JP3156093B2 - 気流層ガス化装置 - Google Patents

気流層ガス化装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は気流層ガス化装置に係
り、ガス化炉内から飛散する未燃分を捕集し、該未燃物
を酸化剤と共に再び前記ガス化炉内に供給する気流層式
ガス装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、石炭等の固体炭素系原料をガス化
する炉には、固定層、流動層、気流層の各方式が提案さ
れている。これらの方式の中で、気流層は原料を微粉に
して酸素、空気等の酸化剤と共に原料灰の融点以上(1
300〜1600℃)の温度の炉内に供給してガス化さ
せるため、他の方式に比較し、ガス化効率が高く、適用
炭種が広くまた公害性の副産物が少ない等の特徴を有し
ており、合成ガス、複合発電、燃料電池の燃料製造に適
しているので、国内外で開発が進められている。気流層
方式のガス化炉では、微粉炭と酸素、空気、スチーム等
の酸化剤とを炉内に吹き込み、主として以下の反応を行
わせるものである。
【0003】
【化1】 石炭→チャー、H2、CO、CO2、CH4……………………………(1) チャー(C)+CO2→2CO…………………………………………(2) チャー(C)+H2→CO+H2 ………………………………………(3) 石炭+O2→CO2、H2O………………………………………………(4) ここでチャーとはガス化が十分に行われないまませずガ
スと共に飛散するカーボン粒子である。
【0004】(1)式は熱分解反応であり、微粉炭だけ
を単独に吹き込むバーナによって起こりやすい。(2)
式と(3)式がチャーによるガス化反応であり、(4)
式が燃焼反応である。ガス化では原料中の炭素分がすべ
てCOに、水素分がすべてH2に変化すれば最もガス化
効率が高くなる。
【0005】実際にはガス平衡により、若干のH2O及
びCO2が生成されるので、原料の組成と運転条件(圧
力と温度)に対して酸化剤供給量の最適値が存在する。
酸化剤供給量は原料の組成(炭素、水素、酸素等)に対
して求まる値で、生成ガス中の水素及び一酸化炭素の収
率を最大とする酸化剤供給量を理論酸化剤量と定義す
る。したがって、この理論酸化剤量以上に酸化剤を供給
すると、生成ガス中に発熱量を有しないCO2やH2Oが
増加するため、ガス化効率は低下する。
【0006】一方、気流層ガス化法では原料中の灰分を
スラグとして排出するため、炉内を高温にしなければな
らない。これまで、酸化剤供給量を必要以上に増加しな
いで、かつ、炉内を高温にして原料の灰分を溶融させて
スラグ化させることによって、高いガス化効率が得られ
る気流層ガス化法が提案されている。
【0007】例えば、特開昭59−192482号公報
及び特開昭59−176391号公報等では、炉内に複
数段の反応域を形成させ、灰分をスラグ化させるガス化
炉の下部には酸化剤を多く配分して特に(4)式の燃焼
反応を行わせ、ガス化炉の上部には酸化剤を少なく配分
して特に(1)式の反応によって原料を活性に富むチャ
ーに変換し、そのチャーと下部反応域で生成したCO2
及びH2Oとを(2)式及び(3)式のガス化反応を行
わせるものである。これらの方法では、(2)式及び
(3)式を高温の領域で行わせて、反応速度を高め、更
にその反応時間を長くしてガス化効率を高めようとした
ものである。
【0008】なお、特開昭59−176391号公報に
示すガス化方法を図2に示す。この方式では、微粉炭等
の固体炭素系原料と酸化剤とを供給するバーナ61及び
62を、ガス化室65の上段及び下段に配置し、炉内に
旋回流が発生するように設置している。酸化剤63及び
64に関しては、上段バーナ61には少なく、下段バー
ナ62には多く投入するものである。
【0009】そして、下段バーナ62の下部に流下した
スラグ54を流下させる孔(スラグタップ)55の付近
を高温とし、かつ上段バーナ61では活性なチャーを生
成させ、そのチャーを強い旋回流に乗せて、炉65の下
方に移動させ、(2)式及び(3)式のガス化反応を長
時間行わせようとしたものである。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかし、(2)式及び
(3)式のガス化反応を長時間行わせようとしても限度
があり、従来法のガス化法においては固体原料の可燃物
がすべてガス化することはできなかった。そこで、ガス
化炉60より排出される未燃のチャーをサイクロン等の
捕集器70で捕集し、ロックホッパ80を経て再びガス
化炉60に戻す方法が考えられている。
【0011】しかし、未燃分であるチャーは、一度ガス
化炉内で高温に曝されたものであり、揮発分は殆ど無
く、灰分が多く含まれているので、原料に比較し反応活
性が劣る。従って、例えばガス化炉上部のように、酸化
剤の供給量が少なく、温度の低い領域にこのチャーを戻
しても少量しかガス化しないため、再び捕集器70に至
るようになり、未燃物が反応せずに循環し、ついには累
積されて連続運転ができないようになる。
【0012】通常では捕集されたチャーは酸化剤を多く
配分する炉の下部に供給され、主に(4)式に示す燃焼
反応を行わせてCO2及びH2Oを発生させ、炉の上段バ
ーナ61で生成した反応性に富むチャーと、(2)式及
び(3)式に示すガス化反応を高温下で行わせるように
工夫されている。すなわち、図2に示すガス化装置では
下段バーナ62の部分にチャーを供給するチャーバーナ
104が設置される。なお、特開昭61−246287
号公報及び実開昭61−2426号公報においても捕集
されたチャーは酸化剤を多く配分するコンバスタに供給
するよう記載されている。
【0013】特に、燃料比(原料の工業分析で固定炭素
を揮発分で除算した値)が高く、反応活性の悪い原料を
ガス化する際には、未燃分が多くなるので、循環するチ
ャーの量が多くなる。従って、このような反応活性が劣
る原料をガス化する場合には、循環するチャーの処理が
ガス化効率を左右することになる。
【0014】ガス化炉60に対するチャー供給量が少な
すぎるとホッパ内にチャーが満杯になり、後続の機器に
チャーが飛散することになる。反対に、ガス化炉60に
対するチャーの供給量が多すぎるとホッパ内が空にな
り、チャーバーナ104から酸化剤のみが炉内に供給さ
れることになるので炉壁が焼損したりする。更にチャー
供給量及び酸化剤供給量が不安定であると、生成ガスの
組成、発熱量、量等が変化するので後続の機器に悪影響
を与える。
【0015】本発明の目的は、上記した従来の課題を解
決し、高いガス化効率が得られるガス化装置を提供する
ことにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記した目的は、微粉固
体炭素系原料の灰の溶融温度以上に保持されたガス化炉
内に、前記原料と酸化剤とを供給し、前記ガス化炉内か
ら飛散する未燃分を捕集し、該未燃分を酸化剤と共にチ
ャーバーナから再び前記ガス化炉内に供給する気流層式
ガス化装置において、捕集された未燃分が投入されるチ
ャー供給ホッパと、チャー供給ホッパ内の未燃分をチャ
ーバーナに供給するフィーダと、チャー供給ホッパの重
量を測定する計量手段と、チャー供給ホッパの重量の変
化に基づいてフィーダからチャーバーナに供給される未
燃分の重量を求め、該未燃分中の炭素重量に対し0.3乃
至0.6倍の酸素量をチャーバーナに供給する手段とを設
けたことにより達成される。
【0017】
【作用】ガス化炉出口で捕集し、再びガス化炉に戻す未
燃分であるチャーは、一度ガス化炉内で高温に曝された
ものであり、揮発分はほとんどなく、灰分が多く含まれ
ているので、原料に比較し反応活性が劣る。チャー中の
可燃分が最も反応するのは上述の(4)式による燃焼反
応であり、(2)式及び(3)式のガス化反応ではな
い。
【0018】捕集器で捕集されるチャー量に等しくなる
ようにガス化炉へのチャー供給量を定めておけば、チャ
ー回収ホッパ及びチャー供給ホッパが空になったり、満
杯になったりすることなく安定してチャーを循環するこ
とができ、反応活性が劣るチャーの供給量に対応してチ
ャーバーナへ酸化剤を供給すれば、最も効率良くガス化
することができる。
【0019】
【実施例】図1に本発明に係るガス化装置の系統図を示
す。図2に示した従来の系統図に対し、本実施例ではチ
ャー回収ホッパ72及びチャー供給ホッパ90にそれぞ
れロードセル74及び94が設置され、これらのロード
セルの信号111、112はそれぞれ演算・制御装置1
10に入力される。
【0020】また、この演算・制御装置110からはフ
ィーダ100の回転数を制御する制御信号114が出力
され、また、同時にチャーバーナ104に設置された制
御弁115に対し、酸化剤の供給量を制御する制御信号
113が出力されるようになっている。更に、炉の下段
に設置し、酸化剤を多く供給する石炭バーナ62と同じ
高さにチャーバーナ104は設置されている。なお、図
1において、上記した構成以外の他の構成部分は、図2
に示したものは実質的に同一であるので、同一符号で示
している。
【0021】次に上記した実施例の動作について説明す
る。原料常圧ホッパ10内の微粉炭は、バルブ11を経
て常圧状態のロックホッパ20に供給される。ロックホ
ッパ20では、加圧ガスライン22から加圧ガスが供給
され、供給ホッパ30と同圧力に昇圧した後ガス抜きラ
イン23からガス抜きされる。ロックホッパ20内の微
粉炭は、バルブ21を経て供給ホッパ30に供給され
る。供給ホッパ30では、加圧ガスライン32から加圧
ガスが供給され、ガス抜きライン33からガス抜きされ
る。また、ロックホッパ20にもガス抜きライン23か
らガス抜きされる。
【0022】供給ホッパ30内の微粉炭はバルブ31が
介設された分岐ラインを経てそれぞれ別個のフィーダ4
0に導入され、その後エゼクタ50に供給される。エゼ
クタ50にはそれぞれ原料搬送ガス51が導入され、原
料搬送ライン52を経由して上段バーナ61から酸化剤
63と共にガス化炉内60のガス化室65に供給される
と共に他方の原料搬送ライン53を経由して下段バーナ
62から酸化剤64と共にガス化炉60のガス化室65
に供給される。
【0023】ガス化室65では、前記した(1)〜
(4)の各反応が進行し、ガス化室65で生成したガス
は生成ガスライン69を経てサイクロン70でガス中の
未燃分であるチャーが捕集された後、生成ガスライン7
1から取り出される。一方、前記した(1)〜(4)の
各反応により生成した灰分は溶融し、原料分配器54の
スラグタップ55からスラグ冷却水66中に落下してス
ラグとなり、このスラグはバルブ67を介してスラグホ
ッパ68に回収される。
【0024】サイクロン70で捕集されたチャーは、チ
ャー回収ホッパ72、バルブ73、ロックホッパ80を
経てチャー回収ホッパ72よりも若干高い圧力に保持さ
れたチャー供給ホッパ90に供給される。ロックホッパ
80では加圧ガスライン81から加圧ガスが供給され、
ガス抜きライン82からガス抜きされる。チャー供給ホ
ッパ90では、加圧ガスライン81から加圧ガスが供給
され、ガス抜きライン82からガス抜きされる。
【0025】チャー供給ホッパ90内のチャーは、バル
ブ93を経てフィーダ100に導入された後、エゼクタ
102でチャー搬送ガス101によりチャーバーナ10
4から酸化剤103と共にガス化室65に導入される。
【0026】このような操作において、本実施例では、
チャー回収ホッパ72に設置したロードセル74の増加
量の時間変化から単位時間当りのチャー捕集量が計算さ
れる。同様にチャー供給ホッパ90に設置したロードセ
ル94の減少量の時間変化からガス化炉60へのチャー
供給量が計算される。
【0027】まず、ガス化炉60に対するチャー供給量
がチャー回収ホッパ72でのチャー捕集量に一致するよ
うに演算制御装置110から制御信号114がフィーダ
100に出力され、フィーダ100の回転数を制御す
る。更に、演算制御装置110から制御弁115に制御
信号113が出力され、フィーダ100からエゼクタ1
02を介してガス化炉60に供給されるチャーの供給量
に比例してチャーバーナ104に供給する酸化剤103
の量が制御される。
【0028】一般に、チャーを循環しないときの炭素ガ
ス化率(原料中の炭素がガスに変換した割合)は90%
程度であり、そのときのチャー中の炭素含有率は約30
wt%で、残りは灰分である。したがって、チャーが最
も効率良くガス化されるのは、チャー中の炭素分がすべ
てCOに変換されるときで、そのときに必要な酸素量
は、0.3kg−O2/kg−チャーである。また、チ
ャー中の炭素分がすべてCO2に変換されるときに必要
な酸素量は上述の値の2倍の0.6kg−O2/kg−
チャーである。それ故、チャー供給量に対し、0.3〜
0.6倍の重量の酸素量をチャーバーナ104に供給す
ればよいことになる。このようにガス化炉60に対する
チャーの供給量に対応してチャーバーナ104から酸化
剤103を供給すれば、最も効率良くガス化できる。
【0029】チャーは反応活性が乏しいので、チャー中
の炭素分がすべてCO2になるとして算出した酸素量を
チャーバーナから供給すればよい。また、チャーを炉内
に供給すれば、(2)式及び(3)式に示すガス化反応
式は吸熱反応であるので、酸化剤供給量が不足すれば、
炉下部の温度が低下し、例えばスラグの流下状況が悪化
したり、石炭のガス化効率が低下するが、本実施例では
必要最小限の酸化剤をチャーバーナから供給できるので
このようなトラブルは発生しない。また、負荷変化ある
いは、原料性状が変化し、チャー循環量が変化しても、
常にチャーがガス化するに最適な酸化剤を供給できる。
【0030】
【発明の効果】本発明によれば、捕集器で捕集される未
燃分の量とガス化炉に供給する未燃分との量を一致させ
るので、未燃分のガス化炉への供給が安定し未燃分供給
量に対応して酸化剤を供給するので高いガス化効率が得
られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の気流層ガス化装置の系統図で
ある。
【図2】従来の気流層ガス化装置の気流層ガス化装置の
系統図である。
【符号の説明】
10 原料常圧ホッパ 20 ロックホッパ 30 供給ホッパ 40 フィーダ 50 エゼクタ 60 ガス化炉 61 原料上段バーナ 62 原料下段バーナ 70 サイクロン 72 チャー回収ホッパ 74 ロードセル 80 ロックホッパ 90 チャー供給ホッパ 94 ロードセル 100 フィーダ 104 チャーバーナ 110 演算制御装置 115 制御弁
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田中 真二 茨城県日立市久慈町4026番地 株式会社 日立製作所 日立研究所内 (56)参考文献 特開 平1−172494(JP,A) 特開 昭58−194986(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C10J 3/46 - 3/52

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 微粉固体炭素系原料の灰の溶融温度以上
    に保持されたガス化炉内に、前記原料と酸化剤とを供給
    し、前記ガス化炉内から飛散する未燃分を捕集し、該未
    を酸化剤と共にチャーバーナから再び前記ガス化炉
    内に供給する気流層式ガス装置において、捕集された
    未燃分が投入されるチャー供給ホッパと、前記チャー供
    給ホッパ内の未燃分を前記チャーバーナに供給するフィ
    ーダと、前記チャー供給ホッパの重量を測定する計量手
    段と、前記チャー供給ホッパの重量の変化に基づいて前
    記フィーダから前記チャーバーナに供給される未燃分の
    重量を求め、該未燃分中の炭素重量に対し0.3乃至0.6倍
    の酸素量をチャーバーナに供給する手段とを設けたこと
    を特徴とする気流層ガス化装置。
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