JP3152263U - 高精度超砥粒研削砥石の取付構造 - Google Patents

高精度超砥粒研削砥石の取付構造 Download PDF

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Abstract

【課題】研削装置に簡易な構造によって取り付けることができ、取付け後の加工精度を向上させ、加工時の不具合を改善する高精度超砥粒研削砥石の取付構造を提供する。【解決手段】回転軸2に外嵌される砥石を支持するためのホイールマウント3と、該ホイールマウントに外嵌される超砥粒研削砥石4とを有し、前記ホイールマウント3が先端部より後端に向かって縮径するように形成されたテーパー形状を有し、かつ環状部分の一箇所が切断された切割りを有する。また前記超砥粒研削砥石4の内周面は前記ホイールマウント3の外周面と対抗するように形成されたテーパー形状を有し、前記ホイールマウント3の先端部よりスラスト方向へリングカラーによって締付固定5されている。【選択図】図1

Description

本考案は、高精度超砥粒研削砥石を砥石用モータ回転軸に装着するための構造に関し、簡易な構成で加工精度を向上させることができる超砥粒研削砥石の取付構造に関する。
従来、砥石用のモータ回転軸への超砥粒研削砥石の取り付けは、一般的に基端部より先端部に向かって縮径し、又は同径長状のモータ回転軸に、フランジ(ホイールマウントとも呼ばれる。)を取り付け、更に前記フランジの外周に超砥粒研削砥石を外嵌し、ナットで固定することによって行われている。このような従来の超砥粒研削砥石の取り付けに使用されるフランジは、少なくとも外周面が同径長のストレート型であった。
しかし、従来のフランジでは、超砥粒研削砥石を外嵌しナットで固定すると、フランジの外形寸法と超砥粒研削砥石の内径寸法との誤差量によって、超砥粒研削砥石を研削回転させる際にラジアル方向(外周方向)に振動が発生する。特に数回にわたって取り外し作業を繰り返すと、モータ回転軸の軸外径が摩耗により小さくなるため振動が発生しやすくなる。さらに切削によって生じた切り粉がモータ回転軸周りに付着し、超砥粒研削砥石の内周面との間に異物が入り込み、振動発生の原因になっていた。
一般的に焼結ボンド仕様の超砥粒研削砥石の場合には、ラジアル方向の振動を防止するために、振れ取り工具(以下、「ルツア」と記載する)によって、ある程度振動を取り、ドレッシングを行うことがなされている。例えば、特許文献1及び2等の種々のツルアが開示されている。
しかし、高精密超砥粒研削砥石においては、使用前に動的バランスを正確にとっても、外嵌後の振動量のバラツキによって動的バランスが崩れ、加工品位に影響ができることがあった。
また電解めっき及び無電解めっきによって製造された電着ボンド超砥粒研削砥石の場合は、ルツアを使用してドレッシングを行うことは砥石性能を保持する上で困難であった。
電着ボンド超砥粒研削砥石を使用するに際、研削作用砥石面においてラジアル方向又はスラスト方向に振動があると、研削加工において種々のツールマークや研削性の低下、砥石の短命、砥石間の加工数のバラツキ、加工タクトの長短、加工部コーナの微小欠け、動力負荷のバラツキ、マイクロクラックが多数発生し、加工面の高精度加工が困難となるという問題点があった。
特開2000−94247号公報 特開2003−236751号公報
本考案は、現行の超砥粒研削砥石を用いた装置に簡易な構造によって取り付けることができ、取付け後の加工精度を向上させ、加工時の不具合を改善することを目的とする。
本考案は、上記課題を解決するために、超砥粒研削砥石の中心と砥石軸の中心を一致させることによって、砥石を高速回転させてもラジアル方向及びスラスト方向への振動を防止するものである。そのため、考案者はホイールマウントと超砥粒研削砥石の対抗面に同一精度のテーパー加工を施し、ホイールマウントと超砥粒研削砥石をモータ回転軸に外嵌し、固定ナットで締め付けることによって、ナットで締付固定する際にホイールマウントの先端部に加重されるスラスト方向への圧力によって、ホイールマウントを変形させて、各部材間に間隙が形成されないことを見出した。
本考案において、具体的には以下の構成が採用された。
(1)高精度超砥粒研削砥石の取付構造であって、回転軸と、該回転軸に外嵌される砥石を支持するためのホイールマウントと、該ホイールマウントに外嵌される超砥粒研削砥石とを有し、前記ホイールマウントが先端部より後端に向かって縮径するように形成されたテーパー形状を有し、かつ環状部分の一箇所が切断された切割りを有し、前記超砥粒研削砥石の内周面が前記ホイールマウントの外周面と対抗するように形成されたテーパー形状を有し、前記ホイールマウントの先端部よりスラスト方向へリングカラーによって締付固定されていることを特徴とする高精度超砥粒研削砥石の取付構造である。
(2)前記ホイールマウントと超砥粒研削砥石の対抗面に形成されたテーパー形状が、2〜15°の角度をもって縮径していることを特徴とする上記(1)記載の高精度超砥粒研削砥石の取付構造である。
(3)前記ホイールマウントが、ステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、真鍮、砲金、硬質プラスチックから選択された一の材料であることを特徴とする上記(1)又は(2)記載の高精度超砥粒研削砥石の取付構造である。
(4)前記ホイールマウントの切割りが、0.5mm〜1.0mmの間隔をもって形成されていることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれか一に記載された高精度超砥粒研削砥石の取付構造である。
本考案は、現行の超砥粒研削砥石を用いた装置に簡易な構造によって取り付けることができ、取付け後の加工精度を向上させることが可能であり、かつ加工時の不具合を改善するという効果を奏する。
本考案に係る超砥粒研削砥石の取付構造の一例を説明するための断面図である。 本考案に係る本考案に係る高精度超砥粒研削砥石の取付構造に使用されるホイールマウントの一例を示す平面図である。 本考案に係る高精度超砥粒研削砥石の取付構造の作用を説明するための概念図である。 本考案に係る高精度超砥粒研削砥石の取外を説明するための概念図である。
以下、本考案に係る高精度超砥粒研削砥石の取付構造の一例を詳述する。
図1は、本考案に係る高精度超砥粒研削砥石の取付構造1の一実施形態である。
図1に示す如く、本実施形態に係る超砥粒研削砥石の取付構造1は、モータ回転軸2に、該モータ回転軸にホイールマウント3を外嵌し、更に超砥粒研削砥石4を外嵌して構成されている。
さらに前記ホイールマウント3の先端部よりスラスト方向へリングカラー5によって締付固定されている。本実施形態においては、リングカラー5と超砥粒研削砥石4との間に弾性材6が挟持されている。超砥粒研削砥石4のボス部と密着させて、異物及び研削液の流入を防ぐために、リングカラー5は、一般鋼材に硬質ゴムのような弾性材を二液性接着剤等を用いて固着させたものを用いるのが好ましい。
そしてリングカラー5を押さえ金具(平リング)7によって締結することによって本実施形態に係る超砥粒研削砥石の取り付け構造を製造することができる。
ここで、ホイールマウント3は先端部より後端に向かって縮径するように形成されたテーパー形状を有している。また、超砥粒研削砥石4の内周面もホイールマウント3の外周面と対抗するようにテーパー形状に形成されている。かかるテーパー形状は、任意角(2〜15°)に形成されている。傾斜角を2°未満にすると、超砥粒研削砥石の中心と砥石軸の中心を一致させ、高速回転下における振動を十分に防止できないからである。
また、本考案において超砥粒とは、ダイヤモンド及びCBN(立方晶窒化ホウ素)砥粒のことを指す。超砥粒研削砥石は、例えば、導電性を有する砥石ベース表層に、1層から2層前後の超砥粒を導電性接着剤で仮付けしておいて、砥石ベース表層にめっき可能な電気めっき液または無電解めっき液を用いて、めっき被膜を成長させることにより、超砥粒が脱落しない程度に埋め込みを行い製造することができる。
図2は、本考案に係る本考案に係る高精度超砥粒研削砥石の取付構造に使用されるホイールマウント3の一例を示す平面図である。
図2に示す如く、ホイールマウント3には、環状部分の一箇所が切断された切割り12が形成されている。このように切割り12を形成することによって、超砥粒研削砥石4を外嵌する際に外力によって変形し易くなる。かかるホイールマウントの切割りは、0.5mm〜1.0mmの間隔をもって形成されるのが好ましい。ホイールマウントの動き代を確保するのに十分な間隔だからである。
図3は、本考案に係る高精度超砥粒研削砥石の取付構造の作用を説明するための概念図である。図3に示す如く、ホイールマウント3の内周面B及びテーパー状の外周面Aは同一に切削加工しリングの偏肉量をゼロに近付けるのが好ましい。
また超砥粒研削砥石4のテーパー状の内周面もホイールマウント3と同精度の切削加工により製造するのが好ましい。テーパー部の接触面積を大きくするためである。
ここで、図示しない固定ナットで締め付けることによって、ナットで締付固定する際にホイールマウント3の先端部に加重されるスラスト方向への圧力によって、ホイールマウント3が変形し、超砥粒研削砥石からの圧力によってホイールマウント3が変形することにより各部材間に間隙が形成されることはない。そのため、超砥粒研削砥石の中心と砥石軸の中心を一致させることができ、結果的に砥石を高速回転させてもラジアル方向及びスラスト方向への振動を防止することができる。
ここで、ホイールマウントの材料としては、一般鋼材、ステンレス鋼材、アルミニウム及び合金、真鍮、砲金、硬質プラスチックのような軟質材料が適している。このような軟質材料を用いることにより、外嵌時に切り粉等、極微量の硬質粒子や異物が万が一付着していてもホイールマウント3に食い込むことによって、振動への影響を最小限に抑制することができる。
図4は、本考案に係る高精度超砥粒研削砥石の取外を説明するための概念図である。図4に示す如く、モータ回転軸2には、ホイールマウント3が外嵌され、更に超砥粒研削砥石4が外嵌されている。
先ず弾性材6を取り外した後、取り外し冶具20を主軸の先端に螺着により嵌め込む。取り外し冶具20の先端を高精度超砥粒研削砥石4の稜線部に係合させた後、螺外により取り外す。このような専用冶具を使用すれば、熟練工でなくても容易に超砥粒研削砥石及びホイールマウント3をモータ回転軸2より取り外すことができる。
本考案に係る取付構造が採用された超砥粒研削砥石を用いて研削加工を行った実施例を以下に記述する。
光学レンズの心取り加工において、研削盤のモータ回転軸にホイールマウントを外嵌し、更に超砥粒研削砥石用ベース(外径φ150mm)を外嵌し、電着部位のラジアル方向及びスラスト方向の振れ量を測定したところ、0〜2μmの値が得られ、再現性は良好であることが分かった。
電着ボンド仕様の超砥粒研削砥石でレンズを加工したところ、砥石取り付け後のラクトタイムの立ち上がりがよく、従来のフランジ外周面ストレート型のものと比較して、希望ラクトタイムまでの加工数量は1/5から1/10での立ち上げが可能となった。
また、脆性材料の研削開始直後には、被加工物の角部に大小の欠損部分や加工面粗度のバラツキ、スクラッチ痕、びびりマークなどが発生することが多いが、本考案に係る取付構造が採用された超砥粒研削砥石で研削したところ、このような不具合は大幅に改善され、良好な研削加工精度が得られた。特に光学レンズの加工においては、各コーナー部のピリ、アバタ、加工面粗度等において大きな効果が得られることが分かった。
従来品に比較して、超砥粒研削砥石の取り付け後のラジアル方向及びスラスト方向の振動が改善されたため、特に電着ボンド仕様の超砥粒研削砥石を用いた光学レンズ加工においては、砥石寿命のバラツキが大幅に改善され、自動化ライン分野における研削砥石管理において大きな効果が得られた。
また脆性材料研削加工分野、例えば、シリコン、水晶、石英、光学系ガラス、一般用ガラス、炭化珪素、ガリウム砒素等の平面研削加工及び円筒研削、総型研削加工において、同様の効果が得られた。
従来のフランジ外周面ストレート型焼結ボンド仕様の粗研削用超砥粒研削砥石(♯600以下)においても、取り付け直後から使用可能な状態が得られ、従来型の超砥粒研削砥石と比較して、使用時のツルーイング及びドレッシングが不要となった。従来の鏡面加工用又は半鏡面加工用の分野においては、高精度なツルーイング及びドレッシングが必要であったが、本考案によりかかる問題点が解消された。
本考案に係る取付構造が採用された超砥粒研削砥石は、シリコン、水晶、石英、光学系ガラス、一般用ガラス、炭化ケイ素、アルミナ、ガリウム砒素等の脆性材料全般の研削加工に拘わる加工等の産業分野において利用することができる。
1 超砥粒研削砥石の取付構造
2 回転軸
3 ホイールマウント
4 超砥粒研削砥石
5 リングカラー
7 押さえ金具(平リング)
12 切割り

Claims (4)

  1. 高精度超砥粒研削砥石の取付構造であって、回転軸と、該回転軸に外嵌される砥石を支持するためのホイールマウントと、該ホイールマウントに外嵌される超砥粒研削砥石とを有し、前記ホイールマウントが先端部より後端に向かって縮径するように形成されたテーパー形状を有し、かつ環状部分の一箇所が切断された切割りを有し、前記超砥粒研削砥石の内周面が前記ホイールマウントの外周面と対抗するように形成されたテーパー形状を有し、前記ホイールマウントの先端部よりスラスト方向へリングカラーによって締付固定されていることを特徴とする高精度超砥粒研削砥石の取付構造。
  2. 前記ホイールマウントと超砥粒研削砥石の対抗面に形成されたテーパー形状が、2〜15°の角度をもって縮径していることを特徴とする請求項1記載の高精度超砥粒研削砥石の取付構造。
  3. 前記ホイールマウントが、ステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、真鍮、砲金、硬質プラスチックから選択された一の材料であることを特徴とする請求項1又は2記載の高精度超砥粒研削砥石の取付構造。
  4. 前記ホイールマウントの切割りが、0.5mm〜1.0mmの間隔をもって形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一に記載された高精度超砥粒研削砥石の取付構造。
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