以下、本考案の実施の形態における紙袋について説明する。
図1は、本考案の実施の形態における紙袋を示す斜視図である。
図を参照して、紙袋1は、マチ付けのトートバッグである。紙袋1は、外袋60と、内袋20と、ひも状に形成された持ち手40とを有している。外袋60の外表面であって紙袋1の表面には、図柄70aが配置されている。
本実施の形態において、紙袋1を構成する各部材は、新聞紙を用いて構成されている。紙袋1は、新聞紙と、新聞紙同士をはり付けるためののりとを用いて製造される。図柄70aは、紙袋1の材料となる新聞紙にプリントされているものである。紙袋1は、後述するような製造手順で、ユーザが、容易に製造可能なものである。
図2は、紙袋1の構造を示す分解斜視図である。
図を参照して、紙袋1は、外袋60の内側に内袋20が配置されて構成されている。すなわち、外袋60は、紙袋1の外表面となる。外袋60の開口部の周縁部と、内袋20の開口部の周縁部とは、互いにのり付けされている。
内袋20の外表面の一部には、持ち手40の一部が接着されて固定されている。持ち手40は、新聞紙を折って帯状にしたものである。本実施の形態において、持ち手40は、その一部が内袋20の底部に回り込むように内袋20の外表面に沿うように配置され、内袋20に接着されている。
内袋20のうち持ち手40が接着された部位の一部には、補強片45aがはり付けられている。補強片45aは、例えば1枚の新聞紙片又は数枚の新聞紙片を重ねたものである。補強片45aは、持ち手40の一部を覆うようにはり付けられている。補強片45aは、例えば、内袋20の開口部近傍部位であって持ち手40が接着されている部位を覆うようにはり付けられている。
内袋20に持ち手40が接着され、補強片45aがはり付けられた部分は、いわば紙袋1の本体部50となる。本実施の形態において、内袋20は外袋60より厚く、強度が高くなるように形成されており、また、内袋20に持ち手40が接着されている。すなわち、紙袋1は、主に本体部50により内容物の荷重を支えることができる。
[材料について]
ここで、紙袋1の各部を製造するのに用いられる材料について説明する。本実施の形態においては、1つの紙袋1を製造するために、いわゆるブランケット判(例えば、縦が81センチメートル程度で横が55センチメートル程度の大きさ)の新聞を広げた大きさすなわちブランケット判の2ページ分の大きさ(以下、全紙の大きさと呼ぶことがある。)の6枚の新聞紙が用いられる。以下の説明においては、ブランケット判の1ページ分の大きさの新聞紙すなわち全紙の大きさの半分の大きさの新聞紙の長手方向を縦方向と呼び、短手方向を横方向と呼ぶことがある。なお、用いられる新聞紙の枚数は、製造する紙袋1の大きさに応じて変更することができる。
6枚の新聞紙のうち、1枚は、外袋60に用いられる。すなわち、この1枚は、紙袋1の表面に露出する紙面を有するものである。また、他の2枚は、紙袋1の持ち手40に用いられる。残りの3枚は、紙袋1の本体10を構成する内袋20に用いられる。
ユーザは、予め、材料となる新聞紙の中から、外袋60に用いるものを選択しておく。ユーザは、新聞紙の紙面を見て、好みに応じて、紙袋1の表面にしたい紙面がある新聞紙を選択できる。例えば、紙面に図1に示すような図柄70aが掲載されている新聞紙を選ぶことができる。なお、本実施の形態においては、外袋60を構成するためには、全紙の半分の大きさ、すなわちブランケット判1ページの大きさ(以下、この大きさのことを単に1ページの大きさと呼ぶことがある。)の新聞紙が必要である。
紙袋1を製造するユーザは、新聞紙の他に、新聞紙を接着するのに用いるのりと、はさみなどの切断用具を事前に用意する。
[紙袋1の製造手順及び詳細な構造]
以下、紙袋1の製造手順を示しながら、紙袋1の詳細な構造について説明する。紙袋1の製造手順は、大まかに、内袋20を作製する第1の段階、持ち手40を作製して内袋20に取り付ける第2の段階、外袋60を作製する第3の段階、及び内袋20と外袋60とを組み合わせる第4の段階に分かれている。以下の説明において、ユーザがそれぞれの作業を行う。
[内袋20の作製(第1の段階)]
第1の段階では、ユーザは、以下の第1の工程〜第7の工程を行う。
図3は、第1の段階の第1の工程を説明する図である。
図を参照して、第1の工程では、内袋20になる3枚の新聞紙11を重ねる。重ねた新聞紙11を、その真ん中で、すなわち新聞紙11の横方向の中央部に位置する折り目(図において2点鎖線で示す)に沿って、はさみなどで切断する。換言すると、全紙の大きさの新聞紙を半分に切ることで、1ページの大きさの、略合同となる3枚2組の新聞紙11を得る。
図4(a)は、第1の段階の第2の工程を説明する図であり、図4(b)は、第1の段階の第2の工程が行われた後の新聞紙を示す図である。
図4(a)を参照して、第2の工程では、上記第1の工程で得られた3枚2組の新聞紙11を重ねる。重ねて6枚となった新聞紙束(以下、重畳体と呼ぶ。)11aを、図に矢印で示すように、その短辺同士が重なるように縦方向に1回折り曲げ、2つに折り畳む。図において、2点鎖線は重畳体11aの折り曲げ位置を示す。図4(b)を参照して、重畳体11aが折り曲げられると、1ページの半分の大きさで縦方向が短い新聞紙束(以下、折畳体と呼ぶ)11bが得られる。
図5(a)は、第1の段階の第3の工程を示す図であり、図5(b)は、第1の段階の第3の工程が行われた後の重畳体11aを示す図である。
図5(a)を参照して、第3の工程では、重畳体11aを2つに折り畳んでなる折畳体11bの横方向の両サイドの部位を折畳体11bの短辺に沿って折り曲げ、折り目を付ける。例えば、図に2点鎖線で示す位置で折り曲げ、折り目を付ける。ここで付ける折り目の幅d1の略2倍が、紙袋1のマチの幅となる。すなわち、紙袋1のマチを約8センチメートルとする場合、折り目の幅d1は、4センチメートル程度にすればよい。
図5(b)を参照して、折り目を付けた折畳体11bを開いて1ページの大きさの重畳体11aとする。このとき、両サイドに付けた折り目11cより側方の部分がのりしろ13となる。のりしろ13は、折畳体11bの2つの短辺に沿って、すなわち重畳体11aの2つの長辺に沿って、設けられる。
図6(a)は、第1の段階の第4の工程を示す図であり、図6(b)は、第1の段階の第4の工程が行われた後の内袋20を示す図である。
図6(a)を参照して、第4の工程では、重畳体11aを構成する6枚の新聞紙のそれぞれののりしろ13と、それに対向する新聞紙ののりしろ13とを互いにのり付け(固定の一例)する。また、重畳体11aを2つに折ったときに対向するのりしろ13同士、すなわち重畳体11aを折畳体11bにしたときに内側に位置する新聞紙ののりしろ13同士をのり付けする。
図6(b)を参照して、上述のようにのりしろ13がのり付けされることにより、折畳体11bがその長辺の一方で開口する袋状になる。すなわち、6枚の新聞紙をはり合わせることにより、折畳体11bが内袋20になる。内袋20のうち、折畳体11bの2つの短辺のそれぞれに対応する辺の近傍には、固定部15a,15bが設けられている。2つの固定部15a,15bは、それぞれ、のりしろ13同士がのり付けされて12枚の新聞紙が一体に重ねられて固定されている部位である。
図7は、第1の段階の第5の工程を示す図である。
図を参照して、第5の工程では、2つの固定部15a,15bを折り曲げ、内袋20の表面にのり付けする。ここで、固定部15aは、内袋20の第1の面(図において背面)に向けて折り込まれてその面に固定される。他方、固定部15bは、内袋20の第2の面(図において前面)に向けて折り込まれてその面に固定される。すなわち、2つの固定部15a,15bは、左右互い違いに折り曲げられ、内袋20の本体にはり付けられる。これにより、内袋20の第1の面と第2の面との重量バランスが保たれる。
図8(a)は、第1の段階の第6の工程を示す図であり、図8(b)は、第1の段階の第6の工程が行われた後の内袋20を底面側から見た斜視図である。
以下の図において、新聞紙が重ねられて厚くなっている部位について、その厚みに関する図示を省略することがある。
図8(a)は、内袋20を上方から見た斜視図である。図を参照して、第6の工程では、内袋20にマチを付ける。固定部15a,15bのそれぞれがのり付けされて厚みが他の部位より大きくなった部分の幅が、内袋20のマチ部分の幅の半分になるように、内袋20の表面に折り目を付ける。そして、内袋20を箱形に成形する。内袋20が箱形に成形されたとき、内袋20の下方で、余分な部分である2つの三角形部17a,17bが出っ張る。三角形部17a,17bを図に矢印で示すように内袋20の底面に向けて折り返し、内袋20の底面にはり付けて固定する。
図8(b)を参照して、三角形部17a,17bが内袋20の底面に固定されると、内袋20は、マチと底面とを有し、上方に開口する箱形になる。本実施の形態では、マチの幅d2は、固定部15a,15bの幅寸法すなわちのりしろ13の幅寸法(図5(a)における寸法d1)の略2倍になる。
図9は、第1の段階の第7の工程における内袋20を上方から見た斜視図である。
図を参照して、第7の工程では、内袋20の上部の所定幅分の部位が、内袋20の外側に折り返される。本実施の形態において、折り返される折返部19の幅寸法d3は、約3センチメートルである。なお、折返部19の幅d3は、例えば、2センチメートル〜5センチメートルとすればよい。
[持ち手40の作製及び取付け(第2の段階)]
以上で第1の段階が終了し、内袋20が完成する。次に、持ち手40に関する第2の段階について説明する。第2の段階では、ユーザは、以下の第1の工程〜第4の工程を行う。
図10(a)及び図10(b)は、それぞれ、第2の段階の第1の工程を説明する図である。
図10(a)を参照して、第1の工程では、持ち手40に用いるために用意した2枚の新聞紙をそれぞれ折り畳む。まず、各新聞紙41について、図において丸付き数字で示した番号順に、全紙の大きさに広げた新聞紙41の長辺に平行な方向に、3回折り畳む。このとき、その都度新聞紙41の縦方向の中央で折り曲げるようにして、3回折り畳む。新聞紙41を3回折り畳むと、新聞紙41は縦方向の幅d4が7センチメートル程度の帯状になる。
図10(b)を参照して、このような帯状の新聞紙41をさらに三つ折りして折り畳み、のり付けを行う。三つ折りを行うとき、帯状の新聞紙41の両側縁部のうち、上記のように3回目に折り畳んだときに折り曲げ部位となった側縁部41bを外側に露出させる。これにより、新聞紙41の端部が帯状の新聞紙41の内側に隠れ、見栄えが良くなる。これにより、2枚の新聞紙41を用いて、幅が約2センチメートル〜3センチメートルの帯状の持ち手40が2本得られる。
図11は、第2の段階の第2の工程における持ち手40を示す図である。
図を参照して、第2の工程において、持ち手40を、紙袋1に取り付けられるように、予め折り曲げておく。すなわち、各持ち手40の長手方向中央から両端部に向けて寸法d5だけ離れた位置において、長手方向に対して垂直な方向に、持ち手40の2つの端部側の部位を折り曲げる。このとき、持ち手40の長手方向中央を通る持ち手40の長手方向に垂直な平面に対して対称に、持ち手40の両端部を折り曲げる。これにより、図に示すように、持ち手40がコ字状(又はU字状)に成形される。なお、寸法d5は、例えば5センチメートル程度にすればよい。
図12は、第2の段階の第3の工程を説明する図である。
図を参照して、第3の工程では、第1の段階で作製した内袋20の外表面に持ち手40を取り付ける。2つの持ち手40は、内袋20の底面とマチ部分とを除く2面(図において前面及び背面)に1つずつ取り付けられる。持ち手40を内袋20の表面に合わせて、持ち手40の長さがほどよい長さになるように持ち手40の位置を決定した上で、持ち手40を内袋20の外表面にのり付けする。内袋20の下部20aから突き出た持ち手40の端部の余剰部分40aは、内袋20の底面に向けて折り曲げ、底面にのり付けする。このように、持ち手40に余剰部分40aがあるときは、余剰部分40aが内袋20の底部に回り込むように配置されるので、内袋20に物が入れられたとき、その物の荷重の大部分を、比較的丈夫な持ち手40によって直接的に支えることができる。
なお、2つの持ち手40は、内袋20の2つのマチ部分の中央部を通り持ち手40が固定される面に平行な平面に関して互いに対称となる位置に取り付けられる。このとき、内袋20の底面において、一方の持ち手40の余剰部分40aが、他方の持ち手40の余剰部分40aに届く長さであるときは、一方の余剰部分40aに他方の余剰部分40aが重なるようにして、のり付けする。これにより、2つの持ち手40の余剰部分40a同士が重なった重なり部43(図13に図示)ができる。このように持ち手40を取り付けることにより、2つの持ち手40同士がつなげられ、内袋20の底面を通って内袋20の相対向する面に配置される。したがって内袋20の強度がより高くなり、紙袋1により重い物を収納可能になる。
図13は、第2の段階の第4の工程における本体部50を底面側から見た斜視図である。
図を参照して、第4の工程では、補強片45aを、各持ち手40のうち、内袋20の上部部分にはり付けられている部位を覆うように配置する。補強片45aは、持ち手40及び内袋20にはり付けられて固定される。また、本実施の形態においては、内袋20の底面にも、補強片45bをはり付ける。補強片45bは、持ち手40の余剰部分40aと内袋20の底面との一部を覆うようにはり付けられる。すなわち、補強片45bは、重なり部43や三角形部17a,17bの一部などを覆うようにはり付けられる。
2枚の補強片45aと補強片45bとは、それぞれ、例えば1枚又は2枚の新聞紙片である。予め用意した新聞紙のうち外袋60に用いる部分を切り出したもの(後述の第3の段階の第1の工程を終えた状態の新聞紙など)の残りの部分を例えば6等分とし、そのうち2枚ずつをこれらの補強片45a,45bとして利用することが可能である。
[外袋60の作製(第3の段階)]
以上で第2の段階が終了し、紙袋1の本体部50が完成する。次に、外袋60を作製する第3の段階について説明する。第3の段階では、ユーザは、以下の第1の工程〜第4の工程を行う。
図14は、第3の段階の第1の工程を説明する図である。
図を参照して、第1の工程において、外袋60に用いるものとして選択した紙面を含む全紙の大きさの新聞紙70を1ページの大きさに切断する。切断されて得られた1ページの大きさの新聞紙71は、ユーザが紙袋1の「表」にしたいとする図柄70aが掲載されているものである。切断された残りの新聞紙45は、上述の第2の段階の第4の工程において、補強片45a,45bとして有効に活用可能である。
図15(a)は、第3の段階の第2の工程を説明する図であり、図15(b)は、第3の段階の第2の工程が行われた後の状態を説明する斜視図である。
図15(a)を参照して、残しておいた「表」になる新聞紙71を、その短辺同士が重なるように縦方向に1回折り曲げ、2つに折り畳む。図において、2点鎖線は折り曲げられる位置を示す。図15(b)を参照して、新聞紙71が折り畳まれると、1ページの半分の大きさで縦方向が短い折畳体71bが得られる。折畳体71bの表面には、図柄70aが現れるようにする。
図16は、第3の段階の第3の工程を説明する第1の図である。
第3の工程では、新聞紙71にのりしろを設け、のりしろ同士を接着する。図を参照して、まず、新聞紙71を折畳体71bとした状態でその短辺に沿って折り曲げることにより、新聞紙71の横方向の両サイドの部位に折り目71cを付ける。そして、折畳体71bを1ページの大きさに広げる。このとき、内袋20よりも外袋60が大きくなるように、折り目の幅d6は、内袋20を作製するときに付けた折り目の幅d1よりも狭くなるようにする。例えば、折り目の幅d6は、寸法d1よりも2〜3ミリメートルだけ小さくなるようにする。なお、折り目の幅d6は、内袋20よりも外袋60がわずかに大きくなるように、適宜設定可能である。
このようにして、新聞紙71の両サイドには、折り目71cが付けられる。2つの折り目71cのそれぞれから側方の部分が、のりしろ73となる。のりしろ73は、折畳体71bの2つの短辺に沿って、すなわち新聞紙71の2つの長辺に沿って、設けられる。のりしろ73は、図柄70aが掲載されている面(表面)と同じ面に設けられる。
図17は、第3の段階の第3の工程を説明する第2の図である。
次に、各のりしろ73を折り目71cに沿って新聞紙71の背面に折り込んだ状態で、新聞紙71を再び折り畳んで折畳体71bとする。これにより、図に示すように、折り込まれた各のりしろ73同士が対向する状態となる。互いに対向するのりしろ73同士をのり付けし、折畳体11bをその短辺側両側部において背合わせにはり付けることで、外袋60が形成される。
図18は、第3の段階の第4の工程における外袋60を示す斜視図である。
図を参照して、第4の工程では、袋状に形成された外袋60について、内袋20の形状に合わせてマチ部分及び底面を設け、箱状に成形する。このとき、のり付けされたのりしろ73は、外袋60のマチ部分に沿うように折り畳んでおく。また、マチ部分を設けることにより出っ張る三角形部75a,75bは、外袋60の底面に向けて軽く折り曲げておく。なお、三角形部75a,75bは、次に説明する第4の段階において、外袋60の底面に向けて折り曲げるようにしてもよい。
ここで、外袋60の上部には、折込部79が設けられる。折込部79は、上記のように箱形に形成された状態の外袋60の上端縁から寸法d7の幅を有するように設けられる。折込部79は、内袋20の高さに合わせて、外袋60の内部に折り込まれる。寸法d7の幅は、例えば、次に説明する第4の段階において、内袋20と外袋60との高さをいわゆる現物合わせにより比べることにより、決定することができる。
[外袋60と内袋20との組合せ(第4の段階)]
以上で第3の段階が終了し、大まかに成形された外袋60が完成する。最後に、外袋60と内袋20とを組み合わせる第4の段階について説明する。第4の段階では、ユーザは、以下の第1の工程及び第2の工程を行う。図2を参照して以下の説明を行う。
第1の工程では、大まかに成形された外袋60の中に、内袋20すなわち本体部50を入れる。外袋60の位置や形状を内袋20に実際に合わせることで調節及び修正し、内袋20の深さに合わせて、折込部79の高さを決定する。互いに対面する折込部79と内袋20の折返部19とをのり付けして固定し、外袋60と内袋20とを組み合わせる。
第2の工程では、外袋60の底面に、外袋60の三角形部75a,75bをはり付ける。第2の工程が終了すると、第4の段階が終了し、紙袋1が完成する。
[実施の形態における効果]
このように、本実施の形態では、紙袋は、多くの枚数の新聞紙を重ねて形成されておりその内表面が比較的平たんに形成された内袋と、その外表面が比較的平たんに形成された外袋とを組み合わせた構造を有している。したがって、紙袋の外表面及び内表面は比較的平たんなものになり、かつ、紙袋の強度は高くなる。すなわち、丈夫で、かつ、見栄えが良い紙袋を製造可能である。外袋は、ユーザが好みの図柄が掲載された新聞紙を用いて容易に作製できるものであり、紙袋の外表面のデザインを容易に設定可能である。
紙袋は、持ち手を有するものであるが、持ち手のうち内袋にのり付けされている部位は紙袋の外表面や内表面には露出していない。したがって、紙袋の外観の見栄えがさらに良くなる。また、紙袋に物を出し入れする際に、その物が、紙袋の内側において持ち手に引っかかることがなく、紙袋への物の出し入れを容易に行うことができる。
持ち手は、補強片がはり付けられることで、より強固に内袋にはり付けられている。したがって、持ち手の取付け強度が増し、紙袋に重い物を入れて運ぶことが可能になる。また、補強片がはり付けられることで、紙袋自体の強度も大きくなる。
内袋のマチ部分の一部及び底面の三角形部の一部は、12枚の新聞紙が互いにのり付けされた固定部により構成されている。この固定部がいわば枠材としての役割を担うので、紙袋がより丈夫になり、紙袋が本来の形状から変形しにくくなる。
外袋と内袋とは、各々の開口部付近に設けられた折込部及び折返部で互いに接着されるので、紙袋の他の部位よりも開口部の周縁部の厚みが大きくなる。そのため、紙袋の耐久性が増加し、物の出し入れを何度も行っても破れにくくなる。
また、紙袋は、新聞紙とのりのみを材料として用いて構成されている。したがって、紙袋の製造には特別な工作器具などは必要なく、だれでも容易に製造できる。また、紙袋1を、その形のまま容易に焼却処分したり、紙資材としてリサイクルしたりすることが可能である。
[変型例]
なお、上述のようなマチ部分を設けない紙袋も、上述の製造手順のうち必要な作業を行うことで、容易に製造可能である。
図19は、本実施の形態の一変型例に係る紙袋を示す斜視図である。
図を参照して、紙袋101は、マチ部分がないトートバッグである。紙袋101は、外袋160と、外袋160の内側に組み合わされた内袋120と、内袋120と外袋160との間に取り付けられた持ち手40とを備えている。紙袋101は、ユーザの所望の図柄70aが外袋160の外表面に位置するように、上述の実施の形態と同様に作製可能である。内袋120と外袋160とは、紙袋101の開口部の周縁部においてのり付けされ、互いに固定されている。持ち手40は、上述の実施の形態における紙袋1と同様に、内袋120の外表面にのり付けされている。持ち手40の両端部は、内袋120の底部に回り込むように配置されている。また、持ち手40の一部を覆うように、補強片(図示せず)が持ち手40の上から内袋120にのり付けされている。
内袋120及び外袋160は、マチ部分を有しないように、へん平形状に形成されている。内袋120は、上述の紙袋1の内袋20の製造手順である第1の段階のうち、第6の工程を除いた各工程を行うことにより、作製される。また、外袋160は、紙袋1の外袋60の製造手順である第3の段階のうち、第4の工程を除いた各工程を行うことにより、作製される。その他の製造手順は、紙袋1の製造手順と略同様である。
このような紙袋101も、紙袋1と同様に、丈夫で、かつ、見栄えが良いものである。内袋120の短辺すなわち紙袋101の両側部には、12枚の新聞紙が互いにのり付けされた固定部(図示せず)が位置する。したがって、紙袋101がより丈夫になり、紙袋101の形は崩れにくくなる。
[その他]
のりの代わりに木工用ボンドなどの種々の接着剤を用いて新聞紙同士を接着するようにしてもよい。また、のりや接着剤の代わりに、又はのりや接着剤とともに、例えばステープルや接着剤付きテープなどを用いて紙袋を製作してもよい。紙袋の表面にニスやその他の樹脂液などを塗布したり、ニスやその他の樹脂液などを塗布した新聞紙を用いて紙袋を製作したりしてもよい。
補強片を省いて紙袋を作製してもよい。
持ち手は、内袋ではなく、外袋の内表面に接着されたりして固定されていてもよい。この場合、外袋のうち持ち手が接着された部位に補強片をはり付けてもよい。
比較的短い持ち手を用いる場合などには、持ち手を新聞紙の縦方向が長手方向となるように折り込んで作製してもよい。このように持ち手の長手方向と新聞紙を引き裂きにくい方向とを一致させることにより、持ち手の引っ張り強度を高くすることができる。
持ち手は、新聞紙を用いて構成されたものに限られない。例えば、樹脂製の持ち手などを内袋の外表面や外袋の内表面に固定するようにしてもよい。また、持ち手は、新聞紙を折り曲げたもの内部に、例えばビニルひもなどを芯材として配置して構成されていてもよい。これにより、持ち手の引っ張り強度をさらに高めることができる。
外袋、内袋、及び持ち手は、それぞれ、厚紙や段ボールなどを芯材として用いて形成されてもよい。また、内袋と外袋との間に、これらの芯材を配置して紙袋を形成してもよい。
内袋を構成する新聞紙の枚数や外袋を構成する新聞紙の枚数は、上述に限られるものではない。内袋は、外袋を構成する新聞紙の枚数と同じ枚数かそれより多い枚数の新聞紙を重ねて構成されるのが好ましい。この場合、紙袋の強度をより高くすることが可能になる。
必要に応じて、新聞紙の余分な部分をはさみなどで切り落として紙袋を製造してもよい。例えば、部分的に厚みが大きくなり紙袋の外観に影響が及ぶおそれがあるときには、余分な部分を切り落としたり新聞紙が重なる枚数を少なくしたりすることができる。
紙袋の大きさは、上述のようにして形成されうる大きさに限られない。すなわち、用いられる新聞の大きさはブランケット判に限られない。また、予めのり付けするなどして作製した新聞紙を用いることにより、より大きな紙袋も作製することができる。
例えば上述の第1の段階の第3の工程などで、折り目が折畳体の短辺に対して傾斜するようにして、内袋及びそれに適合する大きさの外袋を作製してもよい。これにより、箱形や長方形型の紙袋に限られず、例えば台形型の紙袋や、開口部の面積と底面の面積とが異なる紙袋を作製することができる。
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本考案の範囲は上記した説明ではなくて実用新案登録請求の範囲によって示され、実用新案登録請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。