのキャップ構造。
5. 前記弾片の前記切欠は、それぞれ両端に向かって開放状に貫設されていることを特徴とする請求項１に記載のスライドファスナー用スライダーのキャップ構造。
6. 前記弾片は、側面がＶ字状に屈曲し、中段部に設けられた前記２つの凹口の隅部がそれぞれ弧状であることを特徴とする請求項１に記載のスライドファスナー用スライダーのキャップ構造。
7. 前記収納空間と連通し、前記２つの側壁上に対向するように設けられた複数の穿孔をさらに備えることを特徴とする請求項１に記載のスライドファスナー用スライダーのキャップ構造。
8. 前記穿孔にそれぞれ対応するように前記収納空間中に配置された２つの脱落防止ピンをさらに備えることを特徴とする請求項７に記載のスライドファスナー用スライダーのキャップ構造。
9. 前記当接部上に位置し、前記収納空間の両側部に配置された２つの横板をさらに備えることを特徴とする請求項１に記載のスライドファスナー用スライダーのキャップ構造。
   

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