本考案は、工具類などを腰に吊り下げたり、持ち運ぶためのツールホルダに関する。
従来、この種のものとして同一出願人によるホルダ本体に収納部材を設けるとともに、前記ホルダ本体の前記収納部材側に保護部材を設け、収納部材に工具類を挿入するときに、工具類が当る部位が傷つき破損することを防止できるツールホルダを提案している(例えば、特許文献1)。
実用新案登録第3081201号公報
従来技術においては、保護部材によって工具類の出し入れの際にホルダ本体が傷ついたり、或いは破損を防ぐことができる。
しかしながら、従来技術では工具類の出し入れの際に、ホルダーに工具類が多少引っ掛かってしまい、出し入れしにくい場合がある。
解決しようとする問題点は、ホルダ本体に収納部材を設けるとともに、前記ホルダ本体の収納部材側に保護部材を設けたホルダーにおいて、工具類の出し入れをよりスムーズにする点である。
本考案の請求項1記載のツールホルダは、ホルダ本体の第1の表面に収納部材を設けるとともに、前記ホルダ本体の前記収納部材側に保護部材を設けたツールホルダにおいて、前記保護部材の第2の表面を前記第1の表面よりも摩擦係数を小さく形成することを特徴とする。
また、請求項2記載のツールホルダーは、請求項1において、前記保護部材は少なくとも前記収納部材の上端近傍に設けたものである。
請求項3記載のツールホルダーは、請求項1又は請求項2において、前記保護部材は前記収納部材の内面に設けたものである。
請求項4記載のツールホルダーは、請求項1〜3のいずれか1項において、前記ホルダ本体は化学繊維製の非吸水性で高強度の織布、不織布又は編布からなるとともに、前記ホルダ本体が装着部と前記収納部材を備えたホルダ部とから構成され、繊維製のメッシュ材からなる収納ポケットが前記収納部材に設けられるとともに、前記装着部が前記ホルダ本体の上端側を折り曲げて該ホルダ本体に固定手段によって固定されて扁平リング状に形成され、前記固定手段が前記収納部材の上方において前記ホルダ本体の外面から外側へ突出して設けられているものである。
請求項5記載のツールホルダーは、請求項1において、前記ホルダ本体は皮革からなるとともに、前記ホルダ本体は装着部と前記収納部材を備えたホルダ部とから構成され、前記装着部が前記ホルダ本体の上端側を折り曲げて該ホルダ本体に固定されて扁平リング状に形成され、前記保護部材はホルダ本体の前記収納部材側全面に亘って設けられ、前記ホルダ部の最下部にクッション材及び排出口が設けられているものである。
さらに、請求項6記載のツールホルダは、請求項4において、前記収納部材の上部に蓋部材を設け、前記ホルダ本体に前記蓋部材の一端を固定するとともに、前記蓋部材の他端の一面に第1の着脱部、前記蓋部材の他端の他面に第2の着脱部を設け、前記収納部材の上部外側に前記第1の着脱部と係合可能な第1の着脱受部、前記ホルダ本体の上部に前記第2の着脱部と係合可能な第2の着脱受部を設けたものである。
請求項1の考案によれば、保護部材により、工具類が当る部位が傷つき破損することを防止でき、さらに前記保護部材の第2の表面を前記第1の表面よりも摩擦係数の小さい材質により形成することで、工具類の出し入れで工具類が第2の表面に当てっても滑りやすくなっており、引っ掛かりなく出し入れすることができる。
請求項2の考案によれば、特に工具類を出し入れする際に工具類が当りやすい部位が傷つき破損することを防止できるものとなっている。
請求項3の考案によれば、工具類が当る部位が傷つき破損することを防止できるものとなっている。
請求項4の考案によれば、化学繊維は皮革と比べて軽量で柔軟性に富むため、体躯などへの追従性が良好で工具などを収納部材に入れやすくなっている。また、ツールホルダ自体が水を吸収して重くなるようなことがなく、収納物が濡れにくく、乾燥しやすくなっている。しかもツールホルダとして十分な強度を有する。さらに、収納ポケットはメッシュ材からなるので、収納物に対する追従性に特に優れ、作業などの合間に部品や工具などを無造作に入れても保持しやすくなっている。また、リング状の装着部を腰などに挿通することにより作業者の腰部に固定しやすく、収納部材及び収納ポケットに収納した工具などを作業中に取り出しやすく、また収納もしやすくなっている。さらに、固定手段が突出して設けられているので、使用者に注意を喚起させ、工具類を収納する際に前記固定手段の位置を視覚で確実に確認させることにより、工具類の収納時に工具類が傷つくことを防止できるものとなっている。
請求項5の考案によれば、リング状の装着部を腰などに挿通することにより作業者の腰部に固定しやすく、収納部材に収納した工具などを作業中に取り出しやすく、また収納もしやすくなっている。また、ノミなどの刃物を収納した場合にも、合成樹脂からなる保護部材によりホルダ本体を傷付けることがない。また、クッション材を設けたことにより、ノミを収納した場合にノミの先端がクッション材に当るので、ノミの刃先がツールホルダの縫い糸を切り、ノミの先端がツールホルダの下部を突き抜けてしまう危険を回避できる。さらに、排出口により、ツールホルダの内側の最下部に溜まった木くず等を容易に排出することができる。
請求項6の考案によれば、工具を出し入れする際には、蓋部材の他端を第2の着脱部及び第2の着脱受部によってホルダ本体の上部に係合可能であるので、工具を出し入れする際に蓋部材が邪魔にならない。
本考案における好適な実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
以下、本考案を添付図面に基づき詳細に説明する。図1及び図2は、本考案の実施例1によるツールホルダを示しており、このツールホルダ1は、化学繊維製の布材からなるホルダ本体2からなり、このホルダ本体2には、装着部3とホルダ部4とが形成されている。ホルダ部4は、ホルダ本体2の外面側にホルダ本体2と同じ化学繊維製の布材からなる収納部材4Aを装着してなり、この収納部材4Aには繊維製のメッシュ材からなる収納ポケット5が設けられている。この収納部材4Aおよび収納ポケット5は二つの区画に分割されている。また、装着部3は図2に示すようにホルダ本体2の長手方向における上端側を折り曲げて、該ホルダ本体2の反対面側にリベット等の固定手段6により固定することにより扁平なリング状となっている。この固定手段6は、収納部材4Aの上方において、ホルダ本体2の外面から外側に突出して設けられている。このようなツールホルダ1においてホルダ本体2は、化学繊維製の非吸水性で高強度の織布、不織布又は編布からなるのが好ましく、具体的には、高硬度ナイロン織布や、ポリエステル織布、ポリ塩化ビニル織布などからなるのが好ましい。また、ホルダ本体2上の特に工具類を出し入れする際に工具類が当りやすい部位、すなわちホルダ本体2上の収納部材側4Aにおける収納部材4Aの上端近傍の、固定手段6の周囲近傍から収納部材4Aの上部が対向する部位には、合成樹脂からなる保護部材7が部分的に設けられている。なお、この保護部材7は、皮革、ビニールレザー、化学繊維等の、合成樹脂以外の材料から構成されている。そして、ホルダ本体2における保護部材7を装着した第1の表面2Sの摩擦係数Xに比較して、保護部材7の第2の表面7Sの摩擦係数Yを小さくしている(X>Y)。すなわち、第1の表面2Sに比較して第2の表面7Sは滑りやすくなっている。尚、摩擦係数は、2つの物体の接触面にはたらく摩擦力の大きさFと2面を垂直に押し付けている力(垂直荷重)の大きさPとの比(F/P)をいう。この摩擦係数は動摩擦係数と静摩擦係数があり、本願の摩擦係数は、動摩擦係数、静摩擦係数の少なくとも一方が該当すればよい。
前記構成につきその作用について説明する。まず、装着する際には扁平リング状の装着部3をベルトなどに挿通することにより、使用者の腰部に装着する。そして、工具類などを分割された収納部材4Aに収納するとともに、部品や頻繁に使用する工具類などは分割された収納ポケット5に分別して収納し、必要に応じてこれら収納部材4A及び収納ポケット5に収納した工具類などを取り出して使用することができる。このときホルダ本体2は、化学繊維製の布材からなるので人体の腰部の湾曲面に対する追従性に優れているため、使用者へのなじみが良好なものとなっている。また、収納部材4Aもここに収納された工具類などの形状に応じてある程度変形するため、工具類などがしっかりと収納される。さらに、収納ポケット5はメッシュ材からなり、特に追従性に優れているため、頻繁に出し入れしやすくなっている。その上、工具類を出し入れする際に工具類が当り易く最も破損し易い部位に、保護部材7を設けたため、その部位の破損を防ぐことができる。
また、使用者は、大切な工具類が傷つくことを極度に嫌う傾向がある。従来のツールホルダは、工具類と接触する虞のある金具は、工具類に当りにくいようになるべく突出しないように設けられているが、本実施例においては、固定手段6を故意に突出して設けた。これにより、使用者に注意を喚起させ、工具類を収納する際に固定手段6の位置を視覚で確認させる。この確認を確実に行わせることによって、工具類の収納時に工具類が傷つくことを防止できる。
以上詳述したとおり、実施例1のツールホルダ1は、請求項1に対応して、ホルダ本体2の第1の表面2Sに収納部材Aを設けると共に、ホルダ本体2の収納部材4A側に保護部材7を設け、保護部材7の第2の表面7Sを第1の表面2Sよりも摩擦係数の小さい材質(X>Y)により形成することで、工具類を出し入れするとき、工具類が第2の表面7Sに引っ掛かったとしても、その引っ掛かりは第1の表面2Sの引っ掛かりよりも小さく済み、この結果、工具類の出し入れをスムースに行うことができると共に、工具類の変形、破損なども防ぐことができる。
また、請求項2に対応して、保護部材7は少なくとも収納部材4Aの上端近傍に設けたものであるので、特に工具類を出し入れする際に工具類が当りやすい部位が傷つき破損することを防止できるものとなっている。
さらに、請求項4に対応して、ホルダ本体2は化学繊維製の非吸水性で高強度の織布、不織布又は編布からなるとともに、ホルダ本体2が装着部3と収納部材4Aを備えたホルダ部4とから構成され、繊維製のメッシュ材からなる収納ポケット5が収納部材4Aに設けられるとともに、装着部3がホルダ本体2の上端側を折り曲げてホルダ本体2に固定手段6によって固定されて扁平リング状に形成され、固定手段6が収納部材4Aの上方においてホルダ本体2の外面から外側へ突出して設けられているものである。化学繊維は皮革と比べて軽量で柔軟性に富むため、装着した際に体躯などへの追従性が良好で、使用者が屈んだり、動いたりした場合には、腰部の曲面に応じてある程度湾曲するためホルダ部4が腰部から浮き上がりにくく、収納部材4A及び収納ポケット5での収納性が向上したものとなっている。また収納部材4Aが工具類などに適応して変形するので入れやすく、またしっかりと収納することが可能となっている。また、ツールホルダ1自体が水を吸収して重くなるようなことがなく、収納部材4Aに収納した工具類などが濡れにくく、また、乾燥しやすくなっている。しかもツールホルダとして十分な強度を有する。さらに、収納ポケット5はメッシュ材からなるので、特に工具類などの収納物に対する追従性に優れ、作業などの合間に工具類などを無造作に入れても瞬時にこれに追従して保持しやすなっている。また、リング状の装着部3を腰などに挿通して装着することにより作業者の腰部に固定しやすく、収納部材4A及び収納ポケット5に収納した工具などを作業中に取り出しやすく、また収納もしやすくなっている。さらに、固定手段6が突出して設けられているので、使用者に注意を喚起させ、工具類を収納する際に固定手段6の位置を視覚で確実に確認させることにより、工具類の収納時に工具類が傷つくことを防止できるものとなっている。
次に、本考案の実施例2について図3及び図4を参照して説明する。実施例2のツールホルダは、基本的には、前述した実施例1と同じ構成を有するので、同一の構成には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。本実施例のツールホルダ1は、収納部材4Aが上方からみてコの字状に形成されており、この収納部材4Aの背面および側面には繊維製のメッシュ材からなる収納ポケット5、5Aがそれぞれ設けられている。また、ホルダ本体2上の工具類が当る部位、すなわちホルダ本体2上の、収納部材4A側の収納部材4Aに対向する部分には、固定手段6の周囲近傍からホルダ本体2の下端まで、合成樹脂等からなる保護部材7Aが設けられている。また、収納部材4Aの背面内側および側面内側には、同じく合成樹脂等からなる保護部材7B、7Cがそれぞれ設けられている。
ホルダ部4上には、蓋部材8の一端が固定されて設けられており、蓋部材8の他端には第1の着脱部たる第1の面状ファスナ9の一方が設けられ、収納部材4Aの上部外側に設けられた第1の着脱受部たる第1の面状ファスナ9の他方と着脱可能に係合されている。また、蓋部材8の第1の面状ファスナ9とは反対の面には、第2の着脱部たる第2の面状ファスナ9Aの一方が設けられるとともに、第2の着脱受部たる第2の面状ファスナ9Aの他方はホルダ本体2の上部に設けられており、蓋部材8の他端とホルダ本体2の上部とは第2の面状ファスナ9Aによって係合可能となっている。
前記構成につきその作用について説明する。実施例2のツールホルダ1は、基本的には前述した実施例1と同様の作用を奏するが、収納部材4Aが上方からみてコの字状に形成されており、厚みのある比較的大きい工具類を収納するのに適している。また、収納部材4Aの上部には、ホルダ部4上に着脱可能に蓋部材8が設けられており、ホルダ部4から工具が抜け落ちるのを防止できるようになっている。さらに、工具類が当る部位には合成樹脂からなる保護部材7A、7B、7Cをそれぞれ設けたので、その部位の破損を防ぐことができる。また、蓋部材8の他端は、工具収納時には第1の面状ファスナ9により収納部材4Aの上部外側に着脱可能に係合されているが、工具を出し入れする際には、蓋部材8の他端は、第2の面状ファスナ9Aによってホルダ本体2の上部に着脱可能に係合することができる。したがって、工具を出し入れする際に蓋部材8が邪魔にならない。
以上詳述したとおり、実施例2のツールホルダ1は、請求項3に対応して、収納部材4Aの内面に保護部材7B、7Cを設けたものであるので、工具類が当る部位が傷つき破損することを防止できるものとなっている。
また、請求項6に対応して、収納部材4Aの上部に蓋部材8を設け、ホルダ本体2に蓋部材8の一端を固定するとともに、蓋部材8の他端の一面に第1の着脱部たる面状ファスナ9の一方、蓋部材8の他端の他面に第2の着脱部たる面状ファスナ9Aの一方を設け、前記収納部材の上部外側に前記第1の面状ファスナ9の一方と係合可能な第1の着脱受部たる面状ファスナ9の他方、前記ホルダ本体の上部に前記第2の面状ファスナ9Aの一方と係合可能な第2の着脱受部たる面状ファスナ9Aの他方を設けたものである。このため、工具を出し入れする際には、蓋部材8の他端を面状ファスナ9Aによってホルダ本体2の上部に係合可能であるので、工具を出し入れする際に蓋部材8が邪魔にならない。
次に、本考案の実施例3について図5を参照して説明する。実施例3のツールホルダは、基本的には、前述した実施例1と同じ構成を有するので、同一の構成には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。本実施例のツールホルダ1は、ホルダ本体2が上側の装着部10と下側のホルダ部11とに分割されており、これら装着部10とホルダ部11とをヒンジ機構である蝶番12により裏面側(内面側)に向けて回動自在に接続してなる。また、ホルダ部11上の収納部材4A側には、保護部材7が設けられている。
前記構成につきその作用について説明すると、実施例3のツールホルダ1は、基本的には前述した実施例1と同様の作用を奏するが、ベルトなどに挿通して腰部に装着した装着部10と、ホルダ部11とが蝶番12により回動自在に接続されているので、使用者が屈んだり、動いたりした場合には、腰部の曲面に応じてホルダ部11が蝶番12の回動軸12Aにおいて回動することで追従するので、ホルダ部11が体躯より離間して浮き上がりにくく、収納部材4A及び収納ポケット5での収納性が一層向上したものとなっている。また、保護部材7により、工具類が当りやすいホルダ部11上の収納部材4A側が傷つき破損することを防止することができるようになっている。
次に、本考案の実施例4について添付図面に基づき詳細に説明する。図6は、本考案の実施例4によるツールホルダを示しており、このツールホルダ21は、化学繊維製の布材からなるホルダ本体22からなり、このホルダ本体22の背面側(内面側)には、装着部23としての着脱機構たるバックル25を備えた帯状部材であるベルト部材24が取り付けられている。このベルト部材24は図示しない長さ調節機構を備える。また、ホルダ本体22の前面側には全面を覆うように収納部材26Aが取りつけられることによりホルダ部26が形成されている。27はホルダ部26から延在する蓋部材であり、この蓋部材27の内面には、多数のループを有する着脱部28が取り付けられているとともに、収納部材26Aの外面には、前記着脱部28に対応して多数の係合部材を有する着脱受け部(図示せず)が取り付けられている。これら着脱部28及び着脱受け部はいわゆる面状ファスナ(ベルベットファスナ)として機能するものである。さらに、収納部材26Aには繊維製のメッシュ材からなる収納ポケット29が設けられている。このような本実施例のツールホルダ21においてホルダ本体22は、化学繊維製の非吸水性で高強度の織布、不織布又は編布からなるのが好ましく、具体的には、高硬度ナイロン織布や、ポリエステル織布、ポリ塩化ビニル織布などからなるのが好ましい。また、ツールホルダ21の工具を収納する部分の内面、すなわちホルダ本体22上の収納部材26A側および収納部材26Aの内面には、全体に亘って保護部材(図示せず)が設けられている。
前記構成につきその作用について説明する。まず、装着する際にはバックル25を外した状態でベルト部材24を腰部に巻きつけたら長さを調節してバックル25をフックすることにより、使用者の腰部に装着することができる。そして、ホルダ部26の蓋部材27を開いて収納部材26Aに工具類などを収納するとともに、部品や頻繁に使用する工具類などは収納ポケット29に収納し、必要に応じてこれら収納部材26A及び収納ポケット29に収納した工具類などを取り出して使用することができる。このときホルダ本体22は、化学繊維製の布材からなるので人体の腰部の湾曲面に対する追従性に優れているため、使用者へのなじみが良好なものとなっている。また、収納部材26Aもここに収納された工具類などに応じて変形するため、工具類などがしっかりと収納される。さらに、収納ポケット29がメッシュ材からなるので、特に追従性に優れているため、頻繁に出し入れしやすくなっている。そして、使用を終えたらバックル25を外してベルト部材24を外せばよい。また、保護部材(図示せず)により、工具類が当りやすいホルダ本体22上の収納部材26A側および収納部材26Aの内面が傷つき破損することを防止することができるようになっている。
次に本考案の実施例5について添付図面に基づき詳細に説明する。図7は、本考案の実施例5によるツールホルダを示しており、このツールホルダ31は、化学繊維製の布材からなるホルダ本体32からなり、ホルダ本体32の外面には把持部たる取手33が取り付けられており、このホルダ本体32の一端側の内面には多数のループを有する着脱部34が設けられているとともに、ホルダ本体32の他端側の外面には、前述した着脱部34と係合可能な多数の係合部材を有する着脱受け部35が設けられている。これら着脱部34及び着脱受け部35はいわゆる面状ファスナ(ベルベットファスナ)として機能するものであり、前記着脱部34と着脱受け部35とを係合させることにより前記ホルダ本体32を折り畳んでコンパクト化して固定可能となっている。また、ホルダ本体32の外面側には繊維製のメッシュ材からなる収納ポケット36が設けられており、さらにホルダ本体32の内面側には図8に示すように2つの収納部材38A、38Bが設けられており、これにより複数に区画されたホルダ部37となっている。なお、39A、39Bは、それぞれ収納部材38A、38Bの蓋体であり、40A、40Bは着脱部で41A、41Bは着脱受け部であり、それぞれ蓋体39A、39Bを収納部材38A、38Bに着脱する。42,42…は差し込み受け部材である。このようなツールホルダ31においてホルダ本体32は、化学繊維製の非吸水性で高強度の織布、不織布又は編布からなるのが好ましく、具体的には、高硬度ナイロン織布や、ポリエステル織布、ポリ塩化ビニル織布などからなるのが好ましい。また、ツールホルダ31の工具を収納する部分の内面、すなわちホルダ本体32上の収納部材38A、38B側および収納部材38A、38Bの内面には、全体に亘って保護部材(図示せず)が設けられている。
前記構成につきその作用について説明する。まず、図8に示すように着脱部34と着脱受け部35との接合を解除してホルダ部37を開き、収納部材38A及び38Bにそれぞれ工具類などを収納し蓋体39A,39Bを閉じたら、ホルダ本体32を丸めるように折り畳んで、着脱部34と着脱受け部35で接合することによりコンパクト化し、取手33を把持して持ち運ぶことができる。また、部品や頻繁に使用する工具類などは外面側の収納ポケット36に収納することができる。そして、作業する場所にきたら着脱部34と着脱受け部35との接合を解除してホルダ部37を開き、収納部材38A及び38Bに収納した工具を取り出して使用する。このときホルダ本体32は、化学繊維製の布材からなるので持ち運ぶ際の体躯の湾曲面に対する追従性に優れているため、使用者へのなじみが良好であり、収納部材38A及び38Bもそこに収納された工具類などに応じて変形するため、工具類などをコンパクトにしっかりと収納することができる。さらに、収納ポケット36がメッシュ材からなるので、特に追従性に優れているため、頻繁に出し入れしやすくなっている。そして、使用を終えたら再度ホルダ本体32を丸めるように折り畳み、着脱部34と着脱受け部35で接合することによりコンパクト化すればよい。また、保護部材(図示せず)により、工具類が当りやすいホルダ本体32上の収納部材38A、38B側および収納部材38A、38Bの内面が傷つき破損することを防止することができるようになっている。
次に、本考案の実施例6について、図9を参照して説明する。実施例6のツールホルダは、基本的には、前述した実施例1と同じ構成を有するので、同一の構成には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。本実施例のツールホルダ1は、ホルダ本体2が幅広に形成されているとともに、ホルダ部4においては、大容量の収納部材4Bが取りつけられていて、この収納部材4Bには大型の収納ポケット5Aが設けられている。この収納ポケット5Aは大小複数の区画に分割されている。また、ホルダ本体2上の工具類が当る部位、すなわちホルダ本体2上の、収納部材4B側の収納部材4Bに対向する部分には、固定手段6の周囲近傍からホルダ本体2の下端まで、皮革又は合成樹脂等からなる保護部材7が設けられている。本実施例のようにホルダ本体2を幅広に形成し、収納部材4Bを大容量とすることにより、大型工具類などを収納可能とすることもできる。
また、収納ポケット5Aが大小複数の区画に分割されているので、種々の工具類や部品類などをここに収納することもできる。さらに、工具類が当る部位には皮革又は樹脂からなる保護部材7を設けたので、その部位の破損を防ぐことができる。
次に、本考案の実施例7について、図10乃至図12を参照して説明する。
実施例7のツールホルダは、主にノミなどの先端が鋭利な工具類を収納するためのものであるが、基本的には、前述した実施例1と同じ構成を有するので、同一の構成には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。本実施例のツールホルダ1は、皮革からなるホルダ本体2からなり、このホルダ本体2には、装着部3とホルダ部4とが形成されている。ホルダ部4は、ホルダ本体2の外面側にホルダ本体2と同じ皮革からなる収納部材4Aを装着してなる。また、装着部3は図11に示すようにホルダ本体2の長手方向における上端側を折り曲げて、該ホルダ本体2の反対面側に固定することにより扁平なリング状となっている。
また、ホルダ本体2上の工具類を出し入れする際に工具類が当る部位、すなわちホルダ本体2上の収納部材側4Aには全面に亘って合成樹脂等からなる保護部材7が設けられている。ホルダ部4の最下部には、スポンジ状の樹脂或いは綿などからなるクッション材50が設けられるとともに、直径1〜2cmほどの排出口5が設けられている。
前記構成につきその作用について説明する。まず、装着する際には扁平リング状の装着部3をベルトなどに挿通することにより、使用者の腰部に装着する。そして、工具類などを収納部材4Aに収納するとともに、必要に応じてこれら収納部材4A及び収納ポケット5に収納した工具類などを取り出して使用することができる。また、ノミなどの刃物を収納する場合においても、合成樹脂からなる保護部材7をホルダ本体2の収納部材4A側全面に亘って設けたため、ホルダ本体2の破損を防ぐことができる。また、ノミを収納した場合、ホルダ部4の最下部に設けられたクッション材50にノミの先端が当るので、ノミの刃先がツールホルダの縫い糸を切り、ノミの先端がツールホルダの下部を突き抜けることがない。
さらに、ホルダ部4の最下部に設けられた排出口51から、ツールホルダの内側の最下部に溜まりやすい木くず等を容易に排出することができる。
以上詳述したとおり、実施例7のツールホルダ1は、請求項5に対応して、ホルダ本体2は皮革からなるとともに、ホルダ本体2は装着部3と収納部材4Aを備えたホルダ部4とから構成され、装着部3がホルダ本体2の上端側を折り曲げてホルダ本体2に固定されて扁平リング状に形成され、保護部材7はホルダ本体2の収納部材4A側全面に亘って設けられ、ホルダ部4の最下部にクッション材50及び排出口51が設けられているものである。このため、リング状の装着部3を腰などに挿通することにより作業者の腰部に固定しやすく、収納部材4Aに収納した工具などを作業中に取り出しやすく、また収納もしやすくなっている。また、ノミなどの刃物を収納した場合にも、合成樹脂からなる保護部材7によりホルダ本体2を傷付けることがない。また、クッション材50を設けたことにより、ノミを収納した場合にノミの先端がクッション材50に当るので、ノミの刃先がツールホルダ1の縫い糸を切り、ノミの先端がツールホルダ1の下部を突き抜けてしまう危険を回避できるものとなっている。さらに、排出口51により、ツールホルダ1の内側の最下部に溜まった木くず等を容易に排出することができるものとなっている。
さらに、本考案の実施例8について、図13を参照して説明する。実施例8のツールホルダは、基本的には、前述した実施例1と同じ構成を有するので、同一の構成には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。本実施例のツールホルダ1は、ホルダ本体2上の、収納部材4A側の収納部材4Aに対向する部分には、固定手段6の周囲近傍からホルダ本体2の下端まで、皮革又は合成樹脂等からなる保護部材7が設けられている。本実施例のようにホルダ本体2の下端まで保護部材7を設けることにより、工具類が当る部位の破損を防ぐことができる。
以上、本発考案のツールホルダについて前記各実施例を参照して説明してきたが、本考案は、前記実施例に限られるものではなく、本考案の思想の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、ホルダ本体の形状は種々の形状でよく、また体躯への取りつけ状態も制限されない。さらに、実施例5において、着脱部材34及び着脱受け部35としては面ファスナに限らず、ファスナあるいはスナップなど汎用の係合・係止手段を用いることができる。
本考案の実施例1のツールホルダを示す全体斜視図である。
同縦断面図である。
本考案の実施例2のツールホルダを示す全体斜視図である。
同縦断面図である。
本考案の実施例3のツールホルダを示す全体斜視図である。
本考案の実施例4のツールホルダを示す全体斜視図である。
本考案の実施例5のツールホルダを示す全体斜視図である。
同ホルダ本体を開いた状態を示す平面図である。
本考案の実施例6のツールホルダを示す全体斜視図である。
本考案の実施例7のツールホルダを示す全体斜視図である。
同縦断面図である。
同背面図である。
本考案の実施例8のツールホルダを示す全体斜視図である。
符号の説明
1,21,31 ツールホルダ
2,22,32 ホルダ本体
2S 第1の表面
3,10,23 装着部
4,11,26,37 ホルダ部
4A,4B,26A,38A,38B 収納部材
5,5A,29,36 収納ポケット
6 固定手段
7,7A,7B,7C 保護部材
7S 第2の表面
8 蓋部材
9 第1の面状ファスナ(第1の着脱部,第1の着脱受部)
9A 第2の面状ファスナ(第2の着脱部,第2の着脱受部)