JP3160592B2 - 遷移多穴燃焼器ライナ - Google Patents

遷移多穴燃焼器ライナ

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    • F23R3/002Wall structures

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の背景】本発明は一般的にはガスタービンエンジ
ンに係わり、特にその内部の燃焼器に係わる。ガスター
ビンエンジンでは、空気が圧縮機で加圧されて燃焼器に
流されて、燃料と混合され、それから点火されて熱い燃
焼ガスを発生し、このガスが一つ以上のタービン段を通
して下流に流される。ターボファンエンジンでは、高圧
タービンが圧縮機を駆動し、これに続く低圧タービンが
圧縮機の上流に配置されたファンを駆動する。
【0002】代表的な燃焼器は環状であってエンジンの
長手軸方向中心線軸の周りに軸対称であり、そして半径
方向外側の燃焼器ライナと半径方向内側の燃焼器ライナ
を含んでおり、これらのライナはそれらの上流端で燃焼
器ドームに接合されている。ドームには円周方向に間隔
を置かれた複数の気化器が装着されており、この気化器
のそれぞれには空気スワラおよび中心燃料インゼクタが
含まれている。燃料は圧縮機からの圧縮空気と混合され
そして点火されて熱い燃焼ガスを発生し、このガスは燃
焼器を通り次いで高圧および低圧タービンを通して下流
に流されて、タービンによりエネルギーが抽出される。
【0003】圧縮機空気の大半は燃焼ガスを発生するた
めに燃焼器で燃料と混合される。圧縮機空気の別の部分
は燃焼器ライナを冷却するのに使用するため燃焼器の外
部即ち外側に流される。圧縮機空気の更に別の部分は希
釈空気のジェット流として燃焼器ライナを半径方向に貫
通して流され、この希釈空気は燃焼器を出ていく燃焼ガ
スの温度を低下し且つ又タービンの性能を最適にするた
め燃焼ガスの円周および半径方向の温度プロファイルを
制御する。
【0004】燃焼器の冷却は代表的には、燃焼ガスを内
部に閉じこめる燃焼器ライナの内部即ち内側表面に沿っ
て実質的に連続した境界層即ち空気ブランケットとして
圧縮機空気の冷却膜を形成することによっている。膜冷
却層はガスの熱からライナを保護しそしてライナの適当
な使用寿命を確保するために金属性燃焼器ライナと熱い
燃焼ガスとの間に有効な障壁を与える。
【0005】代表的な燃焼器では、膜冷却層は複数の入
口穴によって供給を受ける環状マニホルドである軸方向
に間隔を置かれた複数の膜冷却ナゲット内に形成され、
下流に延びる環状リップが冷却空気をライナの熱い側に
沿って膜として放出するための連続した円周方向出口ス
ロットを区画している。この複数のナゲットはライナを
保護するのに適当な厚さの境界層を維持するために膜を
軸方向に列から列へと再付勢するのを確実にしている。
【0006】燃焼器設計における最近の開発では、多穴
の膜冷却式燃焼器ライナにより従来のナゲットは排除さ
れ、これに代わって膜冷却を行うための高密度のパター
ンの多穴を有する実質的に均一な厚さの単一シートの金
属ライナを使用している。個々の多穴は好適には約20
°の傾斜でライナを貫通しており、ライナの外側の冷た
い表面に入口があり、ライナの内側の熱い表面の前記入
口から下流に軸方向に間隔を置かれて出口がある。この
多穴の直径は約20−30ミル(0.51−0.76m
m)である。これはその周りでライナの内部対流冷却を
与えるために多穴に対して実質的に大きな長さ対直径比
をもたらす。そして、最も意義あることは、この小さな
傾斜角が放出された冷却空気をライナの内側表面に沿っ
て付着させ、多数列の多穴によって供給される冷却膜層
を形成し、燃焼器ライナに沿って後方即ち下流方向に向
け列から列へと再付勢されそして維持される最大の境界
層の厚さが達成される。
【0007】多穴の燃焼器ライナの例は本出願人に譲渡
されている米国特許5,181,379に見られ、かか
る課題の幾つかの追加の特許もその後に発行されてい
る。例えば、同じく本出願人に譲渡されている米国特許
5,261,223には、改善された多穴の燃焼器ライ
ナが開示されており、これには希釈穴の下流に配置され
た矩形の膜再発穴が含まれている。希釈穴の目的は実質
的に大きな容量の圧縮機空気をジェット流として半径方
向から燃焼器中に射出して出口ガスの温度プロファイル
を制御することにあるから、希釈穴はこれより局部的に
下流にある膜冷却層を必然的に中断してしまう。比較的
に大きな矩形の膜再発穴は希釈穴の下流でそして多穴の
対応するものの上流において燃焼器ライナ内に導入され
る。この再発穴はライナの熱い側に沿って付着するよう
に冷却空気を再導入するため多穴と同じ例えば20°の
角度で傾斜されている。
【0008】しかしながら、多穴または矩形再発穴の2
0°の傾斜角からすると、個々の希釈穴の下流にはライ
ナの熱い側に必然的に膜冷却射出部位の欠けた枯渇され
た即ち陰の領域が残存している。多穴は希釈穴から下流
方向に下方に向けて傾斜されてるので、その入口は希釈
穴の下流部分に近接して隔てることができるが、その出
口は希釈穴から更に下流に隔てられることが余儀なくさ
れ、希釈穴の下流のライナの内側側面には穴のない陰が
形成される。多穴はその周りでの望ましくない応力集中
を回避するため、互いにあるは希釈穴と交差することは
許されない。形成された冷却膜層の有効性を最大にし且
つ又適当な有効寿命を得るためにライナの機械的強度を
確保する必要から多穴は典型的には均一パターンまたは
サブパターンに配列されている。多穴の陰は二次的な希
釈穴のようなライナを貫通する比較的に小さない二次穴
に対しては受容できる。しかしこのような二次穴の直径
が増すにつれ、対応する陰の面積が必然的に増し、これ
に伴ってライナの動作温度が高くなり、燃焼器の寿命に
悪い影響を与える。
【0009】例えば、より高いスラストエンジンに対す
る多穴燃焼器の更なる開発においては、燃焼器における
熱負荷がこれに対応して増大し、このため多穴の陰の動
作温度が増大する。温度の増加はライナの寿命を減少
し、ついには二次穴に隣接した陰における熱的疲労亀裂
によって破損することになろう。従って、二次穴の周り
の冷却が改善された、多穴燃焼器ライナの更なる改善が
望まれる。
【0010】
【発明の要約】燃焼器ライナは外側表面およびこれに対
向する内側表面を有する壁を含む。複数の第一の穴が多
穴のパターンにて傾斜して壁を貫通していて、その中を
通して冷却流体を流して内側表面に沿って冷却膜層を形
成している。第二の穴が多穴のパターン内で壁を垂直に
貫通して延びて内側表面に沿って第一の穴の欠けた陰を
形成している。遷移穴が陰において壁を冷却するために
第一の穴よりも大きな傾斜で陰における壁を貫通して延
びている。
【0011】添付の図面に関連してなされた以下の詳細
な記述において、本発明は、好適な例示の実施の態様に
従って、その更なる目的および利点とともに、より詳し
く記載されている。
【0012】
【好適な実施の態様の記述】図1には長手方向即ち軸方
向中心線軸12の周りに軸対称であるターボファンガス
タービンエンジンの一部が概略的に例示されている。エ
ンジンには環状燃焼器18に流される空気16を加圧す
るための多段軸方向圧縮機14が含まれている。燃焼器
18は半径方向外側ライナ20およびこれから内側に間
隔を置かれた半径方向内側ライナ22を含んでおり、そ
の軸方向前方即ち上流端は環状ドームに接合されてい
る。
【0013】燃焼器18は二つの同心列の気化器26を
有する二重ドーム燃焼器の例示的な形態をしており、気
化器26は加圧された圧縮機空気16の一部を燃料28
と混合して可燃性の燃料および空気の混合物を形成し、
この混合物が点火装置30で点火されて熱い燃焼ガス3
2が発生され、このガスはライナ20、22の軸方向後
方即ち下流端に区画されている出口から放出される。高
圧タービンノズル34は燃焼器出口に隣接した周囲方向
に間隔を置かれた複数の静翼を含んでいて燃焼ガス32
を列をなす高圧タービン動翼36を通るよう案内してお
り、動翼36は圧縮機14に動力を与えるためこれに動
作的に接合されている。
【0014】燃焼器18は環状ケーシング38内に同軸
的に装着されており、そして圧縮機14から受ける加圧
された空気16によって包囲されている。気化器26は
二重反転スワラ26aを含めた如何なる従来の形態を取
ることができ、気化器26aは圧縮機空気16の一部を
受けて中央燃料インゼクタ26bから放出される燃料2
8と混合する。
【0015】しかしながら、燃焼器18に対しては、エ
ンジン10はどのような従来の形態を取ることができ
る。燃焼器ライナ20、22はそれぞれ適当な金属で形
成されており中心線軸12の周りに弧状あるいは環状に
置かれる。各ライナはそれぞれ実質的に均一の厚さTを
した単一シートの金属プレートまたは壁20a、22a
の形態をしている。
【0016】外側ライナ壁20aの一部が図2により詳
細に例示されている。外側ライナには外側または第一の
表面40が含まれており、この上を圧縮機空気16の一
部が流動できる。これに対向する内側または第二の表面
42は燃焼器の内側の熱い燃焼ガス32に対面し、それ
故適当な冷却を必要とする。複数の第一の穴44が予め
定められた多穴のパターンで外側ライナを傾斜して貫通
していて、圧縮機空気16の一部をこれらの穴を通して
冷却流体として流して内側表面42に沿って冷却流体の
冷却膜層16bを形成し、外側ライナを冷却すると共に
燃焼ガスから外側ライナにかかる熱負荷を減少する。図
1に例示されている内側ライナ22もまたその冷却のた
めに多穴44を含んでいる。
【0017】多穴の膜冷却では、多穴44自体は下流方
向に適当に傾斜されそしてライナの内側表面に沿って効
果的な冷却膜層16bを維持するように密度の高いパタ
ーンの穴を提供するため軸方向並びに円周方向に互いに
近接して間隔を置かれている。多穴のパターンは図2お
よび3により詳しく例示されているある種の幾何学的パ
ラメータによって定義することができる。各多穴44は
典型的には例えば約20ミル(0.51mm)でよい小
さな直径D1 を有する円筒状である。
【0018】各多穴44は膜層16bへの付着された空
気の送給を維持するために約15°−20°、好ましく
は20°の鋭角的な傾斜角Aで傾斜した長手方向中心線
軸を有する。多穴はXで示される軸方向にピッチ間隔S
を持っており、この軸方向ピッチは例えば穴の直径の約
6.5倍即ち約130ミル(3.3mm)である。多穴
はまたYで示される円周方向または接線方向に横方向ま
たは円周方向ピッチPを持っており、このピッチは例え
ば穴の直径の約7倍即ち約140ミル(3.56mm)
である。半径方向はZで表されている。
【0019】多穴はまた典型的には一連の軸方向に間隔
を置かれた列に配列されており、各列は典型的には隣接
する軸方向列に対して円周方向にオフセットされてい
て、多穴の密度が最大にされそして軸方向および円周方
向に均一な膜層16bが生成されている。多穴44は約
20°の浅い傾斜角で傾斜されているので、約80ミル
(2mm)のライナ厚Tに対して約234ミル(5.9
mm)の対応する長さLを有しており、対応する長さ対
直径アスペクト比L/D1 は約11.7である。各多穴
44は冷たい表面40に入口を持ち、入口から軸方向後
方即ち下流に配置された出口を熱い表面42に持ってお
り、その結果冷却空気16は多穴44を通って軸方向後
方にそして半径方向内側に流れて内側表面42に沿って
大きな鈍角で放出されて膜層16bに供給されそして膜
冷却効果を最大にしている。
【0020】例えば図2および3に例示されているよう
に、外側ライナ20には典型的には多穴のパターン内で
壁20aを垂直に貫通して延びる一つ以上の大きな二次
的なまたは第二の穴46を含んでおり、この穴により内
側表面に沿って下流域または陰48が形成される。この
陰は多穴が無くあるいはこれを欠いており、ここでは膜
層16bは局部的に中断又は分断されている。陰48の
例は図4に最も明瞭に示されており、図4は内側表面4
2および多穴44と第二の穴46それぞれの出口を例示
している。このような二次穴の例には図2−4に例示さ
れた希釈穴46、図1および5に例示された点火装置穴
46bおよび図4に同じく例示されたボアスコープ穴4
6cが含まれる。
【0021】これらの例示的な二次穴46、46b、4
6cは常にその直径D2 が多穴44の直径D1 より大き
く、図4に示されているように陰48は燃焼ガスの圧倒
的な渦のために二次穴46の直径を横切って横方向また
は円周方向に並びに又二次穴46とその下流にある多穴
44の穴との間に軸方向に延びる。陰48が生成される
主な理由は二次穴46を含めて多穴44が如何なる他の
穴と交差するのを防ぐという構造的な制限によってお
り、かかる交差はその周りに望ましくない応力集中を発
生することになる。図2に示されているように、多穴4
4の入口端は二次穴46の下流縁部に対し両者間の局部
的な応力集中を避けるように近接して位置づけできるだ
けである。燃焼器ライナはその単一ライナに応力を発生
する圧力負荷および熱負荷の両方を運転中に受ける。外
側ライナ20のような負荷を担持する部材を貫通して置
かれる如何なる穴もこれを通る負荷担持経路を必然的に
歪ませてその周りの局部的応力に影響を与える。多穴4
4の入口端は二次穴46の下流縁部から適当に隔ててお
かなければならないので、多穴44の出口はこれに応じ
て二次穴46の下流縁部から一層更に下流に隔てられ、
内側表面42に沿って実質的に大きな陰48が形成され
る。
【0022】上に示されているように、比較的に大きな
二次穴46は均一な多穴のパターンを中断し必然的に二
次穴46の真下の膜層を除去するだけでなく、二次穴か
ら下流においても陰48において次の多穴44が現れて
再び境界層16bを形成してこれに冷却空気16を供給
するまで膜層は局部的に中断される。本発明によれば、
一つ以上の遷移または第三の穴50が図3に見られるよ
うに多穴44の傾斜角Aよりも大きな傾斜角Bで陰48
において外側ライナ20を貫通して延びており、この傾
斜角Bは第三の穴を陰において壁を冷却するように陰4
8に物理的に適合させる。多穴44は冷却膜層16bの
最適な性能のために約20°に制限された浅い鋭角Aで
傾斜されているが、これは追加の多穴44を陰48に使
用することを物理的に妨げており、それはこうした追加
の穴は隣接する穴と交差するかあるいはこれに近接する
かし、これらのいずれの場合も十分な強度とライナの寿
命を維持するためには受け入れがたいからである。しか
しながら、遷移穴50をより大きな傾斜角で導入するこ
とにより、ライナの十分な強度をなお維持しながらもそ
れでもなお遷移穴からの冷却を行うことが可能である。
陰48は好ましくは互いに隔離された複数の遷移穴50
を含んでおり、陰48でライナ壁20aが冷却される。
図3はそれぞれ傾斜角Bの異なる3つの例示的形態の遷
移穴50を例示している。
【0023】特に、遷移穴50の傾斜角Bは二次穴46
から下流即ち後方に向けて陰48の後方端で多穴44が
再発するまで減少していく。このようにして遷移穴50
を陰48において最適に位置づけてライナ壁20aを貫
通させることによりライナを通る負荷経路の分断および
これに伴う応力集中を最小に維持しながら遷移穴から利
用できる冷却を最大にする。
【0024】陰48は二次穴46から軸方向下流に延び
ているので、この領域のライナ壁20aには例えば図2
および3に示されているように、軸方向に間隔を置かれ
た複数の列の遷移穴50を含んでおり、遷移穴50は二
次穴46および多穴44の間で間隔を置かれている。図
2および4から燃焼器18の内部での燃焼ガス32の固
有な円周方向の渦のために陰48は軸方向下流の方向並
びに円周方向の両方向に延びていることに気付かれた
い。多穴44は陰48の配向と概して同域にわたって燃
焼ガス32の優勢な渦に対応して傾斜されているのが好
ましい。
【0025】多穴44の全てが典型的には同じ直径D1
を持っており、同様に遷移穴50の全てが典型的には同
じ直径Dt を持っており、遷移穴50の直径はまた好ま
しくは多穴44の直径に等しい。それ故に多くの多穴4
4と遷移穴50は例えばレーザーでの穴あけを使用し
て、ライナの冷却を促進するように等しい直径の穴を与
え、所望により異なる傾斜角を持たせるように、慣用的
に形成することが可能である。二次穴46は多穴44お
よび遷移穴50より実質的に大きな直径をしている。例
えば、燃焼器出口で所望な温度プロファイルファクター
を促進するために必要とされるように希釈穴46の直径
は約300ミル(7.6mm)乃至約500ミル(1
2.7mm)で変動しうる。
【0026】上記に示したとおり、多穴44は例えば約
11.7の長さ対直径アスペクト比L/D1 を有してお
り、これは1.0より実質的に大きい。二次穴46のラ
イナの厚さTで表される長さと直径とのアスペクト比T
/D2 は例示的な希釈穴の大きさの範囲に対しては0.
27乃至0.16で変動しており、これは実質的に1.
0より小さい。
【0027】穴の周りの内部対流冷却はアスペクト比の
増加と共に増大するので穴のアスペクト比は意味があ
る。浅い多穴44は比較的に長くその内部対流冷却は高
められるが、これに対して二次穴46は比較的に短くて
顕著な内部対流冷却に欠ける。遷移穴50は好ましくは
多穴44および二次穴46のアスペクト比の間に対応す
る長さLt 対直径Dt のアスペクト比を持っている。こ
のようにして、遷移穴50は隣接する穴の間に適当な分
離を保ちながら少なくとも陰48の領域においてライナ
の内部対流冷却を提供する。そして、遷移穴50の傾斜
角Bは二次穴46と多穴44との間で変動することによ
り二次穴46で中断された冷却膜層16bを追加的に再
発させることができる。
【0028】図2および3に例示されている例示的な実
施の態様では、二次穴46の直ぐ隣の前列の遷移穴50
は対応する傾斜角Bが90°で実質的に垂直にライナ壁
20aを貫通して延びている。こうして、垂直な遷移穴
50を二次穴46に近接させてその下流縁部に沿って位
置づけることにより、ライナに少なくとも内部対流冷却
を提供し、冷却空気16を放出して二次穴46の下流に
冷却膜層16bを最初に再形成する。上記に示したよう
に、希釈穴の形態をした二次穴46によって生成される
圧縮機空気16のジェット流は膜層16bを再発させる
能力は殆どあっても無に等しい。しかしながら、最初の
列の遷移穴50は比較的に小さくそして互いに密な間隔
にあり、その結果これを通して流れる冷却空気16が膜
層16bを再発させる。
【0029】多穴44は約20°でライナ壁20aを貫
通しているので、これの直ぐ隣の後列の遷移穴50は例
えば約32.5°のより大きい傾斜角Bで傾斜されてい
る。それ故に、前列の遷移穴50は二次穴46の垂直配
向に適合しており、一方後列の遷移穴50は利用できる
空間内において多穴44の傾斜角に近づいている。第三
即ち中間列の遷移穴50は前列および後列の間に配置で
き、約45°の傾斜角Bでライナ壁20aを貫通してい
る。中間列の遷移穴50はそれ故に前列および後列の遷
移穴の間においてライナ強度に悪い影響を与えることな
く陰48の上方の利用できる空間内にある遷移穴の数を
最大にするための過渡的または前進的な役割をなす。
【0030】図2および3に例示されている種々の列の
遷移穴50の一つ以上を二次穴46の下流に向上した冷
却を提供するために必要に応じて陰48に使用できる。
比較的に小さな二次穴46に対しては、これに応じて少
ない数の遷移穴50が必要とされ、そして垂直から多穴
44の浅い傾斜角よりちょっと大きいまでの任意の適当
な傾斜を取ることができる。図2および3の実施の態様
では、32.5°、45°および90°の傾斜角を有す
る3つのタイプの遷移穴全てを陰48における二次穴4
6および下流の多穴44の間に使用している。
【0031】図4には、45°の傾斜角しか持たない2
列のみの遷移穴50を伴う希釈穴46が示されている。
同じく図4にはボアスコープ穴46cも示されており、
これは典型的にはメインテナンスの運転休止の間に燃焼
器を検査するためにライナを通して慣用的なボアスコー
プを挿入するために典型的に設けられている。この実施
の態様では、単に45°の傾斜角の2列の遷移穴50が
異なるパターンで使用されている。
【0032】図5には点火装置口46が例示されてお
り、これを通して図1に示される従来の点火装置30が
装着されて燃焼プロセスを開始する。点火装置口46b
は比較的に大きな穴であり、従って32.5°、45°
および90°の3つのタイプの遷移穴全てを使った比較
的高密度を有する数列を点火装置口46bの下流縁部と
これから下流に間隔を置かれた多穴44との間に使して
いる。
【0033】図2および3に例示されている好適な実施
の態様においては、20°を超え90°を下回る傾斜角
Bを有する遷移穴50は対応する多穴44と同じ態様お
よび方向で同域にわたり傾斜されている。遷移穴50お
よび多穴44の傾斜方向は二次穴46から延びる対応す
る陰48の方向に沿って燃焼ガス32の優勢な渦方向に
整合している。こうして、最初の即ち垂直な列の遷移穴
50が内側表面42に最初に冷却空気16を射出して冷
却膜層16bを再発させ、続く2列の遷移穴50が更に
膜層16bに供給してその厚さを増強し、これに後続す
る列の多穴44からの追加の補給空気が続く。
【0034】しかし、図6に例示されているような本発
明の別の実施の態様では、遷移穴50の幾つかを多穴4
4および陰48の配向からスキューさせた配向で陰48
において横方向または円周方向に傾けて傾斜させること
もできる。これにより遷移穴50のパターンに追加の密
度が可能となる。表面に対して90°で遷移穴を置くと
冷却空気16を二次穴46によって形成された障害に近
接させて置くことができ二次穴から下流の局部的領域に
効果的な冷却を提供する。90°から20°へ徐々に移
行させると冷却空気16がライナの内側表面42の上で
湾曲してこれに付着する傾向が増大する。追加の冷却利
益はライナを貫通する遷移穴50の穴の長さを延長する
ことによって得られる。遷移穴50のこの追加の冷却有
効性は陰領域における局部的温度を低下し、これに応じ
て燃焼器ライナの寿命を増大しその耐久性を増加する。
【0035】ここには本発明の好適で例示的な実施の態
様と考えられるものが記載されたが、ここに教示された
ことからすれば本発明の他の変更も当然当業者には明ら
かなはずであり、従って特許請求の範囲には本発明の真
なる精神および範囲の範疇に入るような変更は全て確保
されていると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の例示的な実施の態様に従って多穴冷却
を有する軸対称な環状燃焼器の軸方向断面図である。
【図2】より大きな二次穴から下流に配置された多穴の
パターンを含み、本発明の例示的な実施の態様に従って
これらの穴の間に遷移穴が配置されている図1に例示さ
れた燃焼器の外側ライナの一部の等角部分断面図であ
る。
【図3】線3−3に沿ってみた図2に例示されたライナ
の一部を通しての半径方向断面図である。
【図4】多穴と二次穴の対応する穴との間の陰を示し、
本発明の例示的実施の態様においてこれらの穴の間に遷
移穴が配置されいることを示す燃焼器の内側から見た図
1に例示された外側ライナの一部の外方に面した図であ
る。
【図5】本発明の別の実施の態様に従って遷移穴を含む
点火装置口の領域における線5−5に沿って見た図1に
例示された外側ライナの一部の外方に面した図である。
【図6】本発明の更に別の実施の態様に従って希釈穴の
陰に遷移穴を示した図1に例示された外側ライナの別の
部分の等角上面図である。
フロントページの続き (72)発明者 ビヴァリー・スティーブンソン・ダンカ ン アメリカ合衆国、オハイオ州、ウェス ト・チェスター、グレゴリー・クリー ク・レーン、7113番 (72)発明者 ジェイムズ・エドワード・トムソン アメリカ合衆国、オハイオ州、ミドルタ ウン、エルドラド・ドライブ、6727番 (72)発明者 グレン・エドワード・ウィーヒー アメリカ合衆国、オハイオ州、エムテ ィ・ヘルシー、ハリソン・アヴェニュ ー、7854番 (56)参考文献 特開 平5−118548(JP,A) 実開 昭62−18569(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F23R 3/42 F02C 7/18

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 冷却流体16が流れることのできる外側
    表面40および燃焼ガス32に面する対向内側表面42
    を有する壁20a、 多穴のパターンをなして前記壁20aを傾斜して貫通し
    前記冷却流体を通して流して前記内側表面42に沿って
    前記冷却流体の冷却膜層16bを形成する複数の第一の
    穴44、 前記多穴のパターン内で前記壁を垂直に貫通して延び前
    記内側表面42に沿って前記第一の穴44の欠けた前記
    膜層が局部的に中断された陰48を形成する第二の穴4
    6、および前記陰48で前記第一の穴44より大きい傾
    斜で前記壁を貫通して延び前記陰で前記壁を冷却する遷
    移穴50、を含む燃焼器ライナ20。
  2. 【請求項2】 前記第二の穴46の直径が前記第一の穴
    44より大きく、そして前記陰48がこの直径を横切っ
    て横方向に延び、前記陰48は互いに間隔を置かれた複
    数の前記遷移穴50を含み前記壁20aを前記陰48で
    冷却する、請求項1記載のライナ。
  3. 【請求項3】 前記第一の穴44の長さ対直径アスペク
    ト比が1.0より大きく、 前記第二の穴46の長さ対直径アスペクト比が1.0よ
    り小さく、 前記遷移穴50の長さ対直径アスペクト比がこれらの間
    である、請求項2記載のライナ。
  4. 【請求項4】 前記第一の穴44および前記遷移穴50
    が等しい直径を有している、請求項3記載のライナ。
  5. 【請求項5】 前記第一の穴44の前記壁20aを貫通
    する傾斜角が約20°であり、 前記遷移穴50の前記壁20aを貫通する傾斜角が3
    2.5°、45°および90°からなる群から選ばれ
    る、請求項3記載のライナ。
  6. 【請求項6】 前記陰48が前記第二の穴46から下流
    に延びていて、前記第二の穴46と前記第一の穴44と
    の間に間隔を置いて配列された複数の列の前記遷移穴5
    0を含んでいる、請求項3記載のライナ。
  7. 【請求項7】 前記遷移穴50の傾斜が前記第二の穴4
    6から下流に向けて減少する、請求項6記載のライナ。
  8. 【請求項8】 前記第二の穴46に隣接した前記遷移穴
    50が前記壁20aを垂直に貫通して延びている、請求
    項7記載のライナ。
  9. 【請求項9】 前記第一の穴44が前記壁20aを約2
    0°傾斜して貫通しており、 前記第一の穴44に隣接する前記遷移穴50が前記壁を
    約32.5°傾斜して貫通している、請求項8記載のラ
    イナ。
  10. 【請求項10】 前記第二の穴46が希釈穴46、点火
    装置穴46bおよびボアスコープ穴46cからなる群か
    ら選ばれる、請求項9記載のライナ。
  11. 【請求項11】 前記遷移穴50が90°および32.
    5°の前記二つの列の間に配置された、前記壁20aを
    約45°傾斜して貫通している第三の列を含む、請求項
    9記載のライナ。
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