JP3149705B2 - ベント部を有する成形型 - Google Patents

ベント部を有する成形型

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JP3149705B2 JP25228394A JP25228394A JP3149705B2 JP 3149705 B2 JP3149705 B2 JP 3149705B2 JP 25228394 A JP25228394 A JP 25228394A JP 25228394 A JP25228394 A JP 25228394A JP 3149705 B2 JP3149705 B2 JP 3149705B2
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    • C04B28/00Compositions of mortars, concrete or artificial stone, containing inorganic binders or the reaction product of an inorganic and an organic binder, e.g. polycarboxylate cements
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、鋳造や樹脂成形などに
利用でき、キャビティ内のガス抜き手段としてのベント
部を有する成形型に関し、詳しくは離型剤がベント部に
堆積することを防止する手段、あるいは離型剤の堆積に
よりベント部の機能が損なわれることを防止する手段を
備えた成形型に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、鋳造や樹脂成形の成形型には、
キャビティ内のガスを逃がすためのベント部が備えられ
ている。このベント部はガスが最も逃げにくい部位に設
けられるのが理想であって、通常成形型の分割面上でゲ
ートから最も遠い部位に深さ0.2〜0.3mm程度、
幅30〜40mm程度の溝として設けられる。
【0003】成形中のキャビティ内ガスを逃がすこと
は、鋳造品や樹脂成形品の品質に大きく影響するため、
上記ベント部の溝寸法を一定に確保する必要があり、ベ
ント部のつまり防止などの日常管理が重要である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、鋳造や樹脂
成形においては、成形品の型離れの向上や金型の保護等
を目的として、成形金型のキャビティ面に離型剤を塗布
することが行われている。そして、離型剤の金型面への
塗布は、型開きした金型間にスプレー装置を導入し、金
型のキャビティ面に液状離型剤をスプレー塗布した後、
スプレー装置についたエアーブロー装置からのエアーに
よりキャビティ面についた余分の離型剤を除去すること
により行われている。
【0005】ところが、スプレー装置から噴射された離
型剤が飛散してベント部に付着したり、キャビティ面の
余分の離型剤を除去する際のエアーによって飛ばされた
離型剤がベント部に付着する。このような離型剤の塗布
は毎ショット行われるため、ベント部への離型剤の堆積
量が増え、数ショット後には離型剤によりベント部が塞
がれて、ベント部としての機能を果たさなくなる。この
ため、従来は定期的にベント部に堆積した離型剤を除去
するという作業を要していた。
【0006】本発明は上記実情に鑑みてなされたもので
あり、ベント部に離型剤が堆積することを防止したり、
あるいは離型剤の堆積によりベント部の機能が損なわれ
ることを防止したりすることにより、ベント部に堆積し
た離型剤を定期的に除去するという作業の削減又は軽減
を可能としたベント部を有する成形型を提供することを
解決すべき技術課題とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する請求
項1記載のベント部を有する成形型は、キャビティ内の
ガス抜き手段としてのベント部を有する成形型におい
て、上記ベント部の表面には、型の合わせ面よりもぬれ
性の低い材料がコーティングされていることを特徴とす
るものである。
【0008】上記課題を解決する請求項2記載のベント
部を有する成形型は、キャビティ内のガス抜き手段とし
てのベント部を有する成形型において、上記ベント部
は、上記キャビティ内と型外とを連通するように上記成
形型の合わせ面に設けられたベント溝であり、該ベント
溝の内壁面に開口する吹出口から該ベント溝内にエアー
を吹き出すエアー吹出手段を備えていることを特徴とす
るものである。上記課題を解決する請求項3記載のベン
ト部を有する成形型は、上記請求項2記載の成形型にお
いて、上記エアー吹出手段の吹出口が型外に向けて開口
されていることを特徴とするものである。
【0009】上記課題を解決する請求項4記載のベント
部を有する成形型は、キャビティ内のガス抜き手段とし
てのベント部を有する成形型において、型開きに連動し
てキャビティ内に進出して上記ベント部を覆うカバー手
段を備えていることを特徴とするものである。上記課題
を解決する請求項5記載のベント部を有する成形型は、
第1の型と、該第1の型の型面との間にキャビティ内の
ガス抜き用の隙間を形成するベント部を有する第2の型
とからなるベント部を有する成形型において、上記第1
の型は上記ベント部内に突出する突部を有し、上記第2
の型のベント部の底面は該突部に弾性体により付勢され
て当接するベント入子により構成されていることを特徴
とするものである。
【0010】上記課題を解決する請求項6記載のベント
部を有する成形型は、キャビティ内のガス抜き手段とし
てのベント部を有する成形型において、上記ベント部の
表面に超音波振動を与える超音波振動手段を備えている
ことを特徴とするものである。上記課題を解決する請求
項7記載のベント部を有する成形型は、キャビティ内の
ガス抜き手段としてのベント部を有する成形型におい
て、上記ベント部の表面を上記キャビテイを形成する型
面より低い温度で、かつ、離型剤の蒸発温度より低い温
に冷却する冷却手段を備えていることを特徴とするも
のである。
【0011】
【作用】請求項1記載の成形型は、ベント部の表面に型
の合わせ面よりもぬれ性の低い材料がコーティングされ
ており、該ベント部表面は液をはじくため、ベント部表
面に離型剤が付着することを阻止することができ、ベン
ト部に飛散した離型剤を離型剤塗布後のエアーブロー等
により容易に吹き払うことが可能となる。
【0012】請求項2記載のベント部を有する成形型
は、キャビティ内と型外とを連通するように成形型の合
わせ面に設けられたベント溝の内壁面に開口する吹出口
から該ベント溝内にエアーを吹き出すエアー吹出手段を
備えている。このエアー吹出手段を例えば離型剤塗布時
に作動させれば、ベント内に空気の膜(エアーカーテ
ン)を形成することができるので、このエアーカーテン
によりベントを遮蔽してベント内に離型剤が進入す
ることを阻止することができる。
【0013】請求項3記載のベント部を有する成形型
は、上記エアー吹出手段がベント内に型内から型外に
向かってエアーを吹き出すため、このエアー吹出手段を
例えば離型剤塗布後に作動させれば、ベント内に堆積
した離型剤を型外に向かって確実に吹き払うことができ
る。請求項4記載のベント部を有する成形型は、型開き
に連動してキャビティ内に進出して上記ベント部を覆う
カバー手段を備えているので、ベント部の方向に飛散し
た離型剤をカバー手段で遮断して、カバー手段で覆われ
たベント部内に離型剤が進入することを阻止することが
できる。
【0014】請求項5記載のベント部を有する成形型
は、第2の型のベント部の底面が第1の型の突部に弾性
体により付勢されて当接するベント入子により構成され
ているので、離型剤の堆積量に応じて弾性体の弾性変形
を伴ってベント入子が沈降するため、ガス抜き用の一定
の隙間を確保することができる。請求項6記載のベント
部を有する成形型は、ベント部表面に超音波振動を与え
る超音波振動手段を備えているので、離型剤塗布時や塗
布後に超音波振動手段を作動させれば、ベント部内に堆
積した離型剤を超音波振動によりはじき飛ばして離型剤
がベント部表面に付着する事を阻止することができ、ベ
ント部に飛散した離型剤を離型剤塗布後のエアーブロー
等により容易に吹き払うことが可能となる。
【0015】請求項7記載のベント部を有する成形型
は、ベント部の表面をキャビテイを形成する型面より低
い温度で、かつ、離型剤の蒸発温度より低い温度に冷却
する冷却手段を備えているので、ベント部に飛散した離
型剤が蒸着することを抑制することができ、ベント部に
飛散した離型剤を離型剤塗布後のエアーブロー等により
容易に吹き払うことが可能となる。特に水溶性の離型剤
を用いる場合、該水溶性の離型剤は100℃程度以下の
温度で型に付着し難いという特性を有するため、100
℃未満にベント部表面を冷却しておけば、ベンド部に飛
散した水溶性の離型剤の蒸着を効果的に阻止することが
できる。
【0016】
【実施例】以下、図面を参照しつつ本発明のベント部を
有する成形型の実施例を具体的に説明する。なお、以下
の実施例は鋳造用金型に本発明を適用する例について説
明するが、樹脂成形用金型に本発明を適用しうることは
勿論である。 (第1実施例)図1〜図3に示す本実施例のベント部を
有する成形型は、固定型(上型)としての第1の型1
と、可動型(下型)としての第2の型2とから構成され
ている。なお、第1の型1にキャビティ面11が、第2
の型2にキャビティ面21がそれぞれ形成されており、
第1の型1及び第2の型2を型締めした時に、両型1、
2間に製品形状のキャビティ3が形成される。
【0017】第1の型1と第2の型2との型合わせ部分
に相当する第1の型1の型面には、成形時にキャビティ
3内のガスを逃がすベント部としてのベント溝12が穿
設されている。このベント溝12の一端は第1の型1の
キャビティ面11の外周縁まで延び、ベント溝12の他
端は型外に開口している。すなわち、ベント溝12はキ
ャビティ3内と型外とを連通している。そして、ベント
溝12の表面には、型の合わせ面よりも離型剤に対する
ぬれ性の低い材料がコーティングされている。具体的に
は、ベント溝12の表面には耐摩耗性及び耐熱性に優れ
たクロムめっき処理が施されている。また、ベント溝1
2のキャビティ3側の端部における内壁面には、後述す
るエアー吹出手段4の吹出口41aが型外に向けて開口
されている。
【0018】エアー吹出手段4は、第1の型1内にその
一部が埋設され、一端が上記ベント溝12のキャビティ
3側の端部に吹出口41aとして開口するエアーブロー
管41と、エアーブロー管41の他端が接続されたエア
ー吹出用ポンプ42と、ポンプ42にON/OFF信号
を送る制御盤43とから構成されている。なお、エアー
ブロー管41の一端側(吹出口41a側)は、図2に示
すように、ベント溝12の幅寸法に対応するように拡径
されている。また、エアーブロー管41の一端側(吹出
口41a側)は、図1に示すように、吹出口41aから
吹き出されるエアーがベント溝12内から型外に向かっ
て吹き出されるように、なるべく水平方向に近い小さい
角度の斜め方向からベント溝12内に延びて開口してい
る。
【0019】上記構成を有する型1、2のキャビティ面
11、21に液状の離型剤を塗布するに際しては、可動
型としての第2の型2を図示しない駆動手段により移動
させて型開きした状態で、両型1、2間に図示しない離
型剤スプレー装置を導入し、第1の型1のキャビティ面
11及び第2の型2のキャビティ面21に向けて液状離
型剤をスプレー塗布する。このとき、離型剤は第1の型
1のベント溝12にも飛散するが、ベント溝12の表面
はぬれ性の低いクロムめっき処理が施されており、ベン
ト溝12の表面は液をはじくため、ベント溝12の表面
に離型剤が付着することを阻止することができる。そし
て、図示しない離型剤スプレー装置に備え付けられたエ
アーブロー装置から第1の型1のキャビティ面11及び
第2の型2のキャビティ面21に向けてエアーを吹き出
すことにより、第1の型1のキャビティ面11及び第2
の型のキャビティ面21についた余分の離型剤を吹き払
うことができる。このとき同時に、エアー吹出手段4を
作動させて吹出口41aからベント溝12内に型外に向
かってエアーを吹き出すことにより、ベント溝12に飛
散した離型剤を型外に向けて確実に吹き払うことができ
る。また、可動型としての第2の型2を図示しない駆動
手段により移動させて型締めした後に、さらにエアー吹
出手段4を作動させて吹出口41aからベント溝12内
に型外に向かってエアーを吹き出すことにより、ベント
溝12内の離型剤を型外に向けてより確実に吹き払うこ
とができる。
【0020】このように本実施例の成形型においては、
ベント溝12の表面がぬれ性の低いクロムめっき処理が
施されているので、離型剤がベント溝12表面に付着す
ることを阻止することができるとともに、離型剤塗布後
にエアー吹出手段4によりベント溝12内に型外に向け
てエアーを吹き出すことによりベント溝12内の離型剤
を確実に型外に向けて吹き払うことができるので、ベン
ト溝12内に離型剤が堆積することを確実に防止するこ
とが可能となる。したがって、ベント溝12内に堆積し
た離型剤を定期的に除去するという煩わしい作業を削減
することが可能となる。
【0021】なお、上記実施例では、ベント溝12の表
面にクロムめっき処理を施す例について説明したが、め
っき材料としてはクロムに限定されず、型の合わせ面よ
りぬれ性の低い他の材料、例えばニッケルや鉛、あるい
はそれらの合金材料をめっき材料として用いることも可
能である。また、めっき処理の他にテフロン等の樹脂や
シリコンオイル等の油を含む液体をコーティングするこ
とも可能である。
【0022】(第2実施例)図4及び図5に示す本実施
例のベント部を有する成形型は、固定型(下型)として
の第1の型1と、可動型(上型)としての第2の型2と
から構成されている。なお、第1の型1にキャビティ面
11が、第2の型2にキャビティ面21がそれぞれ形成
されており、第1の型1及び第2の型2を型締めした時
に、両型1、2間に製品形状のキャビティ3が形成され
る。
【0023】第1の型1と第2の型2との型合わせ部分
に相当する第1の型1の型面には、成形時にキャビティ
3内のガスを逃がすベント部としてのベント溝12が穿
設されている。このベント溝12の一端は第1の型1の
キャビティ面11の外周縁まで延び、ベント溝12の他
端は型外に開口している。また、ベント溝12のキャビ
ティ3側の底面には、後述するエアー吹出手段4の4個
の吹出口41aが開口している。
【0024】エアー吹出手段4は、第1の型1内にその
一部が埋設され、一端が上記ベント溝12のキャビティ
3側の底面に吹出口41aとしてそれぞれ開口する4本
のエアーブロー管41と、各エアーブロー管41の他端
が接続されたエアー吹出用ポンプ42と、ポンプ42に
ON/OFF信号を送る制御盤43とから構成されてい
る。なお、エアーブロー管41の一端側(吹出口41a
側)は、ベント溝12の底面に対して垂直方向に延びて
おり、吹出口41aからベント溝12内に垂直方向にエ
アーが吹き出されるようにされている。
【0025】上記構成を有する型1、2のキャビティ面
11、21に液状の離型剤を塗布するに際しては、可動
型としての第2の型2を図示しない駆動手段により移動
させて型開きした状態で、両型1、2間に図示しない離
型剤スプレー装置を導入し、第1の型1のキャビティ面
11及び第2の型2のキャビティ面21に向けて液状離
型剤をスプレー塗布する。このとき同時に、エアー吹出
手段4を作動させてベント溝12の底面の各吹出口41
aから上方に向かってエアーを吹き出すことにより、ベ
ント溝12のキャビティ3側の上方にエアーカーテンを
形成することができるので、このエアーカーテンにより
ベント溝12を遮蔽してベント11内に離型剤が進入す
ることを阻止することができる。そして、図示しない離
型剤スプレー装置に備え付けられたエアーブロー装置か
ら第1の型1のキャビティ面11及び第2の型2のキャ
ビティ面21に向けてエアーを吹き出すことにより、第
1の型1のキャビティ面11及び第2の型のキャビティ
面21についた余分の離型剤を吹き払うことができる。
このとき同時に、エアー吹出手段4を作動させてベント
溝12の底面の各吹出口41aから上方に向かってエア
ーを吹き出すことにより、エアーカーテンによりベント
溝12内に離型剤が進入することを阻止することができ
る。また、可動型としての第2の型2を図示しない駆動
手段により移動させて型締めした後に、さらにエアー吹
出手段4を作動させて吹出口41aからベント溝12内
にエアーを吹き出すことにより、吹出口41aより型外
側のベント溝12内に存在する離型剤を型外に向けて吹
き払うことができる。
【0026】このように本実施例の成形型においては、
離型剤塗布時のエアー吹出手段4の作動によりエアーカ
ーテンの遮蔽作用により離型剤がベント溝12内に進入
することを阻止することができるとともに、型閉め後の
エアー吹出手段4の作動によりベント溝12内の離型剤
を型外に向けて吹き払うことができるので、ベント溝1
2内に離型剤が堆積することを確実に防止することが可
能となる。したがって、ベント溝12内に堆積した離型
剤を定期的に除去するという煩わしい作業を削減するこ
とが可能となる。
【0027】(第3実施例)図6〜図8に示す本実施例
のベント部を有する成形型は、固定型(上型)としての
第1の型1と、可動型(下型)としての第2の型2とか
ら構成されている。なお、図6は第1の型1を下から見
た底面図である。また、第1の型1にキャビティ面11
が、第2の型2にキャビティ面21がそれぞれ形成され
ており、第1の型1及び第2の型2を型締めした時に、
両型1、2間に製品形状のキャビティ3が形成される。
【0028】第1の型1と第2の型2との型合わせ部分
に相当する第1の型1の型面には、、収容凹部15が設
けられている。この収容凹部15内には、第1の型1と
第2の型2との型開きに連動してキャビティ3内に進出
可能なカバー手段6が収容されている。このカバー手段
6は、収容凹部15の底面に一端が固定されたバネ部材
61と、バネ部材61の他端が固定されたカバー部材6
2と、収容凹部15の側壁に固定されカバー部材62を
揺動可能に支持する支持棒63とから構成されている。
上記カバー部材62は、バネ部材61の他端が固定され
た取付用板62aと、取付用板62aの両端に固定され
た扇状の一対の側板62b,62bと、一対の側板62
b,62bの各先端に固定されたカバー板62cとから
構成されている。そして、一対の側板62b,62bの
各基端側が支持棒63に枢支されている。
【0029】また、第1の型1と第2の型2との型合わ
せ部分に相当する第1の型1の型面には、収容凹部15
のキャビテイ面11側に第1ベント溝12aが、収容凹
部15の型外側に第2ベント溝12bそれぞれ穿設され
ている。したがって、成型時には、キャビティ3内のガ
スは、第1ベント溝12a、収容凹部15及び第2ベン
ト溝12bを通って型外に排出される。
【0030】上記構成を有する型1、2のキャビティ面
11、21に液状の離型剤を塗布するに際しては、可動
型としての第2の型2を図示しない駆動手段により例え
ば水平方向に移動させて型開きする。この型開きに連動
して、カバー手段6のバネ部材61の付勢力によりカバ
ー部材62が支持棒63を中心に揺動しつつキャビティ
3内に進出する。このため、カバー部材62のカバー板
62c及び一対の側板62b、62bが収容凹部15及
び型外側の第2ベント溝12bを覆う。この状態で、両
型1、2間に図示しない離型剤スプレー装置を導入し、
第1の型1のキャビティ面11及び第2の型2のキャビ
ティ面21に向けて液状離型剤をスプレー塗布する。こ
のスプレー塗布時にベント部方向に飛散した離型剤はカ
バー手段6のカバー板62c及び側板62b、62bで
遮断されるため、収容凹部15や第2ベント溝12b内
に離型剤が進入することを阻止することができる。そし
て、図示しない離型剤スプレー装置に備え付けられたエ
アーブロー装置から第1の型1のキャビティ面11及び
第2の型2のキャビティ面21に向けてエアーを吹き出
すことにより、第1の型1のキャビティ面11及び第2
の型のキャビティ面21についた余分の離型剤を吹き払
った後、第2の型2を図示しない駆動手段により水平方
向に移動させて型締めする。この型閉めの際には、第2
の型2の端部がカバー部材62の側板62b,62bと
摺動しつつバネ部材61の付勢力に抗してカバー部材6
2を上方に揺動させるので、型閉めと同時にカバー部材
62を収容凹部15内に収容させることができる。
【0031】このように、本実施例の成形型において
は、型開きと連動して進出するカバー部材62により、
ベント部としての収容凹部15及び型外側の第2のベン
ト溝12bを覆うことができるので、スプレー塗布され
た離型剤が収容凹部15及び第2のベント溝12b内に
進入することを阻止することができる。なお、キャビテ
ィ3側の第1のベント溝12aは上記カバー部材62に
より覆われないので、従来と同様に離型剤が堆積する
が、定期的に離型剤を除去する必要があるのでこのベン
ト溝12aのみであるため、その作業が従来と比べて軽
減される。
【0032】なお、上記実施例において、可動型として
の第2の型2は上下方向に移動させることも可能であ
る。また、上記実施例において、型開きに連動するよう
に制御された駆動装置により例えば水平方向に移動可能
で、型開き時にキャビティ内に進出した時にベント溝全
体を覆うことが可能な板部材によりカバー手段を構成す
ることも可能である。この場合、板部材によりベント溝
全体を覆うことができるので、離型剤がベント溝内に進
入することを完全に阻止することができる。したがっ
て、ベント溝内に堆積した離型剤を定期的に除去すると
いう煩わしい作業を削減することが可能となる。
【0033】(第4実施例)図9及び図10に示す本実
施例のベント部を有する成形型は、第1の型1と、第2
の型2とから構成されている。なお、第1の型1及び第
2の型2には図示しないキャビティ面が形成されてお
り、第1の型1及び第2の型2を型締めした時に、両型
1、2間に製品形状のキャビティ(図示せず)が形成さ
れる。
【0034】第1の型1と第2の型2との型合わせ部分
に相当する第2の型2の型面には、第2の型2のキャビ
ティ面の外周縁から型外まで延びる凹部22が形成され
ている。そして、この凹部22内には、凹部22の長さ
方向全長に延びるベント入子23が凹部22の深さ方向
に摺動可能に配設されている。また、凹部22の底面と
ベント入子23との間にはベント入子23を上方に付勢
するバネ部材24が配設されている。これにより、凹部
22内には、ベント入子23によりその底面が構成され
るベント部25が形成される。なお、バネ部材24の両
端は、凹部22の底面及びベント入子23にそれぞれ固
定されている。
【0035】第1の型1と第2の型2との型合わせ部分
に相当する第1の型1の型面には、上記ベント部25内
に突出する突部13が設けられている。この突部13
は、型閉めした時に第1の型1の型面と第2の型2の凹
部22内のベント入子23との間に形成されるベント部
25の隙間が、キャビティ内のガスを有効に逃がすとい
う機能を果たしうる寸法分の長さだけ突出している。
【0036】なお、本実施例では、ベント入子23の上
面に荷重がかかっていない時に、ベント入子23の上面
は、上記突部13の突出長さより若干短めに第2の型2
の型面より下方に下がっている。上記構成を有する型
1、2のキャビティ面に液状の離型剤を塗布するに際し
ては、型開きした状態で、両型1、2間に図示しない離
型剤スプレー装置を導入し、第1の型1及び第2の型2
のキャビティ面に向けて液状離型剤をスプレー塗布す
る。そして、図示しない離型剤スプレー装置に備え付け
られたエアーブロー装置から第1の型1及び第2の型2
のキャビティ面に向けてエアーを吹き出すことにより、
第1の型1及び第2の型2のキャビティ面についた余分
の離型剤を吹き払った後、型閉めする。このとき、図1
1に示すように、第2の型2のベント部25内、すなわ
ちベント入子23の上面に離型剤Pが蒸着により堆積し
ている場合でも、離型剤Pの上面は第1の型1の突部1
3により下方に押圧されるので、離型剤Pの堆積量に応
じてバネ部材24が弾性変形してベント入子23が下方
に下がるため、第1の型1の型面とベント入子23の上
面に堆積した離型剤Pとの間に形成されるガス抜き用の
隙間を一定に確保することができる。
【0037】このように本実施例の成形型においては、
離型剤Pがベント部25内に堆積したとしても、ガス抜
き用のベント部25として、常に第1の型1の突部13
の突出長さ分だけの隙間を確保することが可能となる。
したがって、ベント部25内に堆積した離型剤を定期的
に除去するという煩わしい作業を削減することが可能と
なる。
【0038】なお、上記実施例において、ベント入子2
3の上面に荷重がかかっていない時に、ベント入子23
の上面が第2の型2の型合わせ面と同一面となるように
設定することも可能である。これにより、離型剤を塗布
する際に型開きした状態で、第2の型2の凹部22はベ
ント入子23により完全に塞がれる。このため、離型剤
が凹部22内に入り込むことを防止することができ、ま
たベント入子25上に飛散した離型剤も通常のエアーブ
ローにより容易に吹き払うことができ、したがってベン
ト部25内の離型剤の堆積を効果的に防止することが可
能となる。
【0039】(第5実施例)図11に示す本実施例のベ
ント部を有する成形型は、第1の型1と、第2の型2と
から構成されている。なお、第1の型1にキャビティ面
11が、第2の型2にキャビティ面21がそれぞれ形成
されており、第1の型1及び第2の型2を型締めした時
に、両型1、2間に製品形状のキャビティ3が形成され
る。
【0040】第1の型1と第2の型2との型合わせ部分
に相当する第1の型1の型面には、成形時にキャビティ
内のガスを逃がすベント部としてのベント溝12が穿設
されている。このベント溝12の一端は第1の型1のキ
ャビティ面11の外周縁まで延び、ベント溝12の他端
は型外に開口している。そして、第1の型1のベント溝
12の下方には複数の超音波振動素子14が埋設されて
いる。なお、各超音波振動素子14は、図示しない駆動
電源からの印加電圧により作動可能とされている。
【0041】上記構成を有する型1、2のキャビティ面
11、21に液状の離型剤を塗布するに際しては、型開
きした両型1、2間に図示しない離型剤スプレー装置を
導入し、第1の型1のキャビティ面11及び第2の型2
のキャビティ面21に向けて液状離型剤をスプレー塗布
する。そして、図示しない離型剤スプレー装置に備え付
けられたエアーブロー装置から第1の型1のキャビティ
面11及び第2の型のキャビティ面21に向けてエアー
を吹き出すことにより、第1の型1のキャビティ面11
及び第2の型のキャビティ面21についた余分の離型剤
を吹き払うことができる。この離型剤塗布時及びエアー
ブロー吹出時に、図示しない駆動電源からの印加電圧に
より超音波振動素子14を作動させてベント溝12表面
に超音波振動を与えれば、ベント溝12に飛散した離型
剤がベント溝12表面に付着することを阻止することが
できる。したがって、エアーブローにより容易に離型剤
を型外に吹き払うことができ、ベント溝12内に離型剤
が堆積することを確実に防止することが可能となる。し
たがって、ベント溝12内に堆積した離型剤を定期的に
除去するという煩わしい作業を削減することが可能とな
る。
【0042】(第6実施例)図12及び図13に示す本
実施例のベント部を有する成形型は、第1の型1と、第
2の型2とから構成されている。なお、第1の型1にキ
ャビティ面11が、第2の型2にキャビティ面21がそ
れぞれ形成されており、第1の型1及び第2の型2を型
締めした時に、両型1、2間に製品形状のキャビティ3
が形成される。
【0043】第1の型1と第2の型2との型合わせ部分
に相当する第1の型1の型面には、断熱部材としてのセ
ラミックス等よりなる入子13が埋設されており、この
入子13の表面には成形時にキャビティ内のガスを逃が
すベント部としてのベント溝12が穿設されている。こ
のベント溝12の一端は第1の型1のキャビティ面11
の外周縁まで延び、ベント溝12の他端は型外に開口し
ている。また、入子13及び第1の型1内には、ベント
溝12の下方にベント溝12に沿って延びる冷却管51
が埋設されている。なお、この冷却管51は、冷却水供
給装置52に接続されている。
【0044】上記構成を有する型1、2のキャビティ面
11、12に液状の離型剤を塗布するに際しては、型開
きした両型1、2間に図示しない離型剤スプレー装置を
導入し、第1の型1のキャビティ面11及び第2の型2
のキャビティ面21に向けて液状離型剤をスプレー塗布
する。そして、図示しない離型剤スプレー装置に備え付
けられたエアーブロー装置から第1の型1のキャビティ
面11及び第2の型のキャビティ面21に向けてエアー
を吹き出すことにより、第1の型1のキャビティ面11
及び第2の型のキャビティ面21についた余分の離型剤
を吹き払うことができる。この離型剤塗布時及びエアー
ブロー吹出時に、冷却水供給装置52から冷却水を冷却
管51内に供給して、ベント溝12の表面を使用する離
型剤の蒸発温度、例えば水を混合した離型剤であれば1
00℃未満になるように冷却することにより、ベント溝
12に飛散した離型剤がベント溝12表面に付着するこ
とを阻止することができる。したがって、エアーブロー
により容易に離型剤を型外に吹き払うことができ、ベン
ト溝12内に離型剤が堆積することを確実に防止するこ
とが可能となる。したがって、ベント溝12内に堆積し
た離型剤を定期的に除去するという煩わしい作業を削減
することが可能となる。
【0045】なお、冷却水の代わりに冷媒を用いる冷凍
回路を利用してベント溝12表面を強冷することも可能
である。
【0046】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明のベント部
を有する成形型は、ベント部に離型剤が堆積することに
よりベント部としての機能が損なわれることを効果的に
防止することができる。したがって、成形時にはキャビ
ティ内のガスをベント部から確実に逃がすことができ、
成形品の品質が安定する。また、ベント部に堆積した離
型剤を除去する作業を削減又は軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施例のベント部を有する成形
型を示す断面図である。
【図2】 上記第1実施例の成形型の第1の型の要部平
面図である。
【図3】 上記第1実施例の成形型の第1の型の要部断
面図である。
【図4】 本発明の第2実施例のベント部を有する成形
型を示す断面図である。
【図5】 上記第2実施例の成形型の第1の型の要部断
面図である。
【図6】 本発明の第3実施例のベント部を有する成形
型を構成する第1の型の底面図である。
【図7】 上記第3実施例の成型型の型閉め状態を説明
する要部断面図である。
【図8】 上記第3実施例の成型型の型開き状態を説明
する要部断面図である。
【図9】 本発明の第4実施例のベント部を有する成形
型を示す要部断面図である。
【図10】 上記第4実施例の成形型のベント部に離型
剤が堆積した状態を示す要部断面図である。
【図11】 本発明の第5実施例のベント部を有する成
形型を示す要部断面図である。
【図12】 本発明の第6実施例のベント部を有する成
形型を示す要部断面図である。
【図13】 上記第6実施例の成形型の第1の型の要部
断面図である。
【符号の説明】
1は第1の型、2は第2の型、3はキャビティ、4はエ
アー吹出手段、11、21はキャビティ面、12はベン
ト溝、14は超音波振動素子、23はベント入子、24
はバネ部材、25はベント部、4はエアー吹出手段、4
1はエアーブロ管、42はポンプ、43は制御盤、51
は冷却管、52は冷却水供給装置、6はカバー手段、6
1はバネ部材、62はカバー部材である。
フロントページの続き (72)発明者 富岡 憲彦 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自 動車株式会社内 (56)参考文献 特開 昭60−99468(JP,A) 特開 平5−31563(JP,A) 特開 平2−274359(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B22C 9/06 B22C 9/00 B22D 17/22 B29C 45/34

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 キャビティ内のガス抜き手段としてのベ
    ント部を有する成形型において、 上記ベント部の表面には、型の合わせ面よりもぬれ性の
    低い材料がコーティングされていることを特徴とするベ
    ント部を有する成形型。
  2. 【請求項2】 キャビティ内のガス抜き手段としてのベ
    ント部を有する成形型において、上記ベント部は、上記キャビティ内と型外とを連通する
    ように上記成形型の合わせ面に設けられたベント溝であ
    り、該ベント溝の内壁面に開口する吹出口から該ベント
    溝内に エアーを吹き出すエアー吹出手段を備えているこ
    とを特徴とするベント部を有する成形型。
  3. 【請求項3】 上記エアー吹出手段の吹出口は型外に向
    けて開口されていることを特徴とする請求項2記載のベ
    ント部を有する成形型。
  4. 【請求項4】 キャビティ内のガス抜き手段としてのベ
    ント部を有する成形型において、 型開きに連動してキャビティ内に進出して上記ベント部
    を覆うカバー手段を備えていることを特徴とするベント
    部を有する成形型。
  5. 【請求項5】 第1の型と、該第1の型の型面との間に
    キャビティ内のガス抜き用の隙間を形成するベント部を
    有する第2の型とからなるベント部を有する成形型にお
    いて、 上記第1の型は上記ベント部内に突出する突部を有し、
    上記第2の型のベント部の底面は該突部に弾性体により
    付勢されて当接するベント入子により構成されているこ
    とを特徴とするベント部を有する成形型。
  6. 【請求項6】 キャビティ内のガス抜き手段としてのベ
    ント部を有する成形型において、 上記ベント部の表面に超音波振動を与える超音波振動手
    段を備えていることを特徴とするベント部を有する成形
    型。
  7. 【請求項7】 キャビティ内のガス抜き手段としてのベ
    ント部を有する成形型において、 上記ベント部の表面を上記キャビテイを形成する型面よ
    り低い温度で、かつ、離型剤の蒸発温度より低い温度
    冷却する冷却手段を備えていることを特徴とするベント
    部を有する成形型。
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