JP3158181B2 - バイオセンサー及び生体材料の固定化方法 - Google Patents

バイオセンサー及び生体材料の固定化方法

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JP3158181B2
JP3158181B2 JP06889799A JP6889799A JP3158181B2 JP 3158181 B2 JP3158181 B2 JP 3158181B2 JP 06889799 A JP06889799 A JP 06889799A JP 6889799 A JP6889799 A JP 6889799A JP 3158181 B2 JP3158181 B2 JP 3158181B2
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、生体材料を固定化
する方法に関する。特に、生体材料を固定化することに
よって酵素、抗体、タンパク質、ホルモンなどの化学物
質を測定するバイオセンサーに関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】生体材
料の固定化を利用する技術として、DNA/ペプチド/タン
パク質などのバイオチップ、バイオセンサー等がある。
これらの技術は、生体材料の優れた分子識別能力を利用
している。例えば、バイオセンサーは、生体材料の分子
識別能力を利用して化学物質の濃度を測定するものであ
る。通常、バイオセンサーは検出対象とする化学物質を
認識するレセプター部位と、そこに発生する物理的変
化、化学的変化を電気信号に変換するトランスデューサ
ー部位とから構成される。生体内には、互いに親和性の
ある物質として、酵素−基質、酵素−補酵素、抗原−抗
体、ホルモン−レセプターなどがある。バイオセンサー
は、これら互いに親和性のある物質の一方を膜に固定化
して分子認識物質として用いることによって、対応させ
るもう一方の物質を選択的に計測することができるとい
う原理を利用している。近年、バイオセンサーのチャネ
ル数を増やし、集積型にすることが望まれている。バイ
オセンサーのチャネル数を増やすことにより、種々の酵
素基質、抗原、DNAなどを同時に測定可能となり、ひい
ては匂いや味などの複数からなる化学物質を測定するこ
とができるからである。
【0003】チャンネル数を増やしたバイオセンサーの
利点の一つは、測定対象が判明しているが、得たい情報
がいくつもの化学物質から構成されている場合に、測定
対象を検出し得ることである。人の嗅覚を例にして説明
すると、人の嗅覚細胞は、匂い分子の受容体がある5000
万個ほどの嗅覚細胞から成り立っている。一般に匂いの
分子は、40万種類もあるといわれている。匂い分子はも
ちろんそれ単独でも匂うが、一般の匂いは、いくつもの
匂い分子の混合物として存在している。例えば、焼きた
てのパンはアミルアルコール、イソアミルアルコール、
酢酸、プロピオン酸など40種類の匂い分子が合わさった
ものである。このため、焼きたてのパンの匂いという情
報を得るためには、少なくともセンサーにそれぞれの化
学物質に対応した40チャンネルが必要となる。一つの物
質の濃度が分かっても、複数の物質の集合であるパンの
匂いを測定することは不可能である。バイオセンサーの
チャネル数を増やすことにより、例えば、焼き立てパン
の匂いのような複数の物質の集合物に関するパンの匂い
の情報を得て、得た情報から焼き立てパンの匂いの測定
を行うことが可能となる。
【0004】チャンネル数を増やしたバイオセンサーの
2つめの利点は、測定対象が分からない場合に測定対象
を検出し得ることである。DNAを例として説明する。
DNAはアデニン(A)、チミン(T)、シトシン(C)、グア
ニン(G)と呼ばれる4種類の塩基の配列からなってい
る。DNAを構成する塩基数が多くなればなるほど、情報
の異なるDNAの種類が多くなる。DNA塩基配列測定用のセ
ンサー構築では、これらの種類が異なるDNAをなるべく
多く基板に配列する必要がある。測定するDNAは、Aと
T、GとCの鎖の相補的な結合により基板のある一個所
に配置されることになる。つまり、測定対象が正確には
判らないので、種類の異なるチャンネルの数を多くし、
測定対象が測定できる確率を上げることにより、測定対
象を検出し得るこことなる。
【0005】DNAの特定センサーの例として、アフィメ
トリックス社によりDNAチップが開発されている。これ
はシリコン基板上でオリゴヌクレオチドを直接合成し、
DNA分子を多数配列させたチップである。 このチップを
用いて測定することにより、対象の発現遺伝子を標識
し、DNAチップにハイブリダイセーションさせ固定化位
置を確認することにより特定できる。このチップの特徴
は、ゲルやキャピラリーを用いたものより測定時間が早
く、標識の種類を変えれば同時にいくつものサンプルを
測定できる点である。しかし、このDNAチップを用いた
特定センサーは、認識物質を逐次固定化しているので、
チャンネル数が増えることによって、構築時間も増加
し、また、配置操作にも精度を欠くという問題点があ
る。種々の物理・化学センサー、バイオセンサーなど基
板に対する生体材料の固定化方法としては、最終的な固
定化位置に直接塗布する方法がある。この方法は、対象
物質が単数であったり、比較的単純な化学物質を測定す
る場合には、簡便で有効な方法である。しかしながら、
生体材料を固定化位置に直接塗布する方法では、基板に
直接固定化するので、基板への負荷を抑えて固定化する
手順をとらなければならず、この点、複数の生体材料を
固定化するのに適していない。さらに、基板上で生体材
料を固相合成する方法も限定されており、基板に適用で
きる材料も限られてしまうという問題点を有していた。
【0006】さらに、複数の異なる認識物質を有するバ
イオセンサーを作成するには、どのように固定化した認
識物質を配列させるかが問題となる。複数の異なる認識
物質を例えば基板などに配列させる固定化認識物質の配
列方法として、生体材料を逐次固定化する配列方法と並
列固定化する配列方法が知られている。逐次固定化する
配列方法は、マニュピレータを利用して生体材料を個々
に配置固定化したり、フォトファブリケーション技術を
利用して行う方法である。この方法は、機械的に正確な
操作によって固定化することができる点有利である。し
かし、認識物質を逐次固定化し配列するので、チャンネ
ル数が増えることによって構築時間も増加し、また配置
操作にも制度が要求されてくるという欠点がある。
【0007】一方、並列固定化する配列方法は、異なる
溶液中でそれぞれビーズなどに認識物質を固定化し、こ
の固定化した担体を混合し基板上に放出させることによ
って一度に多数のセンサーチャンネルを作製する方法で
ある。この方法は、一度に複数のチャンネルを作成する
のに優れている。しかし、異なる認識物質が混合してし
まう虞があるために、このまま適用しても正確な集積型
バイオセンサーを構築することができない。このため、
別の手段によって生体材料側と配置させる側とに何らか
のアフィニティーを作用させる必要がある。しかるに、
これまで、適切なアフィニティーを持つ材料を用いて固
定化生体材料を配列させる方法は知られていない。
【0008】その他の固定化生体材料の配列方法として
は、微小粒子の自己組み立てを利用した集積型バイオセ
ンサーがある。例えば、異なる生体材料をそれぞれ担体
に並列に固定化し、この担体を基板に無作為に配置する
方法で集積型センサーを構築した例は、1998年にDavid
らによる報告がある。これらが微粒子の自己組織化を利
用した集積型バイオセンサーの構築例である。Davidら
は担体にポリメチルスチレン-ジビニルベンゼンビー
ズ、これを配置固定化する側に光ファイバーを用いてい
てセンサーを構築している。このセンサーの特徴として
は、構築時間が80秒と短く、1つのチャンネルの直径が
約300nmと非常に小さい。このため、集積化が非常に進
んだセンサーが構築されている。しかし、検出方法が蛍
光検出のみと限られていて、単一的な検出方法であり、
検出方法に適応した認識物質を選択しなければならな
い。認識物質の選択幅が狭められてしまうと、センサー
のチャンネル数を増やすことが困難となるという問題点
がある。にもかかわらず、このように複数のチャンネル
を配置したバイオセンサー、すなわち、複数の生体材料
を固定化したバイオセンサーについては、これまで知ら
れていない。
【0009】そこで、本発明は、匂いや味などの複数の
成分からなる化学物質を測定し得るバイオセンサーを提
供することを目的とする。また、本発明は、異なる種類
の固定化生体材料を同時に一括して配列する固定化生体
材料の配列方法を提供することを目的とする。また、本
発明は、電気化学的な検出が可能な集積型バイオセンサ
ーを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明のバイオセンサー
は、被測定物質を認識する認識物質と、前記認識物質を
固定化するとともに第一の導電性材料からなる担体と、
絶縁性材料からなる基板と、前記担体を保持する第二の
導電性材料からなり前記基板上に配置され、測定素子
と、前記測定素子から前記電気信号を取り出すための配
線回路とからなり電極及び配線回路を介して、前記被測
定物質と前記認識物質との間で生ずる物理的及び/又は
化学的変化を電気信号として取り出すことを特徴とす
る。本発明のバイオセンサーは、複数の被測定成分から
なる被測定物質を認識する認識物質と、前記認識物質を
固定化するとともに第一の導電性材料からなる複数の担
体と、絶縁性材料からなる基板と、前記担体を保持する
第二の導電性材料からなり前記基板上に配置され、多数
の測定素子と、前記測定素子から前記電気信号を取り出
すための配線回路とからなり電極及び配線回路を介し
て、前記被測定物質と前記認識物質との間で生ずる物理
的及び/又は化学的変化を電気信号として取り出すこと
を特徴とする。
【0011】また、本発明のバイオセンサー用キット
は、第一の導電性材料からなる担体と、絶縁性材料から
なる基板と、前記担体を保持するための第二の導電性材
料からなり前記基板上に配置され、多数の測定素子と、
前記測定素子から前記電気信号を取り出すための配線回
路とからなり電極及び前記配線回路を介して、前記被測
定物質と前記認識物質との間で生ずる物理的及び/又は
化学的変化を電気信号として取り出すことを特徴とす
る。また、本発明のバイオセンサーは、被測定物質を認
識する認識物質と、前記認識物質を固定化するとともに
第一の磁性材料からなる担体と、絶縁性材料からなる基
板と、前記基板上に配置され、前記担体を保持する第二
の磁性材料からなるバイオセンサーであって、前記被測
定物質と前記認識物質との間で生ずる物理的及び/又は
化学的変化を光学的に取り出すことを特徴とする。ま
た、本発明のバイオセンサーは、複数の被測定成分から
なる被測定物質を認識する認識物質と、前記認識物質を
固定化するとともに第一の磁性材料からなる複数の担体
と、絶縁性材料からなる基板と、前記基板上に配置さ
れ、前記担体を保持する第二の磁性材料からなるバイオ
センサーであって、前記被測定物質と前記認識物質との
間で生ずる物理的及び/又は化学的変化を光学的に取り
出すことを特徴とする。また、本発明の生体材料の固定
化方法は、被測定物質を認識する認識物質を、導電性材
料を有する担体で固定化する生体材料の固定化方法。ま
た、本発明の複数の成分からなる被測定物質の濃度を測
定する方法は複数の被測定成分からなる被測定物質の濃
度を測定する方法であって、前記複数の被測定成分から
なるの被測定物質を認識物質で認識する工程、前記被測
定物質の前記認識物質との間で生ずる物理的及び/又は
化学的変化を電気信号に変換する工程、変換した前記電
気信号を取り出す工程からなることを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】まず、電気的な検出による本発明
のバイオセンサーについて説明する。本発明のバイオセ
ンサーでは、被測定物質を認識する認識物質を用いる。
認識物質とは、特に限定されるものではないが生体物質
を意味する。認識物質とは好ましくは、分子識別能力を
有する生体物質をいう。具体的には、認識物質として
は、酵素、基質、助酵素、抗原、抗体、ホルモン、レセ
プター、核酸、オルガネラ、細胞及び組織などを挙げる
ことができる。被測定物質と認識物質の組み合わせに
は、例えば、酵素−基質、助酵素−酵素、抗原−抗体、
ホルモン−レセプター、DNA−DNA、DNA−RNA、RNA−RNA
などを挙げることができる。但し、本発明は、これらの
組み合わせに限定される意図ではない。また、本発明の
バイオセンサーでは、上述の認識物質を固定化するとと
もに第一の導電性材料からなる担体を用いる。ここで、
固定化するとは、特に限定されるものではないが、酵
素、細菌、細胞などを本来の活性を損なわないようにし
つつ、動かないようにすることを意味することができ
る。認識物質を固定化する方法には、酵素を例にする
と、共有結合、イオン結合、吸着などにより担体に結合
させる担体結合法、酵素同士を共有結合でつなぐ架橋
法、高分子の網目構造のなかに酵素を閉じこめる包括法
などを挙げることができる。認識物質を固定化する方法
は、好ましくは、担体結合法を用いる。担体結合法に
は、具体的には、物理的吸着による方法、共有結合によ
る方法がある。認識物質を固定化する方法は、より好ま
しくは、共有結合を形成させた担体結合法である。共有
結合によると結合が強固で酵素の漏れが少ないからであ
る。また適当な化合物を使用すれば、この化合物を担体
と認識物質との間に介することによって、認識物質を固
定化することができる。適当な化合物とは、一端が担体
に結合可能で、一端が認識物質に結合可能な化合物を意
味する。 適当な官能基を有する化合物の場合には、担
体と化合物を共有結合させ、官能基に認識物質を固定化
することができる。適当な官能基を有さない化合物の場
合には、化合物に官能基を修飾させて、官能基に認識物
質を固定化することができる。このような化合物として
は、例えば、メルカプト基を有する化合物を挙げること
ができる。メルカプト基を有する化合物のメルカプト基
を利用して、第二の導電性材料と化合物とが強固にチオ
ール結合し、より安定した認識物質の固定化を行うこと
ができるからである。化合物は特に限定されないが、好
ましくは、3−カルボキシプロピルジスルフィド又は2
−アミノエタンチオールを挙げることができる。
【0013】認識物質(生体材料)を固定化する担体の形
状は、特に限定されず、認識物質の対象に応じて、適宜
決定することができる。例えば、正方形、円形、長方形
等どんな形状であっても良い。担体の形状は、成形しや
すさという観点から、円形を用いることができる。円形
の担体の厚さも特に限定されず、認識物質の対象に応じ
て適宜決定することができるが、例えば、1μm〜100
μmとすることができる。円形の担体の直径も特に限定
されず、認識物質の対象に応じて適宜決定することがで
きる。
【0014】本発明のバイオセンサーに用いる第一の導
電性材料は、電荷が移動して電流が生じ得る物質であれ
ば特に限定されない。この第一の導電性材料からなる担
体は、鉄、コバルト、ニッケルなど3d遷移金属を主体とす
る単体又は合金からなる層と、容易に化学変化を受けな
い材料からなる層との少なくとも2層からなることが好
ましい。鉄、コバルト、ニッケルなど3d遷移金属を主体と
する単体又は合金は、好ましくは、 強磁性体材料であ
り、より好ましくは、ニッケルである。容易に化学変化
を受けない材料とは、好ましくは、金、銀及び白金族な
どの貴金属であり、より好ましくは、金である。容易に
化学変化を受けない材料として、貴金属のほかにチタン
も用いることができる。このような貴金属を用いるの
は、電気化学検出を行う表面での電極自身の反応が小
さいことが望まれること、担体を基板上に配置させる
際に、ニッケルなどの強磁性材料の層の担体面を確実に
基板上の第二の導電性材料に配置させること、等の理由
による。このような2層の構造をとることにより、基板
上の特定位置へ担体を配列させることを制御することが
できる。本発明に用いる基板は、絶縁性材料からなる。
絶縁性材料を用いたのは、被測定物質と認識物質との間
で生ずる物理的/又は化学的変化を電気信号として取り
出すようにするためである。
【0015】本発明に用いる第二の導電性材料は、電荷
が移動して電流が生じ得る物質であれば特に限定されな
い。この第二の伝導性材料は、好ましくは、強磁性体材
料、具体的には、鉄、コバルト、ニッケルなど3d遷移金属
を主体とする単体又は合金であり、より好ましくは、ニ
ッケルである。
【0016】本発明に用いる測定素子は、より広い概念
として、「リード線を持たない微小な測定素子を液相自
己組織化法(fluidic self-assembly method)によってリ
ード線上に配置することも含むことができる。この測定
素子は、電極の他、イオン感応性電解効果型トランジス
ター(ISFET)、SPV(Surface photovoltage)素子、水晶振
動子、フォトダイオードなどを挙げることができる。但
し、本発明はこれらに限定される意図ではない。
【0017】次に、光学的な検出による本発明のバイオ
センサーについて説明する。本発明の光学的な検出によ
るバイオセンサーは、被測定物質を認識する認識物質
と、前記認識物質を固定化するとともに第一の磁性材料
からなる担体と、絶縁性材料からなる基板と、前記基板
上に配置され、前記担体を保持する第二の磁性材料から
なるバイオセンサーであって、前記被測定物質と前記認
識物質との間で生ずる物理的及び/又は化学的変化を光
学的に取り出すことを特徴とする。第一の磁性材料は、
電荷が移動して電流が生じ得る物質であれば特に限定さ
れない。好ましくは、強磁性体材料、具体的には、鉄、
コバルト、ニッケルなど3d遷移金属を主体とする単体又
は合金であり、より好ましくは、ニッケルである。第一
の磁性材料からなる担体は、前記第一の磁性材料からな
る層と、容易に化学変化を受けない材料からなる層との
少なくとも2層からなることが好ましい。容易に変化を
受けない材料とは、好ましくは、金、銀及び白金族など
の貴金属であり、より好ましくは、金である。容易に化
学変化を受けない材料として、貴金属のほかにチタンも
用いることができる。このような貴金属を用いるのは、
担体を基板上に配置させる際に、ニッケルなどの強磁性
材料の層の担体面を確実に基板上の第二の導電性材料に
配置させるためである。このような2層の構造をとるこ
とにより、基板上の特定位置へ担体を配列させることを
制御することができる。
【0018】本発明の光学的な検出によるバイオセンサ
ーにおいて、被測定物質と認識物質との間で生ずる物理
的及び/又は化学的変化の取り出しは、生化学発光を利
用するもの、化学発光を利用するものの両方を用いるこ
とができる。物理的及び/又は化学的変化の取り出し
は、好ましくは、化学発光を利用する。具体的には、ル
ミノールと過酸化水素の混液に金属錯体や金属酵素を添
加すると、ルミノールが発光する。各種の酸化酵素は、
過酸化水素を生成するので、この発光系と酸化還元酵素
を組み合わせると、発行量を指標として各種の化学物質
を計測することができる。
【0019】本発明の光学的な検出によるバイオセンサ
ーは、その他の「認識物質」、「固定化」、「固定化す
る担体の形状」、「基板」等については、上述した電気的
な検出によるバイオセンサーに用いるものを適用するこ
とができる。ここで、本発明のバイオセンサーの製造方
法について説明する。複数の物質からなる化学物質を特
定するには、複数のチャンネルを使用しなければならな
い。すなわち、複数の生体材料を固定化しなければなら
ない。複数の生体材料を固定化するには、微少な担体及
びこの担体に対応する基板上の微小な構造を製造する必
要がある。
【0020】そこで、本発明のバイオセンサーを、担体
及び基板をフォトファブリケーション技術を用いること
により作成した。
【0021】フォトファブリケーション フォトファブリケーション技術は、フォトリソグラフィ
ー技術、蒸着技術、エッチング技術、エレクトロフォー
ミング技術などを組み合わせた技術である。具体的に
は、形成するレジスト膜画像のシャープネスを上げて寸
法精度を高め、エッチングやエレクトロフォーミングの
プロセスを精度よくコントロールすれば、例えば高い寸
法精度の金属孔あけ、ならびに溝形成をした加工品がで
きあがる技術である。また、この技術は2次元パターン
の加工に有用であり、欠陥が少なく時間当たりの大量生
産能力がある。フォトリソグラフィー技術は、エッチン
グ技術と合わせて利用することにより、光や放射線に感
応する物質を利用して微細なデバイスや回路のパターン
を複製、量産する技術である。大まかな手順としてはフ
ォトレジストと呼ばれる光感光性材料を加工する基板上
に塗布し、任意のマスクパターン(光を通す部分と通さ
ない部分のパターン)を用いて光で転写、露光しパター
ンを転写する。レジストには露光することにより結合が
分解して現像液に溶けるようになるもの(ポジ型)と、
逆に重合して溶けなくなるもの(ネガ型)を挙げること
ができる。レジストとして、好ましくは、ネガ型であ
る。ネガ型によると、レジストパターンに沿って蒸着層
が分離するので、担体の形成が容易となるからである
(図8(a))。ポジ型を使用する場合には、露光したとき
の光の漏れによる影響を抑える必要がある。光の漏れに
より、レジストが剥離しにくく、完全に溶解しないた
め、メッキした担体がレジストと分離できない場合があ
るからである。光の漏れによる影響を抑えるには、露光
時間を短縮することにより行うことができる。
【0022】次に、現像液に浸してレジストをパターニ
ングし、下地が露出している部分とそうでない部分をつ
くる。光による加工を行っているので、マイクロメート
ルオーダーまでの微細な加工ができ、高い精度が得られ
る特徴がある。この基板を、エッチング液に浸すことに
よって、基板の上層を溶かし(エッチング)加工する。
この操作は化学反応を利用して加工するエッチング技術
と呼ばれている。エッチング方法には、溶液を使うウエ
ットエッチングとプラズマ、スパッタイオンを利用した
ドライエッチングがある、好ましいエッチング方法は、
ウエットエッチング方法である。ドライエッチングと比
較して操作が簡便だからである。エレクトロフォーミン
グ技術は、金属加工の手法であり、最初に形成した画像
の形状にしたがっていろいろな形の金属加工ができる。
この技術の中で工業的によく用いられている金属加工法
に、電気めっきがある。これは金属イオンを含んだ電解
質溶液に、電流を通じて目的の金属を被めっき体上に析
出させるものである。特徴としては溶液のpH、温度な
どを調整すれば、流した電流の時間に応じた金属の厚み
が得られる。被めっき体が複雑な形状でも、めっき面が
液に浸っていればめっきが可能である。
【0023】本発明の担体及び基板の作成には、エレク
トロフォーミング技術を応用したLIGA技術(Lithograph
ie Galvanoformung Abformung)を利用することもでき
る。このLIGA技術は、紫外線又はシンクロトロン放射で
得られるX線を光源とするリソグラフィによりレジスト
材を加工し、金型を作製(電気めっき)し、精密成形
(プラスチック成形)によって各種材料の微細部品・機
器を加工するものである。露光の光源としては、紫外
線、X線を用いることができるが、好ましくは紫外線で
ある。特徴としては、アスペクト比が大きく取れ垂直方
向の高さが(現在:600μm)作製可能である。このよ
うにして、バイオセンサーの担体及び基板を作成するこ
とができる。本発明のバイオセンサーは、単一及び複数
の担体を用いることができる。単一の担体を用いたバイ
オセンサーにおいては、例えば、長い管の途中に一個所
だけ生体素子を固定化しなければならないような直接の
固定化処理を行うことが困難な場所への固定化する場合
に有効である。本発明の使用の状況に応じて単一の担体
を用いることができる。このような単一の担体を用いず
に複数の担体を用いる場合には、担体を基板の特定位置
に配置することにより、バイオセンサーを作成すること
ができる。担体を基板の特定位置に配置することは、担
体が微小になればなるほど、操作が困難になる。このた
め、何らかのアフィニティーを利用して自己組み立てを
行う必要がある。本発明では、磁気力によるアフィニテ
ィーを利用することができる。
【0024】次に、本発明のバイオセンサー用キットに
ついて説明する。本発明のバイオセンサー用部品は、上
述した本発明のバイオセンサーに認識物質を担体に固定
化していない状態のものである。すなわち、本発明のバ
イオセンサー用部品は、第一の導電性材料からなる担体
と、絶縁性材料からなる基板と、前記担体を保持する第
二の導電性材料からなり前記基板上に配置し、かつ前記
被測定物質と前記認識物質との間で生ずる物理的及び/
又は化学的変化を電気信号として取り出す特徴とする。
本発明のバイオセンサー用部品に用いる、第一の導電性
材料、担体、基板、第二の導電性材料は、上述した本発
明のバイオセンサーで使用するものを用いることができ
る。次に、本発明の生体材料の固定化方法について説明
する。本発明の生体材料の固定化方法は、被測定物質を
認識する認識物質を、導電性材料を有する担体で固定化
する方法である。認識物質、導電性材料については、上
述した本発明のバイオセンサーで使用するものを用いる
ことができる。次に、本発明の被測定物質の濃度を測定
する方法について説明する。本発明の被測定物質の濃度
を測定する方法は、複数の被測定物質の濃度を測定する
方法であって、前記複数の被測定物質を認識物質で認識
する工程、前記複数の被測定物質の前記認識物質とが反
応することにより生ずる物理的及び/又は化学的変化を
電気信号に変換する工程、変換した前記電気信号を取り
出す工程からなる。本発明の被測定物質の濃度を測定す
る方法において、認識物質については、上述した本発明
のバイオセンサーで使用したものを用いることができ
る。
【0025】
【実施例】ここで、本発明の一実施例を説明するが、本
発明は、下記の実施例に限定して解釈されるものではな
い。 実施例1
【0026】試薬、材料 センサーの認識物質には、ペルオキシダーゼ(POD:西洋
ワサビ由来、和光純薬工業)とグルコースオキシダーゼ
(GOD:和光純薬工業)を用いた。これらの酵素固定化す
る金表面の洗浄には、アセトン(電子工業用、関東化
学)を用いた。また酵素を修飾するために、3-カルボキ
シプロピルジスルフィド(ACROS)、エタノール(和光
純薬工業)、1,4-ジオキサン(和光純薬工業)、水溶
性カルボジイミド(EDC、和光純薬工業)、N-ヒドロキ
シスクシンイミド(NHS、和光純薬工業)を用いた。ガ
ラス基板の洗浄には、アセトン(電子工業用、関東化
学)、イソプロピルアルコール(IPA、電子工業用、関
東化学)を用いた。メッキ液には、ミクロファブ Au 10
0(電子部品用、日本エレクトロプレイティング・エン
ジニャース株式会社)とミクロファブ Ni 100(微細パ
ターン用、日本エレクトロプレイティング・エンジニャ
ース株式会社)の2種類を用いた。フォトリソグラフィ
ーに用いたネガ型レジストはSU−8 50、10(MicroChemC
orp)の2種類で、その現像液にはSU−8 Developer(Mic
roChem Corp)を用いた。またそのレジストを剥離する
ときにはSU−8 Remover(MicroChem Corp)を用いた。
ポジ型のレジストはPMER P-LA900PM レジスト(東京応
用化学工業)を用いた。その現像にはPMER 現像液 P-7G
(東京応用化学工業)を用い、レジストを剥離するとき
にはPMER 剥離液 PS(東京応用化学工業)を用いた。測
定実験に使用した緩衝液を、リン酸緩衝溶液で 200mM、
pH 7.5、8.0、8.5それぞれ作製することにより得た。
化学発光用としてルミノール(生化学用、和光純薬工
業)、ルミノール発光反応の助触媒となるp‐ヨードフ
ェノール(東京化成工業)、反応の酸化剤として過酸化
水素(30%水溶液、生化学用、和光純薬工業)の試薬を
用いた。センサーの基板を作製するためのガラスには、
MICRO SLIDE GLASS(MATSUNAMI)の厚さ1.2〜1.5mm、76
×26mmを用いた。使用した試料作製装置および測定装置 基板に薄膜を蒸着するために蒸着装置(昭和小型真空蒸
着装置)を使用した。フォトフアブリケーションのため
の装置として、レジストを塗布するために使用するスピ
ンコーター(IH-DX、MIKASA)、ベイクするためのオー
ブン(DK300、YAMATO)、露光するためのマスクアライ
ナー(MUB3、KARI SUSS)を使用した。
【0027】発光検出には2次元高感度検出器(ARGUS5
0、浜松ホトニクス)を使用した。作製した試料の表面
の粗さを見るための装置として表面粗さ計(Dektak303
0、日本真空技術株式会社)を使用した。同じく作製し
た試料の3次元的な形状を測定するために電解放射型走
査電子顕微鏡(S-1400、日立製作所)、高精細デジタル
マイクロスコープ(VH-6300、キーエンス)を使用し
た。本発明のバイオセンサーの構造概略図を図1及び図
2に示す。この集積型バイオセンサーは、生体材料を固
定化する担体と、担体を配置し、電気化学的変化をする
ことができる電極を有する基板とからなっている。担体
の形状は生体材料が固定化できる層、親和力を持たせる
ための層の2層構造にした。担体の材質は導電性材料に
し、基板側も担体を配置する場所を導電性材料を形成
し、測定素子を形成することにより、酸化還元反応を電
気化学的に検出できるようにした。また、担体は生体材
料を固定化する層を外側に向けて結合させる必要があ
る。このため、担体と基板間の磁気力を用いて、向きの
制御が可能な自己組立てが起こるような構造にした。磁
気力は長距離力であるために、疎水結合力などに比べて
結合する物体同士が離れていても結合力が働く。つま
り、結合させるための担体の数が少なくても、結合する
確率が高いので基板に配置されることが予想される。以
下に、センサーの作製手順を示す。
【0028】本発明の実施例1では、担体及び基板をフ
ォトファブリケーション技術を用いてそれぞれ作製し
た。担体に強磁性材料を用いて基板側のパターンを磁化
することにより磁界パターンを形成した。本発明者ら
は、基板と担体を溶液中で攪拌すれば、担体が磁気的な
引力を受け基板のパターン上に配置することを見出し
た。また、担体の結合する向きは担体を強磁性体の層
と、反磁性体の層の2層構造にすることによって制御可
能であった。
【0029】担体の作製 液相成長させて行うメッキによりセンサーを作製した。
液相成長させる方法では、数μm以上の厚さのある担体
の作製が可能である。液相成長での微小担体作製手順を
図3に示す。 (1) 基板の洗浄 ガラス基板を超音波洗浄器で超純水、IPA、アセトン、I
PA、超純水の順にそれぞれ5分づつおこなった(図3
(1))。 (2) 電極の蒸着 この基板にメッキの時に電極となる銅を4000Å、銅と基
板の接着層となるクロムを200Å、真空度を1.0×10-6t
orrにして、蒸着装置で蒸着した(図3(2))。 (3) フォトリソグラフィーによるメッキの型の作製 ポジ型レジストPMER LA−900をもちいて、メッキのため
の型を作製した(図3(3))。以下にそれぞれの工程での設
定値を記す。 ・PMER LA−900、ポジ型レジスト ベーク:ホットプレート 200℃ 15分 塗布:スピナー 初速:500rpm 10s、slope:5s、本速:3000rpm 20s slope:5s、終速:4000rpm 2s、slope:5s ソフトベイク:ホットプレート 110℃ 4分 露光:マスクアライナー 4s (露光装置の出力が13.1mWの 時) 現像:PMER 現像液 4分 流水 5分 (4) ニッケル、金メッキの操作 (3)で作製したレジストパターンを型にしてニッケルメ
ッキした(図3(4))。メッキのための基板洗浄及び前処理
は次の手順である。まず、 オゾンクリーナを用いて、
基板に残っているレジストなどの残留物を除去し、およ
びメッキするための電極、レジスト部分の性質を親水性
に改善した。次に、中性洗剤で基板をこすり洗浄するこ
とで脱脂処理した。そして、基板を温水に浸し、型の気
泡を取り除いた。最後に、10%の硫酸溶液中に浸し電極
を活性化した。これらの処理が終わった後、基板をメッ
キ浴中に浸し電流値、印加時間、溶液温度を適切な値に
設定しメッキした。担体が2層構造であるので、ニッケ
ル、金の両方のメッキを順におこなった。ニッケルメッ
キから金メッキに移る前処理として十分に蒸留水で洗浄
した。この後、基板のレジストを剥離し、電極である銅
をエッチング(エッチング液:濃硝酸溶液)することに
より担体を取り出した(図3(5))。メッキの操作条件とし
ては、ニッケルの場合は温度:55(50〜60)℃、電流密
度:3(2〜5)A/dm2 、pH:4.0(3.5〜4.5)、陽極:
ニッケルアノードとして、金の場合は温度:65(60〜7
0)℃、電流密度:0.5(0.1〜0.8)A/dm2、pH:8.0(7.
7〜8.3)、陽極:白金メッキ電極とした。析出速度はニ
ッケル、金それぞれ1.6(3A/dm2の時)min/μm、3.2
(0.5A/dm2)min/μmである。
【0030】基板の作製 基板の作製手順を図4に示す。基板の洗浄、電極作製の
ためのクロム、金の蒸着、メッキの型作製のためのフォ
トリソグラフィーは、気相成長法による微小担体作製法
と同様の条件で行なった。レジストパターンした基板を
型として、液相成長による担体作製の(4)と同じ手順でN
iをメッキした。その後、研磨を行った。まず、基板上
をシリコンカーバイドペーパー2400で研磨し、仕上げと
してアルミナで研磨し、基板表面を滑らかにした(図4
(6))。
【0031】フォトリソグラフィーの設定条件の結果 レジストの膜厚を表面粗計により測定すると基板中央部
分のレジストの高さと、端部分の膜厚の差ができること
がわかった。スピンコーターの回転数などの設定値を変
えても、完全になくなることはなかった。しかし、スピ
ンコーターの回転に本速より高い回転数を数秒加える
と、この高さの差が小さくなることがわかった。これに
より、レジストとマスクの接着性を高めることができ、
SU-8レジストのパターン作製の精度を向上させることが
できた。フォトリソグラフィーの露光の工程において、
マスクパターンに覆われた部分でも、フレネル回折、前
方散乱、後方散乱によりレジストが露光されてしまう現
象が起こることが確認された。図6はポジ型のレジスト
において、露光時間を増やしていくことにより、現像さ
れた面積が増えている。この結果から、光の漏れや散乱
は、時間によって増加することがわかった。したがっ
て、任意の形状の担体を得るためには、マスクの形状だ
けでなく、露光時間の調整も必要となってくることがわ
かった。
【0032】酵素の微小担体への固定化 本発明の態様では、酵素固定化に化学物質として3-カル
ボキシプロピルジスルフィド(3−Carboxypropyl disul
ufide:3−CPD)と2-アミノエタンチオール(2−amino
ethane thiol:2−AET)を用いた。これらの方法の手
順を図5に示す。
【0033】(1)まず、3-カルボキシプロピルジスルフ
ィド(3-Carboxypropyl disulufide:3-CPD)を用いた場
合について説明する。担体洗浄のために、アセトンに
金属担体を浸して穏やかに20分攪拌した。この担体の
金表面にチオール結合によりカルボキシル基を修飾する
ために、100μM、3−CPDエタノール溶液中に浸し30分
間穏やかに攪拌した。その後エタノールによる洗浄を2
回おこなった。カルボキシル基を活性化させるために
25mgの水溶液カルボジイミド(EDC)と15mgのN
-hydroxysuccinimide(NHS)を10mlの90%、1,4-Dio
xaneに溶解したものにの処理をおこなったものを浸し
て穏やかに攪拌した。終了後等量の蒸留水を加えて5分
間攪拌し、その後蒸留水による洗浄を2回おこなった。
ペルオキシダーゼ1mgをpH 8.0、1mMのリン酸緩衝液1
ml中に溶かし、の処理をおこなった担体を12時間浸し
酵素を固定化した。
【0034】(2)次に、2-アミノエタンチオールを用い
た場合について説明する。担体洗浄のために、アセト
ンに金属担体を浸して穏やかに20分攪拌した。この担
体の金表面にチオール結合によりアミノ基を修飾するた
めに、10mMの2−アミノエタンチオール溶液中に30分
浸した。その後蒸留水による洗浄を2回おこなった。
アルデヒド基を修飾するために、2.5%のグルタルアル
デヒド溶液中にの担体を常温で1時間浸しグルタルア
ルデヒドを架橋させた。その後、蒸留水による洗浄を2
回おこなった。ペルオキシダーゼ1mgをpH 8.0、1mMの
リン酸緩衝液1ml中に溶かし、の処理をおこなった担
体を12時間浸し酵素を固定化した。酵素が担体に固定化
されているか否かを次の方法により確認した。 酵素固
定化の確認は酵素の触媒反応による化学発光を高感度CC
Dカメラで検出することによりおこなった。3-CPDにより
酵素を固定化した微小担体(図9 ab中の(A))、2-AETに
より酵素を固定化した微小担体(図9ab中の(D))と、固
定化のための修飾をおこなわず酵素溶液に5分浸した微
小担体(図9ab中の(B))と、12時間浸した微小担体(図9
ab中の(C))を用意した。図9は、それぞれの微小担体
をルミノール1mM、過酸化水素水1mM、p-ヨードフェ
ノールの混合溶液0.13mMを含んだpH8、1mMのリン
酸緩衝液中に浸し、ルミノール発光を高感度CCDカメラ
で検出した様子を示す図である。結果は3-CPDを用いて
固定化した微小担体が一番強い蛍光が得られた。固定化
のための修飾を行なわずに、酵素溶液に12時間浸しただ
けの微小担体からも蛍光が得られた。2-AETにより固定
化した微小担体と、固定化のための修飾はおこなわず酵
素溶液に5分間浸した微小担体からは弱い蛍光しか得ら
れなかった。この結果から3-CPDを用いることによって
酵素が固定化できることがわかった。
【0035】担体の基板への配置 担体が磁気力により基板に配置されるか実験した。ま
ず、基板上に永久磁石を置くことにより、基板側のニッ
ケルパターンを磁化した。次にこの基板を担体と水の入
った1.5mlサンプルチューブに入れ、数分攪拌した。そ
の後、基板をサンプルチューブから取り出し、乾燥させ
た。この基板をデジタルマイクロスコープ(キーエン
ス)および走査電子顕微鏡(Scanning electron micros
cope;SEM S−1400日立製作所)で観察した。まず液相
中で担体が磁気力により配置できるか、次に担体の結合
向きの制御ができるか調べた。磁化させていないニッケ
ル担体、基板にはニッケルパターンを磁化させたものを
用いて、担体がニッケルパターン上に配置されるかどう
かを検討した。担体は直径が約10μm、厚さが2μm、基
板のニッケルパターンは直径が約50μm、厚さが7μmの
形状のものを用いた。ネガティブコントロールとして担
体基板どちらも磁化させないで同じ様に実験した。さら
に、ニッケルと金の2層構造を持った磁化させていない
担体、ニッケルパターンを持った基板を用いて、担体が
金の層を外側に向け基板のニッケルパターン上に配置さ
れるかどうかも検討した。
【0036】担体の基板への配置の結果について説明す
る。図10より、担体がパターン上に配置されているが、
基板のニッケルパターン以外の部分はレジストであり、
担体が配置した原因が磁気力以外であることも考えられ
る。このため、コントロールの実験として、基板、担体
どちらとも磁化させないで、同じように試験した。結
果、担体が基板上に数個の残っただけで、これも、基板
を洗浄することによって取り除くことができた。これら
の結果により、磁気力よって担体が基板上に配置される
事が分かった。図11は、担体にニッケル、金の2層から
なる担体を利用して、図10に示す方法と同じように試験
した結果を示す図である。この結果、ニッケル側の層が
結合しやすくなると思われたが、金の層も結合している
ことが分かった。この原因として金の透磁率が高いの
で、結合条件に差を付けるほど、影響しなかったことが
予想される。図12は、担体(直径50μm)の基板上のニッ
ケルパターン(直径50μm)への配置の結果を示す図であ
る。図12の担体配列の特徴として、基板のニッケルパタ
ーンの端に多くの担体が結合していることが観察され
た。担体は基板全体に結合することが考えられるが、端
のニッケルパターン、不均一な部分に結合しやすいこと
が分かった。この原因としては、基板のニッケルパタン
にあると思われる。図13は、強磁性体であるニッケル
を磁化し、同じ物を2つ並べた場合の磁界の様子を示す
図である。同じ大きさで向きが平行な2つの磁石の相互
ポテンシャルの式は下記の通りである。 この式より、図13に示す状態で、θ=π/2が一番大き
く不安定であることが分かる。
【0037】このことから、これまでの実験のように、
基板上に永久磁石を乗せて磁化する方法では基板のニッ
ケルパターンは磁化されにくいことが分かった。基板と
垂直に磁化させるのではなく、基板と平行に磁化するこ
とによって、基板のニッケルドットをそれぞれ磁化でき
ることが分かった。
【0038】担体作製条件の結果 図8は作製した担体の形状を、SEMで撮った写真である。
図8(1)、(2)及び(4)はSU-8 50レジスト、(3)、
(5)、(6)はPMER P-LA900PMレジストで作製した型に
メッキすることによって得られた担体である。(1)、
(2)、(3)、(5)はニッケルのみ(4)は金、ニッケ
ル、金の順に、(6)はニッケル、金の順にメッキし
た。(1)は一辺が約20μm、高さが約60μm、アスペク
ト比(高さ/幅)が約3の立方体である。(2)は直径50
μm、高さが約75μmの円柱である。(3)は直径が約8μ
m、厚さが約1μmの円盤状である。この担体を作製した
ときのマスクパターンの直径5μmよりも大きくなってい
る。(4)は直径50μm、高さが約50μmの円柱で金、ニ
ッケル、金の3層構造をしている。(5)は直径が約10μ
m、厚さが2μmの円盤状の担体である。(6)は直径が10
μmで厚さが約4μmの円盤状でニッケル、金の2層構造を
なしている。このれらの担体でのメッキによる析出方向
は(1)、(2)、(4)、(6)では写真の下側から上側
であり、(3)、(5)は形状が荒い表面の方が、最後に
メッキされた面である。これらの作製された担体は上面
と底面の表面積が異なり、正確な円柱状の担体が作製さ
れていない。この原因としては露光の時に、マスクとレ
ジストの密着不足により、マスクによって遮光された部
分への光の漏れによるものであると考えられる。なぜな
ら、ネガ型のレジストの場合は露光されると現像液に溶
けなくなるので作製されるレジストの型がマスクパター
ンよりも大きくなり、ポジ型の場合はこの逆だからであ
る。以上のように、メッキの型となるレジストの厚みを
変えることによって、微小担体の厚さも自由に変化させ
ることができ、マスクの2次元的な形状に合った様々な
微小担体を作製することができた。メッキした後にレジ
ストを剥離し、微小担体を取り出すが、微小担体が基板
に結合したままであるので、微小担体を取り出すには犠
性層が必要となってくることがわかった。SU-8のレジス
トは剥離しにくく、完全に溶解しない、このためメッキ
した微小担体がレジストと分離せず、微小担体として取
り出すのが困難であり、配置実験に用いる実用的な数の
微小担体は得られないことがわかった。したがって、微
小担体を作製するときはポジ型のPMERレジストを用いた
方がよいことがわかった。
【0039】図8はレジストの型を作製した後に、その
上から金属を蒸着し、レジストを取り除くことによっ
て、微小担体を作製した図である。ネガ型、ポジ型両方
のレジストパターンを用いて作製した。図8(A)の左側
が、ポジ型のレジストを用いた場合で、右側がネガ型の
レジストを用いた場合である。露光し、現像した後のレ
ジストの形状は、液相成長と同じ様に光の漏れにより、
基板に対して垂直な断面にならなかった。このため、ポ
ジ型の場合は蒸着した面が連続した状態になった。この
場合、レジストを剥離しても微小担体が分離しないこと
がわかる。一方、ネガ型では、レジストパターンにそっ
て蒸着層が分離する。したがって、ネガ型のレジストを
用いることにより微小担体が形成できた図8(B)。このよ
うに作製した担体及び基板を用いて、電気的及び光学的
な検出によるバイオセンサーを作製した。結果を以下に
示す。
【0040】電気的な検出によるバイオセンサーの場合 認識物質としてグルコースオキシダーゼを固定化した場
合に、単一及び複数の担体を用いたバイオセンサーの両
方で、グルコースの測定をすることができた。複数の被
測定成分からなる被測定物質としてグルコース、ガラク
トース、ラクトースを一定量含んだ混合物を用いた場合
であっても同様に混合物の測定を行うことができた。
【0041】光学的な検出によるバイオセンサーの場合 光学的な検出は、酵素の触媒反応による化学発光を高感
度CCDカメラで検出することによりおこなった。酵素と
してぺルオキシダーゼを用いて、その酵素基質の測定を
行った。ぺルオキシダーゼを結合させた担体をルミノー
ル1mM、過酸化水素水1mM、p-ヨードフェノールの混
合溶液0.13mMを含んだpH8、1mMのリン酸緩衝液中
に浸し、ルミノール発光を高感度CCDカメラで検出し
た。これによりぺルオキシダーゼの基質を測定すること
ができた。複数の被測定成分からなる被測定物質とし
て、ぺルオキシダーゼ、ウレアーゼ、乳酸オキシダーゼ
を一定量含んだ混合物を用いた場合であっても同様に混
合物の測定を行うことができた。
【0042】実施例2 次に、気相成長法によるセンサー微小担体の作製法を図
3に示す。気相成長法のうち蒸着による作製で1μm以下
の厚さの担体が作製可能である。 (1) 基板の洗浄 超音波洗浄器で超純水、IPA、アセトン、IPA、超純水の
順にそれぞれ5分づつおこなった(図3(1)。 (2) 犠性層の蒸着 ガラス基板にクロムを200Å、アルミを4000Å蒸着した
(図3(2))。 (3) フォトリソグラフィーによる蒸着の型作製 ネガ型レジストSU−8(10)をもちいてレジストパターン
を作製した。以下にそれぞれの工程での設定値を記す
(図3(3))。 ・SU-8(10) ベーク:ホットプレート 200℃ 15分 塗布:スピナー 初速度:500rpm 5s、slope:5s、本速度:4000rpm 20s slope:5s、終速:5000rpm 2s、slope:5s ソフトベイク:ホットプレート 100℃ 10分 露光:マスクアライナー 8s (露光装置の出力が13.1mWの時) ハードベイク :ホットプレート 100℃ 6分 現像:SU-8 現像液 5分 純水 1分 SU-8除去:REMOVER 10分 80℃−85℃ (4)担体を構成する金属の蒸着 レジストパターンが作製された基板上にニッケルを4000
Å、チタン200Å、金2000 Åを蒸着した。最後に基板を
SU-8REMOVERに80℃〜85℃で10分間浸すことによりレジ
ストを剥離した(図3(4))。犠性層であるアルミをエッチ
ング(エッチング液:500mMの水酸化ナトリウム水溶
液、60〜70℃)することによって担体を取り出した。
【0043】レジストを変えた以外は、実施例1と同様
にバイオセンサーを製造した。下記に実施例1及び2で
得られたバイオセンサーについての結果をまとめる。 (1) 厚さ、直径の様々な微小担体が、液相成長、気
相成長により作製できた。微小担体の直径はマスクの形
状(直径が5μm〜100μmの円パターン)に依存したもの
が作製できた。微小担体の厚さは、液相成長ではレジス
トの種類、塗布の時の回転数によって、気相成長ではレ
ジストパターン上に蒸着する膜厚を操作することによっ
て、調整が可能であることがわかった。 (2) 金属微小担体の金表面に3−カルボキシプロピ
ルジスルフィドをもちいて特異的に酵素を固定化するこ
とができた。また、この固定化した酵素の触媒機能が利
用できることがルミノール発光反応により確認できた。 (3) 基板において、強磁性体であるニッケルを磁化
することにより、基板上に磁場を形成し、ニッケル微小
担体を磁気力により、配置結合できる可能性が示され
た。また、気相成長により作製した厚さ1μm、直径50μ
mで金、チタン、ニッケルの層を持つ円盤状の微小担体
は、基板に配置結合する面を制御できることがわかっ
た。 これらのことから、基板のニッケルパターンそれぞれ
が、磁界を作り出すように、パターンに改良を加える
と、微小担体の基板への配置がより確実となり、生体材
料を任意の場所に配置固定化する微小担体として利用で
きることが示唆された。これにより新しい集積型バイオ
センサーを構築できる可能性が示された。
【0044】
【発明の効果】本発明によれば、基板に直接固定化する
のではなく、微小担体に固定化し、それからその担体を
基板に配置することによって、生体材料にかかる負担が
担体への固定化その配置工程のみとなり集積化によるス
テップの増加による生体材料の劣化の原因を抑えること
ができる利点がある。構築時間が短いことから集積化に
よる生体材料の劣化を防ぐことができ、生体材料にかか
る負担が担体への固定化のみとなるという有利な効果を
有する。また、本発明によれば、フォトファブリケーシ
ョン技術を用いて作製する微小構造物は、形状寸法が小
さいという点で利点がでてくる。寸法が小さいというこ
とはそれ自体で省スペース化に寄与し、寸法が小さいた
め、動作可能なシステムであればエネルギー量も少なく
て済む。センサーチャンネルが数万単位になった場合で
もセンサーの測定部分の大きさは数センチメートル以内
に微小化することができる。一方、集積型バイオセンサ
ーでは、測定部分の微小化により、認識物質として用い
る生体材料や、測定サンプルが少量でよくなる。またフ
ォトファブリケーションは同じ機能のものを数多く作製
し、これらを合わせてシステムを構築することに適して
いる。この特性により、本発明でのセンサー構築におい
ては認識物質を固定化するための担体や、担体を基板に
配置するための基板側パターンを同じ形状のものを多数
作製することに応用できる。また、本発明によれば、固
定化法を集積型バイオセンサーに用いると、異なる認識
物質を一度に固定化できる。これによりチャンネル数が
増えても固定化のためのステップ数は、変わらないこと
になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 酵素を固定化した担体を用いたバイオセンサ
ーの組み立て組立工程を示す図である。
【図2】 図2(a)は、磁気力を用いることにより固定
化酵素を配列させる方法の概略図を示し、図2(b)は、
基質(被測定物質)と酵素(認識物質)とが反応することに
より生ずる変化を電気信号に変換する様子を示す図であ
る。
【図3】 本発明で用いる担体の作製手順を示す図であ
る。
【図4】 本発明で用いる基板の作製手順を示す図であ
る。
【図5】 化合物に官能基を修飾させて、官能基に認識
物質を固定化する手順を示す図である。
【図6】 図6はポジ型のレジストにおいて、露光時間
と現像された面積との関係を示す図である。
【図7】 作製した担体の形状を、SEMで撮った写真を
示す図である。
【図8】 レジストの型を作製した後に、その上から金
属を蒸着し、レジストを取り除くことによって作製した
担体を示す図である。
【図9】 酵素固定化の確認をするために、酵素の触媒
反応による化学発光を高感度CCDカメラで検出した結果
を示す図である。
【図10】 担体(直径10μm、厚さ2μm)の基板上の
ニッケルパターン(直径50μm、厚さ7μm)への配置を
示す図である。
【図11】 担体(直径10μm、厚さ2μm)の基板上の
ニッケルパターン(一辺が20μ、厚さ7μm)への配置を
示す図である。
【図12】 担体(直径50μm)の基板上のニッケルパタ
ーン(直径50μ)への配置を示す図である。
【図13】 強磁性体であるニッケルを磁化し、同じ物
を2つ並べた場合の磁界の様子を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI G01N 27/30 357 (72)発明者 村上 裕二 石川県能美郡辰口町旭台1−50 北陸先 端科学技術大学院大学職員宿舎D−33号 室 (72)発明者 井手上 公太郎 石川県能美郡辰口町旭台1−50 北陸先 端科学技術大学院大学学生寄宿舎3− 405号室 (56)参考文献 特開 平9−288080(JP,A) 特開 昭64−10165(JP,A) 特表 平9−500201(JP,A) 特表 平7−506675(JP,A) 国際公開97/22715(WO,A1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 27/327 G01N 21/76 G01N 27/414 JICSTファイル(JOIS)

Claims (16)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】被測定物質を認識する認識物質と、前記認
    識物質を固定化するとともに第一の導電性材料からなる
    担体と、絶縁性材料からなる基板と、前記担体を保持す
    る第二の導電性材料からなり前記基板上に配置され、測
    定素子と、前記測定素子から前記電気信号を取り出すた
    めの配線回路とからなり電極及び配線回路を介して、前
    記被測定物質と前記認識物質との間で生ずる物理的及び
    /又は化学的変化を電気信号として取り出すバイオセン
    サー。
  2. 【請求項2】複数の被測定成分からなる被測定物質を認
    識する認識物質と、前記認識物質を固定化するとともに
    第一の導電性材料からなる複数の担体と、絶縁性材料か
    らなる基板と、前記担体を保持する第二の導電性材料か
    らなり前記基板上に配置され、多数の測定素子と、前記
    測定素子から前記電気信号を取り出すための配線回路と
    からなり電極及び配線回路を介して、前記被測定物質と
    前記認識物質との間で生ずる物理的及び/又は化学的変
    化を電気信号として取り出すバイオセンサー。
  3. 【請求項3】前記第一の導電性材料と前記第二の導電性
    材料とを磁気力により接触させる請求項1又は2に記載
    のバイオセンサー。
  4. 【請求項4】認識物質が、酵素、基質、抗原、抗体、タ
    ンパク質、ホルモン、レセプター、核酸、オルガネラ、
    細胞、組織及び微生物からなる群から選択される請求項
    1又は2に記載のバイオセンサー。
  5. 【請求項5】一端で前記担体に結合し、一端で前記認識
    物質に結合する化合物を介して認識物質を固定化する請
    求項1又は2に記載のバイオセンサー。
  6. 【請求項6】前記第一の導電性材料が、鉄、コバルト、ニ
    ッケルなど3d遷移金属を主体とする単体又は合金からな
    る層と、容易に化学変化を受けない材料からなる層との
    少なくとも2層からなる請求項1又は2に記載のバイオセ
    ンサー。
  7. 【請求項7】前記容易に化学変化を受けない材料が、貴
    金属である請求項1又は2に記載のバイオセンサー。
  8. 【請求項8】前記第二の導電性材料が、鉄、コバルト、ニ
    ッケルなど3d遷移金属を主体とする単体又は合金である
    請求項1又は2に記載のバイオセンサー。
  9. 【請求項9】第一の導電性材料からなる担体と、絶縁性
    材料からなる基板と、前記担体を保持するための第二の
    導電性材料からなり前記基板上に配置され、多数の測定
    素子と、前記測定素子から前記電気信号を取り出すため
    の配線回路とからなり電極及び前記配線回路を介して、
    前記被測定物質と前記認識物質との間で生ずる物理的及
    び/又は化学的変化を電気信号として取り出すバイオセ
    ンサー用キット。
  10. 【請求項10】被測定物質を認識する認識物質と、前記
    認識物質を固定化するとともに第一の磁性材料からなる
    担体と、絶縁性材料からなる基板と、前記基板上に配置
    され、前記担体を保持する第二の磁性材料からなるバイ
    オセンサーであって、前記被測定物質と前記認識物質と
    の間で生ずる物理的及び/又は化学的変化を光学的に取
    り出すバイオセンサー。
  11. 【請求項11】複数の被測定成分からなる被測定物質を
    認識する認識物質と、前記認識物質を固定化するととも
    に第一の磁性材料からなる複数の担体と、絶縁性材料か
    らなる基板と、前記基板上に配置され、前記担体を保持
    する第二の磁性材料からなるバイオセンサーであって、
    前記被測定物質と前記認識物質との間で生ずる物理的及
    び/又は化学的変化を光学的に取り出すバイオセンサ
    ー。
  12. 【請求項12】前記第一の磁性材料と前記第二の磁性材
    料とを磁気力により接触させる請求項10又は11に記
    載のバイオセンサー。
  13. 【請求項13】認識物質が、酵素、基質、抗原、抗体、
    タンパク質、ホルモン、レセプター、核酸、オルガネ
    ラ、細胞、組織及び微生物からなる群から選択される請
    求項10又は11に記載のバイオセンサー。
  14. 【請求項14】一端で前記担体に結合し、一端で前記認
    識物質に結合する化合物を介して認識物質を固定化する
    請求項10又は11に記載のバイオセンサー。
  15. 【請求項15】前記第一の磁性材料が、鉄、コバルト、ニ
    ッケルなど3d遷移金属を主体とする単体又は合金からな
    る層と、容易に化学変化を受けない材料からなる層との
    少なくとも2層からなる請求項10又は11に記載のバ
    イオセンサー。
  16. 【請求項16】前記第二の磁性材料が、鉄、コバルト、ニ
    ッケルなど3d遷移金属を主体とする単体又は合金である
    請求項10又は11に記載のバイオセンサー。
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