JP3170586B2 - 耐候性鋼 - Google Patents

耐候性鋼

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俊弥 西村
俊明 小玉
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文部科学省金属材料技術研究所長
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この出願の発明は、耐候性鋼
に関するものである。さらに詳しくは、この出願の発明
は、耐食性が高く、飛来塩分(海塩)が多い海浜地位域
での使用に耐える耐候性鋼に関するものである。
【0002】
【従来の技術】橋梁や鋼構造物などは、実用期間が数十
年に及ぶため、長期間にわたる防食管理が必要とされて
いる。従来では、そのために塗装が広く採用されている
が、人件費の高騰、施工技術者の減少等が今後予想され
る。一方、鋼として耐候性鋼が各種開発されてきてい
る。耐候性鋼は、大気暴露環境において耐食性の高いさ
び、いわゆる安定さびが表面を覆うことにより高い防食
性を示す鋼である。しかしながら、安定さびは、飛来塩
分(海塩)の多い海浜地域では生じにくく、実用的な耐
食性は期待できないのであった。たとえば、JIS−S
MA: 0.3%Cu− 0.6%Cr−Feは、飛来塩分量0.
05mdd (mg/dm2/day)以上の地域では使用不可能であると
建設省により定められている。
【0003】そこで、特に海浜地域における耐食性を高
めるために、上記JIS−SMA等の従来より知られて
いる耐候性鋼に、耐食成分とされるクロム(Cr)、銅
(Cu)、リン(P)を多量に添加した鋼が提案されて
いる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、Cr及
びPの多量添加は、鋼の溶接性を著しく劣化させ、ま
た、Cuの多量添加は熱間加工性を劣化させることが指
摘されている。したがって、溶接構造用鋼としてこれら
添加成分を多量に含んだ鋼を使用するのは現実的でな
い。
【0005】一方、ニッケル(Ni)を多量に含有さ
せ、耐食効果を発揮する鋼が最近になって提案されてい
る。しかしながら、Ni単独で耐食性を確保するために
は多量添加が必要であり、経済的に問題となるため、上
記鋼にはカルシウム酸化物が複合添加されている。しか
しながら、このカルシウム酸化物は、鋼の低温靱性を著
しく劣化させる。というのも、カルシウム酸化物は、鋼
の溶接部において再溶解・析出によって粗大酸化物とな
るからである。したがって、カルシウム酸化物が複合添
加されたNi含有の上記鋼は、構造用鋼として十分な特
性を発揮することができないのである。
【0006】この出願の発明は、以上の通りの事情に鑑
みてなされたものであり、従来の耐候性鋼の欠点を解消
し、飛来塩分(海塩)が多い海浜地位域でも安定さびが
表面に形成され、使用に耐え得る耐食性の高い耐候性鋼
を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】この出願の発明の発明者
らは、上記目的を達成するために、大気腐食環境中にお
いて鋼表面に形成される鉄系さびの安定性を、各単独元
素についての化学ポテンシャル図をコンピュータ解析
し、複数の金属種の安定度を評価することにより解析し
た。そして、鉄と添加元素との複合化学ポテンシャル図
を解析した結果、大気腐食環境中で極めて安定なさびが
複合酸化物として形成されることを見出した。
【0008】すなわち、コバルト(Co)を鉄(Fe)
に添加して形成される複合酸化物では、図1の化学ポテ
ンシャル図に示したように、広い範囲でスピネル(Fe
Co 2 4 )領域が形成され、Fe3 4 域を覆うので
ある。この化学ポテンシャル図において、縦軸は電位E
で、環境の酸化性を示し、横軸には環境のpHをとって
いる。スピネル系酸化物は、安定なアモルファス相であ
り、高い耐食性を示す。したがって、Coを含有する鋼
には、大気腐食環境において安定なスピネル系酸化物の
さびが表面形成し、高い耐食性が発現されると考えられ
る。メンテナンスフリーが実現可能ともなる。
【0009】同様に、種々の元素と鉄が形成する酸化物
の安定性を解析したところ、鉄さび内において、タング
ステン(W)、アンチモン(Sb)、ニッケル(N
i)、及びルテニウム(Ru)による複合添加効果が見
出された。Wは、難溶性塩のFeWO4 を形成し、塩化
物イオンが鉄さび内を透過する抵抗を著しく高くする効
果を有する。Sb及びRuはともに鉄さび内で金属状態
で安定であり、鉄さび内において鉄地金の活性点を金属
メッキする効果を有する。そして、Niは、Fe及びC
oと複合スピネルを形成し、より安定なアモルファス相
を形成させる。
【0010】したがって、Coに加え、これらW、S
b、Ni、及びRuの4元素の少なくとも1種を添加す
る、つまり複合添加することにより、耐食性のさらなる
向上が望めると考えられる。以上の技術的知見に基づ
き、この出願の発明は、重量%表示で、 コバルト(Co) : 1.0%を超えて4.0%以下、 炭素(C) : 0.15%以下、 ケイ素(Si) : 2.0%以下、 マンガン(Mn) : 2.0%以下、 リン(P) : 0.03%以下、 イオウ(S) : 0.04%以下、 アルミニウム(Al): 1.6%以下 であって、タングステン(W)、アンチモン(Sb)、
ニッケル(Ni)およびルテニウム(Ru)の群から選
択される1種以上の元素が合計で0.1〜2.5重量%
添加されているか、またはこれらの群の元素が添加され
ていない組成を有し、不可避的な不純物の存在が許容さ
れて、残部が鉄(Fe)よりなることを特徴とする耐候
性鋼を提供する。
【0011】
【0012】以下、実施例を示しつつ、この出願の発明
の耐候性鋼についてさらに詳しく説明する。
【0013】
【発明の実施の形態】この出願の発明の耐候性鋼は、上
記の通りの元素を構成元素として所定量含有する。これ
ら元素の作用と含有量(重量%)の限定理由は以下の通
りである。コバルト(Co)は、上記の通りに、耐食性
を向上させる主要元素である。その効果は含有量 0.1%
以上で発揮されるが、 4.0%を超えると鋼の溶接性を劣
化させる。したがって、Coの含有量は、 0.1〜 4.0%
とする。
【0014】タングステン(W)、アンチモン(S
b)、ニッケル(Ni)、及びルテニウム(Ru)は、
耐食性向上のために重要な元素であり、Coと複合して
添加される。添加する際には、1種又は2種以上を適宜
選択することができる。複合添加効果は配合量 0.1%以
上で発揮されるが、 2.5%を超えると、Coと同様に、
鋼の溶接性を劣化させ、また、経済的にも不利となる。
したがって、これらW、Sb、Ni、及びRuの4元素
の含有量は、その1種以上を合計で 0.1〜 2.5%とす
る。
【0015】炭素(C)は、鋼の強度を高める元素とし
て不可欠なものである。一方、溶接性を劣化させるもの
でもあるので、0.15%以下とする。ケイ素(Si)は、
溶製において脱酸材として有効に機能し、かつ耐食性の
向上にも有効である。一方、含有量が多量となると溶接
性及び加工性が劣化するため、 2.0%以下とする。
【0016】マンガン(Mn)は、鋼の強度調整に重要
な元素である。しかしながら、含有量が多量となると溶
接性が劣化するため、 2.0%以下とする。リン(P)
は、耐食性の向上に有効な元素であるが、前述の通り
に、鋼の溶接性を著しく劣化させるものでもあるので、
0.03%以下とする。イオウ(S)は、耐食性を劣化させ
る元素であるため、0.04%以下に抑える。
【0017】クロム(Cr)は、従来の耐候性鋼の耐食
成分であるが、前述の通りに、鋼の溶接性を劣化させる
とともに、塩化物を含む環境では耐食性を劣化させる場
合もあるので、 0.1%以下とする。アルミニウム(A
l)は、耐食性を向上させる。ただ、含有量が多量とな
ると溶接部の靱性が大きく損なわれる。したがって、
1.6%以下とする。
【0018】
【実施例】(実施例1〜27、比較例1〜10) 以下の表1及び表2に示した組成を有する合金を溶解
し、熱間圧延によって鋼を作製した。腐食試験片には、
50×60×3tmm(t:厚さ)のサイズに加工した
ものを用いた。
【0019】腐食試験は、次の通りに行った。すなわ
ち、 0.5%NaCl溶液を各試験片1cm2 当たり40μ
lの割合で滴下し、恒温恒湿槽(25℃、60%RH)
内で乾燥した。これを、1サイクルを12時間として2
0サイクル行った。なお、塩分が試験片上に累積するの
を防ぐために、試薬滴下前に純水で洗浄した。この腐食
試験後にさび剥離を行い、地金の腐食減量について評価
した。具体的には、一般炭素鋼(JIS−SM材相当
材)の腐食量を 100%とした相対腐食量(%)で評価し
た。相対腐食量が小さければ小さいほど耐食性が高いこ
とを意味する。そこで、相対腐食量が80%未満を耐食
性良好とし、表中には○印を付した。一方、80%以上
は不良とし、表中に×印を付した。
【0020】また、作製した鋼に対して溶接割れ試験も
行った。JISに定められている斜めY型溶接割れ試験
を適用し、予熱温度50℃として割れの有無を調べた。
表中には割れが生じなかったものに○印を、また、割れ
が発生したものに×印を付した。
【0021】
【表1】
【0022】
【表2】
【0023】実施例1〜27の結果から確認されるよう
に、コバルト(Co)の含有量が増加するにつれて相対
腐食量が小さくなり、耐食性が高くなる。また、相対腐
食量は、ケイ素(Si)及びアルミニウム(Al)の含
有量の増加にともなっても減少し、耐食性が高くなる。
さらに、タングステン(W)、アンチモン(Sb)、ニ
ッケル(Ni)、及びルテニウム(Ru)の4元素の少
なくとも1種をCoとともに複合添加すると、相対腐食
量はより減少する。耐食性の向上が認められる。
【0024】一方、比較例1からは、Coの含有量が
0.1重量%を下回ると、耐食性は不十分になることが確
認される。また、比較例2〜10からは、炭素(C)、
ケイ素(Si)、マンガン(Mn)、リン(P)、アル
ミニウム(Al)、Co、タングステン(W)、アンチ
モン(Sb)、ニッケル(Ni)がそれぞれ所定含有量
を超えた場合には、溶接割れが発生し、鋼の溶接性が劣
化することが確認される。
【0025】もちろんこの出願の発明は、以上の実施形
態によって限定されるものではない。各元素の配合量、
鋼の作製方法等の細部については様々な態様が可能であ
ることは言うまでもない。
【0026】
【発明の効果】以上詳しく説明した通り、この出願の発
明によって、飛来塩分(海塩)が多い海浜地位域でも安
定さびが表面に形成され、メンテナンスフリーが達成さ
れ、使用に耐え得る耐食性の高い耐候性鋼が提供され
る。橋梁、鋼構造物等への適用が期待される。
【図面の簡単な説明】
【図1】Fe−Co−H2 O系の化学ポテンシャル図で
ある。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%表示で、 コバルト(Co) : 1.0%を超えて4.0%以下、 炭素(C) : 0.15%以下、 ケイ素(Si) : 2.0%以下、 マンガン(Mn) : 2.0%以下、 リン(P) : 0.03%以下、 イオウ(S) : 0.04%以下、 アルミニウム(Al): 1.6%以下 の組成を有し、不可避的な不純物の存在が許容されて、
    残部が鉄(Fe)よりなることを特徴とする耐候性鋼。
  2. 【請求項2】 重量%表示で、 コバルト(Co) : 1.0%を超えて4.0%以下、 炭素(C) : 0.15%以下、 ケイ素(Si) : 2.0%以下、 マンガン(Mn) : 2.0%以下、 リン(P) : 0.03%以下、 イオウ(S) : 0.04%以下、 アルミニウム(Al): 1.6%以下 であって、タングステン(W)、アンチモン(Sb)、
    ニッケル(Ni)およびルテニウム(Ru)の群から選
    択される1種以上の元素が合計で0.1〜2.5重量%
    添加されている組成を有し、不可避的な不純物の存在が
    許容されて、残部が鉄(Fe)よりなることを特徴とす
    る耐候性鋼。
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