JP3159835U - 無落雪住宅の排水溝カバー - Google Patents

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敏信 藤原
敏信 藤原
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Abstract

【課題】 無落雪住宅の排水溝に溜まるゴミの状態を視認しやすい、低コストの排水溝カバーを提供する。【解決手段】 無色透明または有色透明の樹脂板を折曲して一体成形したものであり、排水溝の上方を覆う天蓋部11と、排水溝の上端部に嵌合させるための嵌合部21とを備える。嵌合部21は、天蓋部11の左右両側部分に配してなり、天蓋部の左右両側の端縁から下方に立ち下げた第一垂壁部22と、この第一垂壁部の下端縁から内側に向かって若干の傾斜角をもって折り曲げた傾斜面23と、この傾斜面の内側端縁から下方に立ち下げた第二垂壁部24と、この第二垂壁部の下方端縁から外側に向かって略水平に折り曲げた水平部25と、この水平部の外側端縁から下方に立ち下げた第三垂壁部26とを備えるよう構成する。また、天蓋部および第二垂壁部に、それぞれ複数個の孔部17、27を設ける。【選択図】 図1

Description

本考案は、無落雪住宅の排水溝に配設する排水溝カバーに関する。
冬期に多量の雪が降る降雪地では、住宅の屋根に積もった雪が建物の外側に落ちて人身事故等を起こすのを防止するため、図4、図5に例示するように、建物1の略中央部に向かって屋根面2を緩傾斜下降させた無落雪住宅(無落雪屋根の住宅)が広く知られている。
このような無落雪住宅の屋根面2には、建物の略中央に、雨雪水を集水して屋外へ排出するための排水溝5が設けられる。また、排水溝5の適当位置には、排水用のドレン(排水口;図示せず)が設けられ、当該排水口に接続させた排水管を介して雨雪水は屋外へと排出されるようになっている。
一方、排水溝5には外部から枯葉等のゴミが飛来して集まり、排水口(ドレン)を目詰まりさせる問題があった。かかる問題を解決するため、従来から、排水溝5には、ゴミよけネット等の被覆材を設けたり、硬質素材のカバー材を設けることがあった。
図6は、難錆金属であるアルミニウムまたは樹脂板を用いた、従来の排水溝カバー7を例示するものである。この排水溝カバー7は、二枚の板材7−1、7−2を組み合わせてなり、頂上稜線において一方の板材7−1の軸受け8が、他方の板材7−2の端縁を抱持して、拡開角度の調整が可能である。このため、排水溝5の幅が異なっても柔軟な幅調整が出来る。また、排水溝カバー7の両側に掛け渡したブリッジ(連結部;図示せず)によって、降雪重量に耐える強度を保証するようになっている(特許文献1)。
特開2001−317167号
いちばん大きな問題は、排水溝のドレンにゴミが溜まった場合に、それを視認しにくいという点である。
従来の無落雪住宅の排水溝カバーは、排水溝の上部を覆う構造であるため、排水溝にゴミが溜まるのを防止する効果はある。
しかしながら、春から冬になるまでの間に降る雨や、冬期の降雪が融けたときの融雪水を、排水溝に逃がすことが必要であることから、排水溝カバーの天蓋部分には必ず孔(排水孔)が設けられており、また、無落雪住宅の排水溝カバーは、排水溝の全長をカバーするように配されるわけではない。排水口(ドレン)まわりにだけ排水溝カバーを設けることも少なくない。
このため、排水孔から入り込むゴミや、排水溝カバーを設けていない部分から流れてくるゴミがドレン(排水口)に集まるが、従来の排水溝カバーはアルミニウム等の金属板等を組み合わせて成形しているため、排水口まわりのゴミの集まり具合は外部から視認しにくいものとなっている。
また、従来の排水溝カバーは、降雪の重量に耐える強度を確保するための連結材を設けるなど、構造が複雑であり製品コストの上昇を招いている。
そこで、本考案の目的は、無落雪住宅の排水溝に溜まるゴミの状態を視認しやすい、低コストの排水溝カバーを提供することにある。
前記目的を達成するため、本考案に係る排水溝カバーは、無色透明または有色透明の樹脂板を折曲して一体成形したものであり、排水溝の上方を覆う天蓋部と、排水溝の上端部に嵌合させるための嵌合部とを備え、該嵌合部は、天蓋部の左右両側部分に配してなり、天蓋部の左右両側の端縁から下方に立ち下げた第一垂壁部と、この第一垂壁部の下端縁から内側に向かって若干の傾斜角をもって折り曲げた傾斜面と、この傾斜面の内側端縁から下方に立ち下げた第二垂壁部と、この第二垂壁部の下方端縁から外側に向かって略水平に折り曲げた水平部と、この水平部の外側端縁から下方に立ち下げた第三垂壁部とを備えるよう構成し、前記天蓋部および前記第二垂壁部に、それぞれ複数個の孔部を設ける(請求項1)。
本考案に係る排水溝カバーは、無色透明または有色透明の樹脂板を折曲して一体成形するので、複数の板材を組み合わせて成形するよりも材料コストや製造コストを抑えることが出来、製品価格を抑制することが可能である。また、無色透明または有色透明の樹脂板を用いるので、排水溝カバーの外部から、ドレン(排水口)まわりに集まったゴミの状態を簡単に視認できる。排水溝カバーを取り外して点検する必要はない。メンテナンス上の作業効率が高まる。
従来の排水溝カバーのような連結材は設けない。無落雪住宅の屋根には、図7に示すように、屋内暖房の熱Hが小屋裏Rを通して常時加わっており、排水溝5まわりの雪S1は、すみやかに融ける。このため、排水溝カバーには大きな荷重はかかりにくく、従来の提案のような補強用の連結材を設けなくても排水溝カバーの破損は防止できるからである。なお、排水溝5まわりの雪S1の上部の雪S2は、摂氏0度に近い温度で残存し、この雪S2の上部の雪S3は外気温に近い温度で被さっている。外部から無落雪住宅の屋根の雪(S3)を観察すると、降雪の中に埋もれる排水溝カバーには大きな荷重がかかるように思えるが、実際には、小屋裏Rから与えられる熱Hよって最奥の雪(S1)は速やかに融けるので、降雪荷重に起因する排水溝カバーの変形や破損は連結材がなくても生じにくいと考えることが出来る。
天蓋部は、断面水平、断面逆V字、断面凸湾曲、断面V字、断面凹湾曲、のいずれか一つの形状を呈する場合がある(請求項2)。
すでに述べたように、排水溝カバーまわりの雪(S1)は、小屋裏Rから与えられる家屋内の熱Hによって融けるので、排水溝カバーにかかる加重負担は小さい。排水溝カバーの断面形状は、従来の山形(逆V字状)に限らず、断面水平、断面凸湾曲、断面V字(V字谷形)、断面凹湾曲(V字谷形湾曲)など、各種の形状をとることが可能である。
第一垂壁部、第二垂壁部、第三垂壁部は、上端から下端に向かって外側に若干の傾斜角をもって成形する場合がある(請求項3)。
透明な樹脂板を折曲成形する場合に、直角/垂直に無理な曲げ成形をするよりも、曲げの角度に余裕(あそび)をもたせて成形したほうが、成形加工も容易となるし、曲げ部分の強度を担保する点でも好ましいからである。
本考案に係る排水溝カバーによれば、無落雪住宅の排水溝に溜まるゴミの状態を外部から視認しやすく、製品コストも抑えることが可能となる。
実施形態に係る排水溝カバーを示す斜視図である。 実施形態に係る排水溝カバーを示す断面図である。 実施形態に係る排水溝カバーの装着状態を例示する図である。 無落雪住宅の屋根を例示する断面相当図である。 無落雪住宅の屋根を例示する斜視図である。 従来の排水溝カバーの装着例を示す図である。 無落雪住宅における暖房熱と積雪との関係を例示する図である。
図1、図2は、本考案に係る無落雪住宅の排水溝カバーを例示するものである。この排水溝カバー10は、無色透明または有色透明の樹脂板を折曲して一体成形したものである。無色透明または有色透明であるから、排水溝カバー10の外部から排水溝カバー10の内側を視認できる。
具体的な構造は、排水溝の上方を覆う天蓋部11と、排水溝の上端部に嵌合させるための嵌合部21とを備える。
嵌合部21は、天蓋部11の左右両側部分に配してなり、天蓋部11の左右両側の端縁から下方に立ち下げた第一垂壁部22と、この第一垂壁部22の下端縁から内側に向かって若干の傾斜角をもって折り曲げた傾斜面23と、この傾斜面23の内側端縁から下方に立ち下げた第二垂壁部24と、この第二垂壁部24の下方端縁から外側に向かって略水平に折り曲げた水平部25と、この水平部25の外側端縁から下方に立ち下げた第三垂壁部26とを備えるよう構成してある。
また、天蓋部11および第二垂壁部24には、それぞれ複数個の孔部17、27を設けてある。なお、図3に、排水溝5に、この排水溝カバー10を装着させた状態を例示する。符号Pは,無落雪屋根の葺き板である。
排水溝カバー10を成形するための透明の樹脂板は、例えば、ポリカーボネート樹脂平板、塩化ビニル平板等を使用できる。これらは市場に広く流通しており、入手も容易であって製品価格も低廉である。
排水溝カバー10の長手寸法は任意であるが、例えば、仮に長手寸法を100cmとした場合、透明樹脂板もそれに合わせて予め長手寸法を整えておくことが望ましい。
排水溝カバー10の短手寸法は、概ね30cm程度に設定することが望ましい。排水溝の幅が、概ね30cm程度に設計されるからである。ただし、排水溝カバー10の短手方向は、樹脂板を折曲することによって、天蓋部11、第一垂壁部22、傾斜面23、第二垂壁部24、水平部25、第三垂壁部26を形成するようにしてあるから、原材料となる透明樹脂板の短手寸法は、概ね50cm程度が必要である。これは例えば、天蓋部11の幅を30cmとて、第一垂壁部22のそれぞれに15mm、傾斜面23のそれぞれに35mm、第二垂壁部24のそれぞれに20mm、水平部25のそれぞれに15mm、第三垂壁部26のそれぞれに15mmの寸法を与えたとき、短手方向の寸法総計が約50mmとなるからである。
原材料となる透明樹脂板の肉厚は、例えば、2〜8mm程度である。この範囲の肉厚をもった透明樹脂板は市場に広く流通しており、入手も容易である。
透明樹脂板の折曲は、肉厚3mm以上の透明樹脂板を用いる場合は、熱処理加工によって折り曲げる。熱処理加工は、例えば、熱線ヒータを加工用ベンダーの下刃に取り付け、120℃程度で約1分ほど加熱したあと折り曲げればよい。樹脂の種類や肉厚によって加熱温度には若干の相異があるが、概ね、120〜160℃の範囲で一分程度の加熱を行えば、市販されている類の透明樹脂の折り曲げ加工は可能である。なお、透明樹脂板の肉厚を3mm以下とする場合は、加熱しなくても常温で折曲できる(いわゆる冷間曲げ)。降雪量がさほど多くない地方では、透明樹脂板の肉厚を3mm以下としても良い場合がある。
この実施形態では、天蓋部11を逆V字状として成形してある。降雪時の重量軽減に優れた形状であり、雨水や融雪水を排水溝に流し落とすにも適した形状であって、天蓋部11の長手方向に沿って緩やかな折曲を行えば容易に成形できるからである。
天蓋部11の傾斜角度は、緩やかで良い。天蓋部11には、小屋裏を介して屋内の熱が加わり、大きな積雪荷重は加わらないからである。天蓋部11を断面逆V字状とする場合、傾斜角度は、例えば、5〜10度で良い。さらに云えば、住宅に人が居住して暖房を使っている限り、もともと、この天蓋部11には、大きな積雪荷重が加わらない。小屋裏から熱が加わるからである。従って、天蓋部11の形状は、フラットな平板であっても良いし、谷形をなすV字状、U字状であっても構わない。もちろん、断面逆U字状のドーム形でも良い。
本実施形態において、天蓋部11の形状を断面逆V字状としてあるのは、専ら、小屋裏を介して与えられる熱と、それに伴う融雪現象に対する十分な理解をもたないユーザに対して心理的な安心感を与え、需要を確保するためである。
天蓋部11には、雨水、降雪、融雪水等を排水溝に逃がすための複数個の孔部を17を設けておく。孔部17の形状は任意であるが、成形しやすい円形とするのが望ましい。孔部17の径は、天蓋部11にかかる降雪重量に耐える剛性を損なわない範囲で、ある程度の大きさをもたせることが望ましい。例えば、18〜25mmである。径22mmが最も好ましい。透明樹脂板の肉厚を5〜8mmとした場合に、十分な剛性を確保でき、ドリル径(例えばステップドリル)との関係で、成形しやすいからである。
排水溝5の上端部(葺き板Pの先端近傍)に嵌合させるための嵌合部21は、第一垂壁部22、傾斜面23、第二垂壁部24、水平部25、第三垂壁部26を備える。排水溝5の上端部を構成している屋根の葺き板Pの突出部が、傾斜面23、第二垂壁部24、水平部25が作る凹部に嵌合するようにさせてある。
そして、凹部の最奥に位置する第二垂壁部24に、雨水や融雪水を排水溝5に逃がすための孔部27を設ける。無落雪住宅の屋根は緩やかに傾斜しているので、当該屋根(P)を伝わって流れ落ちる雨水や融雪水は、屋根(P)の先端部の突き当たりに位置する第二垂壁部24の孔部27を通って、速やかに排水溝5に流れる。第二垂壁部24の上下寸法は過度に大きくする必要がなく、例えば10〜20mm、好ましくは15mm程度に設定しておけばよいので、当該第二垂壁部24に設ける孔部27も、その径寸は、第二垂壁部24の剛性を損なわない程度の大きさにしておくことが望ましい。例えば、径寸法7〜12mm、好ましくは9mm程度である。
排水溝5の上端部に排水溝カバー10を装着する場合、葺き板Pの突出部と嵌合させるための凹部(傾斜面23、第二垂壁部24、水平部25)があればよく、第三垂壁部26は必要がないとも云える。しかしながら、嵌合部21に第三垂壁部26を設けることによって、凹部(傾斜面23、第二垂壁部24、水平部25)まわりの剛性が高まり、また、装着時、取り外し時の作業性が向上する等の利点が生まれる。この排水溝カバー10は、透明樹脂板によって一体成形してあるので、第三垂壁部26の外側に若干の力を与えることによって、屋根の葺き板Pの先端部に容易に凹部を嵌合させ、容易に取り外すことが出来るからである。
従って、かかる排水溝カバー10によれば、排水溝カバー10の内側の状態、とくにドレンまわりのゴミの状態を外部から容易に視認して、必要に応じた適切な処置を講ずることが出来る。また、樹脂板の一体成形品であるから、製品コストを抑えることが可能である。嵌合部21は、押圧すれば撓むので、装着させやすく、取り外しも容易である。
積雪荷重に抗するための不必要な連結材をもたないため、製造、保管、搬送、設置、撤去の各段において、作業効率を確実に向上させることが出来る。
なお、本考案に係る排水溝カバー10は、前記説明のものに限定されない。例えば、天蓋部11の断面形状は、逆V字状に限定されない。これはすでに述べた通りである。別荘住宅のように、ひとがいない時間が長い無落雪住宅であれば、排水溝カバー10の天蓋部11の形状は、断面略逆Y字状、断面略逆U字状とすることが望ましいのであるが、都市住宅のように常時ひとが居住して暖房している無落雪住宅では、小屋裏を通した熱によって排水溝カバー10まわりの雪は速やかに溶ける。このため、降雪重量を特に考慮しなくても天蓋部11は破損しにくいからである。平板状、V字状、U字状、矩形凹状などの形状であっても構わない。融雪溝と排水溝カバー10とが作る空間体積が小さいほど、小屋裏からの熱による融雪効率が高めやすい。
嵌合部21を構成する、第一垂壁部22、第二垂壁部24、水平部25、第三垂壁部26の傾斜角度は、とくに限定されない。傾斜面23の傾斜角度は、無落雪住宅の屋根(P)の傾斜角を考慮して設定することが望ましい。無落雪住宅の屋根(P)の傾斜は、概ね、15〜25度程度であるから、それよりも若干大きく、余裕をもたせた角度、例えば25〜45度に設定しておけば、傾斜角の異なる各種タイプの無落雪屋根にも柔軟に対応して適用することが可能となる。
5 排水溝
10 排水溝カバー
11 天蓋部
17、27 孔部
21 嵌合部
22 第一垂壁部
23 傾斜部
24 第二垂壁部
25 水平部
26 第三垂壁部
P 葺き板

Claims (3)

  1. 樹脂板を折曲形成してなる無落雪住宅の排水溝カバーであって、
    この排水溝カバーは、
    無色透明または有色透明の樹脂板を折曲して一体成形したものであり、
    排水溝の上方を覆う天蓋部と、
    排水溝の上端部に嵌合させるための嵌合部とを備え、
    該嵌合部は、
    天蓋部の左右両側部分に配してなり、
    天蓋部の左右両側の端縁から下方に立ち下げた第一垂壁部と、
    この第一垂壁部の下端縁から内側に向かって若干の傾斜角をもって折り曲げた傾斜面と、
    この傾斜面の内側端縁から下方に立ち下げた第二垂壁部と、
    この第二垂壁部の下方端縁から外側に向かって略水平に折り曲げた水平部と、
    この水平部の外側端縁から下方に立ち下げた第三垂壁部とを備えるよう構成し、
    前記天蓋部および前記第二垂壁部に、それぞれ複数個の孔部を設けたことを特徴とする無落雪住宅の排水溝カバー。
  2. 天蓋部は、断面水平、断面逆V字、断面凸湾曲、断面V字、断面凹湾曲、のいずれか一つの形状を呈することを特徴とする請求項1記載の無落雪住宅の排水溝カバー。
  3. 第一垂壁部、第二垂壁部、第三垂壁部は、上端から下端に向かって外側に若干の傾斜角をもって成形することを特徴とする請求項1または請求項2のいずれか一項に記載の無落雪住宅の排水溝カバー。
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