JP3159045U - 角速度センサ - Google Patents

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聡 江良
聡 江良
岡田 和廣
和廣 岡田
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Abstract

【課題】3軸まわりの角速度検出のサンプリング周波数を高めることが可能な角速度センサを提供する。【解決手段】角度センサは、基本構造体、X軸方向励振手段、角速度検出手段及びX軸方向駆動回路を備える。基本構造体は、振動子と、装置筐体に固定された固定部と、振動子と固定部とを接続する可撓部とを有する。X軸方向励振手段は、振動がX軸方向に振動するように可撓部に撓みを生じさせる。角速度検出手段は、X軸方向に振動している振動子に作用するZ軸方向のコリオリ力を検出し、それに基づいて、角速度を示す電気信号を出力する。X軸方向駆動回路は、X軸方向励振手段に、X軸励振用の交流駆動信号を供給する。【選択図】図3

Description

本考案は、角速度センサに関し、特に、XYZ三次元直交座標系における各座標軸まわりの角速度を検出する機能をもった三次元角速度センサに関する。
産業機器や民生用機器の分野では、内蔵用の小型角速度センサの需要が高まっている。角速度も、加速度や力と同様にベクトル量であるため、実用上は、三次元空間において独立した3軸まわりの角速度を検出可能な三次元角速度センサが望まれている。たとえば、下記の特許文献1には、三次元の加速度とともに、三次元の角速度を検出することが可能な静電型センサおよび圧電型センサが開示されている。
一般的な角速度センサの検出原理は、三次元直交座標系において、振動子を第1の座標軸方向に振動させた状態において、当該振動子に対して第2の座標軸方向に作用するコリオリ力を測定することにより、第3の座標軸まわりの角速度を求める、というものである。このような検出原理では、振動子の振動方向に直交する2つの座標軸まわりの角速度検出は可能であるが、振動子の振動方向を向いた座標軸まわりの角速度検出を行うことはできない。したがって、3軸まわりの角速度を検出するためには、振動子を2通りの座標軸に沿って振動させる必要がある。
前掲の特許文献1の<§7.2>には、3軸まわりの角速度検出を行うための時分割検出動作が開示されている。この検出動作では、まず、振動子を第1の座標軸方向に振動させた状態で、第2の座標軸まわりの角速度および第3の座標軸まわりの角速度を検出し、続いて、振動子を第2の座標軸方向に振動させた状態で、第1の座標軸まわりの角速度を検出することになる。同文献の<§7.3>には、そのような時分割検出動作を行うための検出回路も開示されている。
WO94/023272号公報
上述したとおり、3軸まわりの角速度を検出するためには、振動子を第1の座標軸方向に振動させた状態での検出動作と、振動子を第2の座標軸方向に振動させた状態での検出動作とが必要になる。そこで、通常、これら2つの検出動作を時分割で行うために、1検出周期を前半期間と後半期間とに分け、前半期間では振動子を第1の座標軸方向に振動させ、後半期間では振動子を第2の座標軸方向に振動させる方法が採られる。
しかしながら、その質量に応じた運動エネルギーをもっている振動子の振動方向を瞬時に切り替えることは極めて困難であり、実際に振動方向を切り替える制御を行ったとしても、振動子が切替後の振動方向に沿って安定した往復運動を行うようになるまでには、ある程度の待ち時間が必要になる。したがって、従来の角速度センサでは、このような待ち時間を考慮して「1検出周期」を設定する必要が生じ、3軸まわりの角速度を得るためのサンプリング周波数を高めることが困難になる。
そこで本考案は、3軸まわりの角速度を得るためのサンプリング周波数を更に高めることが可能な角速度センサを提供することを目的とする。
(1) 本考案の第1の態様は、XYZ三次元直交座標系におけるY軸まわりの角速度ωyを検出するための角速度センサにおいて、
振動子と、装置筐体に固定された固定部と、振動子と固定部とを接続する可撓部と、を有し、可撓部の撓みによって振動子が固定部に対して変位する構造をなす基本構造体と、
交流駆動信号の供給を受け、振動子がX軸方向に振動するように、可撓部の所定箇所に所定の撓みを生じさせるX軸方向励振手段と、
振動子がX軸方向に振動しているときに、振動子に作用するZ軸方向のコリオリ力を検出し、検出したコリオリ力に基づいて、角速度ωyを示す電気信号を出力する角速度検出手段と、
X軸方向励振手段に対して、X軸励振用の交流駆動信号Sxを供給するX軸方向駆動回路と、
を設け、
X軸方向駆動回路は、角速度検出を行うための所定の検出期間に、X軸励振用の交流駆動信号Sxを供給し、励振用の交流駆動信号を供給する期間を先頭区間と後続区間とに分け、後続区間の振幅は一定値を維持し、先頭区間の振幅もしくは平均振幅は後続区間の振幅よりも大きくなり、先頭区間の位相の後続区間の位相に対する位相差δ1が、−90°<δ1<+90°の範囲内となるように、供給する交流駆動信号の制御を行い、
角速度検出手段は、検出期間内のうち振動子のX軸方向に関する振幅が安定すると予想される中間期間に検出されたコリオリ力に基づいて、角速度を示す電気信号を出力するようにしたものである。
(2) 本考案の第2の態様は、XYZ三次元直交座標系におけるX軸まわりの角速度ωxおよびY軸まわりの角速度ωyを検出するための角速度センサにおいて、
振動子と、装置筐体に固定された固定部と、振動子と固定部とを接続する可撓部と、を有し、可撓部の撓みによって振動子が固定部に対して変位する構造をなす基本構造体と、
交流駆動信号の供給を受け、振動子がZ軸方向に振動するように、可撓部の所定箇所に所定の撓みを生じさせるZ軸方向励振手段と、
振動子がZ軸方向に振動しているときに、振動子に作用するY軸方向およびX軸方向のコリオリ力を検出し、検出したコリオリ力に基づいて、角速度ωxおよびωyを示す電気信号を出力する角速度検出手段と、
Z軸方向励振手段に対して、Z軸励振用の交流駆動信号Szを供給するZ軸方向駆動回路と、
を設け、
Z軸方向駆動回路は、角速度検出を行うための所定の検出期間に、Z軸励振用の交流駆動信号Szを供給し、励振用の交流駆動信号を供給する期間を先頭区間と後続区間とに分け、後続区間の振幅は一定値を維持し、先頭区間の振幅もしくは平均振幅は後続区間の振幅よりも大きくなり、先頭区間の位相の後続区間の位相に対する位相差δ1が、−90°<δ1<+90°の範囲内となるように、供給する交流駆動信号の制御を行い、
角速度検出手段は、検出期間内のうち振動子のZ軸方向に関する振幅が安定すると予想される中間期間に検出されたコリオリ力に基づいて、角速度を示す電気信号を出力するようにしたものである。
(3) 本考案の第3の態様は、XYZ三次元直交座標系におけるX軸まわりの角速度ωx,Y軸まわりの角速度ωy,Z軸まわりの角速度ωzを検出するための角速度センサにおいて、
振動子と、装置筐体に固定された固定部と、振動子と固定部とを接続する可撓部と、を有し、可撓部の撓みによって振動子が固定部に対して変位する構造をなす基本構造体と、
交流駆動信号の供給を受け、振動子がX軸方向に振動するように、可撓部の所定箇所に所定の撓みを生じさせるX軸方向励振手段と、
交流駆動信号の供給を受け、振動子がZ軸方向に振動するように、可撓部の所定箇所に所定の撓みを生じさせるZ軸方向励振手段と、
振動子がX軸もしくはZ軸方向に振動しているときに、振動子に作用する所定座標軸方向のコリオリ力を検出し、検出したコリオリ力に基づいて、角速度ωx,ωy,ωzを示す電気信号を出力する角速度検出手段と、
X軸方向励振手段に対して、X軸励振用の交流駆動信号Sxを供給するX軸方向駆動回路と、
Z軸方向励振手段に対して、Z軸励振用の交流駆動信号Szを供給するZ軸方向駆動回路と、
を設け、
所定の検出周期Tの前半部分にX軸励振用期間Tx、後半部分にZ軸励振用期間Tzを設定し、X軸方向駆動回路は、X軸励振用期間Tx内にX軸励振用の交流駆動信号Sxを供給し、Z軸方向駆動回路は、Z軸励振用期間Tz内にZ軸励振用の交流駆動信号Szを供給し、
X軸方向駆動回路およびZ軸方向駆動回路の少なくとも一方は、励振用の交流駆動信号を供給する期間を先頭区間と後続区間とに分け、後続区間の振幅は一定値を維持し、先頭区間の振幅もしくは平均振幅は後続区間の振幅よりも大きくなり、先頭区間の位相の後続区間の位相に対する位相差δ1が、−90°<δ1<+90°の範囲内となるように、供給する交流駆動信号の制御を行い、
角速度検出手段は、X軸励振用期間Tx内のうち振動子のX軸方向に関する振幅が安定すると予想される中間期間およびZ軸励振用期間Tz内のうち振動子のZ軸方向に関する振幅が安定すると予想される中間期間に検出されたコリオリ力に基づいて、角速度を示す電気信号を出力するようにしたものである。
(4) 本考案の第4の態様は、XYZ三次元直交座標系におけるX軸まわりの角速度ωx,Y軸まわりの角速度ωy,Z軸まわりの角速度ωzを検出するための角速度センサにおいて、
振動子と、装置筐体に固定された固定部と、振動子と固定部とを接続する可撓部と、を有し、可撓部の撓みによって振動子が固定部に対して変位する構造をなす基本構造体と、
交流駆動信号の供給を受け、振動子がX軸方向に振動するように、可撓部の所定箇所に所定の撓みを生じさせるX軸方向励振手段と、
交流駆動信号の供給を受け、振動子がZ軸方向に振動するように、可撓部の所定箇所に所定の撓みを生じさせるZ軸方向励振手段と、
振動子がX軸もしくはZ軸方向に振動しているときに、振動子に作用する所定座標軸方向のコリオリ力を検出し、検出したコリオリ力に基づいて、角速度ωx,ωy,ωzを示す電気信号を出力する角速度検出手段と、
X軸方向励振手段に対して、X軸励振用の交流駆動信号Sxを供給するX軸方向駆動回路と、
Z軸方向励振手段に対して、Z軸励振用の交流駆動信号Szを供給するZ軸方向駆動回路と、
を設け、
所定の検出周期Tの前半部分にX軸励振用期間Tx、後半部分にZ軸励振用期間Tzを設定し、X軸方向駆動回路は、X軸励振用期間Tx内にX軸励振用の交流駆動信号Sxを供給し、Z軸方向駆動回路は、Z軸励振用期間Tz内にZ軸励振用の交流駆動信号Szを供給し、
X軸方向駆動回路およびZ軸方向駆動回路の少なくとも一方は、励振用の交流駆動信号を供給する期間を先頭から順に第1区間U1,第2区間U2,第3区間U3の3つの区間分け、それぞれ励振用の交流駆動信号S1,S2,S3を供給し、かつ、これら信号S1,S2,S3の振幅A1,A2,A3について、振幅A2は一定値を維持し、振幅A1もしくはその平均値は振幅A2よりも大きくなり、振幅A3もしくはその平均値は振幅A2よりも大きくなり、しかも、これら信号S1,S2,S3の位相φ1,φ2,φ3について、位相φ1の位相φ2に対する位相差δ1は−90°<δ1<+90°の範囲内となり、位相φ3の位相φ2に対する位相差δ2は90°<δ2<270°の範囲内となるように、供給する交流駆動信号の制御を行い、
角速度検出手段は、X軸励振用期間Tx内のうち振動子のX軸方向に関する振幅が安定すると予想される中間期間およびZ軸励振用期間Tz内のうち振動子のZ軸方向に関する振幅が安定すると予想される中間期間に検出されたコリオリ力に基づいて、角速度を示す電気信号を出力するようにしたものである。
(5) 本考案の第5の態様は、XYZ三次元直交座標系におけるX軸まわりの角速度ωx,Y軸まわりの角速度ωy,Z軸まわりの角速度ωzを検出するための角速度センサにおいて、
振動子と、装置筐体に固定された固定部と、振動子と固定部とを接続する可撓部と、を有し、可撓部の撓みによって振動子が固定部に対して変位する構造をなす基本構造体と、
交流駆動信号の供給を受け、振動子がX軸方向に振動するように、可撓部の所定箇所に所定の撓みを生じさせるX軸方向励振手段と、
交流駆動信号の供給を受け、振動子がZ軸方向に振動するように、可撓部の所定箇所に所定の撓みを生じさせるZ軸方向励振手段と、
振動子がX軸もしくはZ軸方向に振動しているときに、振動子に作用する所定座標軸方向のコリオリ力を検出し、検出したコリオリ力に基づいて、角速度ωx,ωy,ωzを示す電気信号を出力する角速度検出手段と、
X軸方向励振手段に対して、X軸励振用の交流駆動信号Sxを供給するX軸方向駆動回路と、
Z軸方向励振手段に対して、Z軸励振用の交流駆動信号Szを供給するZ軸方向駆動回路と、
を設け、
所定の検出周期Tの前半部分にX軸励振用期間Tx、後半部分にZ軸励振用期間Tzを設定し、
X軸方向駆動回路は、X軸励振用期間Tx内に先頭から順に設けられた第1区間Ux1,第2区間Ux2,第3区間Ux3の3つの区間に渡って、それぞれX軸励振用の交流駆動信号Sx1,Sx2,Sx3を供給し、かつ、これら信号Sx1,Sx2,Sx3の振幅Ax1,Ax2,Ax3について、振幅Ax2は一定値を維持し、振幅Ax1は振幅Ax2よりも大きくなり、振幅Ax3は振幅Ax2よりも大きくなり、しかも、これら信号Sx1,Sx2,Sx3の位相φx1,φx2,φx3について、位相φx1の位相φx2に対する位相差δx1は−90°<δx1<+90°の範囲内となり、位相φx3の位相φx2に対する位相差δx2は90°<δx2<270°の範囲内となるような制御を行い、
Z軸方向駆動回路は、Z軸励振用期間Tz内に先頭から順に設けられた第1区間Uz1,第2区間Uz2,第3区間Uz3の3つの区間に渡って、それぞれZ軸励振用の交流駆動信号Sz1,Sz2,Sz3を供給し、かつ、これら信号Sz1,Sz2,Sz3の振幅Az1,Az2,Az3について、振幅Az2は一定値を維持し、振幅Az1は振幅Az2よりも大きくなり、振幅Az3は振幅Az2よりも大きくなり、しかも、これら信号Sz1,Sz2,Sz3の位相φz1,φz2,φz3について、位相φz1の位相φz2に対する位相差δz1は−90°<δz1<+90°の範囲内となり、位相φz3の位相φz2に対する位相差δz2は90°<δz2<270°の範囲内となるような制御を行い、
角速度検出手段は、X軸励振用期間Tx内のうち振動子のX軸方向に関する振幅が安定すると予想される中間期間Tx2およびZ軸励振用期間Tz内のうち振動子のZ軸方向に関する振幅が安定すると予想される中間期間Tz2に検出されたコリオリ力に基づいて、角速度を示す電気信号を出力するようにしたものである。
(6) 本考案の第6の態様は、上述の第5の態様に係る角速度センサにおいて、
X軸方向駆動回路が、各信号Sx1,Sx2,Sx3の振幅Ax1,Ax2,Ax3が、それぞれ一定値を維持するような制御を行い、
Z軸方向駆動回路が、各信号Sz1,Sz2,Sz3の振幅Az1,Az2,Az3が、それぞれ一定値を維持するような制御を行うようにしたものである。
(7) 本考案の第7の態様は、XYZ三次元直交座標系におけるX軸まわりの角速度ωx,Y軸まわりの角速度ωy,Z軸まわりの角速度ωzを検出するための角速度センサにおいて、
振動子と、装置筐体に固定された固定部と、振動子と固定部とを接続する可撓部と、を有し、可撓部の撓みによって振動子が固定部に対して変位する構造をなす基本構造体と、
交流駆動信号の供給を受け、振動子がX軸方向に振動するように、可撓部の所定箇所に所定の撓みを生じさせるX軸方向励振手段と、
交流駆動信号の供給を受け、振動子がZ軸方向に振動するように、可撓部の所定箇所に所定の撓みを生じさせるZ軸方向励振手段と、
振動子がX軸もしくはZ軸方向に振動しているときに、振動子に作用する所定座標軸方向のコリオリ力を検出し、検出したコリオリ力に基づいて、角速度ωx,ωy,ωzを示す電気信号を出力する角速度検出手段と、
X軸方向励振手段に対して、X軸励振用の交流駆動信号Sxを供給するX軸方向駆動回路と、
Z軸方向励振手段に対して、Z軸励振用の交流駆動信号Szを供給するZ軸方向駆動回路と、
を設け、
所定の検出周期Tの前半部分にX軸励振用期間Tx、後半部分にZ軸励振用期間Tzを設定し、
X軸方向駆動回路は、X軸励振用期間Tx内に先頭から順に設けられた第1区間Ux1,第2区間Ux2,第3区間Ux3の3つの区間に渡って、それぞれX軸励振用の交流駆動信号Sx1,Sx2,Sx3を供給し、かつ、信号Sx2の振幅Ax2は一定値を維持し、信号Sx1,Sx2,Sx3の平均振幅をそれぞれMx1,Mx2,Mx3としたときに、平均振幅Mx1が平均振幅Mx2よりも大きくなり、平均振幅Mx3が平均振幅Mx2よりも大きくなり、しかも、これら信号Sx1,Sx2,Sx3の位相φx1,φx2,φx3について、位相φx1の位相φx2に対する位相差δx1は−90°<δx1<+90°の範囲内となり、位相φx3の位相φx2に対する位相差δx2は90°<δx2<270°の範囲内となるような制御を行い、
Z軸方向駆動回路は、Z軸励振用期間Tz内に先頭から順に設けられた第1区間Uz1,第2区間Uz2,第3区間Uz3の3つの区間に渡って、それぞれZ軸励振用の交流駆動信号Sz1,Sz2,Sz3を供給し、かつ、信号Sz2の振幅Az2は一定値を維持し、信号Sz1,Sz2,Sz3の平均振幅をそれぞれMz1,Mz2,Mz3としたときに、平均振幅Mz1が平均振幅Mz2よりも大きくなり、平均振幅Mz3が平均振幅Mz2よりも大きくなり、しかも、これら信号Sz1,Sz2,Sz3の位相φz1,φz2,φz3について、位相φz1の位相φz2に対する位相差δz1は−90°<δz1<+90°の範囲内となり、位相φz3の位相φz2に対する位相差δz2は90°<δz2<270°の範囲内となるような制御を行い、
角速度検出手段は、X軸励振用期間Tx内のうち振動子のX軸方向に関する振幅が安定すると予想される中間期間Tx2およびZ軸励振用期間Tz内のうち振動子のZ軸方向に関する振幅が安定すると予想される中間期間Tz2に検出されたコリオリ力に基づいて、角速度を示す電気信号を出力するようにしたものである。
(8) 本考案の第8の態様は、上述の第7の態様に係る角速度センサにおいて、
X軸方向駆動回路が、各信号Sx1,Sx2,Sx3の振幅Ax1,Ax2,Ax3について、振幅Ax1が、第1区間Ux1の先頭から徐々に増加してゆきピークに到達した後に振幅Ax2まで減少し、振幅Ax2が、第2区間Ux2の期間中一定値を維持し、振幅Ax3が、第3区間Ux3の先頭から徐々に増加してゆきピークに到達した後に0まで減少するような制御を行い、
Z軸方向駆動回路が、各信号Sz1,Sz2,Sz3の振幅Az1,Az2,Az3について、振幅Az1が、第1区間Uz1の先頭から徐々に増加してゆきピークに到達した後に振幅Az2まで減少し、振幅Az2が、第2区間Uz2の期間中一定値を維持し、振幅Az3が、第3区間Uz3の先頭から徐々に増加してゆきピークに到達した後に0まで減少するような制御を行うようにしたものである。
(9) 本考案の第9の態様は、上述の第1〜第8の態様に係る角速度センサにおいて、
位相差δ1、δx1もしくはδz1を0°に設定し、位相差δ2、δx2もしくはδz2を180°に設定するようにしたものである。
(10) 本考案の第10の態様は、上述の第3〜第8の態様に係る角速度センサにおいて、
同一検出周期T内のX軸励振用期間Txの末尾とZ軸励振用期間Tzの先頭が部分的に重複し、Z軸励振用期間Tzの末尾と次の検出周期T内のX軸励振用期間Txの先頭が部分的に重複するように設定したものである。
(11) 本考案の第11の態様は、上述の第3〜第8の態様に係る角速度センサにおいて、
X軸方向駆動回路が、振動子のX軸方向に関する共振周波数をもった交流駆動信号Sxを供給し、
Z軸方向駆動回路が、振動子のZ軸方向に関する共振周波数をもった交流駆動信号Szを供給するようにしたものである。
(12) 本考案の第12の態様は、上述の第3〜第8の態様に係る角速度センサにおいて、
基本構造体を、下面に環状溝を有しXY平面に平行な基板面をもった基板によって構成し、環状溝に囲まれた中心部が振動子、環状溝の外側部分が固定部、環状溝の底部からなる肉薄部分が可撓部として機能するようにし、
X軸方向励振手段が、基板上面における正のX座標値をもつ位置に配置された正側励振手段と、基板上面における負のX座標値をもつ位置に配置された負側励振手段と、によって構成され、
X軸方向駆動回路が、正側励振手段に供給する正側交流駆動信号Sx(+)と、負側励振手段に供給する負側交流駆動信号Sx(−)と、によって構成されるX軸励振用の交流駆動信号Sxを供給する機能を有し、信号Sx(+)と信号Sx(−)とが互いに逆位相の信号であるようにしたものである。
(13) 本考案の第13の態様は、上述の第3〜第8の態様に係る角速度センサにおいて、
X軸方向励振手段およびZ軸方向励振手段を、可撓部の所定箇所に固着された圧電素子によって構成したものである。
(14) 本考案の第14の態様は、上述の第3〜第8の態様に係る角速度センサにおいて、
X軸方向励振手段およびZ軸方向励振手段を、可撓部もしくは振動子の所定箇所に形成された変位電極と、この変位電極に対向する位置において装置筐体に固定された固定電極と、からなる容量素子によって構成したものである。
本考案に係る角速度センサでは、振動子を所定軸方向に振動させながら当該軸に直交する軸まわりの角速度検出を行う場合に、振動子を励振させるための交流駆動信号の振幅もしくは平均振幅を、中間区間に比べて先頭区間で大きくなるように設定し、かつ、この先頭区間での駆動信号の位相の中間区間での駆動信号の位相に対する位相差が−90°〜+90°の範囲となるようにしたため、振動子の振幅の立ち上がり期間を短縮することができ、振動子の振動をより早く安定させることができるようになる。また、振動子を励振させるための交流駆動信号の振幅もしくは平均振幅を、中間区間に比べて末尾区間で大きくなるように設定し、かつ、この末尾区間での駆動信号の位相を90°〜270°の範囲でずらすようにしたため、振動子の振幅の立ち下がり期間を短縮することができ、振動子の振幅をより早く零にすることができるようになる。かくして、振動子の振動方向を速やかに切り替えることが可能になり、サンプリング周波数を更に高めることができるようになる。
本考案の第1の実施形態に係る角速度センサの物理的構造部の側断面図である。 本考案の第1の実施形態に係る角速度センサの物理的構造部の上面図である(ハッチングは電極形状を示すためのものであり、断面を示すためのものではない)。 本考案の第1の実施形態に係る角速度センサの回路図である。 本考案の第1の実施形態に係る角速度センサで利用されるX軸励振用の交流駆動信号Sxの波形およびこれに同期して生じる振動子の変位ΔXを示すグラフである。 本考案の第1の実施形態に係る角速度センサで利用されるZ軸励振用の交流駆動信号Szの波形およびこれに同期して生じる振動子の変位ΔZを示すグラフである。 振動子の振動方向の瞬時切替が可能であると仮定した場合の検出動作のタイミングチャートである。 従来の角速度センサで行われている一般的な検出動作のタイミングチャートである。 本考案に係る角速度センサで供給される交流駆動信号の前端部分の波形を示すグラフである。 本考案に係る角速度センサで供給される交流駆動信号の後端部分の波形を示すグラフである。 本考案に係る角速度センサで供給される交流駆動信号の全体波形を示すグラフである。 本考案に係る角速度センサで行われる検出動作のタイミングチャートである。 本考案に係る角速度センサで供給される別な形態の交流駆動信号の全体波形を示すグラフである。 本考案の第2の実施形態に係る角速度センサの物理的構造部の側断面図である。 図13に示す物理的構造部における基本構造体40の上面図である(ハッチングは電極形状を示すためのものであり、断面を示すためのものではない)。 図13に示す物理的構造部における天蓋基板50の下面図である(ハッチングは電極形状を示すためのものであり、断面を示すためのものではない)。 本考案の第2の実施形態に係る角速度センサで利用されるX軸励振用の交流駆動信号Sxの波形およびこれに同期して生じる振動子の変位ΔXを示すグラフである。 本考案の第2の実施形態に係る角速度センサで利用されるZ軸励振用の交流駆動信号Szの波形およびこれに同期して生じる振動子の変位ΔZを示すグラフである。
以下、本考案を図示する実施形態に基づいて説明する。
<<< §1. 角速度センサの基本構造および基本動作 >>>
図1は、本考案の第1の実施形態に係る角速度センサの物理的構造部の側断面図であり、図2は、その上面図である。ここに示す物理的構造部自体は、従来の角速度センサにおいても採用されている構造であり、本考案に固有の構造ではない。ただ、便宜上、ここでは、図1および図2に示す物理的構造部を用いた角速度センサに本考案を適用した例を、第1の実施形態として説明する。
図1,図2に示すとおり、このセンサの物理的構造部は、基本構造体10、電極層20(共通電極E0)、圧電素子30、検出用電極D1〜D4、励振用電極E1〜E4によって構成されている。
基本構造体10は、平面が正方形をなす基板の下面に、環状溝Gを形成することによって構成される。図示の例の場合、環状溝Gは円環状(いわゆる、ドーナツ状)の溝であり、図1に示すとおり、この環状溝Gに囲まれた円柱状の中心部が振動子11として機能し、この環状溝Gの底部からなる肉薄部分(基板上面のワッシャ状の部分)が可撓部12として機能し、この環状溝Gの外側部分が固定部13として機能する。
図1に示された物理的構造部全体は、図示されていない装置筐体内に収容され、固定部13の下面は、この装置筐体の底面に固着される。振動子11の下面の位置は、固定部13の下面の位置よりも若干上方になるように設定されているため、振動子11は装置筐体に対して接触せずに宙づりの状態になっている。可撓部12は、厚みが小さいために可撓性を有しており、振動子11は、所定範囲内の自由度をもって、装置筐体内で変位することができる。
ここでは、図示のとおり、振動子11の重心位置に原点Oをとり、図1の右方向にX軸、紙面垂直奥方向にY軸、図1の上方向にZ軸をとって、XYZ三次元直交座標系を定義する。図1は、この物理的構造部をXZ平面で切断した断面図に相当する。基本構造体10を構成する基板の基板面(基本構造体10の上面)は、XY平面に平行な面になる。
基本構造体10の上面には、円盤状の電極層20が固着されており、その上面には、円盤状の圧電素子30が固着されており、更にその上面には、4枚の検出用電極D1〜D4および4枚の励振用電極E1〜E4が固着されている。図2の上面図に示すとおり、電極層20と圧電素子30の平面形状は同一サイズの円であり、上方から見ると、電極層20は圧電素子30の下に隠れて見えない状態になる。ただ、電極層20の一部分は、配線用突起部21を形成しており、図2に示すように、X軸正方向に突き出している。以下、この電極層20を共通電極E0と呼ぶことにする。共通電極E0は、配線用突起部21を介して接地されている。
4枚の検出用電極D1〜D4および4枚の励振用電極E1〜E4は、図2に示すとおり、いずれも平面が扇形をした電極であり、D1,E1はX軸の正領域上方、D2,E2はX軸の負領域上方、D3,E3はY軸の正領域上方、D4,E4はY軸の負領域上方にそれぞれ配置されている。ここで、Z軸を中心として、検出用電極D1〜D4は内側、励振用電極E1〜E4は外側に配置されているが、内外の配置を逆にしてもかまわない。なお、図2におけるハッチングは、個々の電極形状を示すためのものであり、断面を示すためのものではない。
この図1,図2に示す物理的構造部は、配線用突起部21の部分を除いて、XZ平面およびYZ平面の双方について幾何学的な対称性を有している。このような物理的構造部の対称性は、後述する検出動作において座標軸対称性を得るために役立つ。
圧電素子30は、前述したとおり円盤状の素子であるが、所定部分の上下方向に所定極性の電圧を印加すると、当該部分が水平方向に伸縮する性質をもっている(伸びるか/縮むかは、上下に印加した電圧の極性に依存する)。
たとえば、図2において、共通電極E0を接地した状態にして、電極E1とE2に交流駆動信号を供給すると、電極E1,E2の下方に位置する圧電素子の各部分が、供給した交流駆動信号に同期して伸縮する。そこで、電極E1に供給する信号と電極E2に供給する信号とが逆位相の信号になるようにすれば、電極E1,E2の下方に位置する圧電素子の各部分の伸縮状態が常に逆になるため、振動子11はX軸方向に振動する。一方、共通電極E0を接地した状態にして、4枚の電極E1〜E4すべてに同位相の交流駆動信号を供給すると、電極E1〜E4の下方に位置する圧電素子の各部分が、供給した交流駆動信号に同期して同時に伸縮する。このため、振動子11はZ軸方向に振動する。
このように、4枚の励振用電極E1〜E4のそれぞれに所定の交流駆動信号を供給することにより、振動子11をX軸方向に振動させることもできるし、Z軸方向に振動させることもできる。
一方、共通電極E0の電位(接地電位)を基準として、4枚の検出用電極D1〜D4の電圧をそれぞれ符号を考慮して測定すれば、振動子11の変位状態を検出することができる。たとえば、振動子11のX軸方向の変位ΔX(振動子11の重心位置のX座標値)は、電極D1の電圧と電極D2の電圧との差として検出でき、振動子11のY軸方向の変位ΔY(振動子11の重心位置のY座標値)は、電極D3の電圧と電極D4の電圧との差として検出でき、振動子11のZ軸方向の変位ΔZ(振動子11の重心位置のZ座標値)は、電極D1の電圧、電極D2の電圧、電極D3の電圧、電極D4の電圧の総和として検出できる。
振動子11に所定方向にコリオリ力が加わると、振動子11は当該方向に変位することになるので、結局、振動子11に作用した各座標軸方向のコリオリ力を、4枚の検出用電極D1〜D4の電圧に基づいて検出することができ、各座標軸まわりの角速度を検出することができる。
図3は、図1,図2に示す物理的構造部を用いた第1の実施形態に係る角速度センサに用いられる回路部分を示す回路図である。この回路図において、符号D1〜D4は、図2に示す検出用電極D1〜D4を示し、符号E1〜E4は、図2に示す励振用電極E1〜E4を示し、符号E0は、図1に示す電極層20(接地された共通電極)を示している。実際には、各電極D1〜D4と共通電極E0との間、および各電極E1〜E4と共通電極E0との間には、圧電素子30が介挿されているが、図3の回路図では、圧電素子30は省略されている。
X軸方向駆動回路71は、振動子11をX軸方向に振動させるための交流駆動信号Sxを、励振用電極E1,E2に供給する機能を果たす。より具体的には、交流駆動信号Sxは、図4のグラフに示されているように、互いに逆位相の交流駆動信号Sx(+)とSx(−)とによって構成されている(中央の水平線は接地電位を示す)。ここで、グラフの波形図に示す一点鎖線は包絡線である(以下のグラフについても同様)。両駆動信号Sx(+),S(−)は、同一の一定振幅Axをもつ正弦波信号であるが、その位相は互いに逆転している。図3の回路図に示すとおり、信号Sx(+)は励振用電極E1に供給され、信号Sx(−)は励振用電極E2に供給される。
前述したとおり、電極E1,E2に対して、このように逆位相の駆動信号を供給すると、振動子11はX軸方向に振動する。一般に、振動子11は、基本構造体10の形状、各部の寸法、材質などによって定まる固有の共振周波数を有しており、この共振周波数で振動させるのが最も効率的である。図4に示すΔXのグラフは、振動子11のX軸方向の変位を示すものである。振動子11の振動周期は、駆動信号Sxの周期に等しくなるが、位相は若干遅れることになる。特に、振動子11を共振周波数で振動させた場合、変位ΔXは、駆動信号Sx(+)に対して、ほぼ90°だけ位相が遅延する。なお、所定の許容範囲内では、振動子11の振幅Bxは、駆動信号Sxの振幅Axによって制御することができ、振幅Axを増減すると、振幅Bxもそれに応じて増減する。
一方、Z軸方向駆動回路72は、振動子11をZ軸方向に振動させるための交流駆動信号Szを、励振用電極E1〜E4に供給する機能を果たす。より具体的には、交流駆動信号Szは、図5のグラフに示されているように、水平線で示す接地電位を中心として、一定振幅Azで正負に振れる正弦波信号である。図3の回路図に示すとおり、駆動信号Szは4枚の励振用電極E1〜E4のすべてに供給される。
前述したとおり、電極E1〜E4に対して、このような周期的信号を供給すると、振動子11はZ軸方向に振動する。図5に示すΔZのグラフは、振動子11のZ軸方向の変位を示すものである。振動子11の振動周期は、駆動信号Szの周期に等しくなるが、上述したとおり、共振周波数で振動させた場合、位相はほぼ90°だけ遅延する。なお、所定の許容範囲内では、振動子11の振幅Bzは、駆動信号Szの振幅Azによって制御することができ、振幅Azを増減すると、振幅Bzもそれに応じて増減する。
結局、X軸方向駆動回路71を動作させて、電極E1,E2に対してX軸励振用の交流駆動信号Sx(すなわち、Sx(+)とSx(−))を供給している期間は、振動子11をX軸方向に振動させることができ、Z軸方向駆動回路72を動作させて、電極E1〜E4に対してZ軸励振用の交流駆動信号Szを供給している期間は、振動子11をZ軸方向に振動させることができる。図3の回路図に示されている各検出回路81〜83は、このように振動子11が所定方向に振動している状態において、振動子11の所定軸方向の変位(所定軸方向に作用したコリオリ力)を検出し、所定軸まわりの角速度を検出する機能を果たす。
まず、コリオリ力Fx検出回路81は、Z軸方向に振動中の振動子11に対して、X軸方向に作用したコリオリ力Fxを、振動子11のX軸方向への変位により検出する回路であり、検出用電極D1の電圧と検出用電極D2の電圧との差を、Y軸まわりの角速度ωyを示す値として出力する。この検出法は、振動子の質量をm、Z軸方向への運動速度をVzとしたときに、コリオリ力Fxと角速度ωyとの間に、Fx=2m・Vz・ωyなる式が成り立つことを利用したものである。
また、コリオリ力Fy検出回路82は、X軸方向もしくはZ軸方向に振動中の振動子11に対して、Y軸方向に作用したコリオリ力Fyを、振動子11のY軸方向への変位により検出する回路であり、検出用電極D3の電圧と検出用電極D4の電圧との差を、Z軸まわりの角速度ωz(X軸方向に振動中の場合)もしくはX軸まわりの角速度ωx(Z軸方向に振動中の場合)を示す値として出力する。この検出法は、振動子の質量をm、X軸方向への運動速度をVxとしたときに、コリオリ力Fyと角速度ωzとの間に、Fy=2m・Vx・ωzなる式が成り立つことを利用したものであり、また、振動子の質量をm、Z軸方向への運動速度をVzとしたときに、コリオリ力Fyと角速度ωxとの間に、Fy=2m・Vz・ωxなる式が成り立つことを利用したものである。
そして、コリオリ力Fz検出回路83は、X軸方向に振動中の振動子11に対して、Z軸方向に作用したコリオリ力Fzを、振動子11のZ軸方向への変位により検出する回路であり、検出用電極D1〜D4の電圧の総和を、Y軸まわりの角速度ωyを示す値として出力する。この検出法は、振動子の質量をm、X軸方向への運動速度をVxとしたときに、コリオリ力Fzと角速度ωyとの間に、Fz=2m・Vx・ωyなる式が成り立つことを利用したものである。なお、この角速度ωyは、コリオリ力Fx検出回路81によっても検出することができるので、実用上は、コリオリ力Fz検出回路83は省略してよい(図に括弧を付したのは、検出回路83が省略できることを示す)。
クロック回路90は、各回路71,72,81〜83にクロック信号φを供給する機能を果たす。X軸方向駆動回路71およびZ軸方向駆動回路72は、このクロック信号φに同期した交流駆動信号Sx,Szを発生させる。また、各検出回路81〜83は、このクロック信号φに同期した所定タイミングでコリオリ力の検出を行う。このようなコリオリ力の検出処理は、前掲の特許文献1などに開示されている公知の技術であるため、ここでは詳しい説明は省略する。
なお、前述したとおり、振動子11は、各座標軸について、基本構造体10の形状、各部の寸法、材質などによって定まる固有の共振周波数を有しており、この共振周波数で振動させるのが最も効率的である。したがって、X軸方向駆動回路71が供給する交流駆動信号Sxの周波数は、振動子11のX軸方向に関する固有の共振周波数となるようにし、Z軸方向駆動回路72が供給する交流駆動信号Szの周波数は、振動子11のZ軸方向に関する固有の共振周波数となるようにするのが好ましい。
ここに示す実施形態の場合、X軸方向についての共振周波数とZ軸方向についての共振周波数とが一致するように基本構造体10を設計してあり、クロック回路90は当該共通の共振周波数に対応するクロック信号φを供給する。したがって、交流駆動信号Sx,Szは、X軸方向およびZ軸方向についての共振周波数をもった信号であり、振動子11は、X軸方向についても、Z軸方向についても、その共振周波数で励振させられることになる。
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さて、§1では、本考案の第1の実施形態に係る角速度センサの基本構造および基本動作を述べたが、当該基本構造および基本動作それ自体は、本考案に固有のものではない。本考案の特徴は、X軸方向駆動回路71が供給する交流駆動信号SxおよびZ軸方向駆動回路72が供給する交流駆動信号Szの波形(振幅および位相)にある。実際、本考案では、図4および図5に示した信号Sx(+),Sx(−),Szとは異なる波形をもった交流駆動信号を用いて振動子11を励振させることになる。
ここでは、まず、図3に示す回路を用いて(ここでは、コリオリ力Fz検出回路83を省略した回路を用いることにする)、三次元の角速度ωx,ωy,ωzを検出する時分割検出動作を考えてみよう。
図6は、振動子の振動方向の瞬時切替が可能であると仮定した場合の検出動作のタイミングチャートである。図の最下段に示す時間軸t上には、時刻t0〜t4が示されている。ここでは、時刻t0〜t2の期間を1検出周期Tとし、その前半、すなわち時刻t0〜t1をX軸励振用期間Tx、その後半、すなわち時刻t1〜t2をZ軸励振用期間Tzとする。時刻t2〜t4の期間は次の検出周期Tであり、時刻t0〜t2の期間と全く同じ動作が行われる。
図6に示す信号Sxは、X軸励振用の交流駆動信号であり、信号Szは、Z軸励振用の交流駆動信号である。ここで述べる実施形態の場合、X軸励振用の交流駆動信号Sxは、図4に示すように、電極E1に供給するための信号Sx(+)と、電極E2に供給するための信号Sx(−)との2つの信号によって構成されている。これら2つの信号は相互に位相が反転した関係にある。図6では、便宜上、これら2つの信号のうち、信号Sx(+)を信号Sxとして示すことにする。一方、図6に示す信号Szは、図5に示す信号Szと同じものであり、4枚の電極E1〜E4に供給されることになる。また、図6に示す変位ΔX,ΔZは、それぞれ図4,図5に示す変位ΔX,ΔZに対応するものである。
ここで、図6のX軸励振用期間Txに注目すると、X軸方向駆動回路71からの交流駆動信号Sxの供給により、振動子は変位ΔXを生じてX軸方向に振動することになる。続くZ軸励振用期間Tzに注目すると、Z軸方向駆動回路72からの交流駆動信号Szの供給により、振動子は変位ΔZを生じてZ軸方向に振動することになる。したがって、X軸励振用期間Txの間、コリオリ力Fy検出回路82によって、振動子に作用したY軸方向のコリオリ力Fyを検出すれば、当該検出値はZ軸まわりの角速度ωzを示すものになる。また、Z軸励振用期間Tzの間、コリオリ力Fx検出回路81によって、振動子に作用したX軸方向のコリオリ力Fxを検出すれば、当該検出値はY軸まわりの角速度ωyを示すものになり、コリオリ力Fy検出回路82によって、振動子に作用したY軸方向のコリオリ力Fyを検出すれば、当該検出値はX軸まわりの角速度ωxを示すものになる。かくして、1検出周期Tの期間に、三次元の角速度ωx,ωy,ωzを得ることができる。
このように、図6のタイミングチャートに示す方法で検出動作を行えば、理論的には、検出周期Tをサンプリング周期として、三次元角速度ωx,ωy,ωzの検出が可能になる。しかしながら、実際には、この図6のタイミングチャートに示す検出動作は、うまく機能しない。これは、実際には、運動中の振動子には慣性力が働くため、振動子の振動方向を瞬時に切り替えることができないためである。すなわち、図6のタイミングチャートは、時刻t1において振動子の振動方向がX軸方向からZ軸方向に瞬時に切り替わり、時刻t2において振動子の振動方向がZ軸方向からX軸方向に瞬時に切り替わり、...という仮定の下でのみ成り立つものである。
実際には、時刻t1において交流駆動信号Sxの供給を停止したとしても、変位ΔXが直ちに零になるわけではなく、振動子のX軸方向に関する振動振幅は時刻t1以降に徐々に減衰することになり、振幅の立ち下がり期間が必要になる。同様に、実際には、時刻t1において交流駆動信号Szの供給を開始したとしても、図示のような変位ΔZが急に生じるわけではなく、振動子のZ軸方向に関する振動振幅は時刻t1以降に徐々に増加することになり、振幅の立ち上がり期間が必要になる。
このような事情を考慮して、従来の一般的な角速度センサでは、図7のタイミングチャートに示すような検出動作が行われている。この検出動作においても、図の最下段に示すように、1検出周期Tを前半のX軸励振用期間Txと後半のZ軸励振用期間Tzとに分けた時分割検出処理が行われる。ただ、X軸励振用期間Txにおいて、X軸励振用の交流駆動信号Sxの供給が行われるのは、時刻t0〜t2の期間だけであり、時刻t2〜t3の期間は、一切の交流駆動信号の供給が停止される。同様に、Z軸励振用期間Tzにおいて、Z軸励振用の交流駆動信号Szの供給が行われるのは、時刻t3〜t5の期間だけであり、時刻t5〜t6の期間は、一切の交流駆動信号の供給が停止される。
このようなタイミングで、各交流駆動信号Sx,Szの供給を行うと、振動子は、図7の変位ΔX,ΔZの波形に示すような振動を行うことになる。すなわち、時刻t0において信号Sxの供給を開始すると、振動子はX軸方向への振動を開始し、その振幅は徐々に増加してゆき、時刻t1に定常値に達する。以後、時刻t1〜t2の期間にわたって、振動子は一定振幅でX軸方向への振動を継続する。そして、時刻t2において信号Sxの供給が停止すると、振動子の振幅は徐々に減少してゆき、時刻t3に零になる。そこで、この時刻t3において信号Szの供給を開始すると、振動子はZ軸方向への振動を開始し、その振幅は徐々に増加してゆき、時刻t4に定常値に達する。以後、時刻t4〜t5の期間にわたって、振動子は一定振幅でZ軸方向への振動を継続する。そして、時刻t5において信号Szの供給が停止すると、振動子の振幅は徐々に減少してゆき、時刻t6に零になる。以上が、1検出周期Tの動作であり、以後、同じ動作が繰り返されてゆく。
結局、実際の検出動作では、図7の下段に示すとおり、X軸励振用期間Txは、立ち上がり期間Tx1,中間期間Tx2,立ち下がり期間Tx3の3つの期間に分けられ、Z軸励振用期間Tzは、立ち上がり期間Tz1,中間期間Tz2,立ち下がり期間Tz3の3つの期間に分けられることになる。なお、本願図面では、説明の便宜上、立ち上がり期間や立ち下がり期間における振動子の振幅の増加や減少の態様を、その包絡線が直線(図における一点鎖線)となる単純なモデルで示すが、実際の振動子の振幅増加や振幅減少の態様は、より複雑な包絡線を描くものになる。
ここで、立ち上がり期間Tx1,Tz1および立ち下がり期間Tx3,Tz3は、振動子の振幅が一定ではなく、また、振動の状態も不安定であるため、検出回路81,82によってコリオリ力の検出を行うのは好ましくない。そこで、コリオリ力の検出処理は、一定振幅で安定した振動状態が維持される中間期間Tx2,Tz2において行われる。結局、立ち上がり期間Tx1,Tz1および立ち下がり期間Tx3,Tz3は、実際の検出処理に直接的には寄与しない無駄な期間ということになり、検出期間Tを短縮してサンプリング周波数を高める上では、できるだけ短くするのが好ましい。本考案の特徴は、交流駆動信号Sx,Szの波形(振幅および位相)に工夫を施し、立ち上がり期間Tx1,Tz1および立ち下がり期間Tx3,Tz3をより短縮した点にある。
図8は、本考案に係る角速度センサで供給される交流駆動信号S(具体的には、信号Sx(+),Sx(−),Sz)の前端部分の波形を示すグラフである。図示のとおり、交流駆動信号の前端部分は、第1区間U1と第2区間U2とに分けられる。ここでは、第1区間U1における交流駆動信号を信号S1とし、その振幅をA1、その位相をφ1とする。また、第2区間U2における交流駆動信号を信号S2とし、その振幅をA2、その位相をφ2とする。ここで重要な点は、振幅に関しては、A1>A2となるように設定することと、位相に関しては、φ1=φ2となるように設定することである。このような条件設定により、立ち上がり期間Tx1,Tz1を短縮する効果が得られる。これは、交流駆動信号Sの供給開始直後に一時的に大きなエネルギーを与えることにより、振動子の振幅を急速に増加させることができるためである。
一方、図9は、本考案に係る角速度センサで供給される交流駆動信号S(具体的には、信号Sx(+),Sx(−),Sz)の後端部分の波形を示すグラフである。図示のとおり、交流駆動信号の後端部分は、第2区間U2(図8に示す第2区間U2に後続する部分)と第3区間U3とに分けられる。ここでは、第2区間U2における交流駆動信号を信号S2とし、その振幅をA2、その位相をφ2とする。また、第3区間U3における交流駆動信号を信号S3とし、その振幅をA3、その位相をφ3とする。ここで重要な点は、振幅に関しては、A3>A2となるように設定することと、位相に関しては、φ3がφ2に対して逆位相(位相差180°)となるように設定することである。このような条件設定により、立ち下がり期間Tx3,Tz3を短縮する効果が得られる。これは、交流駆動信号Sの供給停止直前に大きなエネルギーをもった逆位相の信号を与えることにより、振動子の振幅を急速に減少させることができるためである。
結局、本考案で供給する交流駆動信号Sの全体波形は、図10のグラフに示すようなものになる。図示のとおり、この信号Sは、時間軸に沿って先頭から順に第1区間U1,第2区間U2,第3区間U3に分けられ、各区間の信号をそれぞれ信号S1,S2,S3とし、これら各信号S1,S2,S3の振幅をそれぞれ振幅A1,A2,A3とし、これら各信号S1,S2,S3の位相をそれぞれ位相φ1,φ2,φ3とした場合、次のような特徴を有している。
まず、信号S2については、第2区間U2にわたって振幅A2が一定値を維持するようにする。この振幅A2は、振動子を安定した状態で振動させるのに適したレベルに設定され、かつ、できるだけ精度の高い検出結果が得られるレベルに設定される。振幅A2が大きすぎると、振動子の振動が不安定になるため好ましくない。逆に、振幅A2が小さすぎると、振動子の定常状態における振幅も小さくなってしまうため、十分な精度をもった検出を行うことができない。振幅A2の適正な値は、角速度センサの物理的構造部の形状、寸法、材質などによって異なるので、実際の試作品を用いて(もしくは、コンピュータシミュレーションにより)最適値を決定することになる。
一方、第1区間U1における信号S1については、振幅A1がA1>A2なる条件を満たすようにする。ここで、位相は、φ1=φ2であり、第1区間U1および第2区間U2を通じて一定である。第1区間U1において駆動信号の振幅を大きくすれば、振動子の初動時に一時的に大きなエネルギーを供給することができ、立ち上がり期間を短縮する効果が得られる点は、既に述べたとおりである。信号S1は、第1区間U1に一時的に供給される信号であるから、その振幅A1は、必ずしも振動子を安定した状態で振動させるのに適したレベルに設定する必要はなく、もし定常的に供給した場合には、振動子の振動が不安定になるようなレベルであってもかまわない。
また、第3区間U3における信号S3についても、振幅A3がA3>A2なる条件を満たすようにする。ただし、位相φ3は、φ1やφ2に対して逆位相(位相差180°)となるようにする。このように、交流駆動信号Sの供給停止直前に大きなエネルギーをもった逆位相の信号を与えることにより、振動子の振幅を急減させる効果が得られる点は、既に述べたとおりである。やはり信号S3は、第3区間U3に一時的に供給される信号であるから、その振幅A3は、必ずしも振動子を安定した状態で振動させるのに適したレベルに設定する必要はなく、もし定常的に供給した場合には、振動子の振動が不安定になるようなレベルであってもかまわない。
図11は、本考案に係る角速度センサで行われる検出動作のタイミングチャートである。図7に示す従来の一般的なタイミングチャートと比較すると、本考案の特徴とその効果が明瞭になる。
まず、X軸励振用の交流駆動信号Sxに関しては、図7のチャートでは、時刻t0〜t2にわたって同一振幅、同一位相の信号が供給されているのに対して、図11のチャートでは、時刻t0〜t4の期間が、第1区間Ux1(t0〜t1)、第2区間Ux2(t1〜t3)、第3区間Ux3(t3〜t4)に分割され、それぞれの区間において、X軸励振用の交流駆動信号Sx1,Sx2,Sx3が供給されている。そして、これら信号Sx1,Sx2,Sx3の振幅Ax1,Ax2,Ax3について、振幅Ax2は一定値を維持し、振幅Ax1は振幅Ax2よりも大きくなり、振幅Ax3は振幅Ax2よりも大きくなり、しかも、これら信号Sx1,Sx2,Sx3の位相φx1,φx2,φx3について、位相φx2は位相φx1に等しくなり、位相φx3は位相φx2に対して逆位相(位相差180°)になっている。
なお、実際には、既に述べたとおり、交流駆動信号Sxは、電極E1に供給するための信号Sx(+)と電極E2に供給するための信号Sx(−)とによって構成されており、図11に示す信号Sxは、その一方の信号Sx(+)を代表として示したものである。もう一方の信号Sx(−)は、信号Sx(+)の正負を逆転させたものになる。
X軸方向駆動回路71によって、このような交流駆動信号Sxを供給すると、図11に変位ΔXとして示すとおり、振動子は時刻t0においてX軸方向への振動を開始し、その振幅は徐々に増加してゆく。そして、時刻t2には安定した振動状態に移行する。このような安定した振動状態は、時刻t3まで継続する。時刻t3では、これまでとは逆位相の信号Sx3が供給されるので、振動子の振幅を抑制させる方向に力が働き、振幅は徐々に減少してゆき、時刻t5で振幅は零になる。
同様に、Z軸励振用の交流駆動信号Szに関しては、図7のチャートでは、時刻t3〜t5にわたって同一振幅、同一位相の信号が供給されているのに対して、図11のチャートでは、時刻t5〜t9の期間が、第1区間Uz1(t5〜t6)、第2区間Uz2(t6〜t8)、第3区間Uz3(t8〜t9)に分割され、それぞれの区間において、Z軸励振用の交流駆動信号Sz1,Sz2,Sz3が供給されている。そして、これら信号Sz1,Sz2,Sz3の振幅Az1,Az2,Az3について、振幅Az2は一定値を維持し、振幅Az1は振幅Az2よりも大きくなり、振幅Az3は振幅Az2よりも大きくなり、しかも、これら信号Sz1,Sz2,Sz3の位相φz1,φz2,φz3について、位相φz2は位相φz1に等しくなり、位相φz3は位相φz2に対して逆位相(位相差180°)になっている。
Z軸方向駆動回路72によって、このような交流駆動信号Szを供給すると、図11に変位ΔZとして示すとおり、振動子は時刻t5においてZ軸方向への振動を開始し、その振幅は徐々に増加してゆく。そして、時刻t7には安定した振動状態に移行する。このような安定した振動状態は、時刻t8まで継続する。時刻t8では、これまでとは逆位相の信号Sz3が供給されるので、振動子の振幅を抑制させる方向に力が働き、振幅は徐々に減少してゆき、時刻t10で振幅は零になる。
なお、既に述べたとおり、本願図面では、説明の便宜上、振動子の振幅の増加や減少の態様を、その包絡線が直線(図における一点鎖線)の集合になる単純なモデルで示すが、実際の振動子の振幅増加や振幅減少の態様は、より複雑な包絡線を描くものになる。したがって、図11では、ΔXおよびΔZとして示す振幅波形の増減部分を、直線の集合からなる包絡線が得られる単純なモデルで示しているが、実際には、より複雑な包絡線に沿って振幅が増減することになる。
図11に示すとおり、X軸励振用期間Tx内には、先頭から順に第1区間Ux1,第2区間Ux2,第3区間Ux3の3つの区間が設けられているが、第3区間Ux3の後ろには、更に、交流駆動信号が全く出力されない空白区間(時刻t4〜t5に相当する第4区間)が存在し、X軸励振用期間Txは、これら4つの区間によって構成されている。同様に、Z軸励振用期間Tz内には、先頭から順に第1区間Uz1,第2区間Uz2,第3区間Uz3の3つの区間が設けられているが、第3区間Uz3の後ろには、更に、交流駆動信号が全く出力されない空白区間(時刻t9〜t10に相当する第4区間)が存在し、Z軸励振用期間Tzは、これら4つの区間によって構成されている。これらの空白区間は、振動子の振幅が零になるまで待つための区間と言うことができる。ただし、各区間Ux1,Ux3,Uz1,Uz3の時間軸上の長さを最適に調整すれば、図において、t1をt2に、t4をt5に、t6をt7に、t9をt10に、それぞれ近づけることができ、空白区間の長さを最小とし、検出周期Tを最小にすることができる。
結局、X軸励振用期間Txに、図示のような交流駆動信号Sxを用いて振動子を駆動させると、立ち上がり期間Tx1(時刻t0〜t2)では振動子のX軸方向の振幅は徐々に増加し、中間期間Tx2(時刻t2〜t3)では同一振幅で安定した振動状態が継続し、立ち下がり期間Tx3(時刻t3〜t5)では振動子のX軸方向の振幅は徐々に減少して零に至ることになる。一方、Z軸励振用期間Tzに、図示のような交流駆動信号Szを用いて振動子を駆動させると、立ち上がり期間Tz1(時刻t5〜t7)では振動子のZ軸方向の振幅は徐々に増加し、中間期間Tz2(時刻t7〜t8)では同一振幅で安定した振動状態が継続し、立ち下がり期間Tz3(時刻t8〜t10)では振動子のZ軸方向の振幅は徐々に減少して零に至ることになる。検出回路81,82によるコリオリ力の検出処理は、一定振幅で安定した振動状態が維持される中間期間Tx2,Tz2において行われる。
ここで、立ち上がり期間Tx1,Tz1および立ち下がり期間Tx3,Tz3について、図7のチャートと図11のチャートとを比較すると、前者に比べて後者の方が短縮されていることがわかる。これは、交流駆動信号Sx,Szの相違に起因した効果である。前述したとおり、本考案に係る交流駆動信号Sの場合、第1区間U1において信号振幅を大きく設定したため、無駄な立ち上がり期間を短縮する効果が得られ、第3区間U3において信号振幅を大きく、かつ、位相を逆転させる設定をしたため、無駄な立ち下がり期間を短縮する効果も得られる。かくして、検出周期T、すなわち、角速度のサンプリング周期を短縮することが可能になる。
なお、X軸励振用期間Txにおける第1区間Ux1の長さ、およびそのとき供給される信号Sx1の振幅Ax1の大きさは、立ち上がり期間Tx1ができるだけ短くなるような最適値に設定するのが好ましい。図示のとおり、立ち上がり期間Tx1の終端時刻t2は、第1区間Ux1の終端時刻t1よりも後になる。時刻t0〜t1の区間(第1区間Ux1)は、振幅が急速に立ち上がり、その後、時刻t1〜t2の区間において振幅の立ち上がりは緩慢になる。Z軸励振用期間Tzにおける第1区間Uz1の長さ、およびそのとき供給される信号Sz1の振幅Az1の大きさについても同様である。
同様に、X軸励振用期間Txにおける第3区間Ux3の長さ、およびそのとき供給される信号Sx3の振幅Ax3の大きさは、立ち下がり期間Tx3ができるだけ短くなるような最適値に設定するのが好ましい。当然ながら、立ち下がり期間Tx3の終端時刻t5(X軸方向に関して振動子が静止する時刻)は、第3区間Ux3の終端時刻t4よりも後になる。時刻t3〜t4の区間(第3区間Ux3)は、振幅が急速に立ち下がり、その後、時刻t4〜t5の区間において振幅の立ち下がりは緩慢になる。Z軸励振用期間Tzにおける第3区間Uz3の長さ、およびそのとき供給される信号Sz3の振幅Az3の大きさについても同様である。
立ち上がり期間Tx1をできるだけ短くするために最適な第1区間Ux1の長さや振幅Ax1の大きさ、立ち上がり期間Tz1をできるだけ短くするために最適な第1区間Uz1の長さや振幅Az1の大きさ、そして、立ち下がり期間Tx3をできるだけ短くするために最適な第3区間Ux3の長さや振幅Ax3の大きさ、立ち下がり期間Tz3をできるだけ短くするために最適な第3区間Uz3の長さや振幅Az3の大きさは、いずれも個々の角速度センサに固有の値になるので、実用上は、試作品を用いた実験による思考錯誤の結果や、コンピュータシミュレーションによる結果に基づいて決定することになる。前述したとおり、各区間Ux1,Ux3,Uz1,Uz3の時間軸上の長さを最適に調整すれば、これらの各区間を、期間Tx1,Tx3,Tz1,Tz3に近づけることができる。Ux1<Tx1,Ux3<Tx3,Uz1<Tz1,Uz3<Tz3の場合は、その差に相当する期間(たとえば、Ux1<Tx1の場合、時刻t1〜t2の期間)は、振幅の大きな駆動信号による効果的な立ち上がりや立ち下がりではなく、自然な立ち上がりや立ち下がりの期間となるため、検出周期Tは最小にはならない。
本願考案者が作成した試作品の場合、振動子のX軸方向およびZ軸方向の共振周波数がともに20kHzであったため、20kHzの交流駆動信号を用いて駆動を行う実験を行った。その結果、図7に示す従来の駆動方法の場合、検出周期T=1/30sec(すなわち、30Hzのサンプリング周波数)であったものを、図11に示す本考案の駆動方法により、検出周期T=1/500sec(すなわち、500Hzのサンプリング周波数)まで改善することができた。
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図1に示すとおり、本考案は、振動子11と、装置筐体に固定された固定部13と、振動子11と固定部13とを接続する可撓部12と、を有し、可撓部12の撓みによって振動子11が固定部13に対して変位する構造をなす基本構造体10を備え、XYZ三次元直交座標系におけるX軸まわりの角速度ωx,Y軸まわりの角速度ωy,Z軸まわりの角速度ωzを検出する機能をもった角速度センサに係るものである。
この角速度センサには、更に、交流駆動信号の供給を受け、振動子11がX軸方向に振動するように、可撓部12の所定箇所に所定の撓みを生じさせるX軸方向励振手段と、交流駆動信号の供給を受け、振動子11がZ軸方向に振動するように、可撓部12の所定箇所に所定の撓みを生じさせるZ軸方向励振手段と、が備わっている。図1および図2に示す例の場合、4枚の励振用電極E1〜E4と、これに対向する共通電極E0と、これらに挟まれた圧電素子30の一部分が、X軸方向励振手段およびZ軸方向励振手段として機能することになる。
また、この角速度センサには、振動子11がX軸もしくはZ軸方向に振動しているときに、振動子11に作用する所定座標軸方向のコリオリ力を検出し、検出したコリオリ力に基づいて、角速度ωx,ωy,ωzを示す電気信号を出力する角速度検出手段が備わっている。図1および図2に示す例の場合、4枚の検出用電極D1〜D4と、これに対向する共通電極E0と、これらに挟まれた圧電素子30の一部分と、図3に示す検出回路81〜83が、この角速度検出手段として機能することになる。
そして、この角速度センサには、更に、図3の回路図に示すとおり、X軸方向励振手段に対して、X軸励振用の交流駆動信号Sxを供給するX軸方向駆動回路71と、Z軸方向励振手段に対して、Z軸励振用の交流駆動信号Szを供給するZ軸方向駆動回路72と、が備わっている。
なお、図1および図2に示す例の場合、X軸方向励振手段は、基本構造体10を構成する基板上面における正のX座標値をもつ位置に配置された正側励振手段(励振用電極E1およびその下方の圧電素子30、共通電極E0)と、負のX座標値をもつ位置に配置された負側励振手段(励振用電極E2およびその下方の圧電素子30、共通電極E0)と、によって構成されているため、X軸方向駆動回路71は、正側励振手段に供給する正側交流駆動信号Sx(+)と、負側励振手段に供給する負側交流駆動信号Sx(−)と、によって構成されるX軸励振用の交流駆動信号Sxを供給する機能を有している。ここで、信号Sx(+)と信号Sx(−)とは互いに逆位相の信号になる。
本考案の特徴は、X軸方向駆動回路71およびZ軸方向駆動回路72の特有の動作にある。すなわち、所定の検出周期Tの前半部分にX軸励振用期間Tx、後半部分にZ軸励振用期間Tzを設定したときに、X軸方向駆動回路71は、X軸励振用期間Tx内に先頭から順に設けられた第1区間Ux1,第2区間Ux2,第3区間Ux3の3つの区間に渡って、それぞれX軸励振用の交流駆動信号Sx1,Sx2,Sx3を供給する機能を有する。ここで、これら信号Sx1,Sx2,Sx3の振幅Ax1,Ax2,Ax3について、振幅Ax2は一定値を維持し、振幅Ax1は振幅Ax2よりも大きくなり、振幅Ax3は振幅Ax2よりも大きくなり、しかも、これら信号Sx1,Sx2,Sx3の位相φx1,φx2,φx3について、位相φx2は位相φx1に等しくなり、位相φx3は位相φx2に対して逆位相(位相差180°)をもつような制御が行われる。
また、Z軸方向駆動回路72は、Z軸励振用期間Tz内に先頭から順に設けられた第1区間Uz1,第2区間Uz2,第3区間Uz3の3つの区間に渡って、それぞれZ軸励振用の交流駆動信号Sz1,Sz2,Sz3を供給する機能を有する。ここで、これら信号Sz1,Sz2,Sz3の振幅Az1,Az2,Az3について、振幅Az2は一定値を維持し、振幅Az1は振幅Az2よりも大きくなり、振幅Az3は振幅Az2よりも大きくなり、しかも、これら信号Sz1,Sz2,Sz3の位相φz1,φz2,φz3について、位相φz2は位相φz1に等しくなり、位相φz3は位相φz2に対して逆位相(位相差180°)をもつような制御が行われる。
一方、角速度検出手段は、X軸励振用期間Tx内のうち振動子11のX軸方向に関する振幅が安定すると予想される中間期間Tx2およびZ軸励振用期間Tz内のうち振動子11のZ軸方向に関する振幅が安定すると予想される中間期間Tz2に検出されたコリオリ力に基づいて、角速度を示す電気信号を出力することになる。これら中間期間Tx2,Tz2以外の期間は、振動子11の振動が不安定な立ち上がり期間および立ち下がり期間ということになるが、既に述べたとおり、本考案によれば、立ち上がり期間および立ち下がり期間をできるだけ短縮することが可能になり、サンプリング周波数を向上させることが可能になる。
以上、本考案を第1の実施形態に基づいて説明し、その要点を列挙したが、本考案はこの第1の実施形態に限定されるものではなく、この他にも種々の態様で実施可能である。以下に、本考案のいくつかの変形例を述べておく。
<3−1:交流駆動信号の波形のバリエーション>
これまで述べた実施形態では、X軸方向駆動回路71およびZ軸方向駆動回路72によって供給される交流駆動信号Sは、図10に示すような基本波形を有していた。すなわち、第1区間U1において振幅A1は一定値をとり、第2区間U2において振幅A2は一定値をとり、第3区間U3において振幅A3は一定値をとっている。これは、X軸方向駆動回路71によって、各信号Sx1,Sx2,Sx3の振幅Ax1,Ax2,Ax3が、それぞれ一定値を維持するような制御が行われ、Z軸方向駆動回路72によって、各信号Sz1,Sz2,Sz3の振幅Az1,Az2,Az3が、それぞれ一定値を維持するような制御が行われることを意味する。
しかしながら、本考案に用いる交流駆動信号Sの波形は、必ずしも図10に示すような3通りの段階的な振幅値をもつ波形である必要はない。図12は、本考案に係る角速度センサで供給される別な形態の交流駆動信号Sの全体波形を示すグラフである。
この図12に示す交流駆動信号Sも、第1区間U1,第2区間U2,第3区間U3の3つの区間に分割することができ、それぞれの区間ごとに信号S1,S2,S3が配置されている。ここで、第2区間U2における信号S2は、図10に示す第2区間U2における信号S2と同一のものであり、一定の振幅A2をもった信号になる。一方、第1区間U1における信号S1は、若干異なった波形をしている。すなわち、信号S1の振幅A1は、第1区間U1の先頭から徐々に増加してゆきピークに到達した後に振幅A2まで減少する。これに後続する信号S2の振幅A2は、第2区間Ux2の期間中一定値を維持する。そして、後続する信号S3の振幅A3は、第3区間Ux3の先頭から徐々に増加してゆきピークに到達した後に0まで減少する。
結局、この図12に示す交流駆動信号Sの場合、第1区間U1の振幅A1は、必ずしも第2区間U2の振幅A2よりも大きいわけではなく、時刻によっては、A1<A2になる場合がある。同様に、第3区間U3の振幅A3は、必ずしも第2区間U2の振幅A2よりも大きいわけではなく、時刻によっては、A3<A2になる場合がある。しかしながら、第1区間U1,第2区間U2,第3区間U3の区間ごとに、それぞれ信号S1,S2,S3の平均振幅をそれぞれM1,M2,M3とすれば、M1>M2、M3>M2という条件が満たされている。もちろん、信号S1,S2,S3の位相をそれぞれφ1,φ2,φ3とすれば、φ1=φ2であり、φ3が、φ1およびφ2に対して逆位相になる、という条件も満たされている。このような条件を満たせば、立ち上がり期間および立ち下がり期間をできるだけ短縮し、サンプリング周波数を向上させる、という本考案の効果が得られる。
したがって、ここで述べるバリエーションの場合、X軸方向駆動回路71は、X軸励振用期間Tx内に先頭から順に設けられた第1区間Ux1,第2区間Ux2,第3区間Ux3の3つの区間に渡って、それぞれX軸励振用の交流駆動信号Sx1,Sx2,Sx3を供給し、かつ、信号Sx2の振幅Ax2は一定値を維持し、信号Sx1,Sx2,Sx3の平均振幅をそれぞれMx1,Mx2,Mx3としたときに、平均振幅Mx1が平均振幅Mx2よりも大きくなり、平均振幅Mx3が平均振幅Mx2よりも大きくなり、しかも、これら信号Sx1,Sx2,Sx3の位相φx1,φx2,φx3について、位相φx2は位相φx1に等しくなり、位相φx3は位相φx2に対して逆位相となるような制御を行えばよい。
同様に、Z軸方向駆動回路72は、Z軸励振用期間Tz内に先頭から順に設けられた第1区間Uz1,第2区間Uz2,第3区間Uz3の3つの区間に渡って、それぞれZ軸励振用の交流駆動信号Sz1,Sz2,Sz3を供給し、かつ、信号Sz2の振幅Az2は一定値を維持し、信号Sz1,Sz2,Sz3の平均振幅をそれぞれMz1,Mz2,Mz3としたときに、平均振幅Mz1が平均振幅Mz2よりも大きくなり、平均振幅Mz3が平均振幅Mz2よりも大きくなり、しかも、これら信号Sz1,Sz2,Sz3の位相φz1,φz2,φz3について、位相φz2は位相φz1に等しくなり、位相φz3は位相φz2に対して逆位相となるような制御を行えばよい。
特に、図12に示すような波形をもった交流駆動信号を供給する場合、X軸方向駆動回路71は、各信号Sx1,Sx2,Sx3の振幅Ax1,Ax2,Ax3について、振幅Ax1が、第1区間Ux1の先頭から徐々に増加してゆきピークに到達した後に振幅Ax2まで減少し、振幅Ax2が、第2区間Ux2の期間中一定値を維持し、振幅Ax3が、第3区間Ux3の先頭から徐々に増加してゆきピークに到達した後に0まで減少するような制御を行い、Z軸方向駆動回路72は、各信号Sz1,Sz2,Sz3の振幅Az1,Az2,Az3について、振幅Az1が、第1区間Uz1の先頭から徐々に増加してゆきピークに到達した後に振幅Az2まで減少し、振幅Az2が、第2区間Uz2の期間中一定値を維持し、振幅Az3が、第3区間Uz3の先頭から徐々に増加してゆきピークに到達した後に0まで減少するような制御を行えばよい。
前述したとおり、本願考案者が作成した試作品の場合、従来の駆動方法の場合、検出周期T=1/30sec(すなわち、30Hzのサンプリング周波数)であったものが、図10に示す交流駆動信号を用いた本考案の駆動方法により、検出周期T=1/500sec(すなわち、500Hzのサンプリング周波数)まで改善することができたが、図12に示す交流駆動信号を用いた駆動方法により、検出周期を更にT=1/600sec(すなわち、600Hzのサンプリング周波数)まで改善することができた。
なお、これまで、交流駆動信号Sとして正弦波の信号を用いる例を述べたが、もちろん矩形波などを用いてもかまわない。また、後述するように、圧電素子の代わりに容量素子を用いて駆動する場合は、正側部分のみを抽出した半波整流波を交流駆動信号として用いて駆動を行うことになる。
<3−2:位相差のバリエーション>
これまで述べた実施形態では、交流駆動信号Sの各区間に信号S1,S2,S3を配置し、位相φ1=φ2とし、位相φ3だけを逆位相にすることにより、振動子の振幅を急激に減衰させる手法をとっていた。しかしながら、位相φ3は、位相φ2に対して、必ずしも正確に逆位相(位相差=180°)にする必要はない。理論的には、位相φ3が、位相φ2に対して90°<δ<270°の範囲内の位相差δを生じるようにすれば、振動子の運動方向に対して逆向きの駆動力が作用することになるので、振動子の振幅を減衰させる効果が得られる。同様の理由により、位相φ1は、位相φ2に対して、必ずしも同位相(位相差=0°)にする必要はない。理論的には、位相φ1が、位相φ2に対して−90°<δ<+90°の範囲内の位相差δを生じるようにすれば、第2区間U2における振動子の運動方向に対して順方向の駆動力が作用することになるので、振動子の振幅を増加させる効果が得られる。
したがって、X軸方向駆動回路71が、信号Sx1,Sx2,Sx3の位相φx1,φx2,φx3について、位相φx1の位相φx2に対する位相差δx1は−90°<δx1<+90°の範囲内となり、位相φx3の位相φx2に対する位相差δx2は90°<δx2<270°の範囲内となるような制御を行い、Z軸方向駆動回路72が、信号Sz1,Sz2,Sz3の位相φz1,φz2,φz3について、位相φz1の位相φz2に対する位相差δz1は−90°<δz1<+90°の範囲内となり、位相φz3の位相φz2に対する位相差δz2は90°<δz2<270°の範囲内となるような制御を行えば、本考案の効果が得られることになる。
ただ、振動子の振動振幅をできるだけ早く立ち上げるためには、δx1=0°,δz1=0°に設定するのが最も効果的であり、振動子の振動振幅をできるだけ早くたち下げるためには、δx2=180°,δz2=180°に設定するのが最も効果的である。したがって、実用上は、これまで述べてきた実施形態で行ったとおり、交流駆動信号Sx1およびSx2が同位相の信号となり、交流駆動信号Sx3がこれらに対して逆位相の信号となるようにし、交流駆動信号Sz1およびSz2が同位相の信号となり、交流駆動信号Sz3がこれらに対して逆位相の信号となるように制御するのが好ましい。
<3−3:励振用期間の重複>
これまでの実施形態では、図11のタイミングチャートに示すとおり、振動子のX軸方向に関する振幅が零になった時刻t5をX軸励振用期間TxとZ軸励振用期間Tzとの境界とし、振動子のZ軸方向に関する振幅が零になった時刻t10をZ軸励振用期間TzとX軸励振用期間Txとの境界としていた。このため、Z軸励振用の交流駆動信号Szは、振動子のX軸方向に関する振幅が零になった時刻t5から供給が開始され、X軸励振用の交流駆動信号Sxは、振動子のZ軸方向に関する振幅が零になった時刻t10(t0)から供給が開始されることになる。
しかしながら、検出周期Tを更に短縮するために、同一検出周期T内のX軸励振用期間Txの末尾とZ軸励振用期間Tzの先頭が部分的に重複し、Z軸励振用期間Tzの末尾と次の検出周期T内のX軸励振用期間Txの先頭が部分的に重複するような設定を行うことも可能である。この場合、検出周期Tの前半部分にX軸励振用期間Tx、後半部分にZ軸励振用期間Tzを設定することに変わりはないが、前半部分と後半部分とは完全に排他的な部分とせず、一部重複するような設定を行うことになる。
たとえば、図11において、時刻t4をZ軸励振用期間Tzの先頭とすれば、Z軸励振用の交流駆動信号Szは、振動子のX軸方向に関する振幅が零になる時刻t5(X軸励振用期間Txの末尾)を待たずして、時刻t4から供給が開始されることになる。この場合、振動子のX軸方向に関する振幅の立ち下がり期間と、Z軸方向に関する振幅の立ち上がり期間とが一部重複することになるので、当該重複期間中、振動子はX軸方向に振動しながらZ軸方向にも振動した状態となる。それでも、X軸方向に関する振幅は徐々に減少し、Z軸方向に関する振幅は徐々に増加するので、結局、振動軸がX軸から徐々にZ軸へと移行することになる。
このように、X軸励振用期間TxとZ軸励振用期間Tzとが部分的に重複するような設定を行った場合でも、中間期間Tx2,Tz2において、それぞれX軸およびZ軸について安定した振動状態が確保できれば、検出精度に悪影響が及ぶことはない。
<3−4:容量素子を用いた変形例>
これまで述べた実施形態は、X軸方向励振手段およびZ軸方向励振手段を、可撓部の所定箇所に固着された圧電素子によって構成した例であるが、圧電素子の代わりに容量素子を用いることも可能である。
図13は、本考案の第2の実施形態に係る角速度センサの物理的構造部の側断面図である。この角速度センサは、圧電素子の代わりに容量素子を用いたセンサである。ここで、基本構造体40は、図1に示す基本構造体10と同様に、平面が正方形をなす基板の下面に、円環状の環状溝Gを形成することによって構成されており、この環状溝Gに囲まれた円柱状の中心部が振動子41として機能し、この環状溝Gの底部からなる肉薄部分(基板上面のワッシャ状の部分)が可撓部42として機能し、この環状溝Gの外側部分が固定部43として機能する。
図13に示された物理的構造部全体は、図示されていない装置筐体内に収容され、固定部43の下面は、この装置筐体の底面に固着される。基本構造体40は、絶縁材料から構成されており、その上面には、5枚の変位電極H1〜H5が形成されている。図14は、図13に示す物理的構造部における基本構造体40の上面図である(ハッチングは電極形状を示すためのものであり、断面を示すためのものではない)。変位電極H1〜H4はZ軸を中心とした扇形の電極であり、変位電極H5は、Z軸を中心とした円形の電極である。これら5枚の変位電極H1〜H5は、振動子41の変位に応じて変位する。
一方、図13に示すとおり、基本構造体40の上方には、天蓋基板50が設けられており、その下面には、共通固定電極H0が形成されている。図15は、この天蓋基板50の下面図である(ハッチングは電極形状を示すためのものであり、断面を示すためのものではない)。図示のとおり、共通固定電極H0は、Z軸を中心とした円形の電極であり、5枚の変位電極H1〜H5のすべてに対向する共通電極となっている。そこで、5枚の変位電極H1〜H5と、共通固定電極H0の対向部分とによって、5組の容量素子C1〜C5が形成される。
前述したとおり、振動子41が変位すると、5枚の変位電極H1〜H5は変位するが、共通固定電極H0は静止したままである。このため、5組の容量素子C1〜C5の静電容量値は、振動子41の変位状態に応じて変化する。逆に、特定の容量素子を構成する一対の電極間に所定の電圧を印加すると、クーロン力により変位電極の位置が変化する。この性質を利用して、振動子41を図示するX軸方向に振動させたり、Z軸方向に振動させたりすることが可能である。
図16は、この第2の実施形態に係る角速度センサで利用されるX軸励振用の交流駆動信号Sxの波形およびこれに同期して生じる振動子の変位ΔXを示すグラフである。共通固定電極H0を接地した状態で、図16に示すように、振幅Axをもった半波整流信号Sx(+)を変位電極H1に与え、振幅Axをもった逆位相の半波整流信号Sx(−)を変位電極H2に与えれば、容量素子C1,C2に交互にクーロン力が作用することになり、振動子は振幅BxをもってX軸方向に振動する。
また、図17は、この第2の実施形態に係る角速度センサで利用されるZ軸励振用の交流駆動信号Szの波形およびこれに同期して生じる振動子の変位ΔZを示すグラフである。共通固定電極H0を接地した状態で、図17に示すように、振幅Azをもった半波整流信号Szを変位電極H5に与えれば、容量素子C5に半周期ごとにクーロン力が作用することになり、振動子は振幅BxをもってZ軸方向に振動する。
結局、この第2の実施形態に係る角速度センサでは、X軸方向励振手段およびZ軸方向励振手段が、可撓部42もしくは振動子41の所定箇所に形成された変位電極H1,H2,H5と、この変位電極H1〜H5に対向する位置において装置筐体に固定された固定電極H0と、からなる容量素子C1,C2,C5によって構成されていることになる。
一方、コリオリ力の検出は、所定の容量素子の静電容量値の変化を利用して行うことができる。たとえば、振動子41がX軸方向に振動中に、容量素子C3,C4の静電容量値の変化の差を求めれば、Y軸方向に作用したコリオリ力を検出することができ、容量素子C5の静電容量値の変化を求めれば、Z軸方向に作用したコリオリ力を検出することができる。同様に、振動子41がZ軸方向に振動中に、容量素子C1,C2の静電容量値の変化の差を求めれば、X軸方向に作用したコリオリ力を検出することができ、容量素子C3,C4の静電容量値の変化の差を求めれば、Y軸方向に作用したコリオリ力を検出することができる。
このような容量式の角速度センサにおいても、本考案を適用して、検出周期Tを短縮し、サンプリング周波数を高めることができる。具体的には、振動子41をX軸方向に振動させるX軸励振用期間Txには、共通固定電極H0を接地した状態で、図10もしくは図12に示す交流駆動信号Sの半波整流信号を、信号Sx(+)として変位電極H1に与え、これと逆位相の半波整流信号を、信号Sx(−)として変位電極H2に与えればよい。また、振動子41をZ軸方向に振動させるZ軸励振用期間Tzには、共通固定電極H0を接地した状態で、図10もしくは図12に示す交流駆動信号Sの半波整流信号を、信号Szとして変位電極H5に与えればよい。
<3−5:間欠駆動型センサへの適用>
これまで述べてきた実施形態に係る角速度センサは、所定の検出周期Tで、常に特定の角速度の検出動作を実行する連続駆動型センサであるが、本考案に係る技術は、必要な期間だけ断続的に角速度の検出動作を実行する間欠駆動型センサにも適用可能である。
間欠駆動型の角速度センサは、動作期間と休止期間とを交互に繰り返す機能を有しており、角速度の検出は動作期間中においてのみ行われる。動作期間と休止期間との切替は、たとえば、「1分間の動作期間と4分間の休止期間とを繰り返す」というような設定を行ってもよいし、「何らかの別なセンサから動作開始信号が与えられたら動作期間への切替を行い、動作停止信号が与えられたら休止期間への切替を行う」というような設定を行ってもよい。いずれにしても、休止期間中は、角速度を検出する必要がないので、振動子の運動を停止させておくことができ、トータルでの消費電力を低減させるメリットが得られる。
ここで、1軸まわりの角速度のみ、もしくは2軸まわりの角速度のみを検出する機能をもった1軸もしくは2軸式の間欠駆動型角速度センサでは、振動子の振動方向を切り替える必要がないため、本考案に係る技術を適用する場合、振動子の「立ち上がり期間を短縮する工夫」を施せば十分であり、「立ち下がり期間を短縮する工夫」は必要ない(もちろん、何らかの理由で「立ち下がり期間を短縮する工夫」を施した方が好ましい場合は、そのような工夫を施してもよい)。
たとえば、振動子をX軸方向に振動させた状態で、Z軸方向に作用するコリオリ力Fzを検出して、Y軸まわりの角速度ωyを検出する機能をもった1軸式の間欠駆動型角速度センサの場合、動作期間中は振動子をX軸方向に振動させ、休止期間中は振動子を停止させる、という間欠動作を行うことになる。そのため、休止期間から動作期間への移行時点では、できるだけ速やかに振動子を安定した振動状態にもってゆくために、これまで述べてきたような振動子の「立ち上がり期間を短縮する工夫」(たとえば、図10に示す第1区間U1における駆動信号の制御動作)が必要になる。これに対して、動作期間から休止期間への移行時点では、通常、できるだけ速やかに振動子を静止させる必要はないので、これまで述べてきたような振動子の「立ち下がり期間を短縮する工夫」(たとえば、図10に示す第3区間U3における駆動信号の制御動作)を特に行う必要はない。ただ、本考案に係る角速度センサを、振動子の振動が何らかの外乱となるようなシステムに組み込んで用いる場合は、「立ち下がり期間を短縮する工夫」も併せて行い、できるだけ速やかに振動子を静止させるようにするのが好ましい。
このような事情は、振動子をZ軸方向に振動させた状態で、X軸方向に作用するコリオリ力Fxを検出して、Y軸まわりの角速度ωyを検出するとともに、Y軸方向に作用するコリオリ力Fyを検出して、X軸まわりの角速度ωxを検出する機能をもった2軸式の間欠駆動型角速度センサの場合も全く同様である。
結局、振動子を1つの座標軸方向のみに振動させて1軸まわりもしくは2軸まわりの角速度検出を行う間欠駆動型角速度センサに、本考案を適用する際には、基本的には、これまで述べてきたような振動子の「立ち上がり期間を短縮する工夫」のみを行えば十分であるが、何らかの理由で振動子を速やかに停止させる必要性がある場合には、更に「立ち下がり期間を短縮する工夫」を併せて行うようにすればよい。
10:基本構造体
11:中心部(振動子)
12:可撓部
13:固定部
20:電極層
21:配線用突起部
30:圧電素子
40:基本構造体
41:中心部(振動子)
42:可撓部
43:固定部
50:天蓋基板
71:X軸方向駆動回路
72:Z軸方向駆動回路
81:コリオリ力Fx検出回路
82:コリオリ力Fy検出回路
83:コリオリ力Fz検出回路
90:クロック回路
A1:信号S1の振幅
A2:信号S2の振幅
A3:信号S3の振幅
Ax:信号Sxの振幅
Az:信号Szの振幅
Bx:振動子のX軸方向に関する振幅
Bz:振動子のZ軸方向に関する振幅
D1〜D4:検出用電極
E0:共通電極
E1〜E4:励振用電極
G:環状溝
H0:共通固定電極
H1〜H5:変位電極
O:座標系の原点
S:交流駆動信号
S1:第1区間U1における信号S
S2:第2区間U2における信号S
S3:第3区間U3における信号S
Sx:X軸励振用の交流駆動信号
Sx(+):正側励振手段に与える交流駆動信号
Sx(−):負側励振手段に与える交流駆動信号
Sz:Z軸励振用の交流駆動信号
T:検出周期(サンプリング周期)
Tx:X軸励振用期間
Tx1:立ち上がり期間
Tx2:中間期間
Tx3:立ち下がり期間
Tz:Z軸励振用期間
Tz1:立ち上がり期間
Tz2:中間期間
Tz3:立ち下がり期間
t:時間軸
t0〜t10:所定の時刻
U1:第1区間
U2:第2区間
U3:第3区間
Ux1:期間Tx内の第1区間
Ux2:期間Tx内の第2区間
Ux3:期間Tx内の第3区間
Uz1:期間Tz内の第1区間
Uz2:期間Tz内の第2区間
Uz3:期間Tz内の第3区間
X:XYZ三次元座標系の座標軸
Y:XYZ三次元座標系の座標軸
Z:XYZ三次元座標系の座標軸
ΔX:振動子のX軸方向の変位
ΔZ:振動子のZ軸方向の変位
φ:クロック信号
φ1:信号S1の位相
φ2:信号S2の位相
φ3:信号S3の位相
ωx:X軸まわりの角速度
ωy:Y軸まわりの角速度
ωz:Z軸まわりの角速度

Claims (14)

  1. XYZ三次元直交座標系におけるY軸まわりの角速度ωyを検出するための角速度センサであって、
    振動子と、装置筐体に固定された固定部と、前記振動子と前記固定部とを接続する可撓部と、を有し、前記可撓部の撓みによって前記振動子が前記固定部に対して変位する構造をなす基本構造体と、
    交流駆動信号の供給を受け、前記振動子がX軸方向に振動するように、前記可撓部の所定箇所に所定の撓みを生じさせるX軸方向励振手段と、
    前記振動子がX軸方向に振動しているときに、前記振動子に作用するZ軸方向のコリオリ力を検出し、検出したコリオリ力に基づいて、前記角速度ωyを示す電気信号を出力する角速度検出手段と、
    前記X軸方向励振手段に対して、X軸励振用の交流駆動信号Sxを供給するX軸方向駆動回路と、
    を備え、
    前記X軸方向駆動回路は、角速度検出を行うための所定の検出期間に、前記X軸励振用の交流駆動信号Sxを供給し、励振用の交流駆動信号を供給する期間を先頭区間と後続区間とに分け、前記後続区間の振幅は一定値を維持し、前記先頭区間の振幅もしくは平均振幅は前記後続区間の振幅よりも大きくなり、前記先頭区間の位相の前記後続区間の位相に対する位相差δ1が、−90°<δ1<+90°の範囲内となるように、供給する交流駆動信号の制御を行い、
    前記角速度検出手段は、前記検出期間内のうち前記振動子のX軸方向に関する振幅が安定すると予想される中間期間に検出されたコリオリ力に基づいて、角速度を示す電気信号を出力することを特徴とする角速度センサ。
  2. XYZ三次元直交座標系におけるX軸まわりの角速度ωxおよびY軸まわりの角速度ωyを検出するための角速度センサであって、
    振動子と、装置筐体に固定された固定部と、前記振動子と前記固定部とを接続する可撓部と、を有し、前記可撓部の撓みによって前記振動子が前記固定部に対して変位する構造をなす基本構造体と、
    交流駆動信号の供給を受け、前記振動子がZ軸方向に振動するように、前記可撓部の所定箇所に所定の撓みを生じさせるZ軸方向励振手段と、
    前記振動子がZ軸方向に振動しているときに、前記振動子に作用するY軸方向およびX軸方向のコリオリ力を検出し、検出したコリオリ力に基づいて、前記角速度ωxおよびωyを示す電気信号を出力する角速度検出手段と、
    前記Z軸方向励振手段に対して、Z軸励振用の交流駆動信号Szを供給するZ軸方向駆動回路と、
    を備え、
    前記Z軸方向駆動回路は、角速度検出を行うための所定の検出期間に、前記Z軸励振用の交流駆動信号Szを供給し、励振用の交流駆動信号を供給する期間を先頭区間と後続区間とに分け、前記後続区間の振幅は一定値を維持し、前記先頭区間の振幅もしくは平均振幅は前記後続区間の振幅よりも大きくなり、前記先頭区間の位相の前記後続区間の位相に対する位相差δ1が、−90°<δ1<+90°の範囲内となるように、供給する交流駆動信号の制御を行い、
    前記角速度検出手段は、前記検出期間内のうち前記振動子のZ軸方向に関する振幅が安定すると予想される中間期間に検出されたコリオリ力に基づいて、角速度を示す電気信号を出力することを特徴とする角速度センサ。
  3. XYZ三次元直交座標系におけるX軸まわりの角速度ωx,Y軸まわりの角速度ωy,Z軸まわりの角速度ωzを検出するための角速度センサであって、
    振動子と、装置筐体に固定された固定部と、前記振動子と前記固定部とを接続する可撓部と、を有し、前記可撓部の撓みによって前記振動子が前記固定部に対して変位する構造をなす基本構造体と、
    交流駆動信号の供給を受け、前記振動子がX軸方向に振動するように、前記可撓部の所定箇所に所定の撓みを生じさせるX軸方向励振手段と、
    交流駆動信号の供給を受け、前記振動子がZ軸方向に振動するように、前記可撓部の所定箇所に所定の撓みを生じさせるZ軸方向励振手段と、
    前記振動子がX軸もしくはZ軸方向に振動しているときに、前記振動子に作用する所定座標軸方向のコリオリ力を検出し、検出したコリオリ力に基づいて、前記角速度ωx,ωy,ωzを示す電気信号を出力する角速度検出手段と、
    前記X軸方向励振手段に対して、X軸励振用の交流駆動信号Sxを供給するX軸方向駆動回路と、
    前記Z軸方向励振手段に対して、Z軸励振用の交流駆動信号Szを供給するZ軸方向駆動回路と、
    を備え、
    所定の検出周期Tの前半部分にX軸励振用期間Tx、後半部分にZ軸励振用期間Tzが設定されており、前記X軸方向駆動回路は、前記X軸励振用期間Tx内に前記X軸励振用の交流駆動信号Sxを供給し、前記Z軸方向駆動回路は、前記Z軸励振用期間Tz内に前記Z軸励振用の交流駆動信号Szを供給し、
    前記X軸方向駆動回路および前記Z軸方向駆動回路の少なくとも一方は、励振用の交流駆動信号を供給する期間を先頭区間と後続区間とに分け、前記後続区間の振幅は一定値を維持し、前記先頭区間の振幅もしくは平均振幅は前記後続区間の振幅よりも大きくなり、前記先頭区間の位相の前記後続区間の位相に対する位相差δ1が、−90°<δ1<+90°の範囲内となるように、供給する交流駆動信号の制御を行い、
    前記角速度検出手段は、前記X軸励振用期間Tx内のうち前記振動子のX軸方向に関する振幅が安定すると予想される中間期間および前記Z軸励振用期間Tz内のうち前記振動子のZ軸方向に関する振幅が安定すると予想される中間期間に検出されたコリオリ力に基づいて、角速度を示す電気信号を出力することを特徴とする角速度センサ。
  4. XYZ三次元直交座標系におけるX軸まわりの角速度ωx,Y軸まわりの角速度ωy,Z軸まわりの角速度ωzを検出するための角速度センサであって、
    振動子と、装置筐体に固定された固定部と、前記振動子と前記固定部とを接続する可撓部と、を有し、前記可撓部の撓みによって前記振動子が前記固定部に対して変位する構造をなす基本構造体と、
    交流駆動信号の供給を受け、前記振動子がX軸方向に振動するように、前記可撓部の所定箇所に所定の撓みを生じさせるX軸方向励振手段と、
    交流駆動信号の供給を受け、前記振動子がZ軸方向に振動するように、前記可撓部の所定箇所に所定の撓みを生じさせるZ軸方向励振手段と、
    前記振動子がX軸もしくはZ軸方向に振動しているときに、前記振動子に作用する所定座標軸方向のコリオリ力を検出し、検出したコリオリ力に基づいて、前記角速度ωx,ωy,ωzを示す電気信号を出力する角速度検出手段と、
    前記X軸方向励振手段に対して、X軸励振用の交流駆動信号Sxを供給するX軸方向駆動回路と、
    前記Z軸方向励振手段に対して、Z軸励振用の交流駆動信号Szを供給するZ軸方向駆動回路と、
    を備え、
    所定の検出周期Tの前半部分にX軸励振用期間Tx、後半部分にZ軸励振用期間Tzが設定されており、前記X軸方向駆動回路は、前記X軸励振用期間Tx内に前記X軸励振用の交流駆動信号Sxを供給し、前記Z軸方向駆動回路は、前記Z軸励振用期間Tz内に前記Z軸励振用の交流駆動信号Szを供給し、
    前記X軸方向駆動回路および前記Z軸方向駆動回路の少なくとも一方は、励振用の交流駆動信号を供給する期間を先頭から順に第1区間U1,第2区間U2,第3区間U3の3つの区間分け、それぞれ励振用の交流駆動信号S1,S2,S3を供給し、かつ、これら信号S1,S2,S3の振幅A1,A2,A3について、振幅A2は一定値を維持し、振幅A1もしくはその平均値は振幅A2よりも大きくなり、振幅A3もしくはその平均値は振幅A2よりも大きくなり、しかも、これら信号S1,S2,S3の位相φ1,φ2,φ3について、位相φ1の位相φ2に対する位相差δ1は−90°<δ1<+90°の範囲内となり、位相φ3の位相φ2に対する位相差δ2は90°<δ2<270°の範囲内となるように、供給する交流駆動信号の制御を行い、
    前記角速度検出手段は、前記X軸励振用期間Tx内のうち前記振動子のX軸方向に関する振幅が安定すると予想される中間期間および前記Z軸励振用期間Tz内のうち前記振動子のZ軸方向に関する振幅が安定すると予想される中間期間に検出されたコリオリ力に基づいて、角速度を示す電気信号を出力することを特徴とする角速度センサ。
  5. XYZ三次元直交座標系におけるX軸まわりの角速度ωx,Y軸まわりの角速度ωy,Z軸まわりの角速度ωzを検出するための角速度センサであって、
    振動子と、装置筐体に固定された固定部と、前記振動子と前記固定部とを接続する可撓部と、を有し、前記可撓部の撓みによって前記振動子が前記固定部に対して変位する構造をなす基本構造体と、
    交流駆動信号の供給を受け、前記振動子がX軸方向に振動するように、前記可撓部の所定箇所に所定の撓みを生じさせるX軸方向励振手段と、
    交流駆動信号の供給を受け、前記振動子がZ軸方向に振動するように、前記可撓部の所定箇所に所定の撓みを生じさせるZ軸方向励振手段と、
    前記振動子がX軸もしくはZ軸方向に振動しているときに、前記振動子に作用する所定座標軸方向のコリオリ力を検出し、検出したコリオリ力に基づいて、前記角速度ωx,ωy,ωzを示す電気信号を出力する角速度検出手段と、
    前記X軸方向励振手段に対して、X軸励振用の交流駆動信号Sxを供給するX軸方向駆動回路と、
    前記Z軸方向励振手段に対して、Z軸励振用の交流駆動信号Szを供給するZ軸方向駆動回路と、
    を備え、
    所定の検出周期Tの前半部分にX軸励振用期間Tx、後半部分にZ軸励振用期間Tzが設定されており、
    前記X軸方向駆動回路は、前記X軸励振用期間Tx内に先頭から順に設けられた第1区間Ux1,第2区間Ux2,第3区間Ux3の3つの区間に渡って、それぞれX軸励振用の交流駆動信号Sx1,Sx2,Sx3を供給し、かつ、これら信号Sx1,Sx2,Sx3の振幅Ax1,Ax2,Ax3について、振幅Ax2は一定値を維持し、振幅Ax1は振幅Ax2よりも大きくなり、振幅Ax3は振幅Ax2よりも大きくなり、しかも、これら信号Sx1,Sx2,Sx3の位相φx1,φx2,φx3について、位相φx1の位相φx2に対する位相差δx1は−90°<δx1<+90°の範囲内となり、位相φx3の位相φx2に対する位相差δx2は90°<δx2<270°の範囲内となるような制御を行い、
    前記Z軸方向駆動回路は、前記Z軸励振用期間Tz内に先頭から順に設けられた第1区間Uz1,第2区間Uz2,第3区間Uz3の3つの区間に渡って、それぞれZ軸励振用の交流駆動信号Sz1,Sz2,Sz3を供給し、かつ、これら信号Sz1,Sz2,Sz3の振幅Az1,Az2,Az3について、振幅Az2は一定値を維持し、振幅Az1は振幅Az2よりも大きくなり、振幅Az3は振幅Az2よりも大きくなり、しかも、これら信号Sz1,Sz2,Sz3の位相φz1,φz2,φz3について、位相φz1の位相φz2に対する位相差δz1は−90°<δz1<+90°の範囲内となり、位相φz3の位相φz2に対する位相差δz2は90°<δz2<270°の範囲内となるような制御を行い、
    前記角速度検出手段は、前記X軸励振用期間Tx内のうち前記振動子のX軸方向に関する振幅が安定すると予想される中間期間Tx2および前記Z軸励振用期間Tz内のうち前記振動子のZ軸方向に関する振幅が安定すると予想される中間期間Tz2に検出されたコリオリ力に基づいて、角速度を示す電気信号を出力することを特徴とする角速度センサ。
  6. 請求項5に記載の角速度センサにおいて、
    X軸方向駆動回路が、各信号Sx1,Sx2,Sx3の振幅Ax1,Ax2,Ax3が、それぞれ一定値を維持するような制御を行い、
    Z軸方向駆動回路が、各信号Sz1,Sz2,Sz3の振幅Az1,Az2,Az3が、それぞれ一定値を維持するような制御を行うことを特徴とする角速度センサ。
  7. XYZ三次元直交座標系におけるX軸まわりの角速度ωx,Y軸まわりの角速度ωy,Z軸まわりの角速度ωzを検出するための角速度センサであって、
    振動子と、装置筐体に固定された固定部と、前記振動子と前記固定部とを接続する可撓部と、を有し、前記可撓部の撓みによって前記振動子が前記固定部に対して変位する構造をなす基本構造体と、
    交流駆動信号の供給を受け、前記振動子がX軸方向に振動するように、前記可撓部の所定箇所に所定の撓みを生じさせるX軸方向励振手段と、
    交流駆動信号の供給を受け、前記振動子がZ軸方向に振動するように、前記可撓部の所定箇所に所定の撓みを生じさせるZ軸方向励振手段と、
    前記振動子がX軸もしくはZ軸方向に振動しているときに、前記振動子に作用する所定座標軸方向のコリオリ力を検出し、検出したコリオリ力に基づいて、前記角速度ωx,ωy,ωzを示す電気信号を出力する角速度検出手段と、
    前記X軸方向励振手段に対して、X軸励振用の交流駆動信号Sxを供給するX軸方向駆動回路と、
    前記Z軸方向励振手段に対して、Z軸励振用の交流駆動信号Szを供給するZ軸方向駆動回路と、
    を備え、
    所定の検出周期Tの前半部分にX軸励振用期間Tx、後半部分にZ軸励振用期間Tzが設定されており、
    前記X軸方向駆動回路は、前記X軸励振用期間Tx内に先頭から順に設けられた第1区間Ux1,第2区間Ux2,第3区間Ux3の3つの区間に渡って、それぞれX軸励振用の交流駆動信号Sx1,Sx2,Sx3を供給し、かつ、信号Sx2の振幅Ax2は一定値を維持し、信号Sx1,Sx2,Sx3の平均振幅をそれぞれMx1,Mx2,Mx3としたときに、平均振幅Mx1が平均振幅Mx2よりも大きくなり、平均振幅Mx3が平均振幅Mx2よりも大きくなり、しかも、これら信号Sx1,Sx2,Sx3の位相φx1,φx2,φx3について、位相φx1の位相φx2に対する位相差δx1は−90°<δx1<+90°の範囲内となり、位相φx3の位相φx2に対する位相差δx2は90°<δx2<270°の範囲内となるような制御を行い、
    前記Z軸方向駆動回路は、前記Z軸励振用期間Tz内に先頭から順に設けられた第1区間Uz1,第2区間Uz2,第3区間Uz3の3つの区間に渡って、それぞれZ軸励振用の交流駆動信号Sz1,Sz2,Sz3を供給し、かつ、信号Sz2の振幅Az2は一定値を維持し、信号Sz1,Sz2,Sz3の平均振幅をそれぞれMz1,Mz2,Mz3としたときに、平均振幅Mz1が平均振幅Mz2よりも大きくなり、平均振幅Mz3が平均振幅Mz2よりも大きくなり、しかも、これら信号Sz1,Sz2,Sz3の位相φz1,φz2,φz3について、位相φz1の位相φz2に対する位相差δz1は−90°<δz1<+90°の範囲内となり、位相φz3の位相φz2に対する位相差δz2は90°<δz2<270°の範囲内となるような制御を行い、
    前記角速度検出手段は、前記X軸励振用期間Tx内のうち前記振動子のX軸方向に関する振幅が安定すると予想される中間期間Tx2および前記Z軸励振用期間Tz内のうち前記振動子のZ軸方向に関する振幅が安定すると予想される中間期間Tz2に検出されたコリオリ力に基づいて、角速度を示す電気信号を出力することを特徴とする角速度センサ。
  8. 請求項7に記載の角速度センサにおいて、
    X軸方向駆動回路が、各信号Sx1,Sx2,Sx3の振幅Ax1,Ax2,Ax3について、振幅Ax1が、第1区間Ux1の先頭から徐々に増加してゆきピークに到達した後に振幅Ax2まで減少し、振幅Ax2が、第2区間Ux2の期間中一定値を維持し、振幅Ax3が、第3区間Ux3の先頭から徐々に増加してゆきピークに到達した後に0まで減少するような制御を行い、
    Z軸方向駆動回路が、各信号Sz1,Sz2,Sz3の振幅Az1,Az2,Az3について、振幅Az1が、第1区間Uz1の先頭から徐々に増加してゆきピークに到達した後に振幅Az2まで減少し、振幅Az2が、第2区間Uz2の期間中一定値を維持し、振幅Az3が、第3区間Uz3の先頭から徐々に増加してゆきピークに到達した後に0まで減少するような制御を行うことを特徴とする角速度センサ。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の角速度センサにおいて、
    位相差δ1、δx1もしくはδz1を0°に設定し、位相差δ2、δx2もしくはδz2を180°に設定することを特徴とする角速度センサ。
  10. 請求項3〜8のいずれかに記載の角速度センサにおいて、
    同一検出周期T内のX軸励振用期間Txの末尾とZ軸励振用期間Tzの先頭が部分的に重複し、Z軸励振用期間Tzの末尾と次の検出周期T内のX軸励振用期間Txの先頭が部分的に重複するように設定されていることを特徴とする角速度センサ。
  11. 請求項3〜8のいずれかに記載の角速度センサにおいて、
    X軸方向駆動回路が、振動子のX軸方向に関する共振周波数をもった交流駆動信号Sxを供給し、
    Z軸方向駆動回路が、振動子のZ軸方向に関する共振周波数をもった交流駆動信号Szを供給することを特徴とする角速度センサ。
  12. 請求項3〜8のいずれかに記載の角速度センサにおいて、
    基本構造体を、下面に環状溝を有しXY平面に平行な基板面をもった基板によって構成し、前記環状溝に囲まれた中心部が振動子、前記環状溝の外側部分が固定部、前記環状溝の底部からなる肉薄部分が可撓部として機能するようにし、
    X軸方向励振手段が、前記基板上面における正のX座標値をもつ位置に配置された正側励振手段と、前記基板上面における負のX座標値をもつ位置に配置された負側励振手段と、によって構成され、
    X軸方向駆動回路が、前記正側励振手段に供給する正側交流駆動信号Sx(+)と、前記負側励振手段に供給する負側交流駆動信号Sx(−)と、によって構成されるX軸励振用の交流駆動信号Sxを供給する機能を有し、前記信号Sx(+)と前記信号Sx(−)とが互いに逆位相の信号であることを特徴とする角速度センサ。
  13. 請求項3〜8のいずれかに記載の角速度センサにおいて、
    X軸方向励振手段およびZ軸方向励振手段が、可撓部の所定箇所に固着された圧電素子によって構成されていることを特徴とする角速度センサ。
  14. 請求項3〜8のいずれかに記載の角速度センサにおいて、
    X軸方向励振手段およびZ軸方向励振手段が、可撓部もしくは振動子の所定箇所に形成された変位電極と、この変位電極に対向する位置において装置筐体に固定された固定電極と、からなる容量素子によって構成されていることを特徴とする角速度センサ。
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