JP3165263B2 - 積層成形品及びその製造方法 - Google Patents

積層成形品及びその製造方法

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JP3165263B2
JP3165263B2 JP28872792A JP28872792A JP3165263B2 JP 3165263 B2 JP3165263 B2 JP 3165263B2 JP 28872792 A JP28872792 A JP 28872792A JP 28872792 A JP28872792 A JP 28872792A JP 3165263 B2 JP3165263 B2 JP 3165263B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は繊維補強熱可塑性樹脂積
層体を発泡樹脂体の表面に接合して成る積層成形品及び
その製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、繊維補強熱可塑性樹脂成形品を製
造する方法としては、「繊維補強樹脂成形体の連続賦形
方法及びその装置」と題する特開平1−286823号
公報に記載の方法のほか、一般的には、繊維補強樹脂板
を加熱軟化したのちプレス機にて金型内で高圧で加圧成
形する方法が知られている。
【0003】一般的に強化繊維を含む樹脂積層体と発泡
樹脂体とで構成される製品を製造する場合、前記方法で
成形された積層体と発泡体の間に何らかの接着剤を用い
るか、機械的に接合させる接合部材を関与させるか、反
応型の熱硬化性樹脂を用いる必要があった。特にポリプ
ロピレン系樹脂は適当な接合剤がなく熱ヒートプレート
等の方法により溶着する方法が一般的である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
方法では、積層体を、接合しようとする発泡樹脂体の形
状に賦形したのち、接着剤を塗付、圧着、養生等の工程
が必要であり、また、ボルトナット等の機械的接合部材
を用いる場合は、部材取付けのための事前の加工及び取
付け組立工程等複雑な工程が必要とされた。更に接合さ
れた成形品が構造用の強度部材として用いられる場合、
ボルトナット等の機械的接合では接合部分に応力集中が
かかり、そのため成形品の補強措置が必要であったり、
また接着剤等化学的手法の接合の場合には接合面の界面
剥離等の問題が生じる。
【0005】特に近年ポリプロピレン樹脂を用いた繊維
補強熱可塑性樹脂積層体とポリプロピレン発泡体との一
体化製品の製造においては、外部から熱板により加熱し
て一体化すると既に成形された積層体の表面が粗くな
り、一体化するために加圧すれば発泡樹脂体は押し潰さ
れてしまうという問題点がある。
【0006】そこで本発明の目的は、繊維補強熱可塑性
樹脂積層体と発泡樹脂体とを、ボルトナット等の機械的
結合部材や接着剤等を使用することなく、低圧下で強固
に接合して成る複合成形品及びその製造方法を提供する
ことにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者達は上記目的を
達成するため、鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成す
るに至ったものである。即ち、本発明に係る積層成形品
は、繊維補強熱可塑性樹脂板を層状に積層して成る一体
以上の積層体を所望の外形を有する発泡樹脂体の表面に
接合して成る積層成形品において、発泡樹脂体と積層体
が、接着剤によることなく、積層体自体の熱可塑性樹脂
と発泡樹脂体自体の樹脂が接合部分において相互に溶
融、混和、固化して成る層により接合せしめられたこと
を特徴とする。
【0008】上記繊維補強熱可塑性樹脂板は、容積含有
率で30%以上85%以下の強化繊維を含むことが推奨
され、また、その強化繊維はガラス繊維であり、熱可塑
性樹脂がポリプロピレン系樹脂であり、上記発泡樹脂体
がポリプロピレン発泡体であるような積層成形品に対し
て本発明は好適に適用し得る。
【0009】また、上記の積層成形品を製造するための
本発明に係る製造方法は、容積含有率で30%以上85
%以下の強化繊維を含む繊維補強熱可塑性樹脂板を層状
に積層して成る一体以上の積層体をそれぞれ加熱し、そ
の熱可塑性樹脂を溶融状態にして層間に含まれる空気の
脱気を行うステップと、上記熱可塑性樹脂が溶融状態に
ある一体以上の積層体を、所望の外形を有する発泡樹脂
体の表面に重ね合わせて密着させ、積層体の保有する熱
で発泡樹脂体の表面を溶融させ、積層体と発泡樹脂体と
を互いに溶着させるステップと、互いに溶着した積層体
と発泡樹脂体を冷却、固化して一体化せしめるステップ
と、を順次実行することを特徴とする。
【0010】上記の製造方法は、上記繊維補強熱可塑性
樹脂板の強化繊維がガラス繊維であり、熱可塑性樹脂が
ポリプロピレン系樹脂であり、上記発泡樹脂体がポリプ
ロピレン発泡体である場合に特に好適に適用し得る。
【0011】更にまた、本発明に係るもう一つの積層成
形品は、繊維補強熱可塑性樹脂板を層状に積層して成る
一体以上の積層体を所望の外形を有する発泡樹脂体の表
面に接合し、更に上記積層体の発泡樹脂体と接合せしめ
られた面とは反対側の表面に加飾材を接合して成る積層
成形品において、発泡樹脂体と積層体が、接着剤による
ことなく、積層体自体の熱可塑性樹脂と発泡樹脂体自体
の樹脂が接合部分において相互に溶融、混和、固化して
成る層により接合せしめられ、積層体と加飾材が、接着
剤によることなく、加飾材が熱可塑性樹脂製品である場
合には、積層体自体の熱可塑性樹脂と加飾材自体の樹脂
が接合部分において相互に溶融、混和、固化して成る層
により接合せしめられ、また、加飾材が有機若しくは無
機繊維製品である場合には、積層体の溶融した熱可塑性
樹脂中に加飾材の繊維が埋入し、若しくは加飾材の繊維
間に積層体の溶融した熱可塑性樹脂が含浸された状態で
熱可塑性樹脂が固化して成る層により接合せしめられた
ことを特徴とする。
【0012】上記繊維補強熱可塑性樹脂板は、容積含有
率で30%以上85%以下の強化繊維を含むことが推奨
され、また、その強化繊維はガラス繊維であり、熱可塑
性樹脂がポリプロピレン系樹脂であり、上記発泡樹脂体
がポリプロピレン発泡体であるような積層成形品に対し
て本発明は好適に適用し得る。
【0013】また、上記の積層成形品を製造するための
本発明に係る製造方法は、容積含有率で30%以上85
%以下の強化繊維を含む繊維補強熱可塑性樹脂板を層状
に積層して成る一体以上の積層体をそれぞれ加熱し、そ
の熱可塑性樹脂を溶融状態にして層間に含まれる空気の
脱気を行うステップと、上記熱可塑性樹脂が溶融状態に
ある一体以上の積層体を、所望の外形を有する発泡樹脂
体の表面に重ね合わせて密着させ、積層体の保有する熱
で発泡樹脂体の表面を溶融させ、積層体と発泡樹脂体と
を互いに溶着させると同時に、上記積層体の発泡樹脂体
と密着せしめられる面とは反対側の表面に加飾材を重ね
合わせて密着させ、積層体と加飾材とを互いに接合させ
るステップと、互いに溶着もしくは接合した積層体、発
泡樹脂体及び加飾材を冷却、固化して一体化せしめるス
テップと、を順次実行することを特徴とする。
【0014】上記の製造方法は、上記加飾材が熱可塑性
樹脂製品である場合には、積層体の保有する熱で加飾材
の表面を溶融させることにより積層体と加飾材とを互い
に接合させることを特徴とし、また、上記加飾材が有機
若しくは無機繊維製品である場合には、積層体の溶融し
た熱可塑性樹脂中に加飾材の繊維が埋入し、若しくは加
飾材の繊維間に積層体の溶融した熱可塑性樹脂が含浸さ
れた状態で積層体と加飾材とを互いに接合させることを
特徴とする。
【0015】また、上記の製造方法は、上記繊維補強熱
可塑性樹脂板の強化繊維がガラス繊維であり、熱可塑性
樹脂がポリプロピレン系樹脂であり、上記発泡樹脂体が
ポリプロピレン発泡体である場合に特に好適に適用し得
る。
【0016】
【実施例】以下本発明について詳説する。本発明で用い
る成形用材料としては、連続繊維を一方向に引き揃えた
繊維シートを骨材とし、これに熱可塑性樹脂を含浸させ
た一方向繊維補強熱可塑性樹脂板(以下、UDプリプレ
グと言う。)や、平織、朱子織、綾織等の織布に上記樹
脂を含浸させた多方向繊維補強熱可塑性樹脂板(以下、
織布プリプレグという)が用いられる。これらのプリプ
レグは単独で、或いは組合せて所望の繊維配向、厚さと
なるように積層し、これらの積層体を成形工程に先立っ
てあらかじめ加熱圧縮することにより、プリプレグ間に
存在する空気の脱気が可能となり、得られる成形品の物
性を向上させ得るものである。
【0017】上記骨材となる繊維としては、ガラス繊
維、炭素繊維、アラミド繊維(登録商標「ケプラー」
等)等の合成樹脂繊維、炭化ケイ素繊維等の無機繊維、
チタン繊維、ボロン繊維、ステンレス等の金属繊維が挙
げられるが、必ずしもこれらに限定されるものではな
い。
【0018】一方、上記骨材繊維間に含浸せしめられる
熱可塑性樹脂としては、ポリスチレン、ポリ塩化ビニー
ル、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボ
ネート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテ
レフタレート、ポリエーテルサルフォン、ポリサルフォ
ン、ポリエーテルイミド(商標「ULTEM」)、ポリ
エーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド
等が挙げられるが、必ずしもこれらに限定されるもので
はない。
【0019】また、発泡樹脂体としてはポリプロピレン
発泡体、ポリウレタン発泡体又はポリプロピレン発泡体
を外層に有するポリスチレン発泡体等が挙げられるが、
必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0020】加飾材としては、ポリプロピレン、PS等
のシート又は発泡体、PVC、PZTシート等熱可塑性
樹脂製品等のほか、布や不織布、石綿等、表面に繊維が
出ているものが挙げられるが、必ずしもこれら限定され
ない。
【0021】本発明に係る製造方法における複合成形品
の製造にあたっては、先ず積層体の加熱工程を設ける
が、その目的は、プリプレグ間の脱気を行うと共に、次
工程での加工を容易にするために積層体に充分な熱を与
えるためである。
【0022】一般に、補強繊維を含有しない熱可塑性樹
脂板が加熱溶融状態にあってはその平板性を保ち得ない
し、ましてや賦形することは困難である。従って、この
ような場合閉じられた金型内で賦形するか、もしくは熱
可塑性樹脂の融点以下の軟化点の範囲で賦形が行われ
る。然しながら本発明の繊維補強熱可塑性樹脂積層体
は、層状に積層されたプリプレグで構成される繊維の立
体構造の中に樹脂が含浸又は接合されていることによ
り、熱可塑性樹脂が加熱溶融し、樹脂単独では流動状態
にあっても流れることなく、積層体の形状を保持するこ
とができる。従って、次工程において、接合しようとす
る相手方の発泡樹脂体の外表面の形状に合わせてこの積
層体に外力を加えて賦形を行い、発泡樹脂体と密着させ
ることができる。
【0023】本発明の製造方法では熱可塑性樹脂積層体
が発泡樹脂体の表面に密着するよう賦形された後でも、
その熱可塑性樹脂は溶融状態を維持しているので、積層
体から供給される熱で発泡樹脂体の表層が溶融し、積層
体と発泡樹脂体は互いに溶着するから、この状態でただ
ちに冷却固化すれば接合面は一体化される。この際、発
泡樹脂体を包む複数枚の積層体の端縁部分を互いに密着
させるようにすれば、接合面の熱可塑性樹脂は互いに溶
着するから、これをそのまゝ冷却固化すれば、積層体の
端縁同士の接合面は完全に一体化され、接合面以外の積
層体の部分と同質の、かつ高強度の接合面を形成するこ
とができる。
【0024】更にまた、積層体と発泡樹脂体を接合する
際にこれと同時に、積層体の発泡体と接していない反対
側の表面に加飾材を密着させるようにすれば、加飾材は
積層体より熱を受けその接合面が溶融、融着する。ま
た、加飾材が、溶融しないものである場合であっても、
これが繊維製品等である場合には、加飾材から加飾材か
ら伸び出たヒモ状の繊維等が積層体の溶融した樹脂層に
埋入した状態になり、或いはまた、繊維や織り目の中に
溶融樹脂が含浸された状態になるので、これを冷却固化
すれば積層体と加飾材を一体化することができる。
【0025】而して、前記プリプレグの積層体にあって
繊維の容積含有率が30%より少ない場合には、樹脂の
流動が著しく、本発明の製造方法による適切な賦形がで
きず、又、繊維の容積含有率が85%を超えると樹脂含
有量が少なくなり、望ましい成形品が得られない。従っ
て、本発明において使用される積層体を構成する繊維補
強熱可塑性樹脂板は、容積含有率で30%以上85%以
下の強化繊維を含むものが好ましく、より望ましくは繊
維の容積含有率が40〜80%のものが適切な成形加工
性を有し、かつ望ましい成形品が得られる。
【0026】発泡樹脂体は一般的に高圧下で変形を生じ
る。また、加熱された繊維補強熱可塑性樹脂積層体を賦
形のため圧縮すると、積層体と密着した型内で圧力をか
ける場合を除き、溶融した樹脂は繊維のからみの中から
流出してしまう。従って、一般に成形圧力は樹脂温度と
粘度及び発泡樹脂体の圧縮強度の関係において加工条件
下において任意に選択されるが、本発明の製造方法にお
いては繊維補強熱可塑性樹脂積層体の成形圧力は3kg/
cm2 以下(通常従来方式4kg/cm2 以上)、望ましくは
0.1〜 1.5kg/cm2 程度が望ましい。
【0027】繊維補強熱可塑性樹脂積層体を構成する熱
可塑性樹脂と、発泡樹脂体の樹脂種類との組合せは、積
層体に付加する温度、即ち熱可塑性樹脂の融点以上かつ
分解温度以下の温度が、発泡樹脂体の融点以上かつ分解
温度以下となるような範囲の発泡樹脂体が選定される。
【0028】以下、図面を参照しつゝ本発明を具体的に
説明する。図1は、本発明に係る製造方法によって得ら
れる本発明に係る積層複合成形品の外観斜視図である。
図2は、本発明に係る製造方法において、熱可塑性樹脂
が溶融状態にある加熱された積層体を発泡樹脂体の周囲
に配置した状態を示す側面図である。図3は、図2の積
層体を発泡樹脂体に密着させて賦形したのち、これを冷
却固化して一体化することによって得られた複合成形品
の側面図である。図4は、図3の部分拡大図で、積層体
と発泡樹脂体とが溶着、固化した接合部分の状態を表す
模式図である。図5は、本発明に係る製造方法によって
得られる本発明に係る積層複合成形品の他の二つの形態
を示す外観斜視図である。図6は、本発明に係る積層成
形品において、発泡樹脂体の周囲に接合された2枚の積
層体の両端領域を互いに接合した実施例を示す側面図で
ある。図7は、本発明に係る製造方法において、積層体
及び加飾材を発泡樹脂体の周囲に配置した状態を示す側
面図である。図8は、図7の発泡樹脂体、積層体及び加
飾材を互いに密着させた状態で冷却固化して一体化する
ことによって得られた複合成形品の側面図である。図9
は、本発明に従い発泡樹脂体の両面に積層体及び加飾材
を接合した積層成形品の一実施例を示す側面図である。
図10は、表面に繊維が露出している加飾材を用いた実
施例において、積層体の溶融樹脂中に加飾材の繊維が埋
入された状態で固化、一体化した部分の状態を表す拡大
模式図である。
【0029】また、図中、1は上側積層体、2は下側積
層体、3は発泡樹脂体、4は上側加飾材、5は下側加飾
材、6は発泡樹脂体が溶融し積層体と一体化した層、7
は加飾材の表面に露出している繊維であり、また図6
中、a及びbは積層体1及び2の端部領域の接合面であ
る。
【0030】而して、図2の如く発泡樹脂体3の上側及
び下側に配置される積層体1及び2は、前記の如く、配
置する前の段階の加熱工程において、あらかじめプリプ
レグ間に存在する空気を排除され、かつ積層体1及び2
のそれぞれが発泡樹脂体の表面を溶融させるに充分な熱
量が付与される。積層体の加熱はその熱可塑性樹脂のガ
ラス転移点以上の温度で行われるのが一般的である。
【0031】一般に繊維補強されていない樹脂板は、そ
の熱可塑性樹脂が溶融状態になると、積層体1は図2の
ような平板状態を保持することはできないし、図3の如
く、外部から力を加えて賦形することもできない。しか
しながら本発明による積層体に骨材として含まれている
繊維は、熱可塑性樹脂が溶融状態にある温度において充
分な強度を有し、これらの補強繊維が積層体1及び2を
図2のような平板状態に保持し、また、積層体に加わっ
た外力を補強繊維が受けて賦形を行うことができる。熱
可塑性樹脂は前述の如く繊維間に含浸又は繊維の立体構
造の中に保持されている。繊維含有率が30%以下で
は、積層体が一定形状を保持することができず、本発明
の方法での成形には不適当である。
【0032】而して、図3の如く積層体1及び2を発泡
樹脂体3に密着させると、積層体1及び2の保有する熱
で発泡樹脂体3の表面が溶融する。積層体1及び2に含
まれる繊維がガラス繊維で、その熱可塑性樹脂がポリプ
ロピレン、発泡樹脂体3がポリプロピレン発泡樹脂体で
構成される場合には、ガラス繊維の熱容量がポリプロピ
レン樹脂より大きいので、積層体1及び2を加熱してこ
れらに熱量を付与する時に、このガラス繊維に熱が保持
され、一種の熱溜めプールの形となり、このガラス繊維
から積層体のポリプロピレン樹脂及び発泡樹脂体のポリ
プロピレン樹脂に熱が供給されるので、ポリプロピレン
発泡体3の表層を溶融するという本発明の製造過程が特
に良好な状態で行われ、優れた複合成形品が得られる。
【0033】積層体1及び2の保有する熱で発泡樹脂体
3の表面が溶融、溶着すれば、ただちに冷却固化の工程
に移行させて短時間で複合成形品を得ることができる。
従ってエポキシ系の熱硬化型のような反応、養生の時間
が不要であり、加工時間が大巾に合理化される。
【0034】図4は積層体1と発泡樹脂体3の溶融一体
化した状態を示す拡大模式図であり、顕微鏡でとらえる
と積層体1と発泡樹脂体3の接合面に溶着層6が形成さ
れている。積層体1と発泡樹脂体3が同一樹脂の場合
は、発泡樹脂体3の発泡最上面にスキン層が形成された
形になっている。また、積層体1と発泡樹脂体3が異な
る樹脂の場合、この溶着層6に相方の樹脂が混在する形
となることもある。
【0035】図5(a) 及び(b) は、本発明の方法で得ら
れる他の複合成形品の外観斜視図である。
【0036】図6は、本発明に係る積層成形品におい
て、発泡樹脂体の周囲に接合された積層体1と積層体2
のそれぞれの端部をa面とb面で密着させた実施例を示
す側面図である。熱可塑性樹脂が溶融した積層体1及び
2を発泡樹脂体3の外周面に密着すると同時に、a、b
面で積層体1及び2の両端部分を密着し、冷却固化すれ
ば第6図に示す複合成形品が得られる。
【0037】図7及び図8は加飾材4を用いた複合成形
品の成形過程及び成形品の側面図で、発泡樹脂体3の上
側及び下側に積層体1と2を配し、積層体1の上には更
に加飾材4を配し、この状態で発泡樹脂体3と積層体1
及び2を密着させ、同時に積層体1と加飾材4を密着さ
せると、積層体1に蓄えられた熱で発泡樹脂体3と加飾
材4の表面が溶融して積層体1と溶着し、積層体2に蓄
えられた熱で発泡樹脂体3の下側の表面が溶融して積層
体2と溶着するので、これらを密着一体化後冷却固化す
れば、図8に示すような加飾材を有する複合成形品を製
造することができる。
【0038】図9は、下側の積層体2の表面にも加飾材
5を接合、一体化した複合成形品の側面図で、図7の積
層体2の下側に加飾材5を配し同時に密着、溶融、溶着
し、冷却固化すれば図9の複合成形品が得られる。
【0039】図10は、加飾材4として、布等、表面に
繊維が突出していたり又は繊維が織られた布に空隙があ
るような素材を用いた場合の加飾材4と積層体1の接合
状態を示す図である。一般に布等は熱によって溶融しな
いので、この場合は積層体1の表面にある溶融した熱可
塑性樹脂層の中に加飾材4の表面から突出した繊維7が
入り込んで埋入され、また、溶融した熱可塑性樹脂の一
部が織り込まれた繊維の空隙に入り込んで含浸され、そ
の状態で冷却固化することにより積層体1と加飾材4が
機械的に強固に結合した状態を形成することができる。
従って、加飾材としては必ずしも熱溶融性の材料だけで
なく、布、不織布、ガラスクロス、石綿、無機材等様々
な素材を選択することができる。
【0040】以下に本発明の実施例を具体的製造条件に
よって示す。 本発明の実施例1 〔製造条件〕 積層体 熱可塑性樹脂────ポリプロピレン 補強繊維──────ガラス繊維 繊維の容積含有率──60% 厚さ────────1mm 加熱温度───────250℃で1分 発泡樹脂体──────ポリプロピレン15倍発泡 上記条件で積層成形品を製造したところ、良好な成形品
が得られた。
【0041】本発明の実施例2 〔製造条件〕 積層体 熱可塑性樹脂────ポリプロピレン 補強繊維──────ガラス繊維 繊維の容積含有率──60% 厚さ────────3mm 加熱温度───────250℃で5分 発泡樹脂体──────ウレタン15倍発泡 上記条件で積層成形品を製造したところ、良好な成形品
が得られた。
【0042】本発明の実施例3 〔製造条件〕 積層体 熱可塑性樹脂────ポリプロピレン 補強繊維──────ガラス繊維 繊維の容積含有率──60% 厚さ────────6mm 加熱温度───────250℃で1分 加飾材────────ポリプロピレン発泡体の上にP
VCエンボスシートを貼り合わせたものを加温して用い
た。 上記条件で積層成形品を製造したところ、良好な成形品
が得られた。
【0043】
【発明の効果】本発明は上記の如く構成されるから、本
発明によるときは、繊維補強熱可塑性樹脂積層体と発泡
樹脂体とを、ボルトナット等の機械的結合部材や接着剤
等を使用することなく、低圧下で強固に接合して成る複
合成形品及びその製造方法を提供し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る製造方法によって得られる本発明
に係る積層複合成形品の外観斜視図である。
【図2】本発明に係る製造方法において、熱可塑性樹脂
が溶融状態にある加熱された積層体を発泡樹脂体の周囲
に配置した状態を示す側面図である。
【図3】図2の積層体を発泡樹脂体に密着させて賦形し
たのち、これを冷却固化して一体化することによって得
られた複合成形品の側面図である。
【図4】図3の部分拡大図で、積層体と発泡樹脂体とが
溶着、固化した接合部分の状態を表す模式図である。
【図5】本発明に係る製造方法によって得られる本発明
に係る積層複合成形品の他の二つの形態を示す外観斜視
図である。
【図6】本発明に係る積層成形品において、発泡樹脂体
の周囲に接合された2枚の積層体の両端領域を互いに接
合した実施例を示す側面図である。
【図7】本発明に係る製造方法において、積層体及び加
飾材を発泡樹脂体の周囲に配置した状態を示す側面図で
ある。
【図8】図7の発泡樹脂体、積層体及び加飾材を互いに
密着させた状態で冷却固化して一体化することによって
得られた複合成形品の側面図である。
【図9】本発明に従い発泡樹脂体の両面に積層体及び加
飾材を接合した積層成形品の一実施例を示す側面図であ
る。
【図10】表面に繊維が露出している加飾材を用いた実
施例において、積層体の溶融樹脂中に加飾材の繊維が埋
入された状態で固化、一体化した部分の状態を表す拡大
模式図である。
【符号の説明】
1 熱可塑性樹脂が溶融状態にある上側積層体 2 熱可塑性樹脂が溶融状態にある下側積層体 3 発泡樹脂体 4 上側加飾材 5 下側加飾材 6 発泡樹脂体が溶融し積層体と一体化した層 7 加飾材の表面に露出している繊維 a,b 積層体1と2の接合面
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岸 智 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三 井東圧化学株式会社内 (72)発明者 盛田 勝幸 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三 井東圧化学株式会社内 (72)発明者 細山 信幸 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三 井東圧化学株式会社内 (72)発明者 田邉 浩史 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三 井東圧化学株式会社内 (72)発明者 飯田 修士 愛知県刈谷市朝日町2丁目1番地 アイ シン精機株式会社内 (72)発明者 中井 清隆 愛知県刈谷市朝日町2丁目1番地 アイ シン精機株式会社内 (56)参考文献 特開 昭61−76358(JP,A) 特開 平5−193039(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B32B 1/00 - 35/00 B29C 65/00 - 65/82 B29C 67/12 - 67/14

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 強化繊維含有率が容積比率で30%以上
    85%以下であって、連続繊維を一方向に引き揃えた強
    化繊維に熱可塑性樹脂を含浸させた一方向繊維強化熱可
    塑性樹脂板、または強化繊維を用いた織布に熱可塑性樹
    脂を含浸させた多方向繊維強化熱可塑性樹脂板を層状に
    積層して成る一体以上の積層体を、該積層体の熱可塑性
    樹脂の融点以上に加熱、溶融し、所望の外形を有する発
    泡樹脂体に密着させ、積層体と発泡樹脂体の接合部分に
    おいて、積層体から供給される熱で発泡樹脂体の表層を
    溶融し、積層体の熱可塑性樹脂と発泡樹脂体の樹脂が相
    互に溶融、混和、固化して成る層により接合せしめられ
    た積層成形品。
  2. 【請求項2】一体以上の繊維補強熱可塑性樹脂板の積層
    体と接合せしめられた面とは反対側の積層体の表面に接
    着剤によることなく、加飾材を接合せしめたことを特徴
    とする請求項1記載の積層成形品。
  3. 【請求項3】上記繊維補強熱可塑性樹脂板の強化繊維が
    ガラス繊維であり、熱可塑性樹脂がポリプロピレン系樹
    脂であり、上記発泡樹脂体がポリプロピレン発泡体であ
    る請求項1または請求項2記載の積層成形品。
  4. 【請求項4】容積含有率で30%以上85%以下の強化
    繊維を含む繊維補強熱可塑性樹脂板を層状に積層して成
    る一体以上の積層体をそれぞれ加熱し、その熱可塑性樹
    脂を溶融状態にして層間に含まれる空気の脱気を行うス
    テップと、 上記熱可塑性樹脂が溶融状態にある一体以上の積層体
    を、所望の外形を有する発泡樹脂体の表面に重ねあわせ
    て密着させ、積層体の保有する熱で発泡樹脂体の表面を
    溶融させ、積層体と発泡樹脂体とを互いに溶着させるス
    テップと、 互いに溶着した積層体と発泡樹脂体を冷却、固化して一
    体化せしめるステップと、を順次実行することを特徴と
    する積層成形品の製造方法。
  5. 【請求項5】積層体と発泡樹脂体とを互いに溶着させる
    ステップが、上記積層体の発泡樹脂体と密着せしめられ
    る面とは反対側の積層体の表面に加飾材を重ねあわせて
    密着させ、積層体と加飾材とを互いに接合する工程を含
    む請求項4記載の積層成形品の製造方法。
  6. 【請求項6】上記加飾材が熱可塑性樹脂製品であり、積
    層体の保有する熱で加飾材の表面を溶融させ、積層体と
    加飾材とを互いに接合させる請求項5記載の積層成形品
    の製造方法。
  7. 【請求項7】上記加飾材が有機若しくは無機繊維製品で
    あり、積層体の溶融した熱可塑性樹脂中に加飾材の繊維
    が埋入し、若しくは加飾材の繊維間に積層体の溶融した
    熱可塑性樹脂が含浸された状態で積層体と加飾材とを互
    いに接合させる請求項5記載の積層成形品の製造方法。
  8. 【請求項8】上記繊維補強熱可塑性樹脂板の強化繊維が
    ガラス繊維であり、熱可塑性樹脂がポリプロピレン系樹
    脂であり、上記発泡樹脂体がポリプロピレン発泡体であ
    る請求項4記載の積層成形品の製造方法。
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