しかしながら、上述した従来例の貫通端子台1001では、上側端子ネジ装着部1021に接続された外部配線用の電線80が筐体61の被取付面61bに対して平行となると共に、下側端子ネジ装着部1024に接続された内部配線用の電線70も被取付面61bに対して平行となっている。このため、図8(d)に示すように、筐体61内部において、電線70を下側端子ネジ装着部1024への接続部分近傍で直角に近い角度で曲げて回路基板側へ導く必要があり、電線70に大きな負担が掛かると共に、配線作業にも手間を要するという問題がある。
本考案は上述した問題点に鑑みてなされたものであり、電気機器等における内部配線用の電線を極力曲げることなく接続可能な貫通端子台を提供することを目的とする。
以下、上記課題を解決するのに適した各手段につき、必要に応じて作用効果等を付記しつつ説明する。
1.絶縁性の基台部を有する端子台本体と、その端子台本体に前記基台部を貫通して配置される導電金具とを備えた貫通端子台において、
前記導電金具は、前記基台部の一方側に露出し且つ前記端子台本体の取付け相手の被取付面に対して平行となる一方側端子ネジ装着部と、前記基台部の他方側に露出し且つ前記被取付面に対して交差する角度となる他方側端子ネジ装着部とが設けられたことを特徴とする貫通端子台。
手段1によれば、電気機器の筐体等に端子台本体を基台部の一方側を外側とし他方側を内側として取り付けると、導電金具の一方側端子ネジ装着部が取付け相手である筐体等の外側に露出し且つ筐体等の被取付面に対して平行となると共に、他方側端子ネジ装着部が筐体等の内側に露出し且つ筐体等の被取付面に対して交差する角度となる。そして、筐体等の外側では、端子ネジが、導電金具の一方側端子ネジ装着部において筐体等の被取付面に対して垂直に装着されるので、従来と同様の作業性で、外部機器から導出された外部配線用の電線を導電金具に筐体等の被取付面と平行な向きに接続することができる。一方、筐体等の内側では、端子ネジが、導電金具の他方側端子ネジ装着部において筐体等の被取付面に対して非垂直に装着されるので、筐体等内部の回路基板等から導出された内部配線用の電線を導電金具に筐体等の被取付面と非平行な向きに接続することができ、筐体等の内部における内部配線用の電線の曲げを少なくすることができる。これにより、内部配線用の電線の曲げによる負担を軽減できると共に、電気機器の筐体等の狭い内部空間における配線作業を容易化することができる。また、鉄板等から成る筐体等の表面から内部配線用の電線を離隔させることができるので、従来よりも多様な態様で電線の接続が可能となる。
2.前記他方側端子ネジ装着部は、前記被取付面に対して垂直となるように設けられたことを特徴とする手段1に記載の貫通端子台。
手段2によれば、電気機器の筐体等に端子台本体を基台部の一方側を外側とし他方側を内側として取り付けると、他方側端子ネジ装着部が筐体等の内側に露出し且つ筐体等の被取付面に対して垂直となることにより、端子ネジが、導電金具の他方側端子ネジ装着部において筐体等の被取付面に対して平行に装着されるので、筐体等内部の回路基板等から導出された内部配線用の電線を導電金具に筐体等の被取付面と垂直な向きに接続することができ、筐体等における内部配線用の電線の曲げを極めて少なくすることができる。これにより、内部配線用の電線の曲げによる負担を大幅に軽減できると共に、電気機器の筐体等の狭い内部空間において導電金具から回路基板等へ電線を略直線的に配線できるので、配線作業をより一層容易化することができる。また、鉄板等からなる筐体等の内部表面から電線を十分に離隔させることができるので、従来よりも多様な態様で電線の接続が可能となり、例えば、従来は不可能であった圧着端子の二枚重ねによる電線の接続を行うことも可能となる。
3.前記導電金具は、金属板を略直角に折曲げて前記一方側端子ネジ装着部と前記他方側端子ネジ装着部とがそれぞれ形成されたことを特徴とする手段2に記載の貫通端子台。
手段3によれば、導電金具は、金属板を略直角に折曲げて一方側端子ネジ装着部と他方側端子ネジ装着部とがそれぞれ形成されているので、一方側端子ネジ装着部が電気機器の筐体等の被取付面に対して平行となるように端子台本体に配置されることにより、他方側端子ネジ装着部が筐体等の被取付面に対して確実に垂直とされる。
4.前記端子台本体の長手方向に沿って複数の前記導電金具が二列に配列されたことを特徴とする手段3に記載の貫通端子台。
手段4によれば、端子台本体の長手方向に沿って複数の導電金具が二列に配列されているので、端子台本体のサイズの長手方向に短くすることができ、電気機器の筐体等へ配置する場合の自由度が向上される。例えば、導電金具の合計個数を従来の貫通端子台と同一とした場合、長手方向サイズが半分程度となるため、従来は配置することができなかった狭い領域へ貫通端子台を配置することも可能となる。また、端子台本体の長手方向サイズを従来の貫通端子台と同一とした場合、導電金具の合計個数が従来の2倍となるので、限られたスペースで多くの極数を確保することができる。
5.前記端子台本体を長手方向に分割した複数のブロックで形成すると共に、前記各ブロックに一対の前記導電金具がそれぞれ対向配置されたことを特徴とする手段4に記載の貫通端子台。
手段5によれば、端子台本体を長手方向に分割した複数のブロックで形成すると共に、各ブロックに一対の導電金具がそれぞれ配置されているので、極数に応じて複数のブロックを組み合わせて連結することにより導電金具が二列に配列された所望の極数の貫通端子台を簡単に作製することができ、従来のように所定の極数毎に成形型を揃えておくことが不要となる。
6.前記導電金具は、金属板を中間部分の両側で略直角に折曲げて、前記中間部分に前記一方側端子ネジ装着部が形成されると共に、前記両側部分に前記他方側端子ネジ装着部が形成されたことを特徴とする手段2に記載の貫通端子台。
手段6によれば、導電金具は、金属板を中間部分の両側で略直角に折曲げて、中間部分に一方側端子ネジ装着部が形成されると共に、両側部分に他方側端子ネジ装着部が形成されているので、一方側端子ネジ装着部が電気機器の筐体等の被取付面に対して平行となるように端子台本体に配置されることにより、他方側端子ネジ装着部が筐体等の被取付面に対して確実に垂直とされる。
7.前記導電金具は、前記金属板の中間部分に複数の前記一方側端子ネジ装着部が形成されると共に、前記両側部分に複数の前記他方側端子ネジ装着部が形成されたことを特徴とする手段6に記載の貫通端子台。
手段7によれば、導電金具は、金属板の中間部分に複数の一方側端子ネジ装着部が形成されると共に、両側部分に複数の他方側端子ネジ装着部が形成されているので、複数の外部配線と複数の内部配線とを接続することができる。また、金属板の中間部分に設けられた複数の一方側端子ネジ装着部を介して複数の外部配線同士を接続する中継用の端子台として使用することも可能である。
8.前記端子台本体を長手方向に分割した複数のブロックで形成すると共に、前記各ブロックに前記導電金具がそれぞれ配置されたことを特徴とする手段6又は7に記載の貫通端子台。
手段8によれば、端子台本体を長手方向に分割した複数のブロックで形成すると共に、各ブロックに導電金具がそれぞれ配置されているので、極数に応じて複数のブロックを組み合わせて連結することにより所望の極数の貫通端子台を簡単に作製することができ、従来のように所定の極数毎に成形型を揃えておくことが不要となる。
本考案の貫通端子台によれば、電気機器の筐体等に端子台本体を基台部の一方側を外側とし他方側を内側として取り付けると、導電金具の一方側端子ネジ装着部が取付け相手である筐体等の外側に露出し且つ筐体等の被取付面に対して平行となると共に、他方側端子ネジ装着部が筐体等の内側に露出し且つ筐体等の被取付面に対して交差する角度となる。そして、筐体等の外側では、端子ネジが、導電金具の一方側端子ネジ装着部において筐体等の被取付面に対して垂直に装着されるので、従来と同様の作業性で、外部機器から導出された外部配線用の電線を導電金具に筐体等の被取付面と平行な向きに接続することができる。一方、筐体等の内側では、端子ネジが、導電金具の他方側端子ネジ装着部において筐体等の被取付面に対して非垂直に装着されるので、筐体等内部の回路基板等から導出された内部配線用の電線を導電金具に筐体等の被取付面と非平行な向きに接続することができ、筐体等の内部配線用の電線の曲げを少なくすることができる。これにより、内部配線用の電線の曲げによる負担を軽減できると共に、電気機器の筐体等の狭い内部空間における配線作業を容易化することができる。また、鉄板等から成る筐体等の表面から内部配線用の電線を離隔させることができるので、従来よりも多様な態様で電線の接続が可能となる。
以下、本考案の貫通端子台を具体化した各実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1は、第一の実施形態の貫通端子台1を示す図であり、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。図2は、貫通端子台1の図1(b)におけるA−A線断面図である。図3は、導電金具20及び端子ネジ30を示す斜視図である。
貫通端子台1は、電気機器の筐体等に取り付けられて外部配線用の電線と内部配線用の電線との接続に使用される端子台であって、図1、2に示すように、絶縁性の端子台本体10と、複数の導電金具20と、複数の端子ネジ30と、記号板40と、透明カバー50とを主要部材として構成される。
端子台本体10は、絶縁性及び熱安定性に優れた素材(例えば、ポリアミド66樹脂等の合成樹脂材料)からなる複数(5個)のブロックを連結して一体化して構成されるが、最初に、一体化が完了した状態の端子台本体10に基づいて各部の概略構成を以下に説明し、ブロックの連結を含む貫通端子台1の組付け方法については後述する。
端子台本体10には、絶縁性の基台部11上面の前後方向中央に中央隔壁部12が長手方向に延設され、この中央隔壁部12を挟んで前後両側の基台部11上面にそれぞれ複数(4個)の上側台座部13が長手方向に沿って二列に設けられている。上側台座部13は、導電金具20の上側端子ネジ装着部21(後述)を支持する台座であり、端子ネジ30の足部を収容可能な凹部13aが設けられている。基台部11上面で長手方向に隣接する上側台座部13間にはそれぞれ仕切り壁部14が上方へ立設されると共に、基台部11長手方向両側には側壁部15がそれぞれ立設されている。各側壁部15の外側面には、基台部10とほぼ同じ高さ位置に、貫通端子台1を電気機器の筐体等へ取り付けるためのツバ状の取付け部16が側方へそれぞれ突設され、各取付部16中央には図示しない取付けネジを挿入するためのU字状の切欠部16aが形成されている。
基台部11下部側面には、複数の上側台座部13の各々に対応して下側台座部17がそれぞれ設けられている。下側台座部17は、導電金具20の下側端子ネジ装着部24(後述)を支持する台座であり、端子ネジ30の足部を収容可能な凹部17aが設けられている。また、基台部11下側で長手方向に隣接する下側台座部17間には、それぞれ仕切り壁部18が下方へ立設されると共に、基台部11長手方向両側には側壁部19がそれぞれ下方へ立設されている。さらに、上側台座部13と対応する下側台座部17との間には、導電金具20の垂直部22及び傾斜部23(ともに後述)の外形に適合するように屈曲形成された金具挿入部13bが設けられている。導電金具20は、金具挿入部13bに垂直部22及び傾斜部23を挿入することによって基台部11に固定される。
導電金具20は、図3に示すように、金属板(例えば、ニッケルメッキを施した黄銅製の板材)に折り曲げ加工を施すことによって全体として略L字状に形成したものである。より詳細には、導電金具20は、上端部をなす平坦な上側端子ネジ装着部21と、上側端子ネジ装着部21の一端から屈曲して垂直下方へ延びる垂直部22と、垂直部22の下端から屈曲して傾斜角度45°で斜め下方へ短く延びる傾斜部23と、傾斜部23の下端から屈曲し垂直下方へ延びて下端部をなす下側端子ネジ装着部24とを備えている。尚、上側端子ネジ装着部21及び下側端子ネジ装着部24には、端子ネジ30が螺合されるネジ孔21a、24aがそれぞれ形成されている。尚、上側端子ネジ装着部21が本考案の一方側端子ネジ装着部を、下側端子ネジ装着部24が他方側端子ネジ装着部をそれぞれ構成するものである。
記号板40は、導電金具20の上側端子ネジ装着部21に接続される複数の電線を識別するための記号を表示するための合成樹脂製の細長い長方形板であり、端子台本体10の両側壁部15の互いに対向する内側面の間隔よりも若干長く形成されている。記号板40は、両側壁部15上面中央の凹部15u及び3つの仕切り壁部14上面の凹部14uにそれぞれ嵌め込まれて固定される。
透明カバー50は、ポリカーボネート等の透明樹脂材料からカバー部材であり、貫通端子台1に略等しい平面サイズを有する略平板状であって前端部及び後端部が下側に屈曲している。透明カバー50は、端子台本体10上面を覆うように両側の側壁部15の前後端上部及び各仕切り壁部14の前後端上部に着脱可能に取付けられる
次に、端子台本体10を構成するブロックの連結を含む貫通端子台1の組付け方法について説明する。図4は、貫通端子台1を示す分解斜視図である。
まず、端子台本体10を構成する各ブロックの構成について、図4を参照しつつ説明する。端子台本体10は、3種類の合成樹脂製ブロック、具体的には、第一ブロック100及び第二ブロック200を各1個、第三ブロック300を3個それぞれ用いて構成される。
第一ブロック100は、基台部11と、基台部11上面の前後方向中央に設けられた中央隔壁部12と、中央隔壁部12を挟んで前後両側に設けられた一対の上側台座部13と、上側台座部13に一体的に設けられた左側の側壁部15と、取付けネジ挿入用の切欠部16aが中央に形成された取付部16と、一対の上側台座部13にそれぞれ対応して基台部11下部側面に設けられた一対の下側台座部17と、下側台座部17に一体的に設けられた左側の側壁部19とを有する。第一ブロック100前端及び後端には、基台部11,側壁部15,取付部16を貫通するシャフト挿通孔11aがそれぞれ形成されると共に、基台部11右端面には、シャフト挿通孔11a周縁が円筒状に突設された係合凸部11bがそれぞれ設けられている。
第二ブロック200は、右側の側壁部15と、側壁部15から右側方へ突設されて中央に取付けネジ挿入用の切欠部16aが設けられた取付部16と、右側の側壁部19とを有する。第二ブロック200前端及び後端には、側壁部15,取付部16を貫通するシャフト挿通孔11aがそれぞれ形成されると共に、側壁部15左端面のシャフト挿通孔11a周縁に図示しない係合凹部がそれぞれ設けられている。
第三ブロック300は、基台部11と、基台部11上面の前後方向中央に設けられた中央隔壁部12と、中央隔壁部12を挟んで前後両側に設けられた一対の上側台座部13と、上側台座部13の左側に立設された仕切り壁部14と、一対の上側台座部13にそれぞれ対応して基台部311下部側面に設けられた一対の下側台座部17と、下側台座部17の左側に立設された仕切り壁部18とを有する。第三ブロック300前端及び後端には、基台部11,仕切り壁部14を貫通するシャフト挿通孔11aがそれぞれ形成されると共に、仕切り壁部14左端面のシャフト挿通孔11a周縁に図示しない係合凹部が、基台部11右端面には、シャフト挿通孔11a周縁が円筒状に突設された係合凸部11bがそれぞれ設けられている。
次に、貫通端子台1の組付け方法について、図4を参照しつつ説明する。尚、第一ブロック100及び第三ブロック300には、端子ネジ30が螺着された導電金具20が、基台部11の前後二箇所の金具挿入部13bにそれぞれ導電板20の垂直部22及び傾斜部23を挿入し、上側端子ネジ装着部21を上側台座部13に、下側端子ネジ装着部24を下側台座部17にそれぞれ支持させるようにして取り付けられているものとする。
まず、第三ブロック300を第一ブロック100に連結する。すなわち、第三ブロック300の前端及び後端の左端面に設けられた図示しない係合凹部を、第一ブロック100の前端及び後端の右端面に設けられた係合凸部11bにそれぞれ係合させる。これにより、第一ブロック100に取り付けられた各導電金具20は、第一ブロック100の側壁部15,19と第三ブロック300の仕切り壁部14,18とによってそれぞれ挟持固定される。
同様に、1個目の第三ブロック300へ2個目の第三ブロック300を、2個目の第三ブロック300へ3個目の第三ブロック300を順次連結し、さらに、3個目の第三ブロック300に第二ブロック200を連結する。このように5個のブロックが連結された状態で、シャフト400を第二ブロック200のシャフト挿通孔11aへ右側から挿通し、3個の第三ブロック300のシャフト挿通孔11a、及び第一ブロック100のシャフト挿通孔11aに順次挿通し、第一ブロック100の取付部16左側面でナットを締付けることよって端子台本体10の一体化が完了する。
そして、記号板40を両側壁部15上端の凹部15u及び各仕切り壁部14上端の凹部14uに嵌め込む。最後に、透明カバー50前端及び後端の屈曲部を両側壁部15前端上部及び後端上部の切り欠き部及び各仕切り壁部14前端上部及び後端上部の切り欠き部に係合させて透明カバー50を端子台本体1へ取り付けることにより、貫通端子台1の組付けが完了する。
次に、貫通端子台1を、取付け相手の電気機器であるインバータ装置60に取り付ける方法について図5を参照しつつ説明する。図5(a)は、貫通端子台1をインバータ装置60に取付ける前の状態を示す斜視図であり、(b)は貫通端子台1のインバータ装置60への取付けが完了した状態を示す斜視図である。まず、端子台本体10の両取付部16より下側全体を、インバータ装置60の筐体61外側から開口部61aに挿入する。続いて、両取付部16の切欠部16aに挿入した取付けネジ62を締付けることによって、貫通端子台1が筐体61の被取付面61bに取り付けられる。このように貫通端子台1がインバータ装置60に取付けられた状態で、複数(8個)の導電金具20は、各上側端子ネジ装着部21が筐体61外側に、各下側端子ネジ装着部24が筐体61内側にそれぞれ位置している。
次に、貫通端子台1における電線接続例について図6(a)を参照しつつ説明する。図6(a)は、貫通端子台1における電線接続例を示す断面図である。まず、貫通端子台1への内部配線用の電線70の接続について説明する。電線70は、筐体61内に設けられた図示しない回路基板から導出された内部配線用の電線であり、先端に圧着端子70aが取り付けられている。まず、下側端子ネジ装着部24から端子ネジ30を取り外す。次に、座金と導電金具20との間に圧着端子70aを挟み、端子ネジ30を圧着端子70aの孔、座金の孔及びネジ孔24aへ順に挿入し締付ける。この時、端子ネジ30の向きは、筐体61の被取付面61bに対して平行であり、電線70先端の圧着端子70aの向きは、筐体61の被取付面61bに対して垂直となっている。このようにして、内部配線用の電線70が導電金具20に接続される。
続いて、貫通端子台1への外部配線用の電線80の接続について説明する。電線80は、外部機器(モータ)から導出された外部配線用の電線であり、先端に圧着端子80aが取り付けられている。まず、透明カバー50を取外し、上側端子ネジ装着部21から端子ネジ30を取り外す。次に、座金と導電金具20との間に圧着端子80aを挟み、端子ネジ30を圧着端子80aの孔、座金の孔及びネジ孔21aへ順に挿入し締付ける。この時、端子ネジ30の向きは、筐体61の被取付面61bに対して垂直であり、電線80先端の圧着端子80aの向きは、筐体61の被取付面61bに対して平行となっている。このようにして、外部配線用の電線80が導電金具20に接続される。最後に、再び、透明カバー50を貫通端子台1へ装着して電線接続作業が完了する。
以上詳述したことから明らかなように、本実施形態によれば、インバータ装置60の筐体61に端子台本体10を基台部11の上方側を外側とし下方側を内側として取り付けると、導電金具20の上側端子ネジ装着部21が筐体61の外側に露出し且つ筐体61の被取付面61bに対して平行となると共に、下側端子ネジ装着部24が筐体61の内側に露出し且つ筐体61の被取付面61bに対して垂直となる。そして、筐体61外側では、端子ネジ30が、導電金具20の上側端子ネジ装着部21において被取付面61bに対して垂直に装着されるので、従来と同様の作業性で、外部機器から導出された外部配線用の電線80を導電金具20に被取付面61bと平行な向きに接続することができる。一方、筐体61内側では、端子ネジ30が、導電金具20の下側端子ネジ装着部24において被取付面61bに対して平行に装着されるので、筐体61内部の回路基板から導出された内部配線用の電線70を導電金具20に被取付面61bと垂直な向きに接続することができ、筐体61内部における内部配線用の電線70の曲げを極めて少なくすることができる。これにより、内部配線用の電線70の曲げによる負担を大幅に軽減できると共に、インバータ装置60の筐体61の狭い内部空間における配線作業を容易化することができる。また、鉄板等から成る筐体61の表面から内部配線用の電線70を十分に離隔させることができるので、従来よりも多様な態様で電線の接続が可能となり、従来は不可能であった圧着端子の二枚重ねによる電線の接続を行うことも可能となる。ここで、図6(b)は、他の電線接続例を示す図であり、内部配線用の電線70の圧着端子70a及び外部配線用の電線80の圧着端子80aをそれぞれ二枚重ねで導電金具20に接続した状態を示している。
また、導電金具20は、金属板を略直角に折曲げて上側端子ネジ装着部21と下側端子ネジ装着部24とがそれぞれ形成されているので、上側端子ネジ装着部21が筐体61の被取付面61に対して平行となるように端子台本体10に配置されることにより、下側端子ネジ装着部24が被取付面61bに対して確実に垂直とされる。
また、端子台本体10の長手方向に沿って複数の導電金具20が二列に配列されているので、長手方向のサイズをコンパクトにすることができ、電気機器の筐体等へ配置する場合の自由度が向上される。例えば、導電金具20の合計個数を同一とした場合、端子台本体上に一列に配置した従来の貫通端子台と比較して長手方向のサイズが半分程度となるため、従来は配置することができなかった狭い領域へ貫通端子台を配置することも可能となる。特に、端子台本体10を長手方向に分割した複数のブロック100,200,300で形成すると共に、ブロック100,300に一対の導電金具20がそれぞれ配置されているので、極数に応じて複数のブロックを組み合わせて連結することにより導電金具20が二列に配列された所望の極数の貫通端子台1を簡単に作製することができ、従来のように所定の極数毎に成形型を揃えておくことが不要となる。
次に、本考案の第二の実施形態について図面を参照しつつ説明する。図7(a)は、第二の実施形態の貫通端子台1’の断面図であり、(b)は貫通端子台1’に電線を接続した状態を示す断面図である。第二の実施形態の貫通端子台1’は、第一の実施形態の貫通端子台1における導電金具20に代えて、金属板を中間部分の両側で略直角に折曲げて略コ字状に形成し、中間部分(コ字の側辺)に二つの上側端子ネジ装着部21が形成されると共に、両側部分(コ字の上下辺)にそれぞれ下側端子ネジ装着部24が形成された導電金具20’を配置したことを特徴とする。尚、中央隔壁部12には貫通孔12aが形成されており、貫通孔12aに二つの上側端子ネジ装着部21,21の中間が挿入される。
本実施形態によれば、上側端子ネジ装着部21,21が筐体61の被取付面61bに対して平行となるように端子台本体10に配置されることにより、下側端子ネジ装着部24,24が被取付面61bに対して確実に垂直とされる。そして、導電金具20’が上側端子ネジ装着部21及び下側端子ネジ装着部24をそれぞれ複数備えることにより、複数の外部配線用の電線80と複数の内部配線用の電線70とを接続することができる。また、互いに導通する二つの上側端子ネジ装着部21を介して複数の外部配線用の電線80同士を接続する中継用の端子台として使用することも可能である。
また、第一の実施形態と同様に、端子台本体10を長手方向に分割した複数のブロック100,200,300で形成すると共に、ブロック100,300に導電金具20’がそれぞれ配置されているので、極数に応じて複数のブロックを組み合わせて連結することにより所望の極数の貫通端子台1’を簡単に作製することができ、従来のように所定の極数毎に成形型を揃えておくことが不要となる。
尚、本考案は上述した各実施の形態に限定されるものではなく、本考案の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を施すことが可能である。例えば、前記各実施形態では、導電金具20の下側端子ネジ装着部24が、取付け相手である筐体61の被取付面61bに対して垂直となるように設けた例を示したが、被取付面61bに対して交差する角度となるように設ければよい。すなわち、筐体61内側では、端子ネジ30が、導電金具20の下側端子ネジ装着部24において筐体61の被取付面61bに対して非垂直に装着されるので、筐体61内部の回路基板から導出された内部配線用の電線70を導電金具20に筐体61の被取付面61bと非平行な向きに接続することができ、筐体61における内部配線用の電線70の曲げを少なくすることができる。これにより、内部配線用の電線70の曲げによる負担を軽減できると共に、筐体61の狭い内部空間における配線作業を容易化することができる。また、鉄板等から成る筐体61の表面から内部配線用の電線70を離隔させることができるので、従来よりも多様な態様で電線の接続が可能となる。