JP3154002B2 - 直交受信方式の受信コイル及びこの受信コイルを用いた磁気共鳴イメージング装置 - Google Patents

直交受信方式の受信コイル及びこの受信コイルを用いた磁気共鳴イメージング装置

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JP3154002B2 JP19820291A JP19820291A JP3154002B2 JP 3154002 B2 JP3154002 B2 JP 3154002B2 JP 19820291 A JP19820291 A JP 19820291A JP 19820291 A JP19820291 A JP 19820291A JP 3154002 B2 JP3154002 B2 JP 3154002B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、2系統のコイルをその
受信感度方向を互いに直交させて配置しこの直交軸を電
気的に調節可能として直交調整を適宜行うことができる
直交受信方式の受信コイル及びこの受信コイルを受信系
内の受信コイルとして用いた磁気共鳴イメージング装置
に関する。
【0002】
【従来の技術】磁気共鳴イメージング装置は、核磁気共
鳴(以下「NMR」と略称する)現象を利用して被検体
中の所望の検査部位における原子核スピンの密度分布、
緩和時間分布等を計測して、その計測データから被検体
の断面を画像表示するものである。この場合、均一で強
力な静磁場発生装置内に置かれた被検体の原子核スピン
は、静磁場の強さによって定まる周波数(ラーモア周波
数)で静磁場の方向を軸として歳差運動を行なう。そこ
で、このラーモア周波数に等しい周波数の高周波パルス
を外部より照射すると、スピンが励起され高いエネルギ
ー状態に遷移する(NMR現象)。この照射を打ち切る
と、スピンはそれぞれの状態に応じた時定数でもとの低
いエネルギー状態にもどり、このときに外部に電磁波を
放出する。これをその周波数に同調した高周波受信コイ
ルで検出する。このとき、空間内に位置情報を付加する
目的で、3軸の傾斜磁場を静磁場空間に印加する。この
結果、空間内の位置情報を周波数情報として捕らえるこ
とが可能である。
【0003】上記の受信コイルの感度を向上する手段と
しては、二つのコイルを直交状態に配置して同時に使用
し、S/N比を向上する直交受信方式の受信コイルがあ
る。この直交受信方式の受信コイルは、「ジャーナル
オブ マグネティック レゾナンス 53-324-327,1983
年」(JOURNAL OF MAGNETIC RESONANCE 53-324-327,198
3)に記載されているように、前記原子核スピンが平面
上を回転していることに着目して、直交状態に配置され
た二つの受信コイルで独立した信号受信を行ない、それ
ぞれの出力の位相差を位相補正器で補正した後、加算器
で合成することにより、一つの受信コイルだけの場合と
比較して信号は2倍、ノイズはランダムノイズであるた
めに平均的に√2倍となり、この結果、約40%S/N
比を改善することができるというものである。
【0004】上記のような直交受信方式でS/N比を改
善するためには、二つのコイルが独立に受信できること
が重要であり、直交状態が崩れると改善量が低下するば
かりでなく、同一周波数に同調しているため強力に誘導
結合を生じ、S/N比が著しく悪化する。この状態を図
面を参照して説明すると、図9に示すように、導電体ル
ープL1と共振容量Cとから成る第一のコイル1と他の
導電体ループL2と共振容量Cとから成る第二のコイル
2とは、その受信感度方向を互いに直交して配置されて
おり、同一周波数に同調している。このときの上記両コ
イル1,2を組み合わせて成る受信コイル3の共振特性
は、出力端子4から見たインピーダンスZで知ることが
できる。すなわち、図11(a)に示すように、二つの
コイル1,2が直交状態にあり、例えば第一のコイル1
による磁束φ1が第二のコイル2を通らずに磁束バラン
スが取れており両者の誘導結合が無い場合は、その共振
特性は、図10の(a)に示すように鋭いピークを持っ
たものとなる。これに対し、図11(b)に示すよう
に、上記二つのコイル1,2の幾可学的アンバランスや
付随回路の影響等により両コイルの直交状態が崩れ、破
線で示すように例えば第一のコイル1による磁束φ2
第二のコイル2を通るときは、これが結合磁束となって
磁束バランスが崩れ両者間に誘導結合が生じる。そし
て、まだその程度が少ない場合は互いに負荷となるため
に図10の(b)に示すように共振特性が悪化し、さら
に結合が大きくなると(c)に示すように同調周波数に
谷を生じて信号受信が不可能となる。
【0005】そこで、従来は、上記の誘導結合を阻止す
るために、図11(b)に示すように、受信コイル3の
一部に導電板5を取り付け、この導電板5による高周波
シールドの作用により上記結合磁束φ2を低減し、二つ
のコイル1,2の磁束バランスを取ることによって上記
の問題に対処していた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、このような従
来の直交受信方式の受信コイル3においては、二つのコ
イル1,2間の誘導結合を阻止するのに、上記受信コイ
ル3の一部に導電板5を取り付け、この導電板5の面積
や取り付け位置を変化させることによって磁束バランス
を調整するようになっていたので、その磁束バランスの
微妙な最適点を見つけるのが難しく、調整が困難であり
かつ時間を要するものであった。さらに、上記のよう
に、従来の受信コイル3は、機械的な変化を伴うため、
外部から遠隔操作により調整するのが難しいものであっ
た。従って、本来は、個々の被検体に対する受信コイル
の装着ごとに磁束バランスを最適点に微調整する必要が
あるのに、実際にはその調整がほとんどできないもので
あった。また、上記受信コイル3に取り付けた導電板5
の取り付け位置や面積は自由に変化させることができ
ず、柔軟な導電体ループを使用したフレキシブルコイル
に、直交受信方式を適用することができないものであっ
た。
【0007】そこで、本発明は、このような問題点に対
処し、受信感度方向を互いに直交させて配置した2系統
のコイルの直交軸を電気的に調節可能として直交調整を
適宜行なうことができる直交受信方式の受信コイル及び
この受信コイルを受信系内の受信コイルとして用いた磁
気共鳴イメージング装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明による直交受信方式の受信コイルは、互いに
受信感度方向が異なりそれぞれ共振系をなす三つ以上の
導電体ループを用い、これらを組み合わせて一つ又は二
つ以上の導電体ループを有する2系統のコイルを形成
し、各系統の個々の導電体ループの共振周波数を調整す
ることにより、上記2系統のコイルの受信感度方向が互
いに直交するように調節しうるようにしたものである。
【0009】また、上記直交受信方式の受信コイルの関
連発明としての磁気共鳴イメージング装置は、被検体に
均一な静磁場を与える静磁場発生手段と、上記被検体に
傾斜磁場を与える傾斜磁場発生手段と、上記被検体の生
体組織を構成する原子の原子核に核磁気共鳴を起こさせ
るために高周波信号を照射する送信系と、上記の核磁気
共鳴により放出される高周波信号を検出する受信系と、
この受信系で検出した高周波信号を用いて画像再構成演
算を行う信号処理系とを備えてなる磁気共鳴イメージン
グ装置において、上記受信系内の受信コイルとして、上
記のように構成された直交受信方式の受信コイルを用い
たものである。
【0010】
【作用】上記のように構成された直交受信方式の受信コ
イルは、互いに受信感度方向が異なりそれぞれ共振系を
なす三つ以上の導電体ループを用い、これらを組み合わ
せて形成され一つ又は二つの導電体ループを有する2系
統のコイルにおいて、各系統の個々の導電体ループの共
振周波数を調整することにより、上記2系統のコイルの
受信感度方向が互いに直交するように調節する。これに
より、上記2系統のコイルの直交軸を電気的に調節し、
直交調整を適宜容易に行なうことができる。
【0011】また、上記のように構成された磁気共鳴イ
メージング装置は、その受信系内の受信コイルとして、
上記2系統のコイルの直交軸を電気的に調節し、直交調
整を適宜容易に行なえるようにした直交受信方式の受信
コイルを用いることにより、個々の被検体に対する受信
コイルの装着ごとに磁束バランスを最適点に微調整する
ことができ、良好な診断画像を得ることができる。
【0012】
【実施例】以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて
詳細に説明する。図1は本発明による直交受信方式の受
信コイル10の原理及び基本構成を示す説明図であり、
図2は上記受信コイル10の接続状態を示す回路図であ
る。この直交受信方式の受信コイル10は、磁気共鳴イ
メージング装置の受信系内の受信コイルとして用いられ
るもので、図1に示すように、互いに受信感度方向が異
なるコイル11と、コイル12と、コイル13とを有
し、これらを組み合わせて全体として2系統のコイルに
形成されている。
【0013】1番目のコイル11は、導電体ループL1
と共振容量Cとで共振系をなしており、この共振系によ
り信号周波数に同調し、例えば矢印Pで示す方向に感度
方向を有しており、このコイル一つで一方の系統の第一
のコイル11を形成している。次に、2番目のコイル1
2は、他の導電体ループL2と可変共振容量C′とで共
振系をなしており、上記可変共振容量C′により共振周
波数を微調整することによって、例えば矢印Rで示す方
向に感度方向を設定できるようになっている。さらに、
3番目のコイル13は、更に他の導電体ループL3と可
変共振容量C′とで共振系をなしており、上記可変共振
容量C′により共振周波数を微調整することによって、
例えば矢印Qで示す方向に感度方向を設定できるように
なっている。そして、上記二つのコイル12と13とを
組み合わせて他方の系統の第二のコイル14を形成して
いる。この場合、上記第二のコイル14全体の合成感度
方向は、例えば矢印Sで示す方向に設定される。
【0014】この状態で、第一のコイル11を1系統と
し、第二のコイル14を2系統として、本発明の受信コ
イル10が形成される。そして、第二のコイル14の個
々の導電体ループL2,L3の共振周波数を調整し、その
合成感度方向Sをある範囲で任意に振ることにより、そ
の合成感度方向Sを上記第一のコイル11の感度方向P
に対して直交するように調節することができる。従っ
て、上記第一のコイル11と第二のコイル14との組み
合わせにより、直交軸を電気的に調節可能とした受信コ
イル10が実現できる。ただし、上記それぞれのコイル
11,12,13の感度方向P,Q,Rは、スピンの回
転平面により決定される信号方向である必要がある。
【0015】上記のように構成された直交受信方式の受
信コイル10の接続を示す回路図は、図2のようにな
る。図において、符号15は受信回路を示しており、上
記受信コイル10で検出した高周波信号を増幅して出力
するものである。まず、第一のコイル11は、導電体ル
ープL1と、共振容量C及び可変容量ダイオードVDの
接合間容量とによって信号周波数に同調される。この第
一のコイル11で検出された高周波信号は、上記受信回
路15内の直流阻止容量C″を介して第一のプリアンプ
16aに入力する。このとき、図示外の磁気共鳴イメー
ジング装置の制御部から送出される制御信号C1により
制御される第一のD/A変換器17aは同調電圧を与え
るもので、抵抗Rによって受信動作への影響を抑えてい
る。そして、上記第一のプリアンプ16aから出力信号
1が得られる。
【0016】次に、第二のコイル14は、導電体ループ
2及び共振容量C並びにこの共振容量Cの一部に接続
された直交軸調節のための可変容量ダイオードからなる
可変共振容量C′を備えたコイル12と、他の導電体ル
ープL3及び共振容量C並びにこの共振容量Cの一部に
接続された直交軸調節のための可変容量ダイオードから
なる可変共振容量C′を備えたコイル13とを有し、各
コイル12,13の可変共振容量C′は互いに逆方向に
接続されており、この状態で各コイル12と13とが並
列に接続されている。この第二のコイル14は、上記第
一のコイル11と同様に、制御信号C2により制御され
る第二のD/A変換器17bによって同調電圧が与えら
れ、第二のプリアンプ16bで増幅されて出力信号S2
が得られる。このとき、第二のコイル14は、制御信号
3により制御される第三のD/A変換器17cが接続
されており、上記制御信号C3によって平衡制御され
て、上記両コイル12,13全体での同調周波数を変え
ずに前記第一のコイル11との直交軸のみを可変できる
ようにされている。
【0017】次に、図2に示す回路図で表される直交受
信方式の受信コイル10の同調動作について、図3を参
照して説明する。初めに、図3(f)に示すタイミング
aにおいて、第一のコイル11単体での同調をとる。こ
のとき、第二のコイル14を形成するコイル12,13
の影響を排除する必要があるが、これは図2に示す制御
信号C2により第二のD/A変換器17bから第二のコ
イル14に−Vの負電圧(図3(d)参照)を印加し、
可変容量ダイオードVDに順電流を流して導通させ、十
分に離調することによって実現される。この状態で、図
2に示す制御信号C1によって第一のD/A変換器17
aの出力電圧を変え、図3(a)に示すように第一のコ
イル11の出力信号S1から最大出力が得られるような
同調点αを、図3(c)に示すようにコイル11に対す
る制御信号C1の中で決定する。
【0018】次に、図3(f)に示すタイミングbにお
いて、上記第一のコイル11を前記と同様に離調した状
態で、第二のコイル14の同調点β(図3(d)参照)
を決定する。このとき、図2に示す直交軸調節のための
制御信号C3は、コイル12及びコイル13の可変共振
容量C′をなすそれぞれの可変容量ダイオードが同容量
となるような電圧Vd(図3(e)参照)を、第三のD
/A変換器17cから与えるように設定しておく。この
状態で、図2に示す制御信号C2によって第二のD/A
変換器17bの出力電圧を変え、図3(b)に示すよう
にコイル14の出力信号S2から最大出力が得られるよ
うな同調点βを、図3(d)に示すようにコイル14に
対する制御信号C2の中で決定する。
【0019】次に、図3(f)に示すタイミングcにお
いて、コイル11とコイル14とをその同調点α,βで
同時に動作させると、直交性の十分にとれていない状態
では、前述したように受信感度の低下として観測され
る。そこで、図2に示す直交軸調節のための制御信号C
3により制御される第三のD/A変換器17cによって
平衡電圧を変化させ、図3(a),(b)に示すように
上記コイル11,14の出力信号S1,S2ともに最大出
力となるような点γを、図3(e)に示すように制御信
号C3の中で決定する。これが、第一のコイル11と第
二のコイル14との直交状態が実現された状態であり、
上記のように決定した各制御信号C1,C2,C3で高周
波信号の受信を行なえば、図3(f)のタイミングdに
示すように、最大感度の出力信号S1,S2を得ることが
できる。
【0020】そして、上記受信コイル10の出力信号S
1,S2は、図4に示すシフター18に入力する。図2に
示すコイル11からの出力信号S1は、第一の減衰器
(ATT)19aに入力して図5の(a)に示すような
波形に調整される。また、図2に示すコイル14からの
出力信号S2は、第二の減衰器(ATT)19bに入力
して図5の(b)に示すような波形に調整される。そし
て、上記第一の減衰器19aから出力された信号は、次
の位相補正器(PS)20へ入力して位相差が補正さ
れ、図5の(c)に示すような波形とされる。その後、
この位相補正器20からの信号と上記第二の減衰器19
bからの信号とは、加算器21へ入力して合成され、図
5の(d)に示すような波形とされる。この結果、上記
シフター18から出力される信号の信号電圧は、図5か
らも明らかなように、受信回路15から入力したものに
対して2倍となるが、ノイズ電圧は相関性がないため平
均的に√2倍となり、全体としてS/N比を40%程度
改善することができる。ただし、これは2系統のコイル
11,14に感度差が無い場合のことである。
【0021】図6は本発明による直交受信方式の受信コ
イル10の他の実施例を示す分解組立斜視図である。垂
直磁場方式の磁気共鳴イメージング装置の場合、原子核
スピンの回転面は水平面であり、上記受信コイル10の
感度方向は、水平面内にあることが必要である。そこ
で、一般的には、直交受信方式の受信コイル10には、
ソレノイド型コイルとサドル型コイルとの組み合わせを
用いる。図6においては、第一のコイル11としてソレ
ノイド型コイルを用い、第二のコイル14を形成する二
つのコイル12,13としてサドル型コイルを用いた場
合を示している。そして、上記サドル型コイルから成る
コイル12,13の導電体ループL2,L3の形状を、図
6に示すように、平行に伸びた直線状の中間部材の両端
部にてその中間部材に直交して互いに反対方向に半円弧
状に突出した端部材を有する形状にすると、それぞれの
導電体ループL2,L3の感度方向が異なり、直交軸を適
宜変化できる受信コイル10が構成される。
【0022】図7は本発明による直交受信方式の受信コ
イル10をフレキシブルコイル22に適用した実施例を
示す斜視図である。フレキシブルコイル22は、柔軟な
導電体ループを使用したコイルであり、被検体の体型に
合わせて変形可能とされ、装着性がよく被検体に不快感
を与えないという利点を有する。この実施例では、上記
のようなフレキシブルコイル22の導電体ループとし
て、図1又は図6に示す直交軸を電気的に調節可能とし
た2系統のコイル11,14を用い、コイル導体の基端
部に主コネクタ23を設けると共に他端部には適宜の間
隔をあけて複数個のコイル径調整用コネクタ24a,2
4b,24cを設け、フレキシブルコイル22の直径が
適宜可変とされている。なお、符号25は出力コネクタ
を示している。そして、一般的に受信コイルの感度は、
その直径が小さいほど高くなることが知られており、被
検体の大きさに合わせた最適直径を選択できるフレキシ
ブルコイル22は、被検体に応じて良好な感度とするこ
とができる。さらに、本実施例の場合は、被検体への受
信コイルの装着の都度、2系統のコイルから成る直交受
信方式の受信コイル10の直交軸を調節できるため、従
来不可能であった受信コイルの変形が可能となり、更に
感度向上を図ることができ、特に体幹部領域において最
良の感度を有する受信コイルを実現することができる。
【0023】なお、図2に示す回路図においては、直交
軸の調節は、コイル12及び13に接続された可変容量
ダイオードから成る可変共振容量C′を用いて、ソフト
ウェアにより電気的に制御するものとしたが、これに限
らず、上記可変共振容量C′として可変容量コンデンサ
を使用し、手動で調節するようにしてもよい。
【0024】図8は以上のように構成された直交受信方
式の受信コイルを用いた磁気共鳴イメージング装置の実
施例を示すブロック図である。この磁気共鳴イメージン
グ装置は、核磁気共鳴(NMR)現象を利用して被検体
の断層像を得るもので、図8に示すように、静磁場発生
磁石26と、傾斜磁場発生系27と、送信系28と、受
信系29と、信号処理系30と、シーケンサ31と、中
央処理装置(CPU)32とを備えて成る。
【0025】上記静磁場発生磁石26は、被検体33の
周りにその体軸方向または体軸と直交する方向に強く均
一な静磁場を発生させるもので、上記被検体33の周り
のある広がりをもった空間に永久磁石方式又は常電導方
式あるいは超電導方式の磁場発生手段が配置されてい
る。傾斜磁場発生系27は、X,Y,Zの三軸方向に巻
かれた傾斜磁場コイル34と、それぞれのコイルを駆動
する傾斜磁場電源35とから成り、後述のシーケンサ3
1からの命令に従ってそれぞれのコイルの傾斜磁場電源
35を駆動することにより、X,Y,Zの三軸方向の傾
斜磁場Gx,Gy,Gzを被検体33に印加するように
なっている。この傾斜磁場の加え方により、被検体33
に対するスライス面を設定することができる。
【0026】送信系28は、後述のシーケンサ31から
送出される高周波磁場パルスにより被検体33の生体組
織を構成する原子の原子核に磁気共鳴を起こさせるため
に高周波信号を照射するもので、高周波発振器36と変
調器37と高周波増幅器38と照射コイル39とから成
り、上記高周波発振器36から出力された高周波パルス
をシーケンサ31の命令に従って変調器37で振幅変調
し、この振幅変調された高周波パルスを高周波増幅器3
8で増幅した後に被検体33に近接して配置された照射
コイル39に供給することにより、電磁波が上記被検体
33に照射されるようになっている。
【0027】受信系29は、被検体33の生体組織の原
子核の磁気共鳴により放出される高周波信号(NMR信
号)を検出するもので、受信コイル10と受信回路15
とシフター18と直交位相検波器40とA/D変換器4
1とから成り、上記照射コイル39から照射された電磁
波による被検体33の応答の電磁波(NMR信号)は被
検体33に近接して配置された受信コイル10で検出さ
れ、受信回路15及びシフター18並びに直交位相検波
器40を介してA/D変換器41に入力してディジタル
量に変換され、さらにシーケンサ31からの命令による
タイミングで直交位相検波器40によりサンプリングさ
れた二系列の収集データとされ、その信号が信号処理系
30に送られるようになっている。
【0028】この信号処理系30は、CPU32と、磁
気ディスク42及び光ディスク43等の記録装置と、C
RT等のディスプレイ44とから成り、上記CPU32
でフーリエ変換、補正係数計算、画像再構成等の処理を
行ない、任意断面の信号強度分布あるいは複数の信号に
適当な演算を行なって得られた分布を画像化してディス
プレイ44に断層像として表示するようになっている。
【0029】シーケンサ31は、上記被検体33の生体
組織を構成する原子の原子核に磁気共鳴を起こさせる高
周波磁場パルスをある所定のパルスシーケンスで繰り返
し印加する制御手段となるもので、CPU32の制御で
動作し、被検体33の断層像のデータ収集に必要な種々
の命令を送信系28及び傾斜磁場発生系27並びに受信
系29に送るようになっている。
【0030】ここで、本発明においては、上記受信系2
9内の受信コイル10としては、図1又は図6に示す2
系統のコイル11,14から成るものとし、受信回路1
5は図2に示す回路構成とされ、さらにシフター18は
図4に示す回路構成とされている。このような構成によ
り、受信系29内の受信コイル10として直交受信方式
の受信コイルを用いることにより、その2系統のコイル
11,14の直交調整が容易に行なえ、個々の被検体3
3に対する受信コイル10の装着ごとに磁束バランスを
最適点に微調整することができ、良好な診断画像を得る
ことができる。
【0031】
【発明の効果】本発明による直交受信方式の受信コイル
(図1参照)は以上のように構成されたので、互いに受
信感度方向が異なりそれぞれ共振系をなす三つ以上の導
電体ループL1,L2,L3を用い、これらを組み合わせ
て形成され一つ又は二つ以上の導電体ループを有する2
系統のコイル11,14において、各系統の個々の導電
体ループの共振周波数を調整することにより、上記2系
統のコイル11,14の受信感度方向が互いに直交する
ように調節することができる。これにより、上記2系統
のコイル11,14の直交軸を電気的に調節し、直交調
整を適宜容易に行なうことができる。また、本発明によ
れば、柔軟な導電体ループを使用したフレキシブルコイ
ルに、直交受信方式を適用することができる。
【0032】また、本発明による磁気共鳴イメージング
装置(図8参照)は以上のように構成されたので、その
受信系29内の受信コイル10として、上記2系統のコ
イル11,14の直交軸を電気的に調節し、直交調整を
適宜容易に行なえるようにした直交受信方式の受信コイ
ルを用いることにより、個々の被検体に対する受信コイ
ル10の装着ごとに磁束バランスを最適点に微調整する
ことができ、良好な診断画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による直交受信方式の受信コイルの原
理及び基本構成を示す説明図、
【図2】 上記受信コイルの接続状態を示す回路図、
【図3】 図2に示す回路図で表される直交受信方式の
受信コイルの同調動作を説明するためのタイミング線
図、
【図4】 上記受信コイルの出力信号を処理するシフタ
ーの内部構成を示すブロック図、
【図5】 上記シフター内での信号波形を示す波形図、
【図6】 本発明による直交受信方式の受信コイルの他
の実施例を示す分解組立斜視図、
【図7】 本発明による直交受信方式の受信コイルをフ
レキシブルコイルに適用した実施例を示す斜視図、
【図8】 以上の直交受信方式の受信コイルを用いた磁
気共鳴イメージング装置の実施例を示すブロック図、
【図9】 従来の直交受信方式の受信コイルを示す説明
図、
【図10】 その直交受信方式の受信コイルの共振特性
を示すグラフ、
【図11】 従来の直交受信方式の受信コイルにおいて
2系統のコイル間に誘導結合が生じた場合の対処手段を
説明する斜視図。
【符号の説明】
10…受信コイル、 11…第一のコイル、 12,1
3…コイル、 14…第二のコイル、 15…受信回
路、 18…シフター、 22…フレキシブルコイル、
26…静磁場発生磁石、 27…傾斜磁場発生系、
28…送信系、29…受信系、 30…信号処理系、
31…シーケンサ、 32…CPU、33…被検体、
1,L2,L3…導電体ループ、 C…共振容量、
C′…可変共振容量。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61B 5/055

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 互いに受信感度方向が異なりそれぞれ共
    振系をなす三つ以上の導電体ループを用い、これらを組
    み合わせて一つ又は二つ以上の導電体ループを有する2
    系統のコイルを形成し、各系統の個々の導電体ループの
    共振周波数を調整することにより、上記2系統のコイル
    の受信感度方向が互いに直交するように調節しうるよう
    にしたことを特徴とする直交受信方式の受信コイル。
  2. 【請求項2】 被検体に均一な静磁場を与える静磁場発
    生手段と、上記被検体に傾斜磁場を与える傾斜磁場発生
    手段と、上記被検体の生体組織を構成する原子の原子核
    に核磁気共鳴を起こさせるために高周波信号を照射する
    送信系と、上記の核磁気共鳴により放出される高周波信
    号を検出する受信系と、この受信系で検出した高周波信
    号を用いて画像再構成演算を行う信号処理系とを備えて
    なる磁気共鳴イメージング装置において、上記受信系内
    の受信コイルとして、請求項1記載の直交受信方式の受
    信コイルを用いたことを特徴とする磁気共鳴イメージン
    グ装置。
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