JP3147231U - ペン先シール部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】ペン先先端との密接部分のクリープ変形を抑えて、ペン先先端との適正な密接状態を維持し、ペン先からのインキ蒸発を確実に防止するペン先シール部材を提供する。
【解決手段】ペン先シール部材1は、弾性材料からなり、筆記具のキャップ内に配置される。前記ペン先シール部材1は、ペン先先端が密接可能な凹状内面23を有するカップ状部2と、前記カップ状部2の後端と一体に連設される筒状支持部3とを備える。カップ状部2が、頂壁21と、該頂壁21の中央部から後方に向かうに従って次第に薄肉に形成される周壁22とを有する。頂壁21の中央部の最大肉厚を1mmよりも大きく設定する。さらに、頂壁21外面を曲面状にし、頂壁21外面の中央部の曲率半径r1を頂壁21外面の周辺部の曲率半径r2よりも大きく設定する。
【選択図】図1

Description

本考案は、ペン先シール部材に関する。詳細には、ボールペンチップ等のペン先先端と密接して該ペン先の乾燥を防止するためにキャップ内に配置されるペン先シール部材に関する。
従来、ペン先シール部材として、球状弾性体よりなるもの(例えば特許文献1)や、カップ状(凹状)のもの(例えば特許文献2)が知られている。
実用新案登録第2595806号公報 実用新案登録第2596067号公報
前記球状のペン先シール部材は、ペン先先端の密接没入状態で長期間保管されると、ペン先先端が没入された部分に、クリープ変形により窪みが生じる。そのため、ペン先先端の密接時の弾性変形により生じる反発力が著しく低下し、ペン先先端との密接が不十分となるおそれがある。さらに、前記球状のペン先シール部材は、ペン先先端の没入量のわずかの違いにより、その反発力が大きくばらつき、ペン先先端との密接が不十分となり、シール不良が発生する場合がある。前記ペン先のシール不良が発生した場合、ペン先からのインキの蒸発によって筆跡の掠れや筆記不能が生じる。
前記従来のカップ状のペン先シール部材は、ペン先先端の密接部分が、球状のものに比べ薄肉であるため、インキ蒸気が透過しやすく、ペン先からのインキの蒸発を十分に防止できないおそれがある。さらに、前記従来のカップ状のペン先シール部材は、カップ状部の頂壁の中央部に適正にペン先先端が密接する場合はよいが、頂壁の中央部から外れた頂壁の周辺部にペン先先端が密接する場合がある。その場合、カップ状部の頂壁の周辺部は薄肉であるため、十分なインキ蒸発防止がなしえないおそれがある。
本考案は、前記従来の問題点を解決するものであって、ペン先先端との密接部分のクリープ変形を抑えて、ペン先先端との適正な密接状態を維持でき、しかも、ペン先先端との密接部分に十分な肉厚を備えることにより、ペン先からのインキ蒸発を確実に防止できるペン先シール部材を提供しようとするものである。
(構成1)
本考案は、筆記具のキャップ5内に配置される弾性材料からなるペン先シール部材1であって、ペン先61先端が密接可能な凹状内面を有するカップ状部2と、前記カップ状部2の後端と一体に連設される筒状支持部3とを備え、前記カップ状部2が、頂壁21と、該頂壁21の中央部から後方に向かうに従って次第に薄肉に形成される周壁22とを有し、前記頂壁21の中央部の最大肉厚を1mmよりも大きく設定したこと(構成1)を要件とする。
(構成2)
また、本考案は、筆記具のキャップ5内に配置される弾性材料からなるペン先シール部材1であって、ペン先61先端が密接可能な凹状内面を有するカップ状部2と、前記カップ状部2の後端と一体に連設される筒状支持部3とを備え、前記カップ状部2が、頂壁21と、該頂壁21の中央部から後方に向かうに従って次第に薄肉に形成される周壁22とを有し、前記頂壁21外面を曲面状にし、前記頂壁21外面の中央部の曲率半径r1を前記頂壁21外面の周辺部の曲率半径r2よりも大きく設定したこと(構成2)を要件とする。
(構成3)
さらに、本考案は、筆記具のキャップ5内に配置される弾性材料からなるペン先シール部材1であって、ペン先61先端が密接可能な凹状内面を有するカップ状部2と、前記カップ状部2の後端と一体に連設される筒状支持部3とを備え、前記カップ状部2が、頂壁21と、該頂壁21の中央部から後方に向かうに従って次第に薄肉に形成される周壁22とを有し、前記頂壁21の中央部の最大肉厚を1mmよりも大きく設定し、前記頂壁21外面を曲面状にし、前記頂壁21外面の中央部の曲率半径r1を前記頂壁21外面の周辺部の曲率半径r2よりも大きく設定したこと(構成3)を要件とする。
(本考案の作用)
筆記具本体のペン先61側にキャップ5を装着すると、ペン先61の先端が、キャップ5内のペン先シール部材1のカップ状部2の頂壁21の中央部に密接する。本考案は、ペン先61が密接する頂壁21の中央部の最大肉厚Aを1mmよりも大きく設定したことにより、ペン先61からのインキ蒸気(即ちインキ中の揮発した溶媒成分)が透過すること(即ちペン先61からのインキ蒸発)を十分に防止でき、キャップ装着状態で長期間保管しても筆記不能となるおそれがない。
また、カップ状部2の頂壁21の外面を曲面状に形成するとともに、頂壁21外面の中央部の曲率半径r1を頂壁21外面の周辺部の曲率半径r2よりも大きく設定したことにより、カップ状部2の頂壁21の肉厚を、頂壁21の中央部から頂壁21の周辺部にかけて、急激に薄くすることなく、できる限り厚肉状態を維持できる。それにより、ペン先61先端がカップ状部2の頂壁21の周辺部に密接したとしても、頂壁21の周辺部も十分な肉厚を有しているため、ペン先61からのインキ蒸発を十分に防止できる。
また、本考案は、カップ状部2が頂壁21の中央部から周壁22後端に向かうに従って次第に薄肉に形成されている。そのため、凹状内面23を有するカップ状部2にペン先61先端が密接した際、カップ状部2の周壁22が伸張変形し、ペン先61先端は頂壁21に深く没入されず、確実にペン先61先端を包み込むようにペン先61先端がシールされる。それにより、ペン先61先端の密接状態が長期間維持されても、ペン先61先端との密接部分の部分的なクリープ変形(窪みの発生)を抑えることができる。その結果、ペン先61先端が密接した際に弾性変形により生じる反発力が大きく低下することなく、ペン先61先端との適正な密接状態を維持できる。また、本考案は、カップ状部2の全体が弾性変形するため、ペン先61先端との没入量(即ちキャップ装着時のペン先61先端の当接開始からキャップ装着完了までのペン先61先端の軸方向の移動量)が大きくばらついたとしても、ペン先61先端の密接により生じる反発力は、ばらつきが小さく抑えられる。
請求項1によれば、ペン先からのインキ蒸発を十分に防止でき、キャップ装着状態で長期間保管しても筆記不能となるおそれがない。
請求項2によれば、ペン先からのインキ蒸発を確実に防止でき、キャップ装着状態で長期間保管しても筆記不能となるおそれがない。
請求項3によれば、ペン先からのインキ蒸発を確実に防止でき、キャップ装着状態で長期間保管しても筆記不能となるおそれがない。
図1及び図2に本考案の実施の形態を示す。
本実施の形態のペン先シール部材1は、弾性材料よりなり、筆記具のキャップ5内に配置される。
前記ペン先シール部材1を構成する弾性材料として、例えば、シリコンゴム、エチレン−プロピレンゴム、ブチルゴム等の合成ゴムやエラストマーが挙げられる。
前記ペン先シール部材1は、カップ状部2と筒状支持部3とが接続部4を介して一体に連設された構成である。前記カップ状部2は、内部にすり鉢状の凹状内面23が形成されている。前記凹状内面23の中央部は曲面状となっている。尚、前記カップ状部2と前記筒状支持部3とは接続部4を介さずに直接連設されてもよい。
前記カップ状部2は、頂壁21の頂点から周壁22の後端に向かうに従って次第に薄肉に形成される。前記頂壁21の中央部(即ち頂部)の最大肉厚Aは、1.5mmに設定され、前記周壁22の後端の最小肉厚Bは、0.3mmに設定される。尚、前記頂壁21の中央部の最大肉厚Aは、適正なペン先シール性が得られる点で、5mmよりも小さいこと(好ましくは3mmよりも小さいこと)が有効である。もし、前記頂壁21の中央部の最大肉厚Aが、5mm以上であると、凹状内面23がペン先61先端を包み込むようにシールすることが困難となるおそれがある。また、前記頂壁21の中央部の肉厚Aは、より一層、確実なインキ蒸発防止が可能となる点で、1.2mmよりも大きく設定することが好ましい。
前記カップ状部2は、中央の頂壁21と、該頂壁21の周辺に一体に連設される周壁22とからなる。前記頂壁21の外面は曲面状に形成される。前記頂壁21外面の中央部の曲率半径r1は、2.7mmに設定されている。前記頂壁21外面の周辺部の曲率半径r2は、1.0mmに設定されている。前記頂壁21外面の中央部と前記頂壁21外面の周辺部とが連続的に接続される。また、前記凹状内面23の中央部(即ち頂壁21内面の中央部)の曲率半径r3は、1.5mmに設定されている。
前記頂壁21外面の中央部の曲率半径r1は、前記頂壁21の周辺部の曲率半径r2よりも大きく設定される(即ち、r2<r1)。それにより、カップ状部2の頂壁21の肉厚を、頂壁21の中央部から頂壁21の周辺部にかけて、急激に薄くすることなく、できる限り厚肉状態を維持できる。その結果、ペン先61先端がカップ状部2の頂壁21の周辺部に密接したとしても、頂壁21の周辺部も十分な肉厚を有しているため、ペン先61からのインキ蒸発を十分に防止できる。
さらに、前記頂壁21内面の中央部の曲率半径r3は、前記頂壁21外面の中央部の曲率半径r1よりも小さく、且つ、前記頂壁21の周辺部の曲率半径r2よりも大きく設定される(即ち、r2<r3<r1)。それにより、前記頂壁21の中央部から周壁22の後端に向かうに従って次第に薄肉となる適正な形状のカップ状部2を容易に得る。
前記筒状支持部3は、円筒形状を有する。前記筒状支持部3の中間部内面には、カップ状部2の後端が一体に接続される。前記筒状支持部3の前端の角部外周は曲面状に形成される。それにより、キャップ5内への組み付け時のスムーズな挿入性が得られる。また、前記筒状支持部3の肉厚は、カップ状部2との接続部4よりも前方部分が、カップ状部2との接続部4よりも後方部分に比べ、小さく設定される。それにより、筒状支持部3の外周面の外径が一定の場合において、カップ状部2の周壁22の後端部外周面と筒状支持部3の内周面との間に十分な隙間を形成でき、周壁22外面の後端部の適正な形状を容易に得ることができるとともに、ペン先シール部材1を成形するための金型の耐久性が向上する。
図2に前記実施の形態のペン先シール部材1の使用状態を示す。即ち、図2は、前記ペン先シール部材1が内部に取り付けられたキャップ5を、筆記具本体6(例えば先端にボールペンチップを備えたボールペン)のペン先61側に装着した状態を示す。ペン先シール部材1は、筒状支持部3の前端がキャップ5内面の段部に当接係止されるとともに、筒状支持部3の外周面がキャップ5内面に圧接保持されている。
本考案ペン先シール部材の実施の形態を示す縦断面図である。 図1のペン先シール部材を内部に配置したキャップを筆記具本体のペン先側に装着した状態を示す縦断面図である。
符号の説明
1 ペン先シール部材
2 カップ状部
21 頂壁
22 周壁
23 凹状内面
3 筒状支持部
4 接続部
5 キャップ
6 筆記具本体
61 ペン先
r1 頂壁外面の中央部の曲率半径
r2 頂壁外面の周辺部の曲率半径
r3 頂壁内面の中央部の曲率半径
A 頂壁の中央部の最大肉厚
B 周壁の後端部の最小肉厚

Claims (3)

  1. 筆記具のキャップ内に配置される弾性材料からなるペン先シール部材であって、ペン先先端が密接可能な凹状内面を有するカップ状部と、前記カップ状部の後端と一体に連設される筒状支持部とを備え、前記カップ状部が、頂壁と、該頂壁の中央部から後方に向かうに従って次第に薄肉に形成される周壁とを有し、前記頂壁の中央部の最大肉厚を1mmよりも大きく設定したことを特徴とするペン先シール部材。
  2. 筆記具のキャップ内に配置される弾性材料からなるペン先シール部材であって、ペン先先端が密接可能な凹状内面を有するカップ状部と、前記カップ状部の後端と一体に連設される筒状支持部とを備え、前記カップ状部が、頂壁と、該頂壁の中央部から後方に向かうに従って次第に薄肉に形成される周壁とを有し、前記頂壁外面を曲面状にし、前記頂壁外面の中央部の曲率半径r1を前記頂壁外面の周辺部の曲率半径r2よりも大きく設定したことを特徴とするペン先シール部材。
  3. 筆記具のキャップ内に配置される弾性材料からなるペン先シール部材であって、ペン先先端が密接可能な凹状内面を有するカップ状部と、前記カップ状部の後端と一体に連設される筒状支持部とを備え、前記カップ状部が、頂壁と、該頂壁の中央部から後方に向かうに従って次第に薄肉に形成される周壁とを有し、前記頂壁の中央部の最大肉厚を1mmよりも大きく設定し、前記頂壁外面を曲面状にし、前記頂壁外面の中央部の曲率半径r1を前記頂壁外面の周辺部の曲率半径r2よりも大きく設定したことを特徴とするペン先シール部材。
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