JP3149088U - サージ吸収器 - Google Patents

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孝一 今井
孝一 今井
鈴木 茂
鈴木  茂
雅史 田巻
雅史 田巻
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Abstract

【課題】長期間にわたって、故障時にサージ吸収素子への給電を遮断することのできるサージ吸収器を提供する。【解決手段】ガスアレスタ12と、該ガスアレスタ12の端面電極に接続されるバリスタ14,14と、該バリスタ14に接続される導電性のバネ部材16を備え、上記バネ部材16は、絶縁基板18に固定される基端部16aと、バリスタ14の電極層にハンダを介して接続される接続部16bと、基端部16aと接続部16bとの間に形成された板状部16dを有しており、上記板状部を捻り変形及び曲げ変形させ、元の形状へ戻ろうとする弾性力により、バネ部材16の接続部16bが、バリスタ14の電極層から分離する方向への付勢力を有するように構成する。【選択図】図2

Description

この考案は、電源線等を伝って電子機器内部に侵入する誘導雷等のサージを吸収するサージ吸収器に係り、特に、サージ吸収素子への給電を遮断することにより、故障時におけるサージ吸収素子の発火・焼損を防止できるサージ吸収器に関する。
従来、電子機器の電子回路に通じる電源線や通信線等の線間、あるいは線とグランドとの間にサージ吸収器を接続し、誘導雷等のサージから電子回路を保護することが行われている。すなわち、線間あるいは線−グランド間に、サージ吸収器を構成するサージ吸収素子の定格以上のサージ電圧が印加される場合には、上記サージ吸収素子が導通してサージをバイパスし、もって電子回路を保護する仕組みである。
このようなサージ吸収素子としては、放電間隙における放電現象を利用するガスアレスタや、電圧非直線特性を備えた高抵抗体素子であるバリスタが用いられている。
ところで、上記ガスアレスタやバリスタ等のサージ吸収素子に定格を越える異常な過電圧が印加され、継続的な過電流が流れる等して故障に至る際には、サージ吸収素子が発熱して異常な高温状態となり、発火・焼損する危険性があった。
サージ吸収素子の故障時における発火・焼損を防止するため、例えば、特開2007−324535号「切り離し機構付SPD」(特許文献1)が提案されている。この特許文献1においては、サージ吸収素子としての「酸化亜鉛形バリスタに、切り離し導体の基端部を絶縁部材を介して取り付けると共に、切り離し導体の先端部を酸化亜鉛形バリスタの電極に低溶融金属合金を介して接合し、前記切り離し導体は、酸化亜鉛形バリスタの異常発熱により前記低溶融金属合金が溶融することで、先端部が酸化亜鉛形バリスタの電極から切り離されるばね力を有する」ものが開示されている。
特開2007−324535号
上記特許文献1は、酸化亜鉛形バリスタの電極に、低溶融金属合金を介して接合した切り離し導体のばね力による弾性変形を利用して酸化亜鉛形バリスタへの給電を遮断するものである。
しかしながら、特許文献1に図示されている切り離し導体は、帯板状の導電性金属を単に折り曲げて構成しているものであり、そのばね力は大きいとはいえず、長期間経過して弾性変形を生じ難くなる「へたり」が発生すると、低溶融金属合金が溶融しても、切り離し導体を酸化亜鉛形バリスタの電極から切り離しできないおそれがある。
この考案は、従来の上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、長期間にわたって、故障時にサージ吸収素子への給電を遮断することのできるサージ吸収器を実現することにある。
上記目的を達成するため、本考案に係るサージ吸収器は、
サージ吸収素子と、該サージ吸収素子に接続される導電性のバネ部材を備えたサージ吸収器であって、
上記バネ部材は、支持部材に固定される基端部と、上記サージ吸収素子の電極にハンダを介して接続される接続部と、上記基端部と接続部との間に形成された板状部を有しており、
上記バネ部材の板状部を捻り変形及び曲げ変形させ、元の形状へ戻ろうとする弾性力により、バネ部材の接続部が、サージ吸収素子の電極から分離する方向への付勢力を有することを特徴とする。
上記サージ吸収素子としては、例えば、バリスタ又はガスアレスタが該当する。
上記サージ吸収素子及びバネ部材を収納する外装ケースを備えると共に、該外装ケースに表示窓部を形成し、また、上記バネ部材の上端に天板部を形成すると共に、該天板部の表面を識別部と成し、バネ部材の接続部とサージ吸収素子の電極とが接続されている状態においては、上記表示窓部を通じて外装ケースの外部からバネ部材の識別部を視認できず、バネ部材の接続部とサージ吸収素子の電極層とが分離した状態においては、表示窓部を通じて外装ケースの外部からバネ部材の識別部が視認できるよう構成しても良い。
上記識別部は、例えば、バネ部材の天板部の表面を所定色に着色することにより構成することができる。
上記ハンダを、融点が210℃以上の高融点金属と、融点が140℃以下の低融点金属とを2:1〜5:1の割合で配合して成る合金で構成するのが好ましく、特に、3:1の割合で配合して成る合金が最も好適である。
融点が210℃以上の高融点金属としては、例えば、Sn−5.0Sb、Sn−0.7Cu、Sn−3.5Ag、Sn−3.0Ag−0.5Cu、Sn−3.5Ag−3.0In−0.5Bi、Sn−3.5Ag−4.0In−0.5Biが該当し、融点が140℃以下の低融点金属としては、例えば、Sn−58Bi、Sn−52Inが該当する。このうち、融点が210℃以上の高融点金属としてSn−3.0Ag−0.5Cuを用い、融点が140℃以下の低融点金属としてSn−58Biを用いるのが好適である。
本考案のサージ吸収器にあっては、バネ部材の基端部と接続部との間に板状部を設け、該板状部を捻り変形及び曲げ変形させ、元の形状へ戻ろうとする弾性力により、バネ部材の接続部がサージ吸収素子の電極から分離する付勢力を有するように構成したので、板材を単に折り曲げた場合に比べて、極めて大きい付勢力を得ることができる。
このため、長期間にわたって、故障時に継続的な過電流がバリスタに流れた場合におけるバリスタへの給電を遮断することができ、発火・焼損を防止できる。
サージ吸収素子及びバネ部材を収納する外装ケースを備えると共に、該外装ケースに表示窓部を形成し、また、上記バネ部材の上端に天板部を形成すると共に、該天板部の表面を識別部と成し、バネ部材の接続部とサージ吸収素子の電極とが接続されている状態においては、上記表示窓部を通じて外装ケースの外部からバネ部材の識別部を視認できず、バネ部材の接続部とサージ吸収素子の電極層とが分離した状態においては、表示窓部を通じて外装ケースの外部からバネ部材の識別部が視認できるよう構成した場合には、サージ吸収素子の正常・故障を外装ケースの外部から確認できる。
融点が210℃以上の高融点金属と融点が140℃以下の低融点金属とを2:1〜5:1の割合で配合した合金でハンダを構成することにより、通常のサージ吸収時には溶断し難く、一方、サージ吸収素子の故障時において、継続的な過電流がサージ吸収素子に流れた場合には溶断し易いハンダを実現できる。
以下、添付図面に基づいて、本考案に係るサージ吸収器を説明する。図1は、本考案に係るサージ吸収器10を示す斜視図、図2は正面図、図3は平面図、図4は底面図、図5は右側面図である。
本考案のサージ吸収器10は、第1のサージ吸収素子としてのガスアレスタ12と、第2のサージ吸収素子としての2個のバリスタ14と、2個のバネ部材16と、樹脂等より成る支持部材としての絶縁基板18を備えている。
上記ガスアレスタ12は、三極構造のガスアレスタであり、図6に示すように、両端に設けられた一対の端面電極20,20と、端面電極20,20間に設けた中間電極22と、一対の端面電極20,20と中間電極22間に挟まれたセラミック等の絶縁材料より成る第1の円筒管24、第2の円筒管26より成る気密外囲器28を有している。
中央に配置された中間電極22は接地電極であり、また、第1の円筒管24と第2の円筒管26の内部空間同士を連通させる通気孔30が形成されている。
また、両端に配置された一対の端面電極20,20は、気密外囲器28の中心に向けて突出して気密外囲器28内に配置される放電電極部32を備えており、端面電極20,20の放電電極部32,32間には放電間隙34が形成されている。
尚、上記中間電極22には、端子ピン35が接続されている。
上記端面電極20,20、中間電極22は、無酸素銅や、無酸素銅にジルコニウム(Zr)を含有させたジルコニウム銅で構成されている。また、端面電極20,20、中間電極22と、第1の円筒管24、第2の円筒管26とは、銀ろう等のシール材(図示せず)を介して気密に接合される。
上記気密外囲器28内には、所定の放電ガスが封入されている。この放電ガスとしては、例えば、アルゴン、ネオン、ヘリウム、キセノン等の希ガスあるいは窒素ガス等の不活性ガスの単体又は混合ガスが該当する。
上記ガスアレスタ12にあっては、端面電極20,20間に定格を越えるサージが印加されると、放電間隙34において放電が生成されサージの吸収が行われるのである。
上記ガスアレスタ12の端面電極20,20には、Sn−Sb合金等の高融点金属より成る接合材36を介して、バリスタ14の内面側の電極層40が接続されている。
すなわち、上記バリスタ14は、図7に示すように、酸化亜鉛(ZnO)を主成分とし、これに微量のBi2等の金属酸化物を添加して構成した円板状の電圧非直線抵抗体38の両面に、Ag等より成る円形状の電極層40を形成して成り、さらに、円形状の上記電極層40の周縁部40aを被覆する樹脂等より成る絶縁層42を形成している。
上記バリスタ14は、印加される電圧が上昇するに従って、抵抗が急激に減少する電圧非直線抵抗特性を有している。すなわち、バリスタ14の電圧非直線抵抗体38の内部は、抵抗率が1〜10Ω・cmと小さいZnO微粒子と、該ZnO微粒子間に介在し、抵抗率が1012〜1013Ω・cmと大きいBi等の金属酸化物との境界層が存在し、バリスタ14の電圧非直線抵抗特性は、上記境界層の非オーム性によって得らるものである。
而して、上記バリスタ14に定格を越えるサージが印加されると、抵抗が急激に減少することにより上記電圧非直線抵抗体38が瞬時に導通してサージの吸収を行うのである。
本考案の上記バリスタ14において、電圧非直線抵抗体38の両面に形成した電極層40の周縁部40aを絶縁層42で被覆したのは、電極層40,40間の沿面放電を防止するためである。
すなわち、バリスタ14によるサージ吸収時には、電極層40,40間の電圧非直線抵抗体38表面に沿面放電が発生し、該沿面放電によって電圧非直線抵抗体38の表面が高温となって金属化する、いわゆる還元現象が生ずるおそれがあった。そして、電圧非直線抵抗体38の表面が金属化することで、電圧非直線係数及び制限電圧が変動してサージ吸収特性が不安定となり、ついには電極層40,40間が短絡するという危険性がある。
本考案の上記バリスタ14にあっては、電圧非直線抵抗体38の両面に形成した電極層40の周縁部40aを絶縁層42で被覆することにより、電極層40,40間の沿面距離が延びるため、電極層40,40間における沿面放電の発生を防止できるのである。
上記バリスタ14の外面側の電極層40には、図8に示すように、ハンダ46を介して導電性のバネ部材16が接続されている。このバネ部材16は、コルソン系合金と称されるCu−Ni−Si系合金で構成されている。コルソン系合金は、高導電性、高強度、高弾性であると共に、耐応力緩和特性及び良好な曲げ加工性を備えた銅合金であり、且つ、めっき性も良好である。
上記バネ部材16は、板材を加工して形成されたものであり、図9及び図10に示すように、下端に設けた基端部16a、上端に設けた天板部16c、基端部16aと天板部16cとの間に設けた平坦面を有する接続部16bを有している。基端部16aは、上記絶縁基板18に形成された孔48(図4参照)に挿入されて固定され、接続部16bの平坦面はバリスタ14の電極層40に接続されるものである。
また、上記基端部16aと接続部16bとの間に、略S字状の板状部16dが設けられている。さらに、板状部16dと基端部16aとの間に略波状の湾曲部16eが形成されている。また、上記接続部16bと天板部16cとの間には、直線部16gが介在しており、天板部16cは直線部16gと直交して設けられている。
以下において、絶縁基板18上に、ガスアレスタ12、2個のバリスタ14、2個のバネ部材16を搭載・固定する手順について説明する。
先ず、ガスアレスタ12の各端面電極20,20に、それぞれ、上記バリスタ14の内面側の電極層40を接合材36を介して接続することにより、ガスアレスタ12と2個のバリスタ14とを一体化する。
次に、各バリスタ14の外面側の電極層40に、ハンダ46を介して、バネ部材16の接続部16bの平坦面を接続する(図8参照)。この際、バネ部材16の板状部16d及び直線部16gが水平となる状態で接続する(図12)。
この結果、図11乃至図13に示すように、ガスアレスタ12、2個のバリスタ14、2個のバネ部材16が一体化される。
次に、ガスアレスタ12の端子ピン35と、バネ部材16の基端部16aを、絶縁基板18に形成された孔48,49に挿通した後、図示しないハンダを介して絶縁基板18に固着する。
この際、バネ部材16の基端部16aは、絶縁基板18の孔48に挿通後、折り曲げられて絶縁基板18の裏面に密着した状態で固着される。また、図1と図13、図3と図11、図5と図12の比較において示される通り、バネ部材16の板状部16dを捻ると共に、下方に折り曲げた状態でバネ部材16は絶縁基板18に固着される。
その結果、バネ部材16の板状部16dが捻り変形及び下方へ曲げ変形し、元の形状へ戻ろうとする弾性力を生じることにより、バネ部材16の接続部16bは、バリスタ14の電極層40の外面から斜め上方向に分離する付勢力を有した状態で固定されることとなる。
而して、本考案のサージ吸収器10を構成するバリスタ14に定格を越える異常な過電圧が印加されて故障に至る際には、継続的な過電流がバリスタ14に流れることにより電圧非直線抵抗体38の非オーム性境界層が破壊されてしまい、抵抗率の小さいZnO微粒子相互間での抵抗成分しか得られなくなる。このため、電圧非直線抵抗体38は非オーム性からオーム性へと変化して一種のヒータの如き状態となり、その結果、電圧非直線抵抗体38の温度は1000℃以上、場合によっては数千℃の高温に達することとなり、遂にはバリスタ14が発火・焼損する危険性がある。
しかしながら、本考案のサージ吸収器10は、故障時に継続的な過電流がバリスタ14に流れると、バリスタ14の電極層40とバネ部材16の接続部16bとを接続しているハンダ46が溶断する。その結果、捻り変形及び下方へ曲げ変形されていたバネ部材16の板状部16dが元の形状へ戻ろうとする弾性力で生じた付勢力により、バネ部材16の接続部16bが、バリスタ14の電極層40から斜め上方向に分離する(図14参照)。このため、バリスタ14への給電が遮断され、バリスタ14の発火・焼損を防止することができるのである。
而して、本考案のサージ吸収器10にあっては、バネ部材16の基端部16aと接続部16bとの間に板状部16dを設け、該板状部16dを捻り変形及び下方へ曲げ変形させ、元の形状へ戻ろうとする弾性力により、バネ部材16の接続部16bがバリスタ14の電極層40から分離する付勢力を有するように構成したので、板材を単に折り曲げた場合に比べて、極めて大きい付勢力を得ることができる。
このため、長期間にわたって、故障時に継続的な過電流がバリスタ14に流れた場合におけるバリスタ14への給電を遮断することができ、発火・焼損を防止できる。
図15〜図18は、本考案に係るサージ吸収器10の変形例を示すものであり、このサージ吸収器10の変形例は、外装ケース50を備えると共に、バリスタ14の故障を外装ケース50の外部から視認できるようにした点に特徴を有するものである。
すなわち、このサージ吸収器10の変形例にあっては、バネ部材16の天板部16cの表面に識別部52が設けられている。本実施形態においては、天板部16cの表面を黒色に着色することにより識別部52を構成しているが、これに限定されるものではなく、赤色等の他の所定色に着色して識別部52を構成したり、或いは、天板部16cの表面に所定の記号・文字を表示して識別部52と成しても良い。
上記外装ケース50は、透明又は半透明な略直方体形状と成された本体部50aと、該本体部50aの上面に貼着された非透明なシール部材50bを有している。
上記ガスアレスタ12、バリスタ14、バネ部材16を搭載・固定した絶縁基板18は、外装ケース50の本体部50a内の段部54上に載置・固定される。尚、バネ部材16の基端部16aには、例えば、外部端子(図示省略)の一端が接続されると共に、外部端子(図示省略)の他端は外装ケース50外に導出される。
図17に示すように、外装ケース50のシール部材50bには、バネ部材16の接続部16bとバリスタ14の電極層40とが分離された状態において、バネ部材16の天板部16cに設けた識別部52と対応する箇所を開口して形成した表示窓部50cが設けられている。
この結果、バリスタ14の故障時において、バネ部材16の接続部16bが、バリスタ14の電極層40から分離すると、図17及び図18に示すように、バネ部材16の天板部16cがバリスタ14の電極層40から斜め上方向に移動するため、上記表示窓部50cから、バネ部材16の天板部16cに形成した識別部52が視認できるようになり、その結果、バリスタ14の故障したことが判るのである。
一方、バネ部材16の接続部16bとバリスタ14の電極層40とが接続されている状態においては、上記表示窓部50cを通じて、透明又は半透明な外装ケース50の外部からバネ部材16の識別部52が視認できないため(図15参照)、バリスタ14が正常であることが判るのである。
尚、上記において、非透明と成された外装ケース50を用い、該外装ケース50に、バネ部材16の接続部16bとバリスタ14の電極層40とが分離された状態において、バネ部材16の識別部52と対応する箇所を開口して形成した表示窓部を設け、該表示窓部を通じて、非透明な外装ケース50の外部からバネ部材16の識別部52が視認できるようにしても良い。
要するに、バネ部材16の接続部16bとバリスタ14の電極層40とが接続されている状態においては、表示窓部を通じて外装ケース50の外部からバネ部材16の識別部52を視認できず、一方、バネ部材16の接続部16bとバリスタ14の電極層40とが分離した状態においては、表示窓部を通じて外装ケース50の外部からバネ部材16の識別部52が視認できるよう構成されていれば良い。
上記バリスタ14の電極層40とバネ部材16を接続する上記ハンダ46は、通常のサージ吸収時には溶断し難く、一方、バリスタ14の故障時において、継続的な過電流がバリスタ14に流れた場合には溶断し易いものであることが必要である。
そこで、本考案にあっては、上記ハンダ46を、融点が210℃以上の高融点金属と融点が140℃以下の低融点金属との合金で構成しており、且つ、高融点金属と低融点金属とを2:1〜5:1の割合で配合して成る。
融点が210℃以上の高融点金属としては、例えば、融点が243℃のSn−5.0Sb、融点が227℃のSn−0.7Cu、融点が221℃のSn−3.5Ag、融点が219℃のSn−3.0Ag−0.5Cu、融点が214℃のSn−3.5Ag−3.0In−0.5Bi、融点が211℃のSn−3.5Ag−4.0In−0.5Biが該当する。
また、融点が140℃以下の低融点金属としては、例えば、融点が138℃のSn−58Bi、融点が119℃のSn−52Inが該当する。
而して、上記の通り、融点が210℃以上の高融点金属と融点が140℃以下の低融点金属とを2:1〜5:1の割合で配合した合金でハンダ46を構成することにより、通常のサージ吸収時には溶断し難く、一方、バリスタ14の故障時において、継続的な過電流がバリスタ14に流れた場合には溶断し易いものとなる。
すなわち、融点が210℃以上の高融点金属のみでハンダ46を構成すると、通常のサージ吸収時に溶断し難く、且つ、バリスタ14の故障時において、継続的な過電流がバリスタ14に流れた場合にも溶断し難いものとなってしまう。
一方、融点が140℃以下の低融点金属のみでハンダ46を構成すると、通常のサージ吸収時に溶断し易く、且つ、バリスタ14の故障時において、継続的な過電流がバリスタ14に流れた場合にも溶断し易いものとなってしまう。
これに対し、本考案の如く、融点が210℃以上の高融点金属と融点が140℃以下の低融点金属とを2:1〜5:1の割合で配合した合金でハンダ46を構成した場合には、瞬時にバリスタ14が高温となる通常のサージ吸収時には溶断し難く、一方、バリスタ14の故障時において、継続的な過電流がバリスタ14に流れ、徐々にバリスタ14が昇温する場合には溶断し易いものとすることができる。
尚、融点が210℃以上の高融点金属と融点が140℃以下の低融点金属とを3:1の割合で配合した合金でハンダ46を構成する場合が最も好適である。
本考案者等は、上記ハンダ46を、融点が219℃の高融点金属であるSn−3.0Ag−0.5Cuと融点が138℃の低融点金属であるSn−58Biを3:1の割合で配合した合金で構成したサージ吸収器10を複数個準備し、これらに通常のサージ吸収時のインパルス放電電流の約5倍である5kA(電流波形8/20μs)を繰り返し通電させたところ、平均8回の通電までハンダ46が溶断することはなく、通常のサージ吸収時には溶断し難い特性を発揮するものであった。
一方、バリスタ14の故障時におけるハンダ46の溶断特性に関しては、6Aの過電流が継続的に通電した場合に1sで溶断すれば使用に適したものといえる。本考案者等は、上記ハンダ46を、融点が219℃の高融点金属であるSn−3.0Ag−0.5Cuと融点が138℃の低融点金属であるSn−58Biを3:1の割合で配合した合金で構成したサージ吸収器10を複数個準備し、これらに6Aの過電流を継続的に通電したところ、平均0.83sで溶断し、継続的な過電流が流れた場合には溶断し易い特性を発揮するものであった。
上記においては、第1のサージ吸収素子としてのガスアレスタ12の端面電極20,20に、第2のサージ吸収素子としてのバリスタ14,14を接続一体化すると共に、バリスタ14,14の外面側の電極層40にバネ部材16,16を接続した場合を例に挙げて説明したが、本考案はこれに限定されるものではない。例えば、単体のガスアレスタ12の端面電極20にバネ部材16を接続したり、単体のバリスタ14の電極層40にバネ部材16を接続するようにしても良い。
本考案に係るサージ吸収器を示す斜視図である。 本考案に係るサージ吸収器を示す正面図である。 本考案に係るサージ吸収器を示す平面図である。 本考案に係るサージ吸収器を示す底面図である。 本考案に係るサージ吸収器を示す右側面図である。 本考案のガスアレスタを示す拡大断面図である。 本考案のバリスタを示す拡大断面図である。 本考案のガスアレスタ、バリスタ、バネ部材の接続状態を示す要部拡大断面図である。 本考案のバネ部材を示す右面図である。 本考案のバネ部材を示す拡大斜視図である。 本考案のガスアレスタ、バリスタ、バネ部材を一体化した状態を示す平面図である。 本考案のガスアレスタ、バリスタ、バネ部材を一体化した状態を示す右側面図である。 本考案のガスアレスタ、バリスタ、バネ部材を一体化した状態を示す拡大斜視図である。 バネ部材の接続部が、バリスタの電極層から分離した状態を示す正面図である。 本考案に係るサージ吸収器の変形例を示す正面図である。 本考案に係るサージ吸収器の変形例における識別部を示す説明図である。 本考案に係るサージ吸収器の変形例において、バネ部材の接続部が、バリスタの電極層から分離した状態を示す正面図である。 本考案に係るサージ吸収器の変形例を示す平面図である。
符号の説明
10 サージ吸収器
12 ガスアレスタ
14 バリスタ
16 バネ部材
16a バネ部材の基端部
16b バネ部材の接続部
16c バネ部材の天板部
16d バネ部材の板状部
16e バネ部材の湾曲部
16g バネ部材の直線部
18 絶縁基板
20 ガスアレスタの端面電極
22 ガスアレスタの中間電極
28 ガスアレスタの気密外囲器
35 ガスアレスタの端子ピン
36 接合材
38 バリスタの電圧非直線抵抗体
40 バリスタの電極層
40a バリスタの電極層の周縁部
42 バリスタの絶縁層
46 ハンダ
48 絶縁基板の孔
49 絶縁基板の孔
50 外装ケース
50a 外装ケースの本体部
50b 外装ケースのシール部材
50c 外装ケースの表示窓部
52 識別部

Claims (8)

  1. サージ吸収素子と、該サージ吸収素子に接続される導電性のバネ部材を備えたサージ吸収器であって、
    上記バネ部材は、支持部材に固定される基端部と、上記サージ吸収素子の電極にハンダを介して接続される接続部と、上記基端部と接続部との間に形成された板状部を有しており、
    上記バネ部材の板状部を捻り変形及び曲げ変形させ、元の形状へ戻ろうとする弾性力により、バネ部材の接続部が、サージ吸収素子の電極から分離する方向への付勢力を有することを特徴とするサージ吸収器。
  2. 上記サージ吸収素子が、バリスタ又はガスアレスタであることを特徴とする請求項1に記載のサージ吸収器。
  3. 上記サージ吸収素子及びバネ部材を収納する外装ケースを備えると共に、該外装ケースに表示窓部を形成し、また、上記バネ部材の上端に天板部を形成すると共に、該天板部の表面を識別部と成し、バネ部材の接続部とサージ吸収素子の電極とが接続されている状態においては、上記表示窓部を通じて外装ケースの外部からバネ部材の識別部を視認できず、バネ部材の接続部とサージ吸収素子の電極層とが分離した状態においては、表示窓部を通じて外装ケースの外部からバネ部材の識別部が視認できるよう構成したことを特徴とする請求項1又は2に記載のサージ吸収器。
  4. 上記識別部が、バネ部材の天板部の表面を所定色に着色することにより構成されていることを特徴とする請求項3に記載のサージ吸収器。
  5. 上記ハンダを、融点が210℃以上の高融点金属と、融点が140℃以下の低融点金属とを2:1〜5:1の割合で配合して成る合金で構成したことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載のサージ吸収器。
  6. 上記ハンダを、融点が210℃以上の高融点金属と、融点が140℃以下の低融点金属とを3:1の割合で配合して成る合金で構成したことを特徴とする請求項5に記載のサージ吸収器。
  7. 融点が210℃以上の上記高融点金属が、Sn−5.0Sb、Sn−0.7Cu、Sn−3.5Ag、Sn−3.0Ag−0.5Cu、Sn−3.5Ag−3.0In−0.5Bi、Sn−3.5Ag−4.0In−0.5Biであり、融点が140℃以下の上記低融点金属が、Sn−58Bi、Sn−52Inであることを特徴とする請求項5又は6に記載のサージ吸収器。
  8. 融点が210℃以上の上記高融点金属がSn−3.0Ag−0.5Cuであり、融点が140℃以下の上記低融点金属が、Sn−58Biであることを特徴とする請求項7に記載のサージ吸収器。
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JP2020025058A (ja) * 2018-08-08 2020-02-13 トヨタ自動車株式会社 半導体装置

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