JP3157089B2 - 粘着シート - Google Patents

粘着シート

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JP3157089B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、粘着シートに関する。
【0002】
【従来の技術】粘着シートは、適当な溶剤に溶解した粘
着剤を支持体に塗布した後、溶剤を乾燥させる方法によ
り製造されるのが一般的であった。しかし、このような
溶剤塗工法は、乾燥工程で多量の溶剤を除去する必要が
あるため、安全性、経済性等に問題があった。このよう
な問題を解決するために、乳化重合法で得た粘着剤をポ
リマーエマルジョンの形で塗布乾燥させるエマルジョン
型塗工法が行われているが、この方法は、耐水性、透明
性等の点で問題がある。
【0003】また、粘着剤を加熱溶融して溶融液を支持
体に塗布するホットメルト塗工法も行われているが、こ
の方法は、粘着剤を高温で溶融させるためポリマー劣化
が起こりやすく、高粘度粘着剤を使用する場合には、溶
融粘度が高く塗工が難しく、ポリエチレン、ポリプロピ
レン等のポリオレフィン系支持体に対しては、粘着剤の
投錨力を高めるためにコロナ処理及びプライマー処理を
施す必要がある等の多くの問題点がある。
【0004】特公昭51−48773号公報には、ポリ
エチレン及びポリプロピレンから選ばれた支持体、エチ
レン−エチルアクリレート系共重合体中間層、並びに、
アクリル酸エステル系共重合体粘着剤層を溶融共押出法
により押し出して、これら各層を溶融状態にある間に一
体的に積層及び接着させることを特徴とする粘着シート
の製造法が開示されている。しかし、この技術では、高
粘着性の粘着シートを得るために粘着付与樹脂を添加す
ると投錨力が低下し、部分的に糊残りを生じるので、表
面保護用粘着シートのように再剥離を必要とする用途に
は使用できない。
【0005】また、特開昭61−103975号公報に
は、A−B−A(Aは、スチレン重合体ブロックを表
し、Bは、エチレン−ブチレン共重合体ブロックを表
す)100重量部及び粘着付与樹脂0〜80重量部を含
有する組成物よりなる粘着剤層がポリオレフィン樹脂フ
ィルム上に形成された表面保護用接着フィルムが製造さ
れる例が開示されている。しかし、この技術で得られる
接着フィルムは、投錨力は優れているものの、耐候性及
び耐油性の悪いものが多い。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記に鑑
み、支持体、中間層及び粘着剤層の各層間の投錨力が優
れ、剥離後の糊残りがなく、耐候性及び耐油性に優れた
粘着シートを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、支持
体、粘着剤層、及び、上記支持体と上記粘着剤層との間
に設けられた中間層からなる粘着シートであって、上記
支持体、上記粘着剤層及び上記中間層が、共押出法によ
って形成されたものである粘着シートにおいて、上記支
持体が、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂からなり、上記
粘着剤層が、炭素数が1〜12であるアルキル(メタ)
アクリレート50〜98重量%及び極性基を有するビニ
ルモノマー2〜50重量%からなるアクリル系共重合体
からなり、上記中間層が、エチレン、エチルアクリレー
ト及び無水マレイン酸を共重合した三元共重合体からな
る粘着シートを構成するところに存する。
【0008】本発明で使用されるポリオレフィン系熱可
塑性樹脂としては特に限定されず、例えば、低密度ポリ
エチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、
線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられ
る。高度に極性モノマーで変成されたものは、本発明の
粘着シートをロール状に巻き取った後、使用時に巻き戻
すのが困難となるため好ましくない。上記ポリオレフィ
ン系熱可塑性樹脂は、単独で使用してもよく、任意の組
み合わせによる混合物として使用してもよい。上記ポリ
オレフィン系熱可塑性樹脂からなる支持体の厚さは用途
により適宜選択できるが、使いやすさの点から、10〜
80μmが好ましい。
【0009】本発明で使用される粘着剤層は、炭素数が
1〜12であるアルキル(メタ)アクリレート50〜9
8重量%及び極性を有するビニルモノマー2〜50重量
%からなるアクリル系共重合体が主成分である。上記粘
着剤層の厚さは用途によって適宜選択できるが、3〜3
0μmが好ましい。上記粘着剤層には、粘着性を損なわ
ない範囲で、必要に応じて、粘着付与樹脂、充填剤、酸
化防止剤、紫外線防止剤、カルボン酸金属塩等を添加し
てもよい。
【0010】上記粘着付与樹脂としては特に限定され
ず、例えば、C5系、C9系等の(水添)石油樹脂;
(水添)ロジン樹脂;(水添)テルペン樹脂;(水添)
テルペンフェノール樹脂;(水添)クマロン・インデン
樹脂;(水添)ロジンエステル樹脂、不均化ロジン樹
脂、不均化ロジンエステル樹脂、重合ロジン樹脂、重合
ロジンエステル樹脂等のロジン誘導体等が挙げられる。
これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用しても
よい。
【0011】本発明で使用される中間層は、エチレン−
エチルアクリレート−無水マレイン酸三元共重合体であ
る。上記共重合体中の無水マレイン酸の含有量は、5〜
35%が好ましい。5%未満であると、支持体と粘着剤
層との投錨力が不充分であり、35%を超えると、フィ
ッシュアイが目立ってきて不具合となる。上記中間層の
厚さは、3〜20μmが好ましい。
【0012】本発明の粘着シートは、上記支持体、上記
粘着剤層及び上記中間層をそれぞれ別々の押出機により
同時に押出し、インフレーション法、Tダイ法及びその
他の方法により熱溶融方式で3層共押出し、支持体/中
間層/粘着剤層の順に積層することによって得られる。
本発明において、上記成形方法によって積層された粘着
シートに適量の電子線等を照射し、粘着剤の架橋度及び
各層間の投錨力を向上させてもよい。
【0013】
【作用】本発明の粘着シートは、支持体のポリオレフィ
ン系熱可塑性樹脂と粘着剤層のアクリル系粘着剤との間
に、中間層としてエチレン−エチルアクリレート−無水
マレイン酸三元共重合体を用い、3層共押出法によって
積層成形することで、支持体、中間層及び粘着剤層それ
ぞれの層間の投錨力が優れたものとなる。また、上記の
各層を共押出法によって成形することで、従来の粘着剤
塗工法のように支持体の塗工面にコロナ処理及びプライ
マー処理をあらかじめ施しておく必要がないので、余分
な工程が除外できる。更に、支持体を高度の極性モノマ
ーで変成していないポリオレフィン系熱可塑性樹脂とす
ることで、この粘着シートをロール状の巻物とした後、
使用時に巻き戻すのが容易である。
【0014】
【実施例】以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説
明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるもの
ではない。
【0015】実施例1 1リットルのセパラブルフラスコに、2−エチルヘキシ
ルアクリレート400重量部、片側末端メタクリレート
化ポリスチレン(重量平均分子量:13000、サート
マー社製「ケムリンク4500」)60重量部、ラウリ
ルメルカプタン0.2重量部及び酢酸エチル460重量
部を供給して均一に混合した後、昇温を行い、酢酸エチ
ル還流下にてアゾビスイソブチロニトリルを1時間毎に
0.04重量部滴下して6時間重合を行い、ポリマー溶
液を得た。このポリマー溶液を脱溶剤して、アクリル系
粘着剤を得た。支持体として低密度ポリエチレン(三井
石油化学社製:商品名「ミラソン12」)、中間層とし
てエチレン−エチルアクリレート−無水マレイン酸三元
共重合体(住友化学工業社製「ボンダインTx803
0」、無水マレイン酸含有量:15%)を使用し、それ
ぞれ支持体/中間層/粘着剤層となるようにTダイ法に
て共押出することにより、支持体厚さ50μm、中間層
7μm、粘着剤層5μmからなる粘着シートを得た。
【0016】実施例2 中間層をエチレン−エチルアクリレート−無水マレイン
酸三元共重合体(住友化学工業社製「ボンダインHx8
020」、無水マレイン酸含有量:24%)としたこと
以外は、実施例1と同様にして粘着シートを得た。
【0017】実施例3 中間層をエチレン−エチルアクリレート−無水マレイン
酸三元共重合体(住友化学工業社製「ボンダインLx4
110」、無水マレイン酸含有量:9%)としたこと以
外は、実施例1と同様にして粘着シートを得た。
【0018】比較例1 中間層をエチレン−メタクリル酸共重合体(三井デュポ
ンポリケミカル社製「ニュクレルN1207C」)とし
たこと以外は、実施例1と同様にして粘着シートを得
た。 比較例2 中間層をエチレン−メチルメタクリレート共重合体(住
友化学工業社製「アクリフトWH303」)としたこと
以外は、実施例1と同様にして粘着シートを得た。
【0019】比較例3 中間層をエチレン−エチルアクリレート共重合体(日本
ユニカー社製「NUC−FLX EEA DPDJ−6
182」)としたこと以外は、実施例1と同様にして粘
着シートを得た。 比較例4 中間層をないものとしたこと以外は、実施例1と同様に
して粘着シートを得た。
【0020】得られた粘着シートを、ステンレス板の表
面に23℃で2kgの押し圧ロールで貼り合わせて、1
80度低速剥離強度試験(引張速度300mm/分)に
よる初期粘着力及び貼付後の経時粘着力(23℃×14
日)を測定し、その数値とステンレス面への糊残りを目
視にて観察した。以上の結果を表1に示す。
【0021】
【表1】
【0022】表1中、初期粘着力は、製造1日後の測定
結果、経時粘着力は、製造1日後に貼付て23℃×14
日放置した後の測定結果である。展開性は、粘着シート
をロール状の巻物とした後の巻き戻し易さである。
【0023】表1の結果から明らかなように、実施例の
中間層を用いると、貼付後剥離した時、被着体に糊残り
が発生しないことから、各層間の投錨力が優れるものと
なることがわかる。また、展開性をみても、アクリル系
粘着剤に対し、支持体を高度の極性モノマーで変成して
いないポリオレフィン系熱可塑性樹脂としたことで、良
好な結果となっている。しかし、比較例4のように中間
層のないものは、層間の投錨性に乏しく、支持体と粘着
剤層が分離したものとなった。
【0024】
【発明の効果】本発明の粘着シートは上述の構成よりな
るので、支持体、中間層及び粘着剤層それぞれの層間の
投錨力に優れた粘着シートが得られる。また、アクリル
系粘着剤を用いていることから、耐候性、耐油性等に優
れ、適度の初期粘着性を有している。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体、粘着剤層、及び、前記支持体と
    前記粘着剤層との間に設けられた中間層からなる粘着シ
    ートであって、前記支持体、前記粘着剤層及び前記中間
    層が、共押出法によって形成されたものである粘着シー
    トにおいて、前記支持体が、ポリオレフィン系熱可塑性
    樹脂からなり、前記粘着剤層が、炭素数が1〜12であ
    るアルキル(メタ)アクリレート50〜98重量%及び
    極性基を有するビニルモノマー2〜50重量%からなる
    アクリル系共重合体からなり、前記中間層が、エチレ
    ン、エチルアクリレート及び無水マレイン酸を共重合し
    た三元共重合体からなることを特徴とする粘着シート。
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