JP2004360381A - 土嚢袋 - Google Patents
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Abstract
【課題】災害発生時に少ない労力で素早く敷設でき、しかも災害発生後の復旧作業にも対応できる土嚢袋を提供すること。
【解決手段】外袋2の内部には、水分を含むと体積が増加する吸水材4と、内袋3が収容され、吸水材4に水を供給して外袋2を膨張させて土嚢として使用した後、外袋2から内袋3を取り出して、内袋3を土嚢として再度使用できることを特徴とする土嚢袋1により、災害の発生時に外袋2を吸水材4で膨張させて使用することで、被害の拡大を素早く押さえ込むことができ、また災害発生から時間が経過して復旧作業を行う場合、内袋3を使用することで新たな土嚢袋を手配する必要がない。
【選択図】 図1
【解決手段】外袋2の内部には、水分を含むと体積が増加する吸水材4と、内袋3が収容され、吸水材4に水を供給して外袋2を膨張させて土嚢として使用した後、外袋2から内袋3を取り出して、内袋3を土嚢として再度使用できることを特徴とする土嚢袋1により、災害の発生時に外袋2を吸水材4で膨張させて使用することで、被害の拡大を素早く押さえ込むことができ、また災害発生から時間が経過して復旧作業を行う場合、内袋3を使用することで新たな土嚢袋を手配する必要がない。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主に水害時に使用される土嚢袋に関する。
【0002】
【従来の技術】
河川の氾濫や大雨などにより地表面が水浸しになる水害は、梅雨時期や台風が襲来することの多い秋を中心に、毎年必ず発生している。河川の決壊などにより地表面に水が流出した場合、建築物への浸水を防止する対策として、周囲に土嚢を積み重ねることがある。土嚢袋は麻布などを袋状に縫製して、一端をキンチャク袋のように口ヒモで閉じる構造で、内部に土を入れた状態で複数を石垣状に積み重ねて、水をせき止めることができる。
【0003】
土嚢袋は水害時だけに必要なもので使用頻度は極めて少ないが、河川の管理者など水害対策を行う組織は、常に一定量を保管している。保管の際は、当然ながら内部に土は詰められておらず、平面状に押し潰された状態で積み重ねられ、狭い場所でも大量に保管できる。災害発生時には、平面状の土嚢袋を現場まで輸送してから、周辺の土手や農地から土を掘り起こし内部に詰めて、当該箇所に敷設する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
土嚢袋に土を詰める作業は、原則的に現地で行うが、災害時という極限の状況で要員や土が確保できるとは限らない。そこで土嚢袋の内部に、水分を吸収することで膨張する高分子ポリマーなどの吸水材を事前に収容しておき、これを膨張させて、土の代用とする製品も実用化されている。しかし吸水材を使用する土嚢は、時間の経過ともに吸水材から水分が逃げるため、本格的な復旧作業には、改めて土を詰めた土嚢が必要になる。
【0005】
吸水材を収容した土嚢袋を使用した後に、復旧作業などで改めて土を詰めた土嚢を必要とする場合、別途に土嚢袋を用意する必要がある。しかし災害発生時点では災害の規模が予測できないため、それまで保管してあった土嚢袋が全て使用されてしまい、新たな土嚢袋が直ちに確保できない場合がある。このような状態では復旧作業が進まず、避難解除に時間を要するなどの問題が発生する。
【0006】
本発明はこうした実状を基に開発されたもので、災害発生時に少ない労力で素早く敷設でき、しかも災害発生後の復旧作業にも対応できる土嚢袋の提供を目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記の課題を克服する請求項1記載の発明は、外袋の内部に、水分を含むことで体積が増加する吸水材と、内袋とを収容し、前記吸水材に水を供給して外袋を膨張させて土嚢として使用した後に、外袋から内袋を取り出して、内袋を土嚢として再度使用できることを特徴とする土嚢袋であり、災害発生時には素早く使用できる上、災害後の復旧作業にも使用できる利便性を備えている。
【0008】
本発明による土嚢袋は、一枚の袋で構成される従来の土嚢袋とは異なり、外袋と内袋の二枚を組み合わせて構成されている。内袋は従来の土嚢袋と同様な構造で、キンチャク袋のように開口部の周囲に口ヒモが通され、内部に土などを詰め込んだ後、口ヒモを引くと開口部が閉じて内部が密閉される。この内袋は、製造時に外袋の内部に収容されるため、通常は全く目に付くことがない。一方の外袋は、麻布などを縫製して袋状にしたもので、保管時は長方形の板状になり、大量に積み重ねて保管でき、外袋を縫製する段階で、内袋と吸水材が内部に収容される。
【0009】
吸水材は、紙おむつなどに使用されている高分子ポリマーを使用し、大量の水分を逃すことなく吸収できる特性により、自らの体積を数倍に増大させることが可能である。この吸水材は、外袋を縫製する途中で内袋と併せて内部に収容されるが、この段階で吸水材は膨張しておらず板状であり、したがって外袋と内袋と吸水材から構成される本発明による土嚢袋は、従来と同様、複数を積み重ねて保管できる。なお吸水材は、外袋の内部に収容されるが、内袋の内部に収容されるのではなく、それぞれが個別に収容される。
【0010】
外袋は従来の土嚢袋と同様、袋状に形成されているが、外袋は吸水材により膨張するため、内部に土を入れる必要はなく、そのためキンチャク袋のような開口部を持っておらず、膨張した吸水材が脱落しないよう外袋は周囲を糸で縫製されている。災害が発生した場合、本発明の土嚢袋を現地に輸送してから、外袋を水中に浸して内部に浸透させると、吸水材が膨張して枕のような立体形状に変形するため、押し寄せる水をせき止めることができる。なお土嚢袋を相互に連結するため、外袋の周囲には、固定ヒモが取り付けらている。
【0011】
災害発生から時間が経過すると、地表面を覆っている水も次第に減少していくため、土嚢は本来の役目を終えて撤去される。吸水材は一度水分を含んで膨張した後に再利用することが困難なため、外袋の端面に近い部分をハサミで切り落とし吸水材を取り出してから、大理石を主体とする脱水材に吸水材を接触させて体積を減らした後、可燃物として処分可能である。また外袋も同様に焼却できるように、滑り止めにも天然ゴムなど燃焼で有毒ガスの発生しない素材を使用することが望ましい。なお吸水材を取り出すため外袋の端部を切り落とすと、内袋も同時に取り出すことができる。内袋はこの時点では未使用の状態で、この内部に土などを入れて口ヒモを閉じると直ちに土嚢として使用できる。
【0012】
外袋から取り出された内袋は単体で使用可能だが、この時に外袋を処分せず有効に活用したい場合がある。そこで請求項2記載の発明のように、内袋において開口部以外の周囲の少なくとも一部は、縫製糸により外袋と一体的に縫製することで外袋と内袋が結合して、外袋が継続的に使用できる。外袋は前記のように全周が縫製糸により縫製され開口部のない袋状だが、外袋を構成する表裏二枚の生地の間に内袋の周辺部を重ね合わせて、内袋を外袋の生地に挟んだ状態で、双方を一括して縫製を行う。
【0013】
内袋の周囲を外袋と一括して縫製するが、外袋の周辺を切り取った後、内袋の内部に土を詰め込むため、内袋の開口部は縫製をしない。また外袋を切り取る位置は、内袋の開口部よりわずかに外側として、この位置に事前に切取線を印刷しておき、これに沿って外袋を開いた後、吸水材を取り出してから内袋に土を詰め口ヒモを閉じると、外袋と内袋からなる土嚢袋が完成する。
【0014】
土嚢袋は、水浸しの状態で使用されるため、外袋の表面は非常に滑りやすくなり、地表面との間や隣接する土嚢の間で十分な摩擦力が発生できず、水流に対抗できない場合が予想される。また持ち運びの際も滑りやすいことは問題で、そこで請求項3記載の発明のように、外袋の表面に滑り止めを設けて、十分な摩擦力を得ることが望ましい。滑り止めの形態は特定のものに限定されないが、ゴムなどの摩擦力を発生しやすい素材を断続的に設けるのが簡単である。この滑り止めは外袋の外観の大きな特徴になるため、美観なども考慮して配置や大きさが決められる。
【0015】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明による土嚢袋1の構成を示し、図1(イ)は斜視図であり、図1(ロ)はA−A端面図である。外袋2は麻布を裁断した後、袋状に縫製が行われており、保管や輸送時は図のように平面状で、長さ60cm,幅40cm程度の大きさであり、内袋3と吸水材4を内部に組み込んでいる。内袋3は、外袋2よりも小さく、単に平面状にした状態で詰め込まれており、また吸水材4は厚みのある直方体で、長さ20cm,幅10cm,厚さ5mm程度で、外袋2に比べて面積は大幅に小さい。
【0016】
吸水材4は、紙おむつなどに使用されている高分子ポリマー製で、使用前は前記のように板状だが、一旦水分を吸収し始めると急速に膨張して、外袋2をマクラ状に変形させる。災害発生時に吸水材4を膨張させる際は、現場で外袋2を水中に浸して内部に水を浸透させる。この際に吸水材4が外袋2から突出しないよう、縫製糸5は途中で途切れることがなく周囲を取り囲んでいる。
【0017】
土嚢袋1は通常、複数個を積み重ねて使用するが、この積み重ねた状態を維持するため、隣接する土嚢袋1を結びつけるための固定ヒモ6が、外袋2に結び付けられている。外袋2の頂点の近傍には、直径5mm程度の穴が計四カ所設けてあり、ここに固定ヒモ6が通され、その両端は固定されておらず自由に使用できる。したがって土嚢袋1を敷設する際に、隣接するもの同士や杭などに結び付けて水流に対抗させる。
【0018】
土嚢袋1が実際に使用される際は、あらゆるものが水浸しになり、これらの表面は極めて滑りやすいため、外袋2の表面には滑り止め8を備えている。図1に示す滑り止め8は、直径10mm,高さ3mmの円柱形の天然ゴムを15mmの間隔で二次元的に連続配置したもので、溶融した天然ゴムを外袋2の表面に付着させて形成し、外袋2の繊維と複雑に絡み合うため、はがれることはない。
【0019】
吸水材4は一度膨張させると再利用できず、吸水材4と外袋2は使用後に廃棄処分になる。ただし外袋2が脹らんだ状態では取り扱いが大変で、また内袋3は未使用であり、吸水材4と内袋3を取り出す必要がある。そこで外袋2の端面近傍には切取線7が印刷されており、この切取線7に沿ってハサミやカッターで外袋2を切断して、中からこれらを取り出す。切取線7は縫製糸5よりわずかに内側に印刷されており、外袋2を確実に開くことができるほか、内袋3を傷つけることもない。
【0020】
外袋2から取り出した吸水材4は、脱水材と接触させて水分を抜き取り体積を減らした後に焼却処分が可能で、また外袋2は、麻布に滑り止め8の天然ゴムが付着したもので同様に処分できる。さらに取り出された内袋3は、内部に土などを詰めて通常の土嚢として直ちに使用可能である。
【0021】
図2は、内袋3の周囲を縫製糸5により縫製されている形態の土嚢袋1の構成を示し、図2(イ)は斜視図で、図2(ロ)はB−B端面図である。外袋2や吸水材4などの形態は図1と変わらないが、内袋3は開口部9を除く周囲が縫製糸5により固定されているため、外袋2から内袋3を取り外すことはできない。ただし膨張させた後で吸水材4を取り出した際、内袋3の内部に土を詰めることを配慮して開口部9の近傍は、外袋2との縫製が行われていない。
【0022】
図3は内袋3の使用形態を示し、図3(イ)は図1の土嚢袋1の場合で、図3(ロ)は図2の土嚢袋1の場合である。図1の土嚢袋1を、外袋2に印刷された切取線7に沿って切断すると、吸水材4と一緒に内袋3が図3(イ)のように取り出すことができ、この取り出した内袋3に土を入れて口ヒモ10を引くと、開口部9が閉じられて土嚢が完成する。
【0023】
また図2の土嚢袋1を、外袋2に印刷された切取線7に沿って切断すると、吸水材4は取り出せるが、内袋3は縫製糸5により外袋2と一体化しており取り出せない。ただし図3(ロ)のように、内袋3の開口部9は開放されており、ここから内袋3の内部に土を投入してから口ヒモ10を引くと、開口部9が閉じられて土嚢が完成する。
【0024】
【発明の効果】
請求項1記載の発明のように、外袋の内部に吸水材と内袋をまとめて収容することで、災害の発生時に外袋を吸水材で膨張させて、少ない労力で短時間の内に使用可能になるため、被害の拡大を素早く押さえ込むことができ、また災害発生から時間が経過して復旧作業を行う場合、内袋を使用することで新たな土嚢袋を手配する必要がなく、迅速な対応が可能である。
【0025】
請求項2記載の発明のように、外袋と内袋を一体的に縫製することで、内袋を使用する際に外袋もあるため、土嚢袋が強化されて破損を防止できるほか、外袋の表面に滑り止めが設けられている場合、摩擦力が増加する。
【0026】
請求項3記載の発明のように、外袋の表面に滑り止めを設けることで、周囲が水浸しの状態でも土嚢袋は滑らず、信頼性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(イ)(ロ)
本発明による土嚢袋の構成を示しており、(イ)は斜視図で、(ロ)はA−A端面図である。
【図2】(イ)(ロ)
内袋の周囲を縫製糸で縫製された形態の土嚢袋を示しており、(イ)は斜視図で、(ロ)はB−B端面図である。
【図3】(イ)(ロ)
内袋の使用形態を示しており、(イ)は図1の土嚢袋の場合で、(ロ)は図2の土嚢袋の場合である。
【符号の説明】
1 土嚢袋
2 外袋
3 内袋
4 吸水材
5 縫製糸
6 固定ヒモ
7 切取線
8 滑り止め
9 開口部
10 口ヒモ
【発明の属する技術分野】
本発明は、主に水害時に使用される土嚢袋に関する。
【0002】
【従来の技術】
河川の氾濫や大雨などにより地表面が水浸しになる水害は、梅雨時期や台風が襲来することの多い秋を中心に、毎年必ず発生している。河川の決壊などにより地表面に水が流出した場合、建築物への浸水を防止する対策として、周囲に土嚢を積み重ねることがある。土嚢袋は麻布などを袋状に縫製して、一端をキンチャク袋のように口ヒモで閉じる構造で、内部に土を入れた状態で複数を石垣状に積み重ねて、水をせき止めることができる。
【0003】
土嚢袋は水害時だけに必要なもので使用頻度は極めて少ないが、河川の管理者など水害対策を行う組織は、常に一定量を保管している。保管の際は、当然ながら内部に土は詰められておらず、平面状に押し潰された状態で積み重ねられ、狭い場所でも大量に保管できる。災害発生時には、平面状の土嚢袋を現場まで輸送してから、周辺の土手や農地から土を掘り起こし内部に詰めて、当該箇所に敷設する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
土嚢袋に土を詰める作業は、原則的に現地で行うが、災害時という極限の状況で要員や土が確保できるとは限らない。そこで土嚢袋の内部に、水分を吸収することで膨張する高分子ポリマーなどの吸水材を事前に収容しておき、これを膨張させて、土の代用とする製品も実用化されている。しかし吸水材を使用する土嚢は、時間の経過ともに吸水材から水分が逃げるため、本格的な復旧作業には、改めて土を詰めた土嚢が必要になる。
【0005】
吸水材を収容した土嚢袋を使用した後に、復旧作業などで改めて土を詰めた土嚢を必要とする場合、別途に土嚢袋を用意する必要がある。しかし災害発生時点では災害の規模が予測できないため、それまで保管してあった土嚢袋が全て使用されてしまい、新たな土嚢袋が直ちに確保できない場合がある。このような状態では復旧作業が進まず、避難解除に時間を要するなどの問題が発生する。
【0006】
本発明はこうした実状を基に開発されたもので、災害発生時に少ない労力で素早く敷設でき、しかも災害発生後の復旧作業にも対応できる土嚢袋の提供を目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記の課題を克服する請求項1記載の発明は、外袋の内部に、水分を含むことで体積が増加する吸水材と、内袋とを収容し、前記吸水材に水を供給して外袋を膨張させて土嚢として使用した後に、外袋から内袋を取り出して、内袋を土嚢として再度使用できることを特徴とする土嚢袋であり、災害発生時には素早く使用できる上、災害後の復旧作業にも使用できる利便性を備えている。
【0008】
本発明による土嚢袋は、一枚の袋で構成される従来の土嚢袋とは異なり、外袋と内袋の二枚を組み合わせて構成されている。内袋は従来の土嚢袋と同様な構造で、キンチャク袋のように開口部の周囲に口ヒモが通され、内部に土などを詰め込んだ後、口ヒモを引くと開口部が閉じて内部が密閉される。この内袋は、製造時に外袋の内部に収容されるため、通常は全く目に付くことがない。一方の外袋は、麻布などを縫製して袋状にしたもので、保管時は長方形の板状になり、大量に積み重ねて保管でき、外袋を縫製する段階で、内袋と吸水材が内部に収容される。
【0009】
吸水材は、紙おむつなどに使用されている高分子ポリマーを使用し、大量の水分を逃すことなく吸収できる特性により、自らの体積を数倍に増大させることが可能である。この吸水材は、外袋を縫製する途中で内袋と併せて内部に収容されるが、この段階で吸水材は膨張しておらず板状であり、したがって外袋と内袋と吸水材から構成される本発明による土嚢袋は、従来と同様、複数を積み重ねて保管できる。なお吸水材は、外袋の内部に収容されるが、内袋の内部に収容されるのではなく、それぞれが個別に収容される。
【0010】
外袋は従来の土嚢袋と同様、袋状に形成されているが、外袋は吸水材により膨張するため、内部に土を入れる必要はなく、そのためキンチャク袋のような開口部を持っておらず、膨張した吸水材が脱落しないよう外袋は周囲を糸で縫製されている。災害が発生した場合、本発明の土嚢袋を現地に輸送してから、外袋を水中に浸して内部に浸透させると、吸水材が膨張して枕のような立体形状に変形するため、押し寄せる水をせき止めることができる。なお土嚢袋を相互に連結するため、外袋の周囲には、固定ヒモが取り付けらている。
【0011】
災害発生から時間が経過すると、地表面を覆っている水も次第に減少していくため、土嚢は本来の役目を終えて撤去される。吸水材は一度水分を含んで膨張した後に再利用することが困難なため、外袋の端面に近い部分をハサミで切り落とし吸水材を取り出してから、大理石を主体とする脱水材に吸水材を接触させて体積を減らした後、可燃物として処分可能である。また外袋も同様に焼却できるように、滑り止めにも天然ゴムなど燃焼で有毒ガスの発生しない素材を使用することが望ましい。なお吸水材を取り出すため外袋の端部を切り落とすと、内袋も同時に取り出すことができる。内袋はこの時点では未使用の状態で、この内部に土などを入れて口ヒモを閉じると直ちに土嚢として使用できる。
【0012】
外袋から取り出された内袋は単体で使用可能だが、この時に外袋を処分せず有効に活用したい場合がある。そこで請求項2記載の発明のように、内袋において開口部以外の周囲の少なくとも一部は、縫製糸により外袋と一体的に縫製することで外袋と内袋が結合して、外袋が継続的に使用できる。外袋は前記のように全周が縫製糸により縫製され開口部のない袋状だが、外袋を構成する表裏二枚の生地の間に内袋の周辺部を重ね合わせて、内袋を外袋の生地に挟んだ状態で、双方を一括して縫製を行う。
【0013】
内袋の周囲を外袋と一括して縫製するが、外袋の周辺を切り取った後、内袋の内部に土を詰め込むため、内袋の開口部は縫製をしない。また外袋を切り取る位置は、内袋の開口部よりわずかに外側として、この位置に事前に切取線を印刷しておき、これに沿って外袋を開いた後、吸水材を取り出してから内袋に土を詰め口ヒモを閉じると、外袋と内袋からなる土嚢袋が完成する。
【0014】
土嚢袋は、水浸しの状態で使用されるため、外袋の表面は非常に滑りやすくなり、地表面との間や隣接する土嚢の間で十分な摩擦力が発生できず、水流に対抗できない場合が予想される。また持ち運びの際も滑りやすいことは問題で、そこで請求項3記載の発明のように、外袋の表面に滑り止めを設けて、十分な摩擦力を得ることが望ましい。滑り止めの形態は特定のものに限定されないが、ゴムなどの摩擦力を発生しやすい素材を断続的に設けるのが簡単である。この滑り止めは外袋の外観の大きな特徴になるため、美観なども考慮して配置や大きさが決められる。
【0015】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明による土嚢袋1の構成を示し、図1(イ)は斜視図であり、図1(ロ)はA−A端面図である。外袋2は麻布を裁断した後、袋状に縫製が行われており、保管や輸送時は図のように平面状で、長さ60cm,幅40cm程度の大きさであり、内袋3と吸水材4を内部に組み込んでいる。内袋3は、外袋2よりも小さく、単に平面状にした状態で詰め込まれており、また吸水材4は厚みのある直方体で、長さ20cm,幅10cm,厚さ5mm程度で、外袋2に比べて面積は大幅に小さい。
【0016】
吸水材4は、紙おむつなどに使用されている高分子ポリマー製で、使用前は前記のように板状だが、一旦水分を吸収し始めると急速に膨張して、外袋2をマクラ状に変形させる。災害発生時に吸水材4を膨張させる際は、現場で外袋2を水中に浸して内部に水を浸透させる。この際に吸水材4が外袋2から突出しないよう、縫製糸5は途中で途切れることがなく周囲を取り囲んでいる。
【0017】
土嚢袋1は通常、複数個を積み重ねて使用するが、この積み重ねた状態を維持するため、隣接する土嚢袋1を結びつけるための固定ヒモ6が、外袋2に結び付けられている。外袋2の頂点の近傍には、直径5mm程度の穴が計四カ所設けてあり、ここに固定ヒモ6が通され、その両端は固定されておらず自由に使用できる。したがって土嚢袋1を敷設する際に、隣接するもの同士や杭などに結び付けて水流に対抗させる。
【0018】
土嚢袋1が実際に使用される際は、あらゆるものが水浸しになり、これらの表面は極めて滑りやすいため、外袋2の表面には滑り止め8を備えている。図1に示す滑り止め8は、直径10mm,高さ3mmの円柱形の天然ゴムを15mmの間隔で二次元的に連続配置したもので、溶融した天然ゴムを外袋2の表面に付着させて形成し、外袋2の繊維と複雑に絡み合うため、はがれることはない。
【0019】
吸水材4は一度膨張させると再利用できず、吸水材4と外袋2は使用後に廃棄処分になる。ただし外袋2が脹らんだ状態では取り扱いが大変で、また内袋3は未使用であり、吸水材4と内袋3を取り出す必要がある。そこで外袋2の端面近傍には切取線7が印刷されており、この切取線7に沿ってハサミやカッターで外袋2を切断して、中からこれらを取り出す。切取線7は縫製糸5よりわずかに内側に印刷されており、外袋2を確実に開くことができるほか、内袋3を傷つけることもない。
【0020】
外袋2から取り出した吸水材4は、脱水材と接触させて水分を抜き取り体積を減らした後に焼却処分が可能で、また外袋2は、麻布に滑り止め8の天然ゴムが付着したもので同様に処分できる。さらに取り出された内袋3は、内部に土などを詰めて通常の土嚢として直ちに使用可能である。
【0021】
図2は、内袋3の周囲を縫製糸5により縫製されている形態の土嚢袋1の構成を示し、図2(イ)は斜視図で、図2(ロ)はB−B端面図である。外袋2や吸水材4などの形態は図1と変わらないが、内袋3は開口部9を除く周囲が縫製糸5により固定されているため、外袋2から内袋3を取り外すことはできない。ただし膨張させた後で吸水材4を取り出した際、内袋3の内部に土を詰めることを配慮して開口部9の近傍は、外袋2との縫製が行われていない。
【0022】
図3は内袋3の使用形態を示し、図3(イ)は図1の土嚢袋1の場合で、図3(ロ)は図2の土嚢袋1の場合である。図1の土嚢袋1を、外袋2に印刷された切取線7に沿って切断すると、吸水材4と一緒に内袋3が図3(イ)のように取り出すことができ、この取り出した内袋3に土を入れて口ヒモ10を引くと、開口部9が閉じられて土嚢が完成する。
【0023】
また図2の土嚢袋1を、外袋2に印刷された切取線7に沿って切断すると、吸水材4は取り出せるが、内袋3は縫製糸5により外袋2と一体化しており取り出せない。ただし図3(ロ)のように、内袋3の開口部9は開放されており、ここから内袋3の内部に土を投入してから口ヒモ10を引くと、開口部9が閉じられて土嚢が完成する。
【0024】
【発明の効果】
請求項1記載の発明のように、外袋の内部に吸水材と内袋をまとめて収容することで、災害の発生時に外袋を吸水材で膨張させて、少ない労力で短時間の内に使用可能になるため、被害の拡大を素早く押さえ込むことができ、また災害発生から時間が経過して復旧作業を行う場合、内袋を使用することで新たな土嚢袋を手配する必要がなく、迅速な対応が可能である。
【0025】
請求項2記載の発明のように、外袋と内袋を一体的に縫製することで、内袋を使用する際に外袋もあるため、土嚢袋が強化されて破損を防止できるほか、外袋の表面に滑り止めが設けられている場合、摩擦力が増加する。
【0026】
請求項3記載の発明のように、外袋の表面に滑り止めを設けることで、周囲が水浸しの状態でも土嚢袋は滑らず、信頼性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(イ)(ロ)
本発明による土嚢袋の構成を示しており、(イ)は斜視図で、(ロ)はA−A端面図である。
【図2】(イ)(ロ)
内袋の周囲を縫製糸で縫製された形態の土嚢袋を示しており、(イ)は斜視図で、(ロ)はB−B端面図である。
【図3】(イ)(ロ)
内袋の使用形態を示しており、(イ)は図1の土嚢袋の場合で、(ロ)は図2の土嚢袋の場合である。
【符号の説明】
1 土嚢袋
2 外袋
3 内袋
4 吸水材
5 縫製糸
6 固定ヒモ
7 切取線
8 滑り止め
9 開口部
10 口ヒモ
Claims (3)
- 外袋(2)の内部に、水分を含むことで体積が増加する吸水材(4)と、内袋(3)とを収容し、前記吸水材(4)に水を供給して外袋(2)を膨張させて土嚢として使用した後に、外袋(2)から内袋(3)を取り出して、該内袋(3)を土嚢として再度使用できることを特徴とする土嚢袋。
- 内袋(3)において開口部(9)以外の周囲の少なくとも一部は、縫製糸(5)により外袋(2)と一体的に縫製されていることを特徴とする請求項1記載の土嚢袋。
- 外袋(2)の表面には、滑り止め(8)が設けられていることを特徴とする請求項1または2記載の土嚢袋。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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