JP3168495B2 - 振動検出装置および異常診断システム - Google Patents

振動検出装置および異常診断システム

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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電磁石または永久磁石
とこれらの磁石を収納する磁石容器等の構造物とからな
る磁石装置の振動および異常を検出する装置に係り、特
に、磁石装置が外部から印加される交流磁場等の脈動磁
場中に置かれて、脈動磁場により構造物に生じた渦電流
と磁石自身の持つ磁場との間でローレンツ力が生じ、磁
石装置に誘起される振動および異常を検出する装置およ
び方法に関する。
【0002】
【従来の技術】1個の磁石装置(超電導コイル)の振動
を検出する従来例と、多数の磁石(常電導コイル)が作
る脈動磁場中に前記磁石装置が置かれる従来例とを説明
する。
【0003】図11は、従来の超電導磁石の構造の一例
を示す斜視図である。図11において、収納容器2は、
その内部に超電導コイル1と液体ヘリウムとを収納し、
超電導コイル1とともに、4.2K程度の極低温に冷却
されている。輻射シールド3は、常温の真空断熱容器4
と極低温の収納容器2との間の輻射熱を抑制するために
設けられ、液体窒素で80K程度に冷却されている。真
空断熱容器4は、その内部を真空に保ち、外部からの熱
侵入を防ぐ容器である。支持部材5は、超電導コイル1
と収納容器2と輻射シールド3とを真空断熱容器4の中
に懸架支持する部材であり、伝導による熱侵入を抑制す
るために断熱性材料からなる。
【0004】超伝導コイル1の断熱性の支持部材5は、
一般に、FRP(Fiber ReinforcedPlastics)で製造され
ることが多い。したがって、超電導磁石装置全体が、動
的振動にさらされるような場合は、その繰返し応力が支
持部材5に集中し、支持部材5の疲労破壊に結び付くお
それがある。そのために、この疲労破壊を確実に検知
し、事故を未然に防止する手段が必要となる。
【0005】このような超電導磁石の振動および異常検
出手段としては、超電導コイルが発生する強磁場内を熱
シールド3や断熱容器4が相対振動するときに、これら
の構造物3,4に装着した磁束検出用素子の端子間に、
振動の度合いに応じて誘起される電圧を検出する方法が
ある。
【0006】この方法は、磁束検出用素子を断熱容器4
や熱シールド3上に配置し、超電導コイル1や収納容器
2と非接触でコイルの振動を計測できる。したがって、
例えば加速度センサのような機械的計測法に比べ、超電
導コイル1への不要な熱侵入を排除できる。また、磁束
検出用素子として、構造の単純なサーチコイル(計測用
常電導コイルループ)を用いており、極低温という厳し
い条件下では壊れやすい加速度センサと比較すると、極
低温での長期使用によっても、計測系が壊れないという
信頼性を備えている。また、サーチコイルは、特に強磁
場中で使用するのであれば、導線を数ターン巻いたよう
なものでも充分な出力信号を得られる。このようなサー
チコイルは、厚みもなく、構造物に直接貼り付けること
も可能であり、設置箇所を選ばない。
【0007】しかし、超電導磁石装置内で、構造物4や
3が振動すると、サーチコイル以外に、断熱容器4や熱
シールド3にも、速度起電力V×B(Vは振動速度,B
は超電導磁場)が働き、脈動渦電流が流れ、その渦電流
が再びサーチコイルの出力電圧に影響を及ぼす。そのた
め、振動変位量とサーチコイル出力電圧との関係は、極
めて複雑になる。
【0008】上記従来技術は、平常値を意味する基準値
とサーチコイルの出力電圧とを単純に比較し、異常を検
出している。コイルの場合、磁石全体としての異常の有
無は判別可能であるものの、異常の程度や異常の部位、
特に複数個ある支持部材5のどれがどの程度異常である
かの特定は難しくなってくる。
【0009】コイルの振動の問題は、超電導磁石に限ら
ず、常電導コイルや永久磁石で構成される磁石が振動に
さらされる場合にも共通の問題である。
【0010】次に、他の従来技術とその問題点について
述べる。一般に、超電導磁石や常電導磁石または永久磁
石からなる電機子が、直線状に並べられた多数の常電導
コイルの上または近傍を移動するリニアモータのような
装置においては、多数の常電導コイルの異常を予め個別
に保守点検するのでなく、電機子の移動に合わせてオン
ラインで異常を検出することが望ましい場合がある。特
に設置されているコイルが極めて多数の場合、多数コイ
ルの断線、設置位置の地震等による狂い、経年劣化によ
るコイルの変形等をオンラインで検知し、事故の発生を
未然に防止することが望まれる。
【0011】このような場合の従来技術として、特開昭
54−118020号や特開昭54−95196号等が
挙げられる。これらの従来技術は、いずれも定常磁場を
発生する電機子側の1箇所にサーチコイルを設け、リニ
ア状の多数コイルからの誘起磁場を、サーチコイルで検
出し、それを所定の基準値と比較して、多数のコイル群
の異常を検知する方式である。
【0012】しかし、先の従来技術について指摘した場
合と同様に、電機子側の収納容器表面には渦電流が誘起
され、この渦電流がサーチコイルの出力電圧に影響を及
ぼす。また、所定の基準値と出力値とを単純に比較し、
異常を検出している。したがって、異常コイルの特定は
できるが、異常事象(断線,変形,設置位置の変位な
ど)の識別は困難である。
【0013】さらに、このような多数の磁石が作る磁場
中に他の磁石が置かれた場合、磁石内部の振動検出の問
題と、磁石の外に置かれた多数コイルの異常検出の問題
とは、相互に関連し合う。この課題も、解決されていな
い。すなわち、磁石内部の異常をサーチコイルによって
検知しようとしても、サーチコイルが磁石内部にしか設
けられていない場合には、単なる比較器による異常の有
無の判断のみでは、異常原因が磁石内部にあるのか、外
部にあるのかを識別できなくなる。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】上に述べた技術上の課
題をまとめると、次のようになる。
【0015】振動にさらされる超電導磁石等の磁石装置
の内部構造の異常をサーチコイルを用いて検知する場
合、または、電機子が全面をスイープするリニアモータ
の多数コイルの異常をサーチコイルを用いて異常をオン
ラインで検知する場合、振動箇所または振動モードや振
動変位等の振動情報を検出し、振動情報に基づいて異常
個所を特定し、異常内容を識別できる技術が、従来は提
案されていなかった。
【0016】本発明の目的は、磁束検出素子により検出
された磁束の変化量を取込み、振動変位および振動モー
ド等の振動情報を出力する振動検出装置を提供すること
である。
【0017】本発明の他の目的は、振動検出装置の振動
情報に基づき、磁石装置自体のコイルまたは磁石装置外
部に設置されている他の磁石のコイル等の異常情報を出
力する異常診断システムを提供することである。
【0018】本発明の別の目的は、磁束検出素子により
検出された磁束の変化量を取込み、振動変位および振動
モード等の振動情報を出力する振動検出方法を提供する
ことである。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するために、磁石を収納する構造物の振動を検出する
振動検出装置において、構造物に設置されて前記構造物
における磁束を検出する磁束検出手段と、この磁束検出
手段で検出された磁束に基づいて構造物の振動変位また
は振動モードを求める手段とを備えた振動検出装置を提
案する。
【0020】本発明は、また、前記磁束検出手段を2つ
備え、前記構造物の振動変位または振動モードを求める
手段が、2つの磁束検出手段で検出された磁束に基づい
2つの磁束検出手段が設置されている構造物の2つの
部位間における相対的振動変位または振動モードを求め
る手段である振動検出装置を提案する。
【0021】本発明は、さらに、構造物の振動変位また
は振動モードを記憶するメモリと、メモリに記憶された
構造物の振動変位または振動モードと新たに求められた
構造物の振動変位または振動モードとを比較する比較器
とを備えた振動検出装置を提案する。
【0022】本発明は、予め記憶された構造物の振動変
位または振動モードの基準値と新たに求められた構造物
の振動変位または振動モードとを比較する比較器を備え
振動検出装置を提案する。
【0023】前記構造物の振動変位または振動モードを
求める手段は、磁束の変化量と振動変位または振動モー
ドとの関係を予め求めて格納した感度行列を有し、検出
された磁束の変化量に基づき前記感度行列を参照して前
記構造物の振動変位または振動モードを求める手段とす
ることができる。
【0024】本発明は、上記他の目的を達成するため
に、磁石を収納する構造物に設置された磁束検出手段で
検出された磁束に基づいて構造物の振動を検出する振動
検出装置と、振動検出装置にオンラインで接続され構造
物の振動をモニタし構造物の異常を判定するモニタリン
グ手段とからなる異常診断システムであって、振動検出
装置が、上記いずれかの本発明に特徴的な振動検出装置
であり、少なくともモニタリング手段が、構造物とは離
れた場所に位置する中央制御室に設置されている異常診
断システムを提案する。
【0025】本発明は、上記別の目的を達成するため
に、磁石を収納する構造物の振動を検出する振動検出方
法において、構造物に設置された磁束検出手段で検出さ
れた磁束に基づいて構造物の振動変位または振動モード
を求める振動検出方法を提案する。
【0026】本発明は、また、上記別の目的を達成する
ために、磁石を収納する構造物の振動を検出する振動検
出方法において、構造物に設置された複数の磁束検出手
段で検出された磁束に基づいて複数の磁束検出手段のう
ち少なくとも2つの磁束検出手段が設置されている構造
物の部位の振動変位または振動モードを求める振動検出
方法を提案する。
【0027】本発明は、さらに、上記別の目的を達成す
るために、磁石を収納する構造物の振動を検出する振動
検出方法において、構造物に設置された磁束検出手段で
検出された磁束に関する信号を記憶し、記憶された磁束
に関する信号と今回の磁束に関する信号とを比較し、構
造物の振動変位または振動モードを求める振動検出方法
を提案する。
【0028】本発明は、上記別の目的を達成するため
に、磁石を収納する構造物の振動を検出する振動検出方
法において、構造物に設置された磁束検出手段で検出さ
れた磁束に基づいて磁束検出手段が設置されている構造
物の部位の異常を検出するとともに、構造物に設置され
た複数の磁束検出手段で検出された磁束に基づいて構造
物の振動変位または振動モードを求める振動検出方法を
提案する。
【0029】上記いずれの振動検出方法においても、構
造物の振動変位または振動モードを求める際に、磁束の
変化量と振動変位または振動モードとの関係を予め求め
て格納した感度行列を参照し、検出された磁束の変化量
に基づき構造物の振動変位または振動モードを求める振
動検出方法とすることができる。
【0030】
【作用】構造物に設置された磁束検出手段で検出された
磁束に基づいて構造物の振動変位または振動モードを求
める本発明の振動検出装置および方法によれば、磁束検
出用素子の出力信号から、振動変位や振動モード等の振
動情報が得られる。この振動情報をもとに異常診断を実
行し、異常状態および異常箇所を推定できる。実際に生
じた振動モードと変位とを特定し、振動を検出できる。
また、検出された振動情報と振動変位とを所定の許容値
のデータと比較すれば、磁石の異常を診断できる。
【0031】構造物に設置された複数の磁束検出手段で
検出された磁束に基づいて複数の磁束検出手段のうち少
なくとも2つの磁束検出手段が設置されている構造物の
部位の振動変位または振動モードを求める本発明の振動
検出装置および方法によれば、振動情報は、比較器に送
られると同時に、診断器にも送られる。したがって、従
来の非接触検出方式では得られなかった振動の情報を、
磁束変化の情報から比較的容易に入手できる。診断器
は、異常箇所を推定する。すなわち、診断器は、各振動
モードの振幅および位相として入力された振動情報を、
必要に応じて任意の点での振幅および位相の情報に換算
する。特に、支持部材の取り付け位置での振幅を算出
し、どの部位での振動が大きく、その結果として異常が
生じているかという情報を表示器に送る。また、ある異
常を伴って生じる振動モードを構造解析を用いて予め求
めてパターン化し、記憶しておく。比較器から入力され
た振動パターンと記憶しておいた振動パターンとを比較
し、生じている異常を推定し、推定した異常内容を表示
器に送る。
【0032】構造物に設置された磁束検出手段で検出さ
れた磁束に関する信号を記憶し、記憶された磁束に関す
る信号と今回の磁束に関する信号とを比較し、構造物の
振動変位または振動モードを求める本発明の振動検出装
置および方法によれば、同一サーチコイルから前回に取
り込まれメモリに記憶されていた信号と今回の信号とを
比較し、異常の有無を判定する。比較器が、同一サーチ
コイルから前回に取り込まれメモリに記憶されていた信
号と今回の信号とを比較するので、他のサーチコイルと
の比較の場合のように、正常時の信号レベルの微妙な違
い等を考慮する必要が無い。また、振動振幅が単なる異
常状態のレベ検出された振動情報と振動変位とを所定の
許容値のデータと比較すルにある場合に、検出された磁
石装置の異常は、外部の磁石等により永久磁石に印加さ
れる磁場の乱れに基づく一過性のものである可能性が大
きい。この場合は、次周期の信号を待って、異常の判定
を繰り返すので、異常の誤判定が無くなり、高信頼の異
常検出装置が得られる。
【0033】構造物に設置された磁束検出手段で検出さ
れた磁束に基づいて磁束検出手段が設置されている構造
物の部位の異常を検出するとともに、構造物に設置され
た磁束検出手段で検出された磁束に基づいて構造物の振
動変位または振動モードを求める本発明の振動検出装置
および方法によれば、第1の比較器は、同時に複数の磁
石からの信号をモニタしており、条件が同じサーチコイ
ルからの信号と比較し、異常の有無を判定する。第2の
比較器は上記発明と同様に、従来の非接触検出方式では
得られなかった振動の情報を、磁束変化の情報から比較
的容易に入手できる。第2の比較器は、異常の場合は、
表示器および警報器に対して、正常値でないことを通知
する。警報器は、振動情報を所定の基準値と比較し、振
動情報が単なる異常状態と明らかに許容値を超えた危険
状態とに区別し、明らかに許容値を超えた危険状態の場
合は、表示器に通知する。異常状態と危険状態との区別
は、振動振幅に対する所定の基準値をそれぞれ設定し
て、診断器で判断する。したがって、永久磁石の振動異
常の状態を検知できるとともに、異常原因が外部にある
か内部にあるかを区別できる。
【0034】構造物の振動変位または振動モードを求め
る際に、磁束の変化量と振動変位または振動モードとの
関係を予め求めて格納した感度行列を参照し、検出され
た磁束の変化量に基づき構造物の振動変位または振動モ
ードを求める本発明の振動検出装置および方法によれ
ば、磁石の振動を非接触的にモニタするため、磁束検出
用素子を設置し、磁束の変化量を取り込む。取り込まれ
た磁束の変化量は、振動モードや変位等の振動情報に換
算される。これらの情報は、所定の基準値と比較され、
異常の有無の判断に用いられる。磁束の変化量の情報を
振動情報に変換する手段としては、各振動モードに対す
る単位変位当たりの磁束変化量を予め求めてテーブル化
した感度行列を用いる。この感度行列を用いると、磁束
の変化量から変位を逆算できる。このように、感度行列
を参照して、磁束信号を振動情報に変換するので、詳細
な振動情報が得られる。
【0035】磁石を収納する構造物に設置された磁束検
出手段で検出された磁束に基づいて構造物の振動を検出
する振動検出装置と、振動検出装置にオンラインで接続
され構造物の振動をモニタし構造物の異常を判定するモ
ニタリング手段とからなる異常診断システムであって、
振動検出装置が、上記いずれかの振動検出装置であり、
少なくともモニタリング手段が、構造物とは離れた場所
に位置する中央制御室に設置されている本発明の異常診
断システムによれば、磁石の振動状態が常にモニタされ
るので、異常の生じた箇所が明らかになり、早期に対策
を講ずることが容易となる。したがって、複数個ある磁
石の異常検出が容易になり、時間を短縮できる。また、
超電導磁石と常電導磁石のいずれについても、異常の生
じた箇所が明らになり、対策を講ずることが容易とな
る。
【0036】本発明においては、磁石装置の振動を非接
触的にモニタするため、磁束検出用素子を設置し、磁束
の変化量を取り込む。取り込まれた磁束の変化量は、振
動モードや変位等の振動情報に換算される。これらの情
報は、所定の基準値と比較され、異常の有無の判断に用
いられる。磁束の変化量の情報を振動情報に変換する手
段としては、各振動モードに対する単位変位当たりの磁
束変化量を予め求めてテーブル化した感度行列を用い
る。この感度行列を用いると、磁束の変化量から変位を
逆算できる。
【0037】ここで、渦電流解析を用いて、感度行列を
求めてみる。渦電流解析には、薄板近似を用いた3次元
有限要素法による渦電流解析コードを採用する。この渦
電流解析においては、磁石内の各構造物が、剛体として
の範囲内で、ヨーイング(z軸中心の回転振動),ロー
リング(x軸中心の回転振動)等の各種変形を生ずる場
合の振動モードを入力し、入力された振動モードに対し
て、指定領域の磁束を渦電流解析コードで計算する。よ
り具体的には、数種類の振動モードを仮定し、単位変位
当たりの各計測点の磁束値φc={φ1,…,φn}を計
算する。これらの計算値φcと実測値φmとの差のノルム
を最小にする各モードの複素振幅Xm={Xm1,…,Xm
h}を推定する。ただし、n>hである。
【0038】本発明の振動検出方法において、多くの実
験パラメータφmを同時に説明し得る少数の振動モード
の組合せXmが存在することを示せれば、予測する電磁
現象が確かに生ずると主張して良いであろう。
【0039】ここでは、電磁現象が、すべてインダクテ
ィブに結合している周波数領域を対象にして説明する。
渦電流解析の離散化式は、数式1のようになる。ここ
で、T={Ti}は、導体表面を有限要素に分割したと
きの各節点i上での渦電流Tiにより構成されるベクト
ルを表わし、MとRとは、各節点間の相互インダクタン
スマトリクスと抵抗マトリクスとを表わし、Mscは、各
節点と超電導コイルとの相互インダクタンスを表わし、
Iscは、超電導コイル電流を表わし、Xmは、振動モー
ドの振幅を表わしている。
【0040】
【数1】 数式1においては、各周波数ωが充分に大きい場合、抵
抗成分RTは、インダクタンス成分jωMTと比べて充
分に小さく、無視できる。この場合、渦電流Tは振動モ
ードXmと同相で線形の関係にある。同様に磁束ループ
の計測磁束φmもXmと同相で線形となる。すなわち、こ
の周波数領域では、磁束は周波数に依存することがな
い。したがって、各周波数および/または各実験データ
毎に、膨大な計算を繰り返す必要はない。単位振幅を仮
定した各振動モードに対し、各計測点のデータを評価
し、感度行列の形にまとめておけば充分である。
【0041】この感度行列をAとすると、各計測点の磁
束値φcは、数式2のように表示される。φcに相当する
計測値をφmとすると、問題は数式3に示す二乗ノルム
評価基準を最小にするモードベクトルXmを探索するこ
とに帰着する。モードベクトルXmの解は、数式4で与
えられる。
【0042】
【数2】
【0043】
【数3】
【0044】
【数4】 図7は、感度行列の一例を示す図表である。図7におい
て、並進,ヨーイング,ローリング,ピッチングの4モ
ードが、剛体としての振動モードであり、ねじりおよび
1次曲げが弾性体としての振動モードである。輻射シー
ルドのみが振動する場合、外槽のみが振動する場合等に
ついて、各振動モードのパラメータが1μm変位した場
合に生じる信号を算出し、感度係数を行列化してある。
【0045】図8は、図7の感度行列を用いて最小二乗
解析で求めた解析値と実験値と比較して示す図である。
図9は、その時の推定振動モードを示す図である。これ
らの図8と図9とによれば、解析結果は、振幅および位
相の周波数特性の特徴をよく再現している。したがっ
て、振動モードの重ね合わせが成り立つことがわかる。
【0046】このように、本発明の解析的アプローチに
よれば、実際に起こった振動モードと変位とを特定し、
振動を検出できることがわかる。また、ここで検出され
た振動情報と振動変位とを所定の許容値のデータと比較
すれば、磁石の異常を診断できる。
【0047】さらに、多数並べられた磁石の設置位置の
ずれ等の異常の検出に関して考察する。各軸方向への単
位変位当たりの移動に対して、各計測点のデータを評価
し、感度行列の形にまとめておけば、検出磁束に基づい
て、磁石の設置位置のずれ等を評価できる。
【0048】断線の位置の検出についても同様である。
【0049】
【実施例】図1は、本発明による超電導コイルの振動検
出装置の一実施例の全体構成を示すブロック図であり、
図2 は、図1の実施例の振動検出対象である超電導コ
イル1の周りの構造をより具体的に示す斜視図である。
図2において、真空断熱容器4の内側には、輻射熱シー
ルド3が配置され、液体窒素で冷却されている。この輻
射熱シールド3の内側には、超電導コイル1とこれを保
持する収納容器2とが収納され、液体ヘリウムで冷却さ
れている。超電導コイル1と収納容器2と輻射熱シール
ド3とは、支持部材5により真空断熱容器4に取り付け
られている。収納容器2は、ステンレス材料からなり、
輻射熱シールド3と真空断熱容器4とは、アルミからな
る。すなわち、導電性材料で形成されている。
【0050】本実施例においては、輻射熱シールド3の
表面に、6個のサーチコイル6が設置され、真空断熱容
器4の内側(超電導コイル1側)に、10個のサーチコ
イル6が設置されている。各サーチコイル6は、導電線
を巻回して形成されている。
【0051】真空断熱容器4に外部から振動が加わり、
サーチコイル6を取り付けた面が変位すると、サーチコ
イル6は、超電導コイル1の作る磁場を横切ることにな
る。したがって、外部からの振動は、磁束変化によって
生じる誘起電圧信号として検出される。この信号は、入
力信号18として入力装置7に取り込まれ、周波数をパ
ラメータとする位相および振幅のデータとして、変換器
8に送られる。変換器8は、感度行列9を用いて、各サ
ーチコイル6毎の誘起電圧の位相および振幅のデータ
を、輻射熱シールド3/真空断熱容器4と超電導コイル
1との相対振動モードの位相および振幅のデータに変換
する。
【0052】感度行列9とは、磁束変化量から振動を逆
算するためのテーブルである。感度行列9は、予め起こ
り得る振動モードを想定し、各振動モードが生じた場合
に、各サーチコイル6で検出される磁束を単位変位当た
りの量としてまとめておく。
【0053】合計16ヵ所に設置したサーチコイル6に
対して、振動モードは、輻射シールド3および真空断熱
容器4の並進,ヨーイング,ローリング,ピッチング,
ねじり,1次曲げの合計6モードを考慮する。このテー
ブルは,実験的に評価できる。このテーブルを用いる
と、従来非接触では得られなかった振動の情報を、磁束
変化の情報から入手できる。
【0054】これらの振動情報は、表示器10に送られ
て表示されると同時に、比較器11にも送られる。比較
器11は、振動情報を所定の基準値と比較し、振動情報
が所定の基準値を超えた場合に、表示器10および警報
器12に対して、正常値でないことを通知する。警報器
12は、振動情報を所定の基準値と比較し、振動情報が
単なる異常状態と明らかに許容値を超えた危険状態とに
区別し、明らかに許容値を超えた危険状態の場合は、表
示器10に通知する。異常状態と危険状態との区別は、
振動振幅に対する所定の基準値をそれぞれ設定して判断
する。
【0055】本実施例の異常診断システムは、例えば中
央制御室とオンラインで結ばれており、超電導磁石の振
動状態が常にモニタされる。したがって、例えば支持部
材5に経年劣化が生じ、疲労破壊により亀裂が拡大し、
振動の振幅が増加した場合には、この振動を異常状態と
して確実に検知するので、支持部材5が完全破壊に至る
前に、支持部材5を取換える等の対策を実行できる。そ
れと並行して、危険状態が検知された場合は、超電導コ
イルを消磁する等の非常手段を講ずることも可能であ
る。
【0056】図10は、図1の振動検出装置を用いてな
される振動検出方法の手順を示すフローチャートであ
る。ステップ100において、入力装置7が、振動検出
対象の磁石装置から磁束信号を入力信号18として入力
する。ステップ102において、変換器8が、ステップ
104において予め入力されている感度行列9を参照し
て、磁束信号を振動情報に変換する。ステップ106に
おいて、表示器10に振動情報を表示する。ステップ1
08において、比較器11が振動情報を所定の基準値と
比較する。その振動情報が基準値以下の時は、振動が生
じていないので、処理を終了する。一方、前記振動情報
が基準値を越えたときは、ステップ110において、そ
の情報を表示器10に表示する。その場合、ステップ1
12において、警報器12が、前記振動情報を所定の許
容値と比較する。その振動情報が許容値以下の場合は、
振動はあっても、磁石装置に悪影響が無いレベルである
から、処理を終了する。一方、前記振動情報が許容値を
越えたときは、ステップ114において、オペレータに
対し、警報を発する。この警報は、表示器10に表示さ
れる。
【0057】本方法においては、感度行列を参照して、
磁束信号を振動情報に変換するので、詳細な振動情報が
得られる。
【0058】図3は、本発明による常電導コイルの振動
検出装置および異常診断システムの一実施例の全体構成
を示すブロック図である。本実施例の磁石は、常電導コ
イル13とこれを保持する収納容器2と支持部材5とか
らなる。収納容器2は、アルミ等の導電材料からなる。
収納容器2の内側(常電導コイル側)の表面には、テフ
ロン線を巻回して形成したサーチコイル6を8ヵ所に設
置する。
【0059】磁束変化によって生じる誘起電圧信号が、
入力装置7に取り込まれ、周波数をパラメータとする位
相および振幅のデータとして、変換器8に送られる。変
換器8は、感度行列9を用いて、各サーチコイル6毎の
誘起電圧の位相および振幅のデータを、収納容器2と常
電導コイル13との相対振動モードの位相および振幅の
データに変換する。
【0060】本実施例における感度行列9は、磁束変化
量から振動を逆算するためのテーブルである。感度行列
9は、予め起こり得る振動モードを想定し、各振動モー
ドが生じた場合、各サーチコイル6で検出される磁束を
単位変位当たりの量として、3次元渦電流解析コードを
用いて算出しておく。
【0061】8ヵ所に設置したサーチコイル6に対し
て、振動モードは、収納容器2の並進,ヨーイング,ロ
ーリング,ピッチングの合計4モードを考慮する。すな
わち、常電導磁石を剛体として取り扱う。
【0062】このような解析的手法を用いると、従来の
非接触検出方式では得られなかった振動の情報を、磁束
変化の情報から比較的容易に入手できる。これらの振動
情報は、表示器10に送られて表示されると同時に、比
較器11にも送られる。本実施例の比較器11は、同時
に複数の磁石からの信号をモニタしており、条件が同じ
サーチコイル6からの信号と比較し、異常の有無を判定
する。異常の場合は、表示器10および警報器12に対
して、正常値でないことを通知する。警報器12は、振
動情報を所定の基準値と比較し、振動情報が単なる異常
状態と明らかに許容値を超えた危険状態とに区別し、明
らかに許容値を超えた危険状態の場合は、表示器10に
通知する。異常状態と危険状態との区別は、振動振幅に
対する所定の基準値をそれぞれ設定して判断する。
【0063】振動情報は、比較器11に送られると同時
に、診断器14にも送られる。診断器14は、異常箇所
を推定する。すなわち、診断器14は、各振動モードの
振幅および位相として入力された振動情報を、必要に応
じて任意の点での振幅および位相の情報に換算する。特
に、支持部材5の取り付け位置での振幅を算出し、どの
部位での振動が大きく、その結果として異常が生じてい
るかという情報を表示器10に送る。または、ある異常
を伴って生じる振動モードを構造解析を用いて予め求め
てパターン化し、記憶しておく。比較器11から入力さ
れた振動パターンと記憶しておいた振動パターンとを比
較し、生じている異常を推定し、推定した異常内容を表
示器10に送る。
【0064】本実施例の異常診断システムは、例えば中
央制御室とオンラインで結ばれており、常電導磁石の振
動状態が常にモニタされる。したがって、異常の生じた
箇所が明らかになり、対策を講ずることが容易となる。
【0065】図4は、本発明による常電導コイルの振動
検出装置および異常診断システムの他の実施例の全体構
成を示すブロック図である。図3の実施例の比較器11
は、同時に複数の磁石からの信号をモニタしており、条
件が同じサーチコイル6からの信号と比較し、異常の有
無を判定していた。これに対して、本実施例の比較器1
1は、同一サーチコイル6から前回に取り込まれメモリ
19に記憶されていた信号と今回の信号とを比較し、異
常の有無を判定する。その他の部分の動作は、図3の実
施例と同様であるので、詳細な説明を省略する。
【0066】本実施例においては、比較器11が、同一
サーチコイル6から前回に取り込まれメモリ19に記憶
されていた信号と今回の信号とを比較するので、他のサ
ーチコイルとの比較の場合のように、正常時の信号レベ
ルの微妙な違い等を考慮する必要が無い。
【0067】本実施例の異常診断システムは、例えば中
央制御室とオンラインで結ばれており、常電導磁石の振
動状態が常にモニタされる。したがって、異常の生じた
箇所が明らかになり、対策を講ずることが容易となる。
【0068】図5は、本発明による永久磁石の振動検出
装置および異常診断システムの実施例の全体構成を示す
ブロック図である。本実施例においては、永久磁石15
とこれを保持するアルミ製収納容器2と支持部材5とか
らなる磁石装置が、複数の常電導磁石16と対面して置
かれている。収納容器2の内側(永久磁石側)には、テ
フロン線を巻回して形成したサーチコイル6aを8ヵ
所、外側(常電導磁石側)の表面に、同じくテフロン線
を巻回して形成したサーチコイル6bを4ヵ所設置す
る。常電導磁石16の前で永久磁石装置15をスイープ
させた時に、常電導磁石16の磁束変化によりサーチコ
イル6bに生じる誘起電圧は、入力装置7bに取り込ま
れ、比較器11bに送られる。
【0069】常電導磁石16の磁束変化と永久磁石15
のつくる静磁場との作用で、収納容器2には、渦電流が
生じる。この渦電流と静磁場との作用は、収納容器2に
対する加振力として働き、振動によって生じる誘起電圧
が、サーチコイル6aにより検出される。この誘起電圧
信号は、入力装置7aに取り込まれ、周波数をパラメー
タとする位相および振幅のデータとして、変換器8に送
られる。変換器8は、感度行列9を用いて、各サーチコ
イル6a毎の誘起電圧の位相および振幅のデータを、収
納容器2と永久磁石15との相対振動モードの位相およ
び振幅のデータに変換する。感度行列9では、8ヵ所に
設置したサーチコイル6aについて、収納容器2の並
進,ヨーイング,ローリング,ピッチングの合計4モー
ドを考慮する。
【0070】このような解析的手法を用いると、従来の
非接触検出方式では得られなかった振動の情報を、磁束
変化の情報から比較的容易に入手できる。これらの振動
情報は、表示器10に送られて表示されると同時に、比
較器11aにも送られる。本実施例の比較器11aは、
同時に複数の磁石からの信号をモニタしており、条件が
同じサーチコイル6からの信号と比較し、異常の有無を
判定する。異常の場合は、表示器10および警報器12
に対して、正常値でないことを通知する。警報器12
は、振動情報を所定の基準値と比較し、振動情報が単な
る異常状態と明らかに許容値を超えた危険状態とに区別
し、明らかに許容値を超えた危険状態の場合は、表示器
10に通知する。異常状態と危険状態との区別は、振動
振幅に対する所定の基準値をそれぞれ設定して判断す
る。
【0071】比較器11bは、同時に多数の磁石をモニ
タしており、サーチコイル6からの信号を、条件が同じ
サーチコイル6からの信号と比較し、異常の有無を判定
し、その結果を表示器10に送る。
【0072】したがって、永久磁石の振動異常の状態を
検知できるとともに、異常原因が外部にあるか内部にあ
るかを区別できる。すなわち、比較器11aおよび11
bのいずれからも異常信号が検知され、かつ比較器11
aの振動振幅が単なる異常状態のレベルにある場合、検
出された磁石装置の異常は、外部の磁石等により永久磁
石に印加される磁場の乱れに基づく一過性のものである
可能性が大きい。この場合は、次周期の信号を待って、
異常の判定を繰り返すと、異常の誤判定が無くなり、高
信頼の異常検出装置が得られる。
【0073】一方、比較器11aでのみ異常が検出され
た場合は、警報器12と表示器10を通じてその異常を
オペレータに知らせると同時に、振動情報を診断器14
に送る。診断器14は、支持部材5の取り付け位置での
振幅を算出し、どの部位で振動が大きく、その結果とし
て異常が生じているかを推定し、表示器10に送る。
【0074】本実施例の異常診断システムは、例えば中
央制御室とオンラインで結ばれており、永久磁石の振動
状態が常にモニタされる。したがって、異常の生じた箇
所が明らかになり、対策を講ずることが容易となる。
【0075】なお、比較器11aおよび/または11b
において、同時に多数の磁石をモニタし、条件が同じサ
ーチコイルからの信号と比較する方式に代えて、図4の
実施例のように、同一サーチコイルから前回に取り込ま
れメモリに記憶されていた信号と今回の信号とを比較す
る方式を採用してもよいことは、明らかであろう。
【0076】図6は、本発明による超電導磁石の振動検
出装置および異常診断システムの実施例の全体構成を示
すブロック図である。本実施例では、アルミ製の真空断
熱容器4と同じくアルミ製の輻射熱シールド3とその内
側に置かれた超電導コイル1とこれを保持するステンレ
ス製の収納容器2と支持部材5とからなる磁石装置が、
複数の常電導磁石16と対面して置かれている。
【0077】導電線を巻回して形成したサーチコイル6
aを、輻射熱シールド3の表面(真空断熱容器4側)の
6ヶ所に配置し、真空断熱容器4の内側(超電導コイル
1側)の12ヵ所に配置する。同様に、サーチコイル6
bを、真空断熱容器4の外側(常電導磁石16側)の表
面の6ヵ所に配置する。常電導磁石16の前で超電導磁
石装置をスイープさせた時、常電導磁石16の磁束変化
によりサーチコイル6bに生じる誘起電圧信号が、入力
装置7bに取り込まれ、周波数をパラメータとする位相
および振幅のデータとして、変換器8bに送られる。
【0078】一方、常電導磁石16の磁束変化と超電導
コイル1により作られる静磁場との作用で、輻射熱シー
ルド3および真空断熱容器4には、渦電流が生じる。こ
の渦電流と静磁場との作用は、輻射熱シールド3および
真空断熱容器4に対する加振力として働き、サーチコイ
ル6aには、振動によって生じる誘起電圧が検出され
る。誘起電圧信号は、入力装置7aに取り込まれ、周波
数をパラメータとする位相および振幅のデータとして、
変換器8aに送られる。変換器8aおよび8bでは、感
度行列9aおよび9bを用いて、各サーチコイル6aお
よび6b毎の誘起電圧の位相および振幅のデータを、振
動情報に変換する。
【0079】感度行列9aは、磁束変化量から超電導磁
石装置の振動を逆算するためのテーブルである。このテ
ーブルは、起こりうる輻射シールド3と真空断熱容器4
の振動モードを予め想定し、各振動モードが生じた場合
に、各サーチコイル6aで検出される磁束を単位変位当
たりの磁束量としてまとめておく。合計18ヵ所に設置
したサーチコイル6aに対して、輻射シールド3および
真空断熱容器4の並進,ヨーイング,ローリング,ピッ
チング,1次曲げの合計10の振動モードを考慮する。
【0080】一方、感度行列9bは、磁束変化量から常
電導磁石16の位置変位または断線を逆算するためのテ
ーブルであり、検査対象の常電導コイル16がサーチコ
イル6bに対してある特定の相対位置にあるとき、検査
対象の常電導コイル16が各軸方向に単位変位移動した
とき、および断線が生じたときに、各サーチコイル6b
で検出される磁束を単位変位当たりの磁束変化量として
まとめておく。
【0081】このような方法を用いると、従来の非接触
方式では得られなかった振動および変位または断線の情
報を磁束変化の情報から入手できる。これらの振動およ
び変位等の情報は、表示器10に送られて表示され、比
較器11aおよび11bにも送られ、正常値でない場合
は、振動に対する所定の基準値に基づいて、単なる異常
状態と明らかに許容値を超えた危険状態とに区別して、
警報器12と表示器10によりオペレータに通報する。
比較器11aと11bとの双方から異常信号が検知さ
れ、しかも比較器11aの振動振幅が単なる異常状態の
レベルにある場合、検出された磁石装置の異常は、外部
の磁石等により磁石装置に印加される磁場の乱れに基づ
く一過性のものである可能性が大きい。そこで次周期の
信号を待って異常の判定をする方式も考えられる。
【0082】この方式によれば、異常の誤判定が無くな
り、高信頼の異常検出装置が得られる。同時に、超電導
磁石の振動異常の状態を検知し、異常原因が外部にある
か内部の構造物の異常に基づくものかを区別できる。
【0083】比較器11aでのみ異常が検出された場合
は、その異常は警報器12と表示器10とを用いてオペ
レータに通報される。同時に、振動情報は、診断器14
aに送られ、異常箇所の推定に用いられる。診断器14
aは、支持部材5の取り付け位置での振幅を算出し、ど
の部位で振動が大きく、その結果として異常が生じてい
るかという情報を表示器10に送る。比較器11bでの
み異常が検出された場合、警報器12と表示器10とを
用いてオペレータに通報される。振動情報は、診断器1
4bに送られ、超電導磁石装置の位置検出装置17の情
報と突合せ、異常のある常電導コイルの据付け位置を検
出する。
【0084】したがって、複数個ある磁石の異常検出が
容易になり、時間を短縮できる。また、以上のシステム
をオンラインで結び、超電導磁石装置の振動状態および
常電導磁石の位置ずれや断線を常にモニタするシステム
とすることができる。その場合は、超電導磁石と常電導
磁石のいずれについても、異常の生じた箇所が明らかに
なり、対策を講ずることが容易となる。
【0085】
【発明の効果】本発明によれば、以下の効果が得られ
る。 (1)磁束検出用素子の出力信号から、振動変位や振動
モード等の振動情報が得られる。この振動情報をもとに
異常診断を実行し、異常状態および異常箇所を推定でき
る。 (2)磁束検出用素子の出力信号から、多数並べられた
磁石についても、設置位置のずれや断線等の異常を検出
できる。 (3)磁束検出用素子とその出力信号を振動情報に変換
する変換器と得られた振動情報を表示する装置とをオン
ラインで接続することにより、磁石の振動状態を非接触
で常にモニタできるので、磁石の異常を早期に発見し対
処することが可能である。 (4)磁束検出用素子を磁石の内側と外側に設け、双方
の磁束変化情報または振動情報をモニタし、比較するか
ら、異常の原因が、磁石そのものにあるか、外部の磁石
等にあるかを識別できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による超電導コイルの異常診断システム
の一実施例の全体構成を示すブロック図である。
【図2】図1の実施例の振動検出対象である超電導コイ
ルの周りの構造をより具体的に示す斜視図である。
【図3】本発明による常電導コイルの振動検出装置およ
び異常診断システムの一実施例の全体構成を示すブロッ
ク図である。
【図4】本発明による常電導コイルの振動検出装置およ
び異常診断システムの他の実施例の全体構成を示すブロ
ック図である。
【図5】本発明による永久磁石の振動検出装置および異
常診断システムの実施例の全体構成を示すブロック図で
ある。
【図6】本発明による超電導磁石の振動検出装置および
異常診断システムの実施例の全体構成を示すブロック図
である。
【図7】本発明の感度行列の一例を示す図表である。
【図8】図7の感度行列を用いて最小二乗解析で求めた
解析値と実験値と比較して示す図である。
【図9】図8の解析値に対応する推定振動モードを示す
図である。
【図10】本発明による振動検出方法の手順を示すフロ
ーチャートである。
【図11】従来の超電導磁石の構造の一例を示す斜視図
である。
【符号の説明】
1 超電導コイル 2 超電導コイル収納容器 3 輻射熱シールド 4 真空断熱容器 5 支持部材 6 サーチコイル 7 入力装置 8 変換器 9 感度行列 10 表示器 11 比較器 12 警報機 13 常電導コイル 14 診断器 15 永久磁石 16 常電導コイル群 17 位置検出装置 18 入力信号 19 メモリ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 福本 英士 茨城県日立市大みか町七丁目2番1号 株式会社 日立製作所 エネルギー研究 所内 (72)発明者 清水 翼 茨城県日立市大みか町七丁目2番1号 株式会社 日立製作所 エネルギー研究 所内 (72)発明者 滝沢 照広 神奈川県横浜市戸塚区吉田町292番地 株式会社 日立製作所 試作開発センタ 内 (72)発明者 園部 正 神奈川県横浜市戸塚区吉田町292番地 株式会社 日立製作所 試作開発センタ 内 (72)発明者 鈴木 史男 神奈川県横浜市戸塚区吉田町292番地 株式会社 日立製作所 試作開発センタ 内 (72)発明者 斉藤 敏雄 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株式会社 日立製作所 日立研究所内 (56)参考文献 特開 昭64−47957(JP,A) 特開 昭56−154629(JP,A) 特開 昭62−185125(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01H 11/02 G01B 7/00 G01M 19/00

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁石を収納する構造物の振動を検出する
    振動検出装置であって、前記構造物に設置されて前記構
    造物における磁束を検出する複数の磁束検出手段と、前
    記磁束検出手段で検出された磁束に基づいて前記構造物
    の振動変位または振動モードを求める手段とを備えた振
    動検出装置において、前記構造物の振動変位または振動モードを求める手段
    が、複数の前記磁束検出手段のうちの2つの磁束検出手
    段で検出された磁束に基づいて前記2つの磁束検出手段
    が設置されている前記構造物の2つの部位間における相
    対的振動変位または振動モードを求める手段である こと
    を特徴とする振動検出装置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の振動検出装置におい
    て、 前記構造物の振動変位または振動モードを記憶するメモ
    リと、 前記メモリに記憶された前記構造物の振動変位または振
    動モードと新たに求められた前記構造物の振動変位また
    は振動モードとを比較する比較器とを備えたことを特徴
    とする振動検出装置。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の振動検出装置におい
    て、 予め記憶された前記構造物の振動変位または振動モード
    の基準値と新たに求められた前記構造物の振動変位また
    は振動モードとを比較する比較器を備えたことを特徴と
    する振動検出装置。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載の振動検出装置におい
    て、 前記構造物の振動変位または振動モードを求める手段
    が、磁束の変化量と振動変位または振動モードとの関係
    を予め求めて格納した感度行列を有し、検出された磁束
    の変化量に基づき前記感度行列を参照して前記構造物の
    振動変位または振動モードを求める手段であることを特
    徴とする振動検出装置。
  5. 【請求項5】 磁石を収納する構造物に設置された磁束
    検出手段で検出された磁束に基づいて前記構造物の振動
    を検出する振動検出装置と、前記振動検出装置にオンラ
    インで接続され前記構造物の振動をモニタし前記構造物
    の異常を判定するモニタリング手段とからなる異常診断
    システムであって、 前記振動検出装置が、請求項1ないし4のいずれか一項
    に記載の振動検出装置であり、 少なくとも前記モニタリング手段が、前記構造物とは離
    れた場所に位置する中央制御室に設置されていることを
    特徴とする異常診断システム。
  6. 【請求項6】 磁石を収納する構造物の振動を検出する
    振動検出方法において、 前記構造物に設置された複数の磁束検出手段で検出され
    た磁束に基づいて前記複数の磁束検出手段のうちの2つ
    磁束検出手段が設置されている前記構造物の2つの部
    位間における相対的振動変位または振動モードを求める
    ことを特徴とする振動検出方法。
  7. 【請求項7】 磁石を収納する構造物の振動を検出する
    振動検出方法において、 前記構造物に設置された磁束検出手段で検出された磁束
    に関する信号を記憶し、 記憶された前記磁束に関する信号と今回の前記磁束に関
    する信号とを比較し、 前記構造物の振動変位または振動モードを求めることを
    特徴とする振動検出方法。
  8. 【請求項8】 磁石を収納する構造物の振動を検出する
    振動検出方法において、 前記構造物に設置された磁束検出手段で検出された磁束
    に基づいて前記磁束検出手段が設置されている前記構造
    物の部位の異常を検出するとともに、 前記構造物に設置された複数の磁束検出手段で検出され
    た磁束に基づいて前記構造物の振動変位または振動モー
    ドを求めることを特徴とする振動検出方法。
  9. 【請求項9】 請求項6ないし8のいずれか一項に記載
    の振動検出方法において、 前記構造物の振動変位または振動モードを求める際に、
    磁束の変化量と振動変位または振動モードとの関係を予
    め求めて格納した感度行列を参照し、検出された磁束の
    変化量に基づき前記構造物の振動変位または振動モード
    を求めることを特徴とする振動検出方法。
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JPH0792016A (ja) 1995-04-07

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