JP3159771B2 - 鋳型材 - Google Patents

鋳型材

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JP3159771B2
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広泰 西田
登 千住
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触媒化成工業株式会社
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、鋳造品を製造する際に
用いられる鋳型材に関するものである。
【0002】
【従来技術とその問題点】従来、ジルコンサンド、珪
砂、セラミックスパウダー、アルミナ、ムライト、シャ
モット等の耐火性材料に、シリカゾル、珪酸ソーダ、ア
ミンシリケート、エチルシリケート加水分解液等、各種
のバインダーを配合して鋳型材が造型されている。上記
公知、公用の鋳型材は、乾燥性、耐水性および鋳型表面
の改質性などの点において、それぞれ固有の長所を有し
ているが、生型強度や焼成強度の点では未だ改善の余地
が残されている。
【0003】
【発明の目的】本発明は生型強度や焼成強度の高い鋳型
材を提供することを目的とする。
【0004】
【発明の概要】本発明の鋳型材は、耐火性材料に、結合
剤として、シリカとシリカ以外の無機酸化物の1種また
は2種以上の複合酸化物であって、その平均粒径(Dp)
と比表面積(S)が、不等式 S(m2/g)≧3000/ Dp(nm) を満足する微粒子が分散した複合酸化物ゾルを配合して
造型したことを特徴とするものである。
【0005】
【発明の具体的な説明】本発明の鋳型材は、耐火性材料
としてジルコンサンド、珪砂、セラミックスパウダー、
アルミナ、ムライト、シャモット等を使用することがで
きる。
【0006】次に、本発明の鋳型材はバインダーとし
て、複合酸化物ゾルを用いるが、この複合酸化物は、シ
リカとシリカ以外の無機酸化物とからなる複合酸化物で
あって、それぞれの酸化物の混合物ではない。無機酸化
物としては、周期表の3A族、3B族、4A族、4B
族、5A族、5B族、6族の金属または非金属の元素
の酸化物を挙げることができ、具体的には、Al
2 3 、B2 3 、TiO2 、ZrO2 、SnO2 、C
2 3 、P25 、Sb2 3 、MoO3 、WO3
がある。
【0007】上記無機酸化物に対するシリカの複合割合
(モル比)は、0.5乃至20の範囲が適当である。こ
の比が20を越えると、後記する微粒子の比表面積が小
さくなり、一方、0.5未満では、微粒子の比表面積は
殆ど増加しなくなる。また、ゾルの安定性も劣ってく
る。
【0008】本発明で用いる複合酸化物ゾルは、ゾル中
に分散した複合酸化物の微粒子の比表面積S(m2/g)
が、大きいことが特徴であり、具体的には微粒子の平均
粒径をDp(nm)で表した場合、不等式 S(m2/g)≧3000/ Dp(nm) を満足する微粒子が分散したゾルである。
【0009】次に、複合酸化物ゾルの製造について詳述
する。シリカの原料としては、アルカリ金属、アンモニ
ウムまたは有機塩基の珪酸塩を用いる。アルカリ金属の
珪酸塩としては、珪酸ナトリウム(水ガラス)や珪酸カ
リウムが用いられる。有機塩基としては、テトラエチル
アンモニウム塩などの第4級アンモニウム塩、モノエタ
ノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールア
ミンなどのアミン類を挙げることができ、アンモニウム
の珪酸塩または有機塩基の珪酸塩には、珪酸液にアンモ
ニア、第4級アンモニウム水酸化物、アミン化合物など
を添加したアルカリ性溶液も含まれる。
【0010】また、無機酸化物の原料としては、アルカ
リ可溶の無機化合物を用い、前記した金属または非金属
のオキソ酸のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属
塩、アンモニウム塩、第4級アンモニウム塩を挙げるこ
とができ、より具体的には、アルミン酸ナトリウム、四
硼酸ナトリウム、炭酸ジルコニルアンモニウム、アンチ
モン酸カリウム、錫酸カリウム、アルミノ珪酸ナトリウ
ム、モリブデン酸ナトリウム、硝酸セリウムアンモニウ
ム、燐酸ナトリウムが適当である。
【0011】複合酸化物ゾルを生成するには、予め、前
記化合物のアルカリ水溶液を個別に調製するか、また
は、混合水溶液を調製しておき、この水溶液を目的とす
る複合酸化物の複合割合に応じて、pH10以上のアル
カリ水溶液中に撹拌しながら徐々に添加する。これらの
水溶液の添加と同時に同溶液のpH値は変化するが、本
発明ではこのpH値を所定の範囲に制御するような操作
は特に必要ない。水溶液は、最終的に、無機酸化物の種
類とその複合割合とによって定まるpH値に落ち着く。
pHを所定の範囲に制御するとき、例えば酸を添加する
ことがあるが、この場合、添加された酸により複合酸化
物の原料の金属の塩が生成し、このためゾルの安定性が
低下することがある。なお、このときの水溶液の添加速
度には格別の制限はない。
【0012】シード粒子の分散液を出発原料として、複
合酸化物ゾルを製造することも可能である。この場合に
は、シード粒子として、SiO2 、Al2 3 、TiO
2 またはZrO2 等の無機酸化物またはこれらの複合酸
化物の微粒子が用いられ、通常、これらのゾルを用いる
ことができる。勿論、前記した製造方法によって得られ
たゾルをシード粒子分散液としてもよい。
【0013】このpH10以上に調整したシード粒子分
散液中に前記化合物の水溶液を、上記したアルカリ水溶
液中に添加する方法と同様にして、撹拌しながら添加す
る。この場合も、分散液のpH制御は行わず成り行きに
任せる。このように、シード粒子を核として複合酸化物
粒子を成長させると、成長粒子の粒径コントロールが容
易であり、粒度の揃ったものを得ることができる。
【0014】上記したシリカ原料および無機酸化物原料
はアルカリ側で高い溶解度をもっている。しかしなが
ら、この溶解度の大きいpH領域で両者を混合すると、
珪酸イオンおよびアルミン酸イオンなどのオキソ酸イオ
ンの溶解度が低下し、これらの複合物が析出してコロイ
ド粒子に成長したり、あるいは、シード粒子上に析出し
て粒子成長が起こる。従って、コロイド粒子の析出、成
長に際して、従来法のようなpH制御は不要となる。ま
た、このようにして得られたゾルのコロイド粒子は従来
法によるコロイド粒子と異なり、大きな比表面積をもっ
ており、従って、多孔質となる。
【0015】上記の微粒子が分散したゾルを濃縮する場
合には、予め分散液中のアルカリ金属イオン、アルカリ
土類金属イオンおよびアンモニウムイオン等の一部を除
去した後に濃縮したほうが、複合酸化物微粒子が分散し
た安定な濃縮ゾルが得られる。除去方法としては、限外
濾過等の公知の方法を採用する。
【0016】このようにして得られた複合酸化物ゾルを
バインダーとして耐火性材料に配合するときの割合は、
〔バインダー中の固形分の重量〕/〔耐火性材料の重
量〕=0.005〜0.5 の範囲が好ましく、特に、ロストワ
ックス型などの精密鋳造の場合には、0.05〜0.3 の範囲
が好ましい。
【0017】上述したように耐火性材料とバインダーと
を上記の割合で配合した後、造型して、砂型の中、生
型、乾燥型、シェル型およびホットボックス型など
の熱硬化鋳型、CO2 型などのガス硬化鋳型、ロス
トワックス型やショウ型などの焼成鋳型、および自硬
性鋳型等、各種鋳型材とすることができる。
【0018】
【実施例】
〔バインダーの調製〕調製例1 平均粒径5nm、SiO2 濃度20重量%のシリカゾル2
0gと純水380gの混合物を80℃に加温した。この
反応母液のpHは10.5であり、同母液にSiO2
して1.5重量%の珪酸ナトリウム水溶液1800gと
Al2 3 として0.5重量%のアルミン酸ナトリウム
水溶液1800gとを同時に添加した。添加速度は5ml
/分であり、その間、反応液の温度を80℃に保持し
た。反応液のpHは添加直後、12.5に上昇し、その
後、殆ど変化しなかった。添加終了後、反応液を室温ま
で冷却し、SiO2 ・Al2 3 複合酸化物ゾル(a)
を得た。
【0019】この複合酸化物ゾル中に分散したコロイド
粒子の比表面積と平均粒径を表1に示す。なお、比表面
積はタイトレーション法〔Analytical Chemistry Vol.2
8,No.12(1956) 〕に基づいて測定し、平均粒径は動的光
散乱法により測定した。
【0020】調製例2 調製例1のアルミン酸ナトリウム水溶液の代わりに、B
2 3 として0.5重量%の四硼酸ナトリウム水溶液1
800gを用いた以外は調製例1と同様にして、SiO
2 ・B2 3 複合酸化物ゾル(b)を得た。
【0021】調製例3 調製例1のアルミン酸ナトリウム水溶液の代わりに、Z
rO2 として0.5重量%の炭酸ジルコニルアンモニウ
ム水溶液1800gを用いた以外は調製例1と同様にし
て、SiO2 ・ZrO2 複合酸化物ゾル(z)を得た。
【0022】調製例4 調製例1のアルミン酸ナトリウム水溶液の代わりに、W
3 として0.5重量%のタングステン酸アンモニウム
水溶液1800gを用いた以外は調製例1と同様にし
て、SiO2 ・WO3 複合酸化物ゾル(w)を得た。
【0023】
【表1】
【0024】〔成型体の調製、評価〕実施例1 ジルコンフラワー250gおよびジルコンサンド500
gに、前記複合酸化物ゾルa、b、zおよびwを純水で
20重量%に希釈したもの30gを、それぞれバインダ
ーとして混合し、スラリーを調合した。これらのスラリ
ーを内径20mm、高さ24mmの円筒型容器に注ぎ、成型
圧70Kg/cm2で成型し、室温で30分間乾燥して成型体
A、B、ZおよびWを3個ずつ得た。
【0025】強度試験 上記成型体を120℃で乾燥、または900℃で焼成し
た後、冷却時(120℃または900℃に加熱後、室温
まで冷却)および熱間時(900℃)の圧縮強度を油圧
式強度試験機にて測定した。測定結果を表2に示す。
【0026】比較例1 平均粒径11nmのシリカゾル(触媒化成工業製、Catalo
id SI-30、SiO2 濃度20重量%)をバインダーとし
て、実施例1と同様にして成型体Sを製造した。また、
この成型体Sの圧縮強度を上記強度試験と同様にして測
定した。測定結果を表2に示す。
【0027】
【表2】 圧縮強度(Kg/cm2 バインダー 冷却(120℃) 熱間(900℃) 冷却(900℃) A 22 114 75 B 16 44 24 Z 23 100 40 W 21 70 30 S 11 34 22
【0028】
【発明の効果】本発明の鋳型材は生型強度や焼成強度が
高く、各種砂型の鋳型材として幅広い用途に適用するこ
とができる。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B22C 1/00 - 1/26

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 耐火性材料に、結合剤として、シリカと
    シリカ以外の無機酸化物の1種または2種以上の複合酸
    化物であって、その平均粒径(Dp)と比表面積(S)
    が、不等式 S(m2/g)≧3000/ Dp(nm) を満足する微粒子が分散した複合酸化物ゾルを配合して
    造型したことを特徴とする鋳型材。
  2. 【請求項2】 前記微粒子が不等式 S(m 2 /g)≧16500/ Dp(nmを満足する請求項1記載の鋳型材
  3. 【請求項3】 前記耐火性材料に対する前記複合酸化物
    ゾル中の固形分の重量比が、0.005〜0.5である
    請求項1または請求項2記載の鋳型材
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