JP3163848B2 - カドミウム負極板 - Google Patents
カドミウム負極板Info
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- Y02E—REDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
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- Y02E60/10—Energy storage using batteries
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はγ−Cd(OH)2 を含有する
カドミウム負極板に関するものである。
カドミウム負極板に関するものである。
【0002】
【従来の技術とその課題】現在、二次電池としては、主
にニッケル−カドミウム電池と鉛電池とが用いられてい
る。特に、ニッケル−カドミウム電池は高率放電での特
性が優れていることや長寿命であるなどの理由で広く用
いられている。
にニッケル−カドミウム電池と鉛電池とが用いられてい
る。特に、ニッケル−カドミウム電池は高率放電での特
性が優れていることや長寿命であるなどの理由で広く用
いられている。
【0003】しかし一方では、容量密度が高いニッケル
−水素電池の実用化や近年の電子機器の小型化および軽
量化にともなって高容量密度あるいは他の機能を有した
ニッケル−カドミウム電池の開発が望まれている。ニッ
ケル−カドミウム電池の容量密度を高める方法の一つ
は、活物質の活性度の向上によってカドミウム負極の出
力容量密度を高めることである。
−水素電池の実用化や近年の電子機器の小型化および軽
量化にともなって高容量密度あるいは他の機能を有した
ニッケル−カドミウム電池の開発が望まれている。ニッ
ケル−カドミウム電池の容量密度を高める方法の一つ
は、活物質の活性度の向上によってカドミウム負極の出
力容量密度を高めることである。
【0004】カドミウム負極を用いたアルカリ二次電
池、例えばニッケルーカドミウム電池は、通常、カドミ
ウム負極の容量が水酸化ニッケル正極におけるものより
も大きくなるように設計されている。これは、負極のカ
ドミウム活物質の放電時の利用率が正極のニッケル活物
質におけるものよりも低いことおよび放電の制限極が負
極であるいわゆる負極制限の電池では充電と放電とを繰
り返すサイクル使用でカドミウム負極の特性劣化が生じ
やすいことに起因して、電池の放電容量が大きく低下す
る現象が生じることによる。このため、通常、カドミウ
ム負極の理論容量を正極の約2倍以上とすることで放電
の制限極が正極になるよう設計されている。
池、例えばニッケルーカドミウム電池は、通常、カドミ
ウム負極の容量が水酸化ニッケル正極におけるものより
も大きくなるように設計されている。これは、負極のカ
ドミウム活物質の放電時の利用率が正極のニッケル活物
質におけるものよりも低いことおよび放電の制限極が負
極であるいわゆる負極制限の電池では充電と放電とを繰
り返すサイクル使用でカドミウム負極の特性劣化が生じ
やすいことに起因して、電池の放電容量が大きく低下す
る現象が生じることによる。このため、通常、カドミウ
ム負極の理論容量を正極の約2倍以上とすることで放電
の制限極が正極になるよう設計されている。
【0005】つまり、電池の容量密度を高めるには、負
極活物質の活性度を高めることによって、正極理論容量
と負極理論容量との比を1:1に近つけることが必要で
ある。
極活物質の活性度を高めることによって、正極理論容量
と負極理論容量との比を1:1に近つけることが必要で
ある。
【0006】カドミウム活物質の改質については従来か
ら多くの方法が試みられている。例えば、特開昭56-302
59号、特開昭58-73963号、特開昭58-103778 号、特開昭
60-198066号、特開昭60-257074 号、特開昭61-193363
号、特開昭63-76262号などで提案されているように、M
g,Pb,Ca,Mo,Sb,Tl,Co,In,Si,Ni やFeなどの無機化合物
やポリビニルアルコール, カルボキシメチルセルロース
などの有機化合物を添加することである。
ら多くの方法が試みられている。例えば、特開昭56-302
59号、特開昭58-73963号、特開昭58-103778 号、特開昭
60-198066号、特開昭60-257074 号、特開昭61-193363
号、特開昭63-76262号などで提案されているように、M
g,Pb,Ca,Mo,Sb,Tl,Co,In,Si,Ni やFeなどの無機化合物
やポリビニルアルコール, カルボキシメチルセルロース
などの有機化合物を添加することである。
【0007】しかし、これらの添加物による効果は多く
の場合それほど大きなものではなく、また、活物質の粗
大化の抑制に効果が認められるNi化合物,Co化合物ある
いはFe化合物を添加した場合には、カドミウム負極の水
素過電圧が大きく低下するという別の問題を生じてい
た。
の場合それほど大きなものではなく、また、活物質の粗
大化の抑制に効果が認められるNi化合物,Co化合物ある
いはFe化合物を添加した場合には、カドミウム負極の水
素過電圧が大きく低下するという別の問題を生じてい
た。
【0008】カドミウム活物質の活性度を高めるもう一
つの方法は、放電状態の活物質をγ型の水酸化カドミウ
ムにすることである。通常、放電状態のカドミウム活物
質は、β型の水酸化カドミウムであるが、−20℃のよう
な低温雰囲気でカドミウム負極板を充放電すると一時的
にγ−Cd(OH)2 が生成することが知られている。さら
に、γ−Cd(OH)2 を安定して生成させるための手段とし
ては、特開平2-220366号で提案されているようにヒドロ
キシエチルセルロースを用いる方法がある。
つの方法は、放電状態の活物質をγ型の水酸化カドミウ
ムにすることである。通常、放電状態のカドミウム活物
質は、β型の水酸化カドミウムであるが、−20℃のよう
な低温雰囲気でカドミウム負極板を充放電すると一時的
にγ−Cd(OH)2 が生成することが知られている。さら
に、γ−Cd(OH)2 を安定して生成させるための手段とし
ては、特開平2-220366号で提案されているようにヒドロ
キシエチルセルロースを用いる方法がある。
【0009】針状結晶のγ−Cd(OH)2 は六方晶形のβ−
Cd(OH)2 に比較して表面積が大きく高活性であることに
よって、これを含有するカドミウム負極板の充放電の効
率は高いことが知られている。
Cd(OH)2 に比較して表面積が大きく高活性であることに
よって、これを含有するカドミウム負極板の充放電の効
率は高いことが知られている。
【0010】しかしながら、γ−Cd(OH)2 を含有する負
極板の特性を詳細に調べた結果、使用条件によっては活
物質粒子の微細化を伴う緻密化を生じ、これに起因して
多孔度の減少と著しい容量低下とを生じることがわかっ
た。また、この容量低下は、放電できない金属カドミウ
ムが負極板中に増加することが原因で生じることがわか
った。
極板の特性を詳細に調べた結果、使用条件によっては活
物質粒子の微細化を伴う緻密化を生じ、これに起因して
多孔度の減少と著しい容量低下とを生じることがわかっ
た。また、この容量低下は、放電できない金属カドミウ
ムが負極板中に増加することが原因で生じることがわか
った。
【0011】なお、この現象は、充電時のカドミウム負
極板の分極が大きい場合ほど顕著に現れ、特に、特開昭
63-250068 号などで提案されているいわゆるリザーブ用
の水酸化カドミウムをほとんど有しない電池系、すなわ
ち充電時の負極の水素発生にいたる電位変化が正極の充
電完了時と同時かあるいはそれ以前に生じるように設計
された電池において明確に観察される。
極板の分極が大きい場合ほど顕著に現れ、特に、特開昭
63-250068 号などで提案されているいわゆるリザーブ用
の水酸化カドミウムをほとんど有しない電池系、すなわ
ち充電時の負極の水素発生にいたる電位変化が正極の充
電完了時と同時かあるいはそれ以前に生じるように設計
された電池において明確に観察される。
【0012】この理由は、第一に、この電池系が通常定
電流ー定電圧方式で充電されることが多く、この場合の
定電圧値が短時間充電の観点から、リザーブ用の水酸化
カドミウムを有するいわゆるノイマン型の電池の充電時
の最大電圧(通常1.5V以下)よりも高く設定されるこ
と、第二に、この電池系では、リザーブ用の水酸化カド
ミウムをほとんど有していないため先のノイマン型の電
池系に比較して負極理論容量基準の充電率が大きくなる
こと、第三に、リザーブ用の水酸化カドミウムを有しな
い電池系は3Cを超えるような超急速での充電が可能であ
るがために高い充電率で充電されることによると考えら
れる。
電流ー定電圧方式で充電されることが多く、この場合の
定電圧値が短時間充電の観点から、リザーブ用の水酸化
カドミウムを有するいわゆるノイマン型の電池の充電時
の最大電圧(通常1.5V以下)よりも高く設定されるこ
と、第二に、この電池系では、リザーブ用の水酸化カド
ミウムをほとんど有していないため先のノイマン型の電
池系に比較して負極理論容量基準の充電率が大きくなる
こと、第三に、リザーブ用の水酸化カドミウムを有しな
い電池系は3Cを超えるような超急速での充電が可能であ
るがために高い充電率で充電されることによると考えら
れる。
【0013】以下、この現象について詳細に説明する。
【0014】図1に、放電状態の活物質の主体がγーCd
(OH)2 であるカドミウム負極板と水酸化ニッケル正極板
とからなる公称容量800mAhのニッケル−カドミウム電池
の、充放電サイクルでの容量維持率におよぼす放電深度
(以下DOD という)の影響を示す。なお、この電池の負
極板中の水酸化カドミウムの重量は、正極板中の水酸化
ニッケルの重量の約0.95倍である。また、γーCd(OH)2
は負極板にヒドロキシエチルセルロースを添加すること
で生成させた。
(OH)2 であるカドミウム負極板と水酸化ニッケル正極板
とからなる公称容量800mAhのニッケル−カドミウム電池
の、充放電サイクルでの容量維持率におよぼす放電深度
(以下DOD という)の影響を示す。なお、この電池の負
極板中の水酸化カドミウムの重量は、正極板中の水酸化
ニッケルの重量の約0.95倍である。また、γーCd(OH)2
は負極板にヒドロキシエチルセルロースを添加すること
で生成させた。
【0015】充放電条件は次のとおりである。
【0016】充放電サイクル試験の条件 充電:最大電流2.4A(3CA )−1.65V の定電流−定電圧
充電 放電:0.4A(0.5CA ) CA は公称容量を基準とした電流の大きさを表す(例 3
CA :公称容量の3 倍の電流)。
充電 放電:0.4A(0.5CA ) CA は公称容量を基準とした電流の大きさを表す(例 3
CA :公称容量の3 倍の電流)。
【0017】図から、DOD が0%に近い領域および60% 以
上の領域ではサイクルを経過しても比較的に維持率が高
いのに対して、DOD が10〜30% の領域では維持率が大き
く低下していることがわかる。放電容量が低下した原因
を電池を解体して調べた結果、容量低下が大きい負極板
は初期のスポンジ状からサイクルを経過した時点では多
孔度が減少してどちらかと言えば金属板状に近い状態に
変化していた。また、サイクルを経過した負極板を電子
顕微鏡で観察した結果、容量低下が大きい負極板の活物
質粒子は、初期に比較して微細化と緻密化とを生じてい
た。
上の領域ではサイクルを経過しても比較的に維持率が高
いのに対して、DOD が10〜30% の領域では維持率が大き
く低下していることがわかる。放電容量が低下した原因
を電池を解体して調べた結果、容量低下が大きい負極板
は初期のスポンジ状からサイクルを経過した時点では多
孔度が減少してどちらかと言えば金属板状に近い状態に
変化していた。また、サイクルを経過した負極板を電子
顕微鏡で観察した結果、容量低下が大きい負極板の活物
質粒子は、初期に比較して微細化と緻密化とを生じてい
た。
【0018】活物質粒子の微細化は活物質表面積の増加
を意味することから、一見、活物質の活性度は向上する
ように思われるが、一方では、活物質粒子の緻密化が著
しく進んでおり、これに伴う多孔度の減少の影響を受け
て、負極板の放電容量は大きく低下していた。なお、放
電容量が低下した主たる理由は、化学分析の結果、放電
できない金属カドミウムが極板中に増加したことによ
る。この現象は、従来から言われている活物質粒子が成
長(粗大化)して表面積が減少することによる不活性化
とは異なるものである。
を意味することから、一見、活物質の活性度は向上する
ように思われるが、一方では、活物質粒子の緻密化が著
しく進んでおり、これに伴う多孔度の減少の影響を受け
て、負極板の放電容量は大きく低下していた。なお、放
電容量が低下した主たる理由は、化学分析の結果、放電
できない金属カドミウムが極板中に増加したことによ
る。この現象は、従来から言われている活物質粒子が成
長(粗大化)して表面積が減少することによる不活性化
とは異なるものである。
【0019】次に、図2に、同じ構成の電池を用いて充
電率のみを変えた場合のDOD30%での放電容量の推移を示
す。図から、放電容量は、充電率が大きくなるほどサイ
クルの経過にともなって低下していることがわかる。
電率のみを変えた場合のDOD30%での放電容量の推移を示
す。図から、放電容量は、充電率が大きくなるほどサイ
クルの経過にともなって低下していることがわかる。
【0020】さらに、図3に、同じ構成の電池を用いて
3C充電時の定電圧設定値のみを変えた場合のDOD30%での
放電容量の推移を示す。図から、放電容量は、定電圧設
定値が高いほどサイクルの経過に伴って低下しているこ
とがわかる。なお、容量推移を高く保つには充電時の定
電圧設定値を低く設定すればよいが、定電圧設定値が1.
5V未満の場合には充電時間を長くする必要があり超急速
充電をおこなう意味が薄れてしまうことになる。
3C充電時の定電圧設定値のみを変えた場合のDOD30%での
放電容量の推移を示す。図から、放電容量は、定電圧設
定値が高いほどサイクルの経過に伴って低下しているこ
とがわかる。なお、容量推移を高く保つには充電時の定
電圧設定値を低く設定すればよいが、定電圧設定値が1.
5V未満の場合には充電時間を長くする必要があり超急速
充電をおこなう意味が薄れてしまうことになる。
【0021】これらの図において、サイクルの経過にと
もなう放電容量の低下傾向は単調なものではなく、200
サイクル目以後に容量が大きく低下する屈曲点が認めら
れる。これは、屈曲点を境に放電の容量制限極が変化し
ているためであり、測定の結果、容量制限極は、サイク
ル初期の容量推移が平坦な部分では水酸化ニッケル正極
であり、屈曲点以後の容量低下領域ではカドミウム負極
であった。つまり、電池の放電容量が大きく低下した原
因は、カドミウム負極の容量が低下したことに起因し
て、電池の放電が負極制限に変化したためである。な
お、電池の正極理論容量と負極理論容量との比は1:2
であり、負極容量を過剰にすることで放電が正極制限に
なるように設定した。
もなう放電容量の低下傾向は単調なものではなく、200
サイクル目以後に容量が大きく低下する屈曲点が認めら
れる。これは、屈曲点を境に放電の容量制限極が変化し
ているためであり、測定の結果、容量制限極は、サイク
ル初期の容量推移が平坦な部分では水酸化ニッケル正極
であり、屈曲点以後の容量低下領域ではカドミウム負極
であった。つまり、電池の放電容量が大きく低下した原
因は、カドミウム負極の容量が低下したことに起因し
て、電池の放電が負極制限に変化したためである。な
お、電池の正極理論容量と負極理論容量との比は1:2
であり、負極容量を過剰にすることで放電が正極制限に
なるように設定した。
【0022】以上の結果をまとめると、γ−Cd(OH)2 を
含有するカドミウム負極板の容量低下は、充電時の定電
圧設定値が高いほど、また充電率が大きいほど、特に、
DODが10〜30% の範囲で顕著であるといえる。さらに、
これらの実験で容量低下が大きく生じた電池の負極板ほ
ど、電子顕微鏡での観察の結果、活物質粒子の微細化と
緻密化とが進んでいるのが認められた。
含有するカドミウム負極板の容量低下は、充電時の定電
圧設定値が高いほど、また充電率が大きいほど、特に、
DODが10〜30% の範囲で顕著であるといえる。さらに、
これらの実験で容量低下が大きく生じた電池の負極板ほ
ど、電子顕微鏡での観察の結果、活物質粒子の微細化と
緻密化とが進んでいるのが認められた。
【0023】なお、負極活物質の緻密化が進んだ電池の
放電容量は、微小な電流で負極板を過放電状態に至るま
で放電することで次第に回復するが、この目的のために
は、このような放電条件での充放電サイクルを10回以上
必要とする。また、このような処置をおこなったとして
もサイクル試験初期の放電容量にまで回復させることは
困難であった。
放電容量は、微小な電流で負極板を過放電状態に至るま
で放電することで次第に回復するが、この目的のために
は、このような放電条件での充放電サイクルを10回以上
必要とする。また、このような処置をおこなったとして
もサイクル試験初期の放電容量にまで回復させることは
困難であった。
【0024】以上のように、γ−Cd(OH)2 を含有する電
池の特性を超急速充電でのサイクル使用で安定化させる
ためには、負極活物質の緻密化に起因する多孔度の減少
を抑制することが必要である。
池の特性を超急速充電でのサイクル使用で安定化させる
ためには、負極活物質の緻密化に起因する多孔度の減少
を抑制することが必要である。
【0025】
【課題を解決するための手段】本発明は、カドミウム負
極板がγ−Cd(OH)2 とチタン化合物とを含有することを
特徴とする。
極板がγ−Cd(OH)2 とチタン化合物とを含有することを
特徴とする。
【0026】
【作用】γ−Cd(OH)2 を含有するカドミウム負極板の放
電容量は、先に述べたように充電と比較的浅い放電とを
繰り返すと放電できない金属カドミウムが増加すること
によって次第に低下する。特に、この現象は充電率が大
きい超急速充電での使用で顕著である。
電容量は、先に述べたように充電と比較的浅い放電とを
繰り返すと放電できない金属カドミウムが増加すること
によって次第に低下する。特に、この現象は充電率が大
きい超急速充電での使用で顕著である。
【0027】この原因は、第一に、充電電流が大きいほ
ど、充電生成物である金属カドミウムの析出過程での結
晶成長よりも結晶種の生成が優先して起こることによっ
て活物質粒子の微細化が生じること、第二に、充電時の
分極(静電的な力)が大きいほど結晶種が過密な状態で
生成することによって活物質粒子の緻密化が生じやすく
なると考えられる。その結果、極板厚みの減少と空孔率
すなわち多孔度の著しい減少が生じると考えられる。
ど、充電生成物である金属カドミウムの析出過程での結
晶成長よりも結晶種の生成が優先して起こることによっ
て活物質粒子の微細化が生じること、第二に、充電時の
分極(静電的な力)が大きいほど結晶種が過密な状態で
生成することによって活物質粒子の緻密化が生じやすく
なると考えられる。その結果、極板厚みの減少と空孔率
すなわち多孔度の著しい減少が生じると考えられる。
【0028】カドミウム負極板の容量密度を長期間高い
状態に維持するには、これらの不活性な活物質の増加を
防ぐこと、すなわち活物質の緻密化を抑制することが必
要である。
状態に維持するには、これらの不活性な活物質の増加を
防ぐこと、すなわち活物質の緻密化を抑制することが必
要である。
【0029】本発明は、γ−Cd(OH)2 を含有するカドミ
ウム負極板へのチタン化合物の添加が、特に、活物質粒
子の緻密化に起因する放電できない金属カドミウムの極
板内での増加を抑制し、その結果、充放電サイクルでの
カドミウム負極板の容量低下が抑制されることを見いだ
したことによる。
ウム負極板へのチタン化合物の添加が、特に、活物質粒
子の緻密化に起因する放電できない金属カドミウムの極
板内での増加を抑制し、その結果、充放電サイクルでの
カドミウム負極板の容量低下が抑制されることを見いだ
したことによる。
【0030】チタン化合物を負極板に添加する方法とし
ては、焼結式の場合には硝酸カドミウムや硫酸カドミウ
ムなどを主とするいわゆる含浸液にチタン化合物を添加
して負極板を製造すればよく、また、いわゆるペースト
式の場合にはチタン化合物の粉末を添加した活物質ペー
ストを用いて負極板を製造すればよい。さらに、ポケッ
ト式では活物質粉末に二酸化チタン粉末を混合させるこ
とで製造可能である。
ては、焼結式の場合には硝酸カドミウムや硫酸カドミウ
ムなどを主とするいわゆる含浸液にチタン化合物を添加
して負極板を製造すればよく、また、いわゆるペースト
式の場合にはチタン化合物の粉末を添加した活物質ペー
ストを用いて負極板を製造すればよい。さらに、ポケッ
ト式では活物質粉末に二酸化チタン粉末を混合させるこ
とで製造可能である。
【0031】そして、γ−Cd(OH)2 を生成させること
は、ヒドロキシエチルセルロースなどを上記極板の製造
工程中で併用することで可能である。
は、ヒドロキシエチルセルロースなどを上記極板の製造
工程中で併用することで可能である。
【0032】なお、チタン化合物を金属カドミウムと混
在させることは、亜鉛極に関する特開昭58-32361号で提
案されている。しかし、本発明は次の点でこの提案とは
異なり、別のものである。
在させることは、亜鉛極に関する特開昭58-32361号で提
案されている。しかし、本発明は次の点でこの提案とは
異なり、別のものである。
【0033】すなわち、この提案の内容は、第一に、亜
鉛極の特性改良に関するものであること、第二に、酸化
チタンは亜鉛極中で充放電反応には関与せず常に還元状
態にある金属カドミウム層で効果を生じるものであるこ
と、第三に、酸化チタンの作用は金属カドミウムの結晶
が亜鉛極の充放電サイクルの経過に伴って成長(粗大
化)するのを抑制するものである。
鉛極の特性改良に関するものであること、第二に、酸化
チタンは亜鉛極中で充放電反応には関与せず常に還元状
態にある金属カドミウム層で効果を生じるものであるこ
と、第三に、酸化チタンの作用は金属カドミウムの結晶
が亜鉛極の充放電サイクルの経過に伴って成長(粗大
化)するのを抑制するものである。
【0034】これに対し、本発明は、第一に、γ−Cd(O
H)2 を含有するカドミウム負極に関するものであるこ
と、第二に、チタン化合物は、充放電反応に関与するカ
ドミウム活物質を改質するものであって、放電状態の水
酸化カドミウムが充電状態の金属カドミウムに変化する
際にその効果が生じると考えられるものであること、第
三に、チタン化合物の効果は、金属カドミウムが微細化
を伴う緻密化によって不活性化するのを抑制するもので
ある。このように、本発明は先の提案とは全く別のもの
である。
H)2 を含有するカドミウム負極に関するものであるこ
と、第二に、チタン化合物は、充放電反応に関与するカ
ドミウム活物質を改質するものであって、放電状態の水
酸化カドミウムが充電状態の金属カドミウムに変化する
際にその効果が生じると考えられるものであること、第
三に、チタン化合物の効果は、金属カドミウムが微細化
を伴う緻密化によって不活性化するのを抑制するもので
ある。このように、本発明は先の提案とは全く別のもの
である。
【0035】また、別の内容としては、電気化学,第30
巻,P417(昭和37年)での報告がある。これは、ポケッ
ト式カドミウム負極板の特性におよぼす不純物の影響を
調べたものであるが、ここでは活物質の結晶形態につい
ては考慮されていない。つまり、放電状態のカドミウム
活物質の水酸化カリウム水溶液中での結晶形態は、通
常、β−Cd(OH)2 であることから、この報告はβ−Cd(O
H)2 に関するものであると理解される。このことは、以
下に示したカドミウム負極板の特性におよぼす添加物の
効果の優位性が逆転していると理解されることからも推
察される。
巻,P417(昭和37年)での報告がある。これは、ポケッ
ト式カドミウム負極板の特性におよぼす不純物の影響を
調べたものであるが、ここでは活物質の結晶形態につい
ては考慮されていない。つまり、放電状態のカドミウム
活物質の水酸化カリウム水溶液中での結晶形態は、通
常、β−Cd(OH)2 であることから、この報告はβ−Cd(O
H)2 に関するものであると理解される。このことは、以
下に示したカドミウム負極板の特性におよぼす添加物の
効果の優位性が逆転していると理解されることからも推
察される。
【0036】1)電気化学、第30巻、P417(昭和
37年)での添加物の効果の優位性 Ni,Co,Fe系添加物≫Ti系添加物 2)本発明に関わるγ−Cd(OH)2を含有するカド
ミウム負極に対する優位性 Ti系添加物≫Ni,Co,Fe系添加物 注)2)項は活物質粉末と添加物粉末とを機械的に混合
した極板で測定した結果に基づく。
37年)での添加物の効果の優位性 Ni,Co,Fe系添加物≫Ti系添加物 2)本発明に関わるγ−Cd(OH)2を含有するカド
ミウム負極に対する優位性 Ti系添加物≫Ni,Co,Fe系添加物 注)2)項は活物質粉末と添加物粉末とを機械的に混合
した極板で測定した結果に基づく。
【0037】なお、カドミウム負極板の特性がチタン化
合物の添加によって向上する理由はまだ不明であるが、
カドミウム負極板の特に充電時の分極が大きく減少する
ことに関係があると考えられる。チタン化合物のこの分
極を減少する作用は、一般にβ−Cd(OH)2 からなるカド
ミウム負極板において特性向上に効果があるといわれて
いるニッケル化合物や鉄化合物よりも大である。
合物の添加によって向上する理由はまだ不明であるが、
カドミウム負極板の特に充電時の分極が大きく減少する
ことに関係があると考えられる。チタン化合物のこの分
極を減少する作用は、一般にβ−Cd(OH)2 からなるカド
ミウム負極板において特性向上に効果があるといわれて
いるニッケル化合物や鉄化合物よりも大である。
【0038】また、充電時の分極の減少は、特開昭63-2
50068 号で提案されている電池系、すなわち負極板中の
水酸化カドミウムの容量を放電状態にある正極活物質の
容量以下にした電池系において、定電流−定電圧充電で
の定電圧設定を低くできることを意味する。これは充電
での水素発生の機会が減少する(電解液の減少が抑制さ
れる)ことによってサイクル寿命が向上することを意味
する。
50068 号で提案されている電池系、すなわち負極板中の
水酸化カドミウムの容量を放電状態にある正極活物質の
容量以下にした電池系において、定電流−定電圧充電で
の定電圧設定を低くできることを意味する。これは充電
での水素発生の機会が減少する(電解液の減少が抑制さ
れる)ことによってサイクル寿命が向上することを意味
する。
【0039】次に、以上で説明したチタン化合物の作用
について、実施例を用いて説明する。
について、実施例を用いて説明する。
【0040】
【実施例】以下、本発明を好適な実施例を用いて詳細に
説明する。
説明する。
【0041】本発明の目的は、γ−Cd(OH)2 を含有する
カドミウム負極板の特性を長期間、特に、浅いDOD での
サイクル使用において安定させることであり、それを電
池に適用することである。したがって、まず本発明のカ
ドミウム負極板の特性について説明する。なお、ここで
はチタン化合物として一般的な二酸化チタンを用いた。
カドミウム負極板の特性を長期間、特に、浅いDOD での
サイクル使用において安定させることであり、それを電
池に適用することである。したがって、まず本発明のカ
ドミウム負極板の特性について説明する。なお、ここで
はチタン化合物として一般的な二酸化チタンを用いた。
【0042】(実施例1)酸化カドミウム粉末100 部と
金属カドミウム粉末50部とヒドロキシエチルセルロース
0.4 部と二酸化チタン粉末2 部とを混合してから、230k
g /cm2 の圧力で加圧成形して、厚みが約2mm の錠剤と
した。さらに、この錠剤を20メッシュのニッケル網で包
んで負極板を製作した。これを負極板Aとする。
金属カドミウム粉末50部とヒドロキシエチルセルロース
0.4 部と二酸化チタン粉末2 部とを混合してから、230k
g /cm2 の圧力で加圧成形して、厚みが約2mm の錠剤と
した。さらに、この錠剤を20メッシュのニッケル網で包
んで負極板を製作した。これを負極板Aとする。
【0043】(実施例2)水酸化カドミウム粉末114 部
と金属カドミウム粉末50部とヒドロキシエチルセルロー
ス0.4 部と二酸化チタン粉末2 部とを混合してから、23
0kg /cm2 の圧力で加圧成形して、厚みが約2mm の錠剤
とした。さらに、この錠剤を20メッシュのニッケル網で
包んで負極板を製作した。これを負極板Bとする。
と金属カドミウム粉末50部とヒドロキシエチルセルロー
ス0.4 部と二酸化チタン粉末2 部とを混合してから、23
0kg /cm2 の圧力で加圧成形して、厚みが約2mm の錠剤
とした。さらに、この錠剤を20メッシュのニッケル網で
包んで負極板を製作した。これを負極板Bとする。
【0044】(従来例1)酸化カドミウム粉末100 部と
金属カドミウム粉末50部とヒドロキシエチルセルロース
0.4 部とを混合してから、230kg /cm2 の圧力で加圧成
形して、厚みが約2mm の錠剤とした。さらに、この錠剤
を20メッシュのニッケル網で包んで負極板を製作した。
これを負極板Cとする。
金属カドミウム粉末50部とヒドロキシエチルセルロース
0.4 部とを混合してから、230kg /cm2 の圧力で加圧成
形して、厚みが約2mm の錠剤とした。さらに、この錠剤
を20メッシュのニッケル網で包んで負極板を製作した。
これを負極板Cとする。
【0045】(比較例1)酸化カドミウム粉末100 部と
金属カドミウム粉末50部とヒドロキシエチルセルロース
0.4 部と水酸化ニッケル粉末2 部とを混合してから、23
0kg /cm2 の圧力で加圧成形して、厚みが約2mm の錠剤
とした。さらに、この錠剤を20メッシュのニッケル網で
包んで負極板を製作した。これを負極板Dとする。
金属カドミウム粉末50部とヒドロキシエチルセルロース
0.4 部と水酸化ニッケル粉末2 部とを混合してから、23
0kg /cm2 の圧力で加圧成形して、厚みが約2mm の錠剤
とした。さらに、この錠剤を20メッシュのニッケル網で
包んで負極板を製作した。これを負極板Dとする。
【0046】これらの負極板を比重1.250(20℃) の水酸
化カリウム水溶液中で、対極としてニッケル平板2 枚を
用いて、配合における全カドミウムの理論容量を基準と
して2Cの電流で120%の充電をおこなったのち0.3Cの電流
で12分間放電するという充放電サイクルを200 回繰り返
した。次いで、先と同じ条件で充電したのち0.3Cの電流
で酸化水銀電極基準で0Vまで放電して放電容量を測定し
た。
化カリウム水溶液中で、対極としてニッケル平板2 枚を
用いて、配合における全カドミウムの理論容量を基準と
して2Cの電流で120%の充電をおこなったのち0.3Cの電流
で12分間放電するという充放電サイクルを200 回繰り返
した。次いで、先と同じ条件で充電したのち0.3Cの電流
で酸化水銀電極基準で0Vまで放電して放電容量を測定し
た。
【0047】表1に、全カドミウム量を基準として、放
電容量から求めた活物質利用率,放電後の極板を化学分
析して求めた放電できない金属カドミウムの比率および
これらの結果から求めた充電できない水酸化カドミウム
の比率を示す。
電容量から求めた活物質利用率,放電後の極板を化学分
析して求めた放電できない金属カドミウムの比率および
これらの結果から求めた充電できない水酸化カドミウム
の比率を示す。
【0048】
【表1】
【0049】表1から、本発明の負極板AおよびBの活
物質利用率は、主として放電できない金属カドミウム量
が少ないことによって、比較例の水酸化ニッケルを含む
負極板Dや従来例の負極板Cよりも高くなっていること
がわかる。また、本発明の効果は、活物質が酸化カドミ
ウム,水酸化カドミウムのいずれにおいても認められ、
カドミウム活物質の配合時の原料の形態に関係無く得ら
れることがわかる。
物質利用率は、主として放電できない金属カドミウム量
が少ないことによって、比較例の水酸化ニッケルを含む
負極板Dや従来例の負極板Cよりも高くなっていること
がわかる。また、本発明の効果は、活物質が酸化カドミ
ウム,水酸化カドミウムのいずれにおいても認められ、
カドミウム活物質の配合時の原料の形態に関係無く得ら
れることがわかる。
【0050】以上のように、チタン化合物を添加するこ
とでγ−Cd(OH)2 を含有するカドミウム負極板の特性を
安定化することができる。しかしながら、その添加量に
は適切な範囲があることがわかった。
とでγ−Cd(OH)2 を含有するカドミウム負極板の特性を
安定化することができる。しかしながら、その添加量に
は適切な範囲があることがわかった。
【0051】そこで、次に添加量の影響について説明す
る。実験は、先の実施例1での配合と評価方法を基に二
酸化チタン粉末の量のみを0 部から40部の範囲で変えた
負極板の性能を評価した。表2に、200 サイクル目の活
物質利用率におよぼす添加量の影響を示す。
る。実験は、先の実施例1での配合と評価方法を基に二
酸化チタン粉末の量のみを0 部から40部の範囲で変えた
負極板の性能を評価した。表2に、200 サイクル目の活
物質利用率におよぼす添加量の影響を示す。
【0052】
【表2】
【0053】注)TiO2添加量(%)は全カドミウム
量に対する比率 この結果から,チタン化合物の添加量がチタン含有量を
TiO2に換算して0.1重量部以上30重量部以下の
範囲で活物質利用率を向上する効果が認められるが、特
に、0.3重量部以上20重量部以下の範囲での特性が
良好である。
量に対する比率 この結果から,チタン化合物の添加量がチタン含有量を
TiO2に換算して0.1重量部以上30重量部以下の
範囲で活物質利用率を向上する効果が認められるが、特
に、0.3重量部以上20重量部以下の範囲での特性が
良好である。
【0054】本発明の最終的な目的は、容量密度が高い
電池の特性を長期間保持することである。そこで、次に
本発明に基づく電池の特性について説明する。
電池の特性を長期間保持することである。そこで、次に
本発明に基づく電池の特性について説明する。
【0055】本発明のアルカリ二次電池に使用できる正
極活物質は、水酸化ニッケル,二酸化マンガンおよび酸
化銀などである。これらのうち二次電池の活物質として
は水酸化ニッケルが最も一般的であるのでニッケル−カ
ドミウム電池を例に説明する。
極活物質は、水酸化ニッケル,二酸化マンガンおよび酸
化銀などである。これらのうち二次電池の活物質として
は水酸化ニッケルが最も一般的であるのでニッケル−カ
ドミウム電池を例に説明する。
【0056】また、本発明の効果は、従来型のいわゆる
リザーブ用の水酸化カドミウムを有するタイプのニッケ
ル−カドミウム電池を用いて説明することができるが、
効果をより明確にするために以下の実施例では特開昭63
-250068 号などで提案されている電池系すなわち、負極
活物質中の水酸化カドミウムの容量を放電状態にある正
極活物質である水酸化ニッケルの容量以下にした電池系
を用いて説明する。
リザーブ用の水酸化カドミウムを有するタイプのニッケ
ル−カドミウム電池を用いて説明することができるが、
効果をより明確にするために以下の実施例では特開昭63
-250068 号などで提案されている電池系すなわち、負極
活物質中の水酸化カドミウムの容量を放電状態にある正
極活物質である水酸化ニッケルの容量以下にした電池系
を用いて説明する。
【0057】この理由は、すでに述べたようにこの電池
系が従来型のリザーブ用の水酸化カドミウムを有するも
のに比較して、リザーブ用の水酸化カドミウムを有して
いないことによって負極理論容量基準の充電率が大きい
こと、超急速充電が可能なこと、また、充電終期の負極
の分極が大きいことによる。
系が従来型のリザーブ用の水酸化カドミウムを有するも
のに比較して、リザーブ用の水酸化カドミウムを有して
いないことによって負極理論容量基準の充電率が大きい
こと、超急速充電が可能なこと、また、充電終期の負極
の分極が大きいことによる。
【0058】なお、リザーブ用の水酸化カドミウムをほ
とんど有しないこの電池系では、充電終期での負極の水
素発生に至る電位変化が正極活物質の充電が完了するの
と同時に生じるか、あるいはそれ以前に生じるように設
計されている。したがって、充電の制御は、負極の水素
発生に至る電位変化を電池の充電電圧の変化として検出
することでおこなうことができる。具体的には、充電を
定電流−定電圧方式でおこなう方法や定電流で充電した
際の充電電圧が設定値を超えたことを検出して充電を制
御する方法などが適用できる。
とんど有しないこの電池系では、充電終期での負極の水
素発生に至る電位変化が正極活物質の充電が完了するの
と同時に生じるか、あるいはそれ以前に生じるように設
計されている。したがって、充電の制御は、負極の水素
発生に至る電位変化を電池の充電電圧の変化として検出
することでおこなうことができる。具体的には、充電を
定電流−定電圧方式でおこなう方法や定電流で充電した
際の充電電圧が設定値を超えたことを検出して充電を制
御する方法などが適用できる。
【0059】(実施例3)まず、負極板の制作方法につ
いて説明する。酸化カドミウム粉末100 部,金属カドミ
ウム粉末50部,ヒドロキシエチルセルロース0.4 部,二
酸化チタン粉末2部および長さ1mm のポリプロピレン製
の短繊維0.1 部をエチレングリコール40mlで混合してペ
ースト状態にする。このペーストをニッケルめっきした
穿孔鋼板に塗着し、次いで乾燥と加圧とをおこない極板
1 枚あたりの酸化カドミウムの理論容量が224mAhで金属
カドミウムの理論容量が128mAhである負極板を製作し
た。負極板の寸法は厚み0.33mm,幅15mm,長さ57mmであ
る。
いて説明する。酸化カドミウム粉末100 部,金属カドミ
ウム粉末50部,ヒドロキシエチルセルロース0.4 部,二
酸化チタン粉末2部および長さ1mm のポリプロピレン製
の短繊維0.1 部をエチレングリコール40mlで混合してペ
ースト状態にする。このペーストをニッケルめっきした
穿孔鋼板に塗着し、次いで乾燥と加圧とをおこない極板
1 枚あたりの酸化カドミウムの理論容量が224mAhで金属
カドミウムの理論容量が128mAhである負極板を製作し
た。負極板の寸法は厚み0.33mm,幅15mm,長さ57mmであ
る。
【0060】一方、正極板は以下の方法で製作した。多
孔度が約95%のフォーム状ニッケル基板にコバルトおよ
びカドミウムの含有率がそれぞれ8 %および3 %である
水酸化ニッケルを主とする活物質のペーストを充填した
のち乾燥と加圧とをおこない、さらにこれを水酸化カリ
ウム水溶液中で化成し、次いで水洗と乾燥とをおこなう
ことで正極板を製作した。正極板は、寸法が厚み0.68m
m,幅14mm,長さ57mmであり、ニッケル活物質の理論容
量が300mAhである。
孔度が約95%のフォーム状ニッケル基板にコバルトおよ
びカドミウムの含有率がそれぞれ8 %および3 %である
水酸化ニッケルを主とする活物質のペーストを充填した
のち乾燥と加圧とをおこない、さらにこれを水酸化カリ
ウム水溶液中で化成し、次いで水洗と乾燥とをおこなう
ことで正極板を製作した。正極板は、寸法が厚み0.68m
m,幅14mm,長さ57mmであり、ニッケル活物質の理論容
量が300mAhである。
【0061】次に、正極板3 枚をそれぞれ0.18mmのポリ
サルフォン製のセパレーターで包んだのち負極板4 枚と
交互に積層し、電解液として比重1.30(20 ℃) の水酸化
カリウム水溶液1.8ml を用いて、公称容量が800mAhのニ
ッケル−カドミウム電池(E)を製作した。なお、電槽
としては、内面をフッ素樹脂で被覆した金属製の角型容
器を用いた。外形寸法は 8*16.5*67(mm)であり、2Kg/cm
2 の内圧で作動する安全弁を有している。
サルフォン製のセパレーターで包んだのち負極板4 枚と
交互に積層し、電解液として比重1.30(20 ℃) の水酸化
カリウム水溶液1.8ml を用いて、公称容量が800mAhのニ
ッケル−カドミウム電池(E)を製作した。なお、電槽
としては、内面をフッ素樹脂で被覆した金属製の角型容
器を用いた。外形寸法は 8*16.5*67(mm)であり、2Kg/cm
2 の内圧で作動する安全弁を有している。
【0062】(従来例2)実施例3における負極板の配
合から二酸化チタン粉末を削除した以外は、全て実施例
3と同様にして公称容量800mAhの角型ニッケル−カドミ
ウム電池(F)を製作した。
合から二酸化チタン粉末を削除した以外は、全て実施例
3と同様にして公称容量800mAhの角型ニッケル−カドミ
ウム電池(F)を製作した。
【0063】(比較例2)実施例3における負極板の配
合で二酸化チタン粉末の代わりに水酸化ニッケル粉末を
用いた以外は、全て実施例3と同様にして公称容量800m
Ahの角型ニッケル−カドミウム電池(G)を製作した。
合で二酸化チタン粉末の代わりに水酸化ニッケル粉末を
用いた以外は、全て実施例3と同様にして公称容量800m
Ahの角型ニッケル−カドミウム電池(G)を製作した。
【0064】以上のようにして製作した電池(E),
(F),(G)は負極板にいわゆるリザーブ用の水酸化
カドミウムを有しておらず、負極板中の水酸化カドミウ
ムの重量は正極板中の水酸化ニッケルの重量の約0.95倍
になっている。製作した電池のサイクル使用での容量推
移は、以下に示す条件で充放電を繰り返すことで測定し
た。
(F),(G)は負極板にいわゆるリザーブ用の水酸化
カドミウムを有しておらず、負極板中の水酸化カドミウ
ムの重量は正極板中の水酸化ニッケルの重量の約0.95倍
になっている。製作した電池のサイクル使用での容量推
移は、以下に示す条件で充放電を繰り返すことで測定し
た。
【0065】試験条件 充電:最大電流2.4A(3CA )- 1.65V の定電流−定電圧
充電 放電:0.4A(0.5CA )で36分間。
充電 放電:0.4A(0.5CA )で36分間。
【0066】なお、上記条件を設定した理由は、充電電
流が大きい程また、放電深度が 10%〜30% の範囲で、放
電できない金属カドミウムが負極板中に蓄積しやすい傾
向が認められたことによる。
流が大きい程また、放電深度が 10%〜30% の範囲で、放
電できない金属カドミウムが負極板中に蓄積しやすい傾
向が認められたことによる。
【0067】容量推移を測定した結果を図4に示す。図
から、本発明の電池(E)の放電容量の推移は、従来例
および比較例の電池(F),(G)におけるものに比較
して安定しており、サイクルを経過しても初期に近い特
性が維持されていることがわかる。また、600 サイクル
目の放電での制限極を調べた結果、本発明の電池(E)
では正極制限であったのに対して、電池(F),(G)
では負極の容量が低下したことによって負極制限に変化
していた。
から、本発明の電池(E)の放電容量の推移は、従来例
および比較例の電池(F),(G)におけるものに比較
して安定しており、サイクルを経過しても初期に近い特
性が維持されていることがわかる。また、600 サイクル
目の放電での制限極を調べた結果、本発明の電池(E)
では正極制限であったのに対して、電池(F),(G)
では負極の容量が低下したことによって負極制限に変化
していた。
【0068】また、試験終了後に電池を解体して負極板
の平均厚みを測定した結果を表3に示す。この結果か
ら、本発明の電池(E)の負極板は、電池(F),
(G)におけるものに比較して厚み変化が小さく電池組
立時当初の値と同等である。このことは、本発明の電池
(E)の負極板の多孔度が初期に近い状態を保っている
のに対して電池(F),(G)の負極板では多孔度が初
期の状態に比較して著しく低下していることを示してい
る。
の平均厚みを測定した結果を表3に示す。この結果か
ら、本発明の電池(E)の負極板は、電池(F),
(G)におけるものに比較して厚み変化が小さく電池組
立時当初の値と同等である。このことは、本発明の電池
(E)の負極板の多孔度が初期に近い状態を保っている
のに対して電池(F),(G)の負極板では多孔度が初
期の状態に比較して著しく低下していることを示してい
る。
【0069】
【表3】
【0070】さらに、負極活物質の状態を電子顕微鏡で
観察した結果、電池(F),(G)の負極板では活物質
粒子の緻密化が進行していたのに対して、本発明の電池
(E)の負極板ではこの緻密化が抑制されているのが認
められた。
観察した結果、電池(F),(G)の負極板では活物質
粒子の緻密化が進行していたのに対して、本発明の電池
(E)の負極板ではこの緻密化が抑制されているのが認
められた。
【0071】なお、二酸化チタンによるこのような効果
の理由はまだ不明であるが、充電時の負極の分極が減少
することに関係があるものと考えられる。例として、図
5に電池(E),(F),(G)の充電電圧特性を示
す。図から、負極添加物がない電池(F)よりも、負極
にNi(OH)2 を添加した電池(G)の方が分極が小さく、
さらにこれよりも負極に TiO2 を添加した電池(E)の
ほうが分極がより減少していることがわかる。これらの
電池の負極以外の構成は同一であるので、分極の差は負
極の特性に起因するものである。
の理由はまだ不明であるが、充電時の負極の分極が減少
することに関係があるものと考えられる。例として、図
5に電池(E),(F),(G)の充電電圧特性を示
す。図から、負極添加物がない電池(F)よりも、負極
にNi(OH)2 を添加した電池(G)の方が分極が小さく、
さらにこれよりも負極に TiO2 を添加した電池(E)の
ほうが分極がより減少していることがわかる。これらの
電池の負極以外の構成は同一であるので、分極の差は負
極の特性に起因するものである。
【0072】以上で本発明の作用を説明したが、本発明
の効果は、ニッケル−カドミウム電池以外に、カドミウ
ム負極板を有するアルカリ二次電池、例えば負極板中の
水酸化カドミウムの重量が正極板中の二酸化マンガンの
重量の0.84倍以下である二酸化マンガン−カドミウム電
池や負極板中の水酸化カドミウムの重量が正極板中の銀
の重量の1.4 倍以下である酸化銀−カドミウム電池にお
いても同様に得ることができる。
の効果は、ニッケル−カドミウム電池以外に、カドミウ
ム負極板を有するアルカリ二次電池、例えば負極板中の
水酸化カドミウムの重量が正極板中の二酸化マンガンの
重量の0.84倍以下である二酸化マンガン−カドミウム電
池や負極板中の水酸化カドミウムの重量が正極板中の銀
の重量の1.4 倍以下である酸化銀−カドミウム電池にお
いても同様に得ることができる。
【0073】また、本発明実施例ではリザーブ用の水酸
化カドミウムをほとんど有しないニッケル−カドミウム
電池系を用いて説明したが、リザーブ用の水酸化カドミ
ウムを有する電池系においても同様である。
化カドミウムをほとんど有しないニッケル−カドミウム
電池系を用いて説明したが、リザーブ用の水酸化カドミ
ウムを有する電池系においても同様である。
【0074】
【発明の効果】上述のように、本発明によれば、γ−Cd
(OH)2 を含有するカドミウム負極板の活物質粒子の緻密
化を抑制することができる。そして、この結果として高
容量密度のアルカリ二次電池の容量推移を安定化するこ
とができる。
(OH)2 を含有するカドミウム負極板の活物質粒子の緻密
化を抑制することができる。そして、この結果として高
容量密度のアルカリ二次電池の容量推移を安定化するこ
とができる。
【図1】放電状態の負極活物質の主体がγ−Cd(OH)2 で
ある電池の、サイクル使用での容量維持率におよぼすDO
D の影響を示した図
ある電池の、サイクル使用での容量維持率におよぼすDO
D の影響を示した図
【図2】放電状態の負極活物質の主体がγ−Cd(OH)2 で
ある電池の、サイクル使用での放電容量の推移におよぼ
す充電率の影響を示した図
ある電池の、サイクル使用での放電容量の推移におよぼ
す充電率の影響を示した図
【図3】放電状態の負極活物質の主体がγ−Cd(OH)2 で
ある電池の、サイクル使用での放電容量の推移におよぼ
す充電時の定電圧設定値の影響を示した図
ある電池の、サイクル使用での放電容量の推移におよぼ
す充電時の定電圧設定値の影響を示した図
【図4】本発明電池の充放電サイクルでの容量推移を比
較例および従来例と比較して示した図
較例および従来例と比較して示した図
【図5】本発明電池の充電電圧特性を比較例および従来
例と比較して示した図
例と比較して示した図
Claims (1)
- 【請求項1】 γ−Cd(OH)2 およびチタン化合物を含有
することを特徴とするカドミウム負極板。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP16309893A JP3163848B2 (ja) | 1993-06-07 | 1993-06-07 | カドミウム負極板 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP16309893A JP3163848B2 (ja) | 1993-06-07 | 1993-06-07 | カドミウム負極板 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06349488A JPH06349488A (ja) | 1994-12-22 |
JP3163848B2 true JP3163848B2 (ja) | 2001-05-08 |
Family
ID=15767146
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
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Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3163848B2 (ja) |
Family Cites Families (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JPS6252859A (ja) * | 1985-08-30 | 1987-03-07 | Yuasa Battery Co Ltd | カドミウム極板 |
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