以下、本考案の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本考案の一実施形態による自動二輪車の全体構造を示した側面図である。図2〜図22は、図1に示した一実施形態による自動二輪車のクリーナボックスおよびその内部の構造を詳細に説明するための図である。なお、本実施形態では、本考案の車両の一例として、自動二輪車について説明する。図中、FWDは、自動二輪車の走行方向の前方を示している。まず、図1〜図22を参照して、本実施形態による自動二輪車1の構造について説明する。
本実施形態による自動二輪車1の構造としては、図1に示すように、ヘッドパイプ2に、メインフレーム3の前端部が接続されている。このメインフレーム3は、図2に示すように、車体の前方方向(矢印FWD方向)に対して左右に分岐して延びるように配置されている。また、メインフレーム3には、後述するクリーナボックス24に空気を導入するための空気導入通路4が設けられている。また、メインフレーム3は、図1に示すように、後ろ側の下方向に延びるように形成されている。また、メインフレーム3には、後ろ側の上方向に延びるシートレール5が接続されている。また、ヘッドパイプ2には、ハンドル6が回動可能に取り付けられている。また、ハンドル6の下方側には、フロントフォーク7が取り付けられている。フロントフォーク7の下端部には、前輪8が回転可能に取り付けられている。
また、メインフレーム3の後端部には、ピボット軸9を介して、スイングアーム10の前端部が取り付けられている。スイングアーム10の後端部には、後輪11が回転可能に取り付けられている。また、メインフレーム3の上方側には、燃料タンク12が配置されているとともに、シートレール5の上方側には、シート13が配置されている。また、メインフレーム3の下方側には、エンジン14が搭載されている。
エンジン14は、図3に示すように、ピストン15と、シリンダ(気筒)16と、シリンダヘッド17と、スロットルボディ18とを含んでいる。なお、スロットルボディ18は、本考案の「吸気通路」の一例である。ピストン15は、シリンダ16の内部に摺動可能に嵌め込まれているとともに、シリンダヘッド17は、シリンダ16の一方の開口を塞ぐように配置されている。また、シリンダヘッド17には、吸気ポート17aおよび排気ポート17bが形成されている。吸気ポート17aは、空気と燃料とを含む混合気をシリンダ16の燃焼室16aに供給するために設けられている。また、排気ポート17bは、燃焼後の残留ガスをシリンダ16の燃焼室16aから排出するために設けられている。また、吸気ポート17aおよび排気ポート17bには、それぞれ、吸気バルブ19aおよび排気バルブ19bが配置されている。スロットルボディ18は、吸気ポート17aの開口に取り付けられている。また、スロットルボディ18には、吸気ポート17aに燃料を噴射するためのインジェクタ20が取り付けられている。また、排気ポート17bの開口には、排気管21が取り付けられているとともに、その排気管21には、マフラー22(図1参照)が接続されている。なお、図3には、シリンダ16を1つのみ図示しているが、実際には、4つのシリンダ16が車体の幅方向に所定の間隔を隔てて配置されている。すなわち、本実施形態による自動二輪車1のエンジン14は、直列4気筒型のエンジンである。
また、図1に示すように、車体の前方側を覆うように、アッパーカウル23aおよびロアーカウル23bを含むフロントカウル23が設けられている。また、図1および図2に示すように、左右に分岐されたメインフレーム3間には、空気導入通路4からの空気が供給されるクリーナボックス24が配置されている。なお、クリーナボックス24は、本考案の「クリーナケース」の一例である。このクリーナボックス24は、図3に示すように、エンジン14のスロットルボディ18の上流側に配置されているとともに、上側ボックス部25および下側ボックス部26により構成されている。なお、上側ボックス部25は、本考案の「上部クリーナケース」の一例であり、下側ボックス部26は、本考案の「下部クリーナケース」の一例である。また、クリーナボックス24内には、空気導入通路4からスポンジ部材27を介して供給される空気を浄化するためのエアフィルタ28が配置されている。
また、エアフィルタ28は、図2および図3に示すように、樹脂製の本体部29、フィルタエレメント30(図3参照)、消炎ネット31およびカバー部32により構成されている。エアフィルタ28の本体部29の縁部には、図4および図5に示すように、凸部29aが全周にわたって一体的に形成されている。また、下側ボックス部26には、図4に示すように、エアフィルタ28の凸部29aに対応するように、凹部26aが一体的に形成されている。また、下側ボックス部26の凹部26aと、本体部29の凸部29aとの間には、ゴム製のシール部材33が配置されている。
ここで、本実施形態では、本体部29の縁部の後部には、図4および図5に示すように、リブ部29bを有する2つの凸部29cが後方に突出するように一体的に形成されている。また、図4に示すように、下側ボックス部26には、本体部29の2つの凸部29cに対応する位置に、開口部26bが一体的に形成されている。また、開口部26bの上面26cは、曲面状(面取り形状)に形成されており、エアフィルタ28を下側ボックス部26の所定の位置に配置する際のガイドとしての機能を有する。具体的には、エアフィルタ28は、エアフィルタ28の本体部29の凸部29cが開口部26bの上面26cに沿うように、図4のA方向に回動(移動)可能に構成されている。そして、エアフィルタ28は、エアフィルタ28の凸部29cが下側ボックス部26の開口部26bに挿入された状態で、下側ボックス部26の所定の位置に配置されるように構成されている。なお、上面26cは、本考案の「所定の部分」の一例である。
また、本実施形態では、図4および図5に示すように、エアフィルタ28の本体部29の縁部の前部には、撓み変形可能な2つのフック部29dが一体的に形成されている。これら2つのフック部29dは、それぞれ、図4および図6に示すように、下側ボックス部26の内側から下側ボックス部26の壁部26dの上方を通過することにより、壁部26dの外面26e側に延びる第1の部分291dを含んでいる。そして、壁部26dの上方を通過したフック部29dは、第1の部分291dから壁部26dの外面26eに向かって屈曲するように形成されている第2の部分292dを含んでいる。つまり、これら2つのフック部29dは、それぞれ、エアフィルタ28を下側ボックス部26の所定の位置に向かって図4のA方向に回動させる際には、第2の部分292dが撓み変形して壁部26dの外面26e側に移動可能に構成されている。また、フック部29dは、それぞれ、エアフィルタ28が下側ボックス部26の所定の位置から離れる方向に回動する際には、フック部29dの先端部29eが壁部26dの外面26eに当接するように構成されている。これにより、エアフィルタ28を下側ボックス部26の所定の位置に組み付ける際に、エアフィルタ28を下側ボックス部26の所定の位置に仮止めした状態で配置することが可能となる。
また、本実施形態では、図2および図7に示すように、本体部29の車幅方向の両側には、それぞれ、エアフィルタ28を下側ボックス部26の所定の位置に組み付ける際に、エアフィルタ28が下側ボックス部26に対してエアフィルタ28の移動支点の中心線が延びる方向(車幅方向)に移動するのを抑制する位置規制部29f(図7参照)が一体的に形成されている。これら位置規制部29fは、図7に示すように、それぞれ、撓み変形可能に形成されており、下側ボックス部26のガイド部26fに当接可能に構成されている。これにより、位置規制部29fは、位置規制部29fとガイド部26fとの間に摩擦力が生じるため、エアフィルタ28を下側ボックス部26の所定の位置に組み付ける際に、エアフィルタ28が下側ボックス部26に対して車幅方向に移動するのを抑制する機能のみならず、エアフィルタ28が下側ボックス部26の所定の位置から離れる方向に回動するのを抑制する機能も有している。
また、エアフィルタ28は、図4および図7に示すように、クリーナボックス24の上側ボックス部25および下側ボックス部26に挟まれた状態で固定されている。具体的には、エアフィルタ28の本体部29は、エアフィルタ28の受け部29g(図2の斜線部参照)および29h(図2の斜線部および図7参照)が上側ボックス部25の押さえ部25a(図8参照)および25b(図8参照)により押圧された状態で、上側ボックス部25および下側ボックス部26に挟まれている。エアフィルタ28の受け部29gは、図2に示すように、エアフィルタ28の前部に形成されている。また、受け部29hは、エアフィルタ28の本体部29の車幅方向の両端部に形成されている。そして、上側ボックス部25は、図3および図4に示すように、11個のねじ61(図7参照)により、上側ボックス部25のねじ挿入穴25c(図7および図8参照)と下側ボックス部26のねじ穴26g(図2参照)とがそれぞれねじ止めされることによって、下側ボックス部26に固定されている。これにより、エアフィルタ28をクリーナボックス24の上側ボックス部25および下側ボックス部26に挟まれた状態で固定することが可能となる。なお、上側ボックス部25の前部の車幅方向の中央部に形成されているねじ挿入穴25cに挿入されているねじ61は、エアフィルタ28のねじ挿入穴29i(図2参照)を介して下側ボックス部26にねじ止めされている。
また、エアフィルタ28の本体部29には、図2および図3に示すように、後述するねじ65(図2参照)が上側に抜け出るのを抑制するための抜け止め部29jが一体的に形成されている。
また、下側ボックス部26の縁部には、図2および図4に示すように、凸部26hが全周に渡って一体的に形成されている。また、上側ボックス部25には、図4および図8に示すように、下側ボックス部26の凸部26h(図4参照)が挿入される凹部25dが一体的に形成されている。また、上側ボックス部25の凹部25dと下側ボックス部26の凸部26hとの間には、図4に示すように、ゴム製のシール部材34が配置されている。
また、下側ボックス部26の前部の2つの固定部26iは、図2に示すように、固定金具35を介して、接続部材62および63によりメインフレーム3に固定されている。
また、本実施形態では、図3および図9に示すように、クリーナボックス24(図3参照)内には、エンジン14(図3参照)の上流側で、かつ、エアフィルタ28(図3参照)の下流側(クリーンサイド)に配置される固定ファンネル36と、可動ファンネル37と、ファンネル移動機構部38とが設けられている。固定ファンネル36および可動ファンネル37は、図2および図3に示すように、エンジン14の各シリンダ16毎に1つずつ設けられている。また、固定ファンネル36は、クリーナボックス24の下側ボックス部26に対して固定されているとともに、クリーナボックス24内の浄化された空気を吸気ポート17aに導く機能を有する。また、可動ファンネル37は、固定ファンネル36の吸気側(上流側)に配置されているとともに、固定ファンネル36と共にクリーナボックス24内の浄化された空気を吸気ポート17aに導く機能を有する。
また、図10、図11、図13および図14に示すように、可動ファンネル37は、固定ファンネル36側の開口部37aが固定ファンネル36の吸気側の開口部36aに対して離間する離間位置(図10および図11の状態)と、可動ファンネル37の開口部37aが固定ファンネル36の開口部36aに対して当接する当接位置(図13および図14の状態)との間を移動可能に構成されている。ここで、図9に示すように、可動ファンネル37が離間位置(図10および図11の状態)に移動されている場合は、クリーナボックス24(図3参照)からシリンダ16(図3参照)に接続される吸気管は、固定ファンネル36と、スロットルボディ18(図3参照)と、吸気ポート17a(図3参照)とによって構成される。その一方、図12に示すように、可動ファンネル37が当接位置(図13および図14の状態)に移動されている場合は、クリーナボックス24(図3参照)からシリンダ16(図3参照)に接続される吸気管は、可動ファンネル37と、固定ファンネル36と、スロットルボディ18(図3参照)と、吸気ポート17a(図3参照)とによって構成される。また、ファンネル移動機構部38は、可動ファンネル37を離間位置と当接位置との間を移動させる機能を有する。
また、クリーナボックス24の上側ボックス部25の上部には、図4に示すように、インジェクタ39が取り付けられている。このインジェクタ39は、エンジン14(図3参照)が高速回転した状態で、インジェクタ20(図3参照)と共に吸気ポート17a(図3参照)に燃料噴射部39aから燃料を噴射するために設けられている。また、インジェクタ39は、可動ファンネル37の上側に配置されている。
また、固定ファンネル36は、図2および図9に示すように、隣接する2つの固定ファンネル36が接続部36bを介して一体的に形成された構造を有する。すなわち、本実施形態では、隣接する2つの固定ファンネル36が一体化された部品40が2つ設けられている。また、2つの固定ファンネル36が一体化された部品40には、図15に示すように、ねじ64(図16参照)が挿入されるねじ挿入穴36cが3つずつ設けられている。そして、図16に示すように、固定ファンネル36(部品40)は、ねじ挿入穴36cに挿入されたねじ64により、クリーナボックス24(下側ボックス部26)と共にスロットルボディ18に取り付けられている。なお、クリーナボックス24の下側ボックス部26にも、ねじ64が挿入されるねじ挿入穴26jが設けられている。また、固定ファンネル36(部品40)のねじ挿入穴36cの内側面には、係合部36dが設けられている。これにより、図17に示すように、ねじ64をスロットルボディ18に取り付ける前の状態においても、ねじ64の頭部64aを係合部36dに係合させることが可能であるので、ねじ64がねじ挿入穴36cから上側に抜けるのを抑制することが可能である。
また、図9に示すように、2つの固定ファンネル36が一体化された部品40には、支柱36eが一体的に設けられている。この支柱36eには、図15に示すように、後述する回動軸44の端部を回動可能に支持するための一対の回動軸支持穴36fが形成されている。
また、図9に示すように、2つの部品40の支柱36eには、固定穴36gがそれぞれ設けられている。また、2つの部品40の支柱36eの固定穴36gは、図15に示すように、ねじ65により下側ボックス部26(図2参照)にねじ止めされている。また、2つの支柱36eの前部には、図9に示すように、それぞれ、可動ファンネル37の固定ファンネル36側の開口部37a(図10および図11参照)が固定ファンネル36の吸気側の開口部36a(図10および図11参照)に対して離間する離間位置(図9の状態)に位置する場合に、後述するストッパ46cが当接する規制部36h(図11および図14参照)が設けられている。これら規制部36hは、それぞれ、支柱36eの前部から後側に向かって凹状に形成されている。
また、可動ファンネル37は、図15および図18に示すように、隣接する2つの可動ファンネル37が一対の支持軸37b(図18参照)を介して一体的に形成された構造を有する。すなわち、本実施形態では、隣接する2つの可動ファンネル37が一体化された部品41を2つ含んでいる。また、支持軸37bは、部品41の2つの可動ファンネル37間に配置されている。なお、支持軸37bは、それぞれ、後述する上側リンクレバー45および下側リンクレバー46により支持されている。また、支持軸37bには、図18に示すように、径小部37cが形成されている。
また、可動ファンネル37(部品41)の支持軸37bの径小部37cには、図11に示すように、割りブッシュ42aが装着されている。この割りブッシュ42aは、後述する上側リンクレバー45および下側リンクレバー46を支持軸37bに対して回動させる機能を有する。また、割りブッシュ42bは、図15に示すように、2つの可動ファンネル37が一体化された部品41間に位置する支持軸37dの径小部37eに装着されている。なお、2つの可動ファンネル37が一体化された部品41間に位置する割りブッシュ42bは、2つの支持軸37dの径小部37eを跨ぐように1つだけ装着されている。
また、図9および図12に示すように、可動ファンネル37の固定ファンネル36側の下端部には、ゴム製のシール部材43が装着されている。このシール部材43には、図18に示すように、4つの係合穴43aが設けられており、これら係合穴43aには、可動ファンネル37の4つの凸部37fが係合されている。これにより、シール部材43が可動ファンネル37の下端部から下側に抜け落ちるのを抑制することが可能である。また、シール部材43には、図19に示すように、側方に延びる第1シール部43bと、下方に延びる第2シール部43cとが形成されている。そして、可動ファンネル37が、離間位置(図19の状態)から当接位置(図20の状態)に移動した場合に、第1シール部43bが固定ファンネル36に当接して可動ファンネル37と固定ファンネル36との隙間を塞ぐとともに、第1シール部43bが上側に弾性変形することにより、第2シール部43cも固定ファンネル36に当接して可動ファンネル37と固定ファンネル36との隙間を塞ぐように構成されている。すなわち、シール部材43は、2重のシール構造を有するように構成されている。
また、本実施形態では、図11および図14に示すように、ファンネル移動機構部38は、後述する上側リンクレバー45および下側リンクレバー46を用いて、可動ファンネル37を、離間位置(図10および図11の状態)と、当接位置(図13および図14の状態)との間で移動可能に構成されている。
ファンネル移動機構部38の具体的な構造としては、図9および図15に示すように、固定ファンネル36(部品40)に設けられた支柱36eの回動軸支持穴36f(図15参照)に、図示しないブッシュを介して回動軸44の端部が回動可能に支持されている。また、回動軸44の一方および他方の端部には、図15に示すように、段差部44aが設けられているとともに、その段差部44aが支柱36eの回動軸支持穴36fの開口端部に図示しないブッシュを介して当接している。このため、回動軸44の軸方向への移動が規制されている。
また、図15に示すように、上側の回動軸44の一方および他方の端部側には、それぞれ、樹脂製の上側リンクレバー45が上側の回動軸44と共に回動するように取り付けられている。具体的には、上側の回動軸44の上側リンクレバー45が取り付けられる部分(後述する回動軸挿入穴45bに対応する部分)には、ローレット加工が施されており、上側の回動軸44および上側リンクレバー45は、一体成形されている。また、下側の回動軸44の一方および他方の端部側には、それぞれ、樹脂製の下側リンクレバー46が下側の回動軸44と共に回動するように取り付けられている。また、下側の回動軸44および下側リンクレバー46も、上側の回動軸44および上側リンクレバー45と同様に、一体成形されている。なお、上側リンクレバー45および下側リンクレバー46は、本考案の「リンクレバー」の一例である。
上側リンクレバー45は、図11に示すように、嵌込部45aと、回動軸挿入穴45bとを有する。上側リンクレバー45の嵌込部45aには、可動ファンネル37の上側の支持軸37b(径小部37c)が割りブッシュ42aを介して嵌め込まれている。これにより、上側リンクレバー45が上側の支持軸37bに対して回動可能となっている。また、図9および図12に示すように、上側リンクレバー45の回動軸挿入穴45bとローレット加工された上側の回動軸44の回動軸挿入穴45bに対応する部分とは、上側リンクレバー45が上側の回動軸44と共に回動するように構成されている。
また、下側リンクレバー46は、図11および図14に示すように、嵌込部46aと、回動軸挿入穴46bと、2つのストッパ46cおよび46dとを有する。下側リンクレバー46の嵌込部46aには、可動ファンネル37の下側の支持軸37b(径小部37c)が割りブッシュ42aを介して嵌め込まれている。これにより、下側リンクレバー46が下側の支持軸37bに対して回動可能となっている。また、下側リンクレバー46の回動軸挿入穴46bとローレット加工された下側の回動軸44の回動軸挿入穴46bに対応する部分とは、下側リンクレバー46が下側の回動軸44と共に回動するように構成されている。また、図11に示すように、下側リンクレバー46のストッパ46cは、下側リンクレバー46がE方向に所定量回動した場合(可動ファンネル37が離間位置に達した場合)に、固定ファンネル36の支柱36eの規制部36hに当接して下側リンクレバー46のE方向への回動を規制する機能を有する。また、図14に示すように、下側リンクレバー46のストッパ46dは、下側リンクレバー46がF方向に所定量回動した場合(可動ファンネル37が当接位置に達した場合)に、固定ファンネル36の支柱36eの後部に当接して下側リンクレバー46のF方向への回動を規制する機能を有する。なお、ストッパ46dは、上記したゴム製のシール部材43の弾性力が衰えた場合に、支柱36eの後部に当接するように構成されており、シール部材43の弾性力が衰えていない場合には、ストッパ46dは、支柱36eに当接しない。
また、図9および図12に示すように、下側の回動軸44には、回動軸44と共に回動する支持部47が設けられている。この支持部47は、各々に切欠部47a(図12参照)が形成された一対の狭持片47bによって構成されている。
また、図10および図13に示すように、部品41間に位置する支持軸37d(径小部37e)に装着されている割りブッシュ42bには、中間リンクレバー48が回動可能に取り付けられている。具体的には、中間リンクレバー48の一方側には、割りブッシュ42bに対して係合可能な嵌込部48aが形成されている。そして、嵌込部48aが割りブッシュ42bに対して回動可能に係合されている。また、中間リンクレバー48は、上側リンクレバー45および下側リンクレバー46と同様に、上側の回動軸44と一体成形されている。つまり、回動軸挿入穴48bには、中間リンクレバー48が上側の回動軸44と共に回動するように、回動軸44が取り付けられている。なお、中間リンクレバー48は、本考案の「リンクレバー」の一例である。
支持部47、上側リンクレバー45および下側リンクレバー46を上記のように構成することによって、図10および図11に示すように、支持部47(図10参照)をE方向に回動させることにより下側リンクレバー46(図11参照)をE方向に回動させた場合には、可動ファンネル37が固定ファンネル36から離れる方向に移動される。また、図13および図14に示すように、支持部47(図13参照)をF方向に回動させることにより下側リンクレバー46(図14参照)をF方向に回動させた場合には、可動ファンネル37(シール部材43)が固定ファンネル36に近づく方向に移動される。ここで、図11および図14に示すように、上側リンクレバー45および下側リンクレバー46の回動量は、離間位置(図11の状態)における可動ファンネル37の固定ファンネル36の開口部36a側の開口面の位置と、当接位置(図14の状態)における可動ファンネル37の固定ファンネル36の開口部36a側の開口面の位置とが、固定ファンネル36の開口方向から見て実質的に同じになるように調節されている。これにより、エンジン14が高速で回転する場合に、可動ファンネル37の開口部37aを固定ファンネル36の開口部36aに対して離間させたとしても、可動ファンネル37を通過して固定ファンネル36により吸入される空気の流動を直線的にすることが可能となるので、空気の流動抵抗が大きくなるのを抑制することが可能となる。その結果、エンジン14が高速で回転する場合(可動ファンネル37を固定ファンネル36に対して離間させた場合)に、吸気効率が低下するのを抑制することが可能となる。
また、図15に示すように、上側リンクレバー45および下側リンクレバー46(図9参照)は、クリーナボックス24(図3参照)の外部に配置されたモータ49の駆動力により回動するように構成されている。具体的には、モータ49は、車両の走行方向(矢印FWD方向)に沿って可動ファンネル37の後側に配置されている。また、モータ49の出力軸49aには、図10に示すように、回動レバー50の一方の端部が取り付けられている。この回動レバー50の他方の端部には、切欠状に形成された挟持部50aが設けられている。
回動レバー50は、図3に示すように、クリーナボックス24の下側ボックス部26の突出部26kの開口部26lを介して下側ボックス部26(突出部26k)の内部に配置されている。そして、回動レバー50の挟持部50aには、図10に示すように、移動部材51の両側面に設けられた突出部51aが、挟持部50aに対して揺動可能に取り付けられている。また、図21に示すように、移動部材51の内部には、移動軸52の一方端が配置されている。
また、移動軸52は、図15に示すように、2つの部品41(可動ファンネル37)の間に配置されている。また、移動軸52には、図21に示すように、上側押圧部52aおよび下側押圧部52bが所定の間隔を隔てて設けられている。また、移動部材51の内部には、移動軸52を摺動可能に支持するためのブッシュ53aおよび53bが設けられている。このブッシュ53aおよび53bは、上側押圧部52aと下側押圧部52bとの間に配置されている。また、移動部材51の内部において、ブッシュ53aとブッシュ53bとの間には、圧縮ばね54が装着されている。また、移動軸52の他方端には、図10に示すように、支持軸55が設けられている。この支持軸55には、回動軸44と共に回動する支持部47の切欠部47aが係合されている。
そして、モータ49の駆動力により回動レバー50をG方向に回動させた場合(図10の状態)には、図21に示すように、移動部材51がH方向に移動することにより圧縮ばね54にH方向の付勢力が発生するため、移動軸52が圧縮ばね54によりH方向に付勢される。このため、図10に示すように、圧縮ばね54(図21参照)の付勢力が移動軸52、支持部47および下側の回動軸44を介して下側リンクレバー46に伝達されるので、上側リンクレバー45および下側リンクレバー46がE方向に回動される。また、図11に示すように、下側リンクレバー46のストッパ46cが支柱36eの規制部36hに当接した状態においても、上側リンクレバー45および下側リンクレバー46がE方向に回動するように、上側リンクレバー45および下側リンクレバー46に対して圧縮ばね54(図21参照)の付勢力が移動軸52を介して伝達される。これにより、下側リンクレバー46のE方向への回動によりストッパ46cが支柱36eの規制部36hに当接した場合(可動ファンネル37が離間位置に達した場合)には、圧縮ばね54の付勢力により、下側リンクレバー46のストッパ46cが支柱36eの規制部36hに当接した状態を保持することが可能となるので、可動ファンネル37を離間位置に保持する場合に、可動ファンネル37が離間位置からずれた位置に移動されるのを抑制することが可能となる。
その一方、モータ49の駆動力により回動レバー50をI方向に回動させた場合(図13の状態)には、図22に示すように、移動部材51がJ方向に移動することにより圧縮ばね54にJ方向の付勢力が発生するため、移動軸52が圧縮ばね54によりJ方向に付勢される。このため、図13に示すように、圧縮ばね54(図22参照)の付勢力が移動軸52、支持部47および下側の回動軸44を介して下側リンクレバー46に伝達されるので、上側リンクレバー45および下側リンクレバー46がF方向に回動される。また、図14に示すように、下側リンクレバー46のストッパ46dが支柱36eに当接した状態においても、上側リンクレバー45および下側リンクレバー46がF方向に回動するように、上側リンクレバー45および下側リンクレバー46に対して圧縮ばね54(図22参照)の付勢力が移動軸52を介して伝達される。これにより、下側リンクレバー46のF方向への回動により可動ファンネル37(シール部材43)が当接位置に達した場合(ストッパ46dが支柱36eに当接した場合)には、圧縮ばね54の付勢力により、下側リンクレバー46のストッパ46dが支柱36eに当接した状態を保持することが可能となるので、可動ファンネル37を当接位置に保持する場合に、可動ファンネル37が当接位置からずれた位置に移動されるのを抑制することが可能となる。
次に、図3、図10、図11、図13、図14、図21および図22を参照して、エンジン14が高速で回転する場合と低速で回転する場合との吸気管の長さの切り替え動作について説明する。
図3に示したエンジン14が高速で回転する場合には、吸気の慣性効果および脈動効果を最適に得るために、吸気管を短くする。すなわち、エンジン14が高速で回転する場合には、可動ファンネル37を離間位置に移動させる。なお、吸気の慣性効果および脈動効果とは、吸気管の有効長さ、吸気管の有効径および吸気バルブの有効開閉時間によって定まる吸気管の圧力変動が吸気バルブの開閉タイミングに有効に作用することにより、エンジンの吸気充填効率が高まることである。
具体的には、まず、図10に示すように、ファンネル移動機構部38のモータ49により回動レバー50をG方向に回動させることによって、移動部材51をH方向に移動させる。これにより、圧縮ばね54(図21参照)にH方向の付勢力が発生することにより移動軸52がH方向に移動するので、下側リンクレバー46(図11参照)がE方向に回動する。この後、図11に示すように、下側リンクレバー46のストッパ46cが支柱36eの規制部36hに当接するまで、下側リンクレバー46のE方向への回動を続けて行う。
これにより、可動ファンネル37が離間位置に移動される。その結果、エンジン14(図3参照)が高速で回転する場合には、固定ファンネル36と、スロットルボディ18(図3参照)と、吸気ポート17a(図3参照)とによって吸気管が構成されるので、吸気管が短くなる。ここで、図3に示したエンジン14が高速で回転する場合において、吸気管を短くした場合には、吸気バルブ19aが開いた時に高圧の圧力波が吸気ポート17aのシリンダ16側の開口に達しやすくなるので、吸気効率が向上する。
なお、図10に示すように、可動ファンネル37が離間位置に達した状態では、固定ファンネル36の開口方向から見て、可動ファンネル37の固定ファンネル36の開口部36a側の開口面の位置は、当接位置(図13の状態)における可動ファンネル37の固定ファンネル36の開口部36a側の開口面の位置と同じである。また、可動ファンネル37が離間位置に達した状態では、上側リンクレバー45および下側リンクレバー46がE方向に回動するように、下側リンクレバー46に対して圧縮ばね54(図22参照)の付勢力が移動軸52を介して伝達されている。
なお、エンジン14が高速で回転する場合には、インジェクタ20のみならず、インジェクタ39からも燃料が噴射される。
次に、図3に示したエンジン14が低速で回転する場合には、吸気の慣性効果および脈動効果を適切に得るために、吸気管を長くする。すなわち、エンジン14が低速で回転する場合には、可動ファンネル37を当接位置に移動させる。
具体的には、まず、図13に示すように、ファンネル移動機構部38のモータ49により回動レバー50をI方向に回動させることによって、移動部材51をJ方向に移動させる。これにより、圧縮ばね54(図22参照)にJ方向の付勢力が発生することにより移動軸52がJ方向に移動するので、下側リンクレバー46(図14参照)がF方向に回動する。この後、図14に示すように、下側リンクレバー46のストッパ46dが支柱36eに当接するまで、下側リンクレバー46のF方向への回動を続けて行う。
これにより、可動ファンネル37が当接位置に移動される。その結果、エンジン14(図3参照)が低速で回転する場合には、可動ファンネル37と、固定ファンネル36と、スロットルボディ18(図3参照)と、吸気ポート17a(図3参照)とによって吸気管が構成されるので、吸気管が長くなる。ここで、図3に示したエンジン14が低速で回転する場合において、吸気管を長くした場合には、吸気バルブ19aが開いた時に高圧の圧力波が吸気ポート17aのシリンダ16側の開口に達しやすくなるので、吸気効率が向上する。
なお、図13に示すように、可動ファンネル37が当接位置に達した状態では、上側リンクレバー45および下側リンクレバー46がF方向に回動するように、下側リンクレバー46に対して圧縮ばね54(図22参照)の付勢力が移動軸52を介して伝達されている。
なお、エンジン14が低速で回転する場合には、インジェクタ20のみから燃料が噴射される。
図23〜図25は、本考案の一実施形態による自動二輪車のエアフィルタの組付工程を説明するための図である。次に、図2、図3、図7、図8、図23〜図25を参照して、本実施形態による自動二輪車1のエアフィルタ28の組付工程について説明する。
まず、図23に示すように、下側ボックス部26の凹部26aの後側部分にエアフィルタ28の本体部29の凸部29aを嵌め込んだ状態で、エアフィルタ28をA方向に回動させる。なお、この際、下側ボックス部26に設けられた曲面状の開口部26bの上面26cに沿って、エアフィルタ28に設けられた2つの凸部29cがガイドされるため、エアフィルタ28は、A方向にスムーズに回動される。
これにより、エアフィルタ28の本体部29の前部に設けられた2つのフック部29dが、下側ボックス部26の前部に形成された壁部26dの上端部に接触するとともに、上方に撓みながら壁部26dの外面26e側に移動される。そして、図24に示すように、2つのフック部29dは、先端部29eが外面26eに当接された状態で、壁部26dに係合される。この際、エアフィルタ28の凸部29aの前部は、下側ボックス部26の凹部26aの前部に配置されている。つまり、エアフィルタ28は、下側ボックス部26に対して仮止めされる。
また、この時、図25に示すように、エアフィルタ28の本体部29の車幅方向に設けられた位置規制部29fが下側ボックス部26のガイド部26fに係合される。具体的には、撓み変形可能に形成された位置規制部29fは、ガイド部26fに向かって付勢した状態で、ガイド部26fに当接される。これにより、位置規制部29fとガイド部26fとの間に摩擦力が生じるため、エアフィルタ28が下側ボックス部26に仮止めされた位置からA方向と反対方向側に回動するのを抑制することが可能となる。また、エアフィルタ28が車幅方向に移動するのも抑制することが可能となる。
その後、図3に示すように、上側ボックス部25を下側ボックス部26に配置する。そして、11個のねじ61(図7参照)を、上側ボックス部25のねじ挿入穴25cを介して下側ボックス部26のねじ穴26gにねじ止めする。この際、エアフィルタ28の受け部29g(図2の斜線部参照)および29h(図2の斜線部および図7参照)が、上側ボックス部25の押さえ部25a(図8参照)および25b(図8参照)により押圧される。これにより、エアフィルタ28と下側ボックス部26との間に隙間が生じるのを抑制した状態で、エアフィルタ28を下側ボックス部26に取り付けることが可能となる。なお、上記したように、上側ボックス部25の前部の車幅方向の中央部に形成されているねじ挿入穴25cに挿入されているねじ61は、エアフィルタ28のねじ挿入穴29i(図2参照)を介して下側ボックス部26にねじ止めされている。このようにしてエアフィルタ28の組み付けを完了する。
本実施形態では、上記のように、クリーナボックス24(下側ボックス部26)の所定の部分(上面26c)を支点として回動可能に形成されるとともに、組付時に、クリーナボックス24(下側ボックス部26)に対して係合されるフック部29dを含むエアフィルタ28を設ける。このエアフィルタ28のフック部29dにより、クリーナボックス24の(矢印FWD側とは反対側を支点として回動されたエアフィルタ28がクリーナボックス24(下側ボックス部26)の所定の位置から離れる方向(A方向とは反対側の方向)に回動するのを抑制することができる。これにより、クリーナボックス24(下側ボックス部26)の所定の位置に配置されたエアフィルタ28がクリーナボックス24(下側ボックス部26)の所定の位置から移動するのを抑制することができる。これにより、エアフィルタ28をクリーナボックス24(下側ボックス部26)に対してねじ止めする際に、再度、エアフィルタ28をクリーナボックス24(下側ボックス部26)に対して位置合せをする必要がない。その結果、エアフィルタ28をクリーナボックス24(下側ボックス部26)に対して組み付けるのを簡素化することができる。
また、本実施形態では、上記のように、エアフィルタ28がクリーナボックス24(下側ボックス部26)に対して回動することにより、エアフィルタ28がクリーナボックス24の所定の位置に配置された際に、エアフィルタ28がクリーナボックス24の所定の位置から離れる方向に回動するのを抑制するフック部29dをエアフィルタ28に設ける。このフック部29dにより、エアフィルタ28をクリーナボックス24(下側ボックス部26)に係合させることができる。その結果、クリーナボックス24の所定の位置に配置されたエアフィルタ28がクリーナボックス24の所定の位置から移動するのを抑制することができる。
また、本実施形態では、上記のように、エアフィルタ28のフック部29dを、撓み変形可能に構成するとともに、エアフィルタ28をクリーナボックス24(下側ボックス部26)の所定の位置に向かって回動させる際には、撓み変形して壁部26dの外面26e側に移動可能に構成する。また、エアフィルタ28がクリーナボックス24(下側ボックス部26)の所定の位置から離れる方向(A方向とは反対側の方向)に回動する際には、フック部29dの先端部29eが壁部26dの外面26eに当接するように構成する。これにより、容易に、フック部29dをクリーナボックス24(下側ボックス部26)に対してエアフィルタ28がクリーナボックス24の所定の位置から離れる方向にのみ係合させることができる。
また、本実施形態では、上記のように、エアフィルタ28のフック部29dを、クリーナボックス24(下側ボックス部26)の内側から壁部26dの上方を通過することにより壁部26dの外面26e側に延びるとともに、壁部26dの外面26eに向かって屈曲するように形成する。これにより、容易に、フック部29dをクリーナボックス24(下側ボックス部26)に対して係合させることができる。
また、本実施形態では、上記のように、エアフィルタ28に、エアフィルタ28がクリーナボックス24(下側ボックス部26)の所定の位置に配置された際に、エアフィルタ28がクリーナボックス24(下側ボックス部26)に対してエアフィルタ28の回動軸方向(車幅方向)に移動するのを抑制する位置規制部29fを設ける。この位置規制部29fにより、エアフィルタ28がクリーナボックス24に対してエアフィルタ28の回動軸方向(車幅方向)に移動するのを抑制することができる。これによっても、エアフィルタ28をクリーナボックス24(下側ボックス部26)に対してねじ止めする際に、再度、エアフィルタ28をクリーナボックス24(下側ボックス部26)に対して位置合せをする必要がない。
また、本実施形態では、上記のように、エアフィルタ28の位置規制部29fを、エアフィルタ28がクリーナボックス24(下側ボックス部26)の所定の位置から離れる方向(A方向とは反対側の方向)に回動するのを抑制する機能も有するように構成する。これにより、エアフィルタ28のフック部29dのみならず、位置規制部29fによっても、エアフィルタ28がクリーナボックス24(下側ボックス部26)の所定の位置から離れるように回動するのを抑制することができる。その結果、より確実にエアフィルタ28がクリーナボックス24(下側ボックス部26)に対して移動しない状態で、エアフィルタ28をクリーナボックス24(下側ボックス部26)の所定の位置に配置することができる。
また、本実施形態では、上記のように、位置規制部29fを、エアフィルタ28の回動軸方向(車幅方向)の両端部近傍に設けることによって、より確実に、エアフィルタ28がクリーナボックス24に対してエアフィルタ28の回動軸方向に移動するのを抑制することができる。
また、本実施形態では、上記のように、上側ボックス部25に、エアフィルタ28を下側ボックス部26に対して押圧する押さえ部25aを設ける。これにより、上側ボックス部25により、エアフィルタ28を下側ボックス部26に対して押圧した状態で、エアフィルタ28を下側ボックス部26に取り付けることができる。その結果、エアフィルタ28と下側ボックス部26との間に隙間が生じるのを抑制することができる。
また、本実施形態では、上記のように、エアフィルタ28に、上側ボックス部25の押さえ部25aにより押圧されるとともに、エアフィルタ28の他方(矢印FWD方向)端部に形成されている受け部29gを設ける。この受け部29gにより、容易に、クリーナボックス24(下側ボックス部26)に対して一方(矢印FWD方向とは反対方向)端部を支点として回動可能なエアフィルタ28の他方(矢印FWD方向)端部を押さえることができる。これにより、容易に、エアフィルタ28と下側ボックス部26との間に隙間が生じるのを抑制することができる。
また、本実施形態では、上記のように、エンジン14の上流側に配置され、空気をエンジン14に導く固定ファンネル36と、固定ファンネル36の上流側に移動可能に配置され、固定ファンネル36と共に空気をエンジン14に導く可動ファンネル37と、可動ファンネル37を移動可能に支持する上側リンクレバー45および下側リンクレバー46とを設ける。これら可動ファンネル37、上側リンクレバー45および下側リンクレバー46によって、エンジン14の回転速度に応じてファンネルの長さを切り替えることができるので、ファンネルの長さを、運転状態に適した長さに設定することができる。これにより、吸気効率を向上させることができる。
また、本実施形態では、上記のように、可動ファンネル37を移動可能に支持する複数の上側リンクレバー45および下側リンクレバー46を含むファンネル移動機構部38を設けることによって、容易に、可動ファンネル37を移動させることができる。
また、本実施形態では、上記のように、エアフィルタ28を、自動二輪車1の側方から視て、可動ファンネル37の上流側の開口を避けた位置で移動するように構成している。これにより、エアフィルタ28を交換する場合に、異物が可動ファンネル37の上流側の開口から入るのを抑制することができる。
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本考案の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく実用新案登録請求の範囲によって示され、さらに実用新案登録請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
たとえば、上記実施形態では、本考案を自動二輪車に適用する例を示したが、本考案はこれに限らず、自動二輪車以外の車両にも適用可能である。
また、上記実施形態では、4気筒のエンジンが搭載された車両に本考案を適用したが、本考案はこれに限らず、4気筒以外の多気筒のエンジンが搭載された車両や、単気筒のエンジンが搭載された車両にも適用可能である。
また、上記実施形態では、フック部をエアフィルタの回動軸となる凸部29cから最も離れたエアフィルタの前部に設けた例を示したが、本考案はこれに限らず、フック部を、たとえば、エアフィルタの車幅方向の両端部など、エアフィルタの前部以外に設けるようにしてもよい。
また、上記実施形態では、エアフィルタにフック部を2つ設けた例を示したが、本考案はこれに限らず、エアフィルタに1つのフック部または3つ以上のフック部を設けてもよい。