JP3170678B2 - Nb合金耐熱部材及び該部材の製造方法 - Google Patents
Nb合金耐熱部材及び該部材の製造方法Info
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Description
有望なNb合金からなる基材表面に耐酸化被覆層を形成
してなるNb合金耐熱部材及び該耐熱部材の製造方法に
関するもので、Nb合金耐熱部材は、発電用ガスタービ
ン及び航空機用エンジンの燃焼器、タービン、あるいは
宇宙往還機、ロケットのエンジン部材、機体部材に適用
し得るものである。
エンジンの性能向上、あるいは宇宙往還機の実現等を目
的とした、超高温耐熱材料の開発が強く要望されてい
る。このような背景のもとで、高温強度が高く信頼性に
優れた耐熱合金の開発が進んでいる。例えば、高融点金
属であるNbをベースにしたNb合金あるいはNb3A
l金属間化合物は、現有の耐熱合金であるNi基超合金
をはるかに凌ぐ高温強度を有することから有望視されて
おり、特開平6−122935号公報にはW、Taを添
加元素とし1600℃での圧縮強度が向上したNb−A
1基金属間化合物が開示されている。
化雰囲気における強度を保証するものであり、高温酸化
現象について考慮されていない。Nb3A1金属間化合
物やNb合金では高温酸化が著しく、大気中において8
00℃以上での使用は不可能である。Nb3Alは大気
中で900℃以上で激しく酸化し、1500℃以上では
生成Nb酸化物が溶融して、元の形状すら保持すること
ができなくなる。金属間化合物相を含まないbcc単相
のNb合金でも同様である。したがって、Nb3Al金
属間化合物やNb合金を実用耐熱部材として適用するた
めには、耐酸化表面処理が不可欠である。
る合金からなる基材に耐酸化表面被覆層を形成したNb
合金耐熱部材を提供することにある。本発明の第2の目
的は、このような耐酸化性に優れた耐熱部材を得るため
に耐酸化表面被覆層を形成して耐熱部材を製造する方法
を提供することにある。
b中に主として高温強度向上のためMo、W、Ta、Z
r、C等の元素を添加したbcc相を主構成相とする合
金や、NbにA1を添加しA15型の金属間化合物を析
出させた、あるいはA15相が主構成相となるようなN
b−A1系合金を意味する。後者のNb−A1系合金
は、高温強度向上を目的にMo、W、Taが添加されて
いる場合もある。
るために、本発明は、Nb 3 Al基合金からなる基材表
面に95重量%以上のIrを有する表面被覆層を形成す
ることを特徴とするものである。
Al基合金からなる基材表面に、Ta、Re、Wから選
ばれた1種を重量比で90%以上有する金属からなる第
1層と、第1層の表面に重量で95%以上のIrを有す
る金属よりなる第2層を備えたものである。
のNb合金耐熱部材の製造方法では、Nb 3 Al基合金
からなる基材への表面被覆層を、以下のような方法で作
成する。(1)純度95%以上のIrをターゲット材を用
いたスパッタ成膜法で基材に被覆する。あるいは、(2)
Ta、Re、Wから選ばれた1種以上を合金表面へ真空
蒸着法で被覆し、続いてIrをスパッタ成膜法で被覆す
る。そして、(3)Ta、Re、Wのうちの1種以上を蒸
着する際に、酸素またはアルゴンのイオンを加速して基
材表面に照射するとより効果的である。
合金耐熱部材を、無酸素雰囲気中で1000〜1700
℃に加熱するのがよく、これにより基材と表面被覆層と
の密着性が向上する。
遮断する層として、Irを用いる。このIrは貴金属の
一種であり、融点が2400℃以上と高い。高温耐食性
及び高温耐酸化性が優れており、1500℃を超える超
高温においてもほとんど酸化、腐食が進行せず安定に存
在しうることから、超高温におけるNb合金の酸素遮断
層としてIrを用いる。
で成膜する。スパッタ法では、緻密な皮膜が形成できる
ため、酸素を遮断する効果が高く望ましい酸素遮断層が
形成できる。高融点のIrを成膜する方法としては他に
電子ビーム蒸着法や、電子ビーム蒸着法とイオン照射を
組み合わせたダイナミックミキシング法(又はイオンビ
ームアシステッドデポジション法)があるが、これらの
手法では皮膜の緻密性が悪く、Ir粒間の空壁から酸素
がNb合金に侵入してしまい、酸素遮断の効果はほとん
どなくなる。スパッタ法には、高周波スパッタ法、イオ
ンビームスパッタ法等があるが、特に前者の方法が、成
膜速度の点で有利である。
が望ましい。膜厚が5μm以下ではIr自身の酸化によ
る蒸発、あるいは拡散防止層との拡散等により酸素遮断
層が消失、変質してしまい十分な高温耐酸化の効果が得
られない。膜厚が100μm以上の場合は、剥離、クラ
ック等の問題が生じ易くなり不適である。
おいて熱応力によるクラックの発生や、剥離の問題がな
く、1700℃大気中においてNb合金の酸化による損
傷を完全に防止することができる。酸素遮断表面被覆層
としてAl2O3又はAl2O3−SiO2を使用した場合、
900℃程度の温度に過熱した時点で、熱応力によって
皮膜にクラックが発生する。酸素がそのクラックを通っ
て基材のNb合金に到達すると、Nbが酸化し体積膨脹
が生じる。そのことによってAl2O3皮膜がさらに破壊
され、酸化が加速される。本発明によるIr表面被覆層
は、成膜プロセスを最適化することにより、緻密な皮膜
が得られ、Al2O3皮膜がもつ高温でのクラック発生、
酸素侵入という問題を全く生じない。Irは面心立方構
造をもつ金属元素であるので、Al2O3のような脆性弱
材料ではない。したがって、熱応力が発生してもクラッ
クは生じないので、Ir皮膜そのものの物質内を拡散し
ていく以外に酸素が基材に侵入することはない。一方、
前述したように、Irは高温においても酸素を拡散しに
くいため、良好な耐酸化性が得られるものである。
bは互いに拡散しやすい性質を持ち、1700℃以上で
長時間保持するとIr層はNb合金の中に拡散して消失
してしまう。このようにIrが消失してしまえば、高温
酸化雰囲気においてNb合金の耐酸化性は確保されず、
Nb合金は激しく酸化する。そこで、本発明では、Ir
がNb合金中に拡散するのを防ぐために、Nb合金基材
とIr層との間にTa、Re、Wの3種類の高融点金属
のいずれかからなる拡散防止層を設ける。Ta、Re、
W自身には雰囲気中の酸素を遮断する効果がないので、
Ir層に酸素遮断効果を持たせることにより、酸化雰囲
気中でも使用可能なNb合金耐熱部材が可能となる。
として、第1に融点が使用温度以上であること、第2に
使用温度でのIrとNb合金の拡散を防止できること、
そして第3にNb合金との密着性がよく、Ir層の密着
性も損なわないことが挙げられる。Ta、Re、Wはい
ずれも融点が3000℃以上と高く、Nb合金耐熱部材
の使用温度の例えば1500℃以上においても安定であ
ることから、第1の条件を満たしている。又、第2の条
件に関しても、Irがこれら高融点金属Ta、Re、W
へ拡散する速度はIrがNb合金へ拡散する速度よりも
大幅に小さく、1500℃以上の高温で保持した場合で
もIr層が消失せず、十分な拡散防止効果を有する。拡
散防止層、Ir層という多層構造では、第3の条件であ
る基材との境界部を含めた各々の層境界での皮膜の密着
性が特に重要である。拡散防止層とIr層の密着性が悪
いと、耐熱部材の使用温度に至るまでの過程でIr皮膜
が一部剥離す。前述した通り、Ta、Re、W自身には
雰囲気中の酸素を遮断する効果がないので、剥離した部
分から酸素アタックを受けて、生成した酸化物の体積膨
脹によって皮膜全体が破壊する。この皮膜の破壊によっ
て耐熱部材の耐酸化性は完全に失われる。本発明にかか
る高融点金属Ta、Re、W上へのIr皮膜の密着性
は、Irの成膜プロセスによらずいずれも良好であり、
成膜直後から高温酸化雰囲気に至るまでIr皮膜の剥離
の問題は生じない。特にTaがIr層の密着性の観点か
ら最も有効である。
は、上記第1及び第2の条件を満たすが、Irとの密着
性が悪く第3の条件を満たさないため不適である。酸化
物層の上部のIr層は成膜直後に既に一部剥離してしま
い、さらに1000℃を越えると熱膨脹差による酸化物
層に亀裂が発生して、酸化物層とNb合金との密着性も
著しく低下する。
Wの高融点金属による拡散防止層とIrによる酸素遮断
層との組合せを採用すれば、Irが剥離したり拡散によ
り消失したりすることなく、本来の酸素遮断効果を十分
に発揮することが可能となり、1700℃以上の酸化雰
囲気で使用できる高耐酸化性Nb合金部材が提供可能と
なる。
止層の膜厚は0.5〜10μmが望ましい。膜厚が0.5
μm以下では拡散により変質し十分なIr層の拡散防止
効果が得られず、膜厚が10μm以上では表面被覆層全
体の密着性に悪影響を及ぼし不適である。
覆層の形成方法では、拡散防止層を真空蒸着法で成膜す
る。これは電子ビームを用いた蒸着法が最適である。拡
散防止層は3000℃以上の高融点金属Ta、Re、W
からなるため、電子ビームの真空蒸着法以外の方法では
均質な膜を得ることが困難である。また、Nb合金と拡
散防止層との密着性を向上させるために、電子ビーム蒸
着中に酸素またはアルゴンのイオンを加速電圧10kV以
上で合金表面に照射することが有効である。蒸着と同時
に一定以上のエネルギーを持ったイオンを照射すること
により、基材であるNb合金と拡散防止層との境界部に
相互の成分が混合されたミキシング層と呼ばれる領域が
形成され、皮膜の密着性を向上させる。照射するイオン
が酸素またはアルゴン以外の場合は、Ta、Re、Wの
拡散防止層の金属組成が変化して所定の機能を発揮でき
なくなる可能性があり、また、成膜装置自身も複雑にな
り不適である。イオンの加速電圧が10kV以下の場合
は、エネルギー不足のためミキシング層が十分形成され
なかったり、照射したイオンが成膜中に皮膜に注入せ
ず、逆にスパッタ効果を生じ膜を消失させる可能性があ
り不適である。
得るために、成膜後熱処理することが有効である。成膜
後の熱処理によって、Nb合金、Ir酸素遮断層あるい
はそれに拡散防止層を加えた各々が境界部で適度に拡散
し、一種の拡散接合のような形で成形可能となる。その
場合、真空やAr等の不活性ガスの無酸素雰囲気中で1
000〜1700℃の温度で10分以上の保持温度を熱
処理条件とする。雰囲気が酸化雰囲気であれば、基材で
あるNb合金の酸化が熱処理の障害になる可能性があ
り、温度が1000℃以下あるいは熱処理時間が10分
以下の場合は、拡散による密着効果が十分得られない。
また、熱処理温度が、1700℃以上であれば、拡散が
必要以上に進行して本来の機能が得られないおそれがあ
る。
純度95%以上で常時酸素遮断の効果が得られるもので
ある。一方、拡散防止層は、高融点金属であるTa、R
e、Wから選ばれた1種以上の成分が重量比で90%以
上である物質であることが有効であり、互いに合金にな
っていても同様な効果が得られる。特に純度99.9%
以上の純Taの場合、密着性の観点から最も望ましい。
高融点金属の成分比が重量で90%以下の場合は、軽元
素の混入による融点の低下や、Nb合金、Ir層との拡
散防止効果の低減等の理由から不適である。
層は、耐酸化性確保を目的としている。Nbを主成分と
する合金を実用化するためには、前述したような耐酸化
表面被覆が不可欠であるが、本発明による耐熱部材は、
内部冷却構造を有するような場合に遮熱コーティングを
備えることができる。その場合、ZrO2を主成分とし
Y2O3、MgO、CaOから選ばれた1種以上を含むZ
rO2系セラミック層を20〜600μm幅でIrの酸
素遮断層の上部に被覆する。このセラミックス層は熱遮
蔽効果を発揮し、耐熱部材のメタル温度を低減させ、よ
り高い運転温度での使用が可能となる。
具体的に説明する。
合金耐熱部材1の構成を示す模式図である。この耐熱部
材1の製造方法を以下に説明する。Nbを主成分とする
合金でなる基材101として、真空スカル溶解により鋳
造したNb-24%Al-4%Mo(原子(at.)%)組成のイ
ンゴットを放電加工により10×10×2(mm)の寸法に
切り出し、その表面をエミリー紙で♯1000まで研磨
したものを用いた。この基材101を、有機溶剤で超音
波洗浄したのち、高周波スパッタ成膜装置に移してセッ
トした。本装置には、あらかじめ純度99.9%以上の
Irターゲットを装着しておく。チャンバー内を1×10
~6Torrまで真空引きしたのち、純度99.9%以上のA
rガスをチャンバー内に導入し、圧力を1×10~3Torr
に調整してプラズマを発生させ、Irのコーティングを
実施した。プラズマ出力を300kWとし、150分間
成膜処理を行って基材101表面に約20μmの表面被
覆層102(Ir)を形成して、Nb合金耐熱部材1を得
た。
の耐酸化性効果を検証するために、図2に示す試験片2
を用いて酸化試験を実施した。試験片2は、円柱状の穴
を開けたIr製の基体110の中にNb3Al基金属間
化合物115であるNb-22%Al-4%Mo(原子%)
を埋め込んだもので、IrとNb3Al系金属間化合物
との境界部を接着させる目的で、真空中1600℃以上
の温度で熱処理したのち、表面をエミリー紙で♯100
0まで研磨して作製した。試験片2の使用により、Nb
3Al基金属間化合物が露出した面のみのコーティング
で耐酸化試験が可能となる。
し、保持した時の重量変化量を測定した。図2で示すよ
うな試験材2を用いた場合は、測定結果として得られる
重量変化量はコーティングした上面以外のIrの面の変
化量も含むため、次式によって上面の中のNb3Alの
領域のみの酸化重量量変化を見積もった。
(kg/m2) W:測定によた得られた重量変化量(kg) △w(Ir):Irの単位面積当りの重量変化量(kg/m2) A(Ir):試験片中の露出されたIrの表面積(m2) A(N):試験片中のNb3A1の表面積(m2)。
計算でき、A(Ir)は4.0×10~7m2(ただしコーティン
グしない場合4.9×10~7m2)、A(N)は7.07×10~6
m2となる。また、△w(Ir)は予め実験より求めること
ができ、例えば1500℃では、1時間後で−2.21
×10~2kg/m2であった。
を形成した各試料を大気中920℃まで毎分20℃で昇
温して、920℃で1時間保持した時の重量変化をまと
めたものである。各試料は、図2に示す試験片2を基材
として、この基材に実施の形態1で示す方法でIrの表
面被覆層を作製した本発明試料(a)と、表面被覆層を備
えていない試料(b)、及び電子ビーム蒸着と酸素イオン
注入でAl2O3を8μm被覆したもの(c)、電子ビーム蒸
着でIrを1μm被覆したもの(d)を比較した。Al2O3
を被覆した試料(c)でも重量変化は抑制されるが、その
効果は少ない。これは、昇温中にAl2O3被覆層にクラ
ックが発生し、そこから酸素が侵入し基材(Nb3Al基
金属間化合物)が酸化することが原因である。さらに酸
化した基材が体積膨脹して被覆層を破壊することによっ
て酸化が加速される。また、Irを電子ビーム蒸着で被
覆した試料(d)でも酸化は防止できなかった。これは、
電子ビーム蒸着で得られたIr被覆層は、緻密性が悪い
ため、酸素がIr粒間の微細な空壁を通って基材まで到
達し、酸化が進行することが原因である。一方、本発明
によるスパッタIr被覆層を有する試料(a)では、92
0℃で1時間保持後も重量変化はほとんどなく、酸化を
完全に防止することができた。
℃で実施した結果をまとめたものである。ここでは、比
較のために、Al2O3の熱膨脹率を制御する目的でSi
O2を添加したAl2O3-5mol%SiO2を表面被覆層と
した試料(e)の結果も示した。1400℃でも、Al2O
3-5mol%SiO2を被覆した試料(e)の耐酸化効果は少
なく、一方、本発明によるスパッタIr被覆層を有する
試料(a)で、酸化を完全に防止することができた。
として、実施の形態1で示した方法で表面被覆層を形成
した試料(a)を、1500℃、1600℃、1700℃
の温度でそれぞれ大気中30分保持した時の重量変化曲
線である。比較のために表面被覆層をもたない試試料
(b)の1500℃での結果も示した。本発明による表面
被覆層は、1700℃でも酸化による重量変化がなく、
本発明によって1700℃でのNb合金の酸化をほぼ完
全に防止することができた。このように、本実施の形態
で示したような表面被覆層を備えることにより、170
0℃の大気中で酸化が進行しないようなNb合金耐熱部
材を得ることが可能となる。
図である。このNb合金耐熱部材3の製造方法を以下に
説明する。基材101として、実施の形態1と同じ物を
用いた。この基材101を電子ビーム蒸着源とイオン源
を備えた成膜装置にセットし、5×10-6Torrまで真空
引きした。その後、基材部温度を300℃に保持し、T
aを電子ビームで溶解し、成膜速度2nm/sで蒸着した。
蒸着原料として、純度99.9%以上の純Taを用い
た。また、皮膜の密着性を高めるために蒸着と同時に酸
素イオンをイオン源から打ち出し基材101に照射し
た。酸素イオンの照射条件は、加速電圧30kV、イオン
電流0.5μAである。成膜中の真空度は1〜5×10-5
Torrである。このようにして16.7分間蒸着し、Ir
の拡散防止層105として約2μmのTa皮膜を得た。
電子ビーム蒸着とイオン照射を併用して密着性の高い皮
膜を得る成膜方法は、ダイナミックミキシングデポジシ
ョンあるいはイオンビームアシステッドポジション(I
BAD)と呼ばれており、前述したように高密着性Ta
皮膜の製造に有効な手法である。
置から取り出し、高周波スパッタ成膜装置に移してセッ
トした後、実施の形態1と同じ方法で酸素防止層107
としての約20μmのIr層を成膜した。このようにT
aの拡散防止層105とIrの酸素防止層107からな
る表面被覆層102を備えたNb合金耐熱部材を得るこ
とができた。
にTa、Re、Wから選ばれた1種以上の成分が重量比
で90%以上である物質を用いる場合も、上記と同様な
方法用いれば、Nb合金耐熱部材を得ることができる。
これら3種の金属のうちの2種以上の合金を被覆層とし
て用いる場合には、あらかじめ所定の組成を持つ合金を
作製して、電子ビーム蒸着の蒸着原料とする。
覆方法について説明する。実施の形態1で示したよう
に、Irをスパッタ法で被覆したNb合金熱部材を、超
高温真空熱処理炉に入れて5×10~5Torrまで真空引き
した。そして、この熱処理炉の温度を毎分20℃で15
00℃まで上昇させ、この温度で30分保持した後、毎
分20℃の速度で冷却し、より密着性の高いIr被覆層
を備えたNb合金耐熱部材(ah)を得た。実施の形態3
で示した拡散防止層とIrの酸素防止層からなる表面被
覆層をそなえた部材においても、本方法でより密着性の
高い被覆層を備えたNb合金耐熱部材を得ることができ
る。
した本発明による別の表面被覆層の耐酸化性効果を検証
するために、1800℃の酸化試験を実施した。実施の
形態2と同様、図2に示す試験片2を基材として用い、
実施の形態3で示したTa拡散防止層105とIr酸素
遮断層107からなる表面被覆層102を備えた試料
(f)を作製した。比較のために、実施の形態2の方法で
得られたIr表面被覆層を持つ試験片、及び表面被覆層
を持たない試験片も供試材とした。
に保持した時の重量変化である。表面被覆層のない試料
(b)は、短時間に激しく酸化し、重量が急激に増加した
後、徐々に減少に転じる。これは、この温度では酸化に
より生成したNb酸化物が溶融した後に蒸発するためで
ある。一方、実施の形態1の方法で作製したIr被覆層
を備えた本発明による試料(a)では、酸化による重量変
化を3分の1に抑制することができた。さらに、実施の
形態3で示したTa拡散防止層とIr酸素遮断層からな
る表面被覆層を備えた試料(f)では、Ir被覆層のみの
場合よりも重量増加を約15%抑制することができた。
これは、Ta層がIrの拡散を防止することによる効果
である。また、実施の形態4記載の方法で得られた15
00℃で30分真空熱処理したIr被覆層を備えた試料
(ah)試験片では、熱処理することによって、重量増加
を約30%減少することができた。これは、事前の適当
な熱処理によって、被覆層と基材との密着性が向上し、
皮膜のき裂、剥離等の問題が減少した結果である。
1800℃での耐酸化性を向上させることができる。
でも優れた耐酸化性を示す被覆層を備えたNb合金耐熱
部材を供給することが可能となる。
ある。
ある。
図である。
す図である。
験の結果を示す図である。
図である。
す図である。
Claims (6)
- 【請求項1】 Nb 3 Al基合金からなる基材表面に、
95重量%以上のIrを有する表面被覆層が形成されて
いることを特徴とするNb合金耐熱部材。 - 【請求項2】 Nb 3 Al基合金からなる基材表面にT
a、Re、Wから選ばれた1種以上を重量比で90%以
上を有する第1層と、該第1層上に形成され95重量%
以上のIrを有する第2層とを備えたことを特徴とする
Nb合金耐熱部材。 - 【請求項3】 Nb 3 Al基合金からなる基材表面に、
95重量%以上のIrを有するターゲット材を用いてス
パッタ蒸着法により、Irを有する被覆層を形成するこ
とを特徴とするNb合金耐熱部材の製造方法。 - 【請求項4】 Nb 3 Al基合金からなる基材表面に、
Ta、Re、Wから選ばれた1種以上を重量比で90%
以上有する金属を真空蒸着法で被覆し、続いて95重量
%以上のIrを有する金属をスパッタ蒸着法で被覆する
ことを特徴とするNb合金耐熱部材の製造方法。 - 【請求項5】 請求項3または4に記載のNb合金耐熱
部材の製造方法により製造されたNb合金耐熱部材を、
無酸素雰囲気で1000〜1700℃に加熱するNb合
金耐熱部材の製造方法。 - 【請求項6】 前記基材表面にTa、Re、Wをから選
ばれた1種以上の前記金属を真空蒸着法で被覆する際
に、前記基材表面に酸素またはアルゴンのイオンを照射
することを特徴とする請求項4記載のNb合金耐熱部材
の製造方法。
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JPH10140333A JPH10140333A (ja) | 1998-05-26 |
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US8118946B2 (en) | 2007-11-30 | 2012-02-21 | Wesley George Lau | Cleaning process residues from substrate processing chamber components |
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1996
- 1996-11-08 JP JP29600296A patent/JP3170678B2/ja not_active Expired - Fee Related
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社団法人日本機械学会、第73期通常総会講演会講演論文集(▲II▼)、1996(平成8年)4月1日、p215−216 |
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