JP3168700B2 - ショ糖脂肪酸エステルの製造方法 - Google Patents

ショ糖脂肪酸エステルの製造方法

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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、実質上無溶媒条件下で
ショ糖脂肪酸エステルを原料の一部とした高置換度ショ
糖脂肪酸エステルの製造方法を提供するものである。よ
り詳しくは、アルカリ触媒及び石ケンの存在下、ショ
糖及び平均置換度3〜8のショ糖脂肪酸エステルを加熱
溶融させる第1段階と、次いで、の加熱溶融混合物
と脂肪酸低級アルコールエステルとを反応させる第2段
階とからなる、ショ糖反応率が高く、精製の容易なショ
糖脂肪酸エステルの製造方法を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】ショ糖脂肪酸エステル(以下、SEと略
記する)はショ糖と脂肪酸がエステル結合してなるもの
であり、ショ糖分子中の水酸基の置換度や脂肪酸の炭素
数等により、様々なHLB値や特性を持つSEを製造す
ることが可能である。その主な用途としては、食品用乳
化剤、起泡剤、静菌剤、食品油脂代替品等がある。中で
も、水酸基の平均置換度が通常3以上の高置換度ショ糖
脂肪酸エステルは親油性のもので、その用途としては、
パンスプレッド、ベーキング用油脂、サラダ油等の食用
油代替品や医薬用担体として注目を集めているものであ
る。
【0003】SEの製造方法としては大きく分けて、溶
媒法及び無溶媒法に分類することができる。溶媒法の特
徴としては、比較的温和な条件でSEを製造することが
可能であり、ショ糖の分解による副生成物が少ないこと
が挙げられる。一方、無溶媒法は、溶媒を使用しない簡
便さはあるものの、一般にショ糖の多いエステル交換反
応初期から高温(130〜160℃)で反応しており、
ショ糖等の原料の分解物も多く、ショ糖あたりのSE収
率が低く、製品の着色も激しい。一般的に、無溶媒法に
おいて触媒の存在下でショ糖は熱的に非常に不安定であ
り、その水酸基が置換されていくほど、即ち、SEの平
均置換度が高くなるほど熱的安定性は向上する。そのた
め、無溶媒法においては脂肪酸低級アルキルエステルと
のエステル交換反応に、原料としてショ糖を直接用いた
場合、ショ糖反応率が低下しやすく、上述したような分
解物や低SE収率の問題が避けがたいものとなってい
た。
【0004】また、一般に無溶媒法の特徴として、極性
の全く異なるショ糖及び脂肪酸低級アルキルエステルを
均一に分散させるために、反応助剤として石ケンを使用
しているが、通常、当該石ケンの炭素数は16〜18の
カルボン酸塩であり水への溶解度が低いために液液抽出
等の簡単な精製分離が困難であった。例えば、特開昭6
3−66151では、ショ糖及び触媒を溶媒にて均一に
した後に、脂肪酸低級アルキルエステルと混合し、エス
テル交換反応させる方法が開示されている。この場合反
応で使用される石ケンは、脂肪酸低級アルキルエステル
のケン化により形成しており、石ケンの炭素数は8〜2
2の脂肪酸と記載されている。具体的には実施例におい
て、石ケンとしては落花生油由来の脂肪酸低級アルキル
エステルをケン化して用いており、構成脂肪酸としては
長鎖である炭素数18の不飽和カルボン酸を使用してい
る。石ケンの炭素数が大きい程、水への溶解度が低く、
液液抽出等の簡便な方法での除去が困難となる。また、
触媒存在下、ショ糖の多い反応初期から125℃の高温
で反応させているために、分解等による着色の増加が激
しく従って脱色工程などの精製操作が必要となり、工業
化規模においてコスト及び操作上非常に不利である。
【0005】一方、石ケンの代替(溶融化剤)として原
料SEとは異なるHLB値を持つSEを使用し、高置換
度のSEを製造する方法が開示されている。例えば、特
開昭61−106589では、溶融化剤として平均置換
度3以上のショ糖脂肪酸エステルの存在下で、ショ糖及
び脂肪酸低級アルキルエステルを高温で反応させる方法
が開示されている。具体的には、実施例において炭酸カ
リウムの存在下で、ショ糖、SE(ショ糖ステアリン酸
エステル)及び脂肪酸低級アルキルエステル(ステアリ
ン酸メチル)を160℃の高温下で反応させている。該
実施例によれば、反応混合物は褐色であり、副生成物と
して長鎖の石ケン(炭素数18)が生成している等の問
題がある。
【0006】また、最近の技術として、長鎖石ケンの除
去の問題を解決するために様々な精製方法が考案されて
いるが、未だ満足できるものではない。例えば、アルカ
リ金属イオンレベルを1ppm未満に低下させるため
に、強アルカリ性水溶液て処理し、遠心分離器で石ケン
を除去する方法が提案されている(特開平1−2072
96、1−211594)。しかし、脂肪酸エステル特
にSEは中性付近では安定であるが、アルカリ性及び酸
性側ではエステルの加水分解が起こりやすい。また、シ
ョ糖の分子内では、水酸基の脱離反応等によりカラメル
化反応等が起こり、着色物質の一つであるフラン系化合
物(フルフラール、フルフリルアルコール等)が生成し
やすい。また、そのために、別工程として脱色工程等が
必要となり、コスト的にも操作的にも工業化規模におい
ては非常に不利となる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は無溶媒法によ
るSEの製造において、ショ糖の反応率を高くし、即
ち、ショ糖の分解を防止して効率良くSEの製造を行う
ことを可能とするものである。また、石ケンの除去が容
易で精製の容易なSEの製造法を提供しようとするもの
である。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記実情に
鑑み鋭意検討をおこなった結果、特定の2段階工程を経
ることにより、高ショ糖反応率でSEの製造を行うこと
ができることを見出し、また、石ケンの除去の困難性も
克服されうることを見い出して本発明に到達した。
【0009】即ち、本発明の要旨は、アルカリ触媒、石
ケン及び原料ショ糖脂肪酸エステルの存在下、ショ糖と
脂肪酸低級アルキルエステルとを反応させて、ショ糖脂
肪酸エステルを製造する方法において、アルカリ触媒
及び石ケンの存在下、平均置換度3〜8のショ糖脂肪酸
エステルAと、ショ糖またはショ糖脂肪酸エステルAよ
りも低置換度のショ糖脂肪酸エステルBとを、加熱溶融
し、次いで、の加熱溶融混合物と脂肪酸低級アルキ
ルエステルとを反応させること、を特徴とするショ糖脂
肪酸エステルの製造方法に存する。
【0010】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の
工程に用いる原料SE、即ち、ショ糖脂肪酸エステル
A(以下「SE−A」と略記する。「SE−B」につい
ても同様)及びSE−Bの種類はいずれのものでもよ
く、構成脂肪酸やその製造方法に制限はない。構成脂肪
酸はその炭素数が通常6〜24、好ましくは12〜22
の飽和及び/または不飽和脂肪酸の1種または2種以上
であるのが好適である。例えば、ラウリン酸、ミリスチ
ン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、エル
カ酸等が挙げられる。
【0011】SE−Aの平均置換度は、通常3〜8、好
ましくは4〜8(HLBが通常0〜3、好ましくは0〜
2に相当)である。具体的なSEの例としては、S−1
70(構成脂肪酸がステアリン酸70重量%、パルミチ
ン酸30重量%;平均置換度5.2)やP−170(構
成脂肪酸がステアリン酸30重量%、パルミチン酸70
重量%;平均置換度5.3)等が挙げられる(いずれも
三菱化成(現三菱化学)株式会社製)。SE−Bの平均
置換度は、SE−Aよりも低置換度である限りにおい
て、特に制限はないが、通常0.1〜2、好ましくは1
〜1.7(HLB値が通常5〜20、好ましくは8〜1
7に相当)のものが用いられる。具体的なSE−Bの例
としては、P−1670(構成脂肪酸がパルミチン酸7
0重量%、ステアリン酸30重量%;平均置換度1.
3)やS−1170(構成脂肪酸がステアリン酸70重
量%、パルミチン酸30重量%;平均置換度1.6)等
が挙げられる(いずれも三菱化成(現三菱化学)株式会
社製)。
【0012】SE−Aと、ショ糖またはSE−Bとの使
用量は特には制限はなく、例えば、SE−Aの使用量
は、総仕込み量(SE−A,SW−B,ショ糖,石ケ
ン,触媒の合計量)の10〜90重量%、好ましくは3
0〜85重量%、更に好ましくは50〜80重量%であ
り、ショ糖またはSE−Bの使用量は1〜90重量%、
好ましくは10〜60の重量%である。また、加熱溶融
反応を低温(110℃以下)で行う場合には、反応液の
粘性が上昇しやすいので、SE−Aの使用量はショ糖ま
たはSE−Bの使用量よりも多くするのが好ましい。ま
た、ショ糖を使用するよりもSE−Bを使用する方が反
応液の粘度を低く保持できる。
【0013】触媒としてのアルカリは、水酸化カリウ
ム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、炭酸カリウ
ム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウム等のアルカリ金属の
水酸化物、炭酸塩、あるいはナトリウムメトキサイド、
ナトリウムエトキサイド、カリウムメトキサイドのよう
なアルカリ金属のアルコキサイド等から適宜選択され
る。触媒とショ糖またはSE−Bに対する仕込みモル比
は、ショ糖またはSE−Bに対して通常0.01〜1モ
ル比、好ましくは0.1〜0.5モル比である。ショ糖
に対して1モル比以上の触媒を仕込むと、工程の反応
においてSEの石ケン化が起こりやすくなり、ショ糖脂
肪酸エステルの収率低下を招く結果となる。また、触媒
の仕込み形態にも特に制限はなく、粉体もしくは水やア
ルコールに溶解させて供給してもかまわない。特に、触
媒、ショ糖、石ケン等を、水及び/または低級アルコー
ルに均一に溶解させた後に、減圧下で乾燥して活性化物
としてから、加熱溶融に用いることが好ましく行われ
る。
【0014】活性化のための仕込み条件として、水及び
/または低級アルコール及び触媒、ショ糖、石ケンの仕
込み量に特に限定はなく、その仕込み方法も特に限定は
されない。低級アルコールとしては、水と任意に混合で
きる溶媒が好ましく、例えば、メチルアルコール、エチ
ルアルコール、ブチルアルコール等の短鎖アルコールが
好適である。水及び/または低級アルコールの量は、上
記混合物が完全に均一に溶解するように、調整した後に
乾燥するのが好ましい。これは工程の反応において、
上記混合物とショ糖脂肪酸エステルとが速やかに溶融し
やすくまた反応速度も上がるためである。
【0015】また、水及び/または低級アルコールを留
去して乾燥する条件としては、内温が、通常20〜10
0℃、好ましくは40〜80℃が適しており、大気圧も
しくは減圧下で行ってもよい。更に好ましくは、完全に
水を留去するためには、真空乾燥(1Torr以下、内
温40〜80℃)を行うことができる。使用する装置と
しては特に限定はなく、一般的に粉体の乾燥に使われる
スプレードライヤー等も適している。
【0016】石ケンは、特に限定はないが、好ましくは
炭素数2〜10のカルボン酸のアルカリ金属塩もしくは
アルカリ土類金属塩、更に好ましくは炭素数3〜8のカ
ルボン酸塩が好適である。反応系に添加する量として
は、SE−Aに対して0.1〜90重量%、好ましくは
1〜50重量%である。また、全反応物に対して、石ケ
ンの量は、通常1〜30重量%、好ましくは3〜15重
量%である。石ケンの添加する形態は粉体もしくは水及
び/または低級アルコールに溶解して供給してもよい。
好ましくは上記で述べたように、ショ糖またはSE−
B、触媒及び石ケンを、水及び/または低級アルコール
に均一に溶解した後、溶媒を留去し乾燥して活性化物質
としてから用いたほうがよい。
【0017】用いる石ケンの種類及びその量は、工程
の反応におけるSE−AのHLB値とその量、SE−B
のHLB値とその量、およびショ糖の量とに大きく関係
がある。例えば、原料SE−AとしてHLB値1のもの
とショ糖とを用いて加熱溶融する場合、好ましい石ケン
及びその量は、カプロン酸カリウム(炭素数6)であ
り、対SE−Aで10〜20重量%が好適となる。また
原料SE−AとしてHLB値2のものとショ糖とを用い
て加熱溶融する場合には、乳化に適した石ケンは酪酸カ
リウム(炭素数4)もしくはプロピオン酸カリウム(炭
素数3)であり、その量は対SE−Aで5〜10重量%
となる。これは工程の反応系全体のHLB値が高い
(より親水性である)ほど、より親水性である短鎖石ケ
ンが好ましく、その最適量も短鎖になるほど少なくなる
傾向にあるからである。また、石ケン鎖長が短くなるほ
ど、適した原料SEのHLB値はより高くなる傾向とな
るが、溶融混合物の粘度も上昇するので、原料SEの使
用量の最適量は多くなる傾向にある。
【0018】工程における加熱溶融温度としては、通
常50〜140℃、好ましくは80〜110℃がよい。
また、圧力は、通常0.01〜大気圧、好ましくは0.
1〜500Torr程度が適切である。装置としては特
に限定はないが、一般的に用いられる攪拌槽タイプのも
のや、粘性の高いものに使用されるニーダー、エクスト
ルーダー等が適している。原料の添加順序についても特
に限定はないが、好ましくはSE−Aを先に所定温度ま
で上げて加熱溶融した後に、ショ糖またはSE−Bを添
加して攪拌したほうがよい。また、ショ糖またはSE−
Bの仕込時には、できるだけ粉砕した微粉状のものを使
用したほうがよく、SE−Aとの混合が均一でしかも速
やかに加熱溶融される。加熱溶融の時間は通常0.5〜
8時間、好ましくは1〜4時間程度である。工程の終
了時には、SE−Aとショ糖との間で反応が進行し、S
E濃度は上昇し、ショ糖濃度は低下し反応液の粘度は初
期と比べて上昇する。また、石ケンの炭素数によって工
程の反応速度は異なるものの、ショ糖の反応率を、通
常20〜80%、好ましくは30〜70%になる。ま
た、原料SE−Bを使用する場合も同様にSE−AとS
E−Bとの間で反応が進行する。
【0019】工程として、上記工程で生成した加熱
溶融混合物に脂肪酸低級アルキルエステルを添加して、
エステル交換反応によりSEの平均置換度を上げ、平均
置換度が3〜8のショ糖脂肪酸エステル(以下「SP
E」という)を製造する。脂肪酸低級アルキルエステル
の種類としてはいずれのものでもよく、構成脂肪酸やそ
の製造方法に制限はない。構成脂肪酸はその炭素数が通
常6〜24、好ましくは12〜22の飽和及び/または
不飽和脂肪酸の1種または2種以上であり、低級アルコ
ール例えばメタノール、エタノール、プロパノール等に
よりエステル化されたものが好適である。また脂肪酸低
級アルキルエステルの添加量としては、製造する目的物
SPEの平均置換度により任意に選択され、特に限定は
ないが、通常、工程の反応混合物全体に対して、50
〜500重量%、好ましくは100〜350重量%の範
囲から選択される。脂肪酸低級アルキルエステルの添加
方法としては、好ましくは所定量の脂肪酸低級アルキル
エステルを、工程で生成した加熱溶融混合物に対し
て、連続又は分割もしくは一括添加することができる。
さらに好ましくは、工程におけるショ糖の反応率が低
い場合は特に、反応系の乳化状態を壊さないように脂肪
酸低級アルキルエステルを、連続または分割添加する。
これは工程でショ糖の反応率が低い(反応液における
ショ糖濃度が高い)また大量の脂肪酸低級アルキルエス
テルを添加すると、残存しているショ糖及び石ケンが凝
集しやすくなり、最終的なショ糖反応率が低下しやすい
ためである。
【0020】工程の反応条件としては、通常80〜1
80℃、0.01〜50Torrであり、好ましくは、
100〜180℃、0.01〜20Torrである。更
に好ましくは反応生成物の着色低減及び、工程の反応
初期(脂肪酸低級アルキルエステルの添加時)における
反応系の乳化状態の安定化のために、熱的に不安定なシ
ョ糖の反応率が80〜100%になる時点まで、上記範
囲内で比較的穏やかな条件で反応を行い、その後、工程
の初期条件よりも昇温及び/または減圧となるよう
に、2段階で条件を変化させることが好ましく行われ
る。その場合の反応条件の変化の仕方としては、特に制
限はないが、好ましくは連続的又は段階的に昇温及び減
圧を行うほうがよい。これは熱的に不安定なショ糖もし
くは、ショ糖脂肪酸エステルの分解及び着色増加を抑制
するためである。
【0021】生成されたSPEの後処理方法としては特
に限定はないが、一般的に用いられる液液抽出が適して
いる。反応終了後触媒を失活させるために、各種の有機
酸(例えば、乳酸、酢酸、コハク酸等)を入れた後に、
反応混合物に有機溶媒及び/または水をいれて、液液抽
出を行う。用いる有機溶媒としては特に限定はなく、S
PEを溶解できる溶媒であれば特に制限はないが、好ま
しくは、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコー
ル等の低級アルコールが適している。
【0022】この段階で、反応で使われた短鎖石ケンは
水層へ溶解し、除去されることになり、製品中に混入す
る石ケン濃度は極めて少なくなる。また、回収された石
ケンは再び、反応助剤としてリサイクルが可能となりコ
スト的にも非常にメリットがある。
【0023】
【実施例】次に本発明を実施例によりさらに具体的に詳
細説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下
の実施例によってその範囲を制約されるものではない。
なお、実施例において、反応物中の残存ショ糖について
は、反応物をサンプリングし、ジメチルホルムアミドに
溶解させ、ショ糖をトリメチルシリル化誘導体としてか
らガスクロマトグラフィーにより定量した。また、反応
物中のSEについては、反応物をサンプリングし、テト
ラヒドロフランを添加して不溶物をろ別した後、ゲルろ
過クロマトグラフィー及び逆相高速液体クロマトグラフ
ィーにより分析を行った。更に、脂肪酸メチルエステル
については、ガスクロマトグラフィーにより定量した。
【0024】実施例1 (前処理、活性化)攪拌機付きの1Lの丸底フラスコ
に、ショ糖47.7g、触媒として水酸化カリウム1.
83g、水溶性の石ケンとしてカプロン酸カリウム(炭
素数6)19.7gを入れて、水50g、メタノール3
00gを添加し均一に溶解させた。フラスコ内温を55
〜60℃に保ちつつ、窒素ストリッピングにより溶媒留
去した後に、真空乾燥(0.1Torr以下)を4時間
行って微粉の付加物を得た。
【0025】(工程) 得られた微粉の付加物に、原料(SE−A)として、S
−170(ショ糖ステアリン酸エステル、平均エステル
置換度5.2、三菱化成(現三菱化学)株式会社製)1
20gを投入し、100℃−1Torrの条件で3時間
反応させた。得られた高粘性の反応液を分析したとこ
ろ、残存ショ糖濃度から算出したショ糖反応率は、6
4.1%であり平均エステル置換度は2.5であった。
【0026】(工程)次に、上記の加熱溶融混合物
(約190g)にステアリン酸メチルエステル211.
4gを投入し、100℃−1Torrの条件下でさらに
8時間反応させた。反応液を分析したところ、残存ショ
糖濃度は0.2%であり、ショ糖反応率としては98.
3%であった。またステアリン酸メチルエステルの反応
率は、39.1%であり、SPEの収率(全反応混合物
に占めるSPEの重量%)は59.9%、平均置換度は
4.0であった。更に、平均置換度を高める目的で、反
応条件を温度130℃、圧力0.1Torrに変えてさ
らに8時間反応させた。反応液を分析したところ、残存
ショ糖は検出されず、残存ステアリン酸メチルステアリ
ルは3.2%であり、反応率は94.2%であった。ま
た、ショ糖脂肪酸エステルの収率は92.6%、平均エ
ステル置換度は5.6であった。また反応液は淡い褐色
になった。以上の結果は表1にまとめた。
【0027】(SEの精製)上記の反応終了後の反応物
10部を乳酸で中和し、イソブチルアルコール90部、
水100部の混合溶媒中に入れて溶解し、60℃で10
分間攪拌した。15分間静置後、SEを含有するイソブ
チルアルコール層を未反応ショ糖、石ケン等を含有する
水層から分離し、イソブチルアルコール層を減圧濃縮す
ることにより、白色乾固物としての精製SEがほぼ定量
的に回収された。また、この際、滴定法によりカリウム
イオン濃度を定量したところ、精製SEにおいては反応
物中のカリウムイオンの90%以上が除去されていた。
【0028】比較例1 ステアリン酸メチルエステルを工程の当初から添加
し、1段階反応とした以外は、実施例1と同様の原料及
び前処理条件を用いて行った。但し、反応時間は実施例
1の工程とを合わせた9時間とした。反応物の分析
結果を表1に示す。
【0029】比較例2 撹拌機付きの1L丸底フラスコにS−170(ショ糖ス
テアリン酸エステル、平均エステル置換度5.2、三菱
化成(現三菱化学)株式会社製)120gのみを投入し
60〜70℃で加熱し、次いで、微粉ショ糖47.4
g、カプロン酸カリウム19.7g、炭酸カリウム1.
91g、ステアリン酸メチルエステル211.4gを投
入し、100℃−1Torrで9時間反応させた。反応
物の分析結果を表1に示す。更に、平均置換度を高める
目的で反応条件を温度130℃、圧力を0.1Torr
に変更して、さらに8時間反応を続行させた。この反応
物の分析結果を表1に示す。
【0030】比較例3 実施例1と同様にしてショ糖の前処理、活性化を行った
後、フラスコ内に原料SE−Aを加えることなく、ステ
アリン酸メチルエステルを211.4g投入し、100
℃−1Torrの条件下で9時間反応させた。反応物の
分析結果を表1に示す。反応物は、黒褐色玉状のショ糖
及びカプロン酸カリウムの塊と溶液状態のステアリン酸
メチルエステルであった。副生留出メタノール量から計
算したステアリン酸メチルエステルの反応率は0.4
%、またSPEの生成は確認できなかった。従って、シ
ョ糖の反応率は0%であった。
【0031】実施例2 石ケンとして酪酸カリウム(炭素数4)9.4gを使用
した以外は実施例1と同様に前処理、活性化を行った。
工程においては、S−170の量を126.6gと
し、反応時間を5時間とし、工程においては、ステア
リン酸メチルエステルの量を223.0gとし、反応時
間を4時間とした以外は実施例1と同様に行った(但
し、反応条件を変化させてひき続き、更に反応を行うこ
とはしていない。)反応物を分析した結果を表1に示
す。
【0032】比較例4 石ケンとして酪酸カリウム9.4gを用いた以外は比較
例2と同様に9時間反応させた(但し、反応条件を変化
させてひき続き、更に反応を行うことはしていない。)
反応物を分析した結果を表1に示す。
【0033】比較例5 石ケンとして酪酸カリウム9.4gを用いた以外は比較
例3と同様に行った。反応物の分析結果を表1に示す。
反応物は、褐色玉状のショ糖及びカプロン酸カリウムの
塊と溶液状態のステアリン酸メチルエステルであった。
副生留出メタノールは全く見られず、反応物中にはSP
Eは全く検出できなかった。従って、ショ糖及び脂肪酸
メチルエステルの反応率は0%であった。
【0034】実施例3 石ケンとしてカプリン酸カリウム(炭素数8)19.7
gを使用し、工程の反応時間を5時間、工程の反応
時間を4時間とした以外は実施例1と同様に行った(但
し、反応条件を変化させてひき続き、更に反応を行うこ
とはしていない)。反応物の分析結果を表1に示す。
【0035】実施例1〜3及び比較例1〜5の結果をま
とめて後記表1に示した。結果から明らかな通り、工程
との2段階を行うことにより、ショ糖の分解、褐変
が防止され、高反応率で反応が行われることが解る。ま
た、炭素数が小さく。親水性の大きい石ケンを用いて反
応が行われ、得られたSPEの精製が容易となることが
解る。本発明と同様の原料を用いて、従来公知の方法に
て反応を行ったが(比較例2〜5)ショ糖反応率やSP
Eの色調等、本発明の方法よりも大幅に劣るものであっ
た。
【0036】
【表1】
【0037】
【発明の効果】本発明によれば、無溶媒法によるSPE
の製造において、ショ糖の反応率を高くし、即ちショ糖
の分解を防止して効率良くSPEの製造を行うことが可
能となる。また石ケンの除去が容易で精製が容易とな
る。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルカリ触媒及び石ケンの存在下、平
    均置換度が3〜8のショ糖脂肪酸エステルAと、ショ糖
    またはショ糖脂肪酸エステルAよりも低置換度のショ糖
    脂肪酸エステルBとを、加熱溶融し、 次いで、の加熱溶融混合物と脂肪酸低級アルキルエ
    ステルとを反応させること、 を特徴とするショ糖脂肪酸エステルの製造方法。
  2. 【請求項2】 において、ショ糖、アルカリ触媒及び
    石ケンを、水または低級アルコールで溶解し、その後、
    乾燥してショ糖活性化物質とし、これを加熱溶融に供す
    ることを特徴とする請求項1記載の製造方法。
  3. 【請求項3】 において、ショ糖の反応率が80〜1
    00%となった時点において、反応条件を100〜18
    0℃、0.01〜20Torrの範囲内で昇温及び/又
    は減圧して、ショ糖脂肪酸エステルの平均置換度を高め
    ることを特徴とする請求項1または2記載の製造方法。
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