JP3160449B2 - トランジスタ回路 - Google Patents

トランジスタ回路

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JP3160449B2 JP30281693A JP30281693A JP3160449B2 JP 3160449 B2 JP3160449 B2 JP 3160449B2 JP 30281693 A JP30281693 A JP 30281693A JP 30281693 A JP30281693 A JP 30281693A JP 3160449 B2 JP3160449 B2 JP 3160449B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、MOSトランジスタの
ドレイン・ソース間降伏電圧を改善し、アバランシェ降
伏(ブレークダウン)が生じないようにしたトランジス
タ回路に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、バイポーラ・トランジスタにお
いて、ベースをオープン状態にして、コレクタ・エミッ
タ間電圧を印加していくと、ある電圧でアバランシェ降
伏が起こり、コレクタ、エミッタ端子間に大電流が流れ
ることが知られている。これは、コレクタ・エミッタ間
の暗電流がベース領域での電子なだれ現象を引き起こ
し、過大な電流となって流れるのである。これは、例え
ば A.S.Groveの“Phisicsand Technology of Semicondu
ctor Devices ”(John Wiley and Sons,Inc.1976)の231
-233 頁に記載されている。
【0003】一方、本発明者らは、バックゲート・バイ
アス効果補償を行ったNMOS出力回路(特願平3−1
87569号)を、すでに提案している。図5に非反転
トライステート出力回路、図6に非反転バイステート出
力回路を例として示す。
【0004】図5は、ノア回路NOR1、NOR2によ
り、トランジスタN3、N4を制御し、入力IN1と同
相出力OT1を出力するか、出力OT1を高インピーダ
ンス状態とする制御を行う。
【0005】図6は、インバータIV1、IV2でトラ
ンジスタN3、N4を制御し、出力OT1に入力INと
同相の信号を出力している。図6では、出力OT1は抵
抗でVcc2にプルアップされている。この抵抗は、図
5の回路11に相当する。
【0006】例えば、図5のNMOS出力回路におい
て、電源Vcc(=Vcc1)が接地電位Vssにショ
ートされている場合、すなわち電源がオフ状態にされて
いる場合を考える。さらにI/OバスラインOT1に
は、Vccとは別の電源Vcc2で駆動されている回路
11からの信号が出力されて来るとする。つまりI/O
バスラインOT1は、2系統(Vcc=Vcc1、Vc
c2)の電源系につながる回路によって、共有されてい
る。
【0007】このときVcc=Vssなので、NMOS
トランジスタN3、N4、N5、N61、N62のゲー
ト(フロントゲート)電位は接地電位Vssにあるの
で、これらのNMOSトランジスタN3、N4、N5、
N61、N62は、ゲート・ソース間電圧Vgs=0V
であるから、オフしている。このことは、NMOSトラ
ンジスタN3、N5のバックゲート(ノードA)は高イ
ンピーダンス状態にあることを意味している。従って、
NMOSトランジスタN3のドレイン、バックゲート、
ソースで構成されるところの寄生のnpnバイポーラト
ランジスタのベースは、オープン状態(オープン状態の
電位)にある。この状態でI/OバスラインOT1に、
電源Vcc2で駆動される回路11からの信号が出力さ
れてくると、この信号が高レベルのときに、前述したア
バランシェ降伏が起こる。このときの降伏電圧は、ベー
スの不純物濃度などのデバイス構造によって決まるの
で、一旦デバイス構造を決めてしまうと、降伏電圧の改
善は難しい。
【0008】また、電源VccをVssにショートした
直後を考えてみよう。ショート(電源オフ)直前にVc
cレベルにあったノードの電圧は、Vss側に引っ張る
べきNMOSトランジスタがオフしているので、Vcc
ノードとの間にある寄生ダイオードによってVssレベ
ルに向かうが、ダイオードの順方向電圧程度(0.4V
程度)以下の電圧に、すぐにはならない。この電圧に達
した後は、上記ノード電圧は、リーク電流によって徐々
にVssレベルに向かう。このことを例えば図5で見れ
ば、ノードBがVccレベルにあり、例えばNMOSト
ランジスタN3がオンしている状態で、電源オフしてV
cc=Vssにした場合のノードBの状態が、上述した
ケースである。
【0009】一方、NMOSトランジスタN3のゲート
(ノードBであり、図7のトランジスタN100のゲー
トに相当)にわずかの電荷が残留している場合、以下で
述べられるように、寄生バイポーラトランジスタ(ソー
ス、バックゲート、ドレインで形成される)のアバラン
シェ降伏電圧が低下することは知られていない。
【0010】例えば、バックゲート(この場合、Pウエ
ル基板)をオープン状態にしたNMOSトランジスタN
100を用いた図7の測定回路で、ゲートにVgs=0
V、0.2V、0.3V、0.4Vを印加したときのド
レイン・ソース間電圧Vdsとドレイン・ソース間電流
Idsの関係を調べてみると、この事実(アバランシェ
降伏電圧の低下)が確認できる。ここで、NMOSトラ
ンジスタN100は、しきい値電圧Vth=0.6V、
W/Leff=630μm/1.0μm(Wはチャネル
幅、Leffは実行チャネル長)のサンプルを用いた。
B1は、ドレイン・バックゲート・ソースで構成され
る、NMOSトランジスタN100に寄生するnpnバ
イポーラトランジスタである。
【0011】図8には、温度依存性(Ta=−40、2
5、85℃)も含めて、図7の測定結果を示す。これを
見れば、あるゲート電位から、電流が急激に流れること
が分かる。この非常に大きな電流(下記の降伏電流)が
流れるので、デバイス破壊を防止するため、測定では、
10μAで電流リミットをかけているが、このグラフの
特性の急俊な立ち上がりを見れば、降伏が起こっている
ことは充分に分かる。ゲート・ソース間電圧Vgs=0
Vのときは、バイポーラトランジスタそのもののアバラ
ンシェ降伏電圧が観測されるが、Vgs>0Vにする
と、降伏電圧が低くなることが分かる。
【0012】図9に、図8の結果から得た、降伏電圧対
ゲート電位の関係を示す。即ちトランジスタN100の
ゲートに正のゲート電圧を印加したことによって、ゲー
ト直下の半導体表面のエネルギー・バンド構造と電荷分
布が変化し、ゲート直下にサブ・スレッショルド電流が
流れ、この電流が引き金となって、より低いゲート電圧
Vdsにおいて、半導体表面でアバランシェ降伏が起こ
っているのである。
【0013】また図5において、トランジスタN3のゲ
ートは共通ノードである。この事は、以下のような降伏
電圧の低下を引き起こす。図5において、電源Vccを
Vssにショートした直後に、トランジスタN5のゲー
ト電位に残留電位があった場合、そのサブ・スレッショ
ルド電流は、出力ノードOT1の電位をもち上げて行っ
たとき、トランジスタN5のソース、ドレインを介して
A点つまりPウエル電位を持ち上げ、その電流は、なだ
れ降伏を引き起こすもとになるキャリアの役目をする。
従って、なだれ降伏電圧を引き下げ、なだれ降伏が生じ
やすくなる。
【0014】以上のように、わずかな残留電位で、アバ
ランシェ降伏電圧は急激に下がる。これでは2電源系
(Vcc=Vcc1、Vcc2)で、一方の電源をオフ
させたとき(Vcc=Vssのとき)の正常な動作は望
めない。
【0015】また、たとえ残留電位がなくとも、I/O
バスラインOT1にパルスを印加した場合、NMOSト
ランジスタのゲートとソース及びドレインとの間で形成
されるミラー容量により、ゲートに電荷が注入される。
これによりトランジスタN3のゲート電位が上昇し、上
記残留電位がある場合と同じ状況になり、アバランシェ
降伏電圧は急激に下がる。これでは、2電源系(Vcc
=Vcc1、Vcc2)において、一方の電源をオフさ
せたとき(Vcc=Vssのとき)の正常な動作は望め
ない。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記実情に鑑
みてなされたもので、一方の電源系統を非通常状態(例
えば上述の電源オフでVcc=Vssの状態)にしたと
きでも、デバイス構造を変えること無く、わずかな数の
MOSトランジスタを追加するだけで、アバランシェ降
伏電圧を改善することができ、以てアバランシェ降伏を
防止することができるトランジスタ回路を提供するもの
である。
【0017】
【課題を解決するための手段と作用】本発明は、電源端
子Vcc、Vssの一方と出力端子との間にチャネル導
電路が配置された第1のトランジスタと、前記出力端子
に接続され別電源電圧で駆動される別回路と、前記電源
端子のいずれか一方と前記第1のトランジスタのバック
ゲートとの間に接続され、前記第1のトランジスタの非
通常動作時にオンする第2のトランジスタとを具備した
ことを特徴とする。さらに本発明は、電源端子Vcc、
Vssの一方と出力端子との間にチャネル導電路が配置
された第1のトランジスタと、前記出力端子に接続され
別電源電圧で駆動される別回路と、前記電源端子のいず
れか一方と前記第1のトランジスタのフロントゲートと
の間にチャネル導電路が接続され、フロントゲートが前
記第1のトランジスタのバックゲートに接続されて、前
記第1のトランジスタが非通常動作時にオンする第3の
トランジスタとを具備したことを特徴とする。さらに本
発明は、電源端子Vcc、Vssの一方と出力端子との
間にチャネル導電路が配置された第1のトランジスタ
と、前記出力端子に接続され別電源電圧で駆動される別
回路と、前記第1のトランジスタのフロントゲートと前
記電源端子のいずれか一方との間にチャネル導電路が接
続され、フロントゲートが容量素子を介して前記出力端
子に接続され、前記第1のトランジスタの非通常動作時
に前記出力端子の電圧変化に応じてオンする第4のトラ
ンジスタとを具備したことを特徴とする。また本発明
は、電源端子の一方と出力端子との間にチャネル導電路
が配置された第1のトランジスタと、前記出力端子に接
続され別電源で駆動される別回路と、前記第1のトラン
ジスタのバックゲートと前記出力端子との間に直列接続
された第5、第6のトランジスタとを具備し、前記第5
のトランジスタは前記第1のトランジスタのフロントゲ
ートに接続され、前記第6のトランジスタは、前記第1
のトランジスタの通常動作時にオンすると共に非通常動
作時にオフするものであることを特徴とする。
【0018】すなわち本発明は、残留電位がない場合の
アバランシェ降伏電圧の低下を防止するために、NMO
Sトランジスタで考えれば、Vcc=Vss(電源オ
フ)の場合に、上記第1のトランジスタのバックゲート
をVssにプルダウンし、かつVcc>Vssの場合
(回路が通常動作する状況)に、オフすることによって
通常回路動作には影響を与えないようにできる回路を追
加する。該回路は、残留電位がある場合のアバランシェ
降伏電圧の低下を防止するためにも有効である。
【0019】また、残留電位がある場合のアバランシェ
降伏電圧の低下を防止するために、Vcc=Vss(電
源オフ)の場合に、上記第1のトランジスタのゲート
(フロントゲート)をVssにプルダウンし、かつVc
c>Vssの場合(回路が通常動作する状況)には、オ
フすることによって通常回路動作には影響を与えないよ
うにできる回路を追加する。
【0020】また、出力端子にパルスが印加された場
合、MOSトランジスタのドレイン、ソース部分のミラ
ー容量によりゲートに電荷が注入され、アバランシェ降
伏電圧が急激に下がることを防ぐために、Vcc=Vs
sの場合で上記パルスが印加されたときに、上記第1の
トランジスタのゲートをVssにプルダウンし、Vcc
>Vssの場合(回路が通常動作する状況)には、オフ
することによって通常回路動作には影響を与えないよう
にできる回路を追加する。
【0021】
【実施例】以下図面を参照して、本発明の一実施例を説
明する。図1は、同実施例の回路図であるが、これは、
図5のものと対応させた場合の例であるから、対応箇所
には同一符号を用いる。
【0022】図1において、プルダウン部31のNMO
SトランジスタN10は、PウエルのノードAと電源V
ccとの間に、それぞれソース、ドレインが接続され、
ゲートはPウエル・ノードAに接続されている。トラン
ジスタN10のバックゲートは接地電位Vssに接続さ
れている。従って電源Vccにその電位が与えられた通
常動作条件下では、トランジスタN10のゲート・ソー
ス間電圧Vgs=0Vであり、トランジスタN10はオ
フしている。
【0023】上記トランジスタN10の一端は、Vcc
でなく、Vssに接続されてもかまわない。また、プル
ダウン部32のNMOSトランジスタN20は、NMO
SトランジスタN3のゲートとVcc間に、それぞれソ
ース、ドレインが接続され、ゲートはノードAに接続さ
れている。トランジスタN20のバックゲートはVss
に接続される。従って、Vccにその電位が与えられた
通常動作条件下では、NOR回路NOR1の出力でNM
OSトランジスタN3がオンしているときに、トランジ
スタN3のゲート電位はVccにある。同時にトランジ
スタN5がオンであるから、トランジスタN40を通し
たトランジスタN20のゲート電位もVssより高い電
位にあり、トランジスタN20はオンしているが、トラ
ンジスタN20に関しては、ドレインとソースの電位が
等しく(NOR1の出力はVcc)、トランジスタN2
0から、NOR回路NOR1内のNMOSトランジスタ
を介したVcc、Vss間の貫通電流等の問題はない。
【0024】またNMOSトランジスタN3がオフして
いる時、トランジスタN5もオフし、NOR1の回路入
力の少なくとも一方は高レベルだから、トランジスタN
61またはN62がオンしているので、ノードAの電位
はVssレベルにある。よって、トランジスタN20の
ゲート電位はVssにある。トランジスタN3のゲート
電位はVssにあるので、トランジスタN20のソース
もVssである。従って、トランジスタN20のゲート
・ソース間電圧Vgs=0Vであり、トランジスタ20
はオフしていて、トランジスタN20から、NOR回路
NOR1内のNMOSトランジスタを介したVcc、V
ss間の貫通電流等の問題はない。
【0025】プルダウン部33のNMOSトランジスタ
N30は、トランジスタN3のゲートとVccとの間
に、それぞれソース、ドレインが接続され、またノード
部70は容量素子Caの一端に接続され、バックゲート
はVssに接続されている。容量Caの他端は出力端子
OT1に接続されている。さらにトランジスタN30の
ゲートには、NMOSトランジスタN31、N32のド
レインが接続され、NMOSトランジスタN31、N3
2のソースはVssに接続され、N31、N32のバッ
クゲートはVssに接続されている。トランジスタN3
1のゲートにはNOR2の出力が入力され、トランジス
タN32のゲートには、信号ENの反転信号/EN(図
ではENの真上にバーが付してある)が入力されてい
る。
【0026】従って、入力信号/ENがVccレベルの
とき、トランジスタN32はオンし、入力信号IN1の
レベルにかかわらず、トランジスタN30のゲートはV
ssレベルにあり、トランジスタN30はオフしている
ので、トランジスタN30から、NOR回路NOR1内
のNMOSトランジスタを介したVcc、Vss間の貫
通電流等の問題はない。また、信号/ENがVssレベ
ルのときに、入力IN1がVssレベルの場合は、トラ
ンジスタN31がオンし、トランジスタN30のゲート
はVssレベルにあり、トランジスタN30はオフして
いるので、トランジスタN30から、NOR回路NOR
1内のNMOSトランジスタを介したVcc、Vss間
の貫通電流等の問題はない。また上述した/ENがVs
sレベルのときに、入力IN1がVccレベルの場合
は、NOR1の出力がVccになっているので、トラン
ジスタN30がオンしていても、NOR1を通した貫通
電流はないので、問題はない。
【0027】パス・カット部34のトランジスタN40
の一端は出力端子OT1に接続され、ゲートはVccに
接続され、他端はトランジスタN5の一端に接続され、
バックゲートはトランジスタN3のバックゲートに接続
される。トランジスタN5は、PウエルのノードAとト
ランジスタN40の他端との間に、それぞれソース、ド
レインが接続され、ゲートはNOR1の出力ノードBに
接続され、バックゲートはトランジスタN3のバックゲ
ートに接続されている。
【0028】図2は、図1の回路に、該回路が正常動作
しなくなる電圧が印加された場合、例えばVcc=Vs
s(電源オフ)としたときの回路状態である。そしてさ
らに、出力ノードOT1に、Vssよりも高い電圧をか
けていった場合に、アバランシェ降伏を抑制する様子を
示す。
【0029】即ち、出力OT1が、図5の回路11によ
って高電位になり、MOSトランジスタN3の寄生バイ
ポーラトランジスタのベース(A点)に出力OT1側と
Pウエル間の寄生ダイオードの逆バイアス時の暗電流に
より、ノードAの電位が上がる。この電位が、トランジ
スタN10のしきい値電圧より高くなると、トランジス
タN10は急激にオンし、該トランジスタN10を介し
てノードAをVssにプルダウンする。つまり寄生バイ
ポーラのベースを、トランジスタN10の抵抗成分で、
Vssにプルダウンした状況になる。
【0030】このことに関し従来(図5)では、A点
(ベース)は高インピーダンス状態にあるので、出力ノ
ードOT1(コレクタ)からPウエル(ベース)に流れ
たわずかな電流は、VssレベルにされたVccノード
(エミッタ)にすべて流れ込み、その間の電界に加速さ
れ、なだれ降伏を起こしている。そして2次キャリアが
発生するので、Pウエル(A点)の電位は、なだれ降伏
によって急激に上昇する。このことは、PウエルのA点
からVss(=Vcc)に向かう電流も急激に上昇する
ことを意味している。
【0031】しかし本発明では、トランジスタN10が
オンするので、コレクタから流れ出た電流や2次キャリ
アによって、Pウエル(ベース)の電位が上昇しようと
すると、それらの電流はトランジスタN10によってバ
イパスされ、Pウエルの上昇を防ぎ、結果として、なだ
れ降伏を抑制できるものである。
【0032】Pウエル(A点)の電位は、なだれ降伏に
よって急激に上昇することは前述したが、本発明では、
この現象を逆に利用する(その場合、トランジスタN1
0で吸収できる量以上の二次キャリアが発生したと考え
てもよい)。すなわち、なだれ降伏が起こって、Pウエ
ル電位がトランジスタN20のしきい値電圧よりも上昇
すると、トランジスタN20は急激にオンし、トランジ
スタN3のゲート電位をVssにプルダウンする。した
がって、トランジスタN3のゲートの残留電荷はVss
(=Vcc)へ逃がされ、残留電荷がない場合のアバラ
ンシェ降伏電圧まで、耐圧は改善される。一旦、残留電
荷がなくなれば、何らかの原因でトランジスタN3のゲ
ート電位が上昇しないかぎり、アバランシェ降伏電圧は
高い値を保ち続け、たとえ上昇しても、トランジスタN
20が再び動作する。結果として、残留電荷によるなだ
れ降伏電圧の低下を抑制できるものである。
【0033】図2のプルダウン部33については、Vc
c=Vssにした場合には、トランジスタN31、N3
2のVgsは、これらトランジスタの寄生ダイオードに
より放電され、ほとんど0V〜0.4Vにあり、トラン
ジスタN31、N32はほとんどオフしている。
【0034】いま、出力ノードOT1にパルスを印加し
た時、パルスの立ち上がり時点を考える。容量Caの端
子間電圧はほとんど0Vにあるので、パルスの立上がり
と共に、容量の一端70は上昇する。そのレベルは、ノ
ード70に寄生する容量や、トランジスタN31、N3
2のリーク電流と、容量Caの容量値で決まる。上昇し
たノード70のレベルが、トランジスタN30のしきい
値電圧を越えると、トランジスタN30は急激にオン
し、トランジスタN3のゲート電位をVss(=Vc
c)にプルダウンする。従って、トランジスタN3のミ
ラー容量によってゲートに注入された電荷はVssに逃
がされ、注入電荷がない場合のアバランシェ降伏電圧ま
で、耐圧は改善される。この動作は、上記パルスが立ち
上がる度に行われる。結果として、注入電荷によるなだ
れ降伏電圧の低下を抑制できるものである。
【0035】パス・カット部34のトランジスタN40
は、ゲートがVssレベルになっているので、流れる電
流は、Vgs=0Vのときのリーク電流(オフリーク)
である。従って、バックゲート電圧補償用トランジスタ
N5のゲートが、残留電荷でわずかに浮いていることに
より大きなリーク電流があっても、直列接続されている
トランジスタN40によって、リーク電流が十分小さく
抑えられ、結果として、リーク電流によるなだれ降伏電
圧の低下を抑制できるものである。
【0036】さらに、トランジスタN40を出力ノード
OT1側に接続することにより、トランジスタN5のゲ
ートと共通になっているトランジスタN3のゲートへ
の、ミラー容量による電荷注入を防止でき、結果とし
て、注入電荷によるなだれ降伏電圧の低下を抑制できる
ものである。
【0037】以上の例は、図1の回路に対する本発明の
適用例を示したが、図6の回路に対しても、出力回路自
体が、図1と同構造であるから、同様に図6の回路へも
適用可能である。
【0038】以上の例から、上記の降伏電圧対策の考え
方を以下にまとめる。すなわち図1において、電源Vc
cを、図5の回路が正常動作しなくなる電圧以下まで落
としたとき、 (1)被対策NMOSトランジスタN3のP基板(寄生
バイポーラトランジスタのベース・ノード)を、ダイオ
ード動作するNMOSトランジスタN10を用いて、上
記バイポーラトランジスタのエミッタ側電位(Vcc=
Vss)にプルダウンする。
【0039】(2)ベース(P基板)電位をゲート信号
とするNMOSトランジスタN20を、被対策NMOS
トランジスタN3のゲートに接続し、ベース電位の上昇
に応じて、被対策NMOSトランジスタのゲートを、上
記寄生バイポーラトランジスタのエミッタ側電位(Vc
c=Vss)にプルダウンする。
【0040】(3)被対策NMOSトランジスタのゲー
トとドレイン間のミラー容量による該ゲート電位の上昇
を防止するために、該ゲートを上記寄生バイポーラのエ
ミッタ電位側にプルダウンするNMOSトランジスタN
30を接続し、そのゲートとドレイン間を容量Caで結
合する。容量Caで、被対策トランジスタのドレインに
印加された信号の立ち上がりを検出し、その立上がり時
に、プルダウン用NMOSトランジスタN30をオンさ
せ、被対策NMOSトランジスタのゲートに注入された
電荷を、上記エミッタ電位側にバイパスする。
【0041】(4)被対策NMOSトランジスタのP基
板とドレイン間に、バックゲート補償用NMOSトラン
ジスタがあり、Vcc=Vssにされたとき、残留電荷
がそのトランジスタN5のサブスレッショルド電流を発
生させる場合、そのトランジスタN5と被対策トランジ
スタのドレイン間に、Vccにゲートが接続されたNM
OSトランジスタN40を挿入する。電源オフでVcc
=Vssであるので、トランジスタN40はオフする。
このためトランジスタN5のオフリークはカットされる
ようになり、このオフリークに起因するトランジスタN
3のアバランシェ降伏を防止できるようになる。
【0042】前記トランジスタN3のミラー容量による
電荷注入に対する対策用の容量Caとしては、ノード7
0に寄生する容量を小さく抑えておくことが望ましく、
例えば2層のポリシリコンを用いて形成する。図3のよ
うに、容量Caを、MOSトランジスタのゲート容量を
用いて形成する場合は、図4のように、容量のゲート電
極側を、格子状レイアウトにするとよい。ここで51
は、ドレイン、ソース層が形成される拡散層、52は格
子状の1層ゲート・ポリシリコン電極、53は、ソー
ス、ドレイン層とこれらをアルミニウム配線層で共通接
続させる部分のコンタクト部である。
【0043】なお本発明は、上記実施例に限られること
なく、種々の応用が可能である。例えば、トランジスタ
N10、N20、N30は、VccとVss間の貫通電
流や、出力ノードOT1とVss間の貫通電流を無視す
れば、正常動作時(電源オン時)に、オンしていてもよ
いが、好ましくはオフしているほうがよい。トランジス
タN40は、正常動作時(電源オン時)には、オン抵抗
が充分小さいことが望ましい。また実施例では、NMO
Sトランジスタ回路として本発明の回路を形成したが、
本発明の主旨を理解すれば、PMOSトランジスタを用
いたときも、同様に実施できることは勿論である。また
本発明では、例えば図1に着目すれば、トランジスタN
4は、単に出力OT1のプルダウン用として付加された
ものと見なされるから、必須構成要件ではない。また入
力回路のNOR回路NOR1、NOR2は、これのみに
限られることなく、例えば図6のようにインバータ回路
を用いる等、種々変形可能である。また、アバランシェ
降伏の防止回路31〜34は、これらを全部一緒に設け
れば好ましいが、これらのあるものがさほど問題視され
ない場合は、選択的に用いてもよい。
【0044】
【発明の効果】以上説明したごとく本発明によれば、前
述の(1)の対策のように、アバランシェ降伏を引き起
こす電流を別電位へバイパスして、アバランシェ降伏が
生じないようにしたり、前述の(2)の対策のように、
ゲートしたの半導体表面で、いったんアバランシェ降伏
が起こってしまったとき、ゲート・ソース間電圧Vgs
=0Vになるようにゲート電位を制御し、上記降伏をス
トップさせるようにしたり、前述の(3)のように、ミ
ラー容量によりゲートに過渡的に電荷が注入されたとき
(例えばドレインにパルスが印加されたとき)、ドレイ
ンの電位変化を検出して、それに応じて注入された電荷
をバイパスし、そしてVgs=0Vになるようにゲート
電位を制御したり、また前述の(4)の対策のように、
ベースにリーク電流を注入するパスがあるため、その電
流パスを、Vgs=0Vにできる素子を挿入して、確実
にカットするようにしている。このような理由で、充分
なアバランシェ降伏電圧の改善が達成されるものであ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の回路図。
【図2】同回路の動作説明図。
【図3】本発明の他の実施例の回路図。
【図4】同実施例の一部詳細図。
【図5】従来のトランジスタ回路図。
【図6】従来のトランジスタ回路図。
【図7】本発明で用いるトランジスタの試験回路図。
【図8】同回路で得られた特性図。
【図9】同回路で得られた特性図。
【符号の説明】
11…別回路、31〜34…アバランシェ降伏防止回
路、N3…NMOSトランジスタ、OT1…出力端子。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 27/04 H01L 21/822 H03K 19/0175

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】電源端子Vcc、Vssの一方と出力端子
    との間にチャネル導電路が配置された第1のトランジス
    タと、前記出力端子に接続され別電源電圧で駆動される
    別回路と、前記電源端子のいずれか一方と前記第1のト
    ランジスタのバックゲートとの間に接続され、前記第1
    のトランジスタの非通常動作時にオンする第2のトラン
    ジスタとを具備し、前記第1のトランジスタの非通常動
    作時は、前記第1のトランジスタをオン状態にできない
    電源電圧状態であることを特徴とするトランジスタ回
    路。
  2. 【請求項2】前記第2のトランジスタは、前記第1のト
    ランジスタの通常動作時にオフするものである請求項1
    に記載のトランジスタ回路。
  3. 【請求項3】電源端子Vcc、Vssの一方と出力端子
    との間にチャネル導電路が配置された第1のトランジス
    タと、前記出力端子に接続され別電源電圧で駆動される
    別回路と、前記電源端子のいずれか一方と前記第1のト
    ランジスタのフロントゲートとの間にチャネル導電路が
    接続され、フロントゲートが前記第1のトランジスタの
    バックゲートに接続されて、前記第1のトランジスタが
    非通常動作時にオンする第3のトランジスタとを具備
    し、前記第1のトランジスタの非通常動作時は、前記第
    1のトランジスタをオン状態にできない電源電圧状態で
    あることを特徴とするトランジスタ回路。
  4. 【請求項4】前記第3のトランジスタは、前記第1のト
    ランジスタの通常動作時にオフするものである請求項3
    に記載のトランジスタ回路。
  5. 【請求項5】電源端子Vcc、Vssの一方と出力端子
    との間にチャネル導電路が配置された第1のトランジス
    タと、前記出力端子に接続され別電源電圧で駆動される
    別回路と、前記第1のトランジスタのフロントゲートと
    前記電源端子のいずれか一方との間にチャネル導電路が
    接続され、フロントゲートで前記出力端子の電位変化を
    検出して、前記第1のトランジスタの非通常動作時にオ
    ンする第4のトランジスタとを具備し、前記第1のトラ
    ンジスタの非通常動作時は、前記第1のトランジスタを
    オン状態にできない電源電圧状態であることを特徴とす
    るトランジスタ回路。
  6. 【請求項6】前記第4のトランジスタのフロントゲート
    は、容量を介して前記出力端子に接続される請求項5に
    記載のトランジスタ回路。
  7. 【請求項7】前記第4のトランジスタは、前記第1のト
    ランジスタの通常動作時にオフするものである請求項5
    または6に記載のトランジスタ回路。
  8. 【請求項8】電源端子Vcc、Vssの一方と出力端子
    との間にチャネル導電路が配置された第1のトランジス
    タと、前記出力端子に接続され別電源電圧で駆動される
    別回路と、前記第1のトランジスタのバックゲートと前
    記出力端子との間に直列接続された第5、第6のトラン
    ジスタとを具備し、前記第5のトランジスタは前記第1
    のトランジスタのフロントゲートに接続され、前記第6
    のトランジスタは、前記第1のトランジスタの通常動作
    時にオンすると共に非通常動作時にオフするものであ
    り、前記第1のトランジスタの非通常動作時は、前記第
    1のトランジスタをオン状態にできない電源電圧状態で
    あることを特徴とするトランジスタ回路。
  9. 【請求項9】前記第1のトランジスタの非通常動作時
    は、前記電源端子への電源供給がオフの時である請求項
    1ないし8のいずれか1項に記載のトランジスタ回路。
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