JP3148344B2 - クランク室圧縮式2サイクルエンジン - Google Patents

クランク室圧縮式2サイクルエンジン

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JP3148344B2 JP09345992A JP9345992A JP3148344B2 JP 3148344 B2 JP3148344 B2 JP 3148344B2 JP 09345992 A JP09345992 A JP 09345992A JP 9345992 A JP9345992 A JP 9345992A JP 3148344 B2 JP3148344 B2 JP 3148344B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、クランク室圧縮式2
サイクルエンジンに関し、特に同エンジンの低温時にお
ける始動性の改善に関する。
【従来の技術】
【0002】クランク室圧縮式2サイクルエンジンは、
船外機、自動2輪車等で広く用いられている。このエン
ジンは、通常オイルを吸入空気とともにクランク室へ一
旦吸入して、クランク軸、シリンダ摺動面等の各潤滑部
に供給し、その後、燃焼室へ送るようになっている(例
えば、特開平3−260311号公報)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、このエンジ
ンを長期間放置した場合、各潤滑部、とりわけシリンダ
摺動面には揮発性の低いオイル分は残留しているもの
の、オイルや燃料の既燃成分と結合して粘度の高いもの
となっている。この様な状況下で、エンジンを始動させ
るには、シリンダ摺動面の高い摺動抵抗に打ち勝ってエ
ンジンを回転させなければならない。特に、低温時に
は、上記オイル分の粘度が高くなっていることに加え
て、バッテリーの能力が低下してスタータモータにより
始動回転力が弱くなっていることから、始動性は悪いも
のとなっていた。
【0004】本発明は、かかる事情に鑑みなされたもの
で、その目的は、長期間エンジンを放置した場合でもシ
リンダ摺動面に蓄積される高粘度のオイルの存在に起因
する始動性の不良を改善することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するために、互いに一定の間隙を隔てて複数のピスト
ンリングが並べて外嵌されたピストンと、 このピストン
が往復動して摺動する摺動面を内部に有するシリンダ
と、このシリンダの一端に結合され、内部に燃焼室を有
するシリンダヘッドと、前記シリンダの他端に結合さ
れ、前記シリンダとで内部にクランク室を形成するクラ
ンクケースと、前記クランク室内に配置されたクランク
軸と、前記摺動面に開口し、掃気通路を介して前記クラ
ンク室に連通する複数の掃気口と、 前記摺動面に開口
し、前記燃焼室内で燃焼した既燃ガスを排出する排気口
と、 前記ピストンが前記シリンダ内を往復動していると
き、ピストンの摺動抵抗を軽減する流体を前記摺動面に
供給する吐出口と、を備えたクランク室圧縮式2サイク
ルエンジンにおいて、前記複数の掃気口は、前記排気口
と対向する位置に開口する補助掃気口と、 前記シリンダ
の軸芯に沿う方向から見て、前記補助掃気口を挟むよう
に配設された一対の主掃気口とを有し、 前記シリンダの
周方向において、前記補助掃気口を挟まない前記一対の
主掃気口の間を除く前記摺動面の部位に前記吐出口を開
口し、 さらに前記ピストンが往復動する行程の何れかに
おいて、該ピストンの側面であって隣り合うピストンリ
ング間の部位と前記吐出口とが対向するようにしたこと
を特徴とするものである。
【0006】
【作用】吐出口が排気口から可及的離間する部位に位置
付けられ、前記吐出口から供給された摺動抵抗を軽減す
る流体が前記排気口から排出されにくくなる。 また、ピ
ストンリング間の部位に摺動抵抗を軽減する流体を供給
することができる。
【0007】
【実施例】図1は本発明の第1実施例に係る2サイクル
エンジンの全体概略図である。図2は図1のII-II 線断
面図である。図3は図1の一部を拡大した説明図であ
る。図4は低粘度流体供給装置のフローチャートであ
る。図5は本発明の第2実施例に係る2サイクルエンジ
ンの全体概略図である。
【0008】11はシリンダ、15はシリンダヘッド、
17はクランクケースである。シリンダ11には内部に
シリンダスリーブ13が圧入されている。シリンダスリ
ーブ13の内面には円筒状の摺動面12を有している。
シリンダヘッド15はシリンダ11の一端に脱着自在に
ボルト(不図示)締めされており、その内部に燃焼室3
1を形成している。クランクケース17はシリンダ11
の他端に脱着自在にボルト(不図示)締めされている。
クランクケース17とシリンダ11によりその内部にク
ランク室33が形成されている。クランク室33内には
クランク軸25が収納され、クランクケース17とシリ
ンダ11の合面でクランク軸25を軸支している。シリ
ンダ11の摺動面12にはピストン21が往復動するよ
うに嵌装されている。ピストン21はクランク軸25と
コンロッド23により連結されている。
【0009】クランクケース17には、吸気口45が開
口し、またリード弁式の逆止弁48を介して吸気通路4
7と連通している。なお、吸気通路47には、吸入空気
量を制御する絞弁49が設けられている。
【0010】一方、シリンダヘッド15には、燃料噴射
弁59が燃焼室31の中心に臨むように取り付けられ、
またその横には、同じく燃焼室31に臨むように点火栓
19が取り付けられている。
【0011】図1および図2に示される様に、シリンダ
11の摺動面12には、排気口35が開口し、その対向
する位置には補助掃気口41aが開口し、この補助掃気
口41aを挟む様に1対の主掃気口41b、41cがそ
れぞれ開口している。排気口35はシリンダ11内に形
成された排気通路37を介して外部に連通している。主
掃気口41b、41cおよび補助掃気口41aはシリン
ダ11内にそれぞれ形成された掃気通路43b、43
c、43aを介しクランク室33に連通している。ま
た、後述する吐出口87が摺動面12に開口している。
この吐出口87はシリンダ11の周方向において、補助
掃気口41aを挟まない前記一対の主掃気口41b、4
1cの間を除く摺動面12の部位、即ち、主掃気口41
と補助掃気口41aの間で、ピストン21に往復動方
向でクランク室33側に変位して開口している。このた
め、吐出口87が排気口35から可及的離間する部位に
位置付けられ、吐出口87から供給された後述する低粘
度流体が排気口35から排出されにくくなる。この結
果、吐出口87から供給された前記低粘度流体がピスト
ン21の摺動抵抗を軽減するために無駄無く確実に消費
され、始動性を改善することができる。吐出口87は、
上死点付近の極僅かな期間はクランク室33に臨むが、
他の殆どの期間はピストン21のスカート部と面してい
る。
【0012】図1を用いて燃料供給機構を説明する。エ
ンジンの外部には、ガソリン等を収容する燃料タンク6
1が配置され、燃料供給路65がその上流でこの燃料タ
ンク61に、下流で燃料噴射弁59に接続している。燃
料供給路65の途中には、燃料ポンプ63が介装され、
燃料噴射弁59に比較的高圧な燃料を供給している。ま
た、燃料ポンプ63の下流の燃料供給路65には、燃料
圧を所定圧に保持するためのレギュレータR1 が介装さ
れている。このレギュレータR1 は所定圧(この実施例
では6.5気圧)以上になった時、燃料供給路65から
燃料戻路67を介し燃料タンク61へ燃料を戻すように
構成している。その構成でもって、燃料噴射弁59へ供
給する燃料の燃料圧を一定に保持することを可能とす
る。なお、燃料タンク61には後述する低粘度流体ポン
プ71に接続する低粘度流体路68が併設されている。
【0013】クランクケース17の一側に脱着自在に低
粘度流体ポンプ71が配置されている。この低粘度流体
ポンプ71は所謂ダイアフラム式ポンプといわれるもの
で、クランク室33の圧力変動をダイアフラム73が拾
って、このダイアフラム73が往復動し、この往復動に
より燃料タンク61から低粘度流体路68を介して燃料
を吸入し、2つの逆止弁、即ち、吸入弁77、吐出弁7
9を通って低粘度流体ポンプ71に併設した電磁弁81
に吐出し、更に電磁弁81からパイプで構成される低粘
度流体路68を通って吐出口87からシリンダ11の摺
動面12へ吐出するように構成されている。電磁弁81
は下方に常時付勢された弁体81aを有し、電磁弁81
が励磁されると、弁体81aがシート面から離れ(図1
の状態)、低粘度流体路68と連通し、消磁されると再
び弁体81aをシート面に着座させ、低粘度流体路68
との連通を絶つ。なお、電磁弁81が閉じている時も、
ダイアフラム73はクランク室33の圧力変動を受けて
いるが、電磁弁81が閉じられているので、往復動の動
きは阻止される。なお、低粘度流体路68の下流端であ
る吐出口87の手前には、逆止弁85が取り付けられ、
低粘度流体路68へ不純物が逆流、又は、低粘度流体路
68内の低粘度流体の摺動面12への規定量以上の流入
を防止している。
【0014】次にエンジン制御ユニット(ECU51)
の周辺の構成を説明する。ECU51は入力インタフェ
イス(図示せず)を介してスタータモータ用SWのO
N、OFFを検出する始動検出手段たるスタータセンサ
53、エンジンの温度(本実施例ではシリンダヘッドの
温度)を検出する温度検出手段たるエンジン温度センサ
57、、クランク軸25の回転速度を検出するクランク
軸センサ、および電磁弁81にそれぞれ接続されてい
る。また、ECU51は出力インタフェイス(図示せ
ず)を介して電磁弁81、燃料ポンプ63および燃料噴
射弁59に接続されている。
【0015】次にエンジンの作動について説明する。周
知の様に、ピストン21が左右に往復動することにより
クランク軸25が回転する。まず図1の状態(下死点)
からピストン21が右(図1において)に移動すると、
クランク室33内が負圧となり、逆止弁48が開き、吸
気通路47から絞弁49を介してクランク室33に新気
が吸入される。なお、不図示のオイルポンプから逆止弁
48の上流側にオイルが所定量供給されているので、ク
ランク室33に吸入された新気にはオイルを含んでいる
点は従来周知のものと同様である。上死点に達し、その
後ピストン21が左(図1において)に移動すると、ク
ランク室33は次第に圧縮される。ピストン21が更に
左(図1において)に移動すると、排気口35が開き、
燃焼室31内の既燃ガスが排気通路37に排出される。
ピストン21が更に左(図1において)に移動すると、
掃気口41a、41b、41cを開口し、クランク室3
3内で圧縮された新気が、掃気通路43を通って掃気口
41a、41b、41cから燃焼室31内に進入し(掃
気され)、この掃気流が既燃ガスを燃焼室31から追い
出す役割をする。
【0016】一方、燃焼室31内では、ピストン21が
図1の状態から右に移動すると、掃気された新気が既燃
ガスを追い出し、ピストン21が排気口35を閉じる。
その後、燃焼室31内で圧縮が開始される。排気口35
が閉弁する前後の適当な時期に、燃料噴射弁59から新
気の量に見合った燃料量を噴射する。そして、燃焼室3
1内で混合気となり、更に圧縮され点火栓19で点火さ
れ、着火爆発する。
【0017】図4のフローチャートを用いながら、低粘
度流体ポンプ71から低粘度流体を供給する作動機構を
説明する。
【0018】エンジンが長期間放置された状態、つま
り、エンジン温度 TE が外気温度と等しい状態で、かつ
外気温度が所定温度 T0 以下で始動する場合について説
明する。まず、ステップ100で電磁弁81の開弁回数
値Nを0におく。ステップ101に進んでN=0かを判
別し、YESの場合には、ステップ102に進んでスタ
ータセンサ53でスタータのONを判別し、YESの場
合にはステップ103に進み、NOの場合には、スター
タがONするまでステップ102を繰り返す。ステップ
103ではエンジン温度センサ57でエンジン温度 TE
を検出し、ステップ104でエンジン温度 TE と所定温
度 T0 を比較し、エンジン温度 TE が低い場合には、ス
テップ105に進め、高い場合にはルーチンを終了させ
る。
【0019】ステップ105では、電磁弁81を開き、
低粘度流体ポンプ71から摺動面12への低粘度流体
(本実施例では燃料)の供給を開始する。そして、次の
ステップ106に進めNを1とする。次のステップ10
7では、スタータON後の時間ts が0.5秒以上かを
判別する。YESの場合にはステップ108に進め、N
Oの場合には、上記条件になるまでステップ107を繰
り返す。ステップ108では、スタータON後0.5秒
経過した時のエンジン回転速度 V1 をクランク軸センサ
55で検出し演算し、所定のエンジン回転速度 V0 より
低いときには、ステップ110に進め、高い時には、ス
テップ111に飛ばす。ステップ110ではスタータO
N後の時間 ts が2.0秒以上かを判別し、YESの場
合、ステップ111に進め、NOの場合には、上記条件
になるまでステップ110を繰り返す。なお、ステップ
109からステップ111へ飛ばす理由は、 ts が0.
5秒時にエンジン回転が高くなっていれば、スタータモ
ータが摺動抵抗に十分に打ち勝つことが可能であるの
で、これ以上、低粘度化して却って弊害を生ずるのを防
止するためである。
【0020】ステップ111では、電磁弁81を閉じ、
その後ステップ101に戻す。なお、ステップ104で
エンジン温度 TE が所定温度 T0 より高いときは、本ル
ーチンは終了させる。所定温度 T0 とは例えば5℃で、
この程度の温度では摺動面12に付着しているオイルの
粘度が余り高くないので、低粘度流体ポンプ71により
低粘度流体(本実施例では燃料)を供給するのを停止す
る。
【0021】ステップ111からステップ101に戻る
ときには、Nは1になっている(ステップ106で)の
で、ステップ101ではNOと判別され、本ルーチンを
終了する。なお、ステップ106でNを1に置き換える
のは、スタータモータを最初に始動するときのみ、低粘
度流体ポンプ71により低粘度流体(本実施例では燃
料)を供給し、スタータモータを2回以上繰り返すとき
には供給しないようにし、摺動面に低粘度流体(本実施
例では燃料)を過剰供給して、空燃比等を狂わせたりし
て逆にエンジン不調を回避するためである。
【0022】図3を用い、摺動面12に低粘度流体(本
実施例では燃料)が供給された時の摺動面12付近の状
態を簡単に説明する。図3中、88はピストンリングで
あり、互いに一定の間隙を隔てて一対のピストンリング
88、88が並べてピストン21の頭部側面に外嵌され
ている。
【0023】エンジンを長期間放置した場合には、ピス
トン21とシリンダスリーブ13間には高粘度のオイル
が付着しているが、このときスタータモータでエンジン
を起動すると電磁弁81が開弁し、低粘度流体ポンプ7
1のポンピング作用により、低粘度流体たる燃料が低粘
度流体路68を介し、吐出口87からピストン21とシ
リンダスリーブ13の間の空間に吐出される。すると、
この燃料は摺動面12側に接しながらピストン21の往
復動運動方向へ、また、ピストン21の円周方向へ広が
る(図3の状態)。この広がった燃料層が、ピストン2
1の摺動抵抗を減少させる機能を果たす。尚、図3に示
す状態は、ピストン21が往復動する行程のある瞬間を
示しており、この状態では、ピストンリング88、88
の間におけるピストン21の側面に吐出口87が対向し
ているので、ピストンリング間の部位に摺動抵抗を軽減
する低粘度流体を供給することができる。このため、シ
リンダ11の摺動面12とピストン21の外周との間隙
よりシリンダ11の摺動面12と各ピストンリング8
8、88の外周との間隙の方が狭いので、吐出口87か
ら供給された低粘度流体は、その殆どが、シリンダ11
の摺動面12と各ピストンリング88、88と各ピスト
ンリング88、88間のピストン21の外周とで囲まれ
た空間に充填され、残りの一部がシリンダ11の摺動面
12と各ピストンリング88、88の外周との間隙から
漏洩する。この結果、前記空間に供給された低粘度流体
が、該空間に一時的に貯溜され、その分、ピストンリン
グ88、88間の部位以外のシリンダ11の摺動面12
に過剰な低粘度流体が供給されず空燃比を悪化させる等
の虞が軽減されると共に、最も問題となるシリンダ11
の摺動面12と各ピストンリング88、88の外周との
摺動抵抗が効果的に軽減される。
【0024】エンジンを長期間放置し、その上、気温が
低いときには、上記オイル分は更に、高粘度になってい
る。しかも、低温のためバッテリー能力も低下し、スタ
ータモータの起動力は弱くなっている。しかし、摺動面
12には低粘度流体が供給されるので、摺動抵抗が減少
させることができ、始動性を改善することができる。ま
た、上記のように低粘度流体の供給は1回のみにし、2
回以上は行っていないので、摺動面に低粘度流体(本実
施例では燃料)を過剰供給して、空燃比等を狂わせたり
して逆にエンジン不調の発生を防止している。
【0025】図5は第2実施例に係る図面である。図1
に示した第1実施例と略同一であるが、異なるのは低粘
度流体ポンプ71が特別なく、その代わり、燃料噴射弁
59用の燃料ポンプ63からの燃料を利用している点で
ある。このため、同一部分については、同一の参照符号
を付し、その説明は省略した。
【0026】レギュレータR1 から燃料タンク61に戻
す燃料戻路67にはレギュレータR2 が介装されてい
る。低粘度流体通路84は上流をこのレギュレータR2
の上流の燃料戻路67と接続されている。なお、レギュ
レータR2 のレギュレート圧はレギュレータR1 のそれ
より、勿論低く設定する。本実施例では、それぞれ、
6.5気圧、0.5気圧に設定してある。
【0027】第2実施例の作動を説明する。燃料ポンプ
63から吐出された燃料はレギュレータR1 の作用で
6.5気圧に保持され、燃料噴射弁59に供給し、余分
な燃料は、燃料戻路67へ逃がす。しかし、そこにもレ
ギュレータR2 が存在するため、レギュレータR2 のレ
ギュレート圧の0.5気圧に保持される。この燃料戻路
67と接続している低粘度流体通路84もこの圧力に保
持される。レギュレータR2 の上流が0.5気圧以上に
なった場合にはレギュレータR2 が開いて燃料を燃料タ
ンク61へ戻し、0.5気圧を保持する。なお、電磁弁
81が開弁すると、第1実施例で説明したのと同様に、
シリンダ11の摺動面12に燃料を供給する。もって、
摺動抵抗を減少させることができる。なお、低粘度流体
路68の下流端である吐出口87の手前には、第1実施
例の逆止弁85に代えフィルタ86が取り付けられ、低
粘度流体路68へ不純物が逆流しないようにしている。
【0028】本実施例では、低粘度流体ポンプは燃料噴
射弁59用の燃料ポンプ63を併用したので、ポンプを
新たに設ける必要がない。
【0029】本実施例では、低粘度流体として燃料を採
用したが、これに限らず、低粘度のオイルであってもよ
いのはいうまでもない。なお、この場合、通常のオイル
タンクの他、低粘度用のオイルタンクを準備することと
なる。
【0030】
【発明の効果】本発明は、吐出口が排気口から可及的離
間する部位に位置付けられ、前記吐出口から供給された
摺動抵抗を軽減する流体が前記排気口から排出されにく
くなる。このため、前記吐出口から供給された流体がピ
ストンの摺動抵抗を軽減するために無駄無く確実に消費
され、始動性を改善することができる。また、ピストン
が往復動する行程の何れかにおいて、該ピストンの側面
であって隣り合うピストンリング間の部位と前記吐出口
とが対向するようにしたので、ピストンリング間の部位
に摺動抵抗を軽減する流体を供給することができる。こ
のため、シリンダの摺動面とピストン外周との間隙より
シリンダの摺動面と各ピストンリングの外周との間隙の
方が狭いので、前記吐出口から供給された流体は、その
殆どが、シリンダの摺動面と各ピストンリングと各ピス
トンリング間のピストン外周とで囲まれた空間に充填さ
れ、残りの一部がシリンダの摺動面と各ピストンリング
の外周との間隙から漏洩する。この結果、前記空間に供
給された流体が、該空間に一時的に貯溜され、その分、
ピストンリング間の部位以外のシリンダの摺動面に過剰
な流体が供給されず空燃比を悪化させる等の虞が軽減さ
れると共に、最も問題となるシリンダの摺動面と各ピス
トンリングの外周との摺動抵抗が効果的に軽減される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係る2サイクルエンジン
の全体概略図である。
【図2】図1のII-II 線断面図である。
【図3】図1の一部を拡大した説明図である。
【図4】低粘度流体供給装置のフローチャートである。
【図5】本発明の第2実施例に係る2サイクルエンジン
の全体概略図である。
【符号の説明】
11・・・シリンダ 12・・・摺動面 15・・・シリンダヘッド 17・・・クランクケース 21・・・ピストン 31・・・燃焼室 35・・・排気口 41a・・補助掃気口 41b・・主掃気口 41c・・主掃気口 51・・・ECU 53・・・スタータセンサ 57・・・エンジン温度センサ 65・・・燃料供給路 67・・・燃料戻路 68・・・低粘度流体路 71・・・低粘度流体ポンプ 81・・・電磁弁 87・・・吐出口88・・・ピストンリング
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−260311(JP,A) 特開 昭57−8309(JP,A) 実開 昭57−158911(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F01M 1/06 F01M 1/02 F01M 3/00 F01M 5/02

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】互いに一定の間隙を隔てて複数のピストン
    リングが並べて外嵌されたピストンと、 このピストンが往復動して摺動する摺動面を内部に 有す
    るシリンダと、 このシリンダの一端に結合され、内部に燃焼室を有する
    シリンダヘッドと、 前記シリンダの他端に結合され、前記シリンダとで内部
    にクランク室を形成するクランクケースと、 前記クランク室内に配置されたクランク軸と、前記摺動面に開口し、掃気通路を介して前記クランク室
    に連通する複数の掃気口と、 前記摺動面に開口し、前記燃焼室内で燃焼した既燃ガス
    を排出する排気口と、 前記ピストンが前記シリンダ内を往復動しているとき、
    ピストンの摺動抵抗を軽減する流体を前記摺動面に供給
    する吐出口と 、を備えたクランク室圧縮式2サイクルエ
    ンジンにおいて、前記複数の掃気口は、前記排気口と対向する位置に開口
    する補助掃気口と、 前記シリンダの軸芯に沿う方向から見て、前記補助掃気
    口を挟むように配設された一対の主掃気口とを有し、 前記シリンダの周方向において、前記補助掃気口を挟ま
    ない前記一対の主掃気口の間を除く前記摺動面の部位に
    前記吐出口を開口し、 さらに前記ピストンが往復動する行程の何れかにおい
    て、該ピストンの側面であって隣り合うピストンリング
    間の部位と前記吐出口とが対向するように したことを特
    徴とするクランク室圧縮式2サイクルエンジン。
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