JP3154937B2 - 液晶バックライト用冷陰極低圧放電灯 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は冷陰極低圧放電灯に
係り、さらに詳しくは小形，軽量で、輝度の向上を図っ
た冷陰極低圧放電灯に関する。

【０００２】

【従来の技術】液晶表示装置は、ワードプロセッサー，
パーソナルコンピューター，液晶テレビなどの表示部と
して広く実用化されており、用途もさらに広がる傾向に
ある。そして、液晶表示装置は、多種多様な用途に対応
できる構造，機能を要求される傾向にあり、液晶バック
ライト用光源においても、小形，軽量で、耐用性や信頼
性の高いことが望まれる。

【０００３】ところで、液晶バックライト用光源として
は、一般的に、冷陰極蛍光ランプ（冷陰極低圧放電灯）
が使用されており、このような用途に対して、図２に要
部構成を断面的に示すような冷陰極蛍光ランプが提供さ
れている。すなわち、内壁面に、紫外線による刺激で発
光する蛍光体層１が設けられ、かつ希ガスを封有するガ
ラス管（ガラスバルブ）２と、このガラス管２の両端部
にそれぞれ封装された一対の冷陰極３，３′と、この一
対の冷陰極３，３′に一端が接続し、他端側がガラス管
２から封止導出された直径 0.2〜 0.5mm程度の導入線
４，４′とで構成されている。なお、要すれば、前記ガ
ラス管２の内壁面と蛍光体層１との間に紫外線反射層を
介挿することもある。

【０００４】この種の冷陰極蛍光ランプは、導入線４，
４′を介して各冷陰極３，３′に通電することによって
発生した初期プラズマ中のイオンにより、各冷陰極３，
３′から二次電子が放出され、ガラス管２内で放電が開
始する。そして、この放電開始に伴う放電エネルギーで
励起された水銀原子の共鳴遷移によって紫外線が放射さ
れ、この紫外線がガラス管２内壁面の蛍光体層１によっ
て可視光に変換され，可視光を発光する放電灯として機
能している。また、紫外線反射層を介挿した場合には、
蛍光体層１による可視光変換に当たり、蛍光体層１を透
過した紫外線が紫外線反射層で反射され、再び蛍光体層
１に戻されて可視光に変換されるので、紫外線の利用効
率が高まり、結果的に発光効率を高めることができる。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】上記のように、液晶バ
ックライト用の冷陰極蛍光ランプに関しては、市場の動
向として、バックライトユニットの薄型・軽量化ととも
に、高信頼性もしくは長寿命化（耐用性）が重要視され
ている。しかしながら、従来の液晶バックライト用冷陰
極蛍光ランプにおいては、封装された各冷陰極３，３′
に通電する導入線４，４′部の損傷が起こり易く、結果
的に寿命（耐用性）が低下する傾向が認められる。すな
わち、冷陰極３，３′に通電する導入線４，４′は、ガ
ラス管２端の気密封止部５，５′から軸方向に直線的に
延出されており、しかも、図３に要部を拡大して示すご
とく、ガラス管２の気密封止部（封止導出部）５，５′
における封着・封止面積が小さい。このため、外方への
引っ張り強度が劣っており、冷陰極蛍光ランプを着脱す
る過程で、気密封止の破壊，破断・断線など起こし易い
ので、光源機能を失する恐れもあり、液晶バックライト
としての信頼性が損なわれる。

【０００６】本発明は上記事情に対処してなされたもの
で、バックライトユニットの薄型，軽量化など可能であ
るだけでなく、信頼性の高い冷陰極低圧放電灯の提供を
目的とする。

【０００７】請求項１の発明は、内壁面に蛍光体層が設
けられ、かつ希ガスを封有するガラス管と、前記ガラス
管の両端にそれぞれ封装された一対の冷陰極と、前記冷
陰極に一端が電気的に接続し、他端側が前記ガラス管で
気密に封止されて前記ガラス管の両端部軸方向に導出さ
れた導入線とを有する冷陰極低圧放電灯であって、前記
導入線は気密封止部で少なくとも一部が圧潰による膨大
化又は曲線化されていることを特徴とする液晶バックラ
イト用冷陰極低圧放電灯である。

【０００８】

【０００９】本発明は、ガラス管（発光管もしくは発光
バルブ）の気密封止部における導入線の形態を変形し、
気密封止部での封着面積を大きくしたことを骨子とす
る。すなわち、気密封止される導入線の一部を、たとえ
ば平板状化（圧潰），断面楕円化などの膨大化、もしく
は撚り，螺旋化などの曲線化（異形化）によって、気密
封止部における封着面積を拡大化して、軸方向に延出す
る導入線の引っ張り強度を高め（同一径の場合に比べて
1.3〜 1.5倍程度向上）、もしくは引っ張り応力を緩和
させ、外部から加わる引っ張り応力による損傷を回避
（解消）することによって、信頼性の向上を図ったもの
である。なお、前記導入線の膨大化は、直線部に対して
1.3〜 2.0倍程度が好ましく、その膨大化方向は、一方
向もしくは他方向であってもよい。

【００１０】本発明においては、要すれば発光ガラス管
の内壁面に、可視光透過性で、かつ紫外線を反射する紫
外線反射層を介して蛍光体層を設けた構造とすることも
できる。すなわち、前記蛍光体層内壁面に可視光反射膜
を配設する構造において、蛍光体層の下地層として、可
視光を透過しながら紫外線を反射する紫外線反射層を介
挿すると、紫外線による蛍光体層における可視光の発光
効率も向上する。ここで、放電媒体の励起によって放射
される波長λの紫外線の反射率を高めるためには、多層
型の紫外線反射層が望ましい。すなわち、屈折率の高い
物質層および屈折率の低い物質層の各層ごとの厚さをλ
／4nに設定して積層型化することが望ましい（ nは各物
質の屈折率である）。

【００１１】このように、紫外線反射層を併設した場合
は、冷陰極低圧放電灯の発光の高効率化などが助長され
る。つまり、蛍光体層中の蛍光体を励起し、所要の可視
光に変換される紫外線が反射層で反射されて、再び蛍光
体の励起に寄与するのでより効率的な可視光変換が図ら
れ、発光効率の大幅な向上となる。

【００１２】

【発明の実施の形態】次に図１を参照して実施例を説明
する。

【００１３】図１は冷陰極低圧放電灯の要部構成例を拡
大して断面的に示したものである。図１において、６は
紫外線による刺激で発光する蛍光体層７が内壁面に設け
られ、かつ放電媒体、たとえば希ガスや水銀を封有する
外径 3.0mm，内径 2.0mmのガラス管、８，８′は前記ガ
ラス管６の両端部にそれぞれ封入された一対の冷陰極、
９，９′は前記冷陰極８，８′に一端が接続し、他端側
がガラス管６から気密封止部10，10′を導出された導入
線である。ここで、導入線９，９′は、直径 0.2〜 0.5
mm程度のジュメット線を素材とし、前記ガラス管６の気
密封止部10，10′において導入線９，９′の一部は、た
とえばプレス加工の圧潰によって平板化（膨大化）9a，
9a′された構成を採っている。

【００１４】上記冷陰極蛍光ランプは、導入線９，９′
を介して各冷陰極８，８′に通電すると、この通電で発
生した初期プラズマ中のイオンによって、各冷陰極８，
８′から二次電子を放出し、ガラス管６内で放電を開始
する。そして、この放電開始に伴う放電エネルギーは、
放電媒体（封入ガス）であるたとえば水銀原子の共鳴励
起によって紫外線を放射する。そして、この放射された
紫外線をガラス管６内壁面の蛍光体層７が吸収，励起し
て、可視光に変換して発光に寄与する。そして、蛍光ラ
ンプ（ガラス管６）の管璧側に放射された可視光は、管
璧を透過して蛍光ランプ外に放射される。

【００１５】一方、蛍光ランプ（ガラス管６）の取扱過
程で、軸方向に直線的に延出する導入線９，９′に外部
応力が加わっても、前記気密封止部10，10′での封着面
積を大きく採ったことに伴って、軸方向の引っ張り強度
が大幅に向上しているため、導入線９，９′の破断，気
密封止の損傷など起こすことなく、信頼性の高い冷陰極
蛍光ランプとして機能することが確認された。

【００１６】上記構成において、導入線９，９′の一部
を圧潰によって平板化（膨大化）9a，9a′する代わり
に、前記平板化（膨大化）9a，9a′に相当する部分を捩
じり変形（曲線化）させた構成を採った場合も、導入線
９，９′は、同様に軸方向の引っ張り強度が大幅に向上
しており、この部分が損傷を起こす恐れも解消して、こ
の面からの長寿命化を図れることを確認した。

【００１７】本発明は上記実施例に限定されるものでな
く、発明の趣旨を逸脱しない範囲でいろいろの変形を採
ることができる。たとえば、ガラス管の径，冷陰極の構
成，導入線の直線部の径，蛍光体層中の蛍光体など、特
に限定されるものではない。

【００１８】

【発明の効果】本発明に係る冷陰極低圧放電灯によれ
ば、導入線は封着強度が大幅（従来型に比べ 1.3〜 1.5
倍）に向上した形態でガラス管（発光バルブ）に気密封
止導出されているため、ガラス管軸方向の引っ張り応力
が加わっても、気密封止導出部において、破断や剥離な
ど起こす恐れが解消する。つまり、製造工程，試験検査
過程，機器類への着脱操作などにおいて、外界から引っ
張り応力が加わった場合でも、損傷される恐れが大幅に
低減しているため、その分、信頼性の向上もしくは長寿
命化が図られることになる。そして、この高信頼性化
は、冷陰極低圧放電灯の小形，軽量化など相俟って、た
とえば小形で高品位な液晶表示装置の実現にも寄与す
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る冷陰極低圧放電灯の要部構成例を
拡大して示す断面図。

【図２】冷陰極低圧放電灯の要部構成を示す断面図。

【図３】従来の冷陰極低圧放電灯の要部構成を拡大して
示す断面図。

【符号の説明】

１，７……蛍光体層 ２，６……ガラス管 ３，３′，８，８′……冷陰極 ４，４′，９，９′……導入線 8a，8a′……導入線の膨大化部 ５，５′，９，９′……導入線の気密封止部

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 内壁面に蛍光体層が設けられ、かつ希ガ
   スを封有するガラス管と、 前記ガラス管の両端にそれぞれ封装された一対の冷陰極
   と、 前記冷陰極に一端が電気的に接続し、他端側が前記ガラ
   ス管で気密に封止されて前記ガラス管の両端部軸方向に
   導出された導入線とを有する冷陰極低圧放電灯であっ
   て、 前記導入線は気密封止部で少なくとも一部が圧潰による
   膨大化又は曲線化されていることを特徴とする液晶バッ
   クライト用冷陰極低圧放電灯。