JP3147429B2 - 衛星放送波の透過損失を低減した窓ガラス - Google Patents
衛星放送波の透過損失を低減した窓ガラスInfo
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、衛星放送を室内におい
て受信するために、屋内と屋外の境界に設けた窓ガラス
に関する。
て受信するために、屋内と屋外の境界に設けた窓ガラス
に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、衛星放送が多局化し、かつ放送界
においてもグローバル化が益々進み発展し、社会的にも
重要なものとなりつつある。
においてもグローバル化が益々進み発展し、社会的にも
重要なものとなりつつある。
【0003】そのなかで、その衛星放送の受信方法は、
屋上、屋根、ベランダあるいは地上に支柱を設置し、こ
れに衛星放送受信用アンテナを取り付けているのが通常
である。このように屋外に該衛星放送受信用アンテナを
設置した場合、衛星放送の電波は周波数が約12GHz
付近と極めて高いので、例えば雨や、雪によって減衰を
受け、衛星放送受信用アンテナであるパラボラアンテナ
の内側に雨が溜まったりあるいは雪が積もると、受信性
能が低下することがあり、また例えば台風にも充分耐え
られるように強固に設置する必要があるため、工事費が
高価となり、場合によっては危険性も伴い、かなりの設
置スペースを必要とする等が発現し易いものである。
屋上、屋根、ベランダあるいは地上に支柱を設置し、こ
れに衛星放送受信用アンテナを取り付けているのが通常
である。このように屋外に該衛星放送受信用アンテナを
設置した場合、衛星放送の電波は周波数が約12GHz
付近と極めて高いので、例えば雨や、雪によって減衰を
受け、衛星放送受信用アンテナであるパラボラアンテナ
の内側に雨が溜まったりあるいは雪が積もると、受信性
能が低下することがあり、また例えば台風にも充分耐え
られるように強固に設置する必要があるため、工事費が
高価となり、場合によっては危険性も伴い、かなりの設
置スペースを必要とする等が発現し易いものである。
【0004】そのため、例えば、実開平1ー15309
8号公報には、衛星放送受信用窓用ガラス及びガラス戸
が記載されており、板ガラスの厚みを該ガラスの比誘電
率を考慮し、該ガラスを透過する衛星放送の電波の約1
/2波長の整数倍としたものであって、周波数12GH
zの電波に対する反射率が小さい板厚が所謂5mm前後
または10mm前後の単板ガラスを、あるいは板厚が所
謂5mm前後や10mm前後相当になるような合わせる
板ガラスを電波の到来する窓に嵌め込むことが開示され
ている。
8号公報には、衛星放送受信用窓用ガラス及びガラス戸
が記載されており、板ガラスの厚みを該ガラスの比誘電
率を考慮し、該ガラスを透過する衛星放送の電波の約1
/2波長の整数倍としたものであって、周波数12GH
zの電波に対する反射率が小さい板厚が所謂5mm前後
または10mm前後の単板ガラスを、あるいは板厚が所
謂5mm前後や10mm前後相当になるような合わせる
板ガラスを電波の到来する窓に嵌め込むことが開示され
ている。
【0005】しかしながら例えば一般住宅においては、
通常板厚が所謂3mm程度の単板ガラスでもって施工さ
れており、該考案を採用しようとすると、電波の到来す
る窓のみを、板厚が所謂5mm前後または10mm前後
の単板ガラスに嵌め替えなければならない等が生じるこ
ととなり、このように窓の一部を嵌め替えることは、サ
ッシの変更等構造的にも技術的な困難さを伴うとともに
経済的にも大きな負担となることであり、さらに例えば
高層ビル等においても、限定された板厚の板ガラスのみ
を採用しなければならないことは、風圧等に対する強度
など、やはり同様な種々の構造的、技術的あるいは経済
的問題が生じ易いことである。
通常板厚が所謂3mm程度の単板ガラスでもって施工さ
れており、該考案を採用しようとすると、電波の到来す
る窓のみを、板厚が所謂5mm前後または10mm前後
の単板ガラスに嵌め替えなければならない等が生じるこ
ととなり、このように窓の一部を嵌め替えることは、サ
ッシの変更等構造的にも技術的な困難さを伴うとともに
経済的にも大きな負担となることであり、さらに例えば
高層ビル等においても、限定された板厚の板ガラスのみ
を採用しなければならないことは、風圧等に対する強度
など、やはり同様な種々の構造的、技術的あるいは経済
的問題が生じ易いことである。
【0006】また、例えば、特開平1ー264301号
公報には、衛星放送受信用窓が記載されており、低誘電
率部材により構成した透光性絶縁板(例、アクリル板)
をガスケットを介してアルミサッシ等の取付枠に取りつ
けてなるものであって、前記透光性絶縁板の各種取付け
方、ならびに前記透光性絶縁板の厚みを透過電波の1/
2波長の整数倍とするようにすること等が開示されてい
る。
公報には、衛星放送受信用窓が記載されており、低誘電
率部材により構成した透光性絶縁板(例、アクリル板)
をガスケットを介してアルミサッシ等の取付枠に取りつ
けてなるものであって、前記透光性絶縁板の各種取付け
方、ならびに前記透光性絶縁板の厚みを透過電波の1/
2波長の整数倍とするようにすること等が開示されてい
る。
【0007】しかしながら例えば透光性絶縁板として
は、例示した如く、アクリル板しかないといっても過言
ではないものであり、該アクリル板は表面強度が弱いた
め、例えば保護用の板ガラスとの2重構造とする必要が
あるとともに、衛星放送電波を受信しようとする際に
は、板ガラス戸を開ける等が必要となるものであり、窓
の取付け構造が複雑となり改造経費等も嵩むこととな
る。
は、例示した如く、アクリル板しかないといっても過言
ではないものであり、該アクリル板は表面強度が弱いた
め、例えば保護用の板ガラスとの2重構造とする必要が
あるとともに、衛星放送電波を受信しようとする際に
は、板ガラス戸を開ける等が必要となるものであり、窓
の取付け構造が複雑となり改造経費等も嵩むこととな
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】前述したような従来の
ものは、例えば衛星放送電波の周波数12GHzに対す
る反射率が小さい、板厚が所謂5mm程度または10m
m程度となる板ガラスなどに限定されていたが、本発明
は、板厚が該所謂5mm程度または10mm程度となる
板ガラスを除く、例えば板厚が所謂3mm、4mm、6
mm、8mmあるいは12mm等の板ガラスなど、従来
衛星放送電波を室内で受信するための窓ガラスとしては
不適当とされた板厚の板ガラスを、窓ガラスとして施工
したとしても、前記室内にセットした室内アンテナでも
って、衛星放送が受信できるようにすることにある。
ものは、例えば衛星放送電波の周波数12GHzに対す
る反射率が小さい、板厚が所謂5mm程度または10m
m程度となる板ガラスなどに限定されていたが、本発明
は、板厚が該所謂5mm程度または10mm程度となる
板ガラスを除く、例えば板厚が所謂3mm、4mm、6
mm、8mmあるいは12mm等の板ガラスなど、従来
衛星放送電波を室内で受信するための窓ガラスとしては
不適当とされた板厚の板ガラスを、窓ガラスとして施工
したとしても、前記室内にセットした室内アンテナでも
って、衛星放送が受信できるようにすることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、従来のかかる
問題点に鑑みて成したものであって、衛星放送波に対し
て特殊な特性にある板ガラス、ことに上述した板厚が所
謂3mm、4mm、6mm、8mmあるいは12mm等
の板ガラスの室内側表面に、特定の特性インピーダンス
をもつ膜を被覆し、衛星放送波に対して該膜付き板ガラ
スが特定した透過損失値を有するものとすることで、衛
星放送波の透過損失を充分低減でき、室内アンテナで充
分衛星放送が受信でき、各種建造物の窓ガラスにおいて
充分衛星放送波が透過するようになる有用な衛星放送受
信用窓ガラスを提供するものである。
問題点に鑑みて成したものであって、衛星放送波に対し
て特殊な特性にある板ガラス、ことに上述した板厚が所
謂3mm、4mm、6mm、8mmあるいは12mm等
の板ガラスの室内側表面に、特定の特性インピーダンス
をもつ膜を被覆し、衛星放送波に対して該膜付き板ガラ
スが特定した透過損失値を有するものとすることで、衛
星放送波の透過損失を充分低減でき、室内アンテナで充
分衛星放送が受信でき、各種建造物の窓ガラスにおいて
充分衛星放送波が透過するようになる有用な衛星放送受
信用窓ガラスを提供するものである。
【0010】すなわち、本発明は、衛星放送波の透過損
失が1.2dB以上となる板厚を有する素板ガラスの電
波の到来面の裏側である室内側ガラス表面に、ガラスの
特性インピーダンスより小さい特性インピーダンスを有
する膜を被覆した膜付き板ガラスであって、かつ衛星放
送波に対する該膜付き板ガラスの透過損失値が素板ガラ
スの透過損失値より小さく、かつ該膜付き板ガラスの前
記透過損失値が2.0dB以下を満足するものであるこ
とを特徴とする衛星放送受信用窓ガラスである。
失が1.2dB以上となる板厚を有する素板ガラスの電
波の到来面の裏側である室内側ガラス表面に、ガラスの
特性インピーダンスより小さい特性インピーダンスを有
する膜を被覆した膜付き板ガラスであって、かつ衛星放
送波に対する該膜付き板ガラスの透過損失値が素板ガラ
スの透過損失値より小さく、かつ該膜付き板ガラスの前
記透過損失値が2.0dB以下を満足するものであるこ
とを特徴とする衛星放送受信用窓ガラスである。
【0011】ここで、衛星放送波の透過損失が1.2d
B以上となる板厚を有する素板ガラスとは、例えばフロ
ート板ガラスについて図1で示すように、衛星放送電波
の反射率(%)が小さく、室内受信ができるとされる例
えば板厚が所謂5mm程度あるいは10mm程度の板ガ
ラスを除く、衛星放送電波の反射率(%)が大きい、例
えば板厚が所謂3mm、4mm、6mm、8mmあるい
は12mm等の板ガラスであって、従来衛星放送受信用
窓ガラスとして採用できないあるいは採用し難いとされ
ている種々の板ガラスをいうものであって、無機質の板
ガラスである。
B以上となる板厚を有する素板ガラスとは、例えばフロ
ート板ガラスについて図1で示すように、衛星放送電波
の反射率(%)が小さく、室内受信ができるとされる例
えば板厚が所謂5mm程度あるいは10mm程度の板ガ
ラスを除く、衛星放送電波の反射率(%)が大きい、例
えば板厚が所謂3mm、4mm、6mm、8mmあるい
は12mm等の板ガラスであって、従来衛星放送受信用
窓ガラスとして採用できないあるいは採用し難いとされ
ている種々の板ガラスをいうものであって、無機質の板
ガラスである。
【0012】また、特性インピーダンス(Z)とは、電
磁波の伝播軸上の任意の点において、この軸に直交する
電界の強度(E)と磁界の強度(H)の比であると定義
され、次式(1)で示される。なお、次元はインピーダ
ンスで、単位はΩである。 Z=E/(H×n) (1) ここで、 n :電波の伝播方向の単位ベクトル ある方向に進む平面波の電界、磁界については次式
(2)が成り立つ。 Z=E/(H×n)=〔μ/{ε−i(σ/ω)}〕 1/2 (2) ここで、 μ :透磁率 [H・m -1 ] ε :誘電率 [F・m -1 ] σ :導電率 [Ω -1 ・m -1 ] ω :角周波数 [sec -1 ] i :虚数(i 2 =−1) (註) (1)真空中の透磁率:4π×10 -7 [H・m -1 ] (2)真空中の誘電率:1.0×10 -9 /(36π)[F・m -1 ] (3)周波数12GHzの衛星放送電波の角周波数: ω=2π×12×10 9 [sec -1 ] 誘電体では、{σ/(ω・ε)} 2 ≪1の故、式(2)
より、誘電体中の特性インピーダスは次式(3)のよう
に誘導できる。 Z=〔μ/ε〕 1/2 =120π(μr/εr)1/2 (3) ここで、 μr :比透磁率 εr :比誘電率 板ガラスの特性インピーダンス(ZG )は、μr =1.
0、複素比誘電率:εr’≒7.0、εr ”≒0.07で
あり、ε r =ε r ’−iε r ”、ここでi 2 =−1であるか
らZ G =120π〔1.0/(7.0−i0.07)〕
1/2 ≒140故、約140Ωとなる。さらに膜の特性イ
ンピーダンス(Z)は、膜の電波反射率(R)が膜の特
性インピーダンスの関数[R=〔(Z−Z 0 )/(Z+
Z 0 )〕 2 、ここで、Z 0 :空気の特性インピーダンス
(120πΩ)]であるので、膜の電波反射率(反射損
失)の測定値から逆算して求めることができるが、導電
性膜付き板ガラスのように単体の膜として測定困難なも
のについては通常特性インピーダンスを求める下記の公
知の算出式に基づいて表面抵抗率を用いて求める。な
お、導体では、{σ/(ω・ε)} 2 ≫1の故、式
(2)より、導体中の特性インピーダスは式(4)のよ
うに誘導できる。 Z=(1/2) 1/2 (1+i)(ωμ/σ) 1/2 (4) R S =1/(σ・H) (5) ここで、 R S :表面抵抗率 [Ω/□] H :膜厚 [m]
磁波の伝播軸上の任意の点において、この軸に直交する
電界の強度(E)と磁界の強度(H)の比であると定義
され、次式(1)で示される。なお、次元はインピーダ
ンスで、単位はΩである。 Z=E/(H×n) (1) ここで、 n :電波の伝播方向の単位ベクトル ある方向に進む平面波の電界、磁界については次式
(2)が成り立つ。 Z=E/(H×n)=〔μ/{ε−i(σ/ω)}〕 1/2 (2) ここで、 μ :透磁率 [H・m -1 ] ε :誘電率 [F・m -1 ] σ :導電率 [Ω -1 ・m -1 ] ω :角周波数 [sec -1 ] i :虚数(i 2 =−1) (註) (1)真空中の透磁率:4π×10 -7 [H・m -1 ] (2)真空中の誘電率:1.0×10 -9 /(36π)[F・m -1 ] (3)周波数12GHzの衛星放送電波の角周波数: ω=2π×12×10 9 [sec -1 ] 誘電体では、{σ/(ω・ε)} 2 ≪1の故、式(2)
より、誘電体中の特性インピーダスは次式(3)のよう
に誘導できる。 Z=〔μ/ε〕 1/2 =120π(μr/εr)1/2 (3) ここで、 μr :比透磁率 εr :比誘電率 板ガラスの特性インピーダンス(ZG )は、μr =1.
0、複素比誘電率:εr’≒7.0、εr ”≒0.07で
あり、ε r =ε r ’−iε r ”、ここでi 2 =−1であるか
らZ G =120π〔1.0/(7.0−i0.07)〕
1/2 ≒140故、約140Ωとなる。さらに膜の特性イ
ンピーダンス(Z)は、膜の電波反射率(R)が膜の特
性インピーダンスの関数[R=〔(Z−Z 0 )/(Z+
Z 0 )〕 2 、ここで、Z 0 :空気の特性インピーダンス
(120πΩ)]であるので、膜の電波反射率(反射損
失)の測定値から逆算して求めることができるが、導電
性膜付き板ガラスのように単体の膜として測定困難なも
のについては通常特性インピーダンスを求める下記の公
知の算出式に基づいて表面抵抗率を用いて求める。な
お、導体では、{σ/(ω・ε)} 2 ≫1の故、式
(2)より、導体中の特性インピーダスは式(4)のよ
うに誘導できる。 Z=(1/2) 1/2 (1+i)(ωμ/σ) 1/2 (4) R S =1/(σ・H) (5) ここで、 R S :表面抵抗率 [Ω/□] H :膜厚 [m]
【0013】さらに、衛星放送波に対する板ガラスの電
波反射損失を測定するために、受信アンテナにはSHF
帯用ホーンアンテナを用い、測定サンプルに対向させて
3mの一定距離に、非被覆面に前記電波が到来するよ
う、電波の波長に比較して10倍以上の大きさを有する
400mmx400mmの大きさのサンプルに、12G
Hzの電波を照射し、サンプルからの反射波と入射波の
電界強度比(Γ)を測定した。次にこの電界強度比
(Γ)の測定結果から透過損失(単位:dB)を計算式
透過損失=10×log(1−Γ 2 ) で求めた。なお薄
膜による電波の吸収を無視した。その理由は、例えば実
施例に示したITOやTiNの場合には、該ITOやT
iNの物質中に入射した衛星放送波の電界強度が約1/
3程度に減衰するのは膜厚が約10μm前後の場合であ
り、実施例のようにITOやTiNの膜厚が数百Åであ
る場合には電波の減衰はほとんど生じないからである。
波反射損失を測定するために、受信アンテナにはSHF
帯用ホーンアンテナを用い、測定サンプルに対向させて
3mの一定距離に、非被覆面に前記電波が到来するよ
う、電波の波長に比較して10倍以上の大きさを有する
400mmx400mmの大きさのサンプルに、12G
Hzの電波を照射し、サンプルからの反射波と入射波の
電界強度比(Γ)を測定した。次にこの電界強度比
(Γ)の測定結果から透過損失(単位:dB)を計算式
透過損失=10×log(1−Γ 2 ) で求めた。なお薄
膜による電波の吸収を無視した。その理由は、例えば実
施例に示したITOやTiNの場合には、該ITOやT
iNの物質中に入射した衛星放送波の電界強度が約1/
3程度に減衰するのは膜厚が約10μm前後の場合であ
り、実施例のようにITOやTiNの膜厚が数百Åであ
る場合には電波の減衰はほとんど生じないからである。
【0014】さらにまた、衛星放送波に対する該膜付き
板ガラスにおける透過損失値が素板ガラスの透過損失値
より小さく、かつ該膜付き板ガラスの前記透過損失値が
2.0dB以下を満足するものとしたのは、透過損失値
が2.0dB以下であれば、かなり良好なTV画像が得
れ、ほとんど支障がないからであり、好ましくは1.5
dB以下、より好ましくは1.3dB以下である。また
膜付き板ガラスにおける透過損失値が素板ガラスの透過
損失値より小さいとしたのは、膜付き板ガラスとしたか
らといっても、必ずしも常に透過損失値を低減出来ると
は限らないためであり、少なくとも素板ガラスの透過損
失値より小さいことも要件の一つであるからである。
板ガラスにおける透過損失値が素板ガラスの透過損失値
より小さく、かつ該膜付き板ガラスの前記透過損失値が
2.0dB以下を満足するものとしたのは、透過損失値
が2.0dB以下であれば、かなり良好なTV画像が得
れ、ほとんど支障がないからであり、好ましくは1.5
dB以下、より好ましくは1.3dB以下である。また
膜付き板ガラスにおける透過損失値が素板ガラスの透過
損失値より小さいとしたのは、膜付き板ガラスとしたか
らといっても、必ずしも常に透過損失値を低減出来ると
は限らないためであり、少なくとも素板ガラスの透過損
失値より小さいことも要件の一つであるからである。
【0015】図2で示すように、特性インピーダンスの
大きい媒体(空気)から、小さい媒体(板ガラス)に向
かって、衛星放送波が伝播する系において、媒体の境界
で、電波が反射する際、電波の位相が半波長進むことと
なる。その際、入射電波は、板ガラスの表面で一部は表
面反射電波となり、残りは板ガラス中を前記入射電波が
進みガラス裏面で一部は裏面反射電波となる。そして、
板ガラスの厚みがガラス中における電波の波長(λG 、
真空中での波長を該ガラスの比誘電率の平方根で割った
値)の約1/2の整数倍の場合、すなわち、板厚が5m
m前後または10mm前後等の場合には、この両者(表
面反射電波と裏面反射電波)が半波長ずれて干渉し合成
電波となることにより電波反射率が低減する。それ故、
ガラスに起因する問題はなく、室内でも衛星放送を良好
に受信できる。しかし、板ガラスの厚みがλG の約1/
2の整数倍よりずれた場合、例えば、図3に示すように
衛星放送波の表面反射電波と裏面反射電波は、それぞれ
の位相がそろって干渉し合成電波となることにより電波
反射率は増大する。
大きい媒体(空気)から、小さい媒体(板ガラス)に向
かって、衛星放送波が伝播する系において、媒体の境界
で、電波が反射する際、電波の位相が半波長進むことと
なる。その際、入射電波は、板ガラスの表面で一部は表
面反射電波となり、残りは板ガラス中を前記入射電波が
進みガラス裏面で一部は裏面反射電波となる。そして、
板ガラスの厚みがガラス中における電波の波長(λG 、
真空中での波長を該ガラスの比誘電率の平方根で割った
値)の約1/2の整数倍の場合、すなわち、板厚が5m
m前後または10mm前後等の場合には、この両者(表
面反射電波と裏面反射電波)が半波長ずれて干渉し合成
電波となることにより電波反射率が低減する。それ故、
ガラスに起因する問題はなく、室内でも衛星放送を良好
に受信できる。しかし、板ガラスの厚みがλG の約1/
2の整数倍よりずれた場合、例えば、図3に示すように
衛星放送波の表面反射電波と裏面反射電波は、それぞれ
の位相がそろって干渉し合成電波となることにより電波
反射率は増大する。
【作用】しかしながら、板ガラスの裏面にガラスの特性
インピーダンスより小さい特性インピーダンスを有する
膜を設けると、特性インピーダンスの大きい板ガラスと
小さい膜の界面でも、例えば、図4に示すように裏面反
射電波の位相が半波長進むので、前記λG の約1/2の
整数倍よりずれた厚みの板ガラスにおいても、衛星放送
波の表面反射電波と裏面反射電波とは半波長ずれて干渉
し合成電波となることにより電波反射率を低減すること
ができるものとなる。よって、前記したような従来衛星
放送受信用窓ガラスとして採用できないあるいは採用し
難いとされた各種板ガラス、例えば前記した所謂3m
m、4mm、6mm、8mm、12mmのフロートガラ
ス等の板ガラスを、室内で衛星放送波を受信できるよう
にすることができ、一般住宅をはじめ、各種建築物にお
ける窓ガラスに制約なく自在にかつ容易に採用できるこ
ととなる、有用な衛星放送受信用窓ガラスを提供するこ
とができる。
インピーダンスより小さい特性インピーダンスを有する
膜を設けると、特性インピーダンスの大きい板ガラスと
小さい膜の界面でも、例えば、図4に示すように裏面反
射電波の位相が半波長進むので、前記λG の約1/2の
整数倍よりずれた厚みの板ガラスにおいても、衛星放送
波の表面反射電波と裏面反射電波とは半波長ずれて干渉
し合成電波となることにより電波反射率を低減すること
ができるものとなる。よって、前記したような従来衛星
放送受信用窓ガラスとして採用できないあるいは採用し
難いとされた各種板ガラス、例えば前記した所謂3m
m、4mm、6mm、8mm、12mmのフロートガラ
ス等の板ガラスを、室内で衛星放送波を受信できるよう
にすることができ、一般住宅をはじめ、各種建築物にお
ける窓ガラスに制約なく自在にかつ容易に採用できるこ
ととなる、有用な衛星放送受信用窓ガラスを提供するこ
とができる。
【0016】以下、本発明の衛星放送受信用窓ガラスの
製造方法について具体的に説明する。
製造方法について具体的に説明する。
【0017】製造例1 先ず、大きさ400mm×400mm、厚さ3mmの板
ガラス(以下、「板ガラスFL3」とも表記し、また他
の板厚の板ガラスの場合も同様に表記する。)を中性洗
剤、水すすぎ、イソプロピルアルコールで順次洗浄し、
乾燥した後、DCマグネトロンスパッタリング装置の真
空槽内にセットしてあるITOターゲットに対向して上
方を往復できるようセットし、つぎに前記槽内を真空ポ
ンプで約5×10-6Torrまでに脱気した後、該真空
槽内に99%Arガス、1%O2ガスを導入して、真空
度を約2×10-3Torrに保持し、前記ITOターゲ
ットに約1.5kwの電力を印加し、Ar、O2 の混合
ガスによるDCマグネトロンスパッタの中を、前記IT
Oターゲット上方においてスピード約360mm/mi
nで前記板ガラスを搬送することによって、約300Å
厚さのITO薄膜を第1層として成膜した。成膜が完了
した後、ITOターゲットへの電力の印加を停止する。
ガラス(以下、「板ガラスFL3」とも表記し、また他
の板厚の板ガラスの場合も同様に表記する。)を中性洗
剤、水すすぎ、イソプロピルアルコールで順次洗浄し、
乾燥した後、DCマグネトロンスパッタリング装置の真
空槽内にセットしてあるITOターゲットに対向して上
方を往復できるようセットし、つぎに前記槽内を真空ポ
ンプで約5×10-6Torrまでに脱気した後、該真空
槽内に99%Arガス、1%O2ガスを導入して、真空
度を約2×10-3Torrに保持し、前記ITOターゲ
ットに約1.5kwの電力を印加し、Ar、O2 の混合
ガスによるDCマグネトロンスパッタの中を、前記IT
Oターゲット上方においてスピード約360mm/mi
nで前記板ガラスを搬送することによって、約300Å
厚さのITO薄膜を第1層として成膜した。成膜が完了
した後、ITOターゲットへの電力の印加を停止する。
【0018】次に、上記のITO薄膜を第1層として成
膜した板ガラスを前記真空槽中に置いたまま、Tiター
ゲットに約2.5kWの電力を印加し、O2 ガスによる
DCマグネトロン反応スパッタの中を前記Tiターゲッ
ト上方において、該板ガラスを約30mm/ minのス
ピードで搬送することにより、前記板ガラスのITO成
膜表面に約200Å厚さのTiO薄膜を第1層のITO
薄膜の保護膜として積層成膜した。なお、この保護膜は
ITO膜に比べて表面抵抗率が非常に高いので衛星放送
電波の反射にほとんど関与しない。すなわち、電波の反
射は、入射電波の磁界により物質の表面に電流が誘起さ
れ、この誘起電流が波源となって空間に電波を放出する
現象である。したがって、誘起電流が大きい物質(例え
ば、ITO)ほど反射率は大きくなる。ところが、表面
抵抗率が非常に高い物質(例えば、TiO保護膜)で
は、誘起電流が小さくなり、電波の反射率も小さくな
る。
膜した板ガラスを前記真空槽中に置いたまま、Tiター
ゲットに約2.5kWの電力を印加し、O2 ガスによる
DCマグネトロン反応スパッタの中を前記Tiターゲッ
ト上方において、該板ガラスを約30mm/ minのス
ピードで搬送することにより、前記板ガラスのITO成
膜表面に約200Å厚さのTiO薄膜を第1層のITO
薄膜の保護膜として積層成膜した。なお、この保護膜は
ITO膜に比べて表面抵抗率が非常に高いので衛星放送
電波の反射にほとんど関与しない。すなわち、電波の反
射は、入射電波の磁界により物質の表面に電流が誘起さ
れ、この誘起電流が波源となって空間に電波を放出する
現象である。したがって、誘起電流が大きい物質(例え
ば、ITO)ほど反射率は大きくなる。ところが、表面
抵抗率が非常に高い物質(例えば、TiO保護膜)で
は、誘起電流が小さくなり、電波の反射率も小さくな
る。
【0019】得られた板ガラスFL3(板厚3mm)/
ITO(膜厚300Å)/TiO(膜厚200Å)の構
成の板ガラスでは、表面抵抗率が約100Ω/口、可視
光透過率が約72%、透過色調が無色透明であった。表
面抵抗率は4探針法で測定した。ガラスと保護膜はIT
O膜に比べて表面抵抗率が非常に高いので、測定値はI
TO膜の表面抵抗率を示すことになる。この表面抵抗率
100Ω/口から、前記式(5)及び導体の特性インピ
ーダンスを求める段落0012に示された公知 の算出式
(前記式(4))に基づいて計算すると膜厚300Åの
前記ITO膜の特性インピーダンスは0.53Ωであっ
た。
ITO(膜厚300Å)/TiO(膜厚200Å)の構
成の板ガラスでは、表面抵抗率が約100Ω/口、可視
光透過率が約72%、透過色調が無色透明であった。表
面抵抗率は4探針法で測定した。ガラスと保護膜はIT
O膜に比べて表面抵抗率が非常に高いので、測定値はI
TO膜の表面抵抗率を示すことになる。この表面抵抗率
100Ω/口から、前記式(5)及び導体の特性インピ
ーダンスを求める段落0012に示された公知 の算出式
(前記式(4))に基づいて計算すると膜厚300Åの
前記ITO膜の特性インピーダンスは0.53Ωであっ
た。
【0020】製造例2 さらに、上述したと同様の方法で積層成膜した板ガラス
FL6(板厚6mm)/ITO(膜厚450Å)/Ti
O(膜厚200Å)の構成の板ガラスでは、表面抵抗率
が約50Ω/口、可視光透過率が約68%、透過色調が
無色透明であった。この表面抵抗率50Ω/口から、上
記と同様に計算すると膜厚450Åの前記ITO膜の特
性インピーダンスは0.46Ωであった。
FL6(板厚6mm)/ITO(膜厚450Å)/Ti
O(膜厚200Å)の構成の板ガラスでは、表面抵抗率
が約50Ω/口、可視光透過率が約68%、透過色調が
無色透明であった。この表面抵抗率50Ω/口から、上
記と同様に計算すると膜厚450Åの前記ITO膜の特
性インピーダンスは0.46Ωであった。
【0021】製造例3 上述したと同様な方法で、厚さ4mmの板ガラスにTi
およびTaターゲットを用い、TiN膜および保護膜T
aOを2層に積層成膜した。なお、この保護膜は段落0
018でTiO膜について述べたと同様の理由により衛
星放送電波の反射には関与しない。得られた板ガラスF
L4(板厚4mm)/TiN(膜厚250Å)/TaO
(膜厚200Å)の構成の板ガラスでは、表面抵抗率が
約200Ω/口、可視光透過率が約45%、透過色調が
褐色透明であった。(尚、ガラスと保護膜TaOはTi
N膜に比べて表面抵抗率が非常に高いので、測定値(表
面抵抗率約200Ω/口)はTiN膜の表面抵抗率を示
すことになる。)この表面抵抗率200Ω/口から、上
記と同様に計算すると膜厚250ÅのTiN膜の特性イ
ンピーダンスは0.69Ωであった。
およびTaターゲットを用い、TiN膜および保護膜T
aOを2層に積層成膜した。なお、この保護膜は段落0
018でTiO膜について述べたと同様の理由により衛
星放送電波の反射には関与しない。得られた板ガラスF
L4(板厚4mm)/TiN(膜厚250Å)/TaO
(膜厚200Å)の構成の板ガラスでは、表面抵抗率が
約200Ω/口、可視光透過率が約45%、透過色調が
褐色透明であった。(尚、ガラスと保護膜TaOはTi
N膜に比べて表面抵抗率が非常に高いので、測定値(表
面抵抗率約200Ω/口)はTiN膜の表面抵抗率を示
すことになる。)この表面抵抗率200Ω/口から、上
記と同様に計算すると膜厚250ÅのTiN膜の特性イ
ンピーダンスは0.69Ωであった。
【0022】製造例4 上述したと同様な方法で、厚さ8mmの板ガラスにIT
OおよびTaターゲットを用い、ITO膜および保護膜
TaOを2層に積層成膜した。なお、この保護膜は段落
0018でTiO膜について述べたと同様の理由により
衛星放送電波の反射には関与しない。得られた板ガラス
FL8(板厚8mm)/ITO(膜厚300Å)/Ta
O(膜厚200Å)の構成の板ガラスでは、表面抵抗率
が約100Ω/口、可視光透過率が約61%、透過色調
が無色透明であった。(尚、ガラ スと保護膜TaOはI
TO膜に比べて表面抵抗率が非常に高いので、測定値
(約100Ω/口)はITO膜の表面抵抗率を示すこと
になる。)この表面抵抗率100Ω/口から、上記と同
様に計算すると膜厚300ÅのITO膜の特性インピー
ダンスは0.53Ωであった。 なお、前述(段落001
2)したとおり、板ガラスの特性インピーダンスは約1
40Ωであり、FL3、FL4、FL6、FL8のいづ
れの場合もガラスの特性インピーダンスは約140Ωで
あり、上述した製造例1〜4で成膜した第1層の膜(I
TO膜、TiN膜)の特性インピーダンスはガラスの特
性インピーダンスより相当小さい。また、後述する板ガ
ラスFL12もガラスの特性インピーダンスは約140
Ωである。
OおよびTaターゲットを用い、ITO膜および保護膜
TaOを2層に積層成膜した。なお、この保護膜は段落
0018でTiO膜について述べたと同様の理由により
衛星放送電波の反射には関与しない。得られた板ガラス
FL8(板厚8mm)/ITO(膜厚300Å)/Ta
O(膜厚200Å)の構成の板ガラスでは、表面抵抗率
が約100Ω/口、可視光透過率が約61%、透過色調
が無色透明であった。(尚、ガラ スと保護膜TaOはI
TO膜に比べて表面抵抗率が非常に高いので、測定値
(約100Ω/口)はITO膜の表面抵抗率を示すこと
になる。)この表面抵抗率100Ω/口から、上記と同
様に計算すると膜厚300ÅのITO膜の特性インピー
ダンスは0.53Ωであった。 なお、前述(段落001
2)したとおり、板ガラスの特性インピーダンスは約1
40Ωであり、FL3、FL4、FL6、FL8のいづ
れの場合もガラスの特性インピーダンスは約140Ωで
あり、上述した製造例1〜4で成膜した第1層の膜(I
TO膜、TiN膜)の特性インピーダンスはガラスの特
性インピーダンスより相当小さい。また、後述する板ガ
ラスFL12もガラスの特性インピーダンスは約140
Ωである。
【0023】
【実施例】 上記 の成膜方法と同様にして、上述したと同
様なITOまたはTiNを第1層とし、TiOまたはT
aOを保護膜とする膜構成でもって、種々第1層の膜の
厚みを変えて、FL3、FL4、FL6、FL8、FL
12において積層成膜し各種膜付き板ガラスを得、それ
ぞれの板ガラスの厚みで第1層としてITO膜を成膜し
た表面抵抗率が50Ω/口、100Ω/口のものを合計
10種類と第1層としてTiN膜を成膜した150Ω/
口、200Ω/口、250Ω/口のものを合計15種、
総計25種類の膜付き板ガラスを表1に示すサンプルと
した。
様なITOまたはTiNを第1層とし、TiOまたはT
aOを保護膜とする膜構成でもって、種々第1層の膜の
厚みを変えて、FL3、FL4、FL6、FL8、FL
12において積層成膜し各種膜付き板ガラスを得、それ
ぞれの板ガラスの厚みで第1層としてITO膜を成膜し
た表面抵抗率が50Ω/口、100Ω/口のものを合計
10種類と第1層としてTiN膜を成膜した150Ω/
口、200Ω/口、250Ω/口のものを合計15種、
総計25種類の膜付き板ガラスを表1に示すサンプルと
した。
【0024】一方、日本における衛星放送に対する静止
衛星が南よりやや西方向上にあり、電波のアンテナへの
入射角(仰角)は約45度程度となる。そこで、前記サ
ンプルについて、入射角45度の透過損失を表1に示
す。
衛星が南よりやや西方向上にあり、電波のアンテナへの
入射角(仰角)は約45度程度となる。そこで、前記サ
ンプルについて、入射角45度の透過損失を表1に示
す。
【0025】表1より明らかなように、FL4(板厚4
mm)およびFL6(板厚6mm)では、表面抵抗率が
50Ω/口の場合、衛星放送波に対する膜付き板ガラス
の透過損失値が素板ガラスの透過損失値より小さく、か
つ膜付き板ガラスの該透過損失値が2.0dB以下とい
う本発明の要件を満足せず、また、FL6の場合で且つ
膜付き板ガラスの表面抵抗率100Ω/口、150Ω/
口の場合、膜付き板ガ ラスの該透過損失値が2.0dB
以下という本発明の要件は満たしているが、膜付き板ガ
ラスの該透過損失値が素板ガラスの透過損失値より小さ
いという本発明の要件を満足していないので、これらは
本発明の実施例に該当しない。しかし、FL4、FL6
においても表面抵抗率に留意して表面抵抗率の大きい膜
となるように膜厚を選択して成膜すると本発明の要件を
満足するものが得られる。したがって、板厚を考慮して
表1から適切な表面抵抗率となるように材質と膜厚を選
択して成膜することにより、衛星放送波に対する該膜付
き板ガラスにおける透過損失値が素板ガラスの透過損失
値より小さく、かつ該膜付き板ガラスの前記透過損失値
が2.0dB以下という本発明の要件を満足するものと
することができる。なお、表1に示された膜付き板ガラ
スの各サンプルは、前述したように前記製造例1〜4の
成膜方法を踏襲して作成したものであるから、該各サン
プルの第1層のITO膜またはTIN膜の特性インピー
ダンスは前記製造例1〜4で得られた膜付き板ガラスに
おける第1層のITO膜の特性インピーダンス0.53
Ω、0.46ΩまたはTIN膜の特性インピーダンス
0.69Ωと大差のない値を有するものと認められる。
そして、段落0022で記載したように板ガラスFL
3、FL4、FL6、FL8、FL12の特性インピー
ダンスはいずれも約140Ωであるので、表1に示され
た膜付き板ガラスの各サンプルについてはいずれもIT
O膜またはTiN膜の特性インピーダンスがガラスの特
性インピーダンスより小さいといえる。
mm)およびFL6(板厚6mm)では、表面抵抗率が
50Ω/口の場合、衛星放送波に対する膜付き板ガラス
の透過損失値が素板ガラスの透過損失値より小さく、か
つ膜付き板ガラスの該透過損失値が2.0dB以下とい
う本発明の要件を満足せず、また、FL6の場合で且つ
膜付き板ガラスの表面抵抗率100Ω/口、150Ω/
口の場合、膜付き板ガ ラスの該透過損失値が2.0dB
以下という本発明の要件は満たしているが、膜付き板ガ
ラスの該透過損失値が素板ガラスの透過損失値より小さ
いという本発明の要件を満足していないので、これらは
本発明の実施例に該当しない。しかし、FL4、FL6
においても表面抵抗率に留意して表面抵抗率の大きい膜
となるように膜厚を選択して成膜すると本発明の要件を
満足するものが得られる。したがって、板厚を考慮して
表1から適切な表面抵抗率となるように材質と膜厚を選
択して成膜することにより、衛星放送波に対する該膜付
き板ガラスにおける透過損失値が素板ガラスの透過損失
値より小さく、かつ該膜付き板ガラスの前記透過損失値
が2.0dB以下という本発明の要件を満足するものと
することができる。なお、表1に示された膜付き板ガラ
スの各サンプルは、前述したように前記製造例1〜4の
成膜方法を踏襲して作成したものであるから、該各サン
プルの第1層のITO膜またはTIN膜の特性インピー
ダンスは前記製造例1〜4で得られた膜付き板ガラスに
おける第1層のITO膜の特性インピーダンス0.53
Ω、0.46ΩまたはTIN膜の特性インピーダンス
0.69Ωと大差のない値を有するものと認められる。
そして、段落0022で記載したように板ガラスFL
3、FL4、FL6、FL8、FL12の特性インピー
ダンスはいずれも約140Ωであるので、表1に示され
た膜付き板ガラスの各サンプルについてはいずれもIT
O膜またはTiN膜の特性インピーダンスがガラスの特
性インピーダンスより小さいといえる。
【0026】
【表1】 *印は比較例である
【0027】
【発明の効果】以上前述したように、本発明は従来衛星
放送電波を受信するための板ガラスとしては不適当とさ
れていた板厚を有する素板ガラスを前述した構成の膜付
きガラスとすることにより衛星放送受信用窓ガラスとし
て用いることができるようにしたので、窓ガラスとして
5mm程度または10mm程度の特定のものを建物に設
置しないでも12GHz帯の衛星テレビジョン放送の電
波の反射率を低減し透過させ、室内で衛星テレビジョン
放送を受信することができ、また既存の窓においても、
簡単に汎用の窓ガラスから本発明の衛星放送受信用窓ガ
ラスに取り替え取り付けることができる等、有用な衛星
放送受信用窓ガラスを提供することができることとなる
ものである。
放送電波を受信するための板ガラスとしては不適当とさ
れていた板厚を有する素板ガラスを前述した構成の膜付
きガラスとすることにより衛星放送受信用窓ガラスとし
て用いることができるようにしたので、窓ガラスとして
5mm程度または10mm程度の特定のものを建物に設
置しないでも12GHz帯の衛星テレビジョン放送の電
波の反射率を低減し透過させ、室内で衛星テレビジョン
放送を受信することができ、また既存の窓においても、
簡単に汎用の窓ガラスから本発明の衛星放送受信用窓ガ
ラスに取り替え取り付けることができる等、有用な衛星
放送受信用窓ガラスを提供することができることとなる
ものである。
【図1】板ガラスの厚みと衛星放送電波の反射率の関係
を示す図である。
を示す図である。
【図2】従来例の実開平1−153098号公報におけ
る「板ガラスの厚みを該ガラスの比誘電率を考慮し、該
ガラスを透過する衛星放送の電波の約1/2波長の整数
倍とした場合」の、衛星放送の入射電波に対し、表面と
裏面での反射電波の様子とその干渉した合成電波との関
係を示す一例の図である。
る「板ガラスの厚みを該ガラスの比誘電率を考慮し、該
ガラスを透過する衛星放送の電波の約1/2波長の整数
倍とした場合」の、衛星放送の入射電波に対し、表面と
裏面での反射電波の様子とその干渉した合成電波との関
係を示す一例の図である。
【図3】衛星放送波の透過損失が1.2dB以上となる
板厚を有する膜を有しない素板ガラスにおける、衛星放
送波の入射電波に対し、表面と裏面での反射電波の様子
とその干渉した合成電波との関係を示す一例の図であ
る。
板厚を有する膜を有しない素板ガラスにおける、衛星放
送波の入射電波に対し、表面と裏面での反射電波の様子
とその干渉した合成電波との関係を示す一例の図であ
る。
【図4】本発明の窓ガラスにおける、衛星放送波の入射
電波に対し、表面と裏面での反射電波の様子とその干渉
した合成電波との関係を示す一例の図である。
電波に対し、表面と裏面での反射電波の様子とその干渉
した合成電波との関係を示す一例の図である。
Claims (1)
- 【請求項1】衛星放送波の透過損失が1.2dB以上と
なる板厚を有する素板ガラスの電波の到来面の裏側であ
る室内側ガラス表面に、ガラスの特性インピーダンスよ
り小さい特性インピーダンスを有する膜を被覆した膜付
き板ガラスであって、かつ衛星放送波に対する該膜付き
板ガラスの透過損失値が素板ガラスの透過損失値より小
さく、かつ該膜付き板ガラスの前記透過損失値が2.0
dB以下を満足するものであることを特徴とする衛星放
送受信用窓ガラス。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25177191A JP3147429B2 (ja) | 1991-09-30 | 1991-09-30 | 衛星放送波の透過損失を低減した窓ガラス |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25177191A JP3147429B2 (ja) | 1991-09-30 | 1991-09-30 | 衛星放送波の透過損失を低減した窓ガラス |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0585774A JPH0585774A (ja) | 1993-04-06 |
JP3147429B2 true JP3147429B2 (ja) | 2001-03-19 |
Family
ID=17227679
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP25177191A Expired - Fee Related JP3147429B2 (ja) | 1991-09-30 | 1991-09-30 | 衛星放送波の透過損失を低減した窓ガラス |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3147429B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
TWI719840B (zh) * | 2019-11-15 | 2021-02-21 | 符仙瓊 | 應用於建築部件以增加射頻訊號穿透率之介電體結構及其設置方法 |
-
1991
- 1991-09-30 JP JP25177191A patent/JP3147429B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0585774A (ja) | 1993-04-06 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
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FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
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