JP3147958U - 水膨張性土嚢 - Google Patents
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Abstract
【課題】水を吸収して膨張する水膨張性土嚢において、均等にバランスよく膨張させることが、安価な製造によって行えるようにする。【解決手段】麻袋からなる外袋21のなかに、水を吸収して膨張する複数個の水膨張体22を均等に分散して収納するとともに、その外袋21を包装袋で真空包装した水膨張性土嚢11。水膨張体22は圧縮されており、使用時に包装袋を破っても、水膨張体22の位置は容易には位置移動しないので、形の良い膨張が可能である。【選択図】図1
Description
この考案は、非常時の浸水対策などに使用される水膨張性土嚢に関し、より詳しくは、安価に製造でき、使い勝手も良好であるような水膨張性土嚢に関する。
水膨張性土嚢は、吸水性ポリマに水を吸わせて膨張させ、重量を増大させて浸水防止等の適宜の目的に使用するものである。
このような水膨張性土嚢としては、下記特許文献1に開示された土嚢がある。この土嚢は、外袋と内袋と水溶性小袋からなる。内袋は、ポリエチレン製の不織布で構成され、内部に複数の袋部を備える。そして、この内袋の袋部内の定位置に、吸水性ポリマを詰めた水溶性小袋が止着される。また、内袋の縁は、外袋と一体に縫合するというものである。
このように構成することにより、吸水性ポリマの位置移動をなくすことができ、膨張したときに偏りが発生するのを抑えて、取り扱い性や積み重ね時の安定性が優れる、とされている。
登録実用新案第3084807号公報
特許文献1の土嚢によれば、吸水性ポリマの位置を、内袋に対する水溶性小袋の止着と、外袋に対する内袋の縫着によって固定するので、均等な水膨張が期待できる。
しかし、前記のような複雑な構造では、製造に手間がかかり、コスト高となってしまう。
そこで、この考案は、安価に製造できるうえに、取り扱い性や積み重ね時の安定性を確保できるようにすることを主たる目的とする。
そのための手段は、水を吸収して膨張する水膨張性土嚢であって、透水性を有する外袋のなかに複数個の水膨張体が収納されるとともに、前記外袋が包装袋によって真空包装された水膨張性土嚢である。
外袋が包装袋によって真空包装されることによって、圧縮され、外袋内の複数個の水膨張体は収納時に均等に分散配置された一定の位置に固定された状態となる。使用時に包装袋から出しても、その圧縮された状態は即座には失われず、たとえば浸水防止箇所に投げて置いたような場合でも、内部の水膨張体の位置ずれは容易には起こらない。つまり、水膨張体を均等に分散させた状態が維持され、このまま膨張させることができる。
前記の構成について、以下のような態様を採用することができる。
たとえば、前記外袋が麻袋で構成されるとともに、前記水膨張体の外表面が編織体で構成された水膨張性土嚢である。この水膨張性土嚢では、水膨張体の外表面の編織体の凹凸と外袋の凹凸との接触抵抗により、膨張体の安易な移動を抑制できる。
また、前記複数個の水膨張体が、前記外袋内に収納可能な大きさで透水性を有する1枚のシート体に固定された水膨張性土嚢である。この水膨張性土嚢では、シート体により水膨張体の位置が規制され、より一層の位置決め効果が得られる。しかも、水膨張体が膨張してもゲル状になった膨張成分が外袋に直接当たらないで、外袋との間にシート体が介在することになる。このため、ゲル状の膨張成分が外袋から出ることを抑制できる。
前記シート体を備えた場合において更に、前記水膨張体における前記シート体を備えた側と反対側の面に、前記外袋内に収納可能な大きさで透水性を有する被覆シート体を備えると、水膨張体の両面側においてそれぞれシート体及び被覆シート体が存在することになる。つまり、土嚢の上下両面側においてゲル状の膨張成分が外袋から出ることを抑制できる。
以上のように、この考案によれば、外袋に複数個の水膨張体を適宜ばらして均等に収納し、その状態で包装袋による真空包装をすればよいので、構成が簡素で、安価に製造できる。そのうえ、水膨張体は故意にずらさなければそのままの位置で膨張するので、均等な膨張を実現でき、取り扱い性や積み重ね時の安定性を確保できる。
前記外袋が麻袋で構成され、前記水膨張体の外表面が編織体で構成された場合には、水膨張体と外袋との間での接触抵抗が増すので、前記の位置規制効果を高めることができる。
また、複数個の水膨張体を1枚のシート体に固定した場合には、水膨張体の位置規制を積極的に行うことになるので、位置規制による効果をより確実に得ることができる。しかも、シート体を入れるだけであるので、製造に手間はかからず、コストも抑えることができる。
さらに、前記シート体や、水膨張体を覆う前記被覆シート体が備えられた場合には、ゲル状の膨張成分が外袋から出ることを抑制できるので、外袋の表面がズルズルになって滑り易くなるようなことを抑えられ、取り扱い性が向上し、積み重ね時の安定性も向上する。
この考案を実施するための一形態を、以下図面を用いて説明する。
図1は、水を吸収して膨らんで重量が増大する水膨張性土嚢11を示す斜視図であり、この水膨張性土嚢11は、使用に供される土嚢本体12を包装袋13で真空包装して構成されている。図1では、1枚の包装体13に5枚の土嚢本体12を収納した例を示したが、収納する土嚢本体12の枚数は、必要に応じて適宜設定される。たとえば1枚であるもよい。
図1は、水を吸収して膨らんで重量が増大する水膨張性土嚢11を示す斜視図であり、この水膨張性土嚢11は、使用に供される土嚢本体12を包装袋13で真空包装して構成されている。図1では、1枚の包装体13に5枚の土嚢本体12を収納した例を示したが、収納する土嚢本体12の枚数は、必要に応じて適宜設定される。たとえば1枚であるもよい。
土嚢本体12は、図2、図3に示したように、平面視長方形状をなす偏平な外袋21の中に、水を吸収すると膨張する複数個の水膨張体22を収納して構成される。図示例では、4個の水膨張体22を収納する例を示したが、たとえば5個等の他の個数であるもよい。
外袋21は、透水性を有するもので、麻袋が好適に使用できる。強度が高く、取り扱い性がよく、使用後の処理の点でも有利であるからである。
また、外袋21の四隅には、外方に突出する結束紐21aが保持されている。この結束紐21aは、使用時に隣り合う土嚢本体12同士を連結して一体化したり、隣接位置にある柱等の構造物に結束して固定したりして、土嚢本体12の位置ずれを防止することに利用される。なお、図2以外の図面においては、作図の便宜上、結束紐21aの図示を省略している。
この外袋21について、図1、2、3の図示においては、外袋の外周縁が単に重ね合わされた構造を例示したが、図4に示したように外周縁が内側に織り込まれるマチ21bを有するガゼット状の構造であるもよい。
図3、図4いずれの構造の外袋21であっても、使用前は偏平で、コンパクトであり、使用して内部の水膨張体22が膨張すると、仮想線で示したように膨れ上がる。
このような外袋21に収納される水膨張体22は、周知のものでよく、たとえば図5に示したように、不織布からなる袋体23に粉末状の高吸水性ポリマ24を収納したものが使用できる。
このほか、たとえば図6、図7に示したように構成すると、麻袋からなる外袋21内での水膨張体22の位置ずれをさらに抑制することができる。すなわち、図6、図7に示したように袋体23を編織体23aで構成する。水膨張体22の外表面が凹凸を有することになるので、不織布で構成した場合に比して、外21袋内での接触抵抗が高まり、位置ずれが制限される。
図6に示した水膨張体22は、たとえばメッシュ状をなす織物からなる袋体23の中に、袋体23の網目を通り抜けない大きさの粒状をなす水膨張材25を収納して構成している。
水膨張材25は、合成樹脂や木、紙等の適宜材料からなる粒状の核25aの表面に、粉末状や液状の水膨張剤を担持させてなる水膨張層25bを有する。水膨張材25に水が接触すると、表面の水膨張層25bが何十倍にも膨れ、体積も重量も増す。このとき、核25aも吸水性を有するのであれば、水を吸うことによってさらに重量が増大する。核25aに吸収され保持された水は、外周面の水膨張層25bの存在により、荷重がかかっても染み出すことはなく、吸水状態が維持される。
なお、前記袋体23がたとえばメリヤスなどのように伸縮性を有する編織体である場合には、袋体23の大きさや、水膨張材25の膨張能力、充填量等の条件によるが、水膨張材25が膨張したときに水膨張材25の膨張成分を袋体23から外に出ないように抑制することが可能である。
図7に示した水膨張体22は、水膨張繊維23bからなるメッシュ状をなす編織体23a製の袋体23の中に、たとえば綿やヤシガラ、おがくずなどの、水を吸収しやすい性質の水吸収体26を収納して構成している。使用前の包装状態において嵩が低くなるという点を考慮すると、綿などのように柔軟性を有し圧縮が可能である材料が好ましい。なお、水膨張繊維23bには、たとえば帝人ファイバー株式会社製のべオアシスや東洋紡績株式会社製のランシールを使用できる。
このような構成の水膨張体22では、水が触れると、袋体23の水膨張繊維23bが膨張するとともに、袋体23の網目を通して、水が水吸収体26に吸収される。水吸収体26が水を限界まで吸うと、袋体23の水膨張繊維23bが限界まで膨らみ、袋体23の網目は閉塞され、水吸収体26が吸収した水分は内部に蓄えられる。この結果、水膨張体22の体積も重量も増大する。
なお、図7に示した水膨張体22の場合には、図6に示した水膨張体22の袋体23の目合いよりも、袋体23の水膨張繊維23bが水膨張するぶん大きめに形成される。また、水膨張する部分が袋体23であって、袋体23自体の破けは想定されないので、袋体23の大きさは、図6に示した水膨張体22の袋体23よりも大きめに形成される。
前記の包装袋13は合成樹脂製で、真空包装に耐える素材のものが適宜使用される。
以上のように外袋21と水膨張体22を有する土嚢本体12は、まず、開口された外袋21の中に所定個数の水膨張体22を収納し、外袋21の開口部を閉塞すれば得られ、この土嚢本体12を包装袋13の中に入れて、外袋21内の水膨張体22を、外袋21の中に均等に分散させて適宜配置して真空包装をすれば、水膨張性土嚢11が得られる。外袋21内での水膨張体22の配置は、たとえば重なる外袋21同士を適宜間隔ずつずらして各外袋21内の水膨張体22の位置が互いに噛み合うようにすることで、すべての土嚢本体12の水膨張体22が均等に配置されることになる。
このように構成された水膨張性土嚢11は、包装袋13を開けて土嚢本体12を取り出し、使用場所に置くだけで土嚢としての役割を果たす。
すなわち、使用場所に置かれた土嚢本体12は、接触した水を、外袋21を通してどんどん内部に吸収し、内部の水膨張体22を膨張させる。そして、外袋21が膨れ上がり、体積も重量も増大し、浸水防止等の所望の目的を達成できる。
水膨張体22が膨らむとき、外袋21が包装袋13で真空包装されていたため、包装袋13を開けて土嚢本体12を取り出したときでも、故意に外袋21の表裏を引き離そうとしない限り、外袋21が圧縮された状態は維持されている。このため、たとえば土嚢本体12を使用場所に投げて置くような動作をしても、水膨張体22は、包装袋13による真空包装時に収納された位置から容易には移動しない。この結果、均等に膨張が行われ、土嚢本体12がいびつな形に膨らむことを防止でき、取り扱い性や積み重ね時の安定性を確保することが可能である。
特に、図6、図7に示したように、水膨張体22の外表面に凹凸ができるように構成した場合には、外袋21との間での接触抵抗が高いため、位置移動防止の良好な効果が得られる。
また、製造に当たっては、複数個の水膨張体22を適宜ばらして均等に外袋21内に収納し、その状態で包装袋13による真空包装をすればよいので、構成が簡素であるため、材料にコストがかからず、また手間もかからないので安価に製造できる。図6に示した水膨張体22のように、袋体23をメッシュ状の織物で構成した場合には、袋体23を構成する不織布に特殊なものを用いずともよく、材料費を低く抑えることができ、さらなるコスト低減を図ることができる。
以下、その他の形態を説明する。この説明において、先の構成と同一の部位については同一の符号を付してその詳しい説明を省略する。
図9は、外袋21内に水膨張体22を収納するときの状態を示した説明図である。すなわち、収納される複数個の水膨張体22が、外袋21内に収納可能な大きさで透水性を有する1枚のシート体31に固定されている。
シート体31は、透水性を有する材料であるのが好ましく、たとえば不織布で構成される。このシート体31は、外袋21の内のりよりも若干小さい長方形状に裁断して得られる。
水膨張体22の固定は、図9に示したように、シート体31における水膨張体22を固定すべき位置に、粘着剤を塗布して粘着部32を形成し、この上に水膨張体22を載せるだけで簡単に行える。このような固定によって、複数個の水膨張体22は1枚のシート体31の上で一体となる。
このようなシート体31があれば、外袋21に対する収納作業も、真空包装と作業もきわめて簡単化できる。また、シート体31は外袋21との間に存在し、水膨張体22が膨張してもその膨張に影響されず外袋21内に位置するため、水膨張した水膨張成分が外袋21から染み出すのを抑制できる。
図10は、図8に示したようにシート体31に固定された水膨張体22における、シート体31を備えた側と反対側の面に、外袋21内に収納可能な大きさで透水性を有する被覆シート体33を備える例を示している。被覆シート体33には、前記シート体31と同一のものを使用できる。
このように、シート体31と被覆シート体33を有する土嚢本体12では、水膨張したときに、図11に示したように、外袋21の内側面をシート体31と被覆シート33が覆った状態になる。このため、前記のように、水膨張体22が膨張してもその膨張に影響されず外袋21内に位置するため、水膨張したゲル状の水膨張成分が外袋21から染み出すのを抑制できる。
この結果、外袋21の表面がズルズルになって滑り易くなるようなことを抑えられ、外袋を持っても滑りにくく扱い易い。また、積み重ねたときでも位置ずれしにくく、前記の所望形状に膨らむ効果とあいまって、所望の使用目的を確実に達成できる。
なお、前記シート体31と被覆シート体33は、1枚の不織布等を2つ折りして構成することもできる。
また、図示は省略するが、包装袋13にカットテープやノッチなどを設けて、包装袋13に対して、たとえば包装袋が上下前後左右に分かれるような裂け目を容易に形成できるようにしておくもよい。すなわち、使用時にはカットテープやノッチによって包装袋13に速やかに裂け目を入れて、使用場所に置くだけで、土嚢本体12の水膨張体22が水を吸収して膨張し、膨張しながら外側の包装袋13を破り、土嚢としての役割を果たす。つまり、より一そう簡易迅速に使用をすることができるようになる。
この考案は、前記の一形態の構成のみに限定されるものではなく、その他の形態を採用することもできる。
たとえば水膨張体22の外表面の編織体23aは、袋体23の全体ではなく、袋体23の外表面側の部分だけ、あるいは全面積の一部分だけであるもよい。
たとえば水膨張体22の外表面の編織体23aは、袋体23の全体ではなく、袋体23の外表面側の部分だけ、あるいは全面積の一部分だけであるもよい。
11…水膨張性土嚢
12…土嚢本体
13…包装袋
21…外袋
22…水膨張体
23a…編織物
31…シート体
33…被覆シート体
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Claims (4)
- 水を吸収して膨張する水膨張性土嚢であって、
透水性を有する外袋のなかに複数個の水膨張体が収納されるとともに、
前記外袋が包装袋によって真空包装された
水膨張性土嚢。 - 前記外袋が麻袋で構成されるとともに、
前記水膨張体の外表面が編織体で構成された
請求項1に記載の水膨張性土嚢。 - 前記複数個の水膨張体が、前記外袋内に収納可能な大きさで透水性を有する1枚のシート体に固定された
請求項1または請求項2に記載の水膨張性土嚢。 - 前記水膨張体における前記シート体を備えた側と反対側の面に、前記外袋内に収納可能な大きさで透水性を有する被覆シート体が備えられた
請求項3に記載の水膨張性土嚢。
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Cited By (2)
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JP2015194053A (ja) * | 2014-03-31 | 2015-11-05 | 大王製紙株式会社 | 土嚢 |
CN114319224A (zh) * | 2022-01-12 | 2022-04-12 | 李奕 | 一种治理黄河泥沙淤积的方法 |
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- 2008-11-10 JP JP2008007848U patent/JP3147958U/ja not_active Expired - Fee Related
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