JP3160182B2 - 線材のスケール除去装置 - Google Patents

線材のスケール除去装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は酸洗により線材のスケー
ルを除去する装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】熱間圧延により製造された線材あるいは
二次加工工程で熱処理された鋼線の表面にはスケールが
形成されており、線材の二次加工伸線等に先立ち表面に
形成されたスケールを除去することが必要である。この
線材のスケールを除去する方法としては機械的方法と化
学的方法あるいは両者を組み合わせた方法がある。ま
た、化学的方法でも線材を軸芯方向に走行させて酸洗液
中を通過させるストランド方式と線材をコイル状のまま
酸洗液中に浸漬させるバッチ方式とがある。
【0003】近年、公害問題やコスト低減の観点から線
材を走行させながら曲げひずみを与え、スケールを除去
する機械的なメカニカルデスケーリング法も採用されて
いる。しかし、酸洗法は一度に大量の処理が可能であ
り、生産性が高く、各種鋼種への対応が容易であるこ
と、さらにスケールの除去とともに、表面肌の制御によ
る後工程の二次加工での潤滑剤の引き込み性の改善が可
能である等の利点を有していることから酸洗によるスケ
ールの除去が広く採用されている。
【0004】一方、線材コイルの酸洗を行う場合には線
材がリング状に束になって結束されているためにそれぞ
れの線材が重なり合い、コイル内部に酸溶液が浸透し難
く、コイル内部はスケールが残存し易いために後工程で
のトラブルの原因となる問題があった。
【0005】このような問題を解決するために特開昭5
4−114438号公報には線材コイルのバッチ酸洗時
に線材コイルに振動を加えると共に線材コイルをフック
上で円周方向に回転させ線材全長を均一に酸洗する方法
が、また、特開平3−68789号公報には酸洗浴内に
超音波振動子を設置し、酸洗時に超音波を付加して線材
コイル全体を均一に酸洗する方法が開示されている。
【0006】しかし、これらの従来技術では以下の問題
があり必ずしも線材コイル重なり部の酸洗性を改善する
ための技術としては満足できるものではなかった。酸洗
中にコイルを振動させる方法は装置が大がかりで設備コ
ストが大きくなり、設備化が容易にできないこと、さら
に騒音の発生による作業環境の悪化、および振動がクレ
ーンあるいは酸洗設備の建築物まで伝わり設備故障の原
因となり易い問題がある。このために酸洗時に振動を与
える方法はスケール除去性の改善効果はあっても実用時
の課題が多い技術である。
【0007】また、酸洗中に超音波振動を与える方法は
超音波振動子の設置位置が非常に重要で、超音波振動子
と線材コイルの最適な距離範囲が狭く、最適距離範囲を
はずれるとその効果が著しく悪化しスケール除去性の改
善効果が低下する。従って、スケールの除去性改善効果
を発揮するためには線材コイルと超音波振動子の距離を
確実にセットし、常に一定に調整する必要がある。この
ために、超音波振動による酸洗技術は高精度でのコイル
のセット作業が要求され、作業性の低下を招くため実用
性が乏しい技術である。また、超音波を発生するための
装置が高価であり、容易には実用化されにくい問題もあ
る。
【0008】そこで、本発明者は特願平6−21964
3号において線材コイルのバッチ酸洗処理時に酸洗槽内
の酸溶液を撹拌流動化させ、線材重なり部へ強制的に酸
溶液を供給して線材重なり部のスケール除去性を改善す
る方法としてガスを吹き込むことにより酸溶液を撹拌す
る方法を提案した。本発明では酸溶液をガスを吹き込ん
で撹拌するための設備について提案するものである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上記のように従来技術
は作業性、作業環境の悪化や装置コストの増大により実
用性が乏しく、最適なスケール除去設備とは言いがたい
面があった。そこで、本発明は、作業性、作業環境が良
好で、コンパクトで簡便かつ安価に効率良く線材コイル
の重なり部分のスケールの除去を行うための線材のスケ
ール除去装置を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明のスケール除去装置は線材コイルの長さより
長いガス吹き出しノズルを有するガス通気管を1本以
上、線材コイルの軸芯に対して平行かつ、線材コイルを
水平に懸垂支持可能なつり下げフックの一端に固定した
ことを特徴とするものである。
【0011】線材コイルと平行に取り付けたガス吹き出
しノズルを有するガス通気管が自転および上下左右に自
在に移動可能な構造とするものである。
【0012】本発明における線材コイルつり下げフック
の一端へのスケール除去装置の固定する方法は、酸洗処
理時にノズルの方向やノズルと線材の距離がずれること
なく確実にフックへ固定することが出来れば取り付け方
法は特に限定されるものではない。装置の構成の一例を
図1および図2に示す。ガス吹き出しノズル1を有する
ガス通気管2はフック4の一端に固定するために部材3
に固定される。部材3はピン7を介して取り付け部材5
によりフック4の周囲に締め付けるように固定する。取
り付け部材5は解放可能なようにすることによりフック
4への固定が容易に行うことができる。
【0013】さらにフック4への固定部材5とガス通気
管2を固定する部材3は摺動可能な固定ピン7を介して
接続され、固定部材3が固定ピン7を中心としてスイン
グによりガス通気管2が左右へ移動可能なようにする。
また、フック4と取り付け部材5の間に、ずれ防止のた
めのパッキング8を挿入することや、取り付け部材内面
に凹凸を設けて摩擦力を高め取り付け部材5がフック4
の円周方向に容易に回転しないようにすることが望まし
い。
【0014】また、ガス通気管2のノズル部分の長さL
1は少なくとも線材コイル9の長さL2以上とするが、
線材コイル9が短い場合にはガス吹き出しノズルを有す
るガス通気管の長さも短くすることが好ましい。また、
一定長さのガス通気管を連結する構造として任意にその
長さを調整可能な構造としたものも本発明のスケール除
去装置として使用可能である。
【0015】さらに本発明ではガスの吹き出し位置を制
御するためにガス吹き出しノズルを有するガス通気管2
を固定部材3に両側からボルト等の締め付け部材10に
て固定し、線材コイルの軸芯と平行になるように固定す
る。部材3にはガス通気管の勘合部の外径より大きい長
穴を開けておき、ガス通気管が上下へ移動可能なように
する。さらにガス通気管2は円周方向に自転出来るよう
にする。
【0016】また、ノズル1のガス通気管2への取り付
けピッチは短ければ短いほどより均一なガスの流れが確
保でき好ましいが、線材コイル9の全表面にガスが吹き
付けられ線材重なり部に酸溶液が流入できるようなガス
の流れ状況であれば特にピッチについては規定されるも
のではない。
【0017】本発明のガス吹き出し装置を構成する部材
は線材コイルと共に酸洗液に浸漬されるものであり、容
易に酸により侵されない材質のものが使用に好ましい
が、酸により浸食される鉄等の材料を用いた場合には肉
厚を厚くすることにより耐久性の高い装置を構成するこ
とが出来る。しかし、肉厚の増加により重量が増すため
に作業性の悪化が懸念され、重量と耐久性を考慮して適
当な厚さとすることが好ましい。
【0018】ガス吹き出しノズルを有するガス通気管2
は一端のみで固定することにより反対端はフックとの間
が解放され、ガス吹き出し装置を線材フック4に固定し
たままで線材コイル9をフック4にセットすることがで
き、作業性が非常に良好である。
【0019】さらにガス吹き出しノズル1を有するガス
通気管2は1本である必要は無く、線材コイルの大き
さ、形状、締め付け力等に応じて線材重なり部に均一に
酸洗液が流入するように複数本のガス通気管を設け、線
材コイルの円周方向に等間隔で設置することが望まし
い。
【0020】本発明の吹き込みガスは窒素、アルゴン等
の不活性ガスあるいは酸素を含有する空気等のいずれの
ガスでも使用可能であり特に限定されるものではなく酸
溶液をガスの流れと共に線材重なり部に供給可能で、酸
溶液と化学反応により毒性のガスを発生しないものであ
ればガスの種類は特に限定されないが入手の容易さ、使
用コストを考えると空気が好適である。このように本発
明のスケール除去装置は比較的簡単な構成で、前記目的
を達成できるように構成したものである。
【0021】
【作用】上記のように構成されたスケール除去装置にお
いて、ガス吹き出しノズルの作用は線材全体に均一にガ
スを吹き付け、線材重なり部にスケール除去能力の高い
酸溶液を流入させるためである。線材コイルの長さより
長いガス通気管で酸洗処理を行ってもスケールの除去性
改善効果は変わらないが線材に吹き出したガスが線材と
接触せず直接酸溶液の表面から吹き出すために酸溶液が
飛散し、作業環境を悪化する。逆に線材コイル長さより
ガスノズルの長さが短い場合は線材コイルに十分なガス
の吹き付けが行えず、ガスの吹き付けが不十分な部分で
はスケールの除去性が低下する。従って、作業環境の改
善の面からガス吹きだしノズルの長さL1は線材コイル
の長さL2以上で、長くても線材コイルの長さL2の
1.2倍以内の長さとすることが好ましい。
【0022】ガス通気管を線材コイルの軸芯と平行に設
置する理由は線材コイルの長手方向でガス吹き出しノズ
ルと線材コイルとの距離を一定に保ち、常に線材各部で
最大のスケール除去性を得るためである。線材重なり部
とガス吹き出しノズルとの距離が長すぎると線材表面で
のガス流速が低下し、これにともない線材重なり部へ酸
溶液を流入させるためのエネルギーも低下する。この結
果、新鮮な酸溶液が線材重なり部に流入しなくなりスケ
ールの除去性が低下する。一方、線材重なり部とガス吹
きだしノズルが近接しすぎるとガスのみが優先的に線材
重なり部に入り込み酸溶液が流入しなくなるためにスケ
ールの除去が行われなくなる。ガス圧力を調整しても線
材コイルとの距離が線材各部で異なる場合は、最適ガス
流速はノズルと線材の距離により異なるために調整が不
可能である。
【0023】また、スケール除去装置を線材コイルを懸
垂したフックに固定するのは酸洗作業中に線材コイルが
移動したりした場合でも、ガス吹き出しノズルを有する
ガス通気管は線材との距離を常に一定に保つために行う
ものである。スケール除去装置を線材コイルをつり下げ
ているフックに固定することにより線材が酸洗処理中に
移動した場合でも、同時にスケール除去装置も移動して
線材とガス吹きだしノズルの位置が変化しないようにし
た。この結果、線材コイルを酸洗槽の一定位置に精度良
く設置する必要なく常に線材とガス吹き出しノズルとの
距離が自動的に初期に設置した距離に位置することが出
来、常に線材重なり部に新鮮な酸溶液を連続的に供給す
ることが出来、最大のスケール除去性を確保できるもの
である。
【0024】線材コイルの捲取径は、圧延設備、捲取条
件により大きく異なる。又、二次加工においても熱処理
後の捲取径は一般に圧延線材の捲取径より小さい。従っ
て、圧延線材に適正な位置となるようにガス吹き込み装
置の形状を設計しても捲取径が小さい線材コイルではガ
ス吹き出しノズルと線材の距離が最適条件とはならない
場合がある。
【0025】そこで本発明のスケール除去装置は管状部
材とノズルからなる簡便かつコンパクトで安価なもの
で、線材コイルの形状が変化しても線材とガス吹き出し
ノズルの距離を容易かつ精度良く制御できるようにガス
吹き出しノズルが上下左右に移動可能とした。この結
果、線材の形状に応じて常にガスの吹き出し位置と方向
を最適に制御するため、どのような線材コイルでも常に
最適な位置にガス通気管を配置することが出来るもので
ある。
【0026】
【実施例】
(実施例1)3本のフープバンドでSWRH82A
5.5φ線材1トンを10トンの締め付け力で結束した
線材コイルを用いて酸洗処理を行った。線材のスケール
性状は厚さ10.3μm,組成は除去後スケールをX線
回折を行い強度ピーク比から求めFeO=64.4%,
Fe34=34.2%,Fe23 =1.4%であり地
鉄側からFeO,Fe34,Fe23が層状に形成され
ているものである。酸洗浴は塩酸濃度が20%,温度が
20℃,Fe2+濃度が22g/l,Fe3+濃度が4.3
g/lのものを使用した。
【0027】本発明のスケール除去装置の実施様態を図
1に示す。ガスは元圧力5kg/cm2 の工場圧空を用
いた。この元管から図示していない圧力調整バルブと耐
圧ゴムホースでノズルを有するガス通気管2にガスを供
給し、該ガス通気管2を線材コイル9を懸垂したフック
4の一端に固定した部材3にフック4と水平で、線材コ
イル9の中心に固定した。1トンの線材コイル9の長さ
が1.1mであったことから本発明のノズルを有するガ
ス通気管2の長さを1.25mとし、ガス通気管2には
50mmピッチで直径1.2mmのガス吹き出しノズル
1をガス通気管の上下左右の4方向に設置した。線材つ
り下げフック4に線材コイル9を固定した後、線材コイ
ル9の軸芯の位置にノズル1を有するガス通気管2が位
置するように上下およびスイングにより左右に移動させ
位置を調整した。この後に酸洗槽11内の塩酸液12
に、線材コイル全てを全没させて、圧力4kgf/cm
2 の圧縮空気1Nm3/minを流して、酸洗を行っ
た。
【0028】比較例として全くガスの吹き出しを行わな
かった従来のバッチ式の浸漬酸洗の条件、本発明の装置
でガス通気管を線材コイルの内部で線材の表面から50
mmの場所に位置させた条件、酸洗槽の底にノズルを有
するガス通気管を1mの間隔で酸洗槽の中央部にあらか
じめ設置した条件で酸洗処理を行った。酸洗時間は線材
の重なり部が全く存在しないカットサンプルのスケール
除去時間である3分の酸洗時間とした。
【0029】このような条件で酸洗を行った後のスケー
ル除去性の評価は線材表面に残っているスケールの重量
を求め残留スケールとして評価した。残留スケールの測
定は酸洗後、水洗槽で水洗処理を行い、乾燥してから行
った。残留スケールの測定は線材コイルの結束をはずし
た後に100リング間隔に2リング連続して採集し、1
リングを8等分に切断して重量を測定しW1とし、この
切断サンプルを地鉄の溶解を抑制するためにインヒビタ
ーを添加した塩酸溶液に浸漬して乾燥後再度重量を測定
しW2とし、以下の計算式より残留スケールを求めた。 残留スケール(重量%)=(W1−W2)/W1×10
0 このときスケールの完全除去時にインヒビ夕ーは添加し
ているものの地鉄が溶解して重量減が大きくなるために
ダミーとしてスケールの付着していないものをサンプル
と同じ長さに切断した線材をダミーとして酸洗してこの
重量変化を地鉄溶解重量として補正を行った。
【0030】図3に線材コイルの長手方向の残留スケー
ル量の変化を示す。本発明の装置で、線材コイルの中心
部からガスを吹き出した場合は線材コイルの長手方向全
長にわたり安定して残留スケールが減少し、ガスの吹き
込みを行わなかった場合に比べ約半分に低減した。ノズ
ルの位置が線材コイルの軸芯からずれてガスの吹き込み
を行った場合は、ガス吹き出し位置からの距離が長い線
材コイル部位と距離が短く高速でガスが吹き付けられる
線材コイル部位はスケールの除去性が悪化し、残留スケ
ールのばらつきが大きくなった。また、酸洗槽の底にガ
ス吹き出しノズルを設置した場合は残留スケールが低減
している部分があるものの長手方向でのばらつきが大き
く、十分なガス吹き込みの効果は得られないものであ
る。
【0031】さらに本発明の装置で酸洗処理を行った場
合は酸液が高速で移動するために線材表面での境膜層の
破壊、減少が起こり線材表層部での酸液の滞留が低減さ
れ図4に示すように単純な浸漬酸洗に比べ表面粗さが小
さく、局部的な孔食状の欠陥が低減し、線材の全周、全
長にわたり均一かつ最適な表面性状が得られた。
【0032】(実施例2)本発明のスケール除去装置を
用いてガス吹き出しノズルを有するガス通気管の長さを
変えてスケール除去性と作業環境への影響を検討した。
【0033】実施例1の1トンの線材コイル9の長さが
1.1mであったことから本発明のノズルを有するガス
通気管2を実施例1と同じ1.25mとし、ガス通気管
には50mmピッチで直径1.2mmのガス吹き出しノ
ズル1をガス通気管2の上下左右の4方向に設置した。
線材のつり下げフック4に線材コイル9を固定した後、
線材コイルの軸芯の位置にノズル1を有するガス通気管
2が位置するように上下およびスイングにより左右に移
動させ位置を調整した。この後に酸洗槽に浸漬してノズ
ルからの吹き出すガスの流速を実施例1と同じ条件と同
じになるように圧力調整バルブにて調整して、酸洗を行
った。
【0034】比較例として全くガスの吹き出しを行わな
かった従来のバッチ式の浸漬酸洗の条件、ガス通気管の
長さを1.8m,0.5mとして線材コイルより長さが
長い場合と短い場合で酸洗処理を行った。酸洗時間はカ
ットサンプルのスケール除去時間と同様の3分とした。
さらに酸洗処理時に酸溶液の飛散や酸洗液のガス化によ
る刺激臭の発生による作業環境の悪化が懸念されるため
に酸洗槽上部1mの位置でHCl濃度を検知管で測定し
た。
【0035】その結果、図5のように線材コイルの長さ
より長い1.25mと1.8mのガス通気管を用いて酸
洗処理を行った場合は線材コイル全長に亘りばらつきも
なく残留スケールが減少し、ガス吹き込みを行わなかっ
た従来の酸洗処理のものに比べ残留スケールが半減し、
酸洗時間も約1/2に短縮された。逆に、ガス吹き出し
ノズルを有するガス通気管が0.5mで、線材コイルよ
り短い場合はガスの吹き込みが行われなかった部分の残
留スケールが多くなり全くガスの吹き込みを行わなかっ
た場合とほぼ等しい残留スケールとなりスケールの除去
性が著しく悪化した。
【0036】また、ガス通気管の長さが1.25m、あ
るいは線材コイルの長さより短い0.5mの条件で酸洗
を行った場合は酸洗作業時の酸溶液の飛散が少なく、空
気吹き込みを行わなかった場合と同様の1.5ppmの
ガス濃度で、酸洗槽脇での刺激臭は空気吹き込みを行わ
なかった場合と同様に全く感じなかった。しかし、ガス
吹き出しノズルを1.8mと長くした場合は塩酸ガス濃
度が10ppmとなり強い刺激臭を感じ、作業環境の著
しい悪化となった。
【0037】
【発明の効果】本発明のスケール除去装置は駆動動力を
全く必要とせず、ノズルと管状部材および固定部材から
なる構成で、簡便かつコンパクトで安価な装置である。
線材コイルの浸漬酸洗において本発明のスケール除去装
置を用いて酸洗処理を行うことにより線材重なり部のス
ケール除去性が改善される。この結果、コイルの各部の
スケール除去が均一化され線材コイル全長に亘りスケー
ルの除去が短時間で均一に行われ、線材重なり部の残留
スケールが低減するために後工程での二次加工での伸線
時のトラブルもなく、良好な伸線状態が得られるもので
ある。さらに酸溶液の飛散やガス化による環境の酸濃度
の増加もないために作業環境やクレーン等の設備の腐食
の促進もなく良好な作業が可能であり、工業的に非常に
有用な発明である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の酸洗処理の一様態を示す側面図。
【図2】本発明の酸洗処理の一様態を示す正面図。
【図3】ガス通気管設置位置と残留スケール量の関係を
示す図。
【図4】ガス通気管設置位置と線材の表面粗さの関係を
示す図。
【図5】ガス通気管の長さと残留スケール量の関係を示
す図。
【符号の説明】
1 ノズル 2 ガス通気管 3 ガス通気管固定部材 4 線材コイル固定フック 5 フックへの取り付け部材 6 フックへの取り付ける部材の締め付け部材 7 ガス通気管固定部材のスイングピン 8 パッキン 9 線材コイル 10 ガス通気管固定部材 11 酸洗槽 12 酸液 L1 ノズル設置ガス通気管の長さ L2 線材コイルの長さ

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 線材をコイル状のまま酸洗液に浸漬して
    行うスケール除去装置において、線材コイルより長いガ
    ス吹き出しノズルを有するガス通気管を1本以上線材コ
    イルの軸芯に対して平行に、線材コイルを水平に懸垂支
    持可能なつり下げフックの一端に固定したことを特徴と
    する線材のスケール除去装置。
  2. 【請求項2】 線材をコイル状のまま酸洗液に浸漬して
    行うスケール除去装置において、線材コイルと平行に取
    り付けたガス吹き出しノズルを有するガス通気管が自転
    および上下左右に自在に移動可能な構造としたことを特
    徴とする請求項1記載の線材のスケール除去装置。
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