JP3159281U - 試料測定装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】固体試料測定時に、微小試料測定時の積分球の感度不足を補うための簡便な透過測定装置を提供する。【解決手段】分光光度計の試料室内部に設置され、積分球1を容易に着脱できるように基板10に保持する。微小試料測定時には、積分球1を取り外し、試料測定台17を取り付ける。試料測定台17は、光束を2mm以下に絞って光電子増倍管に導くための集光光学系を備える。微小な試料3は水平な試料ホルダ19上に置かれ、その下には、拡散板が必要に応じて挿入できる。【選択図】 図1
Description
本考案は、種々の試料の光吸収を測定して定量・定性分析を行う分光光度計を用いて、特に微小な固体試料を測定するための装置に関する。
分光光度計を用いて、半透明ガラスの散乱光やテーパーガラスの透過光を測定する場合や、各種の固体試料の散乱反射光を測定する場合には、従来、分光光度計の試料室内に取り付けられた積分球が広く利用されている(例えば特許文献1参照)。
積分球は、金属あるいはプラスチックのブロック内部に、球形の空間が包設されたものである。この球腔の壁面に複数の窓が開設されており、それらは、光の入射・出射のための窓として、あるいは測定試料や標準試料の設置に用いられる。積分球の内壁面には、広い波長範囲にわたって100%に近い、しかも均一な反射率を持つ物質(例えば微粉末状の硫酸バリウム)が塗布されている。
図2は従来の積分球の使用例の概念図であり、積分球1の中心を通る水平面で切断した断面を示している。ダブルビーム分光光度計に適用した場合には、試料室にはサンプル側光束LSとリファレンス側光束LRが交互に導入されている。サンプル側光束LSは窓8eの前に設置された試料3を透過して積分球内に入射する。窓8eと積分球の中心を挟んで対向する別個の窓8xには標準白板4sがホルダ5によって取り付けられている。リファレンス側光束LRは、ミラー6によって窓9eに入射し、窓9xにホルダ5によって取り付けられた標準白板4rを照射する。標準白板4s、4rは、積分球1の内壁同様に、微粉末状硫酸バリウムをホルダ5内に充填したものが一般的に使用される。
試料3を透過した光は、直進光も拡散光も共に積分球1内に取り込まれる。直進光も拡散光も壁面で多重反射されて均一な強度となる。窓9eに入射し、窓9xにホルダ5によって取り付けられた標準白板4rによって散乱されたリファレンス側光束LRも、多重反射によって、均一の強度で積分球内壁を覆う。
積分球1の内壁下部に窓7が開けられており、その直下に光検出のための光電子増倍管2が取り付けられている。窓7から試料3を透過した光の一部分と、リファレンス光の一部分が交互に光電子増倍管2に入射する。両者の強度比から試料3の透過測定値が得られる。
積分球を用いて反射測定を行う場合には、図2における試料3を取り外し、図2の窓8x上の標準白板4sとは別にこの位置に測定対象の試料を装填する。窓8x上の試料の表面で反射した光は積分球1内部で均一化し、窓7から光電子増倍管2に入射して、反射測定が行われる。
シングルビーム分光光度計に適用した場合には、図2におけるリファレンス側光束LRは存在せず、測定はサンプル側光束LSのみによって行われる。
積分球による測定方法は上述の特徴を有し広く使われているが、他方で以下の欠点がある。
第1に、積分球1に入射した光は、積分球1の内壁で多重反射する間に強度が減衰する。第2に、窓7の面積が球面全体に比して小さいことから光電子増倍管2に取り込まれる光量は全体のわずかな部分であるため、光強度が不足して、測定精度が低下する。このため、サンプル側光束LSの断面より小さなサイズの微小試料の透過測定は、積分球を用いた方法の適用は極めて困難である。微小なアパーチャによって、光束の不要部分を遮断する方法が微小試料に一般的に採用される光学的手法であるが、これはさらに光量を低下させるため、積分球と共に用いることはできない。
また、積分球法では、透過測定のための試料の設置が縦置きであるため、試料の保持が困難であることが多い。
本考案は、上記の課題を解決するために、積分球による測定と、積分球によらない微小試料の測定を容易に切り替えて行うことができる試料測定装置に関し、光電子増倍管を下面に備え、位置決め機構を上面に備えた基板と、前記位置決め機構によって前記基板上に容易に着脱可能に配設される積分球と、前記位置決め機構によって前記基板上に容易に着脱可能に配設される試料測定台とによって構成され、前記積分球と前記試料測定台とが互いに交替可能で前記基板上に配設されることを特徴とする。
また、前記試料測定台は、前記基板上に設置されるステージと、前記ステージ上中央に固定され、水平な上面を有する試料ホルダと、前記試料ホルダの下部に置かれた拡散板と、光を前記試料ホルダ中心に上部より集光する集光光学系とによって構成されていることを特徴とする。
さらに、前記集光光学系によって集光された光束の直径が前記試料ホルダ面上において2mm以下であることを特徴とする。
本考案によれば、光束の断面積より大きな試料は、積分球を用いて高精度の測定が可能である。一方、積分球では測定困難な微小な試料は、試料測定台によって得られる微小な光束を用いて、透過測定が可能になる。試料内部の濁りなどによって光が散乱される場合には、試料直下に置かれた散乱板の働きで透過光を効率よく光電子増倍管に導入できるため、精度の高い測定が可能となる。さらに、垂直に設置することが困難な不定形の試料も、水平な試料ホルダ上に安定に保持して測定することができる。これにより、積分球の利点を保持し、積分球の欠点を試料測定台によって克服する、新しい試料測定装置を実現する。
本考案にかかる試料測定装置は、分光光度計の試料室内に設置される。
図1に本考案の試料測定装置の1実施例を示す。本試料測定装置は、測定対象試料の特性に応じて二つのモードのいずれか一方を採用する。
第1のモードにおける使用測定装置の構成を図1(A)に示す。
基板10は支柱15を介して分光光度計の試料室底板16にねじ12によって固定され、基板10の上面には2本の位置決めのためピン13が設けられている。また、基板10の下面には、光電子増倍管2が保持具14によって取り付けられている。
基板10は支柱15を介して分光光度計の試料室底板16にねじ12によって固定され、基板10の上面には2本の位置決めのためピン13が設けられている。また、基板10の下面には、光電子増倍管2が保持具14によって取り付けられている。
第1のモードで使用される積分球1が基板10上に搭載される。この場合積分球1の設置位置の正確さは2本のピン13を積分球下面に開削された2個のピン穴に合致させることによって保証される。さらに、2個のねじ11を締めて、積分球を基板10に固定する。
積分球1を用いる測定方法は、背景技術の項で説明した従来の積分球による測定法と全く変わらない。透過測定の場合には、試料3を透過したサンプル側光束LSは積分球1内に拡散入射し、積分球1の内壁で多重反射され、光電子増倍管2に入射する。反射測定の場合には試料3は、ホルダ5で保持された標準白板4sの位置に置かれ、その表面で拡散反射された光が、積分球1内壁で多重反射し、光電子増倍管2に入射する。
本実施例の第2のモードを図1(B)に示す。第1のモードで使用された積分球1は、ねじ11を緩めて基板10より取り外され、替りに試料測定台17が基板10上に取り付けられる。
試料測定台17は、ステージ18と、試料ホルダ19と、ミラー支持具23に保持された2枚のミラー21、22から構成され、前記構成体の構成要素は一体化した形で組み立てられている。ステージ18には位置決めのピン穴が設けられており、これを基板10上のピン13に合致させて取り付ければ、試料測定台17の位置の正確度は保証される。試料測定台17の固定は、積分球1の場合と同様にねじ11にてステージ18を基板10に締め付けることによって行われる。
試料測定台17を基板10上に設置した時、サンプル側光束LSの光軸はミラー21の中心に合致する。本実施例のミラー21は平面鏡であり、ミラー21によって反射された光はミラー22に送られる。本実施例におけるミラー22は凹面鏡であり、ミラー22の中心は試料ホルダ19の開口部の中心を通る鉛直線上にある。ミラー22によって反射されたサンプル側光束LSは、正確に試料ホルダ19の開口部の中心を通過する。また、ミラー22によって、光束はシャープに収束され、試料ホルダ19面上における光束の直径は2mm以下になっている。この光束は、試料ホルダ19上に置かれた微小な試料3を透過して、基板10下部に保持された光電子増倍管2に入射する。
光電子増倍管の感度は、受光面全域において均一ではなく、場所によって変化していることが多い。この場合、内部の濁り等による部分的な光散乱を生じる試料では、試料測定時の透過光束断面の光強度分布が、試料を搭載しないベースライン補正時の光束断面の光強度分布と大きく異なるため、正しい透過率測定を行うことが困難である。この問題点を克服するために、本実施例の第2のモードでは、試料ホルダの直下に拡散板20を挿入することができる。拡散板20は、オパールガラスのように全体に濁っている光学材料や、石英板の表面を擦りガラス状に腐食させたものも使用される。これによって試料3を透過した光は拡散板20の内部で拡散され、光束断面の強度の不均一性が解消された状態で光電子増倍管の受光面に効率よく集められる。これによって、精度の高い測定が可能となる。
透過スペクトル測定においては、試料ホルダ19上に試料が置かれていない状態で分光光度計の波長をスキャンして信号変化を記憶し、次に試料3を試料ホルダ19上に設置して同じ波長範囲をスキャンし、信号変化を記憶する。この両者の比を求めることによって、透過スペクトルが測定される。
試料3の大きさがサンプル側光束LSの断面より小さい微小試料を測定する場合、図1(A)の積分球では、試料3の縁外を通過した光も積分球1に取り込まれる。このため正確な測定が困難である。一方、図1(B)のモードにおいては、サンプル側光束LSは、ミラー21およびミラー22によって2mm以下の大きさに絞られているため、直径2mmの微小試料でも光束全体が試料中を通過することが可能である。また、試料内の濁りによって光が拡散する場合でも、光電子増倍管2と試料3の間隙に挿入された拡散板20によって、試料3を透過した光が均一な強度分布で効率よく光電子増倍管2に導入される。これによって、微小試料の測定精度が向上する。
さらに、図1(B)に示す試料測定台17では、試料ホルダ19の上面が水平であるため、積分球1では設置の困難な不定形の試料も容易に搭載して測定することが可能となる。
本考案は、種々の試料の光吸収を測定して定量・定性分析を行う分光光度計を用いて、特に微小な固体試料を測定するため利用可能である。
1 積分球
2 光電子増倍管
3 試料
4s、4r 標準白板
5 ホルダ
6 ミラー
7、8e、8x、9e、9x 窓
10 基板
11、12 ねじ
13 ピン
14 保持具
15 支柱
16 試料室底板
17 試料測定台
18 ステージ
19 試料ホルダ
20 拡散板
21、22 ミラー
23 ミラー支持具
2 光電子増倍管
3 試料
4s、4r 標準白板
5 ホルダ
6 ミラー
7、8e、8x、9e、9x 窓
10 基板
11、12 ねじ
13 ピン
14 保持具
15 支柱
16 試料室底板
17 試料測定台
18 ステージ
19 試料ホルダ
20 拡散板
21、22 ミラー
23 ミラー支持具
Claims (3)
- 光電子増倍管を下面に備え、位置決め機構を上面に備えた基板と、前記位置決め機構によって前記基板上に着脱可能に配設される積分球と、前記位置決め機構によって前記基板上に着脱可能に配設される試料測定台とによって構成され、前記積分球と前記試料測定台が互いに交替可能に前記基板上に配設されることを特徴とする試料測定装置。
- 前記試料測定台は、前記基板上に設置されるステージと、前記ステージ上中央に固定され、水平な上面を有する試料ホルダと、前記試料ホルダの下部に置かれた拡散板と、光を前記試料ホルダ中心に上部より集光する集光光学系とによって構成されていることを特徴とする請求項1記載の試料測定装置。
- 前記集光光学系よって集光された光束の直径が前記試料ホルダ面上において2mm以下であることを特徴とする請求項2記載の試料測定装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010001148U JP3159281U (ja) | 2010-02-24 | 2010-02-24 | 試料測定装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010001148U JP3159281U (ja) | 2010-02-24 | 2010-02-24 | 試料測定装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2010001148U Expired - Lifetime JP3159281U (ja) | 2010-02-24 | 2010-02-24 | 試料測定装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP3159281U (ja) |
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2010
- 2010-02-24 JP JP2010001148U patent/JP3159281U/ja not_active Expired - Lifetime
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