JP3144612B2 - ファジイ推論によるpid制御方法 - Google Patents

ファジイ推論によるpid制御方法

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JP3144612B2 JP09071494A JP9071494A JP3144612B2 JP 3144612 B2 JP3144612 B2 JP 3144612B2 JP 09071494 A JP09071494 A JP 09071494A JP 9071494 A JP9071494 A JP 9071494A JP 3144612 B2 JP3144612 B2 JP 3144612B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は温度、圧力又は流量等、
種々の物理量の制御に用いて好適するファジイ推論によ
るPID制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、温度、圧力又は流量等の各種物理
量を制御する制御方法としては、目標値SVと測定値P
Vの偏差から操作量MVをPID演算して制御対象へ出
力し、この制御対象から得られたその測定値PVを目標
値SVに一致させるようにフィードバック制御するPI
D制御構成が知られている。また、最近ではPID制御
にファジイ推論を加えたフィードバック制御も提案され
ている。
【0003】これは、目標値SVと測定値PVの偏差と
この偏差の変化量(変化速度)に対してファジイ集合演
算により制御出力の変化量を算出するものであり、一例
としては特開平1−76202号公報に示された「ファ
ジイ規則によるフィードバック制御方法」がある。
【0004】この構成は、検出されたプロセス変数の設
定値に対する偏差e(i)と、この変化の前回値に対す
る変化量Δe(i)と、プロセス制御出力の前回値に対
する変化量Δu(i)とをそれぞれ想定される変動幅の
範囲内でメンバーシップ関数を使ったファジイ変数で表
し、所定のファジイ規則に従ってその偏差e(i)とそ
の変化の変化量Δe(i)をファジイ集合演算により算
出し、これを前回のプロセス制御出力値に加算して新し
い制御出力値を得ようとするものである。
【0005】さらに、別の制御方法としては、最小2乗
法などの同定手法によって制御対象の数式モデルに関す
るパラメータを求め、制御系全体が望ましい制御応答の
数式モデルのパラメータになるように、コントローラの
各係数を設計する、例えばモデルマッチング法と言われ
る数理的制御手法も提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、PID
制御にファジイ推論を加えたフィードバック制御構成で
は、ファジイ集合演算に必要なメンバーシップ関数やフ
ァジイ推論規則(ルール)が重要であるうえ、これらメ
ンバーシップ関数やファジイ推論ルールが専門家の経験
に基づいて試行錯誤的に決定されるのが一般的であり、
それらメンバーシップ関数やファジイ推論ルールを簡単
に決定することが困難であったり、所望の応答特性が得
られないこともあった。
【0007】また、同じ制御対象でも応答特性を変更す
る場合には、これに応じたメンバーシップ関数やファジ
イ推論ルールを作り直す必要があり、結局メンバーシッ
プ関数やファジイ推論ルールの設計が極めて面倒であっ
た。他方、数理的制御方法では、制御対象の数式モデル
のパラメータを正確に把握しないと、制御対象から望ま
しい応答特性が得られるような操作量MVをコントロー
ラで演算できないが、制御対象の数式モデル構造の決定
や選択が難しく、更にノイズや外乱による誤差をどのよ
うにして少なく抑えるか等の問題点があり、実際には実
現が困難であった。
【0008】そこで、本発明者はフィードバック制御に
係るファジイ推論手法および数理的制御手法について詳
細に検討した結果、数理的制御手法をファジイ推論的に
実現すると、極めて簡単にファジイ推論を扱えるうえ、
制御対象を理想的な応答特性で制御可能である点を見出
して本発明を完成させた。本発明はそのような従来の欠
点を解決するためになされたもので、ファジイ推論を用
いて簡単かつ任意の応答特性、特に望ましい応答モデル
特性の得られるファジイ推論によるPID制御方法を提
供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】このような課題を解決す
るために本発明の第1のPID制御方法は、目標値と測
定値との偏差およびこの偏差の変化速度を入力変数とし
てファジイ推論を行い、この推論結果によってPID制
御における各PID係数又はPID演算結果を修正し、
その目標値の変化に対する測定値の制御特性を可変する
ファジイ推論によるPID制御方法であり、その入力変
数のファジイ集合は、同一のラベルを持つ偏差とこの変
化速度のファジイ集合のメンバーシップ関数のグレード
が最大になる偏差と偏差の変化速度を、その目標値の変
化に対する測定値の望ましい応答モデルから求めた偏差
とこの変化速度の値とし、そのファジイ推論の前件部を
偏差とこの変化速度の論理積とし、そのファジイ推論の
後件部を各PID係数の少なくとも1つ又はPID演算
結果に対する修正量のファジイ集合とするファジイ制御
ルール群であって、その前件部の偏差とこの変化速度の
ファジイ集合のラベルが等しい後件部を修正量ゼロが最
大グレードとなるメンバーシップ関数のファジイ集合と
したファジイ制御ルール群を用い、その応答モデルのメ
ンバーシップ関数に基づいてファジイ推論を行って上記
各PID係数の少なくとも1つ又はPID演算結果を修
正するものである。
【0010】本発明の第2のPID制御方法は、上記前
件部の偏差のファジイ集合のラベルがその前件部の偏差
の変化速度のファジイ集合のラベルと同じか又は大きい
とき、その修正量ゼロが最大グレードとなる後件部を有
する上記ファジイ制御ルール群を用いるものである。
【0011】本発明の第3のPID制御方法は、上記目
標値の変更に対してその偏差のファジイ集合の台集合を
変更時の偏差量を最大偏差量として規格化し、その偏差
の変化速度のファジイ集合の台集合を、目標値変更後の
偏差変化速度最大付近の偏差の一定区間で測定した偏差
の変化速度の平均値を最大変化速度相当として規格化す
るものである。
【0012】本発明の第4のPID制御方法は、上記目
標値変更に対してその偏差および偏差の変化速度の規格
化のための測定を始め、偏差の変化速度の規格化を終え
た時点でファジイ推論を開始し、偏差が一定値以下にな
るか又はその偏差の符号が反転した時点で上記ファジイ
推論を終了するものである。
【0013】本発明の第5のPID制御方法は、その一
定区間でのその偏差の変化量が測定分解能又は演算分解
能からして所定量以上の場合、その偏差がその一定区間
推移する時間をファジイ推論周期とするとともに、この
周期毎の偏差の変化量をその一定区間での偏差の変化量
で除した値をもって規格化した偏差の変化速度としたも
のである。
【0014】本発明の第6のPID制御方法は、その一
定区間でのその偏差の変化量が測定分解能又は演算分解
能からして所定量以上の場合、その偏差がその一定区間
を推移する時間にその所定量を一定区間での偏差の変化
量で除した比率を乗じた時間をファジイ推論周期とする
とともに、この周期毎の偏差の変化量をその一定区間で
の偏差の変化量で除した値をもって規格化した偏差変化
速度としたものである。
【0015】本発明の第7のPID制御方法は、上記フ
ァジイ推論結果を積分ゲイン低減率として用いてそのP
ID演算の積分ゲインを修正するものである。
【0016】本発明の第8のPID制御方法は、上記フ
ァジイ推論結果の推移に基づき積分値帰還タイミング時
点を演算し、この帰還タイミング時点の積分値と、前回
帰還後の積分値および当該帰還タイミング時点の偏差と
に基づき演算した積分値帰還量をそのPID演算の積分
項に加算して積分値を修正するものである。
【0017】
【作用】このような手段を備えた本発明の第1のPID
制御方法では、その制御対象から出力させたい例えば理
想的な応答モデルに基づいて偏差およびこの変化速度に
関する各メンバーシップ関数およびファジイ推論ルール
群が機械的かつ簡単に作成でき、偏差と偏差の変化速度
が、それら各メンバーシップ関数とファジイ推論ルール
群によってファジイ推論され、制御対象からの測定値又
はこの測定値と目標値との偏差からのPID演算結果又
はPID各係数がファジイ推論結果で修正され、その制
御対象が理想的な応答モデルに沿って制御される。
【0018】そして、本発明の第2のPID制御方法で
は、偏差と偏差の変化速度が同じか又は偏差の方が大き
いメンバーシップ関数のラベルに位置すると、修正量が
ゼロになるファジイ推論ルール群を構成することにより
ファジイ推論が簡略化される。また、本発明の第3のP
ID制御方法では、制御対象や目標値の変更量が変更さ
れても、ファジイ集合の台集合の規格化定数(ゲイン定
数)を変更するだけで、入力変数であるファジイ集合の
メンバーシップ関数の数、形状又は制御ルールを変更し
なくとも応答モデルに沿った制御が可能である。
【0019】さらに、本発明の第4のPID制御方法で
は、その偏差の変化速度の規格化が終了した時点でファ
ジイ推論を開始し、その偏差が一定値以下になるか又は
目標値変更時の偏差の符号が反転した時点でファジイ推
論を終了するから、入力変数であるファジイ集合のメン
バーシップ関数の数、形状又は制御ルールを変更しなく
とも応答モデルに沿った制御が可能である。
【0020】しかも、本発明の第5のPID制御方法で
は、必要な推論回数が得られる周期でファジイ推論回数
が固定され、偏差の変化速度の分解能が最大限確保され
るようになっているので、偏差の変化速度の分解能とフ
ァジイ推論回数が共に満足でき、本発明の第6のPID
制御方法も同様に、その偏差の変化速度の分解能とファ
ジイ推論回数が共に満足できるファジイ推論周期(偏差
測定周期)が得られる。
【0021】さらにまた、本発明の第7のPID制御方
法ではファジイ推論結果を直接積分項の修正に使用して
演算が簡略化されるし、第8の制御方法ではオーバーシ
ュート傾向に対して早めにブレーキをかけた状態で制御
できる。
【0022】
【実施例】以下本発明の実施例を図面を参照して説明す
る。図1は本発明に係るファジイ推論によるPID制御
方法を実施するPID制御装置の一例を示す概略ブロッ
ク図であり、まずこの制御装置を説明する。図1におい
て、減算部1は制御対象3からの測定値PVを目標値S
Vから減算した偏差eを出力するもので、制御演算部
5、速度演算部7およびファジイ推論部9に接続されて
いる。
【0023】制御演算部5は偏差eを入力して例えばP
ID演算を行う機能や、測定値PVを直接入力して微分
演算する機能を有し、それらの演算によって得られる操
作量MVを制御対象3へ出力してこれを制御する。制御
演算部5は、ファジイ推論部9からの推論結果によって
PID係数やPID演算結果等を最適なものに修正し、
制御対象3に対してより適切な操作量MVを出力する修
正機能も有しており、その修正についての詳細は後述す
る。
【0024】なお、制御演算部5におけるPID演算で
は積分演算(I)又は微分演算(D)を削除すればPD
演算やPI演算となり、本発明におけるPID演算には
それらPD演算又はPI演算を含むものである。応答モ
デル記憶部11は、制御対象3から出力させたい目的と
する各種の理想的な応答特性波形を応答モデル(規範モ
デル)として少なくとも1つ記憶するもので、メンバー
シップ関数記憶部13に接続されている。
【0025】応答モデルとしては、むだ時間+1次遅
れ、2次遅れ、3次遅れ、その他高次遅れ等を加味して
制御対象3の特性に合わせた応答特性波形、目標値SV
に対してオーバーシュートの発生を抑えた応答特性波
形、オーバーシュートが多少あっても即応性が良好な応
答特性波形、それらの中間的な応答特性波形、更に、ベ
ッセル、ITAE最小、バタワース又は2項等の各種波
形を組み合わせた応答特性波形等があり、制御対象3に
対応してそれら応答モデルが応答モデル記憶部11に1
個以上記憶されている。
【0026】応答モデル記憶部11は、各応答モデルに
対応した偏差とこの変化速度について各メンバーシップ
関数を1組として作成記憶するとともに、これをメンバ
ーシップ関数記憶部13へ出力する機能を有している。
これら偏差とこの変化速度の各メンバーシップ関数は、
Z(ZERO:ゼロ)、S(SMALL:スモール、小
さい)、M(MEDIUM:ミディアム、中くらい)、
B(BIG:ビッグ、大きい)と言った同数のラベルを
有しているが、詳細は後述する。
【0027】なお、応答モデル記憶部11は制御装置の
外部に配置することが可能である。そして、制御演算部
5からメンバーシップ関数記憶部13を介して要求信号
を図示しない他の制御装置へ送信し、通信機能等を介し
て応答モデルに対応した各メンバーシップ関数をメンバ
ーシップ関数記憶部13へ入力可能に構成しても良い。
【0028】さらに、応答モデルに対する各メンバーシ
ップ関数をキー入力等によってメンバーシップ関数記憶
部13へ直接入力可能に構成することも可能である。メ
ンバーシップ関数記憶部13は、応答モデル記憶部11
で作成した各メンバーシップ関数を1組以上記憶すると
ともに、使用者が外部から制御演算部5を介して選択指
示した1組のメンバーシップ関数をファジイ推論部9へ
出力する機能を有している。
【0029】速度演算部7は偏差eを入力し、前回およ
び今回の偏差eからその変化速度を演算するもので、フ
ァジイ推論部9に接続されている。ファジイ推論部9
は、減算部1からの偏差eおよび速度演算部7からの変
化速度を一定周期でサンプリングして規格化し、メンバ
ーシップ関数記憶部13に記憶されているメンバーシッ
プ関数を使用して後述するファジイ推論ルール群に基づ
きファジイ推論を行い、PID係数の少なくとも1つ又
はPID演算結果等を修正するための推論結果を制御演
算部5へ出力する機能を有している。
【0030】ところで、上述したPIDの制御装置は、
CPUや、このCPUの動作プログラムを格納したRO
M、データを記憶格納するRAM、外部とのデータのイ
ンターフェースであるI/Oからなるいわゆるマイクロ
コンピュータを主体として構成するのが一般的であり、
上述した減算部1、制御演算部5、速度演算部7および
ファジイ推論部9はそのCPUに対応し、メンバーシッ
プ関数記憶部13および応答モデル記憶部11はそのR
AMやマイクロコンピュータに外部接続された図示しな
い外部記憶装置に対応するものであり、メンバーシップ
関数記憶部13に記憶されたメンバーシップ関数の選択
は例えばマイクロコンピュータに外部接続された図示し
ないキーボードから選択入力される。
【0031】次に上述した制御装置で実施されるファジ
イ推論による本発明の第1のPID制御方法(請求項1
に対応する)について説明する。
【0032】本発明に係るPID制御方法の基本となる
第1の特徴は、入力変数のファジイ集合は、同一のラベ
ルを持つ偏差とこの変化速度のファジイ集合のメンバー
シップ関数のグレードが最大になる偏差と偏差の変化速
度を、目標値の変化に対する測定値の望ましい時間応答
から求め、かつ規格化された望ましい偏差の時間応答曲
線上の偏差とこの変化速度の値とすることである。そし
て、入力のファジイ集合のメンバーシップ関数の作成手
順は、以下のようにする。
【0033】 図2(a)のような応答モデルのステ
ップ応答曲線を、同図(b)のように目標値変更時の偏
差応答曲線に置き換え、 その偏差応答曲線を微分して同図(c)のように偏
差速度応答曲線を作成し、 その偏差速度応答曲線の0から最大偏差速度までを
適当に分割し、同図(e)のように、「0」をZ(ゼ
ロ)、最大偏差速度をB(ビック)、その間の分割点を
S(スモール)やM(ミディアム)と言ったラベルのメ
ンバーシップ関数の最大グレード点とし、 その偏差速度応答曲線の複数の分割点および最大値
に該当する偏差値で偏差応答曲線を分割し、同図(d)
のように偏差応答曲線の「0」をZ(ゼロ)、最大値を
B(ビック)、その間の分割点をS(スモール)やM
(ミディアム)と言ったラベルのメンバーシップ関数の
最大グレード点とする。
【0034】これら偏差およびこの変化速度の各メンバ
ーシップ関数のみを表現すれば、図3(a)および
(b)のようになる。このように応答モデルの制御応答
曲線が決れば、偏差および偏差速度のファジイ集合のメ
ンバーシップ関数を機械的に作成できるので、従来のよ
うにメンバーシップ関数を作成するに当たって熟練者の
知識が不要であるとともに試行錯誤的に決める必要がな
くなり、簡単となる。
【0035】また、第2の特徴は、ファジイ推論におけ
る前件部を偏差とこの変化速度のファジイ集合の論理積
とし、その後件部をPID演算の各係数の少なくとも1
つ又はPID演算結果に対する修正量のファジイ集合と
するファジイ制御ルール群を用い、このファジイ制御ル
ール群において、前件部の偏差とこの変化速度のファジ
イ集合のラベルが等しいファジイ制御ルールの後件部
を、修正量ゼロが最大のグレードになるメンバーシップ
関数のファジイ集合とした点である。
【0036】上述したように、偏差および偏差速度のフ
ァジイ集合は、同じラベルのメンバーシップ関数の最大
グレードの入力値が、応答モデルの偏差と偏差速度の関
係になっているので、制御中に偏差および偏差速度を測
定し、それらが常に偏差と偏差速度の同じラベルのファ
ジイ集合に属する値で変化し続ければ、その制御ループ
の制御特性は応答モデルに近いと想定できる。上述した
応答モデル記憶部11でそのようなメンバーシップ関数
が作成される。そして、上述したファジイ推論部9にお
けるファジイ制御ルールは、これを踏まえて次のように
作成すると良い。
【0037】ファジイ制御ルールの前件部を偏差eと偏
差速度Δeの論理積(AND)とする一方、上述した図
1の制御演算部5において演算しかつ出力前の操作量を
仮に演算操作量Mとし、この演算操作量Mにファジイ推
論部9からの修正量ΔMを加算して操作量MVを制御対
象3へ出力する場合、後件部を図3(C)のような修正
量ΔMとすると、i番目のファジイ制御ルールRiは、 Ri:IF e=Ai1 AND Δe=Ai2 THE
N ΔM=Bi Ai1:i番目の制御ルールの前件部の偏差のファジイ
集合 Ai2:i番目の制御ルールの前件部の偏差速度のファ
ジイ集合 Bi :i番目の制御ルールの後件部の修正量のファジ
イ集合 i=1,2,…n となる。i=1,2,3,4 とし、各々のメンバーシップ関数
のラベルをZ(ゼロ)、S(スモール)、M(ミディア
ム)、B(ビック)に対応させると、ファジイ制御ルー
ルの組合せは図3(d)のように最大4×4=16のマ
トリクスとなる。
【0038】図3において、NBは「負の方向に大き
い」、NMは「負の方向に中くらい」、NSは「負の方
向に小さい」、Zは「ゼロ」、PSは「正の方向に小さ
い」、PMは「正の方向に中くらい」、PBは「正の方
向に大きい」を表現しており、出力のメンバーシップ関
数のZ「ゼロ」を中心にしてNS、NM、NB側が「非
正」であり、PS、PM、PB側が「正」となってい
る。
【0039】そして、本発明のファジイ推論では、この
ファジイ制御ルールのマトリクスのうち、前件部の2つ
のメンバーシップ関数のラベル(Ai1とAi2)が同じ
ファジイ制御ルールについて、その後件部のメンバーシ
ップ関数のラベルはZ(ゼロ)換言すれば修正量ゼロが
最大グレードのメンバーシップ関数となる。従って、図
3(d)の左上から右下への対角線上の後件部のメンバ
ーシップ関数のラベルは全てZ(ゼロ)となる。
【0040】そして、図3(d)では、この対角線を境
に左下三角の後件部のメンバーシップ関数のラベルは全
てN(負、ネガティブ)、右上三角は全てP(正、ポジ
ティブ)としている。
【0041】この関係を図4を用いて説明する。ファジ
イ推論による演算操作量Mの修正を行わない状態で偏差
eおよび偏差速度Δeを測定したとき、これらが図4
(a)の実線のように変化している場合には、上述し
たメンバーシップ関数の決め方から、制御量(測定値)
PVは同図(b)の実線の望ましい応答モデルになる
と想定できる。
【0042】一方、図4(a)の破線のように変化し
た場合には、変化する偏差量に対して偏差速度が応答モ
デルよりも速い、すなわち応答速度は速いが行過量が大
きく出る同図(b)の破線の応答になると想定でき
る。さらに、図4(a)の一点鎖線のように変化した
場合には、変化する偏差量に対して偏差速度が応答モデ
ルよりも遅い、すなわち応答速度の遅い同図(b)の一
点鎖線の応答になると想定できる。
【0043】他方、ファジイ制御ルールは、上述したよ
うに制御中の偏差eおよび偏差速度Δeが、図3(d)
のマトリクス上を図4(a)ののように変化するとき
は何も修正せずZ(ゼロ)であり、同図(a)ののと
きは偏差の変化速度が遅くなるようにN(負、ネガティ
ブ)を、同図(a)ののときは偏差の変化速度が速く
なるようにP(正、ポジティブ)を修正量に加算するよ
うに作成してある。
【0044】従って、ファジイ推論を実行して演算操作
量Mを修正すると、図4(c)に示すように、ファジイ
制御ルールのマトリクス上のやの偏差およびこの変
化速度の変化はのような変化に修正されることにな
り、結果として望ましい応答モデルに近づくことにな
る。
【0045】もっとも、このような考え方は、ファジイ
推論を用いない場合、数理的手法においてオフラインで
はモデルマッチング法、オンラインではモデル規範型適
応制御(MRACS)として知られているが、これらは
制御対象の数式モデル構造を特定する必要があるうえ、
その数式モデルに用いる係数について正確に測定(同
定)する必要があり、実現が難しい。
【0046】なお、望ましい応答モデルとは、制御対象
にステップ状入力を印加したときの出力の時間応答を指
すものであり、代表的なものとしては北森モデル、バタ
ワース、ベッセル、ITAE最小、バイノミナル等があ
る。これに対して、本発明のファジイ推論によるPID
制御方法では、ファジイ推論を応用して、それらの数値
を正確に測定(同定)することなく、簡単な方法で制御
特性を望ましい制御応答に近づけることができる。
【0047】さらに、本発明のファジイ推論によるPI
D制御方法では、ファジイ推論で最も面倒な作業である
メンバーシップ関数の決定について、応答モデルを指定
するだけで殆ど機械的に作成できるし、更に、ファジイ
制御ルールの決定過程が応答モデルに依存しないので、
制御特性を変更する場合でもファジイ制御ルールを殆ど
変更する必要がない利点がある。上述した説明では、フ
ァジイ推論によって修正量を推論させたが、これは例え
ばPID制御装置であれば、比例ゲイン、微分時間又は
積分時間等のパラメータの修正でも同様の効果が得られ
る。
【0048】本発明の第2のPID制御方法(請求項2
に対応する)を説明する。すなわち、このPID制御方
法は、前件部の偏差ファジイ集合のラベルが、前件部の
偏差の変化速度のファジイ集合のラベルと等しいか又は
大きいとき、ファジイ制御ルールの後件部を、修正量ゼ
ロが最大のグレードになるメンバーシップ関数のファジ
イ集合とすることを特徴としている。
【0049】もっとも、PID制御の各PID定数の調
整方法として、良く普及しているZiegler・Nichols の調
整方法を用いた場合、この調整方法が目標値の変更に対
する調整ではなく、外乱に対する減衰特性を良好にする
ことを目的としているため、目標値変更に対しては図4
(b)ののような応答ではなく、同図(b)ののよ
うな応答になりがちであるし、温度制御では同図(b)
ののような制御量(測定値)の行過ぎ(オーバーシュ
ート)が出ないことを重要視する場合が多い。
【0050】このような状況に対しては、図5(a)の
ように出力のメンバーシップ関数を正又は負の片側だけ
のファジー集合とするとともに、同図(b)に示すよう
に、前件部の偏差のファジイ集合のラベルが前件部の偏
差の変化速度のファジイ集合のラベルと等しいか又はよ
り大きいファジイ制御ルールの後件部を、修正量ゼロで
最大グレードになるメンバーシップ関数のファジイ集合
とすれば、図4(b)ののような応答のときは修正せ
ず、同図(b)ののような応答状態についてだけ、フ
ァジイ推論によって制御応答を同図(b)のに近づけ
るように制御することが可能となり、オーバーシュート
の発生を抑えることができる。
【0051】しかも、ファジイ推論に用いるファジイ制
御ルールも簡略化されるから、操作量MVに対して十分
な修正が可能であるうえ、ファジイ制御ルール数が減少
した分、プログラム量の減少と推論処理スピードが向上
する。また、制御系のゲインを強める働きをするファジ
イ制御ルールがないため、PID定数の不適切な場合や
不安定な制御対象に対して、ファジイ推論が原因となっ
てフィードバック制御系を発振させる心配がなく、安全
である。
【0052】本発明の第3のPID制御方法(請求項3
に対応する)を説明する。この方法は、目標値変更に対
して、偏差のファジイ集合の台集合を目標値変更時の偏
差量を最大偏差量として規格化し、偏差の変化速度のフ
ァジイ集合の台集合を目標値変更後の偏差変化速度最大
付近の偏差の一定区間で測定した偏差の変化速度の平均
値を最大変化速度として規格化することを特徴とするも
のであり、目標値の変化、特に目標値のステップ的な変
更に対する制御量(測定値)の応答特性の改善を図るも
のである。
【0053】本発明に係るPID制御方法は、その原理
上、制御対象や目標値の変更量が変わっても、入力変数
であるファジイ集合のメンバーシップ関数の数や形状、
並びに制御ルールを変えなくても良いが、ファジイ集合
の台集合の規格化定数(ゲイン定数)を変更すれば、更
に広範囲の制御対象に対して制御量を望ましい時間応答
に近づけることができる。規格化の具体的な方法とし
て、偏差のファジイ集合の台集合は、目標値変更時の偏
差量を最大偏差量として規格化すれば良く、偏差の変化
速度のファジイ集合の台集合は、目標値変更後の偏差変
化速度最大付近の偏差の一定区間で測定した偏差の変化
速度の平均値を最大変化速度相当として規格化すれば良
い。
【0054】ここで言う「目標値変更後の偏差変化速度
最大付近の偏差の一定区間」は、具体的な例を挙げれ
ば、偏差が目標値変更時の偏差量の90%〜80%付近
の一定区間であり、その区間および幅は制御性能、精度
および使用環境等を考慮して予め決定すれば良く、好ま
しい区間としては目標値変更時の偏差量の90%〜80
%推移する区間とすれば良い。もっとも、その区間の幅
は実用的には5〜20%程度の範囲で多少変更可能であ
る。以下の説明においても同様である。
【0055】図6(a)に示すように、制御対象にステ
ップ的な目標値変更を入力すると、制御対象の構造によ
っても異なるが、目標値変更後の偏差変化速度最大とな
る偏差量は、ムダ時間の全くない1次遅れを除いては、
偏差100%よりも少ない偏差量の時になる。また、実
際の制御状態では、測定値(制御量)にノイズが混入す
るので、速度を求めるときに、このノイズの影響を抑え
るために平均化処理を行うので、測定区間に一定の幅を
持たせることが必要になり、上述したように例えば偏差
が目標値変更時の偏差量の90%〜80%推移する区間
を用いることが好ましい。
【0056】そして、実際の設計に際しては、望ましい
時間応答モデルを具体的に決定したら、その時間応答か
ら偏差および偏差速度の時間応答を作成して、上記一定
区間、例えばその偏差量の90%〜80%推移する区間
の平均速度と真の最大速度の比率を求め、この比率を測
定結果の平均速度に乗じて最大偏差変化速度とし、偏差
の変化速度のファジイ集合の規格化に使用する。このよ
うにして、目標値変更時に偏差およびこの変化速度のフ
ァジイ集合を規格化することにより、制御対象や目標値
の変更量が変わっても、入力変数であるファジイ集合の
メンバーシップ関数の数や形状、並びにファジイ制御ル
ールを変えなくても良く、ファジイ集合の台集合の規格
化定数(ゲイン定数)を変更するだけで、常に制御量を
望ましい時間応答に近づけることができる。
【0057】本発明に係る第4のPID制御方法(請求
項4に対応する)を説明する。この方法は、目標値変更
に対して偏差および偏差の変化速度の規格化のため測定
を開始し、偏差の変化速度の規格化が終了した時点でフ
ァジイ推論を開始し、偏差が一定値以下になるか又は目
標値変更時の偏差の符号が反転した時点でファジイ推論
を終了することを特徴とするものである。
【0058】本発明の制御方法を実施する際に、目標値
を度々変更すると、上述した第3の方法で説明したよう
に、目標値変更時に偏差およびこの変化速度のファジイ
集合を規格化することにより、制御対象や目標値の変更
量が変っても、ファジイ集合の台集合の規格化定数(ゲ
イン定数)を変更するだけで、常に制御量を望ましい時
間応答に近づけることができるので、ファジイ推論を常
時働かせる必要はなくなり、目標値変更によって起動さ
れ、制御量が目標値にほぼ達した時点、すなわち偏差が
ある一定値以下になったか又は偏差の符号が逆転した時
点でファジイ推論を終了するように、 目標値変更→規格化→ファジイ推論開始→ファジイ推論
終了 と言った一連の制御シーケンスにすれば良い。
【0059】しかも、上述した第2の方法で説明した簡
略化したファジイ規則を使用し、ファジイ推論をこのよ
うな制御シーケンスで実行させれば、目標値変更に対す
る制御量の行過ぎを抑えた制御を簡単に実現できる。
【0060】本発明に係る第5のPID制御方法(請求
項5に対応する)を説明する。この方法は、偏差の一定
区間での偏差量の差が、測定分解能又は演算分解能から
して所定量以上の場合に、その一定区間を偏差が変化す
る時間をファジイ推論周期とするとともに、この周期毎
の偏差の変化量をその偏差の一定区間での偏差量の差で
除した値をもって、規格化した偏差の変化速度入力と
し、そうでない場合にはファジイ推論を行わないことを
特徴とするものである。
【0061】本発明のファジイ推論によるPID制御方
法を、マイクロコンピュータを主体として構成すると、
一定周期(サンプリング周期)間隔でセンサーからの測
定値(制御量)をA/D変換器によってディジタル量に
変換し、目標値との偏差の演算、PID演算およびファ
ジイ推論をマイクロコンピュータで行って操作量MVを
計算し、D/A変換器によってアナログ量に変換して制
御対象3側へ出力する構成となる。
【0062】このようなディジタル演算では、アナログ
演算の場合と違って、サンプリング周期と分解能の問題
が発生する。ファジイ推論の入力変数は偏差とこの変化
速度の二つであるが、このうち変化速度については、特
に、目標値変更量が少なかったり、時定数がサンプリン
グ周期と比較して長い制御対象3であった場合には、サ
ンプリング周期毎に計算したのでは偏差の変化量が少な
くて、変化速度の分解能が不足し、規格化された偏差の
変化速度の誤差が大きくなり、結果としてファジイ推論
結果にもその誤差の影響が出てしまうことがある。
【0063】例えば、偏差の変化速度が最大のとき、1
サンプリング周期での偏差の変化量が、A/D変換器で
ディジタル量に直して2カウントしかなかった場合、こ
のカウント最大値2を基にして偏差の変化速度をサンプ
リング周期毎に 偏差の変化速度=[毎サンプリング周期での偏差の変化
量(≦2)]/[1サンプリング周期での偏差の変化量
の最大値(=2)] として、0〜1の範囲に規格化して求める。しかし、上
式の分子の値は2カウント以下、すなわち0,1,2し
かとり得ないので、変化速度は0,0.5,1だけとな
り、変化速度の分解能は2しかないので、これでは十分
なファジイ推論を行うことができない。その場合、もっ
と長い時間間隔で偏差の変化量を測定すれば、変化量が
ほぼ時間間隔に比例して増えるので、偏差速度の分解能
が増えるはずである。
【0064】例えば、偏差の変化速度が最大のとき、1
サンプリング周期での偏差の変化量が、A/D変換器で
ディジタル量に直して2カウントしかない制御対象で
も、6サンプリング周期間に10カウント偏差が変化す
れば、速度はこの偏差の変化量のカウント最大値10を
基に6サンプリング周期毎に 偏差の変化速度=[毎6サンプリング周期での偏差の変
化量(≦10)]/[6サンプリング周期での偏差の変
化量の最大値(=10)] として、0〜1の範囲に規格化して求める。上式の分子
の値は10カウント以下すなわち0,1,2,…,8,
9,10の値をとり、変化速度が0,0.1,0.2
…,0.8,0.9,1となり、変化速度の分解能は1
0に増える。
【0065】しかし、偏差の変化量の測定周期の間に変
化速度は更新されないので、ファジイ推論だけ、この測
定周期よりも短いサンプリング周期で実行しても意味が
なく、ファジイ推論周期もこの測定周期に合せる必要が
ある。すなわち、偏差の変化量の測定周期を長くする
と、偏差の変化速度の分解能は向上するが、逆に推論回
数は減少してしまい、極端に測定周期が長過ぎるとファ
ジイ推論がうまく働かなくなってしまう。このように、
分解能と推論回数は相反する事項であるが、偏差の変化
速度の分解能とファジイ推論回数が共に満足できる適切
なファジイ推論周期(偏差測定周期)を求める必要があ
る。
【0066】その1つの方法として、上述した第5の方
法すなわちファジイ推論周期(推論回数)を基準とする
方法がある。上記一定区間例えば目標値変更時の偏差量
を100%として、偏差がその90%〜80%に変化す
る時間をファジイ推論周期にすれば、通常の負荷特性
(1次〜3次遅れ)では十分なファジイ推論回数を確保
できる。
【0067】従って、その後は偏差の変化速度の分解能
がとれるかどうかを判断すれば良く、上記一定区間例え
ば目標値変更時の偏差量を100%としたときの、その
偏差量の10%(90%−80%)に相当するディジタ
ル量が、必要な偏差の変化速度の分解能以上の所定のカ
ウント値であるかどうかを判断し、もし、その分解能に
達していなければファジイ推論の実行を中止させ、偏差
の変化速度の分解能不足によるファジイ推論の不具合を
避けることができる。この所定量である所定のカウント
値は、制御性能、精度および使用環境によって左右され
るものの、最低でも10カウント以上は必要となる。
【0068】そして、上記一定区間例えば目標値変更時
の偏差量を100%としたときの、その偏差量の10%
に相当するディジタル量が、必要な偏差の変化速度の分
解能以上のカウント値であれば、ファジイ推論周期(偏
差測定周期)を、一定区間例えば目標値変更時の偏差量
を100%として、偏差がその90%〜80%に変化す
る時間とし、この周期毎の偏差の変化量のディジタル量
を、一定区間例えば目標値変更時の偏差量を100%と
したときの、その偏差量の10%に相当するA/D変換
したディジタル量で除して、規格化した偏差の変化速度
を求めて、ファジイ推論を行う。このようにすれば、偏
差の変化速度の分解能とファジイ推論回数が共に満足で
きるファジイ推論周期(偏差測定周期)を得ることがで
きる。
【0069】本発明の第6のPID制御方法(請求項6
に対応する)を説明する。この方法は、測定分解能又は
演算分解能からして必要な所定の偏差量を定め、その偏
差の一定区間での偏差量の差が所定の偏差量以上の場
合、その偏差の一定区間を偏差が変化する時間に、所定
の偏差量をその偏差の一定区間での偏差量の差で除した
比率を乗じた時間をファジイ推論周期とするとともに、
この周期毎の偏差の変化量を所定の偏差量で除した値を
もって、規格化した偏差の変化速度入力としてファジイ
推論し、そうでない場合にはファジイ推論を行わないこ
とを特徴とするものである。
【0070】また、その偏差の一定区間を偏差が変化す
る時間に、所定の偏差量を偏差の一定区間での偏差量の
差で除した比率を乗じた時間が、実行可能な最小の周期
より短くなる場合、ファジイ推論周期をこの実行可能な
最小の周期とするとともに、この周期毎の偏差の変化量
を所定の偏差量で除した値に実行可能な最小の周期を乗
じ、その値を所定の偏差量を偏差の一定区間での偏差量
の差で除した比率を乗じた時間で除した値をもって規格
化した偏差の偏差速度入力とし、そうでない場合にはフ
ァジイ推論を行わないことを特徴としている。
【0071】この第6の方法は、上述した第5の方法と
同様に、偏差の変化速度の分解能とファジイ推論回数が
共に満足できるファジイ推論周期(偏差測定周期)を求
めるためのもう1つの方法を提供するもので、分解能を
基準とする方法である。この方法では、必要な偏差の変
化速度の分解能が得られるディジタル量のカウント値P
rを定めて、上記一定区間例えば目標値変更時の偏差量
を100%としたときの偏差の変化量10%(90%−
80%)のディジタル量Pxでそのカウント値Prを除
し、必要な分解能を得られるカウント値Prに対してデ
ィジタル量Pxが何倍であるかを調べるものである。
【0072】この所定量である所定のカウント値は、制
御性能、精度および使用環境によって左右されるもの
の、最低でも10カウント以上は必要となる。まず、
[Pr/Px>1]の場合、上記一定区間例えば目標値
変更時の偏差量を100%としたときの偏差の変化量1
0%では、必要な偏差の変化速度の分解能が有られない
ということであるから、ファジイ推論の実行を中止さ
せ、偏差の変化速度の分解能不足によるファジイ推論の
不具合を避ける。
【0073】次に、[Pr/Px≦1]の場合、上記一
定区間例えば目標値変更時の偏差量を100%としたと
きの偏差の変化量10%が、必要な偏差の変化速度の分
解能以上であるということであるから、実際に目標値変
更時の偏差量を100%として偏差がその一定区間例え
ば90〜80%に変化する時間Txを測定し、必要な偏
差の変化速度の分解能が得られるファジイ推論周期Tf
を Tf=Tx・(Pr/Px) として算出する。
【0074】このようにして求めたファジイ推論周期T
fは、偏差の変化速度を求めるに際し、一定の分解能が
得られる周期であるから、目標値変更時の偏差量が大き
ければ大きいほど短くなるが、実際にはハードウェア上
の制約から、最短周期(サンプリング周期)Trが固定
されているので、これ以上にはできない。従って、ファ
ジイ推論周期Tfは、Tr≦Tf≦Txとなる。
【0075】次に、偏差の変化速度の規格化は以下のよ
うにして行う。まず、上述した計算によって求めたファ
ジイ推論周期Tfが、最短周期Tr以上の場合、偏差の
変化速度の規格化値Piは、このファジイ推論周期Tf
毎の偏差の変化量ΔPを測定し、必要な偏差の変化速度
の分解能が有られるディジタル量のカウント値Prを除
すればよい。 Pi=(ΔP/Tf)/(Pr/Tf) ∴ Pi=ΔP/Pr
【0076】一方、上述した計算によって求めたファジ
イ推論周期Tfが、最短周期Tr未満の場合、偏差の変
化速度の規格化値Piは、この算出された値Tfではな
く、最短周期Trをファジイ推論周期として周期Tr毎
の偏差の変化量ΔPを測定し、以下のようにして求め
る。 Pi=(ΔP/Tf)/(Pr/Tf) =[(ΔP/Tr)/(Pr/Tf)]・(Tr/T
f) ∴ Pi=(ΔP/Pr)・(Tr/Tf)
【0077】このような構成では、偏差の変化速度の分
解能が固定され、ファジイ推論周期が目標値変更量の大
小によって可変されるため、偏差の偏差速度の分解能と
ファジイ推論回数が共に満足できるファジイ推論周期
(偏差測定周期)を得ることができる。
【0078】本発明の第7のPID制御方法(請求項7
に相当する)を説明する。この第7の方法は、上記ファ
ジイ推論結果を積分ゲイン低減率として用いてPID演
算の積分ゲインを修正することによって、簡単に目標値
変更に対する制御量(測定値)の行過ぎを制御した制御
を実現するものである。一般に、PID制御における目
標値変更に対する制御量(測定値)の行過ぎの原因の多
くは、制御系の飽和領域での積分のし過ぎに起因するこ
とが多い。
【0079】従って、このような場合には、積分ゲイン
を調整することによって目標値変更に対する制御量(測
定値)の行過ぎを抑制することが可能である。具体的に
は、以下のようにして実現する。まず、ファジイ推論の
入力変数は、偏差および偏差の変化速度とし、望ましい
応答モデルとしては、応答時間が短く、目標値変更に対
する制御量(測定値)の行過ぎがないモデルを選択し、
第1の方法のようにメンバーシップ関数を作成する。
【0080】一方、ファジイ制御ルールは、上述した第
2の方法で説明した図5(b)の対角線の片側半分を簡
略化したものを用い、積分ゲインの修正量としての後件
部のファジイ集合のメンバーシップ関数も一般的な片側
のもの図5(a)を用いれば良い。そして、推論された
修正量のファジイ数は、重心法等の一般的な非ファジイ
化を行って修正量Qを決定する。
【0081】また、PID制御演算式上では、ファジイ
推論の結果得られた修正量Qは以下のように使用され
る。ディジタルPID演算式の一般形は、 MV(n)=Kp・E(n)+Σ[Ki・E(n)]+Kd・
[E(n)−E(n−1)] ここで、MV(n) :n時点のPID出力(操作量) E(n) :n時点の偏差 E(n−1):n−1時点の偏差 Kp :比例ゲイン Ki :積分ゲイン Kd :微分ゲイン
【0082】この式において、積分値はΣ[Ki・E
(n)]であるが、積算記号Σを用いないで表現すると、
積分値I(n)は次のように表現される。 I(n)=I(n−1)+Ki・E(n) ここで、I(n) :n時点の積分値 I(n−1):n−1時点の積分値
【0083】ファジイ推論による修正量Qを用いて、積
分ゲインを可変にした場合の積分値I(n)は、 I(n)=I(n−1)+Ki・[1−Q]・E(n) ここで、I(n) :n時点の積分値 I(n−1):n−1時点の積分値 Q :積分ゲインの修正量 この式において、修正量Qが負の場合は、積分ゲインは
元の値Kiよりも大きくなるから積分を強めるように働
く。
【0084】修正量Qが「0」の場合には、積分ゲイン
は元の値Kiと等しくなり、修正していないことにな
る。修正量Qが正の場合には、積分ゲインは元の値Ki
より小さくなり、積分を弱めるように働くが、修正量Q
が「1」の時に積分ゲインは「0」となって、積分を止
めた状態(ホールド)となり、修正量Qが「1」より大
きくなると積分ゲインは負となって、逆方向に積分を行
なってしまう。
【0085】これらの性質を生かすことによって、PI
D制御特性をかなり自在に変化させることができるが、
目標値変更に対する制御量(測定値)の行過ぎを抑制し
た制御の実現に目的を絞った場合、図5(b)、(a)
のようにファジイ制御ルールのマトリクスを対角線の片
側半分とし、後件部のメンバーシップ関数も片側だけに
して修正量Qの取り得る範囲を「0」以上の正の値とす
るとともに、修正量Qが「1」以上にならないようにリ
ミットする。
【0086】このように構成された第7の方法では、目
標値が変更されると、その偏差およびこの変化速度の関
係が、応答時間が短くかつ目標値変更に対する制御量
(測定値)の行過ぎのない応答モデルの偏差とこの変化
率の関係に照して同じか否か判断し、もし制御量(測定
値)の行過ぎが起きそうならば、どれくらい積分ゲイン
を弱くすれば良いか推論して積分ゲインを修正できるの
で、目標値変更に対する制御量(測定値)の行過ぎを抑
制した制御を簡単に実現できる。
【0087】本発明の第8のPID制御方法(請求項8
に相当する)を説明する。この第8の方法は、ファジイ
推論結果の推移に基づき積分値帰還タイミング時点を演
算し、この帰還タイミング時点の積分値と、前回帰還後
の積分値および当該帰還タイミング時点の偏差とに基づ
き演算した積分値帰還量をそのPID演算の積分項に加
算して積分値自体を修正することを特徴としたものであ
る。
【0088】本発明を用いて目標値変更に対する制御量
の行過ぎを抑えたPID制御方法を実現しようとした場
合、ファジイ推論を常時働かせるのではなく、 目標値変更→規格化→ファジイ推論開始→ファジイ推論
終了 のような制御シーケンスとし、制御対象や目標値の変化
量が変っても、常に制御量を望ましい時間応答に近づけ
ることができるように構成すると良いことを上述した第
4の方法で説明した。
【0089】しかし、このような制御シーケンスで、第
7の方法のようにファジイ推論結果を積分ゲイン低減率
として用いてPID演算の積分ゲインを修正する制御を
実行すると、目標値変更→規格化→ファジイ推論開始ま
での間に通常通り積分演算を行っていると、ファジイ推
論を開始する時点で既に積分し過ぎてしまっていること
がある。
【0090】このようなときには、積分ゲインではな
く、積分値そのものを修正する必要があり、この第8の
方法はこれに対処するものであり、以下図7を参照して
説明する。図7は目標値を変更した場合のファジイ推論
結果、積分値および測定値の推移を示す図であり、同図
(a)はファジイ推論結果(修正量Q:ゲイン低減率)
を表示しており、同図(b)は積分値帰還量を示してい
る。
【0091】この積分帰還量Ixは、 [帰還時点] Ix=−G(m)・[i(m)−i(m−1)] …(1) ここで (m):帰還の回数毎の番号 G(m):帰還時点の偏差量 i(m):帰還時点の積分量 i(m−1):前回帰還時点の積分量
【0092】[帰還時点以外] Ix=0 …(1’) 図7(c)は積分値I(n)の推移を示しており、この積
分値I(n)は、 I(n)=I(n−1)+[1−Q]Ki・E(n)+Ix ……(2) ここで、符号 (n) :積分値の演算周期の番号 I(n) :n時点の積分値 I(n−1):n−1時点の積分値 Ki :元の積分ゲイン E(n):n時点の偏差
【0093】図7(d)は目標値SVと測定値(制御
量)PVの変化を示し、目標値SVはt(0)時点で目標
値変更されている。図7(e)は目標値と測定値の偏差
の推移を示し、目標値変更時点の偏差をG(0)とし、帰
還時点の偏差量を各々G(1)、G(2)、G(3)としてい
る。
【0094】次に、ファジイ推論結果(修正量:ゲイン
低減率)Qによる積分ゲインの修正と積分値の修正の手
順について説明する。図7(d)において、時点t(0)
で目標値SVが変更され、測定値PVが比例動作等で目
標値に向って変化し始め、時点t(0’)で測定値PVが
積分許可区間(例えば比例帯)に入ると、上述した
(2)式の演算で積分値の演算が開始され、同図(c)
の積分値が初期値I(0)から偏差を少なくする方向に除
々に増加し始める。
【0095】一方、図7(e)の偏差は測定値PVの変
化と同様に、除々に変化速度が増してゆき、時点t
(0’)と時点t(1)の間で変化速度が最大になる。従っ
て、第3〜6の方法で説明したように、時点t(0’)と
時点t(1)の間で、ファジイ推論の入力変数である偏差
およびこの変化速度の規格化を行い、時点t(1)以降で
ファジイ推論が開始されるので、偏差の変化具合に応じ
て図7(a)のようにファジイ推論結果(ゲイン低減
率)Qが変化し始める。
【0096】第7の方法でも述べたが、このファジイ推
論結果(ゲイン低減率)Qは、(2)式の積分ゲインK
iに係り、制御量PVが目標値変更に対して行過ぎ量な
しで整定する望ましい応答モデルからずれて、いわゆる
オーバーシュートを起こしそうになると増加し、積分ゲ
インを下げて制御量PVの変化の軌道を修正するように
働く。
【0097】しかし、図7(c)、(a)から分るよう
に、積分値演算の開始は時点t(0’)、ファジイ推論の
開始は時点t(1)で、この間で積分値はファジイ推論結
果(ゲイン低減率)Qによる積分ゲインの修正を全く受
けないで演算されるので、時点t(1)において既に積分
し過ぎていた場合には、過積分をゲインの修正によって
減らすことはできないから、結果として制御量PVがオ
ーバーシュートしてしまう可能性がある。そのような場
合には、積分ゲインではなく、積分値自体を何等かの手
段で修正してやることが必要になってくる。積分値帰還
を行ってその積分値自体を修正するうえで決めなければ
ならないのは、帰還タイミング(帰還時点)および帰還
量の2点である。
【0098】本発明では、望ましい応答モデルをファジ
イ集合のメンバーシップ関数に内包させて、この応答モ
デルと実際の応答にずれが起きた場合に、ファジイ制御
ルールによって制御演算を修正すると言う原理上、偏差
が望ましい変化をしている間は何もせず、望ましい変化
からずれたら修正するということを繰返すので、ファジ
イ推論結果Qは図7(a)のように、 ゼロ→増加→減少→ゼロ→増加→…… のような働きになることが多く、この点に着目して帰還
タイミングと帰還量を決める。
【0099】帰還タイミングは、ファジイ推論結果Qが
ゼロから増加する瞬間、厳密には修正量Qが非正の値か
ら正の値に変化した瞬間とし、帰還量は基本的には修正
量Qがゼロ、すなわち実際の偏差の変化が望ましい応答
に一致しているときの積分値を利用する。
【0100】図7を用いて積分値帰還のようすを更に詳
細に説明する。図7(a)において、ゲイン低減率Qの
変化が非正から正に転じた時点t(1)で積分値帰還量を
(1)式で演算する。すなわち、 Ix=−G(1)・[i(1)−i(0)] …(3) という演算を行い、(2)式で積分値の修正を行うとと
もに(2)式で修正後の積分値を帰還後の積分値i(2)
として記憶する。
【0101】同様に、時点t(2)においても、 Ix=−G(2)・[i(3)−i(2)] …(4) という演算を行い、(2)式で積分値の修正を行うとと
もに(2)式で修正後の積分値を帰還後の積分値i(4)
として記憶する。
【0102】同様に時点t(3)においても、 Ix=−G(3)・[i(5)−i(4)] …(5) という演算を行い、(2)式で積分値の修正を行うとと
もに(2)式で修正後の積分値を帰還後の積分値i(6)
として記憶する。
【0103】この第8の方法では、修正量Qがゼロのと
きの積分値を全部帰還するのではなく、前回の帰還タイ
ミングの時の積分値と今回の帰還タイミングの積分値の
差に、重みとして偏差の割合を掛けたものを積分帰還量
として用いている。これは、積分値が、本来、偏差をゼ
ロにするための操作量を保持する役割をもっているた
め、積分値を頻繁に変更することの弊害を防ぎ、定常偏
差が生じないようにするためで、このような重みを掛け
たり又は帰還回数を制限する等しても良い。なお、積分
帰還量は偏差が大きいところで有効で、偏差が小さいと
ころで効果が少なくなっていく。
【0104】また、ファジイ推論結果Qの変化方向の判
定等に当たっては、動作間隙を設けてやるとノイズにも
影響され難くなる。ところで、上述した本発明のPID
制御方法において、偏差およびこの変化速度の各メンバ
ーシップ関数にはB〜Zの4個のラベルを付したが、そ
れら各メンバーシップ関数のラベル数はそれ以上あって
も良いことは言うまでもないし、上述した各実施例は可
能な限り互に組合せて実施可能である。
【0105】
【発明の効果】以上説明したように本発明のPID制御
方法では、数理的フィードバック制御手法においてファ
ジイ推論を応用し、制御特性を望ましい応答モデルに簡
単に近づけることができる。しかも、ファジイ推論にお
けるメンバーシップ関数は、応答モデルを指定するだけ
で殆ど機械的に作成できるし、ファジイ制御ルールの決
定過程が応答モデルに依存しないので、制御特性を変更
する場合でもファジイ制御ルールを殆ど変更する必要が
なく、ファジイ推論の適応が簡単である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るファジイ推論によるPID制御方
法を実施するPID制御装置の概略ブロック図である。
【図2】応答モデルに係る波形図(a)、その偏差の応
答曲線(b)およびメンバーシップ関数(d)、並びに
偏差の変化速度の応答曲線(c)およびメンバーシップ
関数(e)を示す図である。
【図3】偏差とこの変化速度のメンバーシップ関数
(a)、(b)、出力のメンバーシップ関数(c)およ
びファジイ推論ルール(d)を示す図である。
【図4】偏差とこの変化速度の変化(a)とファジイ推
論の変化(c)および制御量の変化(b)を説明する図
である。
【図5】本発明のPID制御方法における別の出力のメ
ンバーシップ関数(a)およびファジイ推論ルール
(b)を示す図である。
【図6】目標値変更に係る波形図(a)に対し、目標値
と測定値に基づく偏差の規格化(b)および偏差の変化
速度の規格化(c)、(d)を示す図である。
【図7】本発明のPID制御方法における積分項の修正
動作を説明する図である。
【符号の説明】
1 減算部 3 制御対象 5 制御演算部 7 速度演算部 9 ファジイ推論部 11 応答モデル記憶部 13 メンバーシップ関数記憶部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 島田 昌士 東京都大田区久が原5丁目16番6号 理 化工業株式会社内 (56)参考文献 特開 平3−292505(JP,A) 特開 平5−61504(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G05B 13/00 - 13/04

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 目標値と測定値との偏差およびこの偏差
    の変化速度を入力変数としてファジ推論を行い、この推
    論結果によってPID制御における各PID係数又はP
    ID演算結果を修正し、前記目標値の変化に対する前記
    測定値の制御特性を可変するファジイ推論によるPID
    制御方法において、 前記入力変数のファジイ集合は、同一のラベルを持つ偏
    差とこの変化速度のファジイ集合のメンバーシップ関数
    のグレードが最大になる偏差と偏差の変化速度を、前記
    目標値の変化に対する前記測定値の望ましい応答モデル
    から求めた偏差とこの変化速度の値とし、 前記ファジイ推論の前件部を偏差とこの変化速度の論理
    積とし、前記ファジイ推論の後件部を前記各PID係数
    の少なくとも1つ又は前記PID演算結果に対する修正
    量のファジイ集合とするファジイ制御ルール群であっ
    て、前記前件部の偏差とこの変化速度のファジイ集合の
    ラベルが等しい前記後件部を修正量ゼロが最大グレード
    となるメンバーシップ関数のファジイ集合としたファジ
    イ制御ルール群を用い、 前記応答モデルのメンバーシップ関数に基づいて前記フ
    ァジイ推論を行い、前記各PID係数の少なくとも1つ
    又は前記PID演算結果を修正することを特徴とするフ
    ァジイ推論によるPID制御方法。
  2. 【請求項2】 前記前件部の偏差のファジイ集合のラベ
    ルが前記前件部の偏差の変化速度のファジイ集合のラベ
    ルと同じ又は大きいとき、前記修正量ゼロが最大グレー
    ドとなる前記後件部を有する前記ファジイ制御ルール群
    を用いた請求項1記載のファジイ推論による制御方法。
  3. 【請求項3】 前記目標値の変更に対して前記偏差のフ
    ァジイ集合の台集合を前記変更時の偏差量を最大偏差量
    として規格化し、 前記偏差の変化速度のファジイ集合の台集合を、目標値
    変更後の偏差変化速度最大付近の偏差の一定区間で測定
    した偏差の変化速度の平均値を最大変化速度相当として
    規格化することを特徴とする請求項1又は2記載のファ
    ジイ推論によるPID制御方法。
  4. 【請求項4】 前記目標値変更に対して前記偏差および
    偏差の変化速度の規格化のための測定を始め、偏差の変
    化速度の規格化を終えた時点でファジイ推論を開始し、
    偏差が一定値以下になるか又は前記偏差の符号が反転し
    た時点で前記ファジイ推論を終了することを特徴とする
    請求項1〜3いずれか1項記載のファジイ推論によるP
    ID制御方法。
  5. 【請求項5】 前記一定区間での前記偏差の変化量が測
    定分解能又は演算分解能からして所定量以上の場合、前
    記偏差がその一定区間推移する時間をファジイ推論周期
    とするとともに、この周期毎の偏差の変化量を前記一定
    区間での偏差の変化量で除した値をもって規格化した偏
    差の変化速度とした請求項1〜4いずれか1項記載のフ
    ァジイ推論によるPID制御方法。
  6. 【請求項6】 前記一定区間での前記偏差の変化量が測
    定分解能又は演算分解能からして所定量以上の場合、前
    記偏差がその一定区間を推移する時間に前記所定量を前
    記一定区間での偏差の変化量で除した比率を乗じた時間
    をファジイ推論周期とするとともに、この周期毎の偏差
    の変化量を前記一定区間での偏差の変化量で除した値を
    もって規格化した偏差変化速度とした請求項1〜4いず
    れか1項記載のファジイ推論によるPID制御方法。
  7. 【請求項7】 前記ファジイ推論結果を積分ゲイン低減
    率として用いて前記PID演算の積分ゲインを修正する
    請求項1〜6項いずれか1項記載のファジイ推論による
    PID制御方法。
  8. 【請求項8】 前記ファジイ推論結果の推移に基づき積
    分値帰還タイミング時点を演算し、この帰還タイミング
    時点の積分値と、前回帰還後の積分値および当該帰還タ
    イミング時点の偏差とに基づき演算した積分値帰還量を
    前記PID演算の積分項に加算して前記積分値を修正す
    る請求項1〜6項いずれか1項記載のファジイ推論によ
    るPID制御方法。
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