JP2009192400A - 角速度センサ - Google Patents

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Abstract

【課題】 振動子から装置筐体への振動漏れを排除して検出精度を向上させる。
【解決手段】 主振動子210に可撓性の内側架橋部221,241を介して副振動子225,245を接続する。副振動子225,245は、可撓性の外側架橋部222,242を介して台座260に接続し、台座260を装置筐体280に固定する。内側架橋部221,241の上面に圧電素子X11〜X14を固定する。一部の圧電素子に交流電圧を供給して主振動子210を振動させ、主振動子210に作用したコリオリ力を別な圧電素子の発生電荷として検出し、角速度の検出値を求める。主振動子210から装置筐体280へ漏れ出る振動エネルギーは、副振動子225,245の運動により吸収される。外側架橋部222,242の上面にも圧電素子を設け、交流電圧を供給し、副振動子225,245を主振動子とは逆方向に運動させれば、振動漏れを更に低減できる。
【選択図】図6

Description

本発明は、角速度センサに関し、特に、運動中の振動子に作用するコリオリ力を検出することにより角速度の検出を行うセンサに関する。
小型で量産に適した角速度センサとして、振動子に周期的な運動(単振動や回転運動)を行わせ、この振動子に作用するコリオリ力を検出することにより角速度の検出を行うセンサが普及している。たとえば、下記の特許文献1〜3には、装置筐体内の固定部材に可撓性部材を介して振動子を支持した構造体を設け、可撓性部材の表面に形成した駆動用圧電素子に交流駆動信号を供給することにより、振動子を振動状態に維持し、この状態において振動子に作用するコリオリ力を、可撓性部材の表面に形成したコリオリ力検出用圧電素子の発生電荷に基づいて検出することにより、角速度の検出を行う角速度センサが開示されている。
これらの各文献に開示された角速度センサは、振動子を振動させる機構も、コリオリ力を検出する機構も、いずれも可撓性部材の表面に設けた圧電素子によって構成することができる。したがって、物理的には、可撓性部材の所定箇所にそれぞれ必要な数だけ圧電素子を配置した単純な構造により実現が可能であるため、小型で量産される工業製品へ広く利用することができる。
更に、下記の特許文献3および4には、振動子を振動させる機構およびコリオリ力を検出する機構として、静電容量素子を用いる実施例も開示されている。また、下記の特許文献5には、圧電素子とピエゾ抵抗素子とを組み合わせることにより、角速度と加速度との双方を検出することができるセンサが開示されている。
特開平8−35981号公報 特開平8−94661号公報 特開平8−226931号公報 特開平10−227644号公報 特願2007−023959号明細書
上述したように、従来の一般的な角速度センサの動作原理は、装置筐体内の振動子に周期的な運動を行わせ、これに作用するコリオリ力を測定することにより、角速度の検出を行うというものである。ところが、振動子は可撓性部材を介して装置筐体内に支持されているので、振動子の振動エネルギーや円運動のエネルギーは、若干ではあるが、可撓性部材を介して装置筐体へと伝わることになる。このように振動子の運動エネルギーの一部が装置筐体側へ漏れると、角速度の測定精度を低下させる要因となり好ましくない。
たとえば、動作中の角速度センサの装置筐体に手を触れると、運動エネルギーの漏れに影響を与えることになり、結果的に、振動子の運動に影響を与えてしまうことになる。また、通常、角速度センサは、装置筐体を所望の検出対象物に取り付けて利用することになるが、振動子の運動エネルギーの一部が装置筐体側へ漏れると、取付場所や取付方法によって、角速度の検出値が異なってくる可能性がある。
このような弊害を避け、より高精度の角速度検出を可能にするためには、振動子から装置筐体側への運動エネルギーの漏れ(振動漏れ)を極力避けるような対策を行う必要がある。このため、従来から、センサの基本構造体を、柔軟な接着剤を用いて装置筐体に固定するなどの対策が施されているが、完全な防振効果を得ることは困難であり、このような振動漏れは、角速度センサの検出精度を低減させる要因となっていた。
そこで本発明は、振動子から装置筐体への振動漏れを排除し、検出精度を向上させることができる角速度センサを提供することを目的とする。
(1) 本発明の第1の態様は、角速度センサにおいて、
主振動子と、この主振動子に隣接して配置された副振動子と、この副振動子に隣接して配置された台座と、主振動子と副振動子とを接続する可撓性をもった内側接続部材と、副振動子と台座とを接続する可撓性をもった外側接続部材と、を有する基本構造体と、
台座を支持固定するとともに、主振動子および副振動子を宙吊り状態で収容する装置筐体と、
装置筐体内で主振動子が周期的運動を行うように駆動する駆動手段と、
主振動子が周期的運動を行っている状態において、主振動子に作用するコリオリ力を検出し、これを所定軸まわりの角速度の検出値として出力する検出手段と、
を設けるようにしたものである。
(2) 本発明の第2の態様は、上述の第1の態様に係る角速度センサにおいて、
主振動子が、中心部重錘体によって構成され、
副振動子が、中心部重錘体の側面を取り囲む環状閉領域内に配置された複数M個の重錘体によって構成され、
台座が、環状閉領域を更に取り囲む位置に配置され、
内側接続部材が、中心部重錘体とM個の重錘体のそれぞれとを接続するM組の内側架橋部によって構成され、
外側接続部材が、M個の重錘体のそれぞれと台座とを接続するM組の外側架橋部によって構成されているようにしたものである。
(3) 本発明の第3の態様は、上述の第2の態様に係る角速度センサにおいて、
中心部重錘体の上面中心位置に原点OをもつXYZ三次元座標系を定義し、この座標系のXY平面上に原点Oを中心として伸びるM本の放射線を定義したときに、
基本構造体が、この座標系のXY平面に沿った上面を有し、
各放射線上にそれぞれ副振動子を構成する重錘体が1個ずつ配置され、各放射線に沿ってそれぞれ内側架橋部および外側架橋部が1組ずつ配置されているようにしたものである。
(4) 本発明の第4の態様は、上述の第3の態様に係る角速度センサにおいて、
副振動子を構成する重錘体の「中心部重錘体に対する対向面」の上端に内側架橋部が接続され、副振動子を構成する重錘体の「台座に対する対向面」の上端に外側架橋部が接続され、
副振動子を構成する重錘体の上面に、当該重錘体が配置されている放射線に直交する方向に伸びる溝部が形成されているようにしたものである。
(5) 本発明の第5の態様は、上述の第2の態様に係る角速度センサにおいて、
中心部重錘体の上面中心位置に原点OをもつXYZ三次元座標系を定義したときに、
基本構造体が、この座標系のXY平面に沿った上面を有し、
X軸の正の領域上にX軸正側重錘体が配置され、Y軸の正の領域上にY軸正側重錘体が配置され、X軸の負の領域上にX軸負側重錘体が配置され、Y軸の負の領域上にY軸負側重錘体が配置され、
一端が中心部重錘体に接続され、他端がX軸正側重錘体に接続され、X軸の正の領域に沿って配置されたX軸正側内側架橋部と、一端が中心部重錘体に接続され、他端がY軸正側重錘体に接続され、Y軸の正の領域に沿って配置されたY軸正側内側架橋部と、一端が中心部重錘体に接続され、他端がX軸負側重錘体に接続され、X軸の負の領域に沿って配置されたX軸負側内側架橋部と、一端が中心部重錘体に接続され、他端がY軸負側重錘体に接続され、Y軸の負の領域に沿って配置されたY軸負側内側架橋部と、によって内側接続部材が構成され、
一端が台座に接続され、他端がX軸正側重錘体に接続され、X軸の正の領域に沿って配置されたX軸正側外側架橋部と、一端が台座に接続され、他端がY軸正側重錘体に接続され、Y軸の正の領域に沿って配置されたY軸正側外側架橋部と、一端が台座に接続され、他端がX軸負側重錘体に接続され、X軸の負の領域に沿って配置されたX軸負側外側架橋部と、一端が台座に接続され、他端がY軸負側重錘体に接続され、Y軸の負の領域に沿って配置されたY軸負側外側架橋部と、によって外側接続部材が構成されているようにしたものである。
(6) 本発明の第6の態様は、上述の第5の態様に係る角速度センサにおいて、
X軸正側重錘体の「中心部重錘体に対する対向面」の上端にX軸正側内側架橋部が接続され、X軸正側重錘体の「台座に対する対向面」の上端にX軸正側外側架橋部が接続され、X軸正側重錘体の上面に、X軸に直交する方向に伸びる溝部が形成され、
Y軸正側重錘体の「中心部重錘体に対する対向面」の上端にY軸正側内側架橋部が接続され、Y軸正側重錘体の「台座に対する対向面」の上端にY軸正側外側架橋部が接続され、Y軸正側重錘体の上面に、Y軸に直交する方向に伸びる溝部が形成され、
X軸負側重錘体の「中心部重錘体に対する対向面」の上端にX軸負側内側架橋部が接続され、X軸負側重錘体の「台座に対する対向面」の上端にX軸負側外側架橋部が接続され、X軸負側重錘体の上面に、X軸に直交する方向に伸びる溝部が形成され、
Y軸負側重錘体の「中心部重錘体に対する対向面」の上端にY軸負側内側架橋部が接続され、Y軸負側重錘体の「台座に対する対向面」の上端にY軸負側外側架橋部が接続され、Y軸負側重錘体の上面に、Y軸に直交する方向に伸びる溝部が形成されているようにしたものである。
(7) 本発明の第7の態様は、上述の第5または第6の態様に係る角速度センサにおいて、
X軸正側重錘体、Y軸正側重錘体、X軸負側重錘体、Y軸負側重錘体が、互いに同一形状および同一質量をもった重錘体から構成され、これら4個の重錘体の配置が、XZ平面およびYZ平面の双方に関して対称となっているようにしたものである。
(8) 本発明の第8の態様は、上述の第2〜第7の態様に係る角速度センサにおいて、
副振動子を構成する複数M個の重錘体を順番に環状連結することにより、単一の環状重錘体を構成したものである。
(9) 本発明の第9の態様は、上述の第1の態様に係る角速度センサにおいて、
主振動子が、中心部重錘体によって構成され、
内側接続部材が、中心部重錘体の側面を取り囲む内側板状構造体によって構成され、
副振動子が、内側板状構造体を取り囲む環状重錘体によって構成され、
外側接続部材が、環状重錘体を取り囲む外側板状構造体によって構成され、
台座が、外側板状構造体を取り囲む構造体によって構成されているようにしたものである。
(10) 本発明の第10の態様は、上述の第9の態様に係る角速度センサにおいて、
環状重錘体の「中心部重錘体に対する対向面」の上端に内側板状構造体の外側部分が接続され、環状重錘体の「台座に対する対向面」の上端に外側板状構造体の内側部分が接続され、
環状重錘体の上面に、当該上面の輪郭線に沿った溝部が形成されているようにしたものである。
(11) 本発明の第11の態様は、上述の第9または第10の態様に係る角速度センサにおいて、
中心部重錘体の上面中心位置に原点OをもつXYZ三次元座標系を定義したときに、
基本構造体が座標系のXY平面に沿った上面を有し、環状重錘体のXY平面に対する投影像が、原点Oを中心とする円環形状をなすようにしたものである。
(12) 本発明の第12の態様は、上述の第1の態様に係る角速度センサにおいて、
主振動子が、中心部重錘体によって構成され、
副振動子が、中心部重錘体の側面を取り囲む内側環状閉領域内に配置された複数M個の内側重錘体と、内側環状閉領域を取り囲む外側環状閉領域内に配置された複数M個の外側重錘体と、によって構成され、
台座が、外側環状閉領域を更に取り囲む位置に配置され、
内側接続部材が、中心部重錘体とM個の内側重錘体のそれぞれとを接続するM組の内側架橋部によって構成され、
外側接続部材が、M個の外側重錘体のそれぞれと台座とを接続するM組の外側架橋部によって構成され、
基本構造体が、M個の内側重錘体とM個の外側重錘体とを1対1に対応づけてそれぞれ接続する可撓性をもった複数M組の中間架橋部によって構成された中間接続部材を更に有するようにしたものである。
(13) 本発明の第13の態様は、上述の第12の態様に係る角速度センサにおいて、
中心部重錘体の上面中心位置に原点OをもつXYZ三次元座標系を定義し、この座標系のXY平面上に原点Oを中心として伸びるM本の放射線を定義したときに、
基本構造体が、この座標系のXY平面に沿った上面を有し、
各放射線上にそれぞれ内側重錘体と外側重錘体とが1個ずつ配置され、各放射線に沿ってそれぞれ内側架橋部、中間架橋部、外側架橋部が1組ずつ配置されているようにしたものである。
(14) 本発明の第14の態様は、上述の第13の態様に係る角速度センサにおいて、
内側重錘体の「中心部重錘体に対する対向面」の上端に内側架橋部が接続され、内側重錘体の「外側重錘体に対する対向面」の上端に中間架橋部の一端が接続され、外側重錘体の「内側重錘体に対する対向面」の上端に中間架橋部の他端が接続され、外側重錘体の「台座に対する対向面」の上端に外側架橋部が接続され、
内側重錘体の上面に、当該重錘体が配置されている放射線に直交する方向に伸びる溝部が形成され、外側重錘体の上面に、当該重錘体が配置されている放射線に直交する方向に伸びる溝部が形成されているようにしたものである。
(15) 本発明の第15の態様は、上述の第12の態様に係る角速度センサにおいて、
中心部重錘体の上面中心位置に原点OをもつXYZ三次元座標系を定義したときに、
基本構造体が、この座標系のXY平面に沿った上面を有し、
内側環状閉領域内には、X軸の正の領域上にX軸正側内側重錘体が配置され、Y軸の正の領域上にY軸正側内側重錘体が配置され、X軸の負の領域上にX軸負側内側重錘体が配置され、Y軸の負の領域上にY軸負側内側重錘体が配置され、
外側環状閉領域内には、X軸の正の領域上にX軸正側外側重錘体が配置され、Y軸の正の領域上にY軸正側外側重錘体が配置され、X軸の負の領域上にX軸負側外側重錘体が配置され、Y軸の負の領域上にY軸負側外側重錘体が配置され、
一端が中心部重錘体に接続され、他端がX軸正側内側重錘体に接続され、X軸の正の領域に沿って配置されたX軸正側内側架橋部と、一端が中心部重錘体に接続され、他端がY軸正側内側重錘体に接続され、Y軸の正の領域に沿って配置されたY軸正側内側架橋部と、一端が中心部重錘体に接続され、他端がX軸負側内側重錘体に接続され、X軸の負の領域に沿って配置されたX軸負側内側架橋部と、一端が中心部重錘体に接続され、他端がY軸負側内側重錘体に接続され、Y軸の負の領域に沿って配置されたY軸負側内側架橋部と、によって内側接続部材が構成され、
一端が台座に接続され、他端がX軸正側外側重錘体に接続され、X軸の正の領域に沿って配置されたX軸正側外側架橋部と、一端が台座に接続され、他端がY軸正側外側重錘体に接続され、Y軸の正の領域に沿って配置されたY軸正側外側架橋部と、一端が台座に接続され、他端がX軸負側外側重錘体に接続され、X軸の負の領域に沿って配置されたX軸負側外側架橋部と、一端が台座に接続され、他端がY軸負側外側重錘体に接続され、Y軸の負の領域に沿って配置されたY軸負側外側架橋部と、によって外側接続部材が構成され、
一端がX軸正側内側重錘体に接続され、他端がX軸正側外側重錘体に接続され、X軸の正の領域に沿って配置されたX軸正側中間架橋部と、一端がY軸正側内側重錘体に接続され、他端がY軸正側外側重錘体に接続され、Y軸の正の領域に沿って配置されたY軸正側中間架橋部と、一端がX軸負側内側重錘体に接続され、他端がX軸負側外側重錘体に接続され、X軸の負の領域に沿って配置されたX軸負側中間架橋部と、一端がY軸負側内側重錘体に接続され、他端がY軸負側外側重錘体に接続され、Y軸の負の領域に沿って配置されたY軸負側中間架橋部と、によって中間接続部材が構成されているようにしたものである。
(16) 本発明の第16の態様は、上述の第15の態様に係る角速度センサにおいて、
X軸正側内側重錘体の「中心部重錘体に対する対向面」の上端にX軸正側内側架橋部が接続され、X軸正側内側重錘体の「X軸正側外側重錘体に対する対向面」の上端にX軸正側中間架橋部の一端が接続され、X軸正側外側重錘体の「X軸正側内側重錘体に対する対向面」の上端にX軸正側中間架橋部の他端が接続され、X軸正側外側重錘体の「台座に対する対向面」の上端にX軸正側外側架橋部が接続され、X軸正側内側重錘体の上面およびX軸正側外側重錘体の上面に、それぞれX軸に直交する方向に伸びる溝部が形成され、
Y軸正側内側重錘体の「中心部重錘体に対する対向面」の上端にY軸正側内側架橋部が接続され、Y軸正側内側重錘体の「Y軸正側外側重錘体に対する対向面」の上端にY軸正側中間架橋部の一端が接続され、Y軸正側外側重錘体の「Y軸正側内側重錘体に対する対向面」の上端にY軸正側中間架橋部の他端が接続され、Y軸正側外側重錘体の「台座に対する対向面」の上端にY軸正側外側架橋部が接続され、Y軸正側内側重錘体の上面およびY軸正側外側重錘体の上面に、それぞれY軸に直交する方向に伸びる溝部が形成され、
X軸負側内側重錘体の「中心部重錘体に対する対向面」の上端にX軸負側内側架橋部が接続され、X軸負側内側重錘体の「X軸負側外側重錘体に対する対向面」の上端にX軸負側中間架橋部の一端が接続され、X軸負側外側重錘体の「X軸負側内側重錘体に対する対向面」の上端にX軸負側中間架橋部の他端が接続され、X軸負側外側重錘体の「台座に対する対向面」の上端にX軸負側外側架橋部が接続され、X軸負側内側重錘体の上面およびX軸負側外側重錘体の上面に、それぞれX軸に直交する方向に伸びる溝部が形成され、
Y軸負側内側重錘体の「中心部重錘体に対する対向面」の上端にY軸負側内側架橋部が接続され、Y軸負側内側重錘体の「Y軸負側外側重錘体に対する対向面」の上端にY軸負側中間架橋部の一端が接続され、Y軸負側外側重錘体の「Y軸負側内側重錘体に対する対向面」の上端にY軸負側中間架橋部の他端が接続され、Y軸負側外側重錘体の「台座に対する対向面」の上端にY軸負側外側架橋部が接続され、Y軸負側内側重錘体の上面およびY軸負側外側重錘体の上面に、それぞれY軸に直交する方向に伸びる溝部が形成されているようにしたものである。
(17) 本発明の第17の態様は、上述の第15または第16の態様に係る角速度センサにおいて、
X軸正側内側重錘体、Y軸正側内側重錘体、X軸負側内側重錘体、Y軸負側内側重錘体が、互いに同一形状および同一質量をもった重錘体から構成され、これら4個の内側重錘体の配置が、XZ平面およびYZ平面の双方に関して対称となっており、
X軸正側外側重錘体、Y軸正側外側重錘体、X軸負側外側重錘体、Y軸負側外側重錘体が、互いに同一形状および同一質量をもった重錘体から構成され、これら4個の外側重錘体の配置が、XZ平面およびYZ平面の双方に関して対称となっているようにしたものである。
(18) 本発明の第18の態様は、上述の第12〜第17の態様に係る角速度センサにおいて、
副振動子を構成する複数M個の内側重錘体を順番に環状連結することにより、単一の内側環状重錘体を構成し、
副振動子を構成する複数M個の外側重錘体を順番に環状連結することにより、単一の外側環状重錘体を構成したものである。
(19) 本発明の第19の態様は、上述の第1の態様に係る角速度センサにおいて、
主振動子が、中心部重錘体によって構成され、
副振動子が、中心部重錘体を離隔した状態で取り囲む内側環状重錘体と、内側環状重錘体を離隔した状態で取り囲む外側環状重錘体と、によって構成され、
内側接続部材が、中心部重錘体の側面を取り囲むように配置され、内側部分が中心部重錘体に接続され、外側部分が内側環状重錘体に接続された内側板状構造体によって構成され、
外側接続部材が、外側環状重錘体を取り囲むように配置され、内側部分が外側環状重錘体に接続され、外側部分が台座に接続された外側板状構造体によって構成され、
台座が、外側板状構造体を取り囲む構造体によって構成され、
内側環状重錘体と外側環状重錘体との間に、両者を接続する可撓性をもった中間板状構造体よって構成された中間接続部材が配置されているようにしたものである。
(20) 本発明の第20の態様は、上述の第19の態様に係る角速度センサにおいて、
内側環状重錘体の「中心部重錘体に対する対向面」の上端に内側板状構造体の外側部分が接続され、内側環状重錘体の「外側環状重錘体に対する対向面」の上端に中間板状構造体の内側部分が接続され、外側環状重錘体の「内側環状重錘体に対する対向面」の上端に中間板状構造体の外側部分が接続され、外側環状重錘体の「台座に対する対向面」の上端に外側板状構造体の内側部分が接続され、
内側環状重錘体の上面に、当該内側環状重錘体の上面の輪郭線に沿った溝部が形成されており、外側環状重錘体の上面に、当該外側環状重錘体の上面の輪郭線に沿った溝部が形成されているようにしたものである。
(21) 本発明の第21の態様は、上述の第19または第20の態様に係る角速度センサにおいて、
中心部重錘体の上面中心位置に原点OをもつXYZ三次元座標系を定義したときに、
基本構造体がこの座標系のXY平面に沿った上面を有し、内側環状重錘体および外側環状重錘体のXY平面に対する投影像が、原点Oを中心とする円環形状をなすようにしたものである。
(22) 本発明の第22の態様は、上述の第1の態様に係る角速度センサにおいて、
主振動子が、中心部重錘体から構成され、
中心部重錘体の側面を取り囲む位置に「第1周目の環状閉領域」を定義し、「第1周目の環状閉領域」を取り囲む位置に「第2周目の環状閉領域」を定義し、...、「第(n−1)周目の環状閉領域」を取り囲む位置に「第n周目の環状閉領域」を定義したときに(但し、nは任意の自然数)、
副振動子が、「第1周目の環状閉領域」内に配置された複数M個の「第1周目の重錘体」と、「第2周目の環状閉領域」内に配置された複数M個の「第2周目の重錘体」と、...、「第n周目の環状閉領域」内に配置された複数M個の「第n周目の重錘体」と、によって構成され、
台座が、「第n周目の環状閉領域」を更に取り囲む位置に配置され、
内側接続部材が、中心部重錘体とM個の「第1周目の重錘体」のそれぞれとを接続するM組の内側架橋部によって構成され、
外側接続部材が、M個の「第n周目の重錘体」のそれぞれと台座とを接続するM組の外側架橋部によって構成され、
基本構造体が、M個の「第i周目の重錘体」のそれぞれとM個の「第(i+1)周目の重錘体」のそれぞれとを1対1に対応づけてそれぞれ接続する可撓性をもった複数M組の中間架橋部によって構成された「第i周目の中間接続部材」(但し、i=1〜(n−1))を更に有するようにしたものである。
(23) 本発明の第23の態様は、上述の第22の態様に係る角速度センサにおいて、
中心部重錘体の上面中心位置に原点OをもつXYZ三次元座標系を定義し、この座標系のXY平面上に原点Oを中心として伸びるM本の放射線を定義したときに、
基本構造体が、この座標系のXY平面に沿った上面を有し、
各放射線上にそれぞれ第k周目(但し、k=1〜n)の重錘体がそれぞれ1個ずつ配置され、各放射線に沿って1組の内側架橋部と、1組の外側架橋部と、(n−1)組の中間架橋部が配置されているようにしたものである。
(24) 本発明の第24の態様は、上述の第23の態様に係る角速度センサにおいて、
副振動子を構成する各重錘体について、「内周側に位置する別な重錘体に対する対向面」の上端に当該別な重錘体との接続を行うための架橋部が接続され、「外周側に位置する別な重錘体もしくは台座に対する対向面」の上端に当該別な重錘体もしくは台座との接続を行うための架橋部が接続され、
副振動子を構成する各重錘体の上面に、当該重錘体が配置されている放射線に直交する方向に伸びる溝部が形成されているようにしたものである。
(25) 本発明の第25の態様は、上述の第22の態様に係る角速度センサにおいて、
中心部重錘体の上面中心位置に原点OをもつXYZ三次元座標系を定義したときに、
基本構造体が、この座標系のXY平面に沿った上面を有し、
「第k周目の環状閉領域」内には、X軸の正の領域上に「第k周目のX軸正側重錘体」が配置され、Y軸の正の領域上に「第k周目のY軸正側重錘体」が配置され、X軸の負の領域上に「第k周目のX軸負側重錘体」が配置され、Y軸の負の領域上に「第k周目のY軸負側重錘体」が配置され(但し、k=1〜n)、
一端が中心部重錘体に接続され、他端が「第1周目のX軸正側重錘体」に接続され、X軸の正の領域に沿って配置されたX軸正側内側架橋部と、一端が中心部重錘体に接続され、他端が「第1周目のY軸正側重錘体」に接続され、Y軸の正の領域に沿って配置されたY軸正側内側架橋部と、一端が中心部重錘体に接続され、他端が「第1周目のX軸負側重錘体」に接続され、X軸の負の領域に沿って配置されたX軸負側内側架橋部と、一端が中心部重錘体に接続され、他端が「第1周目のY軸負側重錘体」に接続され、Y軸の負の領域に沿って配置されたY軸負側内側架橋部と、によって内側接続部材が構成され、
一端が台座に接続され、他端が「第n周目のX軸正側重錘体」に接続され、X軸の正の領域に沿って配置されたX軸正側外側架橋部と、一端が台座に接続され、他端が「第n周目のY軸正側重錘体」に接続され、Y軸の正の領域に沿って配置されたY軸正側外側架橋部と、一端が台座に接続され、他端が「第n周目のX軸負側重錘体」に接続され、X軸の負の領域に沿って配置されたX軸負側外側架橋部と、一端が台座に接続され、他端が「第n周目のY軸負側重錘体」に接続され、Y軸の負の領域に沿って配置されたY軸負側外側架橋部と、によって外側接続部材が構成され、
一端が「第i周目のX軸正側重錘体」に接続され、他端が「第(i+1)周目のX軸正側重錘体」に接続され、X軸の正の領域に沿って配置された「第i周目のX軸正側中間架橋部」と、一端が「第i周目のX軸正側重錘体」に接続され、他端が「第(i+1)周目のY軸正側重錘体」に接続され、Y軸の正の領域に沿って配置された「第i周目のY軸正側中間架橋部」と、一端が「第i周目のX軸正側重錘体」に接続され、他端が「第(i+1)周目のX軸負側重錘体」に接続され、X軸の負の領域に沿って配置された「第i周目のX軸負側中間架橋部」と、一端が「第i周目のX軸正側重錘体」に接続され、他端が「第(i+1)周目のY軸負側重錘体」に接続され、Y軸の負の領域に沿って配置された「第i周目のY軸負側中間架橋部」と、によって「第i周目の中間接続部材」(但し、i=1〜(n−1))が構成されているようにしたものである。
(26) 本発明の第26の態様は、上述の第25の態様に係る角速度センサにおいて、
副振動子を構成する各重錘体について、「内周側に位置する別な重錘体に対する対向面」の上端に当該別な重錘体との接続を行う架橋部が接続され、「外周側に位置する別な重錘体もしくは台座に対する対向面」の上端に当該別な重錘体もしくは台座との接続を行う架橋部が接続され、
副振動子を構成する各重錘体の上面に、当該重錘体が配置されている座標軸に直交する方向に伸びる溝部が形成されているようにしたものである。
(27) 本発明の第27の態様は、上述の第25または第26の態様に係る角速度センサにおいて、
第k周目のそれぞれについて(但し、k=1〜n)、X軸正側重錘体、Y軸正側重錘体、X軸負側重錘体、Y軸負側重錘体が、互いに同一形状および同一質量をもった重錘体から構成され、これら4個の重錘体の配置が、XZ平面およびYZ平面の双方に関して対称となっているようにしたものである。
(28) 本発明の第28の態様は、上述の第22〜第27の態様に係る角速度センサにおいて、
副振動子を構成する複数M個の「第k周目の重錘体」を順番に環状連結することにより、単一の「第k周目の環状重錘体」(但し、k=1〜n)を構成したものである。
(29) 本発明の第29の態様は、上述の第1の態様に係る角速度センサにおいて、
主振動子が、中心部重錘体によって構成され、
副振動子が、中心部重錘体を離隔した状態で取り囲む「第1周目の環状重錘体」と、「第1周目の環状重錘体」を離隔した状態で取り囲む「第2周目の環状重錘体」と、...、「第(n−1)周目の環状重錘体」を離隔した状態で取り囲む「第n周目の環状重錘体」と、によって構成され、
内側接続部材が、中心部重錘体の側面を取り囲むように配置され、内側部分が中心部重錘体に接続され、外側部分が「第1周目の環状重錘体」に接続された内側板状構造体によって構成され、
外側接続部材が、「第n周目の環状重錘体」を取り囲むように配置され、内側部分が「第n周目の環状重錘体」に接続され、外側部分が台座に接続された外側板状構造体によって構成され、
台座が、外側板状構造体を取り囲む構造体によって構成され、
「第i周目の環状重錘体」と「第(i+1)周目の環状重錘体」との間に、両者を接続する可撓性をもった中間板状構造体よって構成された「第i周目の中間接続部材」が配置されている(但し、i=1〜(n−1))ようにしたものである。
(30) 本発明の第30の態様は、上述の第29の態様に係る角速度センサにおいて、
副振動子を構成する各環状重錘体について、「内周側に位置する別な重錘体に対する対向面」の上端に当該別な重錘体との接続を行うための板状構造体が接続され、「外周側に位置する別な重錘体もしくは台座に対する対向面」の上端に当該別な重錘体もしくは台座との接続を行うための板状構造体が接続され、
各環状重錘体の上面に、当該環状重錘体の上面の輪郭線に沿った溝部が形成されているようにしたものである。
(31) 本発明の第31の態様は、上述の第29または第30の態様に係る角速度センサにおいて、
中心部重錘体の上面中心位置に原点OをもつXYZ三次元座標系を定義したときに、
基本構造体がこの座標系のXY平面に沿った上面を有し、各環状重錘体のXY平面に対する投影像が、原点Oを中心とする円環形状をなすようにしたものである。
(32) 本発明の第32の態様は、上述の第1〜第31の態様に係る角速度センサにおいて、
駆動手段が、内側接続部材の表面に固定された駆動用圧電素子と、この駆動用圧電素子に交流駆動信号を供給する駆動制御回路と、を有し、
検出手段が、内側接続部材の表面に固定された検出用圧電素子と、この検出用圧電素子に生じる電荷を検出し、その検出結果に基づいて角速度の検出値を出力する角速度検出回路と、を有するようにしたものである。
(33) 本発明の第33の態様は、上述の第1〜第31の態様に係る角速度センサにおいて、
駆動手段が、主振動子の表面に設けられた駆動用変位電極と、駆動用変位電極に対向し、装置筐体に固定された駆動用固定電極と、これら一対の駆動用電極間に交流駆動信号を供給する駆動制御回路と、を有し、
検出手段が、主振動子の表面に設けられた検出用変位電極と、検出用変位電極に対向し、装置筐体に固定された検出用固定電極と、これら一対の検出用電極間の静電容量を検出し、その検出結果に基づいて角速度の検出値を出力する角速度検出回路と、を有するようにしたものである。
(34) 本発明の第34の態様は、上述の第1〜第11の態様に係る角速度センサにおいて、
駆動手段が、装置筐体内で主振動子が周期的運動を行うように駆動するとともに、装置筐体内で副振動子が主振動子の運動とは逆方向に運動するように駆動するようにしたものである。
(35) 本発明の第35の態様は、上述の第34の態様に係る角速度センサにおいて、
駆動手段が、内側接続部材の表面に固定された主駆動用圧電素子と、外側接続部材の表面に固定された副駆動用圧電素子と、主駆動用圧電素子および副駆動用圧電素子にそれぞれ交流駆動信号を供給する駆動制御回路と、を有し、
検出手段が、内側接続部材の表面に固定された検出用圧電素子と、この検出用圧電素子に生じる電荷を検出し、その検出結果に基づいて角速度の検出値を出力する角速度検出回路と、を有するようにしたものである。
(36) 本発明の第36の態様は、上述の第34または第35の態様に係る角速度センサにおいて、
主振動子の質量と副振動子の質量とが等しくなるようにしたものである。
(37) 本発明の第37の態様は、上述の第34〜第36の態様に係る角速度センサにおいて、
駆動手段が、主振動子および副振動子を所定の共通振動軸に平行な方向にそれぞれ同一振幅および同一振動数で単振動させ、主振動子の運動方向と副振動子の運動方向とが常に逆方向となり、かつ、主振動子の運動速度の絶対値と副振動子の運動速度の絶対値とが等しくなるように駆動するようにしたものである。
(38) 本発明の第38の態様は、上述の第34〜第36の態様に係る角速度センサにおいて、
駆動手段が、主振動子および副振動子を所定の共通基準面にそれぞれ平行な固有の運動平面上で、互いに同一周期で逆まわりとなるように円運動させ、主振動子の運動方向と副振動子の運動方向とが常に逆方向となり、かつ、主振動子の運動速度の絶対値と副振動子の運動速度の絶対値とが等しくなるように駆動するようにしたものである。
本発明に係る角速度センサでは、主振動子に隣接して副振動子を設け、主振動子と副振動子とを可撓性をもった部材で接続し、この副振動子と装置筐体に固定された台座との間を可撓性をもった別な部材で接続する構造を採るようにしたため、主振動子から装置筐体側へと漏れ伝わる運動エネルギーを、副振動子の運動によって吸収させることができるようになる。このため、主振動子から装置筐体への振動漏れを極力排除することができ、検出精度を向上させることができるようになる。更に、副振動子を主振動子とは逆方向に運動させるようにすれば、主振動子から漏れ伝わる運動エネルギーと副振動子から漏れ伝わる運動エネルギーとを相殺する効果が得られ、装置筐体への振動漏れをより効果的に排除することが可能になる。
以下、本発明を図示する実施形態に基づいて説明する。
<<< §1.従来の角速度センサの構造と本発明の基本概念 >>>
はじめに、前掲の各特許文献などで提案されている従来の角速度センサの基本構造体の一例を示す。図1は、この従来のセンサで用いられている基本構造体100の上面図であり、図2は、図1に示す基本構造体100の側断面図である。図示のとおり、この基本構造体100は、平面が正方形をした板状の構造体であり、その上面は平面を形成している。ここでは、説明の便宜上、図1に示すように、基本構造体100の上面中心位置に原点Oをもち、基本構造体100の上面がXY平面に一致するようなXYZ三次元座標系を定義する。図1において、X軸は右方、Y軸は上方、Z軸は紙面に垂直上方になる。図2は、図1に示す基本構造体100を、XZ平面で切断した側断面図に相当する。
基本構造体100の中央に位置する重錘体110は、四角柱状のブロックであり、後述するように振動子として機能する。座標系の原点Oは、この重錘体110の上面中央位置に定義されている。この重錘体110の外側には、板状の架橋部120(X軸正領域),架橋部130(Y軸正領域),架橋部140(X軸負領域),架橋部150(Y軸負領域)が接続されており、更にその外側には、フレーム構造をなす台座160が接続されている。隣接する架橋部間には、図示のとおり、窓部W1〜W4が形成されており、重錘体110は、4本の架橋部120〜150によってのみ、台座160に対して接続された状態となっている。
このように、基本構造体100は、重錘体110、架橋部120〜150、台座160からなる一体構造体をなす。なお、台座160の底面は、装置筐体180に固定されている。装置筐体180は、図2にその一部分のみが示されているが、基本構造体100全体を収容する筐体である。すなわち、装置筐体180は、台座160を支持固定するとともに、重錘体110を宙吊り状態で収容する機能を果たす。重錘体110を宙吊り状態で支持する架橋部120〜150は、厚みの小さな板状構造体であるため可撓性を有している。このため、重錘体110に外力が加わると、架橋部120〜150に撓みが生じ、重錘体110は台座160(装置筐体180)に対して変位を生じる。
角速度センサを構成するためには、図示の基本構造体100に加えて、装置筐体180内で重錘体110が周期的運動(たとえば、単振動)を行うように駆動する駆動手段と、重錘体110が周期的運動を行っている状態において、重錘体110に作用するコリオリ力を検出し、これを所定軸まわりの角速度の検出値として出力する検出手段と、が必要になる。たとえば、駆動手段によって重錘体110をZ軸方向に単振動させた状態で、検出手段によって、重錘体110のX軸方向の変位(X軸方向に作用したコリオリ力)を検出すれば、Y軸まわりに作用した角速度ωyを得ることができ、重錘体110のY軸方向の変位(Y軸方向に作用したコリオリ力)を検出すれば、X軸まわりに作用した角速度ωxを得ることができる。これら駆動手段や検出手段としては、たとえば前掲の各特許文献等に開示されているように、圧電素子や容量素子を用いた例が実用化されている。
このように、従来の一般的な角速度センサの基本原理は、振動子として機能する重錘体110に周期的な運動を行わせ、これに作用するコリオリ力を測定することにより、角速度の検出を行うというものである。しかしながら、図示のとおり、重錘体110は、架橋部120〜150および台座160を介して装置筐体180に支持されているので、重錘体110の振動エネルギーの一部は、装置筐体180へと伝達され、振動漏れが生じることが避けられない。このような振動漏れが、角速度の測定精度を低下させる要因となることは、既に述べたとおりである。たとえば、図2において、装置筐体180に手を触れると、重錘体110の振動状態が変化し、角速度の検出結果に影響が及ぶことになる。具体的には、本来は「角速度の検出値=0」を検出結果として出力すべき状態(角速度が作用していない状態)においても、何らかの検出値が出力されてしまうような現象が生じることになる。
従来も、このような振動漏れに起因する測定誤差を低減させるために、たとえば、台座160と装置筐体180との間に弾力性を有する材料を介挿させるなどの対策がとられている。しかしながら、完全な防振効果を得ることは困難であり、依然として振動漏れに起因する測定誤差が発生している。
本発明は、このような振動子から装置筐体への振動漏れを排除し、検出精度を向上させるための新たな対応策を提案するものである。その基本的な概念は、角速度検出に利用するための本来の振動子(主振動子)とは別に、副振動子なるものを用意し、主振動子から装置筐体に至る物理的な経路(振動の伝達経路)の途中に、この副振動子を配置し、ダンパーとしての役割を果たさせることにある。以下、本発明をいくつかの実施形態に基づいて説明する。
<<< §2.本発明の第1の実施形態に用いる基本構造体 >>>
図3は、本発明の第1の実施形態に係る角速度センサに利用される基本構造体200を示す上面図であり、図4はその側断面図である。この基本構造体200の主たる構造は、§1で述べた基本構造体100の構造と同様である。すなわち、この基本構造体200は、平面が正方形をした板状の構造体であり、中心部重錘体210と、これを取り囲むように配置されたフレーム状の台座260との間を、4本の架橋部によって接続した構成をとる。但し、4本の架橋部の中間部分には、後述するように、それぞれ別な重錘体が設けられている。
ここでも、説明の便宜上、中心部重錘体210の上面中心位置に原点Oをもち、基本構造体200の上面がXY平面に一致するようなXYZ三次元座標系を定義する。図3において、X軸は右方、Y軸は上方、Z軸は紙面に垂直上方になる。図4は、図3に示す基本構造体200を、XZ平面で切断した側断面図に相当する。
中心部重錘体210は、四角柱状のブロックであり、本来の角速度検出の用に供される主振動子として機能する。これに対し、各架橋部の中間部分に設けられた重錘体は、振動漏れを低減させるための副振動子として機能する。図3の上面図に示されているように、X軸の正の領域上にはX軸正側重錘体225が配置され、Y軸の正の領域上にはY軸正側重錘体235が配置され、X軸の負の領域上にはX軸負側重錘体245が配置され、Y軸の負の領域上にはY軸負側重錘体255が配置されている。これらの重錘体の形状は、図4の側断面図に示されているとおり、ほぼ角柱状のブロックである。
各重錘体225,235,245,255の上面には、それぞれ溝部G1,G2,G3,G4が形成されている。各重錘体225,235,245,255は、いずれもその両側に架橋部が接続されている。ここでは、中心部重錘体210に近い方を「内側」と呼び、台座260に近い方を「外側」と呼ぶことにし、各重錘体225,235,245,255と中心部重錘体210とを接続する架橋部を「内側架橋部」と呼び、各重錘体225,235,245,255と台座260とを接続する架橋部を「外側架橋部」と呼ぶことにする。
また、本発明では、主振動子と副振動子とを接続する部材を「内側接続部材」と呼ぶことにする。したがって、この第1の実施形態の場合、4本の内側架橋部によって「内側接続部材」が構成されていることになる。具体的には、一端が中心部重錘体210に接続され、他端がX軸正側重錘体225に接続され、X軸の正の領域に沿って配置されたX軸正側内側架橋部221と、一端が中心部重錘体210に接続され、他端がY軸正側重錘体235に接続され、Y軸の正の領域に沿って配置されたY軸正側内側架橋部231と、一端が中心部重錘体210に接続され、他端がX軸負側重錘体245に接続され、X軸の負の領域に沿って配置されたX軸負側内側架橋部241と、一端が中心部重錘体210に接続され、他端がY軸負側重錘体255に接続され、Y軸の負の領域に沿って配置されたY軸負側内側架橋部251と、によって内側接続部材が構成されていることになる。
同様に、本発明では、副振動子と台座とを接続する部材を「外側接続部材」と呼ぶことにする。したがって、この第1の実施形態の場合、4本の外側架橋部によって「外側接続部材」が構成されていることになる。具体的には、一端が台座260に接続され、他端がX軸正側重錘体225に接続され、X軸の正の領域に沿って配置されたX軸正側外側架橋部222と、一端が台座260に接続され、他端がY軸正側重錘体235に接続され、Y軸の正の領域に沿って配置されたY軸正側外側架橋部232と、一端が台座260に接続され、他端がX軸負側重錘体245に接続され、X軸の負の領域に沿って配置されたX軸負側外側架橋部242と、一端が台座260に接続され、他端がY軸負側重錘体255に接続され、Y軸の負の領域に沿って配置されたY軸負側外側架橋部252と、によって外側接続部材が構成されていることになる。
なお、図4に示すとおり、台座260の底面は、装置筐体280に固定されている。装置筐体280は、その一部分のみが図示されているが、基本構造体200全体を収容する筐体である。すなわち、装置筐体280は、台座260を支持固定するとともに、中心部重錘体210を宙吊り状態で収容する機能を果たす。中心部重錘体210を宙吊り状態で支持する各架橋部221,222,231,232,241,242,251,252は、厚みの小さな板状構造体であるため可撓性を有している。このため、中心部重錘体210に外力が加わると、各架橋部に撓みが生じ、重錘体210は台座260(装置筐体280)に対して変位を生じる。
このように、振動子として機能する重錘体210が、その周囲四方から架橋部によって宙吊り状態で支持されており、この架橋部のもつ可撓性により、重錘体210がある程度の自由度をもって変位可能になる、という点において、図3および図4に示す基本構造体200は、図1および図2に示す基本構造体100と同等の機能を果たす。ただ、基本構造体200の大きな特徴は、中心部重錘体210を主振動子として、この主振動子210と台座260とを接続する接続部材の途中に、副振動子として機能する重錘体225,235,245,255が設けられている点である。しかも、主振動子210と副振動子225,235,245,255とを接続する内側接続部材と、副振動子225,235,245,255と台座260とを接続する外側接続部材とは、いずれも厚みの小さな板状の架橋部によって構成されているため、主振動子210だけでなく、各副振動子225,235,245,255も、ある程度の自由度をもって変位可能な状態になっている。
本願発明者が行った実験によると、図1および図2に示す従来の基本構造体100において重錘体110を振動させた場合に比べて、図3および図4に示す本発明に係る基本構造体200において中心部重錘体210を振動させた場合の方が、装置筐体180,280側へ伝達される振動エネルギー(振動漏れ)が著しく低減することが確認できた。これは、主振動子として機能する中心部重錘体210の振動エネルギーが台座260へと伝達される経路上に、副振動子として機能する重錘体225,235,245,255が配置されているため、これら副振動子によって振動エネルギーが吸収され、台座260側への振動エネルギーの伝播が抑制されるためと考えられる。
このように、主振動子と台座との間に副振動子を設けて、主振動子の振動エネルギーが台座へと伝播するのを抑制する、という技術思想が本発明の最も重要な概念であるが、図3および図4に示す基本構造体200には、装置筐体への振動漏れによる測定精度の低下を防止するための付随的な特徴が含まれている。
第1の付随的特徴は、可撓性をもった板状の架橋部として構成されている内側接続部材と外側接続部材の副振動子に対する接続位置と、各副振動子に形成された溝部の存在である。図4の側断面図に示されているとおり、内側接続部材(架橋部)221,241は、副振動子として機能する重錘体225,245の内側の側面(中心部重錘体210に対する対向面)の上端に接続されており、外側接続部材222,242(架橋部)は、副振動子として機能する重錘体225,245の外側の側面(台座260に対する対向面)の上端に接続されている。しかも、重錘体225,245の上面には、溝部G1,G3が形成されている。図3に実線で示されているとおり、基本構造体200の上面(副振動子の位置)には、4本の溝部G1〜G4が形成されており、溝部G1,G3はX軸に直交する方向に伸び、溝部G2,G4はY軸に直交する方向に伸びている。
このように、「架橋部と副振動子との接続位置」および「溝部の構成」という観点から注目すると、基本構造体200は次のような特徴を有していることがわかる。すなわち、図4に示すように、Z軸正方向を上方向、Z軸負方向を下方向とした場合、X軸正側重錘体225の「中心部重錘体210に対する対向面」の上端にX軸正側内側架橋部221が接続され、X軸正側重錘体225の「台座260に対する対向面」の上端にX軸正側外側架橋部222が接続され、X軸正側重錘体225の上面に、X軸に直交する方向に伸びる溝部G1が形成されている。そして、Y軸正側重錘体235の「中心部重錘体210に対する対向面」の上端にY軸正側内側架橋部231が接続され、Y軸正側重錘体235の「台座260に対する対向面」の上端にY軸正側外側架橋部232が接続され、Y軸正側重錘体235の上面に、Y軸に直交する方向に伸びる溝部G2が形成されている(図4には現れていない)。また、X軸負側重錘体245の「中心部重錘体210に対する対向面」の上端にX軸負側内側架橋部241が接続され、X軸負側重錘体245の「台座260に対する対向面」の上端にX軸負側外側架橋部242が接続され、X軸負側重錘体245の上面に、X軸に直交する方向に伸びる溝部G3が形成されている。更に、Y軸負側重錘体255の「中心部重錘体210に対する対向面」の上端にY軸負側内側架橋部251が接続され、Y軸負側重錘体255の「台座260に対する対向面」の上端にY軸負側外側架橋部252が接続され、Y軸負側重錘体255の上面に、Y軸に直交する方向に伸びる溝部G4が形成されている(図4には現れていない)。
本願発明者が行った実験によると、副振動子の支持構造として、このような構造を採ることは、振動漏れ抑制に極めて有効である。その理由は、このような構造を採ると、振動エネルギーの伝達経路に断面U字型の部分が形成され、この断面U字型の部分が、振動エネルギーの伝播を効果的に阻止するためではないかと考えられる。たとえば、図4の側断面図において、主振動子210の振動エネルギーは、内側架橋部221、副振動子225、外側架橋部222、台座260という経路を経て、装置筐体280へと伝達されることになるが、副振動子225の上方部分の振動エネルギー伝達経路を見ると、両架橋部221,222がいずれも副振動子225の側面上端に接続されており、更に、副振動子225の上面には、X軸に直交する方向に伸びる溝部G1が存在するため、断面U字状の部分が形成されている。副振動子225を構成する実質的な質量体は、この断面U字状の部分の下方に垂下した構造になっている。本願発明者は、このような特有の構造が、振動エネルギーの伝播を効果的に阻止する機能を果たすものと考えている。
基本構造体200のもつ第2の付随的特徴は、幾何学的な対称性である。図3の上面図に示されているとおり、この基本構造体200において、X軸正側重錘体225、Y軸正側重錘体235、X軸負側重錘体245、Y軸負側重錘体255は、互いに同一形状および同一質量をもった重錘体から構成されている。しかも、これら4個の重錘体225,235,245,255の配置は、XZ平面およびYZ平面の双方に関して対称となっている。実際には、この4個の重錘体のみならず、基本構造体200の幾何学的構造全体が、XZ平面およびYZ平面の双方に関して対称となっている。
このような対称性は、振動漏れの抑制に貢献する。特に、本願明細書で述べる各実施形態は、主振動子(中心部重錘体210)をXYZ三次元座標系における所定軸方向に単振動させた状態、もしくはXYZ三次元座標系における所定軸に直交する平面内で円運動させた状態で角速度の検出を行うため、基本構造体200の幾何学的構造が、XZ平面およびYZ平面の双方に関して対称性を有するようにすることは、装置筐体への振動漏れを抑制する上で効果的である。これは、振動子に単振動や円運動といった周期的な運動を行わせた場合に、振動子およびその支持構造に、当該周期的な運動系に関連した幾何学的な対称性が維持されていると、装置筐体側へ漏れ出る振動エネルギーの各成分が相殺されるためと考えられる。
このように、図3および図4に示す本発明の第1の実施形態に係る基本構造体200は、主振動子(中心部重錘体210)の振動エネルギーが台座260へと伝播するのを抑制するために副振動子(重錘体225,235,245,255)を設けたという重要な特徴に加えて、振動エネルギーの伝達経路に断面U字型の部分が形成されるような形態を採るという第1の付随的特徴と、XZ平面およびYZ平面の双方に関して対称性を維持する形態を採るという第2の付随的特徴を有している。これらの特徴により、主振動子の装置筐体側への振動漏れを、極めて効果的に阻止することができる。
<<< §3.本発明の第1の実施形態に係る角速度センサ >>>
§2では、本発明の第1の実施形態に係る角速度センサに用いる基本構造体200の構造を述べた。実際には、この基本構造体200は、たとえば、シリコンなどの半導体基板に対してエッチング処理や機械的な切削加工などを施すことにより構成することができる。
角速度センサを構成するためには、この基本構造体200に加えて、装置筐体280内で主振動子として機能する中心部重錘体210を駆動する駆動手段と、中心部重錘体210に作用するコリオリ力を検出し、これを所定軸まわりの角速度の検出値として出力する検出手段と、が必要になる。ここでは、この駆動手段および検出手段として圧電素子を利用し、具体的な角速度センサを構成した例を述べる。
図5は、図3に示す基本構造体200に圧電素子を取り付けた状態を示す上面図である(ハッチングは、圧電素子を示すものであり、断面を示すものではない)。一方、図6は、図5に示す圧電素子付き基本構造体200をXZ平面で切断した側断面図である。図示のとおり、基本構造体200の上面のX軸上には、圧電素子X11,X12,X13,X14が固定されており、Y軸上には、圧電素子Y11,Y12,Y13,Y14が固定されている。
図示のとおり8個の圧電素子は、いずれも内側接続部材(内側架橋部221,231,241,251)上に配置されているが、これは各圧電素子を、中心部重錘体210(主振動子)を駆動する駆動手段か、あるいは中心部重錘体210(主振動子)の変位(コリオリ力に基づく変位)を検出する検出手段として機能させるためである。別言すれば、ここに示す実施形態の場合、角速度の検出動作を行うにあたって、副振動子を積極的に駆動させる必要はなく、また、副振動子の変位を検出する必要もないため、外側接続部材(外側架橋部222,232,242,252)上には、圧電素子を配置する必要はない。
図示のとおり、圧電素子X11,Y11,X14,Y14は、内側架橋部221,231,241,251の外側端部近傍(中心部重錘体210から遠い端)に配置され、圧電素子X12,Y12,X13,Y13は、内側架橋部221,231,241,251の内側端部近傍(中心部重錘体210に近い端)に配置されている。これは、中心部重錘体210の変位によって内側架橋部221,231,241,251に撓みが生じた場合に、その両端部に応力が集中するので、この位置に圧電素子を配置しておくと、中心部重錘体210を駆動する上でも、中心部重錘体210の変位を検出する上でも、効率的であるためである。
図7は、基本構造体200の上面に配置された圧電素子の構造とその特性を示す側断面図である。図7(a) に示すように、各圧電素子は、板状の圧電素子本体部P、その上面に接合された上方電極EU、下面に接合された下方電極ELによって構成されている。基本構造体200の上面には、各圧電素子の下方電極ELの下面が固着され、圧電素子に生じた機械的変形が基本構造体200側へと伝達され、逆に、基本構造体200側に生じた機械的変形が各圧電素子側へと伝達されるようになっている。
圧電素子は、電圧を印加すると機械的変形が生じる性質と、逆に、機械的変形を加えると電荷が生じる性質をもっている。どのような極性の電圧を印加すると、どのような機械的変形が生じるか、あるいは、どのような機械的変形を加えると、どのような極性の電荷が生じるか、といった特性は、個々の圧電素子ごとに異なる(圧電素子を生成する際に行う分極処理によって決定される)。図7(a) に示す例のように、圧電素子の上下両面に電極を形成した場合、圧電素子に機械的変形を加えることにより生じる電荷は、上下両電極間に生じる電圧に比例する。したがって、以下の説明では、「発生電圧」を「発生電荷」と等価なものとして取り扱うことにする。
ここに例示する圧電素子は、図7(b) に示すように、上方電極EU側を正、下方電極EL側を負とする電圧を印加すると、横方向に伸びる機械的変形を生じ、図7(c) に示すように、上方電極EU側を負、下方電極EL側を正とする電圧を印加すると、横方向に縮む機械的変形を生じる。また、横方向に伸ばす機械的変形を加えると、上方電極EU側が正、下方電極EL側が負となるような電圧が生じ、横方向に縮める機械的変形を加えると、上方電極EU側が負、下方電極EL側が正となるような電圧が生じる。
もちろん、本発明を実施する上では、必ずしもこのような特性をもった圧電素子を用いる必要はなく、任意の特性をもった圧電素子を利用することが可能である。ただ、ここでは、説明の便宜上、図7(b) ,(c) に示すような特性をもった圧電素子を用いた場合を例として、以下の説明を行うことにする。また、ここでは、図5に示す8個の圧電素子のうち、内側に配置された4個の圧電素子X12,Y12,X13,Y13を駆動用圧電素子として用い、外側に配置された4個の圧電素子X11,Y14,X11,Y14を検出用圧電素子として用いた例を説明する(駆動用圧電素子と検出用圧電素子とは、適宜、入れ換えることが可能である)。
いま、駆動用圧電素子X12,Y12,X13,Y13に対して、図8(a) に示すような交流電圧信号φ1を供給した場合を考える。具体的には、これら各駆動用圧電素子X12,Y12,X13,Y13の下方電極ELを接地電位に固定しておき、各上方電極EUに対して、図8(a) に示す交流電圧信号φ1を与える。この交流電圧信号φ1は、正側のピーク電圧Vpと負側のピーク電圧−Vpをもった正弦波状の交流信号であり、図8(a) の横軸は時間軸tとなっている。このような交流電圧信号φ1の供給を受けた駆動用圧電素子X12,Y12,X13,Y13は、半周期ごとに、図7(b) および(c) の状態を繰り返すことになり、周期的な伸縮運動を行うことになる。
ここで、図5および図6に示す基本構造体200において、駆動用圧電素子X12,Y12,X13,Y13が配置されている上面部分が伸びると、各内側架橋部221,231,241,251は、中心部重錘体210をZ軸正方向(図6の上方)に変位させるような撓みを生じる。逆に、駆動用圧電素子X12,Y12,X13,Y13が配置されている上面部分が縮むと、各内側架橋部221,231,241,251は、中心部重錘体210をZ軸負方向(図6の下方)に変位させるような撓みを生じる。したがって、駆動用圧電素子X12,Y12,X13,Y13に対して、図8(a) に示すような交流電圧信号φ1を供給すると、中心部重錘体210はZ軸方向(図6の上下方向)に単振動することになる。
図8(b) は、中心部重錘体210の重心Gの変位を示すグラフである。このグラフにおいて、横軸は図8(a)の横軸と同期した時間軸tであり、縦軸は中心部重錘体210の重心GのZ座標値を示している。ここで、座標値Z0は、交流電圧信号φ1を供給しない場合、すなわち、静止状態における中心部重錘体210の重心GのZ座標値であり、振幅Aの中心位置に相当する。
主振動子として機能する中心部重錘体210は、振幅Aをもって上下方向に振動し、その周期は、交流電圧信号φ1の周期に一致する。ただし、主振動子210の変位の位相は、交流電圧信号φ1の位相に対して所定の位相差dだけ遅れることになる。これは、駆動用圧電素子X12,Y12,X13,Y13に所定の電圧が加えられてから、実際に主振動子210が、圧電素子の機械的変形に基づく変位を生じるまでに、機械系や回路系の遅延により若干の時間的な遅れが生じるためである。位相差dは、基本構造体200の構造、各部の寸法、材質、交流電圧信号φ1の周波数などのパラメータに応じて定まる値である。一般に、固有の振動系において、振動子をその共振周波数で振動させた場合、d=π/2になることが知られている。
このように、主振動子210をZ軸方向に単振動させると、その振動エネルギーの一部は、各架橋部を介して台座260へと伝達され、装置筐体280へ漏れ出てくることになる。ただ、§2で述べたとおり、基本構造体200では、この振動エネルギーの伝達経路の途中に副振動子225,235,245,255が設けられているため、台座260へと伝達される振動エネルギーは大幅に低減される。
さて、こうして、主振動子210をZ軸方向に振動させた状態において、角速度が作用すると、作用した角速度に応じて、主振動子210に対してコリオリ力が作用する。たとえば、Y軸まわりの角速度ωyが作用したとすると、主振動子210の運動方向はZ軸方向であるから、X軸方向のコリオリ力Fxが作用することになる。そして、X軸正方向のコリオリ力+Fxが作用した場合は、主振動子210はX軸正方向に傾くことになり、X軸負方向のコリオリ力−Fxが作用した場合は、主振動子210はX軸負方向に傾くことになる。
このような主振動子210のX軸方向への傾斜は、検出用圧電素子X11,X14の発生電荷として検出することができる。すなわち、X軸正方向のコリオリ力+Fxに基づいて、主振動子210がX軸正方向に傾くと、圧電素子X11は縮み、圧電素子X14は伸びるので、圧電素子X11の上方電極には負の電圧が生じ、圧電素子X14の上方電極には正の電圧が生じる。逆に、X軸負方向のコリオリ力−Fxに基づいて、主振動子210がX軸負方向に傾くと、圧電素子X11は伸び、圧電素子X14は縮むので、圧電素子X11の上方電極には正の電圧が生じ、圧電素子X14の上方電極には負の電圧が生じる。したがって、両者の電位差をとれば、その絶対値は作用したコリオリ力の大きさを示し、符号は作用したコリオリ力の向きを示すことになる。このコリオリ力の大きさと向きは、Y軸まわりの角速度ωyの大きさと向きを示している。
同様に、X軸まわりの角速度ωxが作用したとすると、主振動子210の運動方向はZ軸方向であるから、Y軸方向のコリオリ力Fyが作用することになり、主振動子210はY軸方向に傾斜する。このような主振動子210のY軸方向への傾斜は、コリオリ力検出用圧電素子Y11,Y14の発生電荷として検出することができる。すなわち、Y軸正方向のコリオリ力+Fyに基づいて、主振動子210がY軸正方向に傾くと、圧電素子Y11は縮み、圧電素子Y14は伸びるので、圧電素子Y11の上方電極には負の電圧が生じ、圧電素子Y14の上方電極には正の電圧が生じる。逆に、Y軸負方向のコリオリ力−Fyに基づいて、主振動子210がY軸負方向に傾くと、圧電素子Y11は伸び、圧電素子Y14は縮むので、圧電素子Y11の上方電極には正の電圧が生じ、圧電素子Y14の上方電極には負の電圧が生じる。したがって、両者の電位差をとれば、その絶対値はX軸まわりの角速度ωxの大きさを示し、符号は向きを示すものになる。
かくして、図5および図6に示す第1の実施形態に係る角速度センサでは、主振動子210をZ軸方向に振動させた状態において、X軸まわりの角速度ωxとY軸まわりの角速度ωyとを検出することが可能になる。
図9は、この角速度センサに用いる信号処理回路の一例を示す回路図である。図の上段左側に示された4個の圧電素子X12,X13,Y12,Y13は、図5に示す駆動用圧電素子であり、その下方電極ELは接地されている。駆動制御回路30は、交流信号源31から与えられる交流信号を調整して、駆動用圧電素子X12,X13,Y12,Y13に交流駆動信号を供給する機能を果たす。具体的には、たとえば、図8(a) に示すような交流電圧信号φ1を発生させて、駆動用圧電素子X12,X13,Y12,Y13の上方電極EUに印加する。これにより、駆動用圧電素子X12,X13,Y12,Y13が周期的に変形し、主振動子210が周期的運動(Z軸方向の単振動)を生じることは、既に述べたとおりである。
一方、図9の下段左側に示された4個の圧電素子X11,X14,Y11,Y14は、図5に示す検出用圧電素子であり、その下方電極ELは接地されている。圧電素子X11,X14の上方電極の電圧値V(X11),V(X14)は、差分回路21によってその差が電圧値Vxとして求められる。同様に、圧電素子Y11,Y14の上方電極の電圧値V(Y11),V(Y14)は、差分回路22によってその差が電圧値Vyとして求められる。
角速度検出回路40は、主振動子210が周期的運動(Z軸方向の単振動)を行っている状態において、この周期的運動に同期した所定タイミングで、検出用圧電素子X11,X14,Y11,Y14の発生電荷を測定し、これを所定軸まわりの角速度の検出値として出力する処理を行う。この第1の実施形態に係る角速度センサの場合、差分回路21によって求められた電圧値VxがX軸方向に作用したコリオリ力Fxの検出値になるため、Y軸まわりの角速度ωyを示す検出値として出力され、差分回路22によって求められた電圧値VyがY軸方向に作用したコリオリ力Fyの検出値になるため、X軸まわりの角速度ωxを示す検出値として出力されることになる。
なお、角速度検出回路40が、電圧値Vx,Vyを角速度ωy,ωxの検出値として出力するタイミングは、主振動子210の重心Gが単振動の振幅中心位置(図8(b) に示す座標値Z0に対応する位置)を通過する瞬間に設定するのが好ましい。主振動子210が単振動を行っていれば、重心Gが振幅中心位置を通過する瞬間に、主振動子の速度は最大値に達するので、作用するコリオリ力も最大値に達することになる。したがって、このタイミングで取り込んだ電圧Vx,Vyを、そのまま角速度ωy,ωxを示す検出値として出力するようにすれば、最も効率が良い検出が可能になる。
角速度検出回路40に、電圧値Vx,Vyを角速度ωy,ωxの検出値として出力するタイミングを認識させる1つの方法は、交流信号源31からの交流信号と遅延時間に相当する位相差dを角速度検出回路40に与える方法である。交流信号源31からの交流信号は、図8(a) に示す交流電圧信号φ1と同期している信号である。そして、図8(b) に示すように、主振動子210の変位を示す波形は、交流電圧信号φ1に対して所定の位相差dをもっている。この位相差dは、基本構造体200に固有の機械的特性と振動周波数に応じて定まる。したがって、交流信号源31からの交流信号と位相差dとを角速度検出回路40に与えておけば、主振動子210の重心Gが振幅中心位置を通過するタイミング(図8(b) において、座標値Z0を示す水平線を横切るタイミング)を把握することができる。
角速度検出回路40に、測定タイミングを認識させる別な方法は、差分回路21および22から得られる電圧VxおよびVyをモニタさせ、その絶対値が最大値となった時点を測定タイミングとする方法である。上述したとおり、主振動子210が単振動を行っていれば、重心Gが振幅中心位置を通過する瞬間に、主振動子の速度は最大値に達するので、作用するコリオリ力も最大値に達し、電圧VxおよびVyの絶対値も最大値になる。したがって、この最大値を示す電圧Vx,Vyを、そのまま角速度ωy,ωxを示す検出値として出力するようにすればよい。もっとも、この方法を採る場合は、最大値か否かを判定するために、電圧VxおよびVyの値を時系列的に保持する仕組が必要になる。更に、角速度の回転方向を検出するためには、交流信号源31の信号を利用して同期検波すればよい。
<<< §4.第1の実施形態の変形例 >>>
ここでは、§3で述べた第1の実施形態に係る角速度センサの変形例をいくつか述べておく。なお、ここで述べる変形例は、§5以降で述べる他の実施形態にも同様に適用可能である。
<4−1:圧電素子のバリエーション>
§3で述べた実施形態では、図5に示す8個の圧電素子のうち、内側に配置された4個の圧電素子X12,X13,Y12,Y13を駆動用圧電素子として利用し、外側に配置された4個の圧電素子X11,X14,Y11,Y14を検出用圧電素子として利用しているが、圧電素子の役割は逆にしてもかまわない。ただ、図8(a) に示す交流駆動信号φ1を各駆動用圧電素子X11,X14,Y11,Y14に供給した場合の主振動子210の変位方向は逆点するため、主振動子210の変位は、図8(b) に示すグラフとは異なる点を考慮する必要がある。また、検出用圧電素子X12,X13,Y12,Y13に発生する電荷の極性も、圧電素子X11,X14,Y11,Y14を検出用圧電素子として利用した場合とは異なるため、角速度検出回路40における信号処理を行う上でも留意する必要がある。
また、§3で述べた実施形態では、図7(b) ,(c) に示すような電気的特性をもった圧電素子を用いていたが、これとは逆の電気的特性、すなわち、上方電極EU側を正、下方電極EL側を負とする電圧を印加すると、横方向に縮む機械的変形を生じ、上方電極EU側を負、下方電極EL側を正とする電圧を印加すると、横方向に伸びる機械的変形を生じ、横方向に伸ばす機械的変形を加えると、上方電極EU側が負、下方電極EL側が正となるような電圧が生じ、横方向に縮める機械的変形を加えると、上方電極EU側が正、下方電極EL側が負となるような電圧が生じる電気的特性をもった圧電素子を利用することも可能である。この場合、電気的特性が逆転することを考慮して、駆動制御回路30や角度検出回路40における電気信号の取り扱いを検討する必要がある。
また、図7(b) ,(c) に示すような電気的特性をもった圧電素子と、これと逆の電気的特性をもった圧電素子とを混合して用いることも可能である。もちろん、この場合、個々の圧電素子の電気的特性を考慮して、供給する交流駆動信号の位相や、発生した電圧の取り扱いを決める必要がある。たとえば、内側に配置された4個の圧電素子X12,X13,Y12,Y13を駆動用圧電素子として利用する場合であっても、圧電素子X12,X13として図7(b) ,(c) に示すような電気的特性をもった圧電素子を利用し、圧電素子Y12,Y13として図7(b) ,(c) に示すものとは逆の電気的特性をもった圧電素子を利用した場合、圧電素子X12,X13に対しては図10(a) に示すような交流電圧信号φ1を供給し、圧電素子Y12,Y13に対しては図10(b) に示すような交流電圧信号φ2(φ1とは逆位相の信号)を供給する必要がある。
<4−2:主振動子の周期的運動のバリエーション>
§3で述べた実施形態では、主振動子210をZ軸方向に単振動させた例を示したが、主振動子210が行う周期的運動は、このようなZ軸方向への単振動に限定されるものではない。
たとえば、図11は、図3に示す基本構造体200の上面に、24個の圧電素子を配置し、主振動子210を任意の座標軸方向に単振動させることができるようにし、更に、円運動も行わせることができるようにした例である。図11において、ハッチングは、圧電素子を示すものであり、断面を示すものではない。
ここでは、説明の便宜上、X軸の両脇に、X軸に対して平行で、所定間隔をおいて配置されたXa軸およびXb軸を定義し、Y軸の両脇に、Y軸に対して平行で、所定間隔をおいて配置されたYa軸およびYb軸を定義する。Xa軸およびXb軸はX軸に関して対称な位置に定義され、Ya軸およびYb軸はY軸に関して対称な位置に定義される。ここに示す変形例では、図11に示すとおり、X軸上には、圧電素子X11,X12,X13,X14が配置され、Xa軸上には、圧電素子X21,X22,X23,X24が配置され、Xb軸上には、圧電素子X31,X32,X33,X34が配置されている。また、Y軸上には、圧電素子Y11,Y12,Y13,Y14が配置され、Ya軸上には、圧電素子Y21,Y22,Y23,Y24が配置され、Yb軸上には、圧電素子Y31,Y32,Y33,Y34が配置されている。
この24個の圧電素子は、いずれも内側接続部材(内側架橋部221,231,241,251)上に配置されているが、これは各圧電素子を、中心部重錘体210(主振動子)を駆動する駆動手段か、あるいは中心部重錘体210(主振動子)の変位(コリオリ力に基づく変位)を検出する検出手段として機能させるためである。また、各圧電素子は、内側架橋部221,231,241,251の両端部近傍に配置されているが、これは当該部分に応力が集中するためである。
この角速度センサにおいて、主振動子210をX軸方向に単振動させるには、たとえば、Xa軸上に配置された4個の圧電素子X21,X22,X23,X24と、Xb軸上に配置された4個の圧電素子X31,X32,X33,X34とを駆動用圧電素子として利用すればよい。具体的には、これら8個の圧電素子の電気的特性がすべて同一であるとした場合、4個の圧電素子X21,X23,X31,X33には、図10(a) に示す交流電圧信号φ1を供給し、4個の圧電素子X22,X24,X32,X34には、図10(b) に示す交流電圧信号φ2を供給すれば、主振動子210はX軸方向に単振動する。
このように、Xa軸上に配置された圧電素子とXb軸上に配置された圧電素子との双方を駆動用圧電素子として用いると、発生する駆動エネルギーがX軸に関して対称となるので、X軸に沿った単振動を安定して行わせることができる。
同様に、この角速度センサにおいて、主振動子210をY軸方向に単振動させるには、たとえば、Ya軸上に配置された4個の圧電素子Y21,Y22,Y23,Y24と、Yb軸上に配置された4個の圧電素子Y31,Y32,Y33,Y34とを駆動用圧電素子として利用すればよい。具体的には、これら8個の圧電素子の電気的特性がすべて同一であるとした場合、4個の圧電素子Y21,Y23,Y31,Y33には、図10(a) に示す交流電圧信号φ1を供給し、4個の圧電素子Y22,Y24,Y32,Y34には、図10(b) に示す交流電圧信号φ2を供給すれば、主振動子210はY軸方向に単振動する。
この場合も、Ya軸上に配置された圧電素子とYb軸上に配置された圧電素子との双方を駆動用圧電素子として用いているので、発生する駆動エネルギーがY軸に関して対称となるので、Y軸に沿った単振動を安定して行わせることができる。
更に、この角速度センサにおいて、主振動子210をZ軸方向に単振動させるには、たとえば、Xa軸上に配置された4個の圧電素子X21,X22,X23,X24と、Xb軸上に配置された4個の圧電素子X31,X32,X33,X34とを駆動用圧電素子として利用すればよい。具体的には、これら8個の圧電素子の電気的特性がすべて同一であるとした場合、4個の圧電素子X21,X24,X31,X34には、図10(a) に示す交流電圧信号φ1を供給し、4個の圧電素子X22,X23,X32,X33には、図10(b) に示す交流電圧信号φ2を供給すれば、主振動子210はZ軸方向に単振動する。
あるいは、Ya軸上に配置された4個の圧電素子Y21,Y22,Y23,Y24と、Yb軸上に配置された4個の圧電素子Y31,Y32,Y33,Y34とを駆動用圧電素子として利用し、これら8個の圧電素子の電気的特性がすべて同一であるとした場合、4個の圧電素子Y21,Y24,Y31,Y34には、図10(a) に示す交流電圧信号φ1を供給し、4個の圧電素子Y22,Y23,Y32,Y33には、図10(b) に示す交流電圧信号φ2を供給しても、主振動子210をZ軸方向に単振動させることができる。
もちろん、主振動子210をZ軸方向に単振動させるために、Xa軸,Xb軸,Ya軸,Yb軸上に配置された合計16個の圧電素子すべてを駆動用圧電素子として利用して、各駆動用圧電素子に上述したとおりの交流電圧信号φ1もしくはφ2の供給を行ってもよい。このように、Xa軸,Xb軸,Ya軸,Yb軸上に配置された合計16個の圧電素子すべてを駆動用圧電素子として利用すると、発生する駆動エネルギーがX軸およびY軸の双方に関して対称となるので、Z軸に沿った単振動を安定して行わせることができる。
また、互いに直交する方向に関する単振動を位相をπ/2だけずらして合成することにより、主振動子210を円運動させることも可能である。たとえば、上述したX軸に沿った単振動とY軸に沿った単振動とを合成すれば、XY平面に沿った平面上での円運動が可能になる。具体的には、Xa軸,Xb軸,Ya軸,Yb軸上に配置された合計16個の圧電素子すべてを駆動用圧電素子として利用し、4個の圧電素子X21,X31,X23,X33には図10(a) に示すような交流電圧信号φ1を供給し、4個の圧電素子Y21,Y31,Y23,Y33には図10(a) に示すような交流電圧信号φ1の位相をπ/2だけ遅らせた信号を供給し、4個の圧電素子X22,X32,X24,X34には図10(b) に示すような交流電圧信号φ2を供給し、4個の圧電素子Y22,Y34,Y22,Y34には図10(b) に示すような交流電圧信号φ2の位相をπ/2だけ遅らせた信号を供給すればよい。
なお、ここでは駆動用圧電素子に供給する交流電圧信号として、正弦波形をとる信号を用いた例を述べるが、駆動用圧電素子に供給する交流電圧信号は必ずしも正弦波形をとる信号である必要はなく、たとえば、矩形波信号であってもかまわない。
以上、図11に示す角速度センサにおいて、主振動子210を様々な方向に駆動する例を述べたが、続いて、この角速度センサにおいて、主振動子210に作用した各座標軸方向のコリオリ力を検出する方法の一例を説明する。上述したとおり、この角速度センサでは、Xa軸,Xb軸,Ya軸,Yb軸上に配置された合計16個の圧電素子が駆動用圧電素子として用いられている。そこで、コリオリ力の検出には、残りの8個の圧電素子を利用する。すなわち、X軸上に配置された圧電素子X11,X12,X13,X14とY軸上に配置された圧電素子Y11,Y12,Y13,Y14とが、検出用圧電素子として利用される。
まず、X軸方向に作用したコリオリ力Fxは、4個の圧電素子X11,X12,X13,X14から得られる電圧V(X11),V(X12),V(X13),V(X14)によって求めることができる。具体的には、これら4個の圧電素子の電気的特性がすべて同一であれば、(V(X11)+V(X13))−(V(X12)+V(X14))なる演算によって、コリオリ力Fxの検出が可能である。
また、Y軸方向に作用したコリオリ力Fyは、4個の圧電素子Y11,Y12,Y13,Y14から得られる電圧V(Y11),V(Y12),V(Y13),V(Y14)によって求めることができる。具体的には、これら4個の圧電素子の電気的特性がすべて同一であれば、(V(Y11)+V(Y13))−(V(Y12)+V(Y14))なる演算によって、コリオリ力Fyの検出が可能である。
更に、Z軸方向に作用したコリオリ力Fzは、4個の圧電素子X11,X12,X13,X14から得られる電圧V(X11),V(X12),V(X13),V(X14)によって求めることができる。具体的には、これら4個の圧電素子の電気的特性がすべて同一であれば、(V(X11)+V(X14))−(V(X12)+V(X13))なる演算によって、コリオリ力Fzの検出が可能である。あるいは、4個の圧電素子Y11,Y12,Y13,Y14から得られる電圧V(Y11),V(Y12),V(Y13),V(Y14)によって、コリオリ力Fzを求めることもできる。具体的には、これら4個の圧電素子の電気的特性がすべて同一であれば、(V(Y11)+V(Y14))−(V(Y12)+V(Y13))なる演算によって、コリオリ力Fzの検出が可能である。
もちろん、8個の圧電素子X11,X12,X13,X14,Y11,Y12,Y13,Y14から得られる電圧すべてを利用して、(V(X11)+V(X14))−(V(X12)+V(X13))+(V(Y11)+V(Y14))−(V(Y12)+V(Y13))なる演算によって、コリオリ力Fzの検出を行うことも可能である。
<4−3:多軸まわりの角速度検出>
角速度検出の基本原理は、質量mをもった振動子が第1の座標軸方向に所定速度Vで運動しているときに、この振動子に第2の座標軸方向に作用するコリオリ力Fが作用していれば、装置筐体に対して第3の座標軸まわりに作用している角速度ωは、「F=2m・V・ω」なる式を満たす、というものである。したがって、この式を利用すれば、本発明に係る角速度センサを、2軸まわりの角速度を検出する2軸角速度センサとして利用したり、3軸まわりの角速度を検出する3軸角速度センサとして利用したりすることが可能である。
たとえば、図11に示す角速度センサを2軸角速度センサとして動作させるには、主振動子210を第1の座標軸方向に単振動させた状態において、第2の座標軸方向に作用するコリオリ力および第3の座標軸方向に作用するコリオリ力を検出すればよい。具体的には、たとえば、主振動子210をZ軸方向に単振動させた状態において、主振動子210に作用するX軸方向のコリオリ力Fxを検出すれば、これをY軸まわりの角速度ωyの検出値として出力することができ、主振動子210に作用するY軸方向のコリオリ力Fyを検出すれば、これをX軸まわりの角速度ωxの検出値として出力することができる。
一方、図11に示す角速度センサを3軸角速度センサとして動作させるには、主振動子210を所定の座標軸に直交する平面内で円運動させた状態において、各座標軸方向に作用するコリオリ力を検出すればよい。具体的には、たとえば、主振動子210をZ軸に直交する平面内(XY平面に平行な平面内)で円運動させ、主振動子210がX軸方向に速度Vxをもって運動しているときに、Y軸方向に作用するコリオリ力Fyを検出すれば、Z軸まわりの角速度ωzを検出することができるし、Z軸方向に作用するコリオリ力Fzを検出すれば、Y軸まわりの角速度ωyを検出することができる。あるいは、主振動子210がY軸方向に速度Vyをもって運動しているときに、X軸方向に作用するコリオリ力Fxを検出すれば、Z軸まわりの角速度ωzを検出することができるし、Z軸方向に作用するコリオリ力Fzを検出すれば、X軸まわりの角速度ωxを検出することができる。
このような多軸まわりの角速度検出の手法は、前掲の各特許文献等に開示されている公知の手法であるため、ここでは詳しい説明は省略する。
<4−4:圧電素子の形態のバリエーション>
§3で述べた第1の実施形態に係る角速度センサは、図6の側断面図に示す構造を有している。この図6では、図示の便宜上、圧電素子X11〜X14をそれぞれ単純な黒いバーとして示してあるが、実際には、これら各圧電素子は、図7(a) の側断面図に示されているとおり、板状の圧電素子本体部P、上方電極EU、下方電極ELによって構成されている。したがって、図6の側断面図の一部を拡大して示すと、図12の側断面図のようになる。すなわち、X軸正側内側架橋部221の上面に圧電素子X11,X12が配置され、X軸負側内側架橋部241の上面に圧電素子X13,X14が配置され、各圧電素子はいずれも圧電素子本体部P、上方電極EU、下方電極ELの3層によって構成されている。Y軸上に配置されている圧電素子Y11〜Y14も同様である。
このように、それぞれが独立した3層構造を有する個々の圧電素子を、各架橋部の上面に固着する代わりに、図13に示す例のように、各圧電素子X11〜X14(および図示されていないY11〜Y14)の下方電極ELを単一の共通導電層EL′に置き換えると、個々の下方電極ELに対する個別配線が不要になるので、構造をより単純化することができる。このように、各圧電素子の下方電極ELを単一の共通導電層EL′に置き換えると、各圧電素子の圧電素子本体部Pの下面は共通電位になるが、上方電極EUは個別の電極として機能するため、動作上の支障は生じない。
図14は、更に、各圧電素子X11〜X14(および図示されていないY11〜Y14)の圧電素子本体部Pを単一の共通圧電素子本体部P′に置き換えた例を示す。このように、各圧電素子の圧電素子本体部Pを単一の共通圧電素子本体部P′に置き換えても、上方電極EUは個別の電極として機能するため、動作上の支障は生じない。
図15は、図13および図14に示す変形例を説明するための基本構造体200の上面図である(ハッチングは、領域を説明するためのものであり、断面を示すものではない)。図にハッチングを施した領域は、単一の共通導電層EL′および単一の共通圧電素子本体部P′が形成されている領域である。本来、中心部重錘体210の上面部分には、単一の共通導電層EL′および単一の共通圧電素子本体部P′を形成する必要はないが、この図15に示す例のように、中心部重錘体210の上面部分を含むハッチング領域内に、単一の共通導電層EL′および単一の共通圧電素子本体部P′を形成しておけば、いずれも単一層によって、全圧電素子X11〜X14,Y11〜Y14の下方電極ELおよび圧電素子本体部Pを構成することが可能になる。
<4−5:溝部の省略>
図16は、図4に示す本発明の第1の実施形態に係る基本構造体200の変形例を示す側断面図である。図16に示されている基本構造体200′は、図4に示されている基本構造体200の溝部G1〜G4を省略したものであり、副振動子として機能するX軸上に配置された重錘体225′,245′(および図16には示されていないY軸上に配置された重錘体235′,255′)の上面に、溝部G1〜G4は形成されていない。
既に§2で述べたとおり、溝部G1〜G4を形成すると、振動エネルギーの伝達経路に断面U字型の部分が形成され、この断面U字型の部分が、振動エネルギーの伝播を効果的に阻止する機能を果たす。したがって、実用上は、図4に示す基本構造体200のように、溝部G1〜G4を形成するのが好ましい。ただ、図16に示す基本構造体200′のように、溝部G1〜G4が形成されていない構造をとった場合でも、副振動子を配置したことによる振動エネルギーの吸収効果が得られるため、図2に示す従来の基本構造体100に比べれば、振動漏れを阻止する効果は得られる。
<4−6:駆動手段および検出手段のバリエーション>
§3では、主振動子を運動させる駆動手段および主振動子に作用するコリオリ力を検出する検出手段として圧電素子を利用した例を述べた。たとえば、図5に示す例の場合、内側接続部材の表面に固定された4個の駆動用圧電素子X12,Y12,X13,Y13と、これらの駆動用圧電素子に交流駆動信号を供給する駆動制御回路30(図9参照)とによって駆動手段が構成され、内側接続部材の表面に固定された4個の検出用圧電素子X11,Y11,X14,Y14と、これらの検出用圧電素子に生じる電荷を検出し、その検出結果に基づいて角速度の検出値を出力する角速度検出回路40(図9参照)とによって検出手段が構成されていた。
しかしながら、駆動手段や検出手段は、必ずしも圧電素子を利用して構成する必要はない。たとえば、特開平8−226931号公報の図19〜図21には、静電容量素子を利用して、駆動手段や検出手段を構成した角速度センサの一例が開示されている。本発明は、このような角速度センサにも適用可能である。具体的には、主振動子の表面に設けられた駆動用変位電極と、この駆動用変位電極に対向し、装置筐体に固定された駆動用固定電極と、これら一対の駆動用電極間に交流駆動信号を供給する駆動制御回路とによって駆動手段を構成すればよい。この場合、駆動用変位電極と駆動用固定電極との間に作用するクーロン力により、主振動子の駆動が行われることになる。また、主振動子の表面に設けられた検出用変位電極と、この検出用変位電極に対向し、装置筐体に固定された検出用固定電極と、これら一対の検出用電極間の静電容量を検出し、その検出結果に基づいて角速度の検出値を出力する角速度検出回路とによって検出手段を構成すればよい。この場合、主振動子に作用したコリオリ力は、主振動子の変位に基づく検出用変位電極と検出用固定電極との間の電極間距離の変化(静電容量の変化)として検出されることになる。
この他にも、磁気を利用して主振動子を駆動させたり、磁気を利用して主振動子に作用するコリオリ力(主振動子の変位)を検出したりすることも可能である。このように、本発明の基本概念は、特有の構造を有する基本構造体を利用する点にあり、そのような基本構造体を利用して角速度センサを実現する上では、駆動手段や検出手段を、どのような具体的素子を利用して構成してもかまわない。
<<< §5.本発明の第2の実施形態に係る角速度センサ >>>
続いて、本発明の第2の実施形態に係る角速度センサを述べる。ここで述べる角速度センサに用いられる基本構造体の特徴は、主振動子を二重に取り囲む位置に副振動子を配置した点にある。
図17は、この第2の実施形態に係る角速度センサの基本構造体300を示す上面図であり、図18は、側断面図である。図17および図18に示す基本構造体300を、図3および図4に示す基本構造体200と比較すると、両者は非常に類似した構造を有していることがわかる。両者の実質的な相違は、副振動子の数である。図3に示す第1の実施形態に係る基本構造体200では、中心部重錘体210と台座260との間に、上下左右に伸びる4本のビームが配置され、各ビームの中央部分に、それぞれ副振動子225,235,245,255が配置されている。これに対して、図17に示す第2の実施形態に係る基本構造体300では、中心部重錘体310と台座360との間に、上下左右に伸びる4本のビームが配置されている点に変わりはないが、各ビームには、それぞれ一対となった副振動子325/326,335/336,345/346,355/356が配置されている。両者の相違は、図4の側断面図と図18の側断面図とを比較すれば、容易に把握できよう。
ここでも、説明の便宜上、中心部重錘体310の上面中心位置に原点Oをもち、基本構造体300の上面がXY平面に一致するようなXYZ三次元座標系を定義する。図18は、図17に示す基本構造体300を、XZ平面で切断した側断面図に相当する。
中心部重錘体310は、四角柱状のブロックであり、本来の角速度検出の用に供される主振動子として機能する。これに対し、各架橋部の中間部分に設けられた重錘体は、振動漏れを低減させるための副振動子として機能する。この実施形態の場合、副振動子として合計8個の重錘体が用いられている。ここでは、中心部重錘体310の側面を取り囲む内側環状閉領域と、この内側環状閉領域を取り囲む外側環状閉領域とを定義し、内側環状閉領域内に配置された4個の重錘体325,335,345,355を「内側重錘体」と呼び、外側環状閉領域内に配置された4個の重錘体326,336,346,356を「外側重錘体」と呼ぶことにする。
また、中心部重錘体310と4個の内側重錘体325,335,345,355のそれぞれとを接続する4本の架橋部を内側架橋部321,331,341,351と呼び、4個の内側重錘体325,335,345,355のそれぞれと4個の外側重錘体326,336,346,356のそれぞれとを接続する4本の架橋部を中間架橋部322,332,342,352と呼び、4個の外側重錘体326,336,346,356のそれぞれと台座360とを接続する4本の架橋部を外側架橋部323,333,343,353と呼ぶことにする。
たとえば、図18の側断面図において、中心部重錘体310の右側部分は、内側架橋部321,内側重錘体325,中間架橋部322,外側重錘体326,外側架橋部323を介して台座360に接続され、中心部重錘体310の左側部分は、内側架橋部341,内側重錘体345,中間架橋部342,外側重錘体346,外側架橋部343を介して台座360に接続されている。
結局、図17に示す基本構造体300では、内側環状閉領域内には、X軸の正の領域上にX軸正側内側重錘体325が配置され、Y軸の正の領域上にY軸正側内側重錘体335が配置され、X軸の負の領域上にX軸負側内側重錘体345が配置され、Y軸の負の領域上にY軸負側内側重錘体355が配置され、外側環状閉領域内には、X軸の正の領域上にX軸正側外側重錘体326が配置され、Y軸の正の領域上にY軸正側外側重錘体336が配置され、X軸の負の領域上にX軸負側外側重錘体346が配置され、Y軸の負の領域上にY軸負側外側重錘体356が配置されていることになる。これらの重錘体は、いずれも副振動子として機能するものであり、その形状は、図18の側断面図に示されているとおり、ほぼ角柱状のブロックである。
この実施形態の場合、内側重錘体325,335,345,355と中心部重錘体310とを接続するために、一端が中心部重錘体310に接続され、他端がX軸正側内側重錘体325に接続され、X軸の正の領域に沿って配置されたX軸正側内側架橋部321と、一端が中心部重錘体310に接続され、他端がY軸正側内側重錘体335に接続され、Y軸の正の領域に沿って配置されたY軸正側内側架橋部331と、一端が中心部重錘体310に接続され、他端がX軸負側内側重錘体345に接続され、X軸の負の領域に沿って配置されたX軸負側内側架橋部341と、一端が中心部重錘体310に接続され、他端がY軸負側内側重錘体355に接続され、Y軸の負の領域に沿って配置されたY軸負側内側架橋部351とが設けられており、これら4本の架橋部は、内側接続部材を構成するメンバーとなる。
また、外側重錘体326,336,346,356と台座360とを接続するために、一端が台座360に接続され、他端がX軸正側外側重錘体326に接続され、X軸の正の領域に沿って配置されたX軸正側外側架橋部323と、一端が台座360に接続され、他端がY軸正側外側重錘体336に接続され、Y軸の正の領域に沿って配置されたY軸正側外側架橋部333と、一端が台座360に接続され、他端がX軸負側外側重錘体346に接続され、X軸の負の領域に沿って配置されたX軸負側外側架橋部343と、一端が台座360に接続され、他端がY軸負側外側重錘体356に接続され、Y軸の負の領域に沿って配置されたY軸負側外側架橋部353とが設けられており、これら4本の架橋部は、外側接続部材を構成するメンバーとなる。
更に、内側重錘体325,335,345,355と外側重錘体326,336,346,356とを接続するために、一端がX軸正側内側重錘体325に接続され、他端がX軸正側外側重錘体326に接続され、X軸の正の領域に沿って配置されたX軸正側中間架橋部322と、一端がY軸正側内側重錘体335に接続され、他端がY軸正側外側重錘体336に接続され、Y軸の正の領域に沿って配置されたY軸正側中間架橋部332と、一端がX軸負側内側重錘体345に接続され、他端がX軸負側外側重錘体346に接続され、X軸の負の領域に沿って配置されたX軸負側中間架橋部342と、一端がY軸負側内側重錘体355に接続され、他端がY軸負側外側重錘体356に接続され、Y軸の負の領域に沿って配置されたY軸負側中間架橋部352とが設けられており、これら4本の架橋部は、中間接続部材(内側重錘体と外側重錘体とを接続する部材)を構成するメンバーとなる。
図18に示すとおり、台座360の底面は、装置筐体380に固定されている。装置筐体380は、その一部分のみが図示されているが、基本構造体300全体を収容する筐体である。すなわち、装置筐体380は、台座360を支持固定するとともに、中心部重錘体310を宙吊り状態で収容する機能を果たす。中心部重錘体310を宙吊り状態で支持する各架橋部は、厚みの小さな板状構造体であるため可撓性を有している。このため、中心部重錘体310に外力が加わると、各架橋部に撓みが生じ、重錘体310は台座360(装置筐体380)に対して変位を生じる。もちろん、主振動子として機能する重錘体310だけでなく、副振動子として機能する各重錘体も、ある程度の自由度をもって変位可能な状態になっている。
本願発明者が行った実験によると、図3および図4に示す第1の実施形態に係る基本構造体200において重錘体210を振動させた場合に比べて、図17および図18に示す第2の実施形態に係る基本構造体300において中心部重錘体310を振動させた場合の方が、装置筐体側へ伝達される振動エネルギー(振動漏れ)がより低減することが確認できた。これは、振動エネルギーの伝達経路に2つの副振動子を配置することにより、副振動子による振動エネルギーの吸収効果がより顕著になったためと考えられる。
この第2の実施形態においても、可撓性をもった板状の架橋部の接続位置は、副振動子として機能する各重錘体225,226,235,236,245,246,255,256の側面の上端となっており、しかも各重錘体の上面には、それぞれ溝部G1a,G1b,G2a,G2b,G3a,G3b,G4a,G4bが形成されている。
より具体的に説明すれば、図17および図18に示す基本構造体300では、X軸正側部分に関しては、X軸正側内側重錘体325の「中心部重錘体310に対する対向面」の上端にX軸正側内側架橋部321が接続され、X軸正側内側重錘体325の「X軸正側外側重錘体326に対する対向面」の上端にX軸正側中間架橋部322の一端が接続され、X軸正側外側重錘体326の「X軸正側内側重錘体325に対する対向面」の上端にX軸正側中間架橋部322の他端が接続され、X軸正側外側重錘体326の「台座360に対する対向面」の上端にX軸正側外側架橋部323が接続され、X軸正側内側重錘体325の上面およびX軸正側外側重錘体326の上面に、それぞれX軸に直交する方向に伸びる溝部G1a,G1bが形成されている。
また、Y軸正側部分に関しては、Y軸正側内側重錘体335の「中心部重錘体310に対する対向面」の上端にY軸正側内側架橋部331が接続され、Y軸正側内側重錘体335の「Y軸正側外側重錘体336に対する対向面」の上端にY軸正側中間架橋部332の一端が接続され、Y軸正側外側重錘体336の「Y軸正側内側重錘体335に対する対向面」の上端にY軸正側中間架橋部332の他端が接続され、Y軸正側外側重錘体336の「台座360に対する対向面」の上端にY軸正側外側架橋部333が接続され、Y軸正側内側重錘体335の上面およびY軸正側外側重錘体336の上面に、それぞれY軸に直交する方向に伸びる溝部G2a,G2bが形成されている。
そして、X軸負側部分に関しては、X軸負側内側重錘体345の「中心部重錘体310に対する対向面」の上端にX軸負側内側架橋部341が接続され、X軸負側内側重錘体345の「X軸負側外側重錘体346に対する対向面」の上端にX軸負側中間架橋部342の一端が接続され、X軸負側外側重錘体346の「X軸負側内側重錘体345に対する対向面」の上端にX軸負側中間架橋部342の他端が接続され、X軸負側外側重錘体346の「台座360に対する対向面」の上端にX軸負側外側架橋部343が接続され、X軸負側内側重錘体345の上面およびX軸負側外側重錘体346の上面に、それぞれX軸に直交する方向に伸びる溝部G3a,G3bが形成されている。
更に、Y軸負側部分に関しては、Y軸負側内側重錘体355の「中心部重錘体310に対する対向面」の上端にY軸負側内側架橋部351が接続され、Y軸負側内側重錘体355の「Y軸負側外側重錘体356に対する対向面」の上端にY軸負側中間架橋部352の一端が接続され、Y軸負側外側重錘体356の「Y軸負側内側重錘体355に対する対向面」の上端にY軸負側中間架橋部352の他端が接続され、Y軸負側外側重錘体356の「台座360に対する対向面」の上端にY軸負側外側架橋部353が接続され、Y軸負側内側重錘体355の上面およびY軸負側外側重錘体356の上面に、それぞれY軸に直交する方向に伸びる溝部G4a,G4bが形成されている。
副振動子の支持構造として、このような構造を採ると、振動エネルギーの伝達経路に断面U字型の部分が形成され、この断面U字型の部分が、振動エネルギーの伝播を効果的に阻止する機能を果たす点は、既に述べたとおりである。特に、この第2の実施形態の場合、断面U字型の部分が、振動エネルギーの伝播経路上の2箇所に設けられることになるため、より顕著な振動漏れ抑制効果が得られる。
また、この基本構造体300においても、各構成要素の配置に幾何学的な対称性が維持されている。すなわち、図17に示されているとおり、X軸正側内側重錘体325、Y軸正側内側重錘体335、X軸負側内側重錘体345、Y軸負側内側重錘体355は、互いに同一形状および同一質量をもった重錘体から構成され、これら4個の内側重錘体の配置は、XZ平面およびYZ平面の双方に関して対称となっている。同様に、X軸正側外側重錘体326、Y軸正側外側重錘体336、X軸負側外側重錘体346、Y軸負側外側重錘体356が、互いに同一形状および同一質量をもった重錘体から構成され、これら4個の外側重錘体の配置は、XZ平面およびYZ平面の双方に関して対称となっている。実際には、この8個の重錘体のみならず、基本構造体300の幾何学的構造全体が、XZ平面およびYZ平面の双方に関して対称となっている。このような対称性が、振動漏れの抑制に貢献することは、既に述べたとおりである。
以上、図17および図18に示す基本構造体300の構造およびその振動漏れ抑止効果について述べた。実際には、この基本構造体300は、たとえば、シリコンなどの半導体基板に対してエッチング処理や機械的な切削加工などを施すことにより構成することができる。角速度センサを構成するためには、この基本構造体300に加えて、装置筐体380内で主振動子として機能する中心部重錘体310を駆動する駆動手段と、中心部重錘体310に作用するコリオリ力を検出し、これを所定軸まわりの角速度の検出値として出力する検出手段と、が必要になる。ここでは、この駆動手段および検出手段として圧電素子を利用し、具体的な角速度センサを構成した例を述べる。
図19は、図17に示す基本構造体300に圧電素子を取り付けた状態を示す上面図である(ハッチングは、圧電素子を示すものであり、断面を示すものではない)。一方、図20は、図19に示す圧電素子付き基本構造体300をXZ平面で切断した側断面図である。図示のとおり、基本構造体300の上面のX軸上には、圧電素子X11,X12,X13,X14が固定されており、Y軸上には、圧電素子Y11,Y12,Y13,Y14が固定されている。
図示のとおり8個の圧電素子は、いずれも内側接続部材(内側架橋部321,331,341,351)上に配置されているが、これは各圧電素子を、中心部重錘体310(主振動子)を駆動する駆動手段か、あるいは中心部重錘体310(主振動子)の変位(コリオリ力に基づく変位)を検出する検出手段として機能させるためである。ここに示す第2の実施形態の場合も、角速度の検出動作を行うにあたって、副振動子を積極的に駆動させる必要はなく、また、副振動子の変位を検出する必要もないため、中間接続部材(中間架橋部322,332,342,352)や外側接続部材(外側架橋部323,333,343,353)上には、圧電素子を配置する必要はない。
図示のとおり、圧電素子X11,Y11,X14,Y14は、内側架橋部321,331,341,351の外側端部近傍(中心部重錘体310から遠い端)に配置され、圧電素子X12,Y12,X13,Y13は、内側架橋部321,331,341,351の内側端部近傍(中心部重錘体310に近い端)に配置されている。これは、中心部重錘体310の変位によって内側架橋部321,331,341,351に撓みが生じた場合に、その両端部に応力が集中するので、この位置に圧電素子を配置しておくと、中心部重錘体310を駆動する上でも、中心部重錘体310の変位を検出する上でも、効率的であるためである。
この図19および図20に示す第2の実施形態に係る角速度センサにおいて、8個の圧電素子X11〜X14,Y11〜Y14を用いて中心部重錘体310(主振動子)に周期的な運動を行う行わせる駆動手段の構成や、中心部重錘体310(主振動子)に作用するコリオリ力を検出する検出手段の構成は、図5および図6に示す第1の実施形態に係る角速度センサにおいて、8個の圧電素子X11〜X14,Y11〜Y14を用いて中心部重錘体210(主振動子)に周期的な運動を行う行わせる駆動手段の構成や、中心部重錘体210(主振動子)に作用するコリオリ力を検出する検出手段の構成と全く同様であるため、ここではその説明は省略する。また、§4で述べた様々な変形例は、この第2の実施形態についても同様に適用可能である。
<<< §6.本発明の第3の実施形態に係る角速度センサ >>>
ここでは、本発明の3の実施形態に係る角速度センサを述べる。これまで述べた第1の実施形態に係る角速度センサの基本構造体200(図3参照)および第2の実施形態に係る角速度センサの基本構造体300(図17参照)は、主振動子を四方からビーム構造体によって支持し、このビーム構造体の途中に副振動子を設ける構造をとっている。これに対して、ここで述べる第3の実施形態に係る角速度センサの基本構造体の特徴は、主振動子の周囲全体をダイアフラム構造体によって支持する点にある。
図21は、この第3の実施形態に係る角速度センサの基本構造体400を示す上面図であり、図22は、側断面図である。図22の側断面図を図18の側断面図と比較すると、両者は非常に類似していることがわかる。両者の相違は、上面図により顕著に現れている。すなわち、図21の上面図を見ればわかるとおり、基本構造体400の上面には窓部や架橋部は一切形成されていない。
ここでも、説明の便宜上、基本構造体400の上面中心位置に原点Oをもち、基本構造体400の上面がXY平面に一致するようなXYZ三次元座標系を定義する。図22は、図21に示す基本構造体400を、XZ平面で切断した側断面図に相当する。
図21に示されている実線および破線の円は、すべて原点Oを中心とした同心円になっている。図21において、実線の円は、図22の側断面図に示されているように、基本構造体400の上面に形成された円環状溝部G20およびG30の輪郭線を示すものである。また、図21において、破線の円は、図22の側断面図に示されているように、基本構造体400の下面に形成された円環状溝部G15,G25,G35の輪郭線を示すものである。
この基本構造体400の平面構造は、図23および図24に明瞭に示されている。図23は、図22に示す基本構造体400を切断面23−23の位置で切断した平断面図である。中心部には、破線で示すように、円柱状の中心部重錘体410が配置され、これを取り囲むように、ワッシャ状の内側板状構造体421(内側接続部材)が配置され、その外側には円環状溝部G20を挟んで、ワッシャ状の中間板状構造体422(中間接続部材)が配置され、その外側には円環状溝部G30を挟んで、ワッシャ状の外側板状構造体423(外側接続部材)が配置され、更にその外側に台座460が配置されている。
一方、図24は、図22に示す基本構造体を切断面24−24の位置で切断した平断面図である。各重錘体の形状は、この図24に明瞭に示されている。すなわち、主振動子として機能する中心部重錘体410は円柱状の構造体であり、これを取り囲むように、円環状溝部G15を挟んで、内側環状重錘体425が配置され、その外側を取り囲むように、円環状溝部G25を挟んで、外側環状重錘体426が配置され、更にその外側を取り囲むように、円環状溝部G35を挟んで、台座460が配置されている。ここで、内側環状重錘体425および外側環状重錘体426は、いずれも副振動子として機能する重錘体である。
図22の側断面図を見れば明らかなように、ワッシャ状の各板状構造体421,422,423は、厚みが小さいために可撓性を有しており、ダイアフラムとして機能する。結局、この第3の実施形態に係る基本構造体400では、主振動子が、中心部重錘体410によって構成され、副振動子が、この中心部重錘体410を離隔した状態で取り囲む内側環状重錘体425と、この内側環状重錘体を離隔した状態で取り囲む外側環状重錘体426と、によって構成されている。
また、中心部重錘体410の側面を取り囲むように配置され、内側部分が中心部重錘体410に接続され、外側部分が内側環状重錘体425に接続された内側板状構造体421によって内側接続部材が構成されており、外側環状重錘体426を取り囲むように配置され、内側部分が外側環状重錘体426に接続され、外側部分が台座460に接続された外側板状構造体423によって外側接続部材が構成され、内側環状重錘体425と外側環状重錘体426とを接続する可撓性をもった中間板状構造体422よって中間接続部材が構成されており、台座460が、外側板状構造体423を取り囲む構造体によって構成されている。
図22に示すとおり、台座460の底面は、装置筐体480に固定されている。装置筐体480は、その一部分のみが図示されているが、基本構造体400全体を収容する筐体である。すなわち、装置筐体480は、台座460を支持固定するとともに、中心部重錘体410を宙吊り状態で収容する機能を果たす。中心部重錘体410を宙吊り状態で支持する各接続部材は、厚みの小さな板状構造体であるため可撓性を有し、ダイアフラムとして機能する。このため、中心部重錘体410に外力が加わると、各ダイアフラムに撓みが生じ、重錘体410は台座460(装置筐体480)に対して変位を生じる。もちろん、主振動子として機能する重錘体410だけでなく、副振動子として機能する内側環状重錘体425および外側環状重錘体426も、ある程度の自由度をもって変位可能な状態になっている。
本願発明者が行った実験によると、この第3の実施形態に係る基本構造体400を用いた場合も、主振動子として機能する中心部重錘体410から装置筐体480への振動エネルギーの伝播を十分抑制する効果が得られた。これは、これまで述べてきた実施形態と同様に、振動エネルギーの伝達経路(この例の場合は、中心部重錘体410の周囲全体を取り囲むように設けられたダイアフラム)の途中に設けられた副振動子により、振動エネルギーが吸収されるためと考えられる。
この第3の実施形態においても、可撓性をもった板状構造体421,422,423の接続位置は、副振動子として機能する内側環状重錘体425および外側環状重錘体426の側面の上端となっており、しかも各重錘体の上面には、それぞれ円環状溝部G20,G30が形成されている。
より具体的に説明すれば、図22に示すように、基本構造体400では、内側環状重錘体425の「中心部重錘体410に対する対向面」の上端に内側板状構造体421の外側部分が接続され、内側環状重錘体425の「外側環状重錘体426に対する対向面」の上端に中間板状構造体422の内側部分が接続され、外側環状重錘体426の「内側環状重錘体425に対する対向面」の上端に中間板状構造体422の外側部分が接続され、外側環状重錘体426の「台座460に対する対向面」の上端に外側板状構造体423の内側部分が接続されている。そして、内側環状重錘体425の上面に、当該内側環状重錘体425の上面の輪郭線に沿った環状の溝部G20が形成されており、外側環状重錘体426の上面に、当該外側環状重錘体426の上面の輪郭線に沿った環状の溝部G30が形成されている。
副振動子の支持構造として、このような構造を採ると、図22の側断面図に示されているとおり、振動エネルギーの伝達経路に断面U字型の部分が形成され、この断面U字型の部分が、振動エネルギーの伝播を効果的に阻止する機能を果たす点は、既に述べたとおりである。
また、この基本構造体400においても、各構成要素の配置に幾何学的な対称性が維持されている。すなわち、図24に示されているとおり、内側環状重錘体425および外側環状重錘体426のXY平面に対する投影像は、原点Oを中心とする円環形状をなしており、XZ平面およびYZ平面の双方に関して対称となっている。実際には、この基本構造体400の幾何学的構造全体が、XZ平面およびYZ平面の双方に関して対称となっている。このような対称性が、振動漏れの抑制に貢献することは、既に述べたとおりである。
以上、図21および図22に示す基本構造体400の構造およびその振動漏れ抑止効果について述べた。実際には、この基本構造体400は、たとえば、シリコンなどの半導体基板に対してエッチング処理や機械的な切削加工などを施すことにより構成することができる。角速度センサを構成するためには、この基本構造体400に加えて、装置筐体480内で主振動子として機能する中心部重錘体410を駆動する駆動手段と、中心部重錘体410に作用するコリオリ力を検出し、これを所定軸まわりの角速度の検出値として出力する検出手段と、が必要になる。ここでは、この駆動手段および検出手段として圧電素子を利用し、具体的な角速度センサを構成した例を述べる。
図25は、図21に示す基本構造体400に圧電素子を取り付けた状態を示す上面図である(ハッチングは、圧電素子を示すものであり、断面を示すものではない)。一方、図26は、図25に示す圧電素子付き基本構造体400をXZ平面で切断した側断面図である。図示のとおり、基本構造体400の上面のX軸上には、圧電素子X41,X42,X43,X44が固定されており、Y軸上には、圧電素子Y41,Y42,Y43,Y44が固定されている。
図示のとおり8個の圧電素子は、いずれも内側接続部材(内側板状構造体421)上に配置されているが、これは各圧電素子を、中心部重錘体410(主振動子)を駆動する駆動手段か、あるいは中心部重錘体410(主振動子)の変位(コリオリ力に基づく変位)を検出する検出手段として機能させるためである。ここに示す第3の実施形態の場合も、角速度の検出動作を行うにあたって、副振動子を積極的に駆動させる必要はなく、また、副振動子の変位を検出する必要もないため、中間接続部材(中間板状構造体422)や外側接続部材(外側板状構造体423)上には、圧電素子を配置する必要はない。
図示のとおり、圧電素子X41,Y41,X44,Y44は、内側板状構造体421の外側端部近傍(中心部重錘体410から遠い端)に配置され、圧電素子X42,Y42,X43,Y43は、内側板状構造体421の内側端部近傍(中心部重錘体410に近い端)に配置されている。これは、中心部重錘体410の変位によって内側板状構造体421に撓みが生じた場合に、その両端部に応力が集中するので、この位置に圧電素子を配置しておくと、中心部重錘体410を駆動する上でも、中心部重錘体410の変位を検出する上でも、効率的であるためである。
この図25および図26に示す第3の実施形態に係る角速度センサにおいて、8個の圧電素子X41〜X44,Y41〜Y44を用いて中心部重錘体410(主振動子)に周期的な運動を行う行わせる駆動手段の構成や、中心部重錘体410(主振動子)に作用するコリオリ力を検出する検出手段の構成は、図5および図6に示す第1の実施形態に係る角速度センサにおいて、8個の圧電素子X11〜X14,Y11〜Y14を用いて中心部重錘体210(主振動子)に周期的な運動を行う行わせる駆動手段の構成や、中心部重錘体210(主振動子)に作用するコリオリ力を検出する検出手段の構成と全く同様であるため、ここではその説明は省略する。また、§4で述べた様々な変形例は、この第3の実施形態についても同様に適用可能である。
なお、この§6では、主振動子410を取り囲むように、一対の円環状の副振動子425,426を設ける例を述べたが、副振動子は必ずしも2個設ける必要はなく、1つの副振動子のみを設けるようにしてもかまわない。この場合、主振動子を、中心部重錘体によって構成し、この中心部重錘体の側面を取り囲む内側板状構造体によって内側接続部材を構成し、更に、副振動子を、内側板状構造体を取り囲む環状重錘体によって構成し、この環状重錘体を取り囲む外側板状構造体によって外側接続部材を構成し、この外側板状構造体を取り囲む構造体によって台座を構成すればよい。
このように、副振動子を1個の環状重錘体のみによって構成する場合も、環状重錘体の「中心部重錘体に対する対向面」の上端に内側板状構造体の外側部分が接続され、環状重錘体の「台座に対する対向面」の上端に外側板状構造体の内側部分が接続されるようにし、環状重錘体の上面に、当該上面の輪郭線に沿った溝部を形成するようにすれば、振動漏れを抑止する効果を高めることができるので好ましい。また、中心部重錘体の上面中心位置に原点OをもつXYZ三次元座標系を定義したときに、基本構造体が座標系のXY平面に沿った上面を有し、環状重錘体のXY平面に対する投影像が、原点Oを中心とする円環形状をなすようにすると、幾何学的な対称性を確保することができるので、やはり振動漏れを抑止する効果を高める上で好ましい。
<<< §7.本発明の第4の実施形態に係る角速度センサ >>>
続いて、本発明の第4の実施形態に係る角速度センサを述べる。図27は、この第4の実施形態に係る角速度センサの基本構造体500を示す上面図であり、図28は、側断面図である。ここでも、説明の便宜上、基本構造体500の上面中心位置に原点Oをもち、基本構造体500の上面がXY平面に一致するようなXYZ三次元座標系を定義する。図28は、図27に示す基本構造体500を、XZ平面で切断した側断面図に相当する。
図27に示すとおり、この基本構造体500には扇型をした窓部W11〜W42が形成されており、この点においては、第1の実施形態に係る角速度センサの基本構造体200(図3参照)および第2の実施形態に係る角速度センサの基本構造体300(図17参照)に類似している。すなわち、主振動子となる中央部重錘体510は、その四方からビーム構造体によって支持されることになり、このビーム構造体の途中に副振動子を設ける構造が採られる。ただ、副振動子は、単一の環状重錘体525によって構成されている。このように、副振動子が、主振動子の周囲を取り囲む円環状の重錘体によって構成されている点は、前述した第3の実施形態に係る角速度センサの基本構造体400(図24参照)に類似している。
図27の上面図に示されているように、主振動子を構成する中心部重錘体510は、円柱状の重錘体であり、図における上下左右に設けられた4本のビーム構造体によって台座560に対して支持されている。そして、単一の環状重錘体525によって構成されている副振動子は、4本のビーム構造体のそれぞれ中央付近に接続されている。要するに、図3に示す第1の実施形態に係る基本構造体200において副振動子を構成する4個の重錘体を順番に環状連結することにより、単一の環状重錘体を構成したものが、図27に示す基本構造体500に相当すると考えることができる。
すなわち、X軸正側については、X軸正側内側架橋部521によって、中心部重錘体510と単一の環状重錘体525とが接続され、X軸正側外側架橋部522によって、単一の環状重錘体525と台座560とが接続されており、Y軸正側については、Y軸正側内側架橋部531によって、中心部重錘体510と単一の環状重錘体525とが接続され、Y軸正側外側架橋部532によって、単一の環状重錘体525と台座560とが接続されており、X軸負側については、X軸負側内側架橋部541によって、中心部重錘体510と単一の環状重錘体525とが接続され、X軸負側外側架橋部542によって、単一の環状重錘体525と台座560とが接続されており、Y軸負側については、Y軸負側内側架橋部551によって、中心部重錘体510と単一の環状重錘体525とが接続され、Y軸負側外側架橋部552によって、単一の環状重錘体525と台座560とが接続されている。
図27に示されているとおり、中心部重錘体510の外側輪郭線、単一の環状重錘体525の内側および外側の輪郭線、台座560の内側輪郭線は、いずれも原点Oを中心とする同心円になっている。なお、ここに示す実施形態では、単一の環状重錘体525の上面には溝部が形成されていないが、もちろん、ここに輪郭線に沿った円環状の溝部を形成するようにしてもかまわない。
このように、図27および図28に示す基本構造体500では、主振動子が、円柱状の中心部重錘体510によって構成され、副振動子が、この中心部重錘体510を離隔した状態で取り囲む単一の環状重錘体525によって構成されている。そして、台座560の底面は、装置筐体580に固定されている。装置筐体580は、その一部分のみが図示されているが、基本構造体500全体を収容する筐体である。すなわち、装置筐体580は、台座560を支持固定するとともに、中心部重錘体510を宙吊り状態で収容する機能を果たす。
中心部重錘体510を宙吊り状態で支持する接続部材は、可撓性をもった各架橋部によって構成されている。このため、中心部重錘体510に外力が加わると、各架橋部に撓みが生じ、重錘体510は台座560(装置筐体580)に対して変位を生じる。もちろん、主振動子として機能する重錘体510だけでなく、副振動子として機能する環状重錘体525も、ある程度の自由度をもって変位可能な状態になっている。
本願発明者が行った実験によると、この第4の実施形態に係る基本構造体500を用いた場合も、主振動子として機能する中心部重錘体510から装置筐体580への振動エネルギーの伝播を十分抑制する効果が得られた。これは、これまで述べてきた実施形態と同様に、振動エネルギーの伝達経路(この例の場合は、中心部重錘体510に接続された4本のビーム構造体)の途中に設けられた副振動子により、振動エネルギーが吸収されるためと考えられる。
この第4の実施形態においても、各架橋部521,522,531,532,541,542,551,552の環状重錘体525に対する接続位置は、環状重錘体525の側面の上端となっている。図示の実施形態では、環状重錘体525の上面には溝部が形成されていないが、ここに環状重錘体525の輪郭線に沿った円環状の溝部を形成すると、振動エネルギーの伝達経路に断面U字型の部分が形成され、振動エネルギーの伝播をより効果的に阻止することが可能になる。
また、この基本構造体500においても、各構成要素の配置に幾何学的な対称性が維持されており、この基本構造体500の幾何学的構造全体が、XZ平面およびYZ平面の双方に関して対称となっている。このような対称性が、振動漏れの抑制に貢献することは、既に述べたとおりである。
以上、図27および図28に示す基本構造体500の構造およびその振動漏れ抑止効果について述べた。実際には、この基本構造体500は、たとえば、シリコンなどの半導体基板に対してエッチング処理や機械的な切削加工などを施すことにより構成することができる。角速度センサを構成するためには、この基本構造体500に加えて、装置筐体580内で主振動子として機能する中心部重錘体510を駆動する駆動手段と、中心部重錘体510に作用するコリオリ力を検出し、これを所定軸まわりの角速度の検出値として出力する検出手段と、が必要になる。ここでは、この駆動手段および検出手段として圧電素子を利用し、具体的な角速度センサを構成した例を述べる。
図29は、図27に示す基本構造体500に圧電素子を取り付けた状態を示す上面図である(ハッチングは、圧電素子を示すものであり、断面を示すものではない)。一方、図30は、図29に示す圧電素子付き基本構造体500をXZ平面で切断した側断面図である。図示のとおり、基本構造体500の上面のX軸上には、圧電素子X51,X52,X53,X54が固定されており、Y軸上には、圧電素子Y51,Y52,Y53,Y54が固定されている。
図示のとおり8個の圧電素子は、いずれも内側接続部材(内側架橋部521,531,541,551)上に配置されているが、これは各圧電素子を、中心部重錘体510(主振動子)を駆動する駆動手段か、あるいは中心部重錘体510(主振動子)の変位(コリオリ力に基づく変位)を検出する検出手段として機能させるためである。ここに示す第4の実施形態の場合も、角速度の検出動作を行うにあたって、副振動子を積極的に駆動させる必要はなく、また、副振動子の変位を検出する必要もないため、外側接続部材(外側架橋部522,532,542,552)上には、圧電素子を配置する必要はない。
図示のとおり、圧電素子X51,Y51,X54,Y54は、内側架橋部521,531,541,551の外側端部近傍(中心部重錘体510から遠い端)に配置され、圧電素子X52,Y52,X53,Y53は、内側架橋部521,531,541,551の内側端部近傍(中心部重錘体510に近い端)に配置されている。これは、中心部重錘体510の変位によって内側架橋部521,531,541,551に撓みが生じた場合に、その両端部に応力が集中するので、この位置に圧電素子を配置しておくと、中心部重錘体510を駆動する上でも、中心部重錘体510の変位を検出する上でも、効率的であるためである。
この図29および図30に示す第4の実施形態に係る角速度センサにおいて、8個の圧電素子X51〜X54,Y51〜Y54を用いて中心部重錘体510(主振動子)に周期的な運動を行う行わせる駆動手段の構成や、中心部重錘体510(主振動子)に作用するコリオリ力を検出する検出手段の構成は、図5および図6に示す第1の実施形態に係る角速度センサにおいて、8個の圧電素子X11〜X14,Y11〜Y14を用いて中心部重錘体210(主振動子)に周期的な運動を行う行わせる駆動手段の構成や、中心部重錘体210(主振動子)に作用するコリオリ力を検出する検出手段の構成と全く同様であるため、ここではその説明は省略する。また、§4で述べた様々な変形例は、この第3の実施形態についても同様に適用可能である。
なお、ここでは、主振動子510を取り囲むような単一の環状重錘体525を副振動子として用意する例を述べたが、副振動子は複数の環状重錘体によって構成してもかまわない。たとえば、図27に示す基本構造体500において、環状重錘体525の外側を離隔した状態で取り囲むような別な環状重錘体を用意し、環状重錘体525と台座560との間に配置し、各外側架橋部522,532,542,552の中央部分に接合するようにしてもよい。この場合、主振動子510が、二重の環状重錘体からなる副振動子によって囲まれた構造になる。
<<< §8.副振動子の配置を省略した参考例に係る角速度センサ >>>
本発明の基本概念は、台座に対して主振動子を支持する可撓性接続部材の途中に副振動子を設け、主振動子の周期的運動による振動エネルギーを副振動子によって吸収させ、台座を介して装置筐体に振動漏れが生じることを抑制する点にある。したがって、本発明を実施する上では、ある程度の質量をもった副振動子が不可欠な要素になる。
ただ、本願発明者が行った実験によると、副振動子を設けずに、主振動子と台座との間を接続する接続部材上に、断面U字型の部分を構成するだけでも、台座への振動漏れをある程度抑制する効果が得られることが判明した。そこで、ここでは副振動子の配置を省略した基本構造体を参考例として紹介しておく。
図31は、参考例として示す角速度センサの基本構造体200を示す側断面図である。この基本構造体200は、図3および図4に示す基本構造体200における副振動子として機能する重錘体225,235,245,255を、それぞれ断面形状がU字状をなすU字状架橋部225,235,245,255(それぞれ、上部には溝部G1〜G4が形成されている)に置き換えたものである。図31において、中心部重錘体210の右側部分は、架橋部221,225,222を介して台座260に接続され、中心部重錘体210の左側部分は、架橋部241,245,242を介して台座260に接続されている。図31には、示されていないが、中心部重錘体210の奥側および手前側も同様に架橋部を介して台座260に接続されている。
この図31に示す基本構造体200には、ある程度の質量をもった副振動子は設けられていないが、途中にU字状架橋部225,235,245,255が形成されているため、図1および図2に示す従来の基本構造体100に比べると、中心部重錘体210の周期的運動によって生じる振動エネルギーが台座260側へと逃げる現象(振動漏れ)を抑制させる効果が得られる。これは、振動エネルギーの伝達経路に、断面形状がU字状をなすU字状架橋部225,235,245,255を設けると、このU字状架橋部の屈曲変形によって、振動エネルギーが吸収されてしまうためと考えられる。
図32は、別な参考例として示す角速度センサの基本構造体300を示す側断面図である。この基本構造体300は、図17および図18に示す基本構造体300における副振動子として機能する重錘体325,326,335,336,345,346,355,356を、それぞれ断面形状がU字状をなすU字状架橋部325,326,335,336,345,346,355,356(それぞれ、上部には溝部G1a〜G4bが形成されている)に置き換えたものである。図32において、中心部重錘体310の右側部分は、架橋部321,325,322,326,323を介して台座360に接続され、中心部重錘体310の左側部分は、架橋部341,345,342,346,343を介して台座360に接続されている。図31には、示されていないが、中心部重錘体310の奥側および手前側も同様に架橋部を介して台座360に接続されている。
この図32に示す基本構造体300は、図31に示す基本構造体200と比べると、振動子として機能する中心部重錘体310から台座360に至る振動エネルギーの伝達経路の2箇所にU字状架橋部が形成されているため、振動漏れを抑制させる効果がより顕著になる。もちろん、振動エネルギーの伝達経路により多数のU字状架橋部を形成することも可能である。
<<< §9.副振動子を逆方向に運動させる角速度センサ >>>
既に述べたとおり、本発明に係る角速度センサに用いる基本構造体では、台座に対して主振動子を支持する可撓性接続部材の途中に副振動子を設けたため、主振動子の周期的運動による振動エネルギーを副振動子によって吸収させ、台座を介して装置筐体に振動漏れが生じることを抑制することができる。ただ、これまで述べてきた実施形態では、副振動子は受動的な機能を果たすのみであり、振動漏れを解消するための能動的な作用を果たすことはなかった。ここでは、これまで述べてきた様々な実施形態に係る角速度センサにおいて、副振動子に能動的な作用を果たさせ、振動漏れをより効果的に解消させる工夫を説明する。
この§9で述べる工夫の基本概念は、装置筐体内で主振動子が周期的運動を行うように駆動するとともに、装置筐体内で副振動子が主振動子の運動とは逆方向に運動するように駆動するという点にある。
たとえば、図33に示すように、主振動子91および副振動子92と、これらを相互に接続する可撓性をもった接続部材93とを有する単純なモデルが、XYZ三次元座標系に置かれている状態を考えてみよう。ここで、角速度検出のために、主振動子91をZ軸方向に単振動させ、そのとき主振動子91に作用するコリオリ力を検出することにする。この場合、主振動子91をZ軸方向に単振動させるだけでなく、副振動子92もZ軸方向に単振動させるようにする。但し、主振動子91の運動方向と副振動子92の運動方向とは、常に逆になるようにする。
具体的には、図34に示すように、主振動子91に対してZ軸正方向に変位させる力+Fzを作用させているときには、副振動子92に対してはZ軸負方向に変位させる力−Fzを作用させるようにし、図35に示すように、主振動子91に対してZ軸負方向に変位させる力−Fzを作用させているときには、副振動子92に対してはZ軸正方向に変位させる力+Fzを作用させるようにすればよい。
本願発明者が行った実験によると、これまで述べてきた種々の実施形態に係る基本構造体において、主振動子と副振動子とに、このような相補的な運動を行わせると、台座を介して装置筐体に伝わる振動漏れをより低減させることが可能になった。特に、主振動子の質量と副振動子の質量とを等しく設定すると、振動漏れの低減に著しい効果が見られた。これは、同じ質量を有する2つの重錘体が、向きが異なり絶対値が等しい速度成分をもって同時に運動することにより、台座側へ漏れ出る振動成分が相殺されたためと考えられる。
このような工夫を、これまで述べてきた種々の実施形態に施すための具体的な方法の一例を以下に述べよう。これまで述べてきた実施形態に係る基本構造体は、主振動子と、この主振動子に隣接して配置された副振動子と、この副振動子に隣接して配置された台座と、主振動子と副振動子とを接続する可撓性をもった内側接続部材と、副振動子と台座とを接続する可撓性をもった外側接続部材と、を有している。そこで、内側接続部材の表面に固定された主駆動用圧電素子と、外側接続部材の表面に固定された副駆動用圧電素子と、主駆動用圧電素子および副駆動用圧電素子にそれぞれ交流駆動信号を供給する駆動制御回路とによって駆動手段を構成し、内側接続部材の表面に固定された検出用圧電素子と、この検出用圧電素子に生じる電荷を検出し、その検出結果に基づいて角速度の検出値を出力する角速度検出回路とによって検出手段を構成するようにする。そうすれば、主駆動用圧電素子によって主振動子を駆動するとともに、副駆動用圧電素子によって副振動子を駆動することができる。駆動制御回路によって主駆動用圧電素子および副駆動用圧電素子に供給する交流駆動信号を調整すれば、主振動子の運動方向と副振動子の運動方向とが常に逆になるようにすることが可能である。
図36は、本発明の第5の実施形態に係る角速度センサの圧電素子付き基本構造体を示す上面図であり(ハッチングは、圧電素子を示すものであり、断面を示すものではない)、図37は、この図36に示す圧電素子付き基本構造体をXZ平面で切断した側断面図である。この第5の実施形態で用いられている基本構造体500は、§7で述べた第4の実施形態で用いられている基本構造体500と全く同一のものである。図29および図30に示す第4の実施形態と、図36および図37に示す第5の実施形態との相違点は、圧電素子の構成と、この圧電素子に接続して用いる回路構成のみである。
すなわち、図36および図37に示す第5の実施形態では、図29および図30に示す第4の実施形態に示す8個の圧電素子X51〜X54,Y51〜Y54に加えて、更に、8個の圧電素子x51〜x54,y51〜y54が設けられている。ここで、大文字のアルファベットXもしくはYを冠した圧電素子X51〜X54,Y51〜Y54は、いずれも内側接続部材(内側架橋部521,531,541,551)の表面に固定された圧電素子であり、主振動子510を駆動するための主駆動用圧電素子として用いるか、あるいは、主振動子510に作用するコリオリ力(主振動子510の変位)を検出するための主検出用圧電素子として用いることができる。一方、小文字のアルファベットxもしくはyを冠した圧電素子x51〜x54,y51〜y54は、いずれも外側接続部材(外側架橋部522,532,542,552)の表面に固定された圧電素子であり、副振動子525を駆動するための副駆動用圧電素子として用いるか、あるいは、副振動子525に作用するコリオリ力(変位)を検出するための副検出用圧電素子として用いることができる。ここでは、便宜上、これら合計16個の圧電素子が、いずれも図7に示す分極特性をもった圧電素子であるものとして、以下の説明を行うことにする。
図38は、図36および図37に示す圧電素子付き基本構造体500を有する角速度センサに用いられる回路の一例を示す回路図である。この図38に示す回路を用いた角速度センサでは、回路図の左上に示された4個の圧電素子X52,X53,Y52,Y53が主振動子510を駆動するための主駆動用圧電素子として利用され、回路図の右上に示された4個の圧電素子x52,x53,y52,y53が副振動子525を駆動するための副駆動用圧電素子として利用される。
ここで、主駆動用圧電素子X52,X53,Y52,Y53を用いて、主振動子510を駆動させる方法は、図5および図6に示す第1の実施形態に係る角速度センサにおいて主振動子210を駆動する方法と全く同じである。たとえば、主振動子510をZ軸方向に単振動させるのであれば、主駆動用圧電素子X52,X53,Y52,Y53に対して、図10(a) に示す交流電圧信号φ1を供給すればよい。一方、副駆動用圧電素子x52,x53,y52,y53を用いて、副振動子525を駆動させる方法も、基本的には、図5および図6に示す第1の実施形態に係る角速度センサにおいて主振動子210を駆動する方法と同じである。但し、副振動子525の運動方向は、主振動子510の運動方向とは常に逆にする必要があるため、主駆動用圧電素子X52,X53,Y52,Y53に対して、図10(a) に示す交流電圧信号φ1を供給した場合は、副駆動用圧電素子x52,x53,y52,y53に対しては、図10(b) に示す交流電圧信号φ2を供給するようにする。
図38に示す駆動制御回路35は、交流信号源31からの交流信号に基づいて、図10(a) ,(b) に示す交流電圧信号φ1およびφ2を生成し、一方を主駆動用圧電素子X52,X53,Y52,Y53に供給し、他方を副駆動用圧電素子x52,x53,y52,y53に供給する機能を果たす。なお、副駆動用圧電素子x52,x53,y52,y53の分極特性を主駆動用圧電素子X52,X53,Y52,Y53の分極特性とは逆にしておけば(すなわち、図7に示す特性とは逆の特性をもつ圧電素子によって副駆動用圧電素子x52,x53,y52,y53を構成しておけば)、主駆動用圧電素子X52,X53,Y52,Y53および副駆動用圧電素子x52,x53,y52,y53の双方に、同一の交流電圧信号(たとえば、φ1)を供給することにより、主振動子510と副振動子525とを逆向きに運動させることが可能である。
ところで、既に述べたとおり、図8(a) に示すような周期的な交流電圧信号φ1を供給しても、実際の振動子の周期的な変位は、図8(b) のように、若干の遅延時間dをもってこれに追従することになる。したがって、図10(a) ,(b) に示すように、互いに逆位相の交流電圧信号φ1,φ2を、主駆動用圧電素子および副駆動用圧電素子に供給して、主振動子と副振動子との運動方向が常に逆向きになるようにするためには、主振動子についての遅延時間dと副振動子についての遅延時間dとが一致するように、基本構造体500の各部を設計する必要がある。あるいは、両者の遅延時間dが異なっている場合には、駆動制御回路35にその調整機能をもたせるようにしてもよい。たとえば、図10(a) に示す交流電圧信号φ1に対して、図10(b) に示す交流電圧信号φ2の時間軸を所定の調整時間だけ前後させるようにすればよい。
また、前述したとおり、主振動子510の質量と副振動子525の質量は、等しく設定しておくのが好ましい。もっとも、実用上は、両者の遅延時間dが多少異なっていたり、両者の質量が多少異なっていたりしても、振動漏れを抑制する効果は得られる。
さて、図38の回路図の左下に示された4個の圧電素子X51,X54,Y51,Y54は主振動子510の変位(作用したコリオリ力)を検出するための主検出用圧電素子として利用され、回路図の右下に示された4個の圧電素子x51,x54,y51,y54は副振動子525の変位(作用したコリオリ力)を検出するための副検出用圧電素子として利用される。
ここで、主検出用圧電素子X51,X54,Y51,Y54を用いて、主振動子510に作用するコリオリ力を検出する方法は、図5および図6に示す第1の実施形態に係る角速度センサにおいて主振動子210に作用するコリオリ力を検出する方法と全く同じである。たとえば、主振動子510および副振動子525をZ軸方向に振動させた状態において、角速度が作用すると、作用した角速度に応じてコリオリ力が作用する。たとえば、Y軸まわりの角速度ωyが作用したとすると、主振動子510の運動方向はZ軸方向であるから、X軸方向のコリオリ力Fxが作用することになる。そして、X軸正方向のコリオリ力+Fxが作用した場合は、主振動子510はX軸正方向に傾くことになり、X軸負方向のコリオリ力−Fxが作用した場合は、主振動子510はX軸負方向に傾くことになる。
このような主振動子510のX軸方向への傾斜は、主検出用圧電素子X51,X54の発生電荷として検出することができる。すなわち、X軸正方向のコリオリ力+Fxに基づいて、主振動子510がX軸正方向に傾くと、圧電素子X51は縮み、圧電素子X54は伸び、X軸負方向のコリオリ力−Fxに基づいて、主振動子510がX軸負方向に傾くと、圧電素子X51は伸び、圧電素子X54は縮むので、図38に示す電圧値V(X51),V(X54)に差が生じ、差分回路21によってその差が電圧値として求められる。この電圧値は、Y軸まわりの角速度ωyを示す検出値になる。
同様に、X軸まわりの角速度ωxの作用に起因する主振動子510のY軸方向への傾斜は、主検出用圧電素子Y51,Y54の発生電荷として検出することができる。すなわち、Y軸正方向のコリオリ力+Fyに基づいて、主振動子510がY軸正方向に傾くと、圧電素子Y51は縮み、圧電素子Y54は伸び、Y軸負方向のコリオリ力−Fyに基づいて、主振動子510がY軸負方向に傾くと、圧電素子Y51は伸び、圧電素子Y54は縮むので、図38に示す電圧値V(Y51),V(Y54)に差が生じ、差分回路22によってその差が電圧値として求められる。この電圧値は、X軸まわりの角速度ωxを示す検出値になる。
図38に示す角速度検出回路45は、このようにして角速度ωx,ωyを検出して出力する機能を有している。なお、角速度検出のタイミングについては、既に§3で述べたとおりである。
一方、このような角速度検出は、主振動子510に作用するコリオリ力のみならず、副振動子525に作用するコリオリ力に基づいて行うことも可能である。図38に示す角速度検出回路45の右側に示す構成要素は、副振動子525に作用するコリオリ力を検出するための要素である。
たとえば、Y軸まわりの角速度ωyが作用したために、副振動子525に対してX軸方向のコリオリ力が作用した場合を考えてみよう。この場合、X軸正方向のコリオリ力+Fxに基づいて、副振動子525がX軸正方向に傾くと、圧電素子x51は縮み、圧電素子x54は伸び、X軸負方向のコリオリ力−Fxに基づいて、副振動子525がX軸負方向に傾くと、圧電素子x51は伸び、圧電素子x54は縮むので、図38に示す電圧値V(x51),V(x54)に差が生じ、差分回路23によってその差が電圧値として求められる。この電圧値は、Y軸まわりの角速度ωyを示す検出値になる。
同様に、X軸まわりの角速度ωxの作用に起因する副振動子525のY軸方向への傾斜は、副検出用圧電素子y51,y54の発生電荷として検出することができる。すなわち、Y軸正方向のコリオリ力+Fyに基づいて、副振動子525がY軸正方向に傾くと、圧電素子y51は縮み、圧電素子y54は伸び、Y軸負方向のコリオリ力−Fyに基づいて、副振動子525がY軸負方向に傾くと、圧電素子y51は伸び、圧電素子y54は縮むので、図38に示す電圧値V(y51),V(y54)に差が生じ、差分回路24によってその差が電圧値として求められる。この電圧値は、X軸まわりの角速度ωxを示す検出値になる。
このように、図38に示す角速度検出回路45は、主振動子510に作用するコリオリ力に基づいて角速度ωx,ωyを検出する機能と、副振動子525に作用するコリオリ力に基づいて角速度ωx,ωyを検出する機能との双方を備えている。もっとも、主振動子510と副振動子525とは、逆向きの運動を行っているので、差分回路21の出力電圧によって示される角速度ωyと差分回路23の出力電圧によって示される角速度ωyとは符号が逆になり、差分回路22の出力電圧によって示される角速度ωxと差分回路24の出力電圧によって示される角速度ωxとは符号が逆になる点に留意する必要がある。
もちろん、主振動子510に作用するコリオリ力に基づく角速度検出と、副振動子525に作用するコリオリ力に基づく角速度検出とは、いずれか一方のみを行えば十分であるが、実用上は、両方の検出を行い、その平均値を最終的な角速度の検出値ωx,ωyとして出力するのが好ましい。
結局、駆動手段によって、主振動子および副振動子を所定の共通振動軸に平行な方向にそれぞれ同一振幅および同一振動数で単振動させ、主振動子の運動方向と副振動子の運動方向とが常に逆方向となり、かつ、主振動子の運動速度の絶対値と副振動子の運動速度の絶対値とが等しくなるように駆動すれば、装置筐体への振動漏れを抑制する効果を更に高めることが可能になる。
しかも、これまで述べてきた種々の実施形態に係る基本構造体を用いた角速度センサの場合、副振動子を主振動子とは逆方向に駆動する、という工夫を施すにより、「検出感度を向上させる」という副次的な効果も得られることが判明した。以下、この副次的な効果が得られる理由を説明しよう。
図39は、上述した角速度センサの駆動状態の一例を示す側断面図である。図には、主振動子510に対して、X軸正方向のコリオリ力+Fxが作用し、副振動子525に対して、X軸負方向のコリオリ力−Fxが作用した状態が示されている。主振動子510の運動方向と副振動子525の運動方向とは常に逆向きになるような駆動制御がなされるので、何らかの角速度が作用した場合、当該角速度に起因して生じるコリオリ力の向きは、主振動子510と副振動子525とでは常に逆になる。したがって、何らかの角速度に起因して、主振動子510に対してX軸正方向のコリオリ力+Fxが作用した場合、図示のとおり、副振動子525に対してはX軸負方向のコリオリ力−Fxが作用することになる。
このとき、図に矢印で示す着目点Q1〜Q4(基本構造体500の上面の1点)に作用する応力を考えると、各着目点Q1〜Q4の各位置に生じる応力は、副振動子525を駆動しない場合に比べて増大することになる。これは、主振動子510が図の右方向に移動することによって生じる応力と、副振動子525が図の左方向に移動することによって生じる応力とが重複されるためである。このため、着目点Q1〜Q4の近傍に配置された圧電素子を検出用圧電素子として利用すれば、より感度の高い検出が可能になる。これは、主振動子510および副振動子525に対してY軸方向のコリオリ力が作用した場合も全く同様である。
また、主振動子510および副振動子525に対してZ軸方向のコリオリ力が作用した場合も、やはり感度の高い検出が可能になる。図40は、主振動子510に対して、Z軸正方向のコリオリ力+Fzが作用し、副振動子525に対して、Z軸負方向のコリオリ力−Fzが作用した状態が示されている。この場合も、図に矢印で示す着目点Q1〜Q4(基本構造体500の上面の1点)に作用する応力を考えると、各着目点Q1〜Q4の各位置に生じる応力は、副振動子525を駆動しない場合に比べて増大することになる。これは、主振動子510が図の上方向に移動することによって生じる応力と、副振動子525が図の下方向に移動することによって生じる応力とが重複されるためである。このため、着目点Q1〜Q4の近傍に配置された圧電素子を検出用圧電素子として利用すれば、より感度の高い検出が可能になる。
なお、副振動子を主振動子とは逆方向に駆動する、という工夫は、各振動子を単振動させる場合に限らず、円運動させる場合にも適用可能である。この場合、駆動手段が、主振動子および副振動子を所定の共通基準面にそれぞれ平行な固有の運動平面上で、互いに同一周期で逆まわりとなるように円運動させ、主振動子の運動方向と副振動子の運動方向とが常に逆方向となり、かつ、主振動子の運動速度の絶対値と副振動子の運動速度の絶対値とが等しくなるように駆動するようにすればよい。
具体的には、§4−2では、図11に示す変形例を用いて、主振動子を任意の座標軸方向に単振動させたり、任意の座標平面に沿って円運動させたりすることが可能なことを説明した。これと同じ原理を用いて、たとえば、図41の上面図に示すような角速度センサを用いれば、主振動子を任意の座標軸方向に単振動させたり、任意の座標平面に沿って円運動させたりすることができ、しかも同時に、副振動子を主振動子と逆向きに運動させることが可能になる。
図41に示す角速度センサは、図27に示す基本構造体500の上面に、48個の圧電素子を配置したものである。図41において、ハッチングは、圧電素子を示すものであり、断面を示すものではない。
この図においても、説明の便宜上、X軸の両脇に、X軸に対して平行で、所定間隔をおいて配置されたXa軸およびXb軸を定義し、Y軸の両脇に、Y軸に対して平行で、所定間隔をおいて配置されたYa軸およびYb軸を定義している。Xa軸およびXb軸はX軸に関して対称な位置に定義され、Ya軸およびYb軸はY軸に関して対称な位置に定義される。
ここに示す例では、図示のとおり、X軸上の内側部分には、圧電素子X51〜X54が配置され、Xa軸上の内側部分には、圧電素子X61〜X64が配置され、Xb軸上の内側部分には、圧電素子X71〜X74が配置されている。また、Y軸上の内側部分には、圧電素子Y51〜Y54が配置され、Ya軸上の内側部分には、圧電素子Y61〜Y64が配置され、Yb軸上の内側部分には、圧電素子Y71〜Y74が配置されている。これら大文字のアルファベットXもしくはYを冠した圧電素子は、いずれも内側接続部材(内側架橋部521,531,541,551)の表面に固定された圧電素子であり、主振動子510を駆動するための主駆動用圧電素子として用いるか、あるいは、主振動子510に作用するコリオリ力(主振動子510の変位)を検出するための主検出用圧電素子として用いることができる。
これら24個の圧電素子を用いて、主振動子510を任意の座標軸方向に単振動させたり、任意の座標平面に沿って円運動させたりする駆動方法や、主振動子510に作用する任意の座標軸方向のコリオリ力を求める検出方法は、§4−2において図11に示す変形例を用いて説明した方法と同様であるため、ここでは詳しい説明は省略する。
一方、X軸上の外側部分には、圧電素子x51〜x54が配置され、Xa軸上の外側部分には、圧電素子x61〜x64が配置され、Xb軸上の外側部分には、圧電素子x71〜x74が配置されている。また、Y軸上の外側部分には、圧電素子y51〜y54が配置され、Ya軸上の外側部分には、圧電素子y61〜y64が配置され、Yb軸上の外側部分には、圧電素子y71〜y74が配置されている。これら小文字のアルファベットxもしくはyを冠した圧電素子は、いずれも外側接続部材(外側架橋部522,532,542,552)の表面に固定された圧電素子であり、副振動子525を駆動するための副駆動用圧電素子として用いるか、あるいは、副振動子525に作用するコリオリ力(副振動子525の変位)を検出するための副検出用圧電素子として用いることができる。
これら24個の圧電素子を用いて、副振動子525を任意の座標軸方向に単振動させたり、任意の座標平面に沿って円運動させたりする駆動方法や、副振動子525に作用する任意の座標軸方向のコリオリ力を求める検出方法は、§4−2において図11に示す変形例を用いて説明した方法と同様であるため、ここでは詳しい説明は省略する。但し、主振動子510の駆動方向と副振動子525の駆動方向とは常に逆になるような制御を行う点は、留意すべきである。
なお、§4−2でも述べたとおり、図41に示す角速度センサおいて、内側接続部材上に配置された24個の圧電素子のいくつかを用いて主振動子510に所定の周期的運動を行わせ、いくつかを用いて主振動子510に作用するコリオリ力の検出を行わせる方法や、外側接続部材上に配置された24個の圧電素子のいくつかを用いて副振動子525に所定の周期的運動を行わせ、いくつかを用いて副振動子525に作用するコリオリ力の検出を行わせる方法には、様々なバリエーションがある。そして、これらのバリエーションを組み合わせることにより、多軸まわりの角速度検出が可能になる。
ただ、主振動子と副振動子とを逆方向に運動させると、図39および図40に示したように、特定の箇所における応力が増大する現象が生じるので、この現象を利用すれば、検出感度を高めることができる。このような観点からは、X軸方向のコリオリ力Fx(Y軸方向のコリオリ力Fyも同様)の検出には、図39の着目点Q1〜Q4に配置された圧電素子を用いるのが好ましく、Z軸方向のコリオリ力Fzの検出には、図40の着目点Q1〜Q4に配置された圧電素子を用いるのが好ましい。
具体的には、たとえば、X軸上およびY軸上に配置された圧電素子を検出用圧電素子として利用するのであれば、X軸方向のコリオリ力Fxの検出には、圧電素子x51,X52,X53,x54を用い、Y軸方向のコリオリ力Fyの検出には、圧電素子y51,Y52,Y53,y54を用いるのが好ましい。また、Z軸方向のコリオリ力Fzの検出には、たとえば、X軸上に配置された圧電素子を利用するのであれば、圧電素子X51,X52,X53,X54を用いるのが好ましく、Y軸上に配置された圧電素子を利用するのであれば、圧電素子Y51,Y52,Y53,Y54を用いるのが好ましい。あるいは、Z軸方向のコリオリ力Fzの検出に、圧電素子X51,Y51,X54,Y54という組合わせを用いたり、圧電素子X52,Y52,X53,Y53という組合わせを用いたりしてもよい。
なお、上述した応力が増大する現象を踏まえると、主振動子および副振動子をX軸方向に振動させるには、図39の着目点Q1〜Q4に配置された圧電素子を用いるのが好ましく、Z軸方向に振動させるには、図40の着目点Q1〜Q4に配置された圧電素子を用いるのが好ましい。そのような選択をすることにより、各振動子をより効率的に駆動させることができる。
<<< §10.本発明に係る技術思想の総括 >>>
これまで、本発明に係る角速度センサをいくつかの実施形態およびその変形例について説明したが、本発明は、これらの実施形態や変形例に限定されるものではなく、この他にも種々の態様で実施可能である。ここでは、本発明に係る技術思想を総括しておく。
まず、本発明の最も基本的な概念は、主振動子と、この主振動子に隣接して配置された副振動子と、この副振動子に隣接して配置された台座と、主振動子と副振動子とを接続する可撓性をもった第1の接続部材と、副振動子と台座とを接続する可撓性をもった第2の接続部材と、を有する基本構造体と、台座を支持固定するとともに、主振動子および副振動子を宙吊り状態で収容する装置筐体と、装置筐体内で主振動子が周期的運動を行うように駆動する駆動手段と、主振動子が周期的運動を行っている状態において、主振動子に作用するコリオリ力を検出し、これを所定軸まわりの角速度の検出値として出力する検出手段と、によって角速度センサを構成する点にある。このような構成を採ると、主振動子から台座に至る振動エネルギーの伝達経路上に、副振動子が配置されることになり、この副振動子の存在により、台座側へ漏れ出る振動エネルギーの一部が吸収されることになるのである。
特に、本発明を実施する上では、主振動子の周囲を取り囲む位置に、複数M個の副振動子を設けるようにすると効果的である。すなわち、主振動子を、中心部重錘体によって構成し、副振動子を、この中心部重錘体の側面を取り囲む環状閉領域内に配置された複数M個の重錘体によって構成し、台座を、この環状閉領域を更に取り囲む位置に配置するようにし、内側接続部材を、中心部重錘体とM個の重錘体のそれぞれとを接続するM本の内側架橋部によって構成し、外側接続部材を、M個の重錘体のそれぞれと台座とを接続するM本の外側架橋部によって構成するのである。
より好ましい実施形態としては、中心部重錘体の上面中心位置に原点OをもつXYZ三次元座標系を定義し、この座標系のXY平面上に原点Oを中心として伸びるM本の放射線を定義したときに、基本構造体が、この座標系のXY平面に沿った上面を有し、各放射線上にそれぞれ副振動子を構成する重錘体が1個ずつ配置され、各放射線に沿ってそれぞれ内側架橋部および外側架橋部が1組ずつ配置されているようにする。
更に、好ましい実施形態としては、副振動子を構成する重錘体の「中心部重錘体に対する対向面」の上端に内側架橋部が接続され、副振動子を構成する重錘体の「台座に対する対向面」の上端に外側架橋部が接続されるようにし、副振動子を構成する重錘体の上面に、当該重錘体が配置されている放射線に直交する方向に伸びる溝部を形成する。図5および図6に示す第1の実施形態に係る角速度センサは、このような最も好ましい実施形態において、M=4に設定した例に該当する。
なお、副振動子を構成する複数M個の重錘体を順番に環状連結することにより、単一の環状重錘体を構成することも可能である。第4の実施形態として示した図29および図30に示す角速度センサは、図5および図6に示す第1の実施形態に係る角速度センサにおける4個の重錘体を順番に環状連結することにより、単一の環状重錘体525を構成した例に該当する。
また、本発明では、主振動子の周囲を二重に取り囲むように副振動子を配置した形態を採ることも可能である。すなわち、主振動子を中心部重錘体によって構成し、副振動子を、この中心部重錘体の側面を取り囲む内側環状閉領域内に配置された複数M個の内側重錘体と、内側環状閉領域を取り囲む外側環状閉領域内に配置された複数M個の外側重錘体と、によって構成し、台座を、外側環状閉領域を更に取り囲む位置に配置し、内側接続部材を、中心部重錘体とM個の内側重錘体のそれぞれとを接続するM組の内側架橋部によって構成し、外側接続部材を、M個の外側重錘体のそれぞれと台座とを接続するM組の外側架橋部によって構成する。そして、M個の内側重錘体とM個の外側重錘体とを1対1に対応づけてそれぞれ接続する可撓性をもった複数M組の中間架橋部によって構成された中間接続部材を更に設けるようにする。
より好ましい実施形態としては、中心部重錘体の上面中心位置に原点OをもつXYZ三次元座標系を定義し、この座標系のXY平面上に原点Oを中心として伸びるM本の放射線を定義したときに、基本構造体が、この座標系のXY平面に沿った上面を有し、各放射線上にそれぞれ内側重錘体と外側重錘体とが1個ずつ配置され、各放射線に沿ってそれぞれ内側架橋部、中間架橋部、外側架橋部が1組ずつ配置されているようにする。
更に、好ましい実施形態としては、内側重錘体の「中心部重錘体に対する対向面」の上端に内側架橋部が接続され、内側重錘体の「外側重錘体に対する対向面」の上端に中間架橋部の一端が接続され、外側重錘体の「内側重錘体に対する対向面」の上端に中間架橋部の他端が接続され、外側重錘体の「台座に対する対向面」の上端に外側架橋部が接続され、内側重錘体の上面に、当該重錘体が配置されている放射線に直交する方向に伸びる溝部が形成され、外側重錘体の上面に、当該重錘体が配置されている放射線に直交する方向に伸びる溝部が形成されているようにする。
図19および図20に示す第2の実施形態に係る角速度センサは、このような最も好ましい実施形態において、M=4に設定した例に該当する。
なお、副振動子を構成する複数M個の内側重錘体を順番に環状連結することにより、単一の内側環状重錘体を構成し、副振動子を構成する複数M個の外側重錘体を順番に環状連結することにより、単一の外側環状重錘体を構成することも可能である。
もちろん、本発明では、主振動子の周囲を三重以上に取り囲むように副振動子を配置した形態を採ることも可能である。これまで図示した実施形態では、このように主振動子の周囲を三重以上に取り囲むように副振動子を配置した例は示されていないが、一般論として、主振動子の周囲をn重に取り囲むように副振動子を配置すると、主振動子から台座への振動エネルギーの伝達経路上に、合計n個の副振動子が配置されることになり、振動漏れを抑制する効果をより高めることが可能になる。
架橋部を利用して主振動子を支持する構造において、主振動子の周囲をn重に取り囲むように副振動子を配置するのであれば、主振動子を、中心部重錘体によって構成し、この中心部重錘体の側面を取り囲む位置に「第1周目の環状閉領域」を定義し、「第1周目の環状閉領域」を取り囲む位置に「第2周目の環状閉領域」を定義し、...、「第(n−1)周目の環状閉領域」を取り囲む位置に「第n周目の環状閉領域」を定義したときに(但し、nは任意の自然数)、副振動子を、「第1周目の環状閉領域」内に配置された複数M個の「第1周目の重錘体」と、「第2周目の環状閉領域」内に配置された複数M個の「第2周目の重錘体」と、...、「第n周目の環状閉領域」内に配置された複数M個の「第n周目の重錘体」と、によって構成すればよい。そして、台座を、「第n周目の環状閉領域」を更に取り囲む位置に配置し、内側接続部材を、中心部重錘体とM個の「第1周目の重錘体」のそれぞれとを接続するM本の内側架橋部によって構成し、外側接続部材を、M個の「第n周目の重錘体」のそれぞれと台座とを接続するM組の外側架橋部によって構成し、基本構造体が、M個の「第i周目の重錘体」のそれぞれとM個の「第(i+1)周目の重錘体」のそれぞれとを1対1に対応づけてそれぞれ接続する可撓性をもった複数M組の中間架橋部によって構成された「第i周目の中間接続部材」(但し、i=1〜(n−1))を更に有するようにすればよい。
より好ましい実施形態としては、中心部重錘体の上面中心位置に原点OをもつXYZ三次元座標系を定義し、この座標系のXY平面上に原点Oを中心として伸びるM本の放射線を定義したときに、基本構造体が、この座標系のXY平面に沿った上面を有し、各放射線上にそれぞれ第k周目(但し、k=1〜n)の重錘体がそれぞれ1個ずつ配置され、各放射線に沿って1組の内側架橋部と、1組の外側架橋部と、(n−1)組の中間架橋部が配置されているようにする。
更に、好ましい実施形態としては、副振動子を構成する各重錘体について、「内周側に位置する別な重錘体に対する対向面」の上端に当該別な重錘体との接続を行うための架橋部が接続され、「外周側に位置する別な重錘体もしくは台座に対する対向面」の上端に当該別な重錘体もしくは台座との接続を行うための架橋部が接続され、副振動子を構成する各重錘体の上面に、当該重錘体が配置されている放射線に直交する方向に伸びる溝部が形成されているようにする。
特に、M=4に設定すると、主振動子をその四方向から支持す構造を得ることができる。具体的には、中心部重錘体の上面中心位置に原点OをもつXYZ三次元座標系を定義したときに、基本構造体が、この座標系のXY平面に沿った上面を有し、「第k周目の環状閉領域」内には、X軸の正の領域上に「第k周目のX軸正側重錘体」が配置され、Y軸の正の領域上に「第k周目のY軸正側重錘体」が配置され、X軸の負の領域上に「第k周目のX軸負側重錘体」が配置され、Y軸の負の領域上に「第k周目のY軸負側重錘体」が配置されるようにする(但し、k=1〜n)。そして、一端が中心部重錘体に接続され、他端が「第1周目のX軸正側重錘体」に接続され、X軸の正の領域に沿って配置されたX軸正側内側架橋部と、一端が中心部重錘体に接続され、他端が「第1周目のY軸正側重錘体」に接続され、Y軸の正の領域に沿って配置されたY軸正側内側架橋部と、一端が中心部重錘体に接続され、他端が「第1周目のX軸負側重錘体」に接続され、X軸の負の領域に沿って配置されたX軸負側内側架橋部と、一端が中心部重錘体に接続され、他端が「第1周目のY軸負側重錘体」に接続され、Y軸の負の領域に沿って配置されたY軸負側内側架橋部と、によって内側接続部材が構成されるようにする。また、一端が台座に接続され、他端が「第n周目のX軸正側重錘体」に接続され、X軸の正の領域に沿って配置されたX軸正側外側架橋部と、一端が台座に接続され、他端が「第n周目のY軸正側重錘体」に接続され、Y軸の正の領域に沿って配置されたY軸正側外側架橋部と、一端が台座に接続され、他端が「第n周目のX軸負側重錘体」に接続され、X軸の負の領域に沿って配置されたX軸負側外側架橋部と、一端が台座に接続され、他端が「第n周目のY軸負側重錘体」に接続され、Y軸の負の領域に沿って配置されたY軸負側外側架橋部と、によって外側接続部材が構成されるようにする。更に、一端が「第i周目のX軸正側重錘体」に接続され、他端が「第(i+1)周目のX軸正側重錘体」に接続され、X軸の正の領域に沿って配置された「第i周目のX軸正側中間架橋部」と、一端が「第i周目のX軸正側重錘体」に接続され、他端が「第(i+1)周目のY軸正側重錘体」に接続され、Y軸の正の領域に沿って配置された「第i周目のY軸正側中間架橋部」と、一端が「第i周目のX軸正側重錘体」に接続され、他端が「第(i+1)周目のX軸負側重錘体」に接続され、X軸の負の領域に沿って配置された「第i周目のX軸負側中間架橋部」と、一端が「第i周目のX軸正側重錘体」に接続され、他端が「第(i+1)周目のY軸負側重錘体」に接続され、Y軸の負の領域に沿って配置された「第i周目のY軸負側中間架橋部」と、によって「第i周目の中間接続部材」(但し、i=1〜(n−1))が構成されているようにする。
より好ましい実施形態としては、副振動子を構成する各重錘体について、「内周側に位置する別な重錘体に対する対向面」の上端に当該別な重錘体との接続を行う架橋部が接続され、「外周側に位置する別な重錘体もしくは台座に対する対向面」の上端に当該別な重錘体もしくは台座との接続を行う架橋部が接続され、副振動子を構成する各重錘体の上面に、当該重錘体が配置されている座標軸に直交する方向に伸びる溝部が形成されているようにする。
更に好ましい実施形態としては、第k周目のそれぞれについて(但し、k=1〜n)、X軸正側重錘体、Y軸正側重錘体、X軸負側重錘体、Y軸負側重錘体が、互いに同一形状および同一質量をもった重錘体から構成され、これら4個の重錘体の配置が、XZ平面およびYZ平面の双方に関して対称となっているようにする。
なお、副振動子を構成する複数M個の「第k周目の重錘体」を順番に環状連結することにより、単一の「第k周目の環状重錘体」(但し、k=1〜n)を構成することも可能である。
一方、架橋部を利用して主振動子を支持する構造の代わりに、ダイアフラム構造を利用して主振動子を支持する構造を採ることも可能である。そのような構造において、主振動子の周囲をn重に取り囲むように副振動子を配置するのであれば、主振動子を、中心部重錘体によって構成し、副振動子を、中心部重錘体を離隔した状態で取り囲む「第1周目の環状重錘体」と、「第1周目の環状重錘体」を離隔した状態で取り囲む「第2周目の環状重錘体」と、...、「第(n−1)周目の環状重錘体」を離隔した状態で取り囲む「第n周目の環状重錘体」と、によって構成する。そして、内側接続部材を、中心部重錘体の側面を取り囲むように配置され、内側部分が中心部重錘体に接続され、外側部分が「第1周目の環状重錘体」に接続された内側板状構造体によって構成し、外側接続部材が、「第n周目の環状重錘体」を取り囲むように配置され、内側部分が「第n周目の環状重錘体」に接続され、外側部分が台座に接続された外側板状構造体によって構成し、台座を、外側板状構造体を取り囲む構造体によって構成する。更に、「第i周目の環状重錘体」と「第(i+1)周目の環状重錘体」との間に、両者を接続する可撓性をもった中間板状構造体よって構成された「第i周目の中間接続部材」を配置すればよい(但し、i=1〜(n−1))。
より好ましくは、副振動子を構成する各環状重錘体について、「内周側に位置する別な重錘体に対する対向面」の上端に当該別な重錘体との接続を行うための板状構造体が接続され、「外周側に位置する別な重錘体もしくは台座に対する対向面」の上端に当該別な重錘体もしくは台座との接続を行うための板状構造体が接続され、各環状重錘体の上面に、当該環状重錘体の上面の輪郭線に沿った溝部が形成されているようにする。
更に好ましくは、中心部重錘体の上面中心位置に原点OをもつXYZ三次元座標系を定義したときに、基本構造体がこの座標系のXY平面に沿った上面を有し、各環状重錘体のXY平面に対する投影像が、原点Oを中心とする円環形状をなすようにする。
従来の角速度センサの基本構造体の一例を示す上面図である。 図1に示す基本構造体をXZ平面で切断した側断面図である。 本発明の第1の実施形態に係る角速度センサの基本構造体を示す上面図である。 図3に示す基本構造体をXZ平面で切断した側断面図である。 図3に示す基本構造体に圧電素子を取り付けた状態を示す上面図である(ハッチングは、圧電素子を示すものであり、断面を示すものではない)。 図5に示す圧電素子付き基本構造体をXZ平面で切断した側断面図である。 一般的な圧電素子の構成およびその特徴を示す側断面図である。 図5および図6に示す基本構造体において、圧電素子に供給する交流電圧信号と主振動子の変位との関係を示すグラフである。 図5および図6に示す基本構造体を有する角速度センサに用いられる回路の一例を示す回路図である。 圧電素子に供給する交流電圧信号のバリエーションを示すグラフである。 本発明の第1の実施形態の変形例を示す上面図である(ハッチングは、圧電素子を示すものであり、断面を示すものではない)。 図11に示す角速度センサの中央部分をXZ平面で切断した部分側断面図である。 図12に示す圧電素子の構成を変えた変形例を示す部分側断面図である。 図12に示す圧電素子の構成を変えた別な変形例を示す部分側断面図である。 図13および図14に示す変形例を説明するための基本構造体の上面図である(ハッチングは、領域を説明するためのものであり、断面を示すものではない)。 本発明の第1の実施形態の別な変形例を示す側断面図である。 本発明の第2の実施形態に係る角速度センサの基本構造体を示す上面図である。 図17に示す基本構造体をXZ平面で切断した側断面図である。 図17に示す基本構造体に圧電素子を取り付けた状態を示す上面図である(ハッチングは、圧電素子を示すものであり、断面を示すものではない)。 図19に示す圧電素子付き基本構造体をXZ平面で切断した側断面図である。 本発明の第3の実施形態に係る角速度センサの基本構造体を示す上面図である。 図21に示す基本構造体をXZ平面で切断した側断面図である。 図22に示す基本構造体を切断面23−23の位置で切断した平断面図である。 図22に示す基本構造体を切断面24−24の位置で切断した平断面図である。 図21に示す基本構造体に圧電素子を取り付けた状態を示す上面図である(ハッチングは、圧電素子を示すものであり、断面を示すものではない)。 図25に示す圧電素子付き基本構造体をXZ平面で切断した側断面図である。 本発明の第4の実施形態に係る角速度センサの基本構造体を示す上面図である。 図27に示す基本構造体をXZ平面で切断した側断面図である。 図27に示す基本構造体に圧電素子を取り付けた状態を示す上面図である(ハッチングは、圧電素子を示すものであり、断面を示すものではない)。 図29に示す圧電素子付き基本構造体をXZ平面で切断した側断面図である。 参考例として示す角速度センサの基本構造体を示す側断面図である。 別な参考例として示す角速度センサの基本構造体を示す側断面図である。 主振動子と副振動子とを有する単純なモデルを示す斜視図である。 図33に示すモデルにおける各振動子の駆動状態の一例を示す斜視図である。 図33に示すモデルにおける各振動子の駆動状態の別な一例を示す斜視図である。 本発明の第5の実施形態に係る角速度センサの圧電素子付き基本構造体を示す上面図である(ハッチングは、圧電素子を示すものであり、断面を示すものではない)。 図36に示す圧電素子付き基本構造体をXZ平面で切断した側断面図である。 図36および図37に示す圧電素子付き基本構造体を有する角速度センサに用いられる回路の一例を示す回路図である。 図36および図37に示す圧電素子付き基本構造体を有する角速度センサの駆動状態の一例を示す側断面図である。 図36および図37に示す圧電素子付き基本構造体を有する角速度センサの駆動状態の別な一例を示す側断面図である。 本発明の第5の実施形態の変形例を示す上面図である(ハッチングは、圧電素子を示すものであり、断面を示すものではない)。
符号の説明
21〜24:差分回路
30,35:駆動制御回路
31:交流信号源
40,45:角速度検出回路
91:主振動子
92:副振動子
93:接続部材
100:従来の角速度センサの基本構造体
110:重錘体(振動子)
120〜150:架橋部
160:台座
180:装置筐体
200:本発明の第1の実施形態に係る角速度センサの基本構造体
200′:本発明の第1の実施形態の変形例に係る角速度センサの基本構造体
200:参考例に係る角速度センサの基本構造体
210:中心部重錘体(主振動子)
221:X軸正側内側架橋部(内側接続部材)
222:X軸正側外側架橋部(外側接続部材)
225,225′:X軸正側重錘体(副振動子)
225:U字状架橋部
231:Y軸正側内側架橋部(内側接続部材)
232:Y軸正側外側架橋部(外側接続部材)
235:Y軸正側重錘体(副振動子)
241:X軸負側内側架橋部(内側接続部材)
242:X軸負側外側架橋部(外側接続部材)
245,245′:X軸負側重錘体(副振動子)
245:U字状架橋部
251:Y軸負側内側架橋部(内側接続部材)
252:Y軸負側外側架橋部(外側接続部材)
255:Y軸負側重錘体(副振動子)
260:台座
280:装置筐体
300:本発明の第2の実施形態に係る角速度センサの基本構造体
300:参考例に係る角速度センサの基本構造体
310:中心部重錘体(主振動子)
321:X軸正側内側架橋部(内側接続部材)
322:X軸正側中間架橋部(中間接続部材)
323:X軸正側外側架橋部(外側接続部材)
325:X軸正側内側重錘体(副振動子)
325:U字状架橋部
326:X軸正側外側重錘体(副振動子)
326:U字状架橋部
331:Y軸正側内側架橋部(内側接続部材)
332:Y軸正側中間架橋部(中間接続部材)
333:Y軸正側外側架橋部(外側接続部材)
335:Y軸正側内側重錘体(副振動子)
336:Y軸正側外側重錘体(副振動子)
341:X軸負側内側架橋部(内側接続部材)
342:X軸負側中間架橋部(中間接続部材)
343:X軸負側外側架橋部(外側接続部材)
345:X軸負側内側重錘体(副振動子)
345:U字状架橋部
346:X軸負側外側重錘体(副振動子)
346:U字状架橋部
341:Y軸負側内側架橋部(内側接続部材)
342:Y軸負側中間架橋部(中間接続部材)
343:Y軸負側外側架橋部(外側接続部材)
345:Y軸負側内側重錘体(副振動子)
346:Y軸負側外側重錘体(副振動子)
360:台座
380:装置筐体
400:本発明の第3の実施形態に係る角速度センサの基本構造体
410:中心部重錘体(主振動子)
421:内側板状構造体(内側接続部材)
422:中間板状構造体(中間接続部材)
423:外側板状構造体(外側接続部材)
425:内側環状重錘体(副振動子)
426:外側環状重錘体(副振動子)
460:台座
480:装置筐体
500:本発明の第4の実施形態に係る角速度センサの基本構造体
510:中心部重錘体(主振動子)
521:X軸正側内側架橋部(内側接続部材)
522:X軸正側外側架橋部(外側接続部材)
525:環状重錘体(副振動子)
531:Y軸正側内側架橋部(内側接続部材)
532:Y軸正側外側架橋部(外側接続部材)
541:X軸負側内側架橋部(内側接続部材)
542:X軸負側外側架橋部(外側接続部材)
541:Y軸負側内側架橋部(内側接続部材)
542:Y軸負側外側架橋部(外側接続部材)
560:台座
580:装置筐体
A:振動の振幅値
d:位相差/遅延時間
EL:下方電極
EL′:共通導電層
EU:上方電極
Fx:X軸方向の力
Fz:Z軸方向の力
G1〜G4:溝部
G1a〜G4b:溝部
G15,G20,G25,G30,G35:円環状溝部
O:XYZ三次元座標系の原点
P:圧電素子本体部
P′:共通圧電素子本体部
Q1〜Q4:着目点
t:時間
V:電圧値
Vp:ピーク電圧
W1〜W4,W11〜W42:窓部
X,Y,Z:XYZ三次元座標系の各座標軸
Xa,Xb:X軸の脇に配置され、X軸に平行な座標軸
Ya,Yb:Y軸の脇に配置され、Y軸に平行な座標軸
X11〜X14:X軸上に配置された圧電素子
X21〜X24:Xa軸上に配置された圧電素子
X31〜X34:Xb軸上に配置された圧電素子
X41〜X44:X軸上に配置された圧電素子
X51〜X54:X軸上に配置された圧電素子
X61〜X64:Xa軸上に配置された圧電素子
X71〜X74:Xb軸上に配置された圧電素子
x51〜x54:X軸上に配置された圧電素子
x61〜x64:Xa軸上に配置された圧電素子
x71〜x74:Xb軸上に配置された圧電素子
Y11〜Y14:Y軸上に配置された圧電素子
Y21〜Y24:Ya軸上に配置された圧電素子
Y31〜Y34:Yb軸上に配置された圧電素子
Y41〜Y44:Y軸上に配置された圧電素子
Y51〜Y54:Y軸上に配置された圧電素子
Y61〜Y64:Ya軸上に配置された圧電素子
Y71〜Y74:Yb軸上に配置された圧電素子
y51〜y54:Y軸上に配置された圧電素子
y61〜y64:Ya軸上に配置された圧電素子
y71〜y74:Yb軸上に配置された圧電素子
φ1,φ2:交流電圧信号
ωx,ωy:角速度

Claims (38)

  1. 主振動子と、この主振動子に隣接して配置された副振動子と、この副振動子に隣接して配置された台座と、前記主振動子と前記副振動子とを接続する可撓性をもった内側接続部材と、前記副振動子と前記台座とを接続する可撓性をもった外側接続部材と、を有する基本構造体と、
    前記台座を支持固定するとともに、前記主振動子および前記副振動子を宙吊り状態で収容する装置筐体と、
    前記装置筐体内で前記主振動子が周期的運動を行うように駆動する駆動手段と、
    前記主振動子が前記周期的運動を行っている状態において、前記主振動子に作用するコリオリ力を検出し、これを所定軸まわりの角速度の検出値として出力する検出手段と、
    を備えることを特徴とする角速度センサ。
  2. 請求項1に記載の角速度センサにおいて、
    主振動子が、中心部重錘体によって構成され、
    副振動子が、前記中心部重錘体の側面を取り囲む環状閉領域内に配置された複数M個の重錘体によって構成され、
    台座が、前記環状閉領域を更に取り囲む位置に配置され、
    内側接続部材が、前記中心部重錘体と前記M個の重錘体のそれぞれとを接続するM組の内側架橋部によって構成され、
    外側接続部材が、前記M個の重錘体のそれぞれと台座とを接続するM組の外側架橋部によって構成されていることを特徴とする角速度センサ。
  3. 請求項2に記載の角速度センサにおいて、
    中心部重錘体の上面中心位置に原点OをもつXYZ三次元座標系を定義し、前記座標系のXY平面上に前記原点Oを中心として伸びるM本の放射線を定義したときに、
    基本構造体が、前記座標系のXY平面に沿った上面を有し、
    各放射線上にそれぞれ副振動子を構成する重錘体が1個ずつ配置され、各放射線に沿ってそれぞれ内側架橋部および外側架橋部が1組ずつ配置されていることを特徴とする角速度センサ。
  4. 請求項3に記載の角速度センサにおいて、
    副振動子を構成する重錘体の「中心部重錘体に対する対向面」の上端に内側架橋部が接続され、副振動子を構成する重錘体の「台座に対する対向面」の上端に外側架橋部が接続され、
    副振動子を構成する重錘体の上面に、当該重錘体が配置されている放射線に直交する方向に伸びる溝部が形成されていることを特徴とする角速度センサ。
  5. 請求項2に記載の角速度センサにおいて、
    中心部重錘体の上面中心位置に原点OをもつXYZ三次元座標系を定義したときに、
    基本構造体が、前記座標系のXY平面に沿った上面を有し、
    X軸の正の領域上にX軸正側重錘体が配置され、Y軸の正の領域上にY軸正側重錘体が配置され、X軸の負の領域上にX軸負側重錘体が配置され、Y軸の負の領域上にY軸負側重錘体が配置され、
    一端が中心部重錘体に接続され、他端が前記X軸正側重錘体に接続され、X軸の正の領域に沿って配置されたX軸正側内側架橋部と、一端が中心部重錘体に接続され、他端が前記Y軸正側重錘体に接続され、Y軸の正の領域に沿って配置されたY軸正側内側架橋部と、一端が中心部重錘体に接続され、他端が前記X軸負側重錘体に接続され、X軸の負の領域に沿って配置されたX軸負側内側架橋部と、一端が中心部重錘体に接続され、他端が前記Y軸負側重錘体に接続され、Y軸の負の領域に沿って配置されたY軸負側内側架橋部と、によって内側接続部材が構成され、
    一端が台座に接続され、他端が前記X軸正側重錘体に接続され、X軸の正の領域に沿って配置されたX軸正側外側架橋部と、一端が台座に接続され、他端が前記Y軸正側重錘体に接続され、Y軸の正の領域に沿って配置されたY軸正側外側架橋部と、一端が台座に接続され、他端が前記X軸負側重錘体に接続され、X軸の負の領域に沿って配置されたX軸負側外側架橋部と、一端が台座に接続され、他端が前記Y軸負側重錘体に接続され、Y軸の負の領域に沿って配置されたY軸負側外側架橋部と、によって外側接続部材が構成されていることを特徴とする角速度センサ。
  6. 請求項5に記載の角速度センサにおいて、
    X軸正側重錘体の「中心部重錘体に対する対向面」の上端にX軸正側内側架橋部が接続され、X軸正側重錘体の「台座に対する対向面」の上端にX軸正側外側架橋部が接続され、X軸正側重錘体の上面に、X軸に直交する方向に伸びる溝部が形成され、
    Y軸正側重錘体の「中心部重錘体に対する対向面」の上端にY軸正側内側架橋部が接続され、Y軸正側重錘体の「台座に対する対向面」の上端にY軸正側外側架橋部が接続され、Y軸正側重錘体の上面に、Y軸に直交する方向に伸びる溝部が形成され、
    X軸負側重錘体の「中心部重錘体に対する対向面」の上端にX軸負側内側架橋部が接続され、X軸負側重錘体の「台座に対する対向面」の上端にX軸負側外側架橋部が接続され、X軸負側重錘体の上面に、X軸に直交する方向に伸びる溝部が形成され、
    Y軸負側重錘体の「中心部重錘体に対する対向面」の上端にY軸負側内側架橋部が接続され、Y軸負側重錘体の「台座に対する対向面」の上端にY軸負側外側架橋部が接続され、Y軸負側重錘体の上面に、Y軸に直交する方向に伸びる溝部が形成されていることを特徴とする角速度センサ。
  7. 請求項5または6に記載の角速度センサにおいて、
    X軸正側重錘体、Y軸正側重錘体、X軸負側重錘体、Y軸負側重錘体が、互いに同一形状および同一質量をもった重錘体から構成され、これら4個の重錘体の配置が、XZ平面およびYZ平面の双方に関して対称となっていることを特徴とする角速度センサ。
  8. 請求項2〜7のいずれかに記載の角速度センサにおいて、
    副振動子を構成する複数M個の重錘体を順番に環状連結することにより、単一の環状重錘体を構成したことを特徴とする角速度センサ。
  9. 請求項1に記載の角速度センサにおいて、
    主振動子が、中心部重錘体によって構成され、
    内側接続部材が、前記中心部重錘体の側面を取り囲む内側板状構造体によって構成され、
    副振動子が、前記内側板状構造体を取り囲む環状重錘体によって構成され、
    外側接続部材が、前記環状重錘体を取り囲む外側板状構造体によって構成され、
    台座が、前記外側板状構造体を取り囲む構造体によって構成されていることを特徴とする角速度センサ。
  10. 請求項9に記載の角速度センサにおいて、
    環状重錘体の「中心部重錘体に対する対向面」の上端に内側板状構造体の外側部分が接続され、環状重錘体の「台座に対する対向面」の上端に外側板状構造体の内側部分が接続され、
    環状重錘体の上面に、当該上面の輪郭線に沿った溝部が形成されていることを特徴とする角速度センサ。
  11. 請求項9または10に記載の角速度センサにおいて、
    中心部重錘体の上面中心位置に原点OをもつXYZ三次元座標系を定義したときに、
    基本構造体が前記座標系のXY平面に沿った上面を有し、環状重錘体の前記XY平面に対する投影像が、前記原点Oを中心とする円環形状をなすことを特徴とする角速度センサ。
  12. 請求項1に記載の角速度センサにおいて、
    主振動子が、中心部重錘体によって構成され、
    副振動子が、前記中心部重錘体の側面を取り囲む内側環状閉領域内に配置された複数M個の内側重錘体と、前記内側環状閉領域を取り囲む外側環状閉領域内に配置された複数M個の外側重錘体と、によって構成され、
    台座が、前記外側環状閉領域を更に取り囲む位置に配置され、
    内側接続部材が、前記中心部重錘体と前記M個の内側重錘体のそれぞれとを接続するM組の内側架橋部によって構成され、
    外側接続部材が、前記M個の外側重錘体のそれぞれと台座とを接続するM組の外側架橋部によって構成され、
    基本構造体が、前記M個の内側重錘体と前記M個の外側重錘体とを1対1に対応づけてそれぞれ接続する可撓性をもった複数M組の中間架橋部によって構成された中間接続部材を更に有することを特徴とする角速度センサ。
  13. 請求項12に記載の角速度センサにおいて、
    中心部重錘体の上面中心位置に原点OをもつXYZ三次元座標系を定義し、前記座標系のXY平面上に前記原点Oを中心として伸びるM本の放射線を定義したときに、
    基本構造体が、前記座標系のXY平面に沿った上面を有し、
    各放射線上にそれぞれ内側重錘体と外側重錘体とが1個ずつ配置され、各放射線に沿ってそれぞれ内側架橋部、中間架橋部、外側架橋部が1組ずつ配置されていることを特徴とする角速度センサ。
  14. 請求項13に記載の角速度センサにおいて、
    内側重錘体の「中心部重錘体に対する対向面」の上端に内側架橋部が接続され、内側重錘体の「外側重錘体に対する対向面」の上端に中間架橋部の一端が接続され、外側重錘体の「内側重錘体に対する対向面」の上端に中間架橋部の他端が接続され、外側重錘体の「台座に対する対向面」の上端に外側架橋部が接続され、
    内側重錘体の上面に、当該重錘体が配置されている放射線に直交する方向に伸びる溝部が形成され、外側重錘体の上面に、当該重錘体が配置されている放射線に直交する方向に伸びる溝部が形成されていることを特徴とする角速度センサ。
  15. 請求項12に記載の角速度センサにおいて、
    中心部重錘体の上面中心位置に原点OをもつXYZ三次元座標系を定義したときに、
    基本構造体が、前記座標系のXY平面に沿った上面を有し、
    内側環状閉領域内には、X軸の正の領域上にX軸正側内側重錘体が配置され、Y軸の正の領域上にY軸正側内側重錘体が配置され、X軸の負の領域上にX軸負側内側重錘体が配置され、Y軸の負の領域上にY軸負側内側重錘体が配置され、
    外側環状閉領域内には、X軸の正の領域上にX軸正側外側重錘体が配置され、Y軸の正の領域上にY軸正側外側重錘体が配置され、X軸の負の領域上にX軸負側外側重錘体が配置され、Y軸の負の領域上にY軸負側外側重錘体が配置され、
    一端が中心部重錘体に接続され、他端が前記X軸正側内側重錘体に接続され、X軸の正の領域に沿って配置されたX軸正側内側架橋部と、一端が中心部重錘体に接続され、他端が前記Y軸正側内側重錘体に接続され、Y軸の正の領域に沿って配置されたY軸正側内側架橋部と、一端が中心部重錘体に接続され、他端が前記X軸負側内側重錘体に接続され、X軸の負の領域に沿って配置されたX軸負側内側架橋部と、一端が中心部重錘体に接続され、他端が前記Y軸負側内側重錘体に接続され、Y軸の負の領域に沿って配置されたY軸負側内側架橋部と、によって内側接続部材が構成され、
    一端が台座に接続され、他端が前記X軸正側外側重錘体に接続され、X軸の正の領域に沿って配置されたX軸正側外側架橋部と、一端が台座に接続され、他端が前記Y軸正側外側重錘体に接続され、Y軸の正の領域に沿って配置されたY軸正側外側架橋部と、一端が台座に接続され、他端が前記X軸負側外側重錘体に接続され、X軸の負の領域に沿って配置されたX軸負側外側架橋部と、一端が台座に接続され、他端が前記Y軸負側外側重錘体に接続され、Y軸の負の領域に沿って配置されたY軸負側外側架橋部と、によって外側接続部材が構成され、
    一端が前記X軸正側内側重錘体に接続され、他端が前記X軸正側外側重錘体に接続され、X軸の正の領域に沿って配置されたX軸正側中間架橋部と、一端が前記Y軸正側内側重錘体に接続され、他端が前記Y軸正側外側重錘体に接続され、Y軸の正の領域に沿って配置されたY軸正側中間架橋部と、一端が前記X軸負側内側重錘体に接続され、他端が前記X軸負側外側重錘体に接続され、X軸の負の領域に沿って配置されたX軸負側中間架橋部と、一端が前記Y軸負側内側重錘体に接続され、他端が前記Y軸負側外側重錘体に接続され、Y軸の負の領域に沿って配置されたY軸負側中間架橋部と、によって中間接続部材が構成されていることを特徴とする角速度センサ。
  16. 請求項15に記載の角速度センサにおいて、
    X軸正側内側重錘体の「中心部重錘体に対する対向面」の上端にX軸正側内側架橋部が接続され、X軸正側内側重錘体の「X軸正側外側重錘体に対する対向面」の上端にX軸正側中間架橋部の一端が接続され、X軸正側外側重錘体の「X軸正側内側重錘体に対する対向面」の上端にX軸正側中間架橋部の他端が接続され、X軸正側外側重錘体の「台座に対する対向面」の上端にX軸正側外側架橋部が接続され、X軸正側内側重錘体の上面およびX軸正側外側重錘体の上面に、それぞれX軸に直交する方向に伸びる溝部が形成され、
    Y軸正側内側重錘体の「中心部重錘体に対する対向面」の上端にY軸正側内側架橋部が接続され、Y軸正側内側重錘体の「Y軸正側外側重錘体に対する対向面」の上端にY軸正側中間架橋部の一端が接続され、Y軸正側外側重錘体の「Y軸正側内側重錘体に対する対向面」の上端にY軸正側中間架橋部の他端が接続され、Y軸正側外側重錘体の「台座に対する対向面」の上端にY軸正側外側架橋部が接続され、Y軸正側内側重錘体の上面およびY軸正側外側重錘体の上面に、それぞれY軸に直交する方向に伸びる溝部が形成され、
    X軸負側内側重錘体の「中心部重錘体に対する対向面」の上端にX軸負側内側架橋部が接続され、X軸負側内側重錘体の「X軸負側外側重錘体に対する対向面」の上端にX軸負側中間架橋部の一端が接続され、X軸負側外側重錘体の「X軸負側内側重錘体に対する対向面」の上端にX軸負側中間架橋部の他端が接続され、X軸負側外側重錘体の「台座に対する対向面」の上端にX軸負側外側架橋部が接続され、X軸負側内側重錘体の上面およびX軸負側外側重錘体の上面に、それぞれX軸に直交する方向に伸びる溝部が形成され、
    Y軸負側内側重錘体の「中心部重錘体に対する対向面」の上端にY軸負側内側架橋部が接続され、Y軸負側内側重錘体の「Y軸負側外側重錘体に対する対向面」の上端にY軸負側中間架橋部の一端が接続され、Y軸負側外側重錘体の「Y軸負側内側重錘体に対する対向面」の上端にY軸負側中間架橋部の他端が接続され、Y軸負側外側重錘体の「台座に対する対向面」の上端にY軸負側外側架橋部が接続され、Y軸負側内側重錘体の上面およびY軸負側外側重錘体の上面に、それぞれY軸に直交する方向に伸びる溝部が形成されていることを特徴とする角速度センサ。
  17. 請求項15または16に記載の角速度センサにおいて、
    X軸正側内側重錘体、Y軸正側内側重錘体、X軸負側内側重錘体、Y軸負側内側重錘体が、互いに同一形状および同一質量をもった重錘体から構成され、これら4個の内側重錘体の配置が、XZ平面およびYZ平面の双方に関して対称となっており、
    X軸正側外側重錘体、Y軸正側外側重錘体、X軸負側外側重錘体、Y軸負側外側重錘体が、互いに同一形状および同一質量をもった重錘体から構成され、これら4個の外側重錘体の配置が、XZ平面およびYZ平面の双方に関して対称となっていることを特徴とする角速度センサ。
  18. 請求項12〜17のいずれかに記載の角速度センサにおいて、
    副振動子を構成する複数M個の内側重錘体を順番に環状連結することにより、単一の内側環状重錘体を構成し、
    副振動子を構成する複数M個の外側重錘体を順番に環状連結することにより、単一の外側環状重錘体を構成したことを特徴とする角速度センサ。
  19. 請求項1に記載の角速度センサにおいて、
    主振動子が、中心部重錘体によって構成され、
    副振動子が、前記中心部重錘体を離隔した状態で取り囲む内側環状重錘体と、前記内側環状重錘体を離隔した状態で取り囲む外側環状重錘体と、によって構成され、
    内側接続部材が、前記中心部重錘体の側面を取り囲むように配置され、内側部分が前記中心部重錘体に接続され、外側部分が前記内側環状重錘体に接続された内側板状構造体によって構成され、
    外側接続部材が、前記外側環状重錘体を取り囲むように配置され、内側部分が前記外側環状重錘体に接続され、外側部分が台座に接続された外側板状構造体によって構成され、
    台座が、前記外側板状構造体を取り囲む構造体によって構成され、
    前記内側環状重錘体と前記外側環状重錘体との間に、両者を接続する可撓性をもった中間板状構造体よって構成された中間接続部材が配置されていることを特徴とする角速度センサ。
  20. 請求項19に記載の角速度センサにおいて、
    内側環状重錘体の「中心部重錘体に対する対向面」の上端に内側板状構造体の外側部分が接続され、内側環状重錘体の「外側環状重錘体に対する対向面」の上端に中間板状構造体の内側部分が接続され、外側環状重錘体の「内側環状重錘体に対する対向面」の上端に中間板状構造体の外側部分が接続され、外側環状重錘体の「台座に対する対向面」の上端に外側板状構造体の内側部分が接続され、
    内側環状重錘体の上面に、当該内側環状重錘体の上面の輪郭線に沿った溝部が形成されており、外側環状重錘体の上面に、当該外側環状重錘体の上面の輪郭線に沿った溝部が形成されていることを特徴とする角速度センサ。
  21. 請求項19または20に記載の角速度センサにおいて、
    中心部重錘体の上面中心位置に原点OをもつXYZ三次元座標系を定義したときに、
    基本構造体が前記座標系のXY平面に沿った上面を有し、内側環状重錘体および外側環状重錘体の前記XY平面に対する投影像が、前記原点Oを中心とする円環形状をなすことを特徴とする角速度センサ。
  22. 請求項1に記載の角速度センサにおいて、
    主振動子が、中心部重錘体から構成され、
    前記中心部重錘体の側面を取り囲む位置に「第1周目の環状閉領域」を定義し、「第1周目の環状閉領域」を取り囲む位置に「第2周目の環状閉領域」を定義し、...、「第(n−1)周目の環状閉領域」を取り囲む位置に「第n周目の環状閉領域」を定義したときに(但し、nは任意の自然数)、
    副振動子が、「第1周目の環状閉領域」内に配置された複数M個の「第1周目の重錘体」と、「第2周目の環状閉領域」内に配置された複数M個の「第2周目の重錘体」と、...、「第n周目の環状閉領域」内に配置された複数M個の「第n周目の重錘体」と、によって構成され、
    台座が、前記「第n周目の環状閉領域」を更に取り囲む位置に配置され、
    内側接続部材が、前記中心部重錘体と前記M個の「第1周目の重錘体」のそれぞれとを接続するM組の内側架橋部によって構成され、
    外側接続部材が、前記M個の「第n周目の重錘体」のそれぞれと台座とを接続するM組の外側架橋部によって構成され、
    基本構造体が、M個の「第i周目の重錘体」のそれぞれとM個の「第(i+1)周目の重錘体」のそれぞれとを1対1に対応づけてそれぞれ接続する可撓性をもった複数M組の中間架橋部によって構成された「第i周目の中間接続部材」(但し、i=1〜(n−1))を更に有することを特徴とする角速度センサ。
  23. 請求項22に記載の角速度センサにおいて、
    中心部重錘体の上面中心位置に原点OをもつXYZ三次元座標系を定義し、前記座標系のXY平面上に前記原点Oを中心として伸びるM本の放射線を定義したときに、
    基本構造体が、前記座標系のXY平面に沿った上面を有し、
    各放射線上にそれぞれ第k周目(但し、k=1〜n)の重錘体がそれぞれ1個ずつ配置され、各放射線に沿って1組の内側架橋部と、1組の外側架橋部と、(n−1)組の中間架橋部が配置されていることを特徴とする角速度センサ。
  24. 請求項23に記載の角速度センサにおいて、
    副振動子を構成する各重錘体について、「内周側に位置する別な重錘体に対する対向面」の上端に当該別な重錘体との接続を行うための架橋部が接続され、「外周側に位置する別な重錘体もしくは台座に対する対向面」の上端に当該別な重錘体もしくは台座との接続を行うための架橋部が接続され、
    副振動子を構成する各重錘体の上面に、当該重錘体が配置されている放射線に直交する方向に伸びる溝部が形成されていることを特徴とする角速度センサ。
  25. 請求項22に記載の角速度センサにおいて、
    中心部重錘体の上面中心位置に原点OをもつXYZ三次元座標系を定義したときに、
    基本構造体が、前記座標系のXY平面に沿った上面を有し、
    「第k周目の環状閉領域」内には、X軸の正の領域上に「第k周目のX軸正側重錘体」が配置され、Y軸の正の領域上に「第k周目のY軸正側重錘体」が配置され、X軸の負の領域上に「第k周目のX軸負側重錘体」が配置され、Y軸の負の領域上に「第k周目のY軸負側重錘体」が配置され(但し、k=1〜n)、
    一端が中心部重錘体に接続され、他端が「第1周目のX軸正側重錘体」に接続され、X軸の正の領域に沿って配置されたX軸正側内側架橋部と、一端が中心部重錘体に接続され、他端が「第1周目のY軸正側重錘体」に接続され、Y軸の正の領域に沿って配置されたY軸正側内側架橋部と、一端が中心部重錘体に接続され、他端が「第1周目のX軸負側重錘体」に接続され、X軸の負の領域に沿って配置されたX軸負側内側架橋部と、一端が中心部重錘体に接続され、他端が「第1周目のY軸負側重錘体」に接続され、Y軸の負の領域に沿って配置されたY軸負側内側架橋部と、によって内側接続部材が構成され、
    一端が台座に接続され、他端が「第n周目のX軸正側重錘体」に接続され、X軸の正の領域に沿って配置されたX軸正側外側架橋部と、一端が台座に接続され、他端が「第n周目のY軸正側重錘体」に接続され、Y軸の正の領域に沿って配置されたY軸正側外側架橋部と、一端が台座に接続され、他端が「第n周目のX軸負側重錘体」に接続され、X軸の負の領域に沿って配置されたX軸負側外側架橋部と、一端が台座に接続され、他端が「第n周目のY軸負側重錘体」に接続され、Y軸の負の領域に沿って配置されたY軸負側外側架橋部と、によって外側接続部材が構成され、
    一端が「第i周目のX軸正側重錘体」に接続され、他端が「第(i+1)周目のX軸正側重錘体」に接続され、X軸の正の領域に沿って配置された「第i周目のX軸正側中間架橋部」と、一端が「第i周目のX軸正側重錘体」に接続され、他端が「第(i+1)周目のY軸正側重錘体」に接続され、Y軸の正の領域に沿って配置された「第i周目のY軸正側中間架橋部」と、一端が「第i周目のX軸正側重錘体」に接続され、他端が「第(i+1)周目のX軸負側重錘体」に接続され、X軸の負の領域に沿って配置された「第i周目のX軸負側中間架橋部」と、一端が「第i周目のX軸正側重錘体」に接続され、他端が「第(i+1)周目のY軸負側重錘体」に接続され、Y軸の負の領域に沿って配置された「第i周目のY軸負側中間架橋部」と、によって「第i周目の中間接続部材」(但し、i=1〜(n−1))が構成されていることを特徴とする角速度センサ。
  26. 請求項25に記載の角速度センサにおいて、
    副振動子を構成する各重錘体について、「内周側に位置する別な重錘体に対する対向面」の上端に当該別な重錘体との接続を行う架橋部が接続され、「外周側に位置する別な重錘体もしくは台座に対する対向面」の上端に当該別な重錘体もしくは台座との接続を行う架橋部が接続され、
    副振動子を構成する各重錘体の上面に、当該重錘体が配置されている座標軸に直交する方向に伸びる溝部が形成されていることを特徴とする角速度センサ。
  27. 請求項25または26に記載の角速度センサにおいて、
    第k周目のそれぞれについて(但し、k=1〜n)、X軸正側重錘体、Y軸正側重錘体、X軸負側重錘体、Y軸負側重錘体が、互いに同一形状および同一質量をもった重錘体から構成され、これら4個の重錘体の配置が、XZ平面およびYZ平面の双方に関して対称となっていることを特徴とする角速度センサ。
  28. 請求項22〜27のいずれかに記載の角速度センサにおいて、
    副振動子を構成する複数M個の「第k周目の重錘体」を順番に環状連結することにより、単一の「第k周目の環状重錘体」(但し、k=1〜n)を構成したことを特徴とする角速度センサ。
  29. 請求項1に記載の角速度センサにおいて、
    主振動子が、中心部重錘体によって構成され、
    副振動子が、前記中心部重錘体を離隔した状態で取り囲む「第1周目の環状重錘体」と、「第1周目の環状重錘体」を離隔した状態で取り囲む「第2周目の環状重錘体」と、...、「第(n−1)周目の環状重錘体」を離隔した状態で取り囲む「第n周目の環状重錘体」と、によって構成され、
    内側接続部材が、前記中心部重錘体の側面を取り囲むように配置され、内側部分が前記中心部重錘体に接続され、外側部分が前記「第1周目の環状重錘体」に接続された内側板状構造体によって構成され、
    外側接続部材が、前記「第n周目の環状重錘体」を取り囲むように配置され、内側部分が前記「第n周目の環状重錘体」に接続され、外側部分が台座に接続された外側板状構造体によって構成され、
    台座が、前記外側板状構造体を取り囲む構造体によって構成され、
    「第i周目の環状重錘体」と「第(i+1)周目の環状重錘体」との間に、両者を接続する可撓性をもった中間板状構造体よって構成された「第i周目の中間接続部材」が配置されている(但し、i=1〜(n−1))ことを特徴とする角速度センサ。
  30. 請求項29に記載の角速度センサにおいて、
    副振動子を構成する各環状重錘体について、「内周側に位置する別な重錘体に対する対向面」の上端に当該別な重錘体との接続を行うための板状構造体が接続され、「外周側に位置する別な重錘体もしくは台座に対する対向面」の上端に当該別な重錘体もしくは台座との接続を行うための板状構造体が接続され、
    各環状重錘体の上面に、当該環状重錘体の上面の輪郭線に沿った溝部が形成されていることを特徴とする角速度センサ。
  31. 請求項29または30に記載の角速度センサにおいて、
    中心部重錘体の上面中心位置に原点OをもつXYZ三次元座標系を定義したときに、
    基本構造体が前記座標系のXY平面に沿った上面を有し、各環状重錘体の前記XY平面に対する投影像が、前記原点Oを中心とする円環形状をなすことを特徴とする角速度センサ。
  32. 請求項1〜31のいずれかに記載の角速度センサにおいて、
    駆動手段が、内側接続部材の表面に固定された駆動用圧電素子と、この駆動用圧電素子に交流駆動信号を供給する駆動制御回路と、を有し、
    検出手段が、内側接続部材の表面に固定された検出用圧電素子と、この検出用圧電素子に生じる電荷を検出し、その検出結果に基づいて角速度の検出値を出力する角速度検出回路と、を有することを特徴とする角速度センサ。
  33. 請求項1〜31のいずれかに記載の角速度センサにおいて、
    駆動手段が、主振動子の表面に設けられた駆動用変位電極と、前記駆動用変位電極に対向し、装置筐体に固定された駆動用固定電極と、これら一対の駆動用電極間に交流駆動信号を供給する駆動制御回路と、を有し、
    検出手段が、主振動子の表面に設けられた検出用変位電極と、前記検出用変位電極に対向し、装置筐体に固定された検出用固定電極と、これら一対の検出用電極間の静電容量を検出し、その検出結果に基づいて角速度の検出値を出力する角速度検出回路と、を有することを特徴とする角速度センサ。
  34. 請求項1〜11のいずれかに記載の角速度センサにおいて、
    駆動手段が、装置筐体内で主振動子が周期的運動を行うように駆動するとともに、装置筐体内で副振動子が前記主振動子の運動とは逆方向に運動するように駆動することを特徴とする角速度センサ。
  35. 請求項34に記載の角速度センサにおいて、
    駆動手段が、内側接続部材の表面に固定された主駆動用圧電素子と、外側接続部材の表面に固定された副駆動用圧電素子と、前記主駆動用圧電素子および前記副駆動用圧電素子にそれぞれ交流駆動信号を供給する駆動制御回路と、を有し、
    検出手段が、内側接続部材の表面に固定された検出用圧電素子と、この検出用圧電素子に生じる電荷を検出し、その検出結果に基づいて角速度の検出値を出力する角速度検出回路と、を有することを特徴とする角速度センサ。
  36. 請求項34または35に記載の角速度センサにおいて、
    主振動子の質量と副振動子の質量とが等しいことを特徴とする角速度センサ。
  37. 請求項34〜36のいずれかに記載の角速度センサにおいて、
    駆動手段が、主振動子および副振動子を所定の共通振動軸に平行な方向にそれぞれ同一振幅および同一振動数で単振動させ、主振動子の運動方向と副振動子の運動方向とが常に逆方向となり、かつ、主振動子の運動速度の絶対値と副振動子の運動速度の絶対値とが等しくなるように駆動することを特徴とする角速度センサ。
  38. 請求項34〜36のいずれかに記載の角速度センサにおいて、
    駆動手段が、主振動子および副振動子を所定の共通基準面にそれぞれ平行な固有の運動平面上で、互いに同一周期で逆まわりとなるように円運動させ、主振動子の運動方向と副振動子の運動方向とが常に逆方向となり、かつ、主振動子の運動速度の絶対値と副振動子の運動速度の絶対値とが等しくなるように駆動することを特徴とする角速度センサ。
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