JP3148566B2 - 特殊中空糸用紡糸口金 - Google Patents

特殊中空糸用紡糸口金

Info

Publication number
JP3148566B2
JP3148566B2 JP13020995A JP13020995A JP3148566B2 JP 3148566 B2 JP3148566 B2 JP 3148566B2 JP 13020995 A JP13020995 A JP 13020995A JP 13020995 A JP13020995 A JP 13020995A JP 3148566 B2 JP3148566 B2 JP 3148566B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
slit
flow path
less
protruding
holes
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP13020995A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH08325826A (ja
Inventor
嗣生 藤原
一郎 岡本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Teijin Ltd filed Critical Teijin Ltd
Priority to JP13020995A priority Critical patent/JP3148566B2/ja
Publication of JPH08325826A publication Critical patent/JPH08325826A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3148566B2 publication Critical patent/JP3148566B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Spinning Methods And Devices For Manufacturing Artificial Fibers (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、繊維軸に沿って2個の
中空部を有し、しかも、繊維軸に直角方向の断面(以
下、単に“繊維断面”と称する)でみた場合に、全繊維
断面中に占める中空部の占有面積の割合(以下、“中空
率”或いは“中空度”と称する)が高い繊維、即ち、中
空率が20%以上である中空糸を溶融紡糸することので
きる紡糸口金に関するものであり、軽量かつ保温性が高
く、張り腰、シャリ感のある繊維を製造することができ
る紡糸口金に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、中空糸を溶融紡糸するに際して
は、図3(a),(b)に示されるように、円弧状のス
リット状流路孔を有する吐出孔(H´) を同一の円周上に
複数個穿設した中空糸用紡糸口金が一般に使用されてい
た。しかし、このような紡糸口金から紡出されて得られ
る中空糸は、繊維軸に沿って形成された中空部(以下、
単に“中空部”と称する)を一個だけ有するものであっ
た。しかも、このような紡糸口金を使用して、中空率が
高い中空糸を得ようとすると、図4(a),(b),
(c)に示すように、隣り合った吐出孔から吐出された
ポリマーが接合する接合部に窪みが生じたり、接合に不
具合が生じたりする。
【0003】従って、このような問題を解消して、高中
空率でありながら、かつ、繊維断面の真円性を高めた中
空糸を得るための紡糸口金が、特開昭58―16950
7号公報に提案されている。この紡糸口金によれば、確
かに、中空度が20%以下の比較的中空度の小さいもの
を得ることができる。しかしながら、30%を越えるよ
うな高中空率を有する糸を製造しようとしても、図6
(a),(b),(C)に示すように繊維断面の形に歪
みが発生するため、このような糸を得ることは難しかっ
た。即ち、真円に近い形を得ようとしても、繊維断面が
真円になり難いという大きな問題を抱えていた。
【0004】この問題を解消して、中空度が30%を越
え、かつ真円性にも優れた中空糸を得るための紡糸口金
として、図7(a),(b)に示すものも提案されてい
る(実公平2―43879号公報)。なお、図8
(a),(b),(C)は、これらの紡糸口金から得ら
れた中空糸である。
【0005】しかし、これらの紡糸口金は、全て一つの
中空部を有する中空糸を製造するための紡糸口金であ
る。
【0006】これに対して、特開平6−2210号公報
には、図9に示すように二つ以上の中空部を有する中空
糸を製造するための紡糸口金が、提案されており、図1
0は、この紡糸口金から得られた中空糸の繊維断面を示
したものである。しかしながら、この紡糸口金において
は、得られる中空糸の中空部形状は、極めて不規則であ
って、しかも、中空率が20%以上の中空糸を得るのは
極めて困難である。このため、軽量性と保温性とを兼ね
備えた、2以上の中空部を有する20%以上の高中空率
の中空糸を安定して得ることが出来なかった。しかも、
突出流路孔の占有面積が小さいため、中空部を形成させ
るための接合部が弱化し、中空割れが発生するという問
題を有していた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
従来技術における欠点を解消し、二つの中空部を有し、
しかも、中空率が20%以上である中空糸を安定して製
造するための紡糸口金を提供しようとするものである。
もし、このような紡糸口金が提供されることになれば、
二つの中空部を有し、しかも、高中空率の中空糸を安定
して確実に製造することが可能となり、軽量性と保温性
に優れた中空糸を得ることが出来る。
【0008】
【課題を解決するための手段】ここに、本発明によれ
ば、上記の課題を極めて巧妙に解消した下記の構成を有
する紡糸口金が提供される。
【0009】即ち、本発明は、繊維軸に沿って形成され
た、実質的に独立した2個の中空部を有する特殊中空糸
を紡糸するための、下記の条件A〜を同時に満足する
特殊中空糸用紡糸口金である。 A. 長軸長/短軸長(A1/A2)が1.0以上、2.
0以下の楕円(C1)の周上に沿って、スリット状流路
孔(Ha)が4個以上、12個以下配設され、かつ B.該スリット状流路孔(Ha)の内縁(Ei)部両端
のそれぞれには、該楕円(C1)に関して略直角方向へ
内向きに突出した突出流路孔(Hb)が設けられ、これ
により、隣接するスリット状流路孔(Ha)間において
互いに近接対向する突出流路孔同士を互いに対とし、そ
の際、 C.口金のポリマー吐出面上において、各スリット状流
路孔(Ha)の外縁(Eo)に外接する外接楕円(C
2)によって囲繞された領域面積をS1とし、ポリマー
の濡れ縁に囲繞されて形成された吐出孔の開口流路面積
をS2として、これらのS1とS2との間に成立する、
流路占有率(R)=(S2/S1)×100という関係
式を想定した場合に、該流路占有率が3≦R≦10であ
って、D. 互いに隣接する前記のスリット状流路孔(Ha)の
間隔(t)が0.05mm以上、0.1mm以下であ
り、E. 互いに対をなす突出流路孔においては、前記の楕円
(C1)の長軸中心(O)から2つの長軸端へ向かって
それぞれ長軸長(A1)の20%の範囲内で、他の突出
流路孔対(B)よりも大きな開口流路面積を有する2対
(A)を前記の楕円(C1)の長軸に関して、略線対称
に対峙して設け、かつ、F. 前記のS2に対する突出流路孔対の群(A群)のみ
で構成される口金吐出面での全開口流路面積の割合が、
百分率表示で6.0%以上、10.0%以下であって、
他方、突出流路孔対の群(B群)については、2.0%
以上、5.0%以下であること。
【0010】なお、本発明の構成において、前記の突出
流路孔(Hb)がスリット状であって、そのスリット長
(L)が0.10mm以上、0.12mm以下であっ
て、スリット幅(W)が0.004mm以上、0.06
mm以下である大きな開口流路面積を有する2対の突出
流路孔対と、これよりも小さな開口流路面積を有するス
リット長(L)が0.10mm以上、0.12mm以下
であって、スリット幅(W)が0.004mm以上、
0.06mm以下である他の突出流路孔対とからなる紡
糸口金とすることが好ましい。
【0011】また、前記の楕円(C1)の長軸長を1.
0mm以上、3.0mm以下とすることが、軽量で且つ
保温性に優れたファ インデニールの中空糸を得るために
好ましい。
【0012】
【実施例】次に、前記の構成において、二つの中空部を
有し、しかも、高中空率の中空糸を得るための紡糸口金
の実施例について、その作用とともに、以下に詳細に説
明する。
【0013】中空糸を溶融紡糸する場合において、紡糸
口金から吐出されたポリマーは、吐出直後に膨らむ現象
(いわゆるバラス効果)が生じ、その後、細化が始ま
る。このバラス効果は、得られる中空糸の中空度に極め
て大きな役割を果たす。即ち、一般的にポリマーの溶融
温度が低くなると、吐出孔より吐出されるポリマーのバ
ラス効果が大きくなり、得られる中空糸の中空度は高く
なる。しかしながら、一方では、吐出孔から吐出された
ポリマーの吐出時の円弧状形状は、そのままの円弧状に
維持され難く、得られる糸条の繊維断面形態は、吐出孔
の数に応じて種々に変形する。すなわち、2個の円弧形
状のスリット状流路孔を有する吐出孔の場合では楕円
状、3個の吐出孔の場合では三角状、4個の吐出孔の場
合では四角状になり易い。また、このような場合におい
ては、互いに隣り合う吐出孔から吐出されたポリマー同
士の接合がうまくいかず、しばしば中空割れを生じる。
【0014】そこで、前記の中空割れを抑制する手段と
して、本発明においては、円及至楕円形状のスリット状
流路孔を有する吐出孔の内縁(Ei)両端部に突出流路
孔(Hb)を設けることを行っている。この突出流路孔
(Hb)は、吐出孔の流路断面積を大きくする役割を演
じる。このため、該突出流路孔によって、ポリマーの線
吐出速度が遅くされ、これによって、吐出直後にポリマ
ーが外側に膨らもうとする応力が緩和される。そして、
ポリマーの吐出時の円弧形状を維持する効果を付与す
る。
【0015】しかしながら、本発明の一大特徴は、二つ
の口中空率の中空部を安定かつ確実に形成することにあ
り、このためには、突出流路孔を有する吐出孔のの個
数、形状、配置を前述の構成にすることが肝要である。
【0016】以上に述べたように、本発明においては、
突出流路孔(Hb)が極めて重要な役割を演じるのであ
る。以下、本願発明の突出流路孔を有する紡糸口金の実
施例について、更に詳細に説明する。
【0017】一般に、中空糸の中空断面形状は、ポリマ
ーの溶融粘度、吐出線速度、冷却条件等の紡糸条件が大
きく関与するのは勿論であるが、前記のようにスリット
状流路孔(Ha)及び突出流路孔(Hb)の数、形状、
配置等も大きく影響する。
【0018】そこで、以下、本発明の紡糸口金に設けら
れた吐出孔を具体的なパラメータと共に図面に基いて詳
細に説明する。図1(a)は、紡糸口金に穿設された、
一本の単繊維を紡糸するための基本単位となる吐出孔の
平面図を示しており、図1(b)及び(c)は、本発明
の他の実施例を示す紡糸口金に穿設された吐出孔の平面
図である。ここで、念のために付言すれば、マルチフィ
ラメントを紡糸するためには、前記の基本単位からなる
吐出孔をフィラメントの個数に対応して穿設した紡糸口
金を使用することは言うまでもない。なお、図1(b)
及び(c)は、一点鎖線で示した楕円(C1)の長軸長
と短軸長とが一致する場合(長軸長/短軸長=1)、即
ち、楕円(C1)が円(C1´)となる場合であって、
本発明においては、このような場合も含まれることは言
うまでもない。また、図2は、図1の紡糸口金で溶融紡
糸して得られた中空糸の繊維断面を示したものであっ
て、二つの中空部が高中空率で形成されている例を示し
た繊維断面の模式図である。
【0019】なお、図1(a)において、本発明の紡糸
口金に穿設された吐出孔は、楕円(C1)の周上に沿っ
て、僅かな間隔(t)を隔てて、4個のスリット状流路
孔(Ha)を有している。ここで、スリット状流路孔
(Ha)がその上に配設される楕円(C1)の形状とし
ては、その長軸長をA1とし、短軸長をA2としたと
き、長軸長(A1)と短軸長(A2)との比(A1/A
2)が1.0以上、2.0以下であることが高中空率糸
を製造する上で肝要である。もし、この比(A1/A
2)が2.0を越えると中空部が押し潰された形状とな
るため、高中空率糸を得ることが難しくなる。また、図
1(b)及び(c)は、長軸長(A1)=短軸長(A
2)=ピッチ円直径(P.C.D) となる場合を示している。
【0020】次に、図4に示したようなポリマーの貼り
合わせが良くない糸条を形成させないために、各スリッ
ト状流路孔(Ha)の両端部内縁(Ei)には、楕円
(C1)の略内向き法線方向に突出した突出流路孔(H
b)を設け、隣接するスリット状流路孔(Ha)間にお
いて、互いに近接対向する突出流路孔同士を対(A或い
はB)とすることが、重要である。なお、本実施例の吐
出孔は、その両端に突出流路孔(Hb)が設けられた4
個のスリット状流路孔(Ha)から成り立っているが、
該スリット状流路孔(Ha)の個数としては、4個以
上、10個以下が良好な中空糸を得る上で好ましい。
【0021】本発明においては、二つの中空部を高中空
率で形成させることが肝要であるため、該突出流路孔
(Hb)の形状と配置が重要であることは、幾度も述べ
てきたところである。そこで、以下に該突出流路孔(H
b)の形状と配置について、具体的に実施例に則して述
べる。
【0022】先ず、図1(a)に例示した突出流路孔
(Hb)の対(A及びB)の配置に関しては、他の突出
流路孔(Hb)の対(B)より、その開口流路面積が大
きい突出流路孔(Hb)の対(A)を2対設ける。そし
て、楕円(C1)の長軸中心(O)から長軸の両端へ向
かってそれぞれ長軸長の20%の範囲内で、該2対
(A)を前記の楕円(C1)の長軸に関して、略線対称
に対峙して設けることが肝要である。もし、この範囲に
入らないと、高中空率糸を得ることが難しくなり、本発
明の目的を達成することが困難となる。
【0023】このようにすることで、特に、他の突出流
路孔の対(B)より、開口流路面積が大きい突出流路孔
対(A)を流れるポリマーの吐出線速度は、他の部分よ
り遅くなる。このため、突出流路孔対(A)の部分で前
述のように外側に膨らむ応力が著しく緩和されるため、
この部分のポリマーが、互いに接近して貼り合わせが生
じ、これにより、二つの中空部が形成されるものと考え
られる。
【0024】ここで、前述のスリット状流路孔(Ha)
は、楕円(C1)の周上に配置されるが、この時の長軸
長は、1.0mm以上、3.0mm以下とするのがよく、こ
の長軸長が小さすぎると高中空率の糸は望めないばかり
か、二つの中空部を有する中空糸を形成させることも難
くなる。逆に、大きすぎると、ファ インデニールの中空
糸を得ることが難い。
【0025】更に、スリット状流路孔(Ha)の外縁
(Eo)に外接する外接楕円(C1)によって囲繞され
た全領域の面積をS1とし、吐出孔のポりマーの濡れ縁
に囲繞されて形成された全開口流路面積をS2と定義す
ると、これらのS1とS2が、3≦R=(S2/S1)
×100≦10 という関係式を満足することが必要で
ある。なお、この関係式において、Rを“流路占有率”
と称することにする。この流路占有率が3未満であれ
ば、図4に示したようなポリマーの貼り合わせ部が不良
の中空糸となり、10より大きくなると、高中空率の中
空糸を得ることが難しくなる。但し、該流路占有率は、
互いに隣接する円弧形状のスリット状流路孔(Ha)を
離間する間隙(t)によって大きく左右される。この間
隔(t)と流路占有率(R)との関係に関して更に付言
すれば、一般に、tが小さい場合には、Rを小さな値に
選定し、逆にtが大きい場合には、Rを大きな値に選定
することが好ましい。
【0026】このとき、前記の突出流路孔対(A及び
B)において、他の突出流路孔対(B)よりも大きな開
口流路面積を有する2対(A)の流路占有率が2.0以
上、4.0以下であって、他の突出対(B)について
は、該流路占有率が6.0以上、10.0以下とするこ
とが、好ましい。
【0027】また、このような突出流路孔対(A及び
B)の形状に関しては、上記の流路占有率(R)を有す
ることが肝要である。ただ、主として流路の加工上(製
作上)の問題からスリット状とすることが特に好まし
く、また、その形状に関しては、突出流路孔対(A)に
対しては、スリット長(L)が0.10mm以上、0.
12mm以下であって、スリット幅(W)が0.004
mm以上、0.06mm以下であることが好ましい。そ
して、突出流路孔対(B)に対しては、スリット長
(L)が0.10mm以上、0.12mm以下であっ
て、スリット幅(W)が0.004mm以上、0.06
mm以下であることが特に好ましい。
【0028】ところで、前記の間隔(t)には、当然の
事ながら、好ましい値が存在し、0.05mm以上、
0.1mm以下とすることが重要である。もし、tが小
さすぎると、吐出されたポリマーの接合が早く行われ、
扁平な中空糸となりやすく、更には、紡糸口金がポリマ
ーの吐出圧力で変形し易くなるため、口金の強度設計上
好ましくない。また、tが大きくなりすぎると接合が遅
れ、このために、ポリマーの貼り合わせが十分に行われ
ず、中空割れの原因となる。更に、吐出孔の円弧形状の
スリット状流路孔(Ha)のスリット幅(w)は、細く
するほど高中空率の糸を得ることが出来るが、これはポ
リマーを紡糸口金から吐出するときの吐出圧力に密接に
関係しており、細くするにつれて吐出圧力も増大するた
め、ポリマーの性状と紡糸条件に応じて適宜選定すれば
よい。
【0029】最後に、以上に述べた吐出孔を有する紡糸
口金を使用した実験例について、以下に説明する。
【0030】長軸長(A1)が1.7mmであって、長
軸長(A1)/短軸長(A2)=1.2の楕円の周上に
沿って、等しい長さの6個のスリット状流路孔(Ha)
0.07mmの間隔(t)で配置した。このとき、吐
出孔の流路占有率(R)を7%として、楕円(C1)の
長軸の中心において、長軸と線対称の位置に、他の突出
流路孔(Hb)の対(B)よりも、その開口流路面積が
大きな突出流路孔(Hb)の対(A)を2対形成した。
この際、吐出孔の口金吐出面での開口流路面積(S2)
に対する該突出流路孔(Hb)の対(A)の開口流路面
積が占める割合を9%とし、また、該突出流路孔(H
b)の対(B)の開口流路面積が占める割合を4%とし
た。なお、このときのスリット流路孔の幅(W)は、
0.10mmとした。この紡糸口金を使用して、常法
従って、ポリエステル繊維を紡糸したところ、中空割れ
の発生が見られない、繊維軸方向に沿って、二つの中空
部を有する中空糸を安定して製造することができた。こ
のようにして得られた中空糸の断面を観察したところ、
その中空率は、24%であった。
【0031】また、長軸長(A1)と短軸長(A2)の
比(A1/A2)を1.0とし、A1=A2=1.4m
mの楕円(事実上、円である)の周上に等しい長さの4
個のスリット状流路孔(Ha)を0.07mmの間隔
(t)で配置した。この他の条件は、上記の実験例と同
一にし、二つの中空部を有する中空糸を製造した。この
時に得られた繊維断面を観察したところ23%の高中空
率であり、中空割れも生じていなかった。
【0032】
【発明の効果】以上に説明の如く、本発明によれば、二
つの中空部を有する高中空率糸を中空割れの発生もな
く、安定かつ確実に紡糸することができ、これによっ
て、軽量で保温性が高く、張り腰、シャリ感のある素材
を得ることができる。また、紡糸するポリマーの粘度等
を不安定な紡糸条件へ変更したり、調節することもなく
なるため、糸切れが発生することなく、安定した紡糸が
可能となる。このため、製糸パフォーマンスに優れ、し
かも、高品位の糸を得ることが可能になるという極めて
顕著な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a) 本発明の実施例を示す紡糸口金に穿設
された吐出孔の平面図である。 (b)及び(c) 他の実施例を示す吐出孔の平面図で
ある。
【図2】図1の吐出孔で得られた中空糸の繊維断面(繊
維軸に対して横方向の断面)を例示した図である。
【図3】(a)及び(b) 従来の吐出孔を示す平面図
である。
【図4】(a) 図3(a)に図示した吐出孔で得られ
た中空糸の繊維断面図である。 (b)及び(c) 図3(b)の吐出孔で得られた中空
糸の繊維断面図である。
【図5】従来の他の吐出孔を示す平面図である。
【図6】図5の吐出孔で紡糸された中空糸の繊維断面図
である。
【図7】従来の他の吐出孔を示す平面図である。
【図8】図7の吐出孔で紡糸された中空糸の繊維断面図
である。
【図9】従来の他の吐出孔を示す平面図である。
【図10】図9の吐出孔で紡糸された中空糸の繊維断面
図である。
【符号の説明】
1 紡糸口金本体 A1 長軸長 A2 短軸長 A 突出流路孔対(流路面積小) B 突出流路孔対(流路面積大) C1 楕円 C1´ ピッチ円 C2 外接楕円 C2´ 外接円 Ei 内縁 Eo 外縁 Ha スリット状流路孔 Hb 突出流路孔 L 突出流路孔のスリット長 O 長軸の中心 P.C.D ピッチ円直径 t 互いに隣接する吐出孔の間隔 W スリット状流路孔幅
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D01D 5/24 - 5/253

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維軸に沿って形成された、実質的に独
    立した2個の中空部を有する特殊中空糸を紡糸するため
    の、下記の要件A〜Fを同時に満足する複数の吐出孔を
    有する特殊中空糸用紡糸口金。 A.長軸長/短軸長(A1/A2)が1.0以上、2.
    0以下の楕円(C1)の周上に沿って、スリット状流路
    孔(Ha)が4個以上、12個以下配設され、かつ B.該スリット状流路孔(Ha)の内縁(Ei)部両端
    のそれぞれには、該楕円(C1)の略内向き法線方向に
    突出した突出流路孔(Hb)が設けられ、これにより、
    隣接するスリット状流路孔(Ha)間において互いに近
    接対向する突出流路孔同士を互いに対とし、その際、 C.口金のポリマー吐出面上において、各スリット状流
    路孔(Ha)の外縁(Eo)に外接する外接楕円(C
    2)によって囲繞された領域面積をS1とし、ポリマー
    の濡れ縁に囲繞されて形成された吐出孔の開口流路面積
    をS2として、これらのS1とS2との間に成立する、
    流路占有率(R)=(S2/S1)×100という関係
    式を想定した場合に、該流路占有率が3≦R≦10であ
    って、 D.互いに隣接する前記のスリット状流路孔(Ha)の
    間隔(t)が0.05mm以上、0.1mm以下であ
    り、 E.互いに対をなす突出流路孔の中で、他の突出流路孔
    対(B)よりも大きな開口流路面積を有する2対(A)
    、楕円(C1)の中心からの長軸上での距離が長軸長
    の20%の範囲内となる楕円上の位置に、長軸に関して
    略線対称に対峙させる形で設け、かつ、 F.前記のS2に対する突出流路孔対の群(A群)のみ
    で構成される口金吐出面での全開口流路面積の割合が、
    百分率表示で6.0%以上、10.0%以下であって、
    他方、突出流路孔対の群(B群)については、2.0%
    以上、5.0%以下であること。
  2. 【請求項2】 前記の突出流路孔(A及びB)がスリッ
    ト状であって、そのスリット長(L)が0.10mm以
    上、0.12mm以下であって、スリット幅(W)が
    0.004mm以上、0.06mm以下である2つの突
    出流路孔対(A)と、 スリット長(L)が0.10mm以上、0.12mm以
    下であって、スリット幅(W)が0.004mm以上、
    0.06mm以下である他の突出流路孔対(B)とから
    なる請求項1記載の特殊中空糸用紡糸口金。
  3. 【請求項3】 前記の楕円(C1)の長軸長が1.0m
    m以上、3.0mm以下である請求項1又は請求項2記
    載の特殊中空糸用紡糸口金。
JP13020995A 1995-05-29 1995-05-29 特殊中空糸用紡糸口金 Expired - Fee Related JP3148566B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP13020995A JP3148566B2 (ja) 1995-05-29 1995-05-29 特殊中空糸用紡糸口金

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP13020995A JP3148566B2 (ja) 1995-05-29 1995-05-29 特殊中空糸用紡糸口金

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH08325826A JPH08325826A (ja) 1996-12-10
JP3148566B2 true JP3148566B2 (ja) 2001-03-19

Family

ID=15028704

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP13020995A Expired - Fee Related JP3148566B2 (ja) 1995-05-29 1995-05-29 特殊中空糸用紡糸口金

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3148566B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100408541B1 (ko) * 1996-12-31 2004-03-20 주식회사 새 한 피브릴성 폴리에스테르 섬유의 제조방법 및 그 방사구금
JP3866843B2 (ja) * 1997-11-17 2007-01-10 帝人ファイバー株式会社 中空糸用紡糸口金
KR20010028164A (ko) * 1999-09-18 2001-04-06 조민호 고중공율의 중공사 방사구금
CN113122939A (zh) * 2021-03-19 2021-07-16 江苏永银化纤有限公司 一种具有吸湿透气性的再生中空丝的制备方法及生产用喷丝板

Also Published As

Publication number Publication date
JPH08325826A (ja) 1996-12-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3148566B2 (ja) 特殊中空糸用紡糸口金
JP3866843B2 (ja) 中空糸用紡糸口金
JP4826050B2 (ja) ブッシング及びガラス繊維の製造方法
JP3790313B2 (ja) 分割合成繊維の製造方法
JP3546635B2 (ja) 芯鞘複合繊維紡糸用口金板及び口金装置
JPH1150329A (ja) 偏心複合繊維の溶融紡糸方法
JPH09209217A (ja) サイドバイサイド型複合紡糸用口金および複合繊維の製造方法
JPH08302518A (ja) 複合繊維紡糸用口金
JPH0514166U (ja) 中空糸用紡糸口金
JP2734700B2 (ja) 多フィラメント紡糸口金および溶融紡糸方法
JPH07292515A (ja) 芯鞘多孔中空複合繊維用紡糸口金
JPS61108707A (ja) 偏心中空繊維の溶融紡糸方法
JP3281160B2 (ja) 紡糸口金
JPH062210A (ja) 特殊異形中空糸用紡糸口金
JPH1112844A (ja) 芯鞘複合中空繊維紡糸用口金装置
JP2930865B2 (ja) サイドバイサイド型複合繊維紡糸用口金
JPH07278943A (ja) 芯鞘中空複合繊維用紡糸口金
JP3274632B2 (ja) 潜在捲縮性ポリエステル複合繊維の製造方法
JPH02307905A (ja) 複合紡糸口金
JPH07310225A (ja) 芯鞘中空複合繊維用紡糸口金及び芯鞘中空複合繊維の製造法
JPH0797711A (ja) サイドバイサイド型複合繊維用紡糸口金
JP2003213518A (ja) 複合紡糸用口金
JP2003193321A (ja) 極細繊維の溶融紡糸口金及び溶融紡糸方法
JPH07310224A (ja) 芯鞘中空複合繊維用紡糸口金及び芯鞘中空複合繊維の製造方法
JP2734699B2 (ja) 多フィラメント用紡糸口金

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080112

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090112

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100112

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100112

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110112

Year of fee payment: 10

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees