JP3148451B2 - 洗濯機 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は複数の吊り棒により吊り
下げ支持された脱水槽を有する洗濯機に関し、特に脱水
の布の片寄れ等で起る異常振動を検知するのに好適な検
出装置を備えた洗濯機に関する。

【０００２】

【従来の技術】脱水時に、脱水槽に洗濯物が片寄って入
ると脱水槽が横振れして異常振動が発生する。このよう
な場合、従来は高速回転中の脱水槽の蓋開放による危険
を防ぐために設けられている脱水槽蓋と連動する安全レ
バーを利用して、例えば実公昭５７−１０７７６号公報
に開示するように、脱水槽の振れで安全レバーに当たる
ことで、その異常振動を検出し、安全レバーが安全スイ
ッチを作動させて、脱水槽駆動用モータを停止させるよ
うにしている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、負荷
（洗濯物）の偏りにより、異常振動を起こした場合、安
全レバーによって検知するこのような従来の検知方式で
は、安全レバーが曲っていたり、安全レバーに当たらな
い軌道で横振れ振動を越こした時は検知できず、そのま
ま脱水工程を続けようとするので、洗濯機のフレームな
どに打痕を付けたり、ひどい時には洗濯機本体が動き出
し、倒れたり壁をこわすという問題点がある。

【０００４】また上記説明の横向きの振動以外にも縦向
きの振動が起きる場合がある。そのような時安全レバー
が正常な位置であっても検知することができないという
問題点があった。

【０００５】本発明はこれらの問題点に鑑み成されたも
ので、脱水中の異常振動をより適確に検知し、正常脱水
の修正に迅速に対応することを可能とすると共に、布傷
み防止、洗濯機本体の打痕などの問題を解決できる検知
装置を具備した洗濯機を提供することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は機枠に複数本の
吊棒にて弾性的に吊下げ支持した脱水槽を備え、洗濯及
び脱水を行なう洗濯機において、吊棒にかかる重量に伴
いインダクタンスが変化するコイルと、吊棒にかかる重
量に伴うコイルのインダクタンスを電気的信号として検
出する検出手段とからなり、脱水槽内の布の重さを測定
する重量センサと、 脱水時に、上記検出手段の検出出力
があらかじめ設定された一定値を越えて変動する場合異
常振動と判定し、脱水槽の回転を停止させる制御手段
と、を備え、更に、上記一定値を、重量センサによって
測定した布の重さに応じて変化させることを特徴とする
洗濯機としたものである。

【０００７】

【作用】脱水時、脱水槽内の布の片寄りで脱水槽が振動
すると、その振動量に応じた電気的信号の出力変化とな
り、この出力変化が一定値より大となった場合に異常振
動と判定して、自動的に脱水槽を停止させる。このと
き、一定値は、重量センサによって測定した布の重さに
応じて変化させる。

【０００８】検出手段は横振れ、縦振れに関係なく脱水
槽の異常振動を確実に検知することができ、効率的で洗
濯物を傷めない脱水をすることができる。

【０００９】

【実施例】以下本発明の実施例を図面に基づいて説明す
る。図面は一槽式脱水機を示し、１は機枠、２は洗濯兼
脱水槽（以下脱水槽と略記）３を内装した外槽で、機枠
１の上部４隅に設けたコーナー補強板４を吊棒受部４ａ
として吊り下げた４本の吊棒５により弾性的に吊り下げ
支持されている。各吊棒５には上端に後述するコイルス
プリングを内挿し前記吊棒受部４ａにて支持される上部
受座６を夫々有すると共に、下端には吊棒５に外装させ
たコイルスプリング（後述する）を有して、外槽２の下
端部をその外槽受部７を介して支持する下部受座８を夫
々装着している。なおこの吊棒４を含めた外槽２の支持
構造については後で詳述する。

【００１０】前記脱水槽３は軸受９にて保持され、回転
軸１１を中心に回転可能に支持されると共に、脱水槽３
の内底部中心には回転翼１２が回転自在に前記回転軸１
１に装着されている。１３は駆動モータで、前記回転翼
１２及び脱水槽３にプーリ１４ａ，１４ｂ、ベルトを介
して連結され、洗濯時に前記回転翼１２を回転させ、脱
水時に前記回転翼１２、脱水槽３共に高速で一定方向に
回転させる。

【００１１】吊棒５の詳細構造は図６に示されている。
すなわち、吊棒５はその下端部を屈曲されてＬ字状とさ
れ、この下端屈曲部に保持される下側ばね受座１６ａ
と、吊棒５に外挿した上側ばね受座１６ｂと、これらの
ばね受座１６ａ，１６ｂ間に介挿した振動吸収用のコイ
ルスプリング１７により前記下部受座８は構成され、そ
して上側ばね受座１６ｂの円錐状曲面にて前記外槽受部
７を受けて洗濯時及び脱水時に生ずる外槽２の振動が機
枠１に直接伝わらないようこのコイルスプリング１７に
よりある程度吸収している。

【００１２】一方、上部受座６は吊棒５に抜け止め挿着
したコア保持用筒１９とこのコア保持用筒１９の下端段
部１９ｂに下部の径小部２１ｂ下端を係止されて保持さ
れた外挿ケース２１とからなる。そしてコア保持用筒１
９の上部に円板状の鍔部１９ａが形成され、この鍔部２
１より下側の空間部にコイルスプリング２２がコア保持
用筒１９に挿着されて内装されている。従ってコア保持
用筒１９はその鍔部１９ａを外挿ケース２１の内面に摺
接させながら外挿ケース２１に対して上下動移動可能と
なっている。

【００１３】前記コア保持用筒１９の上端には磁性材か
らなるコア２３が装着されており、そしてこのコア２３
の外周にはコイル２４が上部受座６に固定されて設けら
れている。ここで２つのコイルスプリング１７，２２を
介して脱水槽３を支持している吊棒５は、脱水槽３に入
れられる洗濯物の重量に応じてコイルスプリング１７，
２２の長さを変化させて、上下に浮き沈みするので、そ
れに応じてコア２３がコイル２４に対して上下に出入す
る。

【００１４】２５はこのコア２３とコイル２４の位置関
係から吊棒５の移動量を電気的信号として検出する検出
手段にして、前記コーナー補強板４に取付ける等して上
部受座６の上方に設けられる。

【００１５】コア２３とコイル２４との位置関係の変化
はコイル２４のインダクタンスの変化となる。このイン
ダクタンス変化に応じて前記検出手段２５からは或る周
波数が発振出力する。

【００１６】従って、布の重さは発振周波数に変換され
て検出されることとなり、コア２３とコイル２４は洗濯
を開始する前に布の重さを測定する重量センサ３０とな
る。そして検出された布の重さに応じて出力される発振
周波は後述するマイクロコンピュータに入力されて演算
処理され、洗濯時の給水水位の決定、水流の強さの決定
に利用され、布の重さに応じた合理的な運転制御を可能
としている。

【００１７】なお、コア２３、コイル２４および検出手
段２５は、４本全ての吊棒５に装備しているものとして
実施例では説明しているが、少くとも１本の吊棒５に備
えれば、吊棒の移動量（布の重さ）を検出できる。

【００１８】図７は上述した検出手段２５の具体的回路
構成である。コイル２４はコンデンサ２７ａ，２７ｂと
ともに発振回路２８を構成し、そしてコイル２４のイン
ダクタンスが変化すると発振回路２９から発振される発
振周波数が変化する。この信号はそれぞれの吊棒５に対
応する変換回路３１ａ〜３１ｄを構成しているバッファ
アンプ３２で増巾され、パルス信号として図８に示すマ
イクロコンピュータ（以下マイコンと略記）３３に入力
される。マイコン３２はこのパルス信号の周期によって
吊棒５の移動量を判定する。

【００１９】上述したように吊棒５上端部にある重量セ
ンサ３０は運転開始前に負荷（洗濯物）の重量を算出す
る。本発明はこの重量センサ３０を利用して、脱水時に
も検知作動させ、振動が小さい（負荷の偏りがない）時
は重量測定が行える（ほぼ一定の周波数が出力）が、測
定不能（変化する周波数が出力）の時は振動が大きい
（負荷の偏りがある）と判断し、異常振動を検知する。

【００２０】また脱水槽３の回転と垂直方向（縦方向）
の異常振動が起った時、従来の安全レバーでは検知でき
なかったが、重量センサ３０によりその検知を可能とし
ている。

【００２１】図２は脱水工程で重量センサ３０の出力例
として発振周波数と脱水時間との関係を示すグラフであ
る。グラフａは布の片寄り小（正常振動）の場合を示
し、グラフｂは布の片寄り大（異常振動）の時を示して
いる。このグラフからは、脱水が進み、布から水が脱水
されるに従い、軽くなる吊下重量に応じて、吊棒上部の
重量センサ３０のコイル２４とコア２３の位置関係が変
化する結果、正常振動でも異常振動の場合も徐々にその
発振周波数が増加すると共に、脱水時の上下振動により
小さい変化を繰返すことが判る。

【００２２】しかしこの上下動による変化量は、布の片
寄りが小の場合は小さく、また布の片寄りが大の時は大
きくなっている。

【００２３】その変化量と経時変化の状態は図３の表の
ようになる。この表において、布の片寄り大の場合は変
化量は時間経過とともに増大するが、布の片寄り小の場
合は、或る時点で最大（ＭＡＸ）の変化量となりそれ以
降は減少することが確められている。

【００２４】次に上述の重量センサ３０にて脱水時の異
常振動を検出可能とした洗濯機の制御動作を説明する。
図１はその動作のフローチャートを示している。フロー
がスタートし、洗いやすすぎが終了し（ステップＳ
１）、排水し、脱水行程に入る（ステップＳ２，ステッ
プＳ３）。脱水行程に入り安全レバーが作動したかどう
か判断し（ステップＳ４）、振動により安全レバーが作
動すると（Ｓ４のＹＥＳ）、脱水を中断し、給水を行わ
せた後（ステップＳ８，ステップＳ９）、ためすすぎ行
程又は人手により負荷（洗濯物）をほぐし平らにし（ス
テップＳ１０）、再び脱水行程に入る。ステップＳ４に
よる安全レバーの作動の無い場合（Ｓ４のＮＯ）、本発
明の重量センサ３０を作動させ測定を行う（ステップＳ
５，ステップＳ６）。測定ができれば（小さい振動）、
脱水行程を続行し（ステップＳ７）、測定できなければ
（Ｓ６のＮＯ）、負荷（洗濯物）が偏っていると判断
し、正常な脱水運転ができる様に制御する（ステップＳ
８，ステップＳ９，ステップＳ１０）。

【００２５】ここでステップＳ６の判定は、基本的に重
量センサ３０を介して検出される脱水時の電気信号の変
化量が一定量より大であるかで行い、一定量より大のと
き脱水槽３の片寄りが大と判断し、脱水を停止又は一時
停止する制御方式が考えられる。

【００２６】更に電気信号の変化量を実施例で述べたよ
うに発振周波数にて異常振動を判定する方式も可であ
る。

【００２７】他に脱水時の電気信号の変化量が一定量よ
り大でかつ一定時間越えた時に、脱水異常振動と判断
し、運転を停止させる又は一時停止させる制御方式とし
ても良い。

【００２８】更に重量センサ３０出力の変化量が徐々に
大きくなるか、概略等しい場合は異常振動と判定し、変
化量が最大値を越えた後、減少に転じた場合に正脱水運
転と判定する制御方式としても良い（図２のグラフ及び
図３参照）。

【００２９】また脱水時の電気信号の変化量があらかじ
め設定された一定量より大のとき、布の片寄りが大と判
断する方式の場合、この一定量を布負荷（重さ、種類）
に応じて数種類変化させるようにする制御方式も可であ
る。

【００３０】また脱水初期には水を含んだ洗濯物のため
負荷（脱水槽）が大であるため、駆動モータ１２を或る
時間ＯＮ、又或る時間ＯＦＦとして脱水槽３を回転する
間欠脱水を何回か繰返して負荷を軽くする行程が入る場
合がある。

【００３１】そのような場合に、脱水初期の重量センサ
３０の電気信号が一定量を越えた場合、布の片寄りが大
と判断したら、間欠脱水の回数、１回当りの間欠脱水時
間を正常脱水の場合と異なる値（一般には回数、時間を
増加する）に設定するような制御方式とすることも可能
である。

【００３２】また重量センサ３０からの電気信号の変化
量が大の場合、異常振動と判定し脱水を停止させるもの
であっても、安全をより確実とするために、脱水初期の
間欠脱水も含め、従来の脱水安全スイッチの信号を重量
センサ３０からの信号より優先させる制御方式とするこ
とも可能である。

【００３３】最後に図８に重量センサ３０から信号（洗
濯物の重量、異常振動数）が入力されて、洗濯機を動作
し、また異常振動を判断するマイコン３３を示す。

【００３４】マイコン３３はＣＰＵ５０、ＲＡＭ５１、
ＲＯＭ５２、タイマー５３、システムバス５４、Ｉ／Ｏ
バッファ５５及び入出力ポート５６ａ〜５６ｇから構成
される。マイコン３３には入出力ポート５６ａ〜５６ｄ
を介して、前記重量センサ３０、各種操作キーから構成
される入力キー回路４１、上蓋の開閉に連動して作動す
る安全スイッチ４２や、洗濯時の脱水槽３内の水位を検
出する水位センサ４３からの各信号が入力される一方、
マイコン３３からはこれら各種の情報に基づいて処理し
た結果、必要な制御信号が入出力ポート５６ｅ〜５６ｇ
を介して発光ダイオード群から構成されるＬＥＤ駆動回
路４４、行程終了報知及び異常報知用ブザー回路４５、
負荷駆動回路４６等に送出される。

【００３５】そして前記負荷駆動回路４６は、マイコン
３３からの制御信号に従って、駆動モータ１３、給水電
磁弁４７、排水電磁弁４８の各動作を制御する。４９は
マイコン３３に電圧を供給するための電源回路、５０は
リセット信号発生回路である。

【００３６】

【発明の効果】以上のように本発明によれば、洗濯物の
重さ（量）に応じる合理的な洗濯動作を行なうために脱
水槽の吊棒に設けられた重量センサを利用して、脱水中
の異常振動を確実に検知することができ、それにより負
荷（洗濯物）の偏りをすぐに直せる。

【００３７】従って従来の布傷みや洗濯機本体の打痕な
どの問題を簡単に解決でき、効率的な脱水をさせると共
に、また従来の安全レバーで検知できなかった特有の振
動をも検知可能とし、従来の安全レバーと併用すれば、
より優れた二重の安全装置とすることができる。又、単
体として本発明の検出手段を用いてもその検出能力は高
いものであるから、その場合にはコストダウンやデザイ
ンの向上等を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】脱水槽の異常振動を検知するフローチャート。

【図２】布の片寄りの大小に基づく発振周波数と脱水時
間との関係を示すグラフ。

【図３】布の片寄りの大小に基づく発振周波数の変動量
と脱水経過時間との測定結果を示す表。

【図４】洗濯機の平面図。

【図５】図４の縦断面図。

【図６】脱水槽を吊下げ支持する吊棒の構造を示す縦断
面図。

【図７】吊り棒の移動量をパルス信号に変換する変換回
路の一例を示す回路図。

【図８】マイコンを含む制御手段のブロック回路図。

【符号の説明】

１ 機枠 ２ 洗濯兼脱水槽（脱水槽） ５ 吊棒 ２３ コア ２４ コイル ２５ 検出手段 ３０ 重量センサ ３３ マイコン

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平４−322698（ＪＰ，Ａ) 特開 昭57−22795（ＪＰ，Ａ) 特開 平３−215291（ＪＰ，Ａ) 特開 平４−9190（ＪＰ，Ａ) 実開 昭57−103075（ＪＰ，Ｕ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) D06F 33/02 - 37/24 D06F 49/04

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 機枠に複数本の吊棒にて弾性的に吊下げ
   支持した脱水槽を備え、洗濯及び脱水を行なう洗濯機に
   おいて、吊棒にかかる重量に伴いインダクタンスが変化するコイ
   ルと、吊棒にかかる重量に伴うコイルのインダクタンス
   を電気的信号として検出する検出手段とからなり、脱水
   槽内の布の重さを測定する重量センサと、 脱水時に、上記検出手段の検出出力があらかじめ設定さ
   れた 一定値を越えて変動する場合異常振動と判定し、脱
   水槽の回転を停止させる制御手段と、を備え、更に、上記一定値を、重量センサによって測定した布の
   重さに応じて変化させる ことを特徴とする洗濯機。