JP3163720B2 - 多層複合紡績糸及びその製造方法 - Google Patents

多層複合紡績糸及びその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は多層複合紡績糸及びその
製造方法に関する。さらに詳しくは、精紡機を用いて、
芯部のフィラメント糸条に短繊維束を多層に被覆してな
る多層複合紡績糸及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、リング精紡機を用いて、フィラメ
ント糸と綿などの天然繊維を組合せた複合紡績糸は、糸
強力や表面タッチさらには布帛の伸縮性、張り腰付与な
どの機能性、風合、外観等の良好な繊維を得ることがで
き、これまで数多く製造されている。短繊維束とフィラ
メント糸とが同一供給量で合体する、いわゆる精紡交撚
方式は比較的簡単な供給装置で行なうことができ、設備
は安価で、工程管理、操業性などの製造面では優れてい
るという長所を有するが、その反面、従来の精紡交撚方
式では複合する際のフィラメント糸と短繊維束との張力
差が小さいことから、それぞれが交互に糸表面に出てし
まい、均一に被覆された複合紡績糸は得られないという
欠点を有していた。そのため、短繊維の特徴を複合紡績
糸表面に活かすことが出来なくなったり、短繊維と異な
る色を有するフィラメント糸を被覆しようとすると、外
面にその色が現れ外観が悪くなる等という問題が生じる
のであった。
【0003】また、複合する際の張力差やフィード差を
高くして製造する技術として、例えば特公昭58−10
9648号公報に、ローラニップ方式からなるフィラメ
ント糸のフィード装置を設け、フィラメント糸の供給量
を短繊維束よりも少なくし、フロントトップローラは段
付きにし、フィラメント糸をニップさせず一定の張力差
を維持しながら短繊維束とV字状に合体させる複合紡績
糸およびその製造方法が提案されている。
【0004】しかしながら、この方法においても被覆性
は未だ十分でなく、さらに芯にフィラメント糸、鞘に短
繊維という単純な複合紡績糸構造しか得られず、短繊維
束を多層化することは困難である等という問題があっ
た。
【0005】一方、多層複合紡績糸の製造方法として、
例えば特公平1−15611号公報に、2層構造を有す
る粗糸を用いて、芯にフィラメント糸を導入する方法が
提案されている。しかしながら、これらは精紡機上で粗
糸がドラフトされフリース化される時点で、粗糸の2層
構造が崩れ、短繊維が混じりあってしまうため、均一に
被覆された多層複合紡績糸が得られないのであった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
した問題点を解決し、フィラメント糸が均一に被覆され
た多層複合紡績糸、及び、精紡機を用いて芯部のフィラ
メント糸を短繊維で均一に多層被覆させた多層複合紡績
糸の製造方法を提供することにある。
【0007】上記した本発明の目的は、フィラメント
糸、短繊維束A及び短繊維束Bから構成されてなる3層
構造を有する複合紡績糸であって、芯部はフィラメント
糸、中間層部は短繊維束A、外層部は短繊維束Bからそ
れぞれ構成されてなり、中間層部を構成する短繊維束A
と外層部を構成する短繊維束Bとは撚方向が同一で、か
つ、短繊維束Aの撚角度が短繊維束Bの撚角度より小さ
ことにより、中間層部を形成する短繊維束Aの撚穴を
短繊維束Bによる外層部で被覆したことを特徴とする多
層複合紡績糸、および、精紡機にてドラフトされつつあ
る短繊維束2本のうちの一方の短繊維束Aの幅内にフィ
ラメント糸をフロントローラに入る前において張力が付
与され緊張した状態で合体させ、次いでフロントローラ
出口において短繊維束A側の張力を他方の短繊維束B側
より大きくした状態で両者を合体させ実撚を付与するこ
とを特徴とする多層複合紡績糸の製造方法、によって達
成できる。
【0008】以下、詳細に本発明を説明する。本発明の
多層複合紡績糸においてフィラメント糸は、天然繊維、
合成繊維などからなる長繊維が用いられ、その素材・種
類は、例えば絹、ポリアミド系若しくはポリエステル系
合成繊維、レーヨンなどが挙げられるが特に限定される
ものでない。また、デニールなど特に限定されるもので
なく、加工糸であってもよい。特に、ケブラー、炭素繊
維、導電若しくは制電性能を有する繊維などの着色して
いるフィラメント糸を本発明に用いた場合、着色してい
るフィラメント糸は芯部となり短繊維束で均一に被覆さ
れるため、短繊維素材とフィラメント糸素材のもつ各々
の特長を発揮することができ、染色性、品位、高機能性
を有する複合紡績糸を得ることができる。短繊維束は、
2種類(以下、A、Bと称する)が用いられるが、これ
らの素材は天然繊維、合成繊維およびこれらの混紡など
が用いられ、特にいずれも限定されるものでない。ま
た、混合比率、デニール、繊維長など特に限定されるも
のでなく、所望の品質に合わせて設定すればよい。短繊
維束A、Bは、それぞれ異なる素材でも、同一の素材で
もよいが、同一素材であれば、複合状態、形態保持性、
風合い等がより優れた複合紡績糸が得られるので好まし
い。
【0009】次に、図面を参照して、本発明の多層複合
紡績糸をさらに詳細に説明する。図1は本発明の多層複
合紡績糸の一例を示す概略断面図を、図2は本発明の多
層複合紡績糸の一例を示す概略側面図を示すものであ
る。
【0010】本発明の多層複合紡績糸は、図1に示すよ
うに、フィラメント糸7が複合紡績糸の概ね中心部分に
配置され芯部を形成し、短繊維束A,Bがフィラメント
糸7を2重に囲んだ3層構造である。そして、短繊維束
Aがフィラメント糸7のまわりに実撚で巻付いて中間層
部を形成し、さらに短繊維束Bが実撚で捲回して外層部
を形成しており、短繊維束Aと短繊維束Bとは撚方向が
同一で、かつ、短繊維束Aの撚角度が短繊維束Bの撚角
度より小さい構造からなる複合紡績糸である。
【0011】図3は本発明の多層複合紡績糸の撚角度を
示す説明図である。
【0012】本発明でいう撚角度とは、図3に示すθの
ことをいい、巻き付かれる芯部を円筒と仮定し、その円
筒上に1本の繊維をらせん状に巻いた模型を考え、次式
のように定義されるものである(繊維工学[III]、
p.290参照、日本繊維機械学会発行)。 tanθ=2πat・・・・・(1) ここで、θは撚角度、aは芯部(円筒)の半径、tは撚
数である。撚角度は、異色染めされた短繊維束A、Bに
おける複数部分の撚角度を測定し、その平均値から求め
られる。
【0013】本発明の多層複合紡績糸の特徴は、短繊維
束Aがフィラメント糸7のまわりに実撚で巻付き複合紡
績糸を形成し、さらにその上に短繊維束Bが同一撚方向
で巻付き、かつ、短繊維束Aの撚角度が短繊維束Bの撚
角度より小さい糸構造となっている点である。短繊維束
Aの撚角度が短繊維束Bの撚角度より小さいことから、
中間層部を形成する短繊維束Aでフィラメント糸を被覆
できなかった撚穴を短繊維束Bによる外層部が被覆する
ので、被覆性の優れた複合紡績糸となる。短繊維束Aの
撚角度が短繊維束Bと同じか若しくは大きくなると、短
繊維束Bのピッチ間に存在する撚穴を被覆できず被覆性
が低下するので好ましくない。
【0014】また、本発明の多層複合紡績糸において、
多層とは繊維の配置上のことをいうものであり、複合紡
績糸中では短繊維束A及びBは一体化されていてもよ
く、各層間が明確に区別できる状態でなくてもよい。す
なわち、短繊維束A、Bが異色染めされた場合には、層
の境界及び撚角度を容易に測定できるが、短繊維束A及
びBが同色で同一の素材である場合などは、層の境界及
び撚角度の実測は必ずしも容易でない。
【0015】短繊維比率増加により複合紡績糸の被覆性
を向上させる従来の複合紡績糸では、被覆性向上に限界
があり、しかも短繊維比率増加は必然的に紡出番手を制
約することとなるので細番手化は困難であったが、本発
明の複合紡績糸は、被覆性に優れると共に細番手の複合
紡績糸を得ることができる。
【0016】次に、図面を参照して、本発明の多層複合
紡績糸の製造方法を詳細に説明する。 図4は本発明の
製造方法の一例を示す工程概略図、図5は本発明の製造
方法における主要部の一例を示す概略図、図6は本発明
の製造方法における主要部の他の一例を示す概略図であ
る。図4において、短繊維束のステープル繊維束A,B
は、トランペット1,2から同一錘に別々に供給され、
バックローラ3、エプロンローラ4、フロントローラ5
により所定の太さにドラフトされる。
【0017】短繊維束A,Bは素材、太さ、撚数など異
なるものでも、また同一のものであってもよい。短繊維
束は、A,B2本を同一錘に平行に分離している状態で
供給する。その際、短繊維束A,Bは正常なドラフトが
なされる繊維長で構成されているのが好ましい。両短繊
維束を一定間隔および一定幅に分離した状態に保つた
め、コレクタ15を設けてある。両短繊維束の間隔は、
相対する短繊維束の片端から片端までの距離が3mm以
上が好ましい。3mm未満では両短繊維束を構成する短
繊維同志が交錯してしまい、フロントローラ5の後で両
短繊維束が分離されず充分な張力差を付与できず好まし
くない。
【0018】一方、クリール6のパーンより引き出され
たフィラメント糸7はテンション装置(テンサー)8で
張力が付与され緊張した状態で、図5に示すように、短
繊維束10(短繊維束A)中に導くように設置したガイ
ド12を介してエプロン16とフロントローラ5の間
で、フロントローラ5に入る前で合体される。
【0019】この際に、図6に示すように、フロントロ
ーラニップ圧不足を解消しフィラメント糸7の供給張力
安定性を高めるため、図6に示すように、フィラメント
糸7をトップローラ13の片端(短繊維束が走行しない
部分)でニップさせ、トップローラ13から出たフィラ
メント糸7を、短繊維束10中に導くように設けたガイ
ド18に導いてから、再びフロントローラ5とエプロン
16の間に供給し、短繊維束10と複合してもよい。
【0020】フィラメント糸7は短繊維束10の中に複
合されると、張力によりフィラメント糸7は芯部を構成
し、鞘に短繊維束10が被覆した複合紡績糸が形成さ
れ、フロントローラ5を出た後、他方の短繊維束11
(短繊維束B)がさらに合体し巻き付いて実撚が付与さ
れ、最終的に短繊維束が2重に被覆された3層構造の複
合紡績糸となる。
【0021】短繊維束10と短繊維束11との合体は、
短繊維束10のフロントローラ−トラベラ間張力が短繊
維束11より高くなるように張力差を付与して行なう。
両短繊維束の張力差は、フィラメント糸7がフロントロ
ーラ5に入る前の張力を高くすることで得られる。フィ
ラメント糸7に付与した張力は、フロントローラ−トラ
ベラ間張力として働き、高バルーン張力が形成されて、
短繊維束10側が短繊維束11より高くなる。その状態
では、図5に示すようにL字状に近い状態で両者は合体
される。さらに具体的には、フィラメント糸に付与する
張力は、フィラメント糸を構成する繊維成分のデニール
等によって適宜設定すればよいが、フロントローラに入
る前において0.1g/d以上12g/d以下とするこ
とが好ましい。0.2g/d以上8g/d以下であれば
より好ましい。0.1g/d未満では、合体する状態が
L字状でなくV字状に近い状態で合体するようになり、
フィラメント糸が芯部を形成した良好な複合紡績糸が得
られないので好ましくない。また、12g/dを越える
と、フロントローラニップ圧が不足しフィラメント糸が
安定して供給できず、トラベラとバルーニングのバラン
ス調整が困難になるなどの問題が生じるので好ましくな
い。同一張力で短繊維束10,11を同時にフロントロ
ーラ5から送り出し合体する場合には、両短繊維束はV
字状となって合体が行われ、均一に被覆された多層複合
紡績糸を得ることができないので好ましくない。
【0022】合体後の実撚の付与において、フロントロ
ーラから出たフィラメント糸は張力が付与されているた
め、短繊維束10とフィラメント糸の撚り付与が主とし
て行なわれ、撚がフロントローラニップ近くまで撚り昇
りする。そして、短繊維束10がフィラメント糸に巻付
いた複合紡績糸が形成される。その後、わずかに遅れて
張力の低い短繊維束11が巻き付くことによって、多層
複合紡績糸が形成されるのである。短繊維束11との合
体はL字状に近い合体で行われ、短繊維束11にはほと
んど撚り昇りは行なわれない。撚り昇りのある短繊維束
10には、リング、トラベラで与えられる撚数が先に付
与されて複合紡績糸が形成され、その後わずかに遅れて
短繊維束11はリング、トラベラで与えられる設定撚数
で巻き付き多層複合紡績糸となる。
【0023】本発明の方法により、中間層部を構成する
短繊維束10の撚角度が外層部を構成する短繊維束11
の撚角度より小さい複合紡績糸を得ることができるの
は、短繊維束10は芯部であるフィラメント糸のトータ
ル直径に相当した円筒の周りに撚角度をもって巻付き、
短繊維束11は短繊維束10とフィラメント糸で形成さ
れ太くなった複合紡績糸の直径に相当した円筒の周りに
撚角度をもって巻付くと考えられ、一方、短繊維束1
0、短繊維束11は概ね同一の撚数が付与されることか
ら、巻き付く円筒の直径の差により短繊維束10の撚角
度が短繊維束11の撚角度より小さい多層複合紡績糸を
得ることができると考えられる。また、短繊維束10、
短繊維束11は、同一量でフロントローラから送り出さ
れ、短繊維束11は短繊維束10より太い円筒の周りに
巻付くことから、短繊維束11を構成する各単繊維は、
僅かに繊維軸方向にずれながら巻き付くこととなる。
【0024】フロントローラの設定位置は特に限定され
ないが、短繊維束10がローラの中央に近付くよう、ト
ランペット及びコレクタを調整するのが好ましい。短繊
維束10及びフィラメント糸の合体した成分と、短繊維
束11との合体直後における間隔は、短繊維束11を構
成する短繊維の繊維長、太さ、繊度などから適宜設定す
ればよいが、3mm以上25mm以下の範囲であれば、
ニューマに吸引されないなど操業性の点から好ましい。
フィラメント糸の供給は、フロントローラに入る前の短
繊維束10の概ね中央部近辺に導入することにより行な
う。あるいは、短繊維束の被覆性を向上させるため、撚
り方向に応じて短繊維束10の中央より左若しくは右に
少々ずらした位置に導入することにより供給してもよ
い。また、フィラメント糸の導入はフロントローラに入
るできる限り直前で供給するのが好ましい。
【0025】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的
に説明する。 実施例1、比較例1 図4に示す製造方法により、短繊維束Aとしてポリエス
テル(1.5d×38mm、100%)、短繊維束Bと
してコットン(米綿45s用、100%)のそれぞれ
0.2g/mの短繊維束を作成し、A,B短繊維束を7
mm間隔のトランペット1,2から同一錘に別々に供給
し、途中コレクタ15で両短繊維束を6mmの一定間隔
に保ち、通常の方法により38.0倍でドラフトを行な
いポリエステル短繊維束10及びコットン短繊維束11
を紡出した。番手(メートル式)は、それぞれ1/19
0であった。一方、フィラメント糸として、ポリエステ
ルウーリー加工糸(50D−24F)を用い、クリール
6からフィラメント糸にテンサー8でフィラメント糸に
25g/本(0.5g/d)の張力を与え、ガイド12
からフロントローラ直前の短繊維束10の中央部分近く
に供給し合体させ、さらに他方のコットン短繊維束11
と合体させ3層構造の多層複合紡績糸を紡出した(実施
例1)。紡出番手(メートル式)は1/62であった。
【0026】コットンを紺色に片染し、拡大鏡(200
倍)にて糸側面を拡大し、外層部のコットン繊維の撚角
度θを測定後、コットン繊維のみを外して、中間層部の
ポリエステル繊維の撚角度θを測定した(n=10
0)。平均撚角度は外層部のコットンが19.1度、中
間層部のポリエステルが15.3度であった。また、得
られた複合紡績糸の中間層部、外層部の撚数を測定した
結果、設定撚数866T/m(撚係数110)に対し8
41T/m、855T/mであった。さらに、比較とし
て、上記同一素材を重量で50/50に混紡した実施例
1の2倍の太さに相当する短繊維束1本(0.4g/
m)をトランペット1から、実施例1と同じようにドラ
フトを行ない、上記フィラメント糸をテンサー8で同一
張力を与えて、ガイド12から短繊維束の中央部分に供
給し、実施例1と同一番手、同一撚の2層構造の複合紡
績糸を得た(比較例1)。得られた各々の複合紡績糸を
22ゲージ両面丸編機でスムース地に編成、コットンを
片染し、外観、風合を比較評価した結果、本発明による
ものは、比較品に比べ芯にフィラメント糸、中間層にポ
リエステル、外層にコットンが均一に多重配置され被覆
性は良好であって、撚目の綺麗な外観を有する製品が得
られた。また、本発明のものは、比較品に比べ濃染化さ
れコットンが表面に出て肌ざわりの良い製品が得られ
た。
【0027】実施例2、比較例2 短繊維束Aとして、ポリエステル(3d×89mm、1
00%)、短繊維束Bとして、メリノウール(クォリテ
ィ#64、100%)でそれぞれ0.4g/m、0.6
g/mの短繊維束を作成し、15mm間隔のトランペッ
ト1,2から同一錘に別々に供給し、途中コレクタ15
で両短繊維束を15mmの一定間隔に保ち、通常の方法
により32.0倍でドラフトを行なった。
【0028】一方、フィラメント糸として、灰色に着色
した制電性繊維(芯部にカーボンブラックを含有する成
分と鞘部にポリエステルとからなる複合繊維、50D−
1F)を用い、テンサーでフィラメント糸に30g/本
(0.6g/d)の張力を与え、ガイド12からフロン
トローラ直前のポリエステル短繊維束10のセンター近
くに供給し合体させ、さらにメリノウールの短繊維束1
1と合体させ3層構造の多層複合紡績糸を紡出した(実
施例2)。紡出番手(メートル式)は1/27、設定撚
数572T/m(撚係数110)である。実施例1と同
様に、ウールを片染し糸側面を拡大、両短繊維束繊維の
撚角度θを測定したところ平均撚角度は外層ウールが2
3度、ポリエステルが17度であった。また、同様に多
層複合紡績糸の中間層、外層の撚数を測定した結果、設
定撚数572T/mに対し552T/m、567T/m
であった。
【0029】さらに、比較として、上記ポリエステル
(3d×89mm)、メリノウール(クォリティ#6
4)を重量比で50/50に混紡した1.0g/mの短
繊維束を作成し、実施例2と同様にドラフトし、さらに
上記の灰色に着色した制電性繊維を用い、テンサーで同
一張力を与えて、直接ガイド12から短繊維束の中央部
に供給し、同一番手、同一撚の2層構造の複合紡績糸を
得た(比較例2)。
【0030】得られた本発明の多層複合紡績糸は単糸に
もかかわらず双糸調であり、均一な被覆性を有し、芯に
フィラメント糸、中間層にポリエステル、外層にウール
を有する3層複合構造糸を得た。また、それぞれの複合
紡績糸を織物(組織:1/3ツイル)にて淡色に染仕上
げしたところ、比較品に比べ、本発明のものは中間層の
ポリエステル、外層のウールに完全カバーされ、フィラ
メント糸の有着色は認められず、染色性は良好で優れた
制電性能を有する製品を得た。またウールタッチで反発
性に優れ張り腰がある高級な製品を得た。
【0031】
【発明の効果】本発明の多層複合紡績糸は、被覆性が従
来の複合紡績糸に比べ一段と向上した複合紡績糸であ
り、フィラメント糸及び短繊維束のそれぞれの特性を損
なうことなく、表面タッチ、風合い、外観などに優れた
複合紡績糸である。そして、フィラメント糸に短繊維束
とは異なる色に着色した繊維を用いた場合にも、被覆性
に優れるため、フィラメント糸の色が外に現れ難く、良
好な外観を有する複合紡績糸である。また、本発明の製
造方法によれば、中間層、外層の異なる多様な多層複合
紡績糸を、短繊維束A、Bの素材を適宜選択することに
より、精紡機上で安定して生産することができる。さら
に、従来の複合紡績糸では得ることの困難であった細番
手の複合紡績糸を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の多層複合紡績糸の一例を示す概略断面
図である。
【図2】本発明の多層複合紡績糸の一例を示す概略側面
図である。
【図3】本発明の多層複合紡績糸の撚角度を示す説明図
である。
【図4】本発明の製造方法の一例を示す工程概略図であ
る。
【図5】本発明の製造方法における主要部の一例を示す
概略図である。
【図6】本発明の製造方法における主要部の他の一例を
示す工程概略図である。
【符号の説明】
1,2:トランペット 3:バックローラ 4:エプロンローラ 5:フロントローラ 6:クリール 7:フィラメント糸 8:テンション装置(テンサー) 10:短繊維束(短繊維束A) 11:短繊維束(短繊維束B) 12,18:ガイド 13:トップローラ 14:スネルガイド 15:コレクタ 16:トラベラリング 17:糸ボビン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI D03D 15/00 D03D 15/00 Z (56)参考文献 特開 昭58−109648(JP,A) 特開 昭58−104236(JP,A) 特開 昭53−19431(JP,A) 特公 昭50−31221(JP,B1) 特公 平1−15611(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D02G 1/00 - 3/48 D02J 1/00 - 13/00

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】フィラメント糸、短繊維束A及び短繊維束
    Bから構成されてなる3層構造を有する複合紡績糸であ
    って、芯部はフィラメント糸、中間層部は短繊維束A、
    外層部は短繊維束Bからそれぞれ構成されてなり、中間
    層部を構成する短繊維束Aと外層部を構成する短繊維束
    Bとは撚方向が同一で、かつ、短繊維束Aの撚角度が短
    繊維束Bの撚角度より小さいことにより、中間層部を形
    成する短繊維束Aの撚穴を短繊維束Bによる外層部で被
    覆したことを特徴とする多層複合紡績糸。
  2. 【請求項2】中間層部を構成する短繊維束Aと、外層部
    を構成する短繊維束Bが同一素材であることを特徴とす
    る請求項1記載の多層複合紡績糸。
  3. 【請求項3】フィラメント糸として着色糸を用いたこと
    を特徴とする請求項1または2記載の多層複合紡績糸。
  4. 【請求項4】精紡機にてドラフトされつつある短繊維束
    2本のうちの一方の短繊維束Aの幅内にフィラメント糸
    をフロントローラに入る前において張力が付与され緊張
    した状態で合体させ、次いでフロントローラ出口におい
    て短繊維束A側の張力を他方の短繊維束B側より大きく
    した状態で両者を合体させ実撚を付与することを特徴と
    する多層複合紡績糸の製造方法。
JP04958992A 1992-03-06 1992-03-06 多層複合紡績糸及びその製造方法 Expired - Fee Related JP3163720B2 (ja)

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